特許第6183989号(P6183989)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6183989
(24)【登録日】2017年8月4日
(45)【発行日】2017年8月23日
(54)【発明の名称】電圧電流発生器
(51)【国際特許分類】
   G01R 1/28 20060101AFI20170814BHJP
   G01R 35/00 20060101ALI20170814BHJP
   G01D 18/00 20060101ALN20170814BHJP
【FI】
   G01R1/28
   G01R35/00 B
   !G01D18/00
【請求項の数】1
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2013-38706(P2013-38706)
(22)【出願日】2013年2月28日
(65)【公開番号】特開2014-167400(P2014-167400A)
(43)【公開日】2014年9月11日
【審査請求日】2015年11月5日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000006507
【氏名又は名称】横河電機株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】596157780
【氏名又は名称】横河メータ&インスツルメンツ株式会社
(74)【上記1名の代理人】
【識別番号】000006507
【氏名又は名称】横河電機株式会社
(72)【発明者】
【氏名】井上 賢
(72)【発明者】
【氏名】杉原 吉信
(72)【発明者】
【氏名】平石 行好
【審査官】 菅藤 政明
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭59−180615(JP,A)
【文献】 特開昭58−66066(JP,A)
【文献】 特開昭55−40963(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01R 1/28
G01R 35/00
G01D 18/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の主出力を設定出力する主出力機能と、主出力を所定値に分割設定する出力分割機能と、前記主出力に対する偏差量を設定する出力偏差機能と、これら出力分割機能の出力と出力偏差機能の出力を加減算する加減算手段とを備えた電圧電流発生器において、
前記出力偏差機能の設定値を0以外の所定値に設定するプリセット機能を設け、
前記プリセット機能は、前記出力分割機能の設定に連動してプリセット値として前記偏差量を絶対値で設定するとともに、プリセット値を偏差量として設定するにあたり、前記出力分割機能で出力を増加させた場合には出力が分割比で定まる値よりも負側に偏るような極性を付与し、前記出力分割機能で出力を減少させた場合には出力が分割比で定まる値よりも正側に偏るような極性を付与することを特徴とする電圧電流発生器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電圧電流発生器に関し、詳しくは主に指示計器(メータ)の校正に用いられる電圧電流発生器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
測定値の大きさに応じて指示針の回転角度が変化するように構成された指示計器の校正にあたっては、校正対象である指示計器の測定値の大きさに対する指示針の回転角度の直線性試験、指示針の回転時における引っ掛かり試験などを行うために、分割、偏差、スイープなどの出力機能を有する電圧電流発生器が用いられている。
【0003】
また、アナログメータを校正する場合の校正点は、たとえば、フルスケールが30Vの電圧計の場合には、5V毎の0V、5V、10V、…、30V、フルスケールが100Vの場合には20V毎の0V、20V、40V、…、100Vのように、目盛に応じてフルスケール値を等分割した値とすることが広く行われている。
【0004】
図3は、このような出力機能を有する従来の電圧電流発生器の一例を示すブロック図である。図3において、主設定部1の出力は、校正対象であるたとえばアナログメータのフルスケール値に合わせて所定の値に設定され、その出力値は出力分割演算部2および出力偏差演算部3に入力される。
【0005】
出力分割演算部2の出力分割値は、出力分割設定部4によりアナログメータの校正しようとする目盛の数に応じた分母mが設定されるとともに、各校正点の数に応じた分子nを選択することにより所定の分割値(n/m)が設定される。出力分割演算部2の演算出力は加減算部5の加算端子に入力される。
【0006】
出力偏差演算部3の偏差量は、偏差設定部6により設定される。出力偏差演算部3はこの偏差量と主設定値とを乗算し、その乗算出力は加減算部5の減算端子に入力される。
【0007】
加減算部5は、出力分割演算部2の分割演算出力からこの出力偏差演算部3の乗算出力を減算した演算結果を出力端子7にする。具体的には、偏差設定部6の設定偏差を0に設定した状態における所定の分割値(n/m)に対応した校正対象であるアナログメータの針の所定の目盛に対する実際の指示ズレを、偏差設定部6により微調整してメータの針を所定の目盛に合わせた時の偏差の設定値から校正値を求める。
【0008】
これにより、加減算部5から出力端子7に出力される出力値は、式1のように表すことができる。
出力値=主設定値×出力分割値(n/m)−(主設定値×偏差量) (1)
【0009】
特許文献1には、コモンモード電圧の干渉を抑えた電圧電流発生装置の構成が記載されている。
【0010】
【特許文献1】特開2008−312333号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
ところで、実際の校正値の算出にあたっては、出力を上げていった場合の校正値と出力を下げていった場合の校正値を平均する必要がある。
【0012】
また、出力を上げていった場合に求める校正値の算出には針が指定の目盛を超えずに調整した値を読む必要があり、出力を下げていった場合に求める校正値は針が指定の目盛を下回らずに調整した値を読まなければならない。
【0013】
ところが、校正対象であるアナログメータの指示値は真値からずれているのが一般的であり、出力を上げていく場合と下げていく場合のどちらかで、分割設定を変えた時には針が所定の目盛を超えてしまう場合が存在する。
【0014】
校正対象であるアナログメータの針が所定の目盛を超えてしまうと、再度針が所定の目盛を超える前の状態に戻して校正作業をやり直さなければならず、校正作業効率化の阻害要因になる。
【0015】
しかし、図3に示した従来の構成では、偏差設定と分割設定とを連動して制御することができず、校正対象であるアナログメータの針が所定の目盛を超えないように作業者が慎重に校正作業を行う以外には、上記問題を回避することができなかった。
【0016】
本発明は、このような問題を解決するものであって、その目的は、作業者が校正対象であるアナログメータの針が所定の目盛を超えないように意識することなく容易に校正作業を行える電圧電流発生器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
このような課題を達成するために、本発明のうち請求項1記載の発明は、
所定の主出力を設定出力する主出力機能と、主出力を所定値に分割設定する出力分割機能と、前記主出力に対する偏差量を設定する出力偏差機能と、これら出力分割機能の出力と出力偏差機能の出力を加減算する加減算手段とを備えた電圧電流発生器において、
前記出力偏差機能の設定値を0以外の所定値に設定するプリセット機能を設け、
前記プリセット機能は、前記出力分割機能の設定に連動してプリセット値として前記偏差量を絶対値で設定するとともに、プリセット値を偏差量として設定するにあたり、前記出力分割機能で出力を増加させた場合には出力が分割比で定まる値よりも負側に偏るような極性を付与し、前記出力分割機能で出力を減少させた場合には出力が分割比で定まる値よりも正側に偏るような極性を付与することを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
このように構成される電圧電流発生器を用いることにより、校正対象であるアナログメータの針が所定の目盛を超えることなく適正な校正値に導くことができ、かつ校正作業をアナログメータの針が所定の目盛を超えないように意識することなく効率よく行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の一実施例を示すブロック図である。
図2】本発明に基づく指示計器の校正動作説明図である。
図3】従来の電圧電流発生器の一例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明について、図面を用いて詳細に説明する。図1(A)は本発明の一実施例を示すブロック図であり、図3と共通する部分には同一の符号を付けている。図1(A)において、プリセット部8には、出力分割設定部4の出力分割設定値が入力される。そして、偏差設定部6には、プリセット部8により、出力分割設定値に基づいて、(B)に示すように、たとえばOFF、0、2%または5%のいずれかがプリセット値として設定される。
【0022】
図1の偏差設定部6による偏差量設定値をプラス設定しておくことにより、出力偏差演算部3から出力端子7に出力される値を図1の出力分割設定部4の分割機能で上げていった場合には、式1で計算される出力値が出力されることになる。その後は、偏差設定部6に設けられている図示しない設定ダイヤルで出力を上げていきながら、校正対象であるアナログメータの針が指定の目盛を指示するように調整し、針が指定の目盛を指示しているときの偏差設定部6における偏差量の設定値を読み取る。
【0023】
これに対し、図1の偏差設定部6による偏差量設定値をマイナス設定しておくと、出力偏差演算部3から出力端子7に出力される値を図1の出力分割設定部4の分割機能で下げていった場合には、(主設定×偏差量)の数値だけ設定値より大きい値で出力される。その後は、偏差設定部6に設けられている図示しない設定ダイヤルで出力を下げていきながら校正対象であるアナログメータの針が指定の目盛を指示するように調整し、針が指定の目盛を指示しているときの偏差設定部6における偏差量の設定値を読み取る。
【0024】
そして、プリセット部8には、主出力値に対して以下のような所定の偏差量になるように制御するためのプリセット値が設定される。
a)OFF;偏差設定部6で設定した偏差量を分割設定変更、主設定変更した時も保持する。
b)0;偏差設定部6で設定した偏差量を分割設定変更、主設定変更した時に偏差量を0に戻す。
【0025】
c)xx%;偏差設定部6で設定した偏差量を分割設定変更時に0以外の所定値(xx%)に戻す。なお、この所定の偏差量(xx%)は、分割設定で出力を上げていった場合にはプラスになって下げていった場合にはマイナスとなり、主設定と分割設定から算出される出力値よりも偏差量分手前の出力値となる(図2参照)。
【0026】
プリセット部8のプリセット値は、偏差量が絶対値で設定される。そこで、プリセット値を偏差量として設定するのにあたっては、出力分割設定部4を使用して出力を増加させた場合には出力が分割比で定まる値よりも負側に偏るような極性を付与し、出力分割設定部4を使用して出力を減少させた場合には出力が分割比で定まる値よりも正側に偏るような極性を付与する。プリセット値は、可変または選択可能であってもよい。
【0027】
また、プリセット機能を使用しない動作、すなわち、出力分割比を変更したときには偏差量を保持する動作状態を選択できるようにしてもよい。
【0028】
具体例について説明する。主出力電圧をたとえば10Vとする。図1の偏差量を+2%に設定して、図1の出力分割設定部4の分割機能で出力を2/5から 3/5に上げていった場合には、式1で計算される出力値は、
{10V×3/5−(10V×(+2%))}=5.8V
になる。
【0029】
そこで、偏差設定部6に設けられている設定ダイヤルによってメータが6Vを指示するまで調整する。
【0030】
一方、偏差を−2%に設定して、図1の出力分割設定部4の分割機能で出力を3/5から2/5に下げていった場合には、式1で計算される出力値は、
{10V×2/5−(10V×(+2%))}=4.2V
になる。
【0031】
そこで、偏差設定部6に設けられている設定ダイヤルによってメータが4Vを指示するまで調整する。
【0032】
このように、主出力を所定値に分割設定する出力分割機能と所定値に分割設定された出力に対する偏差量を設定する出力偏差機能とが連動することにより、出力を上げていく場合と出力を下げていく場合のいずれにおいても誤操作することはなく、適正な校正値を導くことができ、かつ一連の校正作業を簡素化できる。
【0033】
また、アナログメータの引っ掛かり試験で使用するスイープ機能を主出力を所定値に分割設定する出力分割機能と所定値に分割設定された出力に対する偏差量を設定する出力偏差機能とを連動させることで、アナログメータの針を見ながら任意のポイント近傍で一旦ホールドし、その後、偏差量設定ダイヤルを調整して任意のポイントの目盛に合わせて校正値とすることが可能となる。
【0034】
また、本発明の機能により、直線性試験を、スイープ用のスイッチと偏差量を設定するためのロータリスイッチの操作で実現実施することができ、作業の大幅な効率アップを見込める。
【0035】
以上説明したように、本発明によれば、校正対象であるアナログメータの針が所定の目盛を超えることなく適正な校正値に導くことができるとともに、校正作業をアナログメータの針が所定の目盛を超えないように意識することなく効率よく行える電圧電流発生器が実現できる。
【符号の説明】
【0036】
1 主設定部
2 出力分割演算部
3 出力偏差演算部
4 出力分割設定部
5 加減算部
6 偏差設定部
7 出力端子
8 プリセット部
図1
図2
図3