(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
本出願人が特許文献1に開示している回転2色射出成形装置では、回転型と樹脂パネル成形用可動型とで透光性の樹脂パネルを射出成形した状態で上記回転型を反転させ、反転位置に配置された枠部成形用可動型を用いて、上記回転型に保持された樹脂パネル裏面の周縁部に不透光性の環状枠部を射出成形して樹脂製窓としている。そして、樹脂パネル成形時に位置決めピンをキャビティに突出させ、成形された樹脂パネル端面に位置決めピンが挿入された状態として樹脂パネルを位置決めピンで支持し、回転型を反転させる際、該回転型に保持された樹脂パネルが回転型から脱落しないようにしている。
【0003】
しかし、樹脂パネル(樹脂製窓)には、位置決めピンのピン孔が形成されるため、該ピン孔が表面から見えて見栄えを損ねる。また、樹脂製窓には、樹脂パネルの表面を保護する観点から、ハードコート層が形成されるが、ハードコート剤がピン孔に溜まって均一な厚みのハードコート層が形成されず、クラック発生の原因となる。さらに、ピン孔がある箇所は、他の箇所と断面形状が異なるため、応力歪みが残る。
【0004】
これらの問題を解決するために、位置決めピンを用いずに樹脂パネルが可動型から脱落しないようにする装置として、
図12に示すような回転2色射出成形装置が考えられる。
図12中、101はキャビティ103を有する回転型、105は樹脂パネル成形用可動型である。上記回転型101には、脱落防止装置107が設置されている。この脱落防止装置107は、駆動装置109を備え、該駆動装置109にはロッド111の一端が連結され、該ロッド111の他端には脱落防止ブロック113が連結されている。
【0005】
図12(a)の型締め状態で樹脂パネル成形用樹脂115をキャビティ103に充填し、この状態から、
図12(b)に示すように、上記可動型105が進出してキャビティ容積を型開閉方向に狭め、上記樹脂パネル成形用樹脂115を圧縮して樹脂パネル117を射出成形する。この間、上記脱落防止ブロック113は、型開閉方向と直交するキャビティ103内方に進出していてキャビティ103周縁部をシールしている。
【0006】
樹脂パネル117を射出成形した後は、図示しないが、上記可動型105が後退して型開きし、樹脂パネル117が保持された回転型101を枠部成形用可動型側に反転させて枠部成形態勢を整える。この反転時に上記脱落防止ブロック113が上記樹脂パネル117の周縁部にキャビティ103開放側から臨み、該樹脂パネル117の回転型101からの脱落を防止している。
【0007】
図12(c)は、次工程である枠部成形工程に備えて上記脱落防止ブロック113を進出状態から後退させた状態を示す。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところが、上記の後者の回転2色射出成形装置では、脱落防止ブロック113が樹脂圧縮工程で型開閉方向と直交するキャビティ103内方に進出しているため、成形される樹脂パネル117の脱落防止ブロック113対応箇所には、可動型105による圧縮力が作用しないことから、成形された樹脂パネル117の内部応力を全体に亘って均一にすることができず、応力歪みが発生して表面性状が悪化する。また、ハードコート層形成時に、ハードコート剤により樹脂パネル117表面が溶けて内部応力が解放され、クラックが発生する。
【0010】
この発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、樹脂パネルの成形性を阻害することなく樹脂パネルの回転型からの脱落を防止することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の目的を達成するため、この発明は、脱落防止手段の作動タイミングに工夫を凝らしたことを特徴とする。
【0012】
具体的には、この発明は、
上下方向に延びる回転軸線を挟んで互いに背中合わせに
配置されて該回転軸線回りに一体に回転可能に
構成された一対の回転型と、上記両回転型の一方の回転型に対して
水平方向に接離可能に配置され、接近動作により型締めして該回転型とで透光性の樹脂パネルを射出成形する樹脂パネル成形用可動型と、上記両回転型の他方の回転型に対して
水平方向に接離可能に配置され、上記樹脂パネルが保持された一方の回転型を反転させた状態で接近動作により型締めして該回転型とで上記樹脂パネル裏面の周縁部に不透光性の環状枠部を射出成形して樹脂製窓とする枠部成形用可動型とを備え、上記回転型及び樹脂パネル成形用可動型は、型開閉方向に互いに摺接する摺接部をそれぞれ有し、樹脂パネル成形時、上記樹脂パネル成形用可動型の型締め位置が樹脂充填位置と、成形された樹脂パネルの内部応力を全体に亘って均一にするために該樹脂充填位置からキャビティ容積を型開閉方向に狭める樹脂圧縮位置とに上記摺接部を互いに摺接させて移動する樹脂製窓の回転2色射出成形装置を対象とし、次のような解決手段を講じた。
【0013】
すなわち、
この発明は、上記各回転型には、上記樹脂パネルが保持された回転型を反転させる際、型開閉方向と直交するキャビティ内方に進出して該樹脂パネルの周縁部にキャビティ開放側から臨み、上記樹脂パネルの回転型からの脱落を防止する脱落防止手段が設けられて
、上記脱落防止手段は、脱落防止ブロックと、該脱落防止ブロックを型開閉方向と直交するキャビティ内方に進出付勢する付勢部材と、上記脱落防止ブロックに連結された駆動装置とを備え、上記脱落防止ブロックは、型締め動作に伴い移動する上記各可動型との接触により上記付勢部材の付勢力に抗して後退させられる一方、成形後に樹脂製窓を回転型から脱型する際、上記駆動装置の駆動力により上記付勢部材の付勢力に抗して後退させられ、上記脱落防止ブロックの先端は、断面鋭角に形成され、上記樹脂パネル成形用可動型及び脱落防止ブロックは、型開閉方向に対して傾斜した傾斜摺接面をそれぞれ有し、型締め工程で、上記両傾斜摺接面が上記脱落防止ブロックの先端よりも互いに先当たりして該脱落防止ブロックを上記付勢部材の付勢力に抗して後退させ、脱落防止ブロックの先端が樹脂パネル成形用可動型の上記摺接部に接触しないようにすることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、樹脂パネル成形後に回転型を反転させる際、その遠心力が樹脂パネルに作用しても、樹脂パネルの周縁部が脱落防止手段でキャビティ開放側から押さえられているので、回転型の遠心力を脱落防止手段で受け止めて樹脂パネルが回転型から脱落しない。
【0015】
また、特許文献1の如き位置決めピンのピン孔がないので、見栄えが向上するとともに、均一な厚みのハードコート層が形成され、かつ樹脂パネル全体に亘って内部応力が均一になって応力歪みが発生せず、クラックのない優れた表面性状の樹脂パネル(樹脂製窓)が得られる。
【0016】
また、脱落防止ブロックが可動型の型締め動作に追従して後退するので、脱落防止手段が簡素な構造になる。
【0017】
また、断面鋭角な脱落防止ブロックの先端が、型締め状態でキャビティ間近に接近しているので、回転型反転時に脱落防止ブロックが迅速に進出して樹脂パネル支持態勢が確実に整えられる。また、脱落防止ブロックの先端が樹脂パネル成形用可動型の摺接部に接触していないので、樹脂パネル成形用可動型の摺接部が磨耗せず、耐久性が高まるとともに、バリ発生が防止される。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】この発明の実施形態に係る回転2色射出成形装置の横断面図であり、樹脂パネル成形準備工程と枠部成形準備工程とを示す。
【
図2】樹脂パネル成形用樹脂の射出工程と枠部成形用樹脂の射出工程とを示す回転2色射出成形装置の横断面図である。
【
図3】樹脂パネル成形工程(圧縮工程)と枠部成形工程とを示す回転2色射出成形装置の横断面図である。
【
図4】樹脂パネル成形後の型開き工程と枠部成形後の型開き工程とを示す回転2色射出成形装置の横断面図である。
【
図5】
図1の樹脂パネル成形準備工程から樹脂パネル成形用可動型が回転型に接近した状態を示す拡大断面図である。
【
図6】
図5の工程から樹脂パネル成形用可動型が回転型にさらに接近して該可動型の傾斜摺接面が脱落防止ブロックの傾斜摺接面に当接した状態を示す拡大断面図である。
【
図7】
図6の工程から樹脂パネル成形用可動型が型締め位置の樹脂充填位置まで移動し、かつ樹脂パネル成形用樹脂の充填終了直前の状態を示す拡大断面図である。
【
図8】
図7の工程から樹脂パネル成形用可動型が型締め位置の樹脂圧縮位置まで移動し、かつ樹脂パネルが成形された状態を示す拡大断面図である。
【
図9】
図8の工程から樹脂パネル成形用可動型が後退して型開きし、かつ樹脂パネルが保持された回転型の反転態勢を整えた状態を示す拡大断面図である。
【
図10】成形された樹脂製窓の脱型態勢を整えた状態を示す拡大断面図である。
【
図12】従来例の回転2色射出成形装置の成形工程を示す横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、この発明の実施形態について図面に基づいて説明する。
【0020】
図11は、車両の天井に形成された窓用開口部に該開口部を閉塞するように取り付けられる樹脂製窓Pを示す。この樹脂製窓Pは、射出成形された透光性の矩形状樹脂パネルP1と、該樹脂パネルP1裏面の周縁部に射出成形された不透光性の矩形環状枠部P2と、上記樹脂パネルP1両面にハードコート剤のコーティングにより形成されたハードコート層P3とで構成されている。上記樹脂パネルP1としては、PC(ポリカーボネート)、PMMA(アクリル)等の樹脂を用いることができる。上記枠部P2としては、PC(ポリカーボネート)、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PBT(ポリブチレンテレフタレート)、PC/ABSアロイ(ポリカーボネート/アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン)等の樹脂を用いることができる。上記ハードコート層P3としては、アクリル系樹脂やシリコン系樹脂等の樹脂を用いることができる。
【0021】
上記樹脂製窓Pは、
図1に示す回転2色射出成形装置1で射出成形される。この回転2色射出成形装置1は、回転ベースプレート3の両面に互いに背中合わせに回転軸3aを中心に図示しない回転装置の作動により一体に回転可能に配置された一対の回転型5を備えている。
【0022】
該両回転型5の一方(
図1右側)の回転型5側には、樹脂パネル成形用可動型7が取付板9に取り付けられて当該回転型5に対して接離可能に配置されている。上記可動型7及び取付板9には、ホットランナー11が貫通形成され、該ホットランナー11の上流端は射出機(図示せず)のノズル13に接続され、ホットランナー11の下流端は成形面7aに達して当該箇所にバルブゲート15が形成されている。そして、上記可動型7の回転型5への接近動作により型締めして該回転型5と可動型7とで上記樹脂パネルP1を射出成形するようになっている。
【0023】
上記両回転型5の他方(
図1左側)の回転型5側には、枠部成形用可動型17が取付板19に取り付けられて当該回転型5に対して接離可能に配置されている。上記可動型17及び取付板19には、下流側が二股に分岐したホットランナー21が貫通形成され、該ホットランナー21の上流端は射出機(図示せず)のノズル23に接続され、ホットランナー21の下流端は矩形環状の枠部成形用凹部17aに達して当該箇所にバルブゲート25が形成されている。そして、上記可動型17の回転型5への接近動作により型締めして該回転型5と可動型17とで上記樹脂パネルP1裏面の周縁部に枠部P2を射出成形して樹脂製窓Pとするようになっている。
【0024】
上記各回転型5は、樹脂パネル成形用キャビティ5aを有し、該キャビティ5aの側面を型締め時の摺接部5bとしている(
図8参照)。一方、上記樹脂パネル成形用可動型7の成形面7a外周には、型開閉方向に対して傾斜した傾斜摺接面7bが形成され、該傾斜摺接面7bと上記成形面7aとの間には、互いに直角に切り欠かれた切欠面7c,7dが形成され、そのうちの切欠面7dを型締め時の摺接部としている(
図5〜
図8参照)。以下、この摺接部に符号7dを付す。また、上記枠部成形用可動型17の凹部17a外周には、枠部成形用樹脂の射出工程で樹脂パネルP1周縁部に圧接して型締めするための矩形環状の突条部17eが形成され、該突条部17e外周面に連続して型開閉方向に対して傾斜した傾斜摺接面17bが形成されている(
図1参照)。そして、上記回転型5及び可動型7の摺接部5b,7dは、型締め時に型開閉方向に互いに摺接してキャビティ5a周縁部をシールするようになっている(
図8参照)。
【0025】
上記各回転型5のキャビティ5a外周りには、摺動面5cが形成され、該摺動面5cには、
図5〜
図10に拡大して示すように、脱落防止手段としての脱落防止装置27が回転軸3aを挟んで向かい合わせに2基設置され、これら脱落防止装置27は、上記樹脂パネルP1が保持された回転型5を反転させる際、型開閉方向と直交するキャビティ5a内方に進出して該樹脂パネルP1の周縁部にキャビティ5a開放側から臨み、上記樹脂パネルP1の回転型5からの脱落を防止するようになっている(
図9参照)。
【0026】
上記脱落防止装置27は、例えば流体圧シリンダからなる駆動装置29を備え、該駆動装置29にはロッド31の一端が連結され、該ロッド31の他端には脱落防止ブロック33が連結されて、上記駆動装置29が脱落防止ブロック33に連結されている。また、上記ロッド31には、付勢部材としてのコイルスプリング35が縮装され、該コイルスプリング35により上記脱落防止ブロック33を型開閉方向と直交するキャビティ5a内方に進出付勢している(
図5参照)。なお、上記駆動装置29は電磁弁で駆動するタイプであってもよい。
【0027】
上記脱落防止ブロック33の先端は、断面鋭角に形成され、先端面に型開閉方向に対して傾斜した傾斜摺接面33aが上記各可動型7,17の傾斜摺接面7bに対応して形成されている。
【0028】
そして、上記脱落防止ブロック33は、型締め動作に伴い移動する上記各可動型7,17との接触により上記コイルスプリング35のバネ力に抗して後退させられる(
図7,8参照)一方、成形後に樹脂製窓Pを回転型5から脱型する際、上記駆動装置29の駆動力により上記コイルスプリング35のバネ力に抗して後退させられるようになっている(
図10参照)。また、型締め工程で、上記両傾斜摺接面7b,33aが上記脱落防止ブロック33の先端よりも互いに先当たりして該脱落防止ブロック33を上記コイルスプリング35のバネ力に抗して後退させ(
図6参照)、脱落防止ブロック33の先端が可動型7の上記摺接部7d,可動型17の突条部17eに接触しないようにしている(
図7参照)。
【0029】
この回転2色射出成形装置1では、
図7に示す型締め工程から
図8に示すように樹脂パネル成形用可動型7をさらに進出させて型締めして、上記回転型5及び樹脂パネル成形用可動型7の摺接部5b,7dを型開閉方向に互いに摺接させる。つまり、樹脂パネルP1成形時、上記樹脂パネル成形用可動型7の型締め位置が樹脂充填位置(
図7参照)と、該樹脂充填位置からキャビティ容積を型開閉方向に狭める樹脂圧縮位置(
図8参照)とに移動するようになっていて、これにより、成形された樹脂パネルP1の内部応力を全体に亘って均一にすることができる。
【0030】
次に、上述の如く構成された回転2色射出成形装置1を用いて樹脂製窓Pを射出成形する要領について説明する。なお、以下の括弧付き符号は成形工程の順番を示す。
【0031】
(1)
図1の右側は樹脂パネル成形準備工程を、
図1の左側は枠部成形準備工程をそれぞれ示す。各可動型7,17は共に後退して型開き状態にあり、各回転型5の脱落防止装置27の脱落防止ブロック33は共に進出している。
図1の右側の回転型5では、前工程で射出成形された樹脂製窓Pが脱型された状態であり、
図1の左側の回転型5では、樹脂パネルP1が前工程で射出成形され、樹脂パネルP1が回転型5からの脱落を脱落防止ブロック33で防止されて回転型5のキャビティ5aに保持されている。
【0032】
(2)
図2の右側は樹脂パネル成形用樹脂の射出工程を、
図2の左側は枠部成形用樹脂の射出工程をそれぞれ示す。各可動型7,17は共に進出して型締め状態にある。
【0033】
図2の右側において、
図1の工程から
図2の工程に移行する過程(型締め工程)で、可動型7が
図5に示すように回転型5に接近し、さらに、可動型7の傾斜摺接面7bと脱落防止ブロック33の傾斜摺接面33aとが
図6に示すように互いに摺接する。
【0034】
この間、上記両傾斜摺接面7b,33aが上記脱落防止ブロック33の先端よりも互いに先当たりして該脱落防止ブロック33をコイルスプリング35のバネ力に抗して後退させ、脱落防止ブロック33の先端が
図7に示すように可動型7の摺接部7dに接触しない。これにより、可動型7の摺接部7dの磨耗を防止して耐久性を高めることができるとともに、バリの発生を防止することができる。また、脱落防止ブロック33を可動型7の型締め動作に追従して後退させるので、簡素な構造の脱落防止ブロック33とすることができる。
【0035】
図2の左側においても右側と同様に、型締め工程において上記両傾斜摺接面17b,33aが上記脱落防止ブロック33の先端よりも互いに先当たりして該脱落防止ブロック33をコイルスプリング35のバネ力に抗して後退させ、脱落防止ブロック33の先端が可動型17の突条部17eに接触しない。
【0036】
図2の右側では、樹脂パネル成形用樹脂R1がノズル13からホットランナー11、バルブゲート15を経てキャビティ5aに射出されているが、
図2の左側では、枠部成形用樹脂R2はまだ枠部成形用凹部17aに射出されていない。
【0037】
(3)
図3の右側は樹脂パネル成形工程を、
図3の左側は枠部成形工程をそれぞれ示す。
図3の右側では、可動型7は型締め位置が
図7の樹脂充填位置から
図8の樹脂圧縮位置まで移動する圧縮工程を経て樹脂パネルP1が成形された状態である。
図7の工程から
図8の工程に移行する過程で、可動型7がさらに進出してキャビティ容積を型開閉方向に狭める。これにより、成形された樹脂パネルP1の内部応力を全体に亘って均一にすることができ、応力歪みが発生せず、ハードコート後にクラックの発生のない優れた表面性状の樹脂パネルP1とすることができる。この際の圧縮の一例としては、樹脂パネルP1の材質や厚みにもよるが、概ね 0.3mmから1.5mm程度である。
【0038】
また、脱落防止ブロック33が
図7の状態からさらに後退し、回転型5の摺接部5bと可動型7の摺接部7dとが摺接するとともに、可動型7の切欠面7cが回転型5の摺動面5cに当接し、キャビティ5aの周縁部をシールしている。
【0039】
さらに、この型締め状態で、断面鋭角な脱落防止ブロック33の先端が、キャビティ5a間近に接近しているので、可動型7,17を後退させた回転型5反転時に、
図9に示すように、脱落防止ブロック33の進出を迅速に行わせて樹脂パネルP1の支持態勢を確実に整えることができる。
【0040】
一方、
図3の左側では、枠部成形用樹脂R2がノズル23からホットランナー21、バルブゲート25を経て枠部成形用凹部17aに射出され、枠部P2が成形されている。
【0041】
(4)
図4の右側は樹脂パネル成形後の型開き工程を、
図4の左側は枠部成形後の型開き工程をそれぞれ示し、
図4の右側の回転型5では、脱落防止ブロック33は
図9に示すように可動型7と離間してコイルスプリング35のバネ力で進出している。また、樹脂パネルP1の収縮により、樹脂パネルP1端面とキャビティ5a側面(摺接部5b)との間に隙間Cが形成されている。
【0042】
一方、
図4の左側の回転型5では、脱落防止ブロック33は
図10に示すように駆動装置29の駆動によりコイルスプリング35のバネ力に抗して後退し、成形された樹脂製窓Pの脱型態勢を整えている。
【0043】
(5)上記(4)の工程後は、
図4の左側の回転型5では、樹脂製窓Pを脱型工具で吸着保持して回転型5から脱型し、両回転型5を回転軸3aを中心に反転させて
図1の工程に戻る。
【0044】
この反転の際、回転型5の遠心力が樹脂パネルP1に作用するが、樹脂パネルP1の周縁部を脱落防止ブロック33でキャビティ5a開放側から押さえているので、回転型5の遠心力を脱落防止ブロック33で受け止めて樹脂パネルP1を回転型5から脱落しないようにすることがでる。
【0045】
樹脂パネルP1は、
図11に示すように、脱型後にハードコート剤が両面にコーティングされてハードコート層P3が形成されるが、特許文献1の如き位置決めピンを用いないので、外観を損ねるピン孔がなく、見栄えを向上させることができるとともに、ハードコート剤がピン孔に溜まる事態が生じず、均一な厚みのハードコート層P3を形成することができる。また、ピン孔があることにより他の箇所と断面形状が異なることに起因する応力歪みや、ハードコート剤がピン孔に溜まることによるクラック発生も解消することができる。
【0046】
以降、上述した工程を繰り返すことで、両回転型5で樹脂製窓Pの射出成形を連続して行う。
【0047】
なお、上記の実施形態では、樹脂製窓Pが矩形状である場合を例示したが、これに限らず、用途・目的に応じて適宜な形状のものを適用することができる。また、脱落防止装置27の設置個所も樹脂製窓Pの形状に応じて適宜変更設定することができる。