特許第6183979号(P6183979)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6183979アリピプラゾール無水物を含有する固形製剤の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6183979
(24)【登録日】2017年8月4日
(45)【発行日】2017年8月23日
(54)【発明の名称】アリピプラゾール無水物を含有する固形製剤の製造方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/496 20060101AFI20170814BHJP
   A61P 25/18 20060101ALI20170814BHJP
   A61K 9/20 20060101ALI20170814BHJP
   A61K 9/16 20060101ALI20170814BHJP
   A61K 47/38 20060101ALI20170814BHJP
   A61K 47/10 20060101ALI20170814BHJP
   A61K 47/26 20060101ALI20170814BHJP
   A61K 47/36 20060101ALI20170814BHJP
【FI】
   A61K31/496
   A61P25/18
   A61K9/20
   A61K9/16
   A61K47/38
   A61K47/10
   A61K47/26
   A61K47/36
【請求項の数】4
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2016-177306(P2016-177306)
(22)【出願日】2016年9月12日
(62)【分割の表示】特願2013-244646(P2013-244646)の分割
【原出願日】2013年11月27日
(65)【公開番号】特開2016-204393(P2016-204393A)
(43)【公開日】2016年12月8日
【審査請求日】2016年9月12日
(31)【優先権主張番号】特願2012-263119(P2012-263119)
(32)【優先日】2012年11月30日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】593030071
【氏名又は名称】大原薬品工業株式会社
(72)【発明者】
【氏名】東郷 太一郎
(72)【発明者】
【氏名】藤井 利文
【審査官】 伊藤 清子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−212852(JP,A)
【文献】 特開2009−057331(JP,A)
【文献】 国際公開第2004/089344(WO,A1)
【文献】 国際公開第02/024166(WO,A1)
【文献】 特表2005−503366(JP,A)
【文献】 特表2008−531737(JP,A)
【文献】 特表2010−535151(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 31/496
A61K 9/16
A61K 9/20
A61K 47/10
A61K 47/26
A61K 47/36
A61K 47/38
A61P 25/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アリピプラゾール粉末を水溶性高分子水溶液水に懸濁させた懸濁液を粉末賦形剤に噴霧して湿式造粒する固形製剤の製造方法。
【請求項2】
アリピプラゾール無水物粉末を水溶性高分子水溶液水に懸濁させた懸濁液を、流動状態にある粉末賦形剤に噴霧して、湿式造粒する固形製剤の製造方法。
【請求項3】
アリピプラゾール粉末が、メディアン径0.01〜50μmに粉砕したものである請求項1又は2に記載の固形製剤の製造方法。
【請求項4】
懸濁液が中性又は弱アルカリ性である請求項1〜3のいずれかに記載の固形製剤の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、統合失調症の治療薬として有用なアリピプラゾール(日本医薬品一般名称)すなわち7−{4−[4−(2,3−ジクロロフェニル)−1−ピペラジニル]ブトキシ}−3,4−ジヒドロカルボスチリル又は7−{4−[4−(2,3−ジクロロフェニル)−1−ピペラジニル]ブトキシ}−3,4−ジヒドロ−2(1H)−キノリノンの無水物を含有する固形製剤に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には「アリピプラゾール無水物結晶は湿気に曝されると、水分を帯びてアリピプラゾール水和物に変化し、このことが幾つかの欠点を示す」旨記載されている。その欠点として「第一にアリピプラゾール水和物は、アリピプラゾール無水物に比べ生体利用度が低く溶出性が低いという欠点を有する。第二に、アリピプラゾール無水物に対するアリピプラゾール水和物のバッチ間の変動は、薬物管理機関が定めた規格を満たさない可能性がある。第三に、粉砕によって薬物すなわちアリピプラゾール無水物が製造装置に付着することがあり、更にこの結果、処理の遅れ、オペレーター関与の増加、コストの増大、維持費の増大及び生産性の低下につながり得る。第四に、これらの吸湿性無水物を処理する間に水分の導入が引き起こす問題のほかに、保存及び取り扱い時に吸湿する可能性は、アリピプラゾール薬物の溶出性に悪影響を与える。従って、製品の保存安定性は著しく低下し、及び/又は包装コストが著しく増加し得る」と記載されている。
そして、錠剤の製造工程の途中で2度の乾工程を加えると、アリピプラゾールの水和物が吸湿性の低い無水物に変化し、製造した錠剤を長期保存してもその溶出性が低下しないことが開示されている。
特許文献2には、アリピプラゾール医薬組成物を湿式造粒法により製造する際、製造工程中の乾燥温度を70℃未満で乾燥することにより速やかな溶出性を示す錠剤が得られることが開示されている。
また、特許文献3には、アリピプラゾールと稀釈剤、結合剤、崩壊剤との混合物をアリピプラゾールと稀釈剤、結合剤を水の存在下に混合し、湿潤顆粒としての顆粒を70℃未満の温度で乾燥した後、一定の条件下で乾式圧縮するとアリピプラゾールの結晶多形相互転換を防止できることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4614870号公報
【特許文献2】特許第4875001号公報
【特許文献3】特表2008−531738号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の課題は、アリピプラゾールを含有する固形製剤であって、長期保存においても溶出速度の低下を抑制した固形製剤を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
アリピプラゾールと乳糖水和物やトウモロコシデンプン等の汎用されている製剤添加剤をいずれも粉末で仕込み、湿式造粒法により顆粒を製造し、ステアリン酸マグネシウムと共に混合、打錠して得た錠剤について苛酷試験(40℃、相対湿度75%、ガラス瓶開放)を行ったところ、1週間保存後において著しい溶出遅延が認められた。
一方で、アリピプラゾールを水溶性高分子水溶液に懸濁させ、添加剤と共に湿式造粒法により顆粒を製造し、ステアリン酸マグネシウムと共に混合、打錠して得た錠剤について苛酷試験(40℃、相対湿度75%、ガラス瓶開放、1週間保存)をしたところ、溶出遅延が殆ど認められないことが判明した。この知見を基にさらに検討を加え、本発明を完成するに到った。
【0006】
すなわち、本発明は、下記(1)〜(6)の固形製剤を提供することにある。
(1)アリピプラゾール無水物粉末を水溶性高分子水溶液水に懸濁させた懸濁液を、流動状態にある粉末賦形剤に噴霧して、湿式造粒する固形製剤の製造方法。
(2)懸濁液が、中性又は弱アルカリ性である(1)に記載の固形製剤の製造方法。
(3)水溶性高分子がヒプロメロース、ヒドロキシプロピルセルロース、及びメチルセルロースからなる群から選ばれた(1)または(2)記載の固形製剤の製造方法。
(4)水溶性高分子が固形製剤全重量の0.5〜10重量%を占める(1)〜(3)のいずれかに記載の固形製剤の製造方法。
(5)賦形剤がD‐マンニトール、エリスリトール及び乳糖水和物、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、デンプン類、結晶セルロースからなる群から選ばれた1種または2種以上であり、固形製剤全重量の45〜95重量%占める(1)〜(4)のいずれかに記載の固形製剤の製造方法。
(6)アリピプラゾール無水物が固形製剤全重量の0.5〜10重量%占める(1)〜(5)のいずれかに記載の固形製剤の製造方法。
(7)(1)〜(6)のいずれかの方法で記載された粒状固形製剤を滑沢剤と共に圧縮打錠する錠剤の製造方法。
【0007】
本発明によれば、アリピプラゾール無水物は水と接触することにより、次第に溶出遅延の原因となる水和物に容易に変化するにもかかわらず、造粒時にアリピプラゾール無水物を水溶性高分子水溶液に懸濁して、流動状態にある賦形剤等に噴霧し、造粒製剤化することにより、アリピプラゾールの溶出速度の遅延が抑制され、長期保存後も一定の品質を保持した粒状製剤とすることができる。
【0008】
本発明に係るアリピプラゾール無水物を含有する粒状固形製剤は、湿式造粒法、例えば流動層造粒法や撹拌造粒法等により製造することができる。すなわち、アリピプラゾール無水物を水溶性高分子の水溶液に懸濁させ、賦形剤及び必要により崩壊剤と共に常法により噴霧造粒し、粒状固形製剤とすることができる。
流動層造粒法においては、供給する空気の温度は75〜95℃、好ましくは80〜90℃であり、噴霧終了後も排気温度が30〜60℃到達時、好ましくは35〜50℃到達時まで乾燥するのが好ましい。
得られた粒状固形製剤に滑沢剤などを加え、常法により打錠機で打錠すれば錠剤とすることができる。
【0009】
本発明に用いるアリピプラゾール無水物の結晶形は問わない。このアリピプラゾール無水物の粉末は、メディアン径が0.01〜50μm、好ましくは0.5〜30μmに粉砕したものを用いるのがよい。
【0010】
本発明において用いることのできる水溶性高分子の「水溶性」とは、第16改正日本薬局方の通則による「溶けやすい」および「極めて溶けやすい」に属する物質である。特に水に溶解した場合、中性〜弱アルカリ性、好ましくは中性を示すものがよい。例としては、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒプロメロース、メチルセルロース等のセルロース誘導体があげられ、特にヒドロキシプロピルセルロースが好ましい。また、錠剤にした場合、水溶性高分子の1錠中の好ましい添加量は0.1〜20重量%であり、より好ましくは0.5〜10重量%である。
【0011】
本発明において噴霧液を噴霧される対象の賦形剤はD−マンニトール、乳糖水和物、無水乳糖、エリスリトール、トレハロース、キシリトール、ソルビトール等の糖類の粉末が挙げられ、その中でもD−マンニトール、乳糖水和物及びエリスリトールが好ましく、特に好ましいのはD−マンニトールである。また、錠剤にした場合、賦形剤の1錠中の好ましい配合量は20〜95重量%であり、より好ましくは45〜95重量%である。
【0012】
本発明において用いることのできる崩壊剤としては、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、アルファー化デンプン、部分アルファー化デンプン、クロスポピドン等があげられ、特に低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、部分アルファー化デンプン及びクロスポピドンが好ましい。また、錠剤にした場合、崩壊剤の1錠中の好ましい配合量は0.1〜60重量%であり、より好ましくは0.5〜50重量%である。
【0013】
本発明において使用される滑沢剤は特に限定されることなく、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸、ショ糖脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、タルク等を用いることができる。
【0014】
また、本発明は、錠剤の識別性を目的としてアルミニウムレーキ色素、三二酸化鉄、黄色三二酸化鉄、酸化チタン等の着色剤を使用することもあり、顆粒内への添加や混合工程で添加してもよい。
【0015】
本発明の具体的な製造法としては、たとえば、流動層造粒機内にD−マンニトール粉末などの粉末状賦形剤を浮遊流動状態におき、これに水溶性高分子結合剤溶液にアリピプラゾール無水物を懸濁させた懸濁液を噴霧して湿式造粒する固形製造の方法が挙げられる。得られた造粒物は、そのまま顆粒剤としても良いが、さらに必要により滑沢剤や崩壊剤等の粉末と共に、通常の打錠を施せば本発明の湿気により溶出率低下の少ないアリピプラゾール錠剤が得られる。本発明のアリピプラゾール無水物の湿気による溶出率の低下の防止は、流動層造粒機における水性高分子結合剤の溶液に微細粉末として懸濁状態におかれた主薬を含む噴霧液が流動状態にある粉末に付着して粒子を形成させる際、アリピプラゾール無水物の個々の微粒子を水性高分子結合剤で完全に被覆している結果、造粒後にその被膜が湿気のアリピプラゾール無水物の表面に接触するのを阻止するものと考えられる。
本発明で得られる顆粒や錠剤に消化管内での崩壊性を高めるため、流動化粉末や打錠混合物中に低置換度ヒドロキシプロピルセルロースやクロスポピドンを配合することができる。一方、アリピプラゾール無水物粉末を流動化層に配合し、その流動化粉末に水性高分子剤の溶液を噴霧した場合は、アリピプラゾール無水物表面における結合剤の被覆が充分ではなく、造粒、製剤化後のアリピプラゾールの溶出率の低下につながると考えられる。
【0016】
本発明においては必要に応じてアスパルテーム等の甘味剤、L−メントール等の矯味剤、香料等を添加しても良い。
【発明の効果】
【0017】
多くの粉末、顆粒、錠剤等の固形製剤は、気密性の高いガラス瓶に封入されて保存されているが、一旦開封されれば、一日に複数回開栓され大気中の湿気に曝されることになる。湿気により分解したり、変化して消化管内での溶出率が低下する薬物にとってはこの問題は重大である。
アリピプラゾール無水物は消化管内での溶出は比較的速く、体内への吸収率も高いが、湿気に曝されると水を吸収して水和物に変化する。この水和物は消化管での溶出率が低く、体内吸収率も低下する。
本発明で製造された顆粒や錠剤は、湿気のアリピプラゾール無水物への接触を極力防止し、固体製剤の密封容器からの開封後も消化管内での溶出率の低下が抑制されたアリピプラゾール製剤を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】実施例12の錠剤について、室温下ガラス瓶密栓保存した錠剤と、温度40℃、相対湿度75%で1ヶ月保存した後の錠剤につき行なった溶出試験の結果(溶出率)を経時的に折れ線グラフで示したものである。
図2】実施例13の錠剤について、図1の場合と同様に折れ線グラフで示したものである。
図3】実施例14の錠剤について、図1の場合と同様に折れ線グラフで示したものである。
図4】実施例15の錠剤について、図1の場合と同様に折れ線グラフで示したものである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に実施例、比較例、試験例等を示し、本発明を具体的に説明する。
【実施例1】
【0020】
D−マンニトール772.5g(マンニット−P/三菱商事フードテック製)を流動層造粒機(MP−01型/パウレック製)に投入し、ヒドロキシプロピルセルロース20g(HPC−L/日本曹達製)を精製水265gに溶解した液にアリピプラゾール60g(メディアン径9μm、TEVA製)を分散した液を噴霧し、給気温度85℃で造粒した。引き続き給気温度85℃で排気温度が40℃になるまで乾燥した後、網目24meshのステンレス製篩で篩過した。得られた整粒品170.5gをステアリン酸マグネシウム1.5g(太平化学産業製)と共に混合し、ロータリー式打錠機(クリーンプレスコレクト19K/菊水製作所製)にて、打錠し1錠質量172mg、直径8mmの素錠を得た。
【実施例2】
【0021】
D−マンニトール772.5g(マンニット−P/三菱商事フードテック製)を流動層造粒機(MP−01型/パウレック製)に投入し、ヒドロキシプロピルセルロース20g(HPC−L/日本曹達製)を精製水265gに溶解した液にアリピプラゾール60g(メディアン径9μm、TEVA製)を分散した液を噴霧し、給気温度85℃で造粒した。引き続き給気温度85℃で排気温度が40℃になるまで乾燥した後、網目24meshのステンレス製篩で篩過した。得られた整粒品170.5gを低置換度ヒドロキシプロピルセルロース(NBD−022/信越化学工業製)8g及びステアリン酸マグネシウム1.5g(太平化学産業製)と共に混合し、ロータリー式打錠機(クリーンプレスコレクト19K/菊水製作所製)にて、打錠し1錠質量180mg、直径8mmの素錠を得た。
【実施例3】
【0022】
D−マンニトール772.5g(マンニット−P/三菱商事フードテック製)を流動層造粒機(MP−01型/パウレック製)に投入し、ヒドロキシプロピルセルロース20g(HPC−L/日本曹達製)を精製水265gに溶解した液にアリピプラゾール60g(メディアン径9μm、TEVA製)を分散した液を噴霧し、給気温度85℃で造粒した。引き続き給気温度85℃で排気温度が40℃になるまで乾燥した後、網目24meshのステンレス製篩で篩過した。得られた整粒品170.5gを低置換度ヒドロキシプロピルセルロース(NBD−022/信越化学工業製)20g及びステアリン酸マグネシウム1.5g(太平化学産業製)と共に混合し、ロータリー式打錠機(クリーンプレスコレクト19K/菊水製作所製)にて、打錠し1錠質量192mg、直径8mmの素錠を得た。
【実施例4】
【0023】
D−マンニトール772.5g(マンニット−P/三菱商事フードテック製)を流動層造粒機(MP−01型/パウレック製)に投入し、ヒドロキシプロピルセルロース20g(HPC−L/日本曹達製)を精製水265gに溶解した液にアリピプラゾール60g(メディアン径9μm、TEVA製)を分散した液を噴霧し、給気温度85℃で造粒した。引き続き給気温度85℃で排気温度が40℃になるまで乾燥した後、網目24meshのステンレス製篩で篩過した。得られた整粒品170.5gを低置換度ヒドロキシプロピルセルロース(NBD−022/信越化学工業製)20g及びステアリン酸マグネシウム1.5g(太平化学産業製)と共に混合し、ロータリー式打錠機(クリーンプレスコレクト19K/菊水製作所製)にて、打錠し1錠質量217mg、直径8mmの素錠を得た。
【実施例5】
【0024】
D−マンニトール772.5g(マンニット−P/三菱商事フードテック製)を流動層造粒機(MP−01型/パウレック製)に投入し、ヒプロメロース20g(TC−5E/信越化学工業製)を精製水265gに溶解した液にアリピプラゾール60g(メディアン径9μm、TEVA製)を分散した液を噴霧し、給気温度85℃で造粒した。引き続き給気温度85℃で排気温度が40℃になるまで乾燥した後、網目24meshのステンレス製篩で篩過した。得られた整粒品170.5gを低置換度ヒドロキシプロピルセルロース(NBD−022/信越化学工業製)8g及びステアリン酸マグネシウム1.5g(太平化学産業製)と共に混合し、ロータリー式打錠機(クリーンプレスコレクト19K/菊水製作所製)にて、打錠し1錠質量180mg、直径8mmの素錠を得た。
【実施例6】
【0025】
乳糖水和物772.5g(ダイラクトーズS/フロイント産業製)を流動層造粒機(MP−01型/パウレック製)に投入し、ヒドロキシプロピルセルロース20g(HPC−L/日本曹達製)を精製水265gに溶解した液にアリピプラゾール60g(メディアン径9μm/TEVA製)を分散した液を噴霧し、給気温度85℃で造粒した。引き続き給気温度85℃で排気温度が40℃になるまで乾燥した後、網目24meshのステンレス製篩で篩過した。得られた整粒品170.5gを低置換度ヒドロキシプロピルセルロース(NBD−022/信越化学工業製)8g及びステアリン酸マグネシウム1.5g(太平化学産業製)と共に混合し、ロータリー式打錠機(クリーンプレスコレクト19K/菊水製作所製)にて、打錠し1錠質量180mg、直径8mmの素錠を得た。
【実施例7】
【0026】
D−マンニトール772.5g(マンニット−P/三菱商事フードテック製)及び低置換度ヒドロキシプロピルセルロース40g(NBD−022/信越化学工業製)を流動層造粒機(MP−01型/パウレック製)に投入し、ヒドロキシプロピルセルロース20g(HPC−L/日本曹達製)を精製水265gに溶解した液にアリピプラゾール60g(メディアン径9μm/TEVA製)を分散した液を噴霧し、給気温度85℃で造粒した。引き続き給気温度85℃で排気温度が40℃になるまで乾燥した後、網目24meshのステンレス製篩で篩過した。得られた整粒品178.5gをステアリン酸マグネシウム1.5g(太平化学産業製)と共に混合し、ロータリー式打錠機(クリーンプレスコレクト19K/菊水製作所製)にて、打錠し1錠質量180mg、直径8mmの素錠を得た。
【実施例8】
【0027】
D−マンニトール742.5g(マンニット−P/三菱商事フードテック製)及び低置換度ヒドロキシプロピルセルロース40g(NBD−022/信越化学工業製)を流動層造粒機(MP−01型/パウレック製)に投入し、ヒドロキシプロピルセルロース40g(HPC−L/日本曹達製)を精製水530gに溶解した液にアリピプラゾール60g(メディアン径9μm/TEVA製)を分散した液を噴霧し、給気温度85℃で造粒した。引き続き給気温度85℃で排気温度が40℃になるまで乾燥した後、網目24meshのステンレス製篩で篩過した。得られた整粒品178.5gをステアリン酸マグネシウム1.5g(太平化学産業製)と共に混合し、ロータリー式打錠機(クリーンプレスコレクト19K/菊水製作所製)にて、打錠し1錠質量180mg、直径8mmの素錠を得た。
【実施例9】
【0028】
D−マンニトール513.5g(マンニット−P/三菱商事フードテック製)及び低置換度ヒドロキシプロピルセルロース310g(NBD−022/信越化学工業製)を流動層造粒機(MP−01型/パウレック製)に投入し、ヒドロキシプロピルセルロース9g(HPC−L/日本曹達製)を精製水171gに溶解した液にアリピプラゾール60g(メディアン径9μm/TEVA製)を分散した液を噴霧し、給気温度85℃で造粒した。引き続き給気温度85℃で排気温度が40℃になるまで乾燥した後、網目24meshのステンレス製篩で篩過した。得られた整粒品178.5gをステアリン酸マグネシウム1.5g(太平化学産業製)と共に混合し、ロータリー式打錠機(クリーンプレスコレクト19K/菊水製作所製)にて、打錠し1錠質量180mg、直径8mm、口腔内崩壊時間36秒の口腔内崩壊錠を得た。
【実施例10】
【0029】
D−マンニトール513.5g(マンニット−P/三菱商事フードテック製)及び低置換度ヒドロキシプロピルセルロース310g(NBD−022/信越化学工業製)を流動層造粒機(MP−01型/パウレック製)に投入し、ヒドロキシプロピルセルロース9g(HPC−L/日本曹達製)を精製水171gに溶解した液にアリピプラゾール60g(メディアン径9μm/TEVA製)を分散した液を噴霧し、給気温度85℃で造粒した。引き続き給気温度85℃で排気温度が40℃になるまで乾燥した後、網目24meshのステンレス製篩で篩過した。得られた整粒品178.5gをクロスポピドン8g(CL−SF/BASF製)ステアリン酸マグネシウム1.5g(太平化学産業製)と共に混合し、ロータリー式打錠機(クリーンプレスコレクト19K/菊水製作所製)にて、打錠し1錠質量188mg、直径8mm、口腔内崩壊時間31秒の口腔内崩壊錠を得た。
【実施例11】
【0030】
D−マンニトール443.5g(マンニット−P/三菱商事フードテック製)及び低置換度ヒドロキシプロピルセルロース380g(NBD−022/信越化学工業製)を流動層造粒機(MP−01型/パウレック製)に投入し、ヒドロキシプロピルセルロース9g(HPC−L/日本曹達製)を精製水171gに溶解した液にアリピプラゾール60g(メディアン径9μm/TEVA製)を分散した液を噴霧し、給気温度85℃で造粒した。引き続き給気温度85℃で排気温度が40℃になるまで乾燥した後、網目24meshのステンレス製篩で篩過した。得られた整粒品178.5gをクロスポピドン8g(CL−SF/BASF製)ステアリン酸マグネシウム1.5g(太平化学産業製)と共に混合し、ロータリー式打錠機(クリーンプレスコレクト19K/菊水製作所製)にて、打錠し1錠質量188mg、直径8mm、口腔内崩壊時間35秒の口腔内崩壊錠を得た。
【0031】
〔比較例1〕
アリピプラゾール60g(メディアン径9μm、TEVA製)、乳糖水和物572.5g(200M/DFEpharma製)、トウモロコシデンプン100g(日食コーンスターチ/日本食品加工製)及び結晶セルロース100g(セオラスPH−101/旭化成ケミカルズ製)を流動層造粒機(MP−01型/パウレック製)に投入し、ヒドロキシプロピルセルロース20g(HPC−L/日本曹達製)を精製水265gに溶解した液を噴霧し、給気温度85℃で造粒した。引き続き給気温度85℃で排気温度が40℃になるまで乾燥した後、網目24meshのステンレス製篩で篩過した。得られた整粒品170.5gを結晶セルロース(セオラスPH−101/旭化成ケミカルズ製)8g及びステアリン酸マグネシウム1.5g(太平化学産業製)と共に混合し、ロータリー式打錠機(クリーンプレスコレクト19K/菊水製作所製)にて、打錠し1錠質量180mg、直径8mmの素錠を得た。
【0032】
〔比較例2〕
アリピプラゾール60g(メディアン径9μm/TEVA製)、乳糖水和物525g(200M/DFEpharma製)及びトウモロコシデンプン247.5g(日食コーンスターチ/日本食品加工製)を流動層造粒機(MP−01型/パウレック製)に投入し、ヒドロキシプロピルセルロース20g(HPC−L/日本曹達製)を精製水265gに溶解した液を噴霧し、給気温度85℃で造粒した。引き続き給気温度85℃で排気温度が40℃になるまで乾燥した後、網目24meshのステンレス製篩で篩過した。得られた整粒品170.5gを結晶セルロース(セオラスPH−101/旭化成ケミカルズ製)8g及びステアリン酸マグネシウム1.5g(太平化学産業製)と共に混合し、ロータリー式打錠機(クリーンプレスコレクト19K/菊水製作所製)にて、打錠し1錠質量180mg、直径8mmの素錠を得た。
【0033】
〔比較例3〕
アリピプラゾール60g(メディアン径9μm/TEVA製)及びD-マンニトール772.5g(マンニット−P/三菱商事フードテック製)を流動層造粒機(MP−01型/パウレック製)に投入し、ヒドロキシプロピルセルロース20g(HPC−L/日本曹達製)を精製水265gに溶解した液を噴霧し、給気温度85℃で造粒した。引き続き給気温度85℃で排気温度が40℃になるまで乾燥した後、網目24meshのステンレス製篩で篩過した。得られた整粒品170.5gをステアリン酸マグネシウム1.5g(太平化学産業製)と共に混合し、ロータリー式打錠機(クリーンプレスコレクト19K/菊水製作所製)にて、打錠し1錠質量172mg、直径8mmの素錠を得た。
【0034】
〔比較例4〕
アリピプラゾール60g(メディアン径9μm/TEVA製)及びD−マンニトール772.5g(マンニット−P/三菱商事フードテック製)を流動層造粒機(MP−01型/パウレック製)に投入し、ヒドロキシプロピルセルロース20g(HPC−L/日本曹達製)を精製水265gに溶解した液を噴霧し、給気温度85℃で造粒した。引き続き給気温度85℃で排気温度が40℃になるまで乾燥した後、網目24meshのステンレス製篩で篩過した。得られた整粒品170.5gを低置換度ヒドロキシプロピルセルロース(NBD−022/信越化学工業製)8g及びステアリン酸マグネシウム1.5g(太平化学産業製)と共に混合し、ロータリー式打錠機(クリーンプレスコレクト19K/菊水製作所製)にて、打錠し1錠質量180mg、直径8mmの素錠を得た。
【0035】
[溶出試験1]
実施例1〜11及び比較例1〜4で得た錠剤について、室温下ガラス瓶密栓保存(通常保存)した錠剤と、温度40℃、相対湿度75%(過酷条件保存)で7日保存した後の錠剤について、第16改正日本薬局方・一般試験法の溶出試験法により試験開始60分後の溶出率を求め、結果を表1に示した。
使用した装置:溶出試験機/NTR−6100型(富山産業製)
紫外線吸光光度計/UV−1600型(島津製作所製)
測定条件:試験液:pH5.0酢酸緩衝液
試験液量:900mL
パドル回転数:75rpm
液温:37℃
測定波長:216nm及び325nm
【0036】
【表1】
表1から、本発明に係る実施例1〜11の錠剤における開始時の溶出率はいずれも90%以上と速やかであり、また苛酷条件保存試験後もほとんど溶出率が低下していない(低下率は4%以下)ことが判明した。一方で比較例1〜4は開始時の溶出率は速やかであるものの、苛酷条件保存試験後は著しく溶出性が低下した(低下率は8%以上)。
【実施例12】
【0037】
D−マンニトール936g(グラニュトールS/フロイント産業製)及び低置換度ヒドロキシプロピルセルロース54g(NBD−020/信越化学工業製)を流動層造粒機(MP−01型/パウレック製)に投入し、ヒドロキシプロピルセルロース6g(HPC−L/日本曹達製)、ヒプロメロース24g(TC−5(E)/信越化学工業製)及び青色2号アルミニウムレーキ(三栄原エフ・エフ・アイ製)を精製水552gに溶解・懸濁した液にアリピプラゾール36g(メディアン径9μm/TEVA製)を分散した液を噴霧し給気温度85℃で造粒した。引き続き給気温度85℃で排気温度が40℃になるまで乾燥した後、網目24meshのステンレス製篩で篩過した。得られた整粒品88gをケイ酸カルシウム1g(フローライトRE/エーザイ・フードケミカル製)及びステアリン酸マグネシウム1g(太平化学産業製)と共に混合し、ロータリー式打錠機(クリーンプレスコレクト19K/菊水製作所製)にて、打錠し1錠質量90mg、直径6mmの素錠を得た。
【実施例13】
【0038】
D−マンニトール972.9g(グラニュトールS/フロイント産業製)及び低置換度ヒドロキシプロピルセルロース54g(NBD−020/信越化学工業製)を流動層造粒機(MP−01型/パウレック製)に投入し、ヒドロキシプロピルセルロース4.5g(HPC−L/日本曹達製)及びヒプロメロース27g(TC−5(E)/信越化学工業製)を精製水603gに溶解・懸濁した液にアリピプラゾール54g(メディアン径9μm/TEVA製)を分散した液を噴霧し給気温度85℃で造粒した。引き続き給気温度85℃で排気温度が40℃になるまで乾燥した後、網目24meshのステンレス製篩で篩過した。得られた整粒品233.6gをステアリン酸マグネシウム1.4g(太平化学産業製)と共に混合し、ロータリー式打錠機(クリーンプレスコレクト19K/菊水製作所製)にて、打錠し1錠質量125mg、直径7mmの素錠を得た。
【実施例14】
【0039】
D−マンニトール1001g(グラニュトールS/フロイント産業製)及び低置換度ヒドロキシプロピルセルロース56g(NBD−020/信越化学工業製)を流動層造粒機(MP−01型/パウレック製)に投入し、ヒドロキシプロピルセルロース7g(HPC−L/日本曹達製)、ヒプロメロース28g(TC−5(E)/信越化学工業製)及び黄色三二酸化鉄1.05g(癸巳化成製)を精製水665gに溶解・懸濁した液にアリピプラゾール84g(メディアン径9μm/TEVA製)を分散した液を噴霧し給気温度85℃で造粒した。引き続き給気温度85℃で排気温度が40℃になるまで乾燥した後、網目24meshのステンレス製篩で篩過した。得られた整粒品168gをステアリン酸マグネシウム2g(太平化学産業製)と共に混合し、ロータリー式打錠機(クリーンプレスコレクト19K/菊水製作所製)にて、打錠し1錠質量170mg、直径8mmの素錠を得た。
【実施例15】
【0040】
D−マンニトール1001g(グラニュトールS/フロイント産業製)及び低置換度ヒドロキシプロピルセルロース56g(NBD−020/信越化学工業製)を流動層造粒機(MP−01型/パウレック製)に投入し、ヒドロキシプロピルセルロース7g(HPC−L/日本曹達製)、ヒプロメロース28g(TC−5(E)/信越化学工業製)及び三二酸化鉄0.18g(癸巳化成製)を精製水665gに溶解・懸濁した液にアリピプラゾール84g(メディアン径9μm/TEVA製)を分散した液を噴霧し給気温度85℃で造粒した。引き続き給気温度85℃で排気温度が40℃になるまで乾燥した後、網目24meshのステンレス製篩で篩過した。得られた整粒品336gをステアリン酸マグネシウム4g(太平化学産業製)と共に混合し、ロータリー式打錠機(クリーンプレスコレクト19K/菊水製作所製)にて、打錠し1錠質量340mg、長径13.5mm、短径6.5mmの素錠を得た。
【0041】
[溶出試験2]
実施例12〜15で得た錠剤について、室温下ガラス瓶密栓保存の錠剤と、温度40℃、相対湿度75%で1ヶ月保存した後の錠剤について、第16改正日本薬局方・一般試験法の溶出試験法により試験開始5分後、10分後、15分後、30分後、45分後、60分後及び90分後の溶出率を求め、結果を図1図4に示した。
使用した装置:溶出試験機/NTR−6100型(富山産業製)
紫外線吸光光度計/UV−1600型(島津製作所製)
測定条件:試験液:pH5.0酢酸緩衝液
試験液量:900mL
パドル回転数:75rpm
液温:37℃
測定波長:216nm及び325nm
【0042】
図1図4から、本発明に係る実施例12〜15の錠剤における開始時と苛酷試験後のプロファイルは殆ど変化していないことがわかる。
【産業上の利用可能性】
【0043】
本発明によれば、長期間一定の品質(溶出速度)を担保したアリピプラゾールの固形製剤を製造することができ、有用な統合失調症薬を医療現場に提供することができる。
【符号の説明】
【0044】
図1図4中の実線は、それぞれ室温下ガラス瓶密栓保存した錠剤の溶出率に関する折れ線グラフを示す。
図1図4中の点線は、それぞれ温度40℃、相対湿度75%で1ヶ月保存した後の錠剤の溶出率に関する折れ線グラフを示す。
図1
図2
図3
図4