特許第6183992号(P6183992)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6183992管継手と管継手用シールリング並びに管継手の管接続方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6183992
(24)【登録日】2017年8月4日
(45)【発行日】2017年8月23日
(54)【発明の名称】管継手と管継手用シールリング並びに管継手の管接続方法
(51)【国際特許分類】
   F16L 33/22 20060101AFI20170814BHJP
   F16J 15/10 20060101ALI20170814BHJP
【FI】
   F16L33/22
   F16J15/10 L
【請求項の数】3
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2013-69430(P2013-69430)
(22)【出願日】2013年3月28日
(65)【公開番号】特開2014-190522(P2014-190522A)
(43)【公開日】2014年10月6日
【審査請求日】2016年3月9日
(73)【特許権者】
【識別番号】390002381
【氏名又は名称】株式会社キッツ
(74)【代理人】
【識別番号】100081293
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 哲男
(72)【発明者】
【氏名】飯島 陽一
(72)【発明者】
【氏名】川▲崎▼ 幸一
【審査官】 黒石 孝志
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−101406(JP,A)
【文献】 特開2001−200934(JP,A)
【文献】 特開2009−180272(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16L 33/22 − 33/23
F16L 19/08 − 19/14
F16J 15/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
継手本体に設けた内筒と外筒との間隙に挿入する被接続用の管を抜止め部材で引き抜き防止状態に接続し、かつ、前記内筒の外周面に断面略矩形形状の外周溝を設け、この外周溝に装着したシールリングで密封接続する管継手であって、前記シールリングは、前記外周溝に装着する断面略矩形形状の環状台座と、この環状台座の外周に前記外周面から一体に突出形成された外周Oリング部と、シール面圧を高めるために前記環状台座の内周に一体に設けられたアール状の突出部とから成ることを特徴とする管継手。
【請求項2】
前記外周Oリング部は、前記環状台座の外周中心部に前記外周面から突出した状態で形成され、この外周Oリング部の線径は、前記シールリングの周方向の断面高さに対して、40〜70%であり、かつ前記環状台座の略矩形断面積は、前記外周溝の断面積に対して、65〜75%である請求項1に記載の管継手。
【請求項3】
継手本体に設けた内筒と外筒との間隙に挿入する被接続用の管を抜止め部材で引き抜き防止状態に接続し、かつ、前記内筒の外周面に断面略矩形形状の外周溝を設け、この外周溝に装着したシールリングで密封接続した管継手であって、前記シールリングには、前記外周溝に装着する断面略矩形形状の環状台座と、この環状台座の外周に前記外周面から一体に突出形成された外周Oリング部と、シール面圧を高めるために前記環状台座の内周に一体に設けられたアール状の突出部とが形成され、次いで、前記管の一端部を前記間隙内に挿入する際に、前記外周Oリング部で前記管の内周面を密封し、かつ前記外周溝内に残っている前記外周Oリング部以外のシールリング部位が前記外周溝内から引っ張り出されない状態で前記シールリングを前記外周溝内に位置させつつ前記管を挿入することを特徴とする管継手の管接続方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、住宅設備の給水や給湯用の配管に、架橋ポリエチレン管やポリブテン管等の管をワンタッチで接続できる管継手と管継手用シールリング並びに管継手の管接続方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、住宅設備等の給水給湯配管は、架橋ポリエチレン管やポリブテン管などの樹脂管を用いて施工されることがほとんどであり、樹脂管などの管を接続する場合、施工が容易であるなどの理由から、ワンタッチ式の管継手が用いられることが多い。
この種のワンタッチ式の管継手として、シール部材で管の内周面をシールする内周シール構造、又は管の外周面をシールする外周シール構造、或は双方の面をシールする構造が知られている。このような継手では、管接続後のシール性の確保に加え、そのための管接続時のシール部材への引っ掛かりに対する耐久性も考慮する必要がある。管端面の切断面のシール部材への引っ掛かりへの対策としては、従来では管切断面の内外周エッジ部への面取りが実施されていたが、施工性を高めるためにはこの面取り作業を省略することが望ましくなっている。
【0003】
面取り以外の技術としては、例えば、特許文献1の従来技術に示すように、管の切断端面にインコアを挿入したものが知られている。この場合、シール部材は外周シール構造で継手内部に装着され、インコアの端面側に形成されたテーパ面がこのシール部材を乗り越えながら管が挿入されてシール部材への傷を防ぐようになっている。
特許文献2の差込み式管継手では、内周シール構造で継手の内筒体に溝にOリングである弾性シールリングが装着され、樹脂管の挿入時に、樹脂管端面で挿入ガイドを押しながらこの挿入ガイドを介してOリングを乗り越えようとするものである。
特許文献3の差込み式管継手においては、シール部材であるパッキンがOリング形状とは異形の左右非対称形状の環状リングからなっており、このパッキン形状で樹脂管切断面のエッジがシール部材を通過したときの引っ掛かりを抑制しようとしている。
特許文献4の管継手は、樹脂管内径とシール部材との間にクリアランスを確保してシール部材への傷を防ぎ、樹脂管の接続時に、樹脂管がシール部材を通過した後に継手内部の締付環体が樹脂管外周を把持して管内径側をシール部材に密着させるようになっている。
特許文献5では、内周シール構造により継手本体の装着溝にシール部材が装着され、このシール部材の軸線方向の長さを径方向の長さよりも長く設定し、シール部材外周面に傾斜面を形成し、この傾斜面の最大傾斜角度を、断面円形の仮想のシール部材の最大傾斜角度よりも小さく設定することで、樹脂管端面によるシール部材への食い込みを防ごうとしたものである。
一方、所定の管継手に挿入する管の寸法を管理し、適用可能な管を限定することで管寸法のバラツキを小さく抑え、Oリング等のシール部材を必要最小限の圧縮代で設計する場合もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第2685105号公報
【特許文献2】特許第4268811号公報
【特許文献3】特開2009−180272号公報
【特許文献4】特許第3411546号公報
【特許文献5】特開2010−101406号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の従来技術のようにインコアを用いた管の接続の場合、その外周シール構造を内周シール構造と比較すると、外周シール構造は、予め外径を大きく形成したシール部材を縮径して装着するため、シール部材に圧縮力が加わった装着状態で、さらに管によるシール圧縮が加わるために耐久性が悪くなる。しかも、外径を縮径するため材料の縮径限界が小さくなり、シール部材の装着時に材料が拡径しようとする力に抗しながら内周溝に嵌め込むために装着も困難になる。シール部材が圧縮状態で装着されているため、管へのシール部材の噛み込み方向がその圧縮方向と同じになり、噛み込んだシール部材が内周溝に戻す力が働かない。継手本体の製作時には、内周溝を形成するために中ぐり加工が必要になったり、別部材で内周溝を形成する必要が生じることでコスト高にもつながっている。
これらのように、外周シール構造のシール部材は、内周シール構造に比較して様々な点で不利であることに加え、配管施工時に管の粗雑な取扱いや、配管中のカッター等により管外周側表面に傷がある場合、十分なシール性を発揮できずに漏水に至るおそれもある。
【0006】
特許文献2の差込み式管継手は、Oリングによる内周シール構造であり、このOリングに対して樹脂管を真っ直ぐに挿入したときにはシール性は確保されるが、樹脂管の片方の端部が拘束されていたり樹脂管に曲げ癖が残っていると樹脂管が斜め方向やねじ込み状態で挿入されたり、或は2回以上挿入動作を繰り返して接続された場合には、挿入ガイドが樹脂管切断面から離れてシール部材を引っ掛けて噛み込むことがあった。
しかも、装着溝から突出する部分に樹脂管が接触して圧縮シールするために突出部分が装着部分よりも比較的大きくなって、突出部分のボリュームに対する装着溝への装着ボリュームが小さくなっている。そのため、シール部材が噛み込まれたときに、噛み込み側の対面側の部分が装着溝に残った状態でシール部分が引っ張り出されて、この部分が樹脂管内周面と内筒との間に挟まれて欠損したり、噛み込み部分によって装着部分が引っ張られてシール部材全体が装着溝から離脱することがあり、シール性を向上するために突出部分を大きくしたときにはより離脱しやすくなっていた。
Oリングが2本であるため、挿入側に近い1本目のOリングが噛み込むと、2本目のOリングを横断してこれらが2本とも欠損することがある。一方、2本目のOリングのみが噛み込んだ場合には1本目のOリングは残るが、2本目のOリングが隙間に挟まることで樹脂管が変形し、1本目のOリングの環状シールが不均一なシール面圧になる。この状態で使用し続けた場合、時間の経過により漏れにつながりやすい。
このように、内周シール構造でOリングをシール部材とした場合、シール性の確保と、樹脂管接続時の引っ張り耐久性とを両立させることが難しい。しかも、通常Oリングは、ほとんど拡径されることなく装着溝に装着されることが多いため、噛み込みまれたときに引っ張られやすい。
【0007】
特許文献3の場合、樹脂管挿入時のシール部材のパッキン嵌合溝からの飛び出しを確実に防止するためには、テーパである溝側壁を深く形成してこの溝側壁へのシール部材の窄まり状テーパの端面の当接面積を大きくした状態で装着する必要がある。しかし、シール部材の装着ボリュームを大きくするとシール部位の露出面が広くなり、斜め方向から挿入された樹脂管に引っ掛かってシール部材が嵌合溝内の片側に引き寄せられることがある。この場合、樹脂管をそれ以上挿入できなくなって接合が不完全になる。
シール部材に装着時の方向性があるため、誤って逆方向に装着するおそれがあり、この場合、シール性能に悪影響を及ぼして流体漏れが生じやすい。
【0008】
特許文献4の管継手では、シール部材が通常のOリングであることで特許文献1と同様の問題があり、さらには樹脂管挿入時の樹脂管内径とシール部材との間のクリアランスを確保するためにシール部材のボリュームを小さくしたときにこの問題がより大きくなる。特に、内周シール構造では、継手の通水口径を確保する必要性からOリングのボリュームに影響を与える線径を太くすることは困難であり、ボリュームを小さくしたときには耐久性の点で不利になる。さらに、この管継手では、落下などで管継手に衝撃が加わると、締付環体を強制的に拡径させている拡径片が外れ、締付環体が縮径して樹脂管を接続できなくなることがある。
【0009】
特許文献5の管継手は、シール部材への食い込みを防いでこのシール部材の傷や噛み込みを防ぐようにはしているが、樹脂管挿入時の引っ張り耐久性の向上によるシール部材の離脱を防止することは開示ないし示唆されていない。そのため、このシール部材では、樹脂管端面がシール部材に食い込んだときに、シール部材が樹脂管に引っ張られて離脱する可能性がある。また、この管継手では、傾斜面の最大傾斜角度が断面円形の仮想シール部材の最大傾斜角度よりも小さく設定され、外周面の円弧面の曲率半径が仮想シール部材の外周面の曲率半径よりも大きいことで、シール部材が面接触で樹脂管外周をシールしている。その結果、仮想シール部材(Oリング)に比較してシール面圧が弱くなりシール性が悪くなる。
【0010】
一方、管の寸法を管理して寸法のバラツキを抑えようとする場合、使用する管に応じて製造業者を限定することにもなり、継手としての汎用性が失われる。しかも、管継手に応じて所定寸法の樹脂管を選定しても、樹脂管の斜め方向の挿入、ねじ込みながらの挿入、挿入動作を2回以上繰り返す場合などには、シール部材を噛み込む危険性が依然として残る。
【0011】
本発明は、従来の課題を解決するために開発したものであり、その目的とするところは、内周シール構造により管外周に傷がある場合でもシール性を確保しながら管をワンタッチで接続できる管継手であり、管挿入時の噛み込みによる引っ張りへの耐久性を向上し、管を斜め方向やねじ込み状態で挿入したり管の挿入動作を繰り返したとしてもシールリングの離脱を防いでシール性を確保し、しかも、Oリングによるシールと同等のシール性能を発揮して流体漏れを確実に防止できる管継手を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するため、請求項1に係る発明は、継手本体に設けた内筒と外筒との間隙に挿入する被接続用の管を抜止め部材で引き抜き防止状態に接続し、かつ、前記内筒の外周面に断面略矩形形状の外周溝を設け、この外周溝に装着したシールリングで密封接続する管継手であって、前記シールリングは、前記外周溝に装着する断面略矩形形状の環状台座と、この環状台座の外周に前記外周面から一体に突出形成された外周Oリング部と、シール面圧を高めるために前記環状台座の内周に一体に設けられたアール状の突出部とから成る管継手である。
【0013】
請求項2に係る発明は、前記外周Oリング部は、前記環状台座の外周中心部に前記外周面から突出した状態で形成され、この外周Oリング部の線径は、前記シールリングの周方向の断面高さに対して、40〜70%であり、かつ前記環状台座の略矩形断面積は、前記外周溝の断面積に対して、65〜75%である管継手である。
【0022】
請求項に係る発明は、継手本体に設けた内筒と外筒との間隙に挿入する被接続用の管を抜止め部材で引き抜き防止状態に接続し、かつ、前記内筒の外周面に断面略矩形形状の外周溝を設け、この外周溝に装着したシールリングで密封接続した管継手であって、前記シールリングには、前記外周溝に装着する断面略矩形形状の環状台座と、この環状台座の外周に前記外周面から一体に突出形成された外周Oリング部と、シール面圧を高めるために前記環状台座の内周に一体に設けられたアール状の突出部とが形成され、次いで、前記管の一端部を前記間隙内に挿入する際に、前記外周Oリング部で前記管の内周面を密封し、かつ前記外周溝内に残っている前記外周Oリング部以外のシールリング部位が前記外周溝内から引っ張り出されない状態で前記シールリングを前記外周溝内に位置させつつ前記管を挿入する管継手の管接続方法である。
【発明の効果】
【0023】
請求項1に係る発明によると、内筒と外筒との間に被接続用の管を挿入し、抜止め部材で引き抜き防止状態にしながらワンタッチで接続でき、その接続後には、管外周に傷がある場合でも内筒の外周溝にシールリングを装着した内周シール構造でシール性を確保する。断面略矩形形状の環状台座と当該環状台座の外周に内筒の外周面から突出する外周Oリングとが一体に形成されたシールリングにより、このシールリングの外周溝への環状台座の装着時のボリュームを大きくし、環状台座に比較して外周Oリング部のボリュームを小さくできる。外周Oリング部を小さくできることで管が噛み込み難くでき、万が一、噛み込んだ場合でも、外周溝から引っ張り出されようとする外周Oリング部のボリュームに比べて外周溝内に残っている環状台座のボリュームが大きいため、全体が外周溝内に引き戻される。このことから、管端面の噛み込みに対する引っ張り耐久性を向上でき、仮に、管を斜め方向やねじ込み状態で挿入したり、管の挿入動作を繰り返したとしてもシールリングの離脱を防ぎ、シールリングのシール状態を維持して優れたシール性を確保できる。外周Oリングが管に当接シールして一般のOリングと同等のシール性能を発揮し、線接触シールにより面圧シール力を高めて流体漏れを確実に防止できる。特に、アール状突出部によりシールリング内周面のシール面圧を高めることができ、この突出部と外周Oリング部とによって一般のOリングによる軸シールと同等のシール面圧を発揮し、仮に、軸方向の片側より圧力が加わってシールリングが外周溝を移動したとしてもそのシール面圧を維持できる。
【0024】
請求項2に係る発明によると、外周Oリング部を環状台座の外周中心部に突出形成することで外周溝へのシールリングの装着性が良くなり、その加工性も向上して製作しやすく、シールリングの装着時には、その求心方向への引っ張り力で線径が縮まったときにも外周溝への装着性を保持して、シールリングの引っ張り耐久性を確保して離脱を防止すると共に、外周Oリング部による一定のシール面圧を発揮できる。
外周Oリング部の線径をシールリングの周方向の断面高さに対して40〜70%とすることで、シールリングの径が異なる場合でもシール性能を維持しながら管の噛み込みを確実に防止する。また、環状台座の略矩形断面積を外周溝の断面積に対して65〜75%とすることで、外周Oリング部を収容するための逃げ空間を余裕を持って確保できる。このため、仮に、継手本体の管内径が小さくなり外周溝を大きく形成することが難しい場合でも、この外周溝に対応した環状台座を有するシールリングを設けることができ、管内径の小さい継手本体であってもシールリングへの噛み込み防止機能を発揮してこのシールリングの離脱を防止できる。
【0025】
ールリングを外周溝に装着したときに管の挿入に伴う外周Oリング部が変形するための逃げ空間を外周溝と環状台座との間に確保し、シールリング変形時のシール性を維持しながら管の噛み込みを防止することができる。
【0027】
状台座に外周Oリングに向かって3〜6度の傾斜を設けることで、管継手に斜めに挿入された管や、端部を斜め切りされた管の挿入時にその端面側のエッジ部分が外周Oリング部の先端に向かって自然に滑るように進んで噛み込み難くなる。このように角度を設けることでシールリングの成形加工時に成形型から離脱しやすくなり、さらには、傾斜と外周Oリング部との間を滑らかなアール形状で結ぶことにより成形型からの離脱容易性と、噛み込み防止性とを高めることができる。
【0028】
周溝に対する環状台座の装着性を高めることができ、外周溝の所定位置に環状台座を装着して外周溝からのシールリングの離脱を防ぐことができる
【0030】
周溝の外径をシールリング内径の110〜125%にすることで、シールリングが引っ張られた状態で外周溝に装着される。これによりシールリングが外周溝から抜け出し難くなり、管端面噛み込み時のシールリングの離脱が確実に防止される。さらに、規格や管種によって管内径が異なる場合でも、シールリングを共通化できる。しかも、シールリングは、求心方向に縮もうとする力が働きながら装着されているため、環状台座の外周溝への装着力が増し、シールリングがさらに脱落しにくくなる。
【0031】
周シール構造で装着することにより管外周に傷がある場合でも優れたシール性を発揮する。断面略矩形形状の環状台座と当該環状台座の外周に内筒の外周面から突出する外周Oリングとが一体に形成されていることで、外周溝装着時の環状台座のボリュームが大きくなり、この環状台座に比較して外周Oリング部のボリュームを小さくできる。外周Oリング部を小さくできることで管が噛み込み難くなり、万が一、噛み込んだ場合でも、外周溝から引っ張りだされようとする外周Oリング部のボリュームに比べて外周溝内に残っている環状台座のボリュームが大きいため、全体が外周溝内に引き戻される。このことから、管端面の噛み込みに対する引っ張り耐久性を向上でき、仮に、管を斜め方向やねじ込み状態で挿入したり、管の挿入動作を繰り返したとしても離脱を防ぎ、そのシール状態を維持して優れたシール性を確保できる。しかも、求心方向に縮もうとする力が働きながら装着されているため、環状台座の外周溝への装着力が増してさらに脱落しにくくなる。外周Oリングを管に当接シールして一般のOリングと同等のシール性能を発揮し、線接触シールにより面圧シール力高めて流体漏れを確実に防止する。
【0032】
周Oリング部を環状台座の外周中心部に突出形成することで外周溝への装着性が向上し、その加工性も向上して製作しやすく、装着時にはその求心方向への引っ張り力で線径が縮まったときにも外周溝への装着性を保持して、引っ張り耐久性を確保して離脱を防止すると共に、外周Oリング部による一定のシール面圧を発揮できる。外周中心部に突出した外周Oリング部で断面形状が左右対称になることで、外周溝への装着方向性がなく、しかも一般のOリングと同様の外周溝を利用して装着できるため、Oリングと変わりのない取扱いが可能になる。
外周Oリング部の線径を周方向の断面高さに対して40〜70%とすることで、径が異なる場合でもシール性能を維持しながら管の噛み込みを確実に防止する。
【0033】
請求項に係る発明によると、内筒と外筒との間に被接続用の管を挿入し、抜止め部材で引き抜き防止状態にしながらワンタッチでこの管を接続でき、その接続後には、管外周に傷がある場合でも内筒の外周溝にシールリングを装着した内周シール構造で優れたシール性を発揮する。シールリングが、断面略矩形形状の環状台座と当該環状台座の外周に内筒の外周面から突出する外周Oリングとが一体に形成されていることで、このシールリングの外周溝装着時の環状台座のボリュームを大きくし、環状台座に比較して外周Oリング部のボリュームを小さくできる。外周Oリング部を小さくすることで管が噛み込み難くなり、万が一、噛み込んだ場合でも、外周溝から引っ張り出されようとする外周Oリング部に比べて外周溝内に残っている環状台座のボリュームが大きいために全体が外周溝内に引き戻される。そのため、管端面の噛み込みに対する引っ張り耐久性を向上でき、仮に、管を斜め方向やねじ込み状態で挿入したり管の挿入動作を繰り返したとしても、シールリングを外周溝から引っ張り出されない状態で装着でき、このシールリングによる所定のシール性を確保しながら管を接続できる。管の接続後には、外周Oリングが管に当接シールして一般のOリングによるシールと同等のシール性能を発揮し、線接触シールにより面圧シール力を高めながら流体漏れを確実に防止できる。特に、アール状突出部によりシールリング内周面のシール面圧を高めることができ、この突出部と外周Oリング部とによって一般のOリングによる軸シールと同等のシール面圧を発揮し、仮に、軸方向の片側より圧力が加わってシールリングが外周溝を移動したとしてもそのシール面圧を維持できる。







【図面の簡単な説明】
【0034】
図1】本発明における管継手の第1実施形態を示す平面図である。
図2】管継手用シールリングの一部拡大断面図である。
図3】挿入ガイドの装着前の状態を示した概略断面図である。
図4図1の状態から管を挿入した状態を示す中央断面図である。
図5図4の状態からさらに管を挿入した状態を示す中央断面図である。
図6図5の状態からさらに管を挿入した状態を示す中央断面図である。
図7図6の状態からさらに管を挿入した状態を示す中央断面図である。
図8】本発明における管継手の第2実施形態を示す平面図である。
図9図8における管継手用シールリングを示す中央断面図である。
図10】本発明における管継手の第3実施形態を示す平面図である。
図11図10における管継手用シールリングを示す中央断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下に、本発明における管継手と管継手用シールリングを説明する。図1においては、本発明における管継手の第1実施形態を示しており、図2においては、管継手に装着されるシールリングの一部拡大断面図を示している。管継手の呼び径は10A〜20Aを想定しており、図2は、呼び径10Aにおけるシールリングの形状を示す断面である。
【0036】
図1において、本発明の管継手は、継手本体1を有し、この継手本体1に内筒2が一体に設けられており、さらに、別体に設けられた外筒3が取付けられている。これら内筒2と外筒3との間隙5には被接続用の管10が挿入され、この管10はロックリングからなる抜止め部材11で引き抜き防止状態に接続される。管継手には、ゴム製のシールリング20、環状保持体21が取付けられ、管継手内には挿入ガイド22が装着されている。
【0037】
被接続用管10は、例えば、架橋ポリエチレン管やポリブテン管等からなり、これら以外にも、金属強化ポリエチレン管等の各種の樹脂管、或は、銅管等の金属管であってもよく、この管は給水・給湯用として用いられる。管10の先端側には挿入ガイド22が設けられ、管10は挿入ガイド22で案内されながら管継手に接続される。
【0038】
継手本体1は、例えば、銅合金などの金属、又はPPS(ポリフェニレンサルファイド樹脂)などの剛性の高い樹脂により筒状に形成され、通水用の流路口23を有している。継手本体1の被接続用管10との接続側は、この管10の内径に応じた適宜の外径に設けられている。この管10接続側には、外筒3取付け用の凹凸状の係合部24が設けられ、一方、他方側には雄ネジ部25が設けられ、この雄ネジ部25に図示しないヘッダーや接続部材、或はその他の外部の配管が接続可能になっている。継手本体1は、図示した直線形状以外にも、例えば、チーズ形状やエルボ形状などであってもよい。
【0039】
継手本体1の内筒2の外周面には断面略矩形形状の外周溝26が形成され、この外周溝26にシールリング20が装着される。この場合、外周溝26は、継手本体1の管10の抜け出し側である開口側と、この開口側よりも管10の挿入側との2ヶ所に形成され、各外周溝26、26にシールリング20、20がそれぞれ装着される。継手本体1は、この2つのシールリング20、20によって管10を密封接続できるようになっている。このとき、開口側のシールリング20は、抜止め部材11が収容されている部位に対向配置され、挿入側のシールリング20は、外筒3の内周に対向配置される。
【0040】
シールリング20は、NBRやEPDM、その他の材料、例えば、フッ素ゴムにより設けられ、フッ素ゴムの場合、この種のOリングとして一般的に用いられるEPDM(エチレンプロピレンゴム)と比較したときに耐久性や耐塩素性などが優れている。また、フッ素ゴム製のシールリングを用いた場合、フッ素のすべり特性を利用して、管の噛み込みを抑制することができる。
このシールリング20は、外周溝26に装着可能な断面略矩形形状の環状台座30と、この環状台座30の外周に内筒2の外周面31から突出可能な外周Oリング部32とが一体に形成されている。
【0041】
外周Oリング部32は、環状台座30の外周中心部30aに外筒外周面31から突出可能に形成される。図2において、外周Oリング部32の線径、すなわち断面方向の直径Dは、外周Oリング部32と環状台座30との高さの和であるシールリング20全体の周方向の断面高さHに対して、40〜70%で形成されている。この直径Dの寸法は、管継手の呼び径や管10の内径寸法に応じて適宜設定される。40%を下回ると管10に対するシール性に必要なボリュームが得られず、また、70%を超えると後述する外周Oリング部32の変形が不十分となる。
ここで、断面高さHは、従来の管継手で用いていたOリング36の線径D1と略同等に設定している。この外周Oリング部32は、環状台座30の外周中心部に形成され、この外周Oリング部32によりシールリング20の断面形状が左右対称になることで、外周溝26への装着方向性がなく、引っ張り時による線径の縮径にもシール性を有効に発揮し、しかもOリング36と同様の外周溝26を利用して装着できるため、Oリング36と変わりのない取扱いが可能になっている。
【0042】
一方、環状台座30には、図2において水平方向から外周Oリング部32に向かって角度αで傾斜する3〜6度の傾斜部33を設けてこの外周Oリング部32に一体に形成される。この実施形態においては、図2の拡大断面図において、外周Oリング部32に対して環状台座30が左右対称に設けられ、この場合には外周Oリング部32が管10の挿入により線径Dが小さくなったときにも安定した耐久性を発揮できる。
【0043】
さらに、環状台座30は、断面略矩形形状に設けられていることで外周溝26への充填率が高められていることに加えて、環状台座30の略矩形の断面積S1(図2におけるハッチングを施し、且つ二点鎖線に挟まれた部分の断面積)が、継手本体1の外周溝26の断面積S2に対して65〜75%で形成されている。この数値範囲は、外周溝26に装着されたシールリング20に管10挿入により外周Oリング部32に引っ張り力が加わったときに、環状台座30が外周溝26に残ってシールリング20全体を噛み込みから引き戻すために必要な環状台座30のボリュームから数値化されたものである。
【0044】
特に、65%を下回ると、シールリング20の引き戻しが不十分となるおそれがある。また、上記の数値範囲は、管の挿入に伴って変形する外周Oリング部32の一部を、管10との密着性を維持しつつ収容するために必要な逃げ空間Gに関して数値化されたものである。特に、75%を上回ると、外周Oリング部32の一部を収容するのに不十分となり、シールリング20が挿入ガイド22や管10に噛み込むおそれがある。
なお、上記の数値範囲は、シールリング20の材質などにより適宜設定されるものであり、本実施形態においては、FKM製シールリングの一例として示している。
一般的に、管10の内径が小さくなると外周溝26を大きく形成することが難しくなるため、管10内径が小さいほど噛み込みを防止することが難しくなる。しかし、前記の断面積の割合とした場合、小さい管内径でも噛み込みを防止できる。
【0045】
本実施形態におけるボリュームとは、シールリング20における外周Oリング部32や環状台座30の体積を意味する。但し、シールリング20は、軸に平行な面における断面形状が一定の環状体であることから、本実施形態におけるボリュームの説明は、断面形状や断面積に基づいて行うこととする。
また、これらの断面積などの数値や、断面形状については、特に断りのない限り、管継手の外周溝26に装着する前のシールリング20の形状に基づいて説明する。
【0046】
環状台座30の巾方向は、外周溝26の溝巾方向より僅かに小さく形成されており、これにより、シールリング20を外周溝26に装着するときには、環状台座30の側面部位を外周溝26の対向面に接触させることを回避できることから、シールリング20の装着性が高まる。
シールリング20の内周面である環状台座30の内側には、アール状の突出部35が外周Oリング部32と対称位置に設けられており、シールリング20(環状台座30)を外周溝26に装着したときには、突出部35が外周溝26の底面側に圧接することで、シールリング20によるシール面圧が高まる。
【0047】
外周溝26の外径L1は、シールリング20の内径L2の110〜125%に形成されている。このように、外周溝外径L1をシールリング内径L2よりも大きくすれば、シールリング20が外周溝26に張った状態で装着される。これにより、シールリング20が外周溝26に強く取付けられて噛み込まれにくくなり、しかも、拡径率が一般のOリングの拡径率(105%程度)に比べて大きく設定されていることで、規格や管種によって異なる内径の管であっても、好ましい張り具合で共通化しながらシールリング20を使用できる。シールリング20の拡径率を125%よりも大きくした場合には、外周溝26に装着しづらくなる。
【0048】
シールリング20は、装着時に外周溝26により拡径しようとするが、シールリング20本体が有する弾性力によって元の形状に戻ろうとする力も働くため、装着前の径とほぼ変わらない。そのため、シールリング20側面部位と外周溝26の対向面との間にはごく小さい隙間が形成されることになるが、外周Oリング部32とアール状突出部35により管10挿入時のシール性が確保されるため、この隙間から漏れが生じることはない。図示しないが、環状台座30の側面に突起を設け、この突起を外周溝26に当接させながらシールリング20を装着してもよい。
【0049】
前述したように、環状台座30の略矩形断面積を外周溝26の断面積に対して65〜75%としていることで、シールリング20を外周溝26に装着したときに外周Oリング部32変形時の逃げ空間Gが外周溝26と環状台座30との間に確保される。このため、シールリング20が変形したときのシール性が高められる。継手本体1の管内径が小さく、外周溝26を大きく形成することが難しい場合でも、外周溝26に対応した環状台座30を設けることができることでシールリング20への噛み込み防止機能が確実に発揮され、シールリング20の離脱が防止される。
【0050】
シールリング20の外径寸法は、管継手における従来のOリングと同等に設定している。これにより、被接続用管10のJIS規格等に規定されている内径の寸法公差にも追随した密着性が得られている。
【0051】
ここで、前述のようにシールリング20の外周Oリング部32は、管継手における従来のOリングの線径よりも小径に設定しているので、この部分だけ注目すればシール性は低下することになる。
【0052】
しかし、外周Oリング部32の側方位置における、外周溝26と環状台座30との間に逃げ空間Gが確保されているので、管10の挿入の際、外周Oリング部32は、挿入ガイド22や、挿入ガイド22を設けない場合の管10の当接に伴って変形し、外周Oリング部32の一部が管10との密着性を維持しつつ、逃げ空間Gに収容される。
【0053】
従って、本発明に係るシールリングによれば、管10の内径の寸法公差にも追随した密着性を確保しつつ、挿入ガイド22を設ける場合、設けない場合のいずれにおいても、シールリング20への噛み込みを防止し、離脱を防止できる。
しかも、シールリング20に設けた環状台座30や、比較的大きな拡径率により、挿入ガイド22や挿入ガイド22を設けない場合の管10の当接に伴って外周溝26から離脱しようとするシールリング20を外周溝26に引き戻すこともでき、シール性を維持することができる。
【0054】
管10が継手に斜めに挿入されたり、挿入ガイド22を用いずに端面が斜めに切断された管10が挿入される場合には、挿入ガイド22や管10が外周Oリング部32の根元に部分的に強く押圧されるおそれがある。しかし、本発明のシールリングによれば、小径の外周Oリング部32や傾斜部33などにより、噛み込みや引き出しを防止することができる。
【0055】
継手本体1に装着される外筒3は、例えば、非結晶性ナイロンやPPSU(ポリフェニルサルフォン樹脂)などの樹脂により透明或は半透明に設けられ、外部から管10や挿入ガイド22の状態を透視可能になっている。外筒3の継手本体1への取り付け位置には、係合部24とスナップ嵌合可能な係合部40が設けられ、また、この他端側の外周側には、凹凸状の係合段部41が設けられている。外筒3は、係合部24、40のスナップ嵌合により継手本体1に回転可能に一体化され、外筒3と継手本体1とは相互に回転可能な状態となり、かつ、これらの間に間隙5が形成され、この間隙5によりガイドされつつ管10が接続される。外筒3の内周の挿入ガイド22との当接側にはR面部位が形成され、このR面部位よりも開口側にテーパ面部位が形成されている。
【0056】
環状保持体21は、引張り弾性率が外筒3よりも高いポリアセタールなどの樹脂でキャップ状に形成される。環状保持体21の内周側には、外筒3の係合段部41にスナップ嵌合する係合段部42が形成されている。環状保持体21は、係合段部41、42のスナップ嵌合により外筒3の開口側に回転可能に取付けられる。環状保持体21の端部側には、内周方向に突出する環状突部43が形成され、この環状突部43により抜止め部材11の抜出しが防止される。環状保持体21は、透明性を有しない材料であってもよく、キャップとして設ける以外にも、例えば、ブシュとして設けることも可能である。
【0057】
抜止め部材11は、ステンレス鋼等により略環状に形成され、環状部50と、この環状部50の内径側の爪部51とを有するリング状からなっている。爪部51は、環状部50から所定の傾斜角度に屈曲形成され、この爪部51により管10の挿入をスムーズにしつつ、爪部51が管10の表面に係止することで、引抜き荷重が加わったときに速やかに管10を保持して引き抜き阻止力を発揮する。図示しないが、爪部51の先端側の内径は、後述する挿入ガイド22の段部60と略同一径に形成されている。
【0058】
抜止め部材11は、環状部50が外筒3の開口端3aと環状保持体21の内周面21aとの間に収納されながら継手本体1内に1枚装着され、このとき、抜止め部材7の爪部26とシールリング20とが対向配置される。この場合、開口端3aと内周面21aとの間には抜止め部材11の環状部50を収納するための空間部位が形成されている。
【0059】
挿入ガイド22は、例えば、高密度ポリエチレン等の弾性を有する樹脂により設けられ、抜止め部材11とシールリング20との間に継手本体1に外嵌するように装着される。管10の挿入時には、挿入ガイド22によりシールリング20を押さえつけながら管10をスムーズに挿入できる。
【0060】
図3に示すように、挿入ガイド22には、先端側のアール面61、このアール面62に続く当接面63及び後部アール面64が内周に形成され、さらに、スリット65、段部60、係止爪部66が形成されている。スリット65は、挿入ガイド22の先端側と後端側とから交互に軸方向に複数形成され、このスリット65により挿入ガイド22が径方向に変形可能になり、管10の端面形状に応じて変形してこの管10をガイド可能になっている。このスリット65により、仮に管10の端面が斜めに切断されている場合でも、挿入ガイド22がこの形状に追従して変形する。
【0061】
段部60は、挿入ガイド22の外周側に設けられて抜止め部材11の爪部51が仮着可能であり、挿入ガイド22は、段部60から後端側にかけて拡径するように形成される。係止爪部66は、挿入ガイド22の外周に、例えば4ヶ所に等間隔に突出形成される。
【0062】
挿入ガイド22を継手本体1に開口側から挿入するときには、図3の断面図に示すように先ずアール面61が外周Oリング部32に当接し、このアール面61を介してガイドされることで容易な挿入が可能となる。続けて挿入ガイド22を挿入すると、アール面61が外周Oリング部32を乗り越えて当接面63に外周Oリング部32が当接し、このときスリット65を介して挿入ガイド22が拡縮変形することで、抜止め部材11やシールリング20に大きな負荷が加わることがない。さらに挿入を続け、挿入ガイド22の係止爪部66を図示しない工具等で押圧して爪部を乗り越えさせ、抜止め部材11の爪部51を段部60に係止させることで図1に示すように挿入ガイド22の所定の装着が完了となり、挿入ガイド22が所定位置に仮固定される。
【0063】
このとき、爪部とシールリングとが対向配置されていることで、これらの間に挿入ガイドが挟まれた状態となり、挿入ガイドの内周面にシールリングが圧接し、これにより抜止め部材が段部に強く係止して挿入ガイドの脱落が防止される。
【0064】
次いで、上述した管継手の管接続方法を説明する。図1図4図7においては、管を挿入して接続するときの状態を連続的に示している。
前述したように、シールリング20を継手本体1に装着すると、シールリング20の環状台座30が内筒2の外周溝31に装着され、これにより外周Oリング部32が外周面31から突出した状態になる。さらに、継手本体1に、前述したように外筒3、抜止め部材11、環状保持体21をそれぞれ装着することで管継手が構成され、この管継手に上記したように挿入ガイド22を装着する。挿入ガイド22は、継手本体1に装着されていなくてもよい。
図1に示すように爪部51が段部60に係止するまで挿入ガイド22を挿入すると、この挿入ガイド22は、シールリング20と抜止め部材11との間に挟まれた状態になる。このとき、挿入ガイド22の内周にシールリング20が圧接し、これにより抜止め部材11がやや強く段部60に係止するため、シールリング20の脱落が防止される。
【0065】
次いで、図4の状態まで管10の一端部を間隙に挿入するときには、挿入ガイド22の後部アール面64が外周Oリング部32に圧接することにより、後部アール面64が外周Oリング部32を乗り越えるときに挿入ガイド22が勢いよく挿入側に進むことが防がれる。このため、挿入ガイド22が管10端面から離れることを防ぎつつこの管10を挿入でき、管10が外周Oリング部32を乗り越えるときには、この外周Oリング部32が管端側により傷付くことを防止する。この図4の状態においては、抜止め部材11は、挿入ガイド22の後端側に位置している。
【0066】
図4の状態からさらに管を挿入して図5の状態になると、管10先端側が外周Oリング部32の外周側に達し、この場合、その先端側が挿入ガイド22で覆われていることで、管10の先端内径側が外周Oリング部32に接触するおそれがない。このため、外周Oリング部32が管10先端側に引っ掛けられて傷付くことがない。この場合、管10の外周には抜止め部材11が当接し、管10の引き抜きが防止された状態になる。外周Oリング部32は、小径に形成しているので、管10の挿入に伴って変形容易になっており、噛み込みが防止されている。管10の挿入方向に押された外周Oリング部32は、その変形を逃げ空間Gで許容することができる。これにより、パイプ内周とのシール状態を維持しつつ、シールリング20が外周溝26から引っ張り出されるのを防止している。
【0067】
さらに、図6の状態まで管10を挿入すると、外周Oリング部32が管10の内周を密封し、かつ、外周溝26内に残っている環状台座30が外周溝26内から引っ張り出されることなく管10を挿入できる。これは、外周Oリング部32が小さいことで管10によって噛み込まれ難くなっているためであり、万が一、噛み込まれようとしても、外周溝26から引っ張り出されようとする外周Oリング部32のボリュームよりも環状台座30のボリュームが大きいことで、外周Oリング部32が環状台座30により引き戻される。このため、シールリング20の噛み込みを確実に防止し、このシールリング20によるシール性を確保できる。
【0068】
環状台座30が、外周Oリング部32に向かって3〜6度の傾斜部33が設けられつつ、外周Oリング部32に一体に形成されているので、挿入ガイド22をこの傾斜部33によりスムーズに案内できる。挿入ガイド22を設けない状態で管10を挿入する場合にも、この傾斜角度によって管10の内周側のエッジ部位が外周Oリング部32の先端に向かって自然に滑るように案内されて噛み込み難くなる。管10を挿入して外周Oリング部32に挿入方向の力が加わったときには、この外周Oリング部32が傾斜部33により設けられた逃げ空間G側に弾性変形するため無理な力が加わることがなく、しかも傾斜部33に外周Oリング部32が傾倒しようとするときに力が分散するため、根元から折れることも防止される。
【0069】
シールリング20の内周面にアール状の突出部35を設けていることで、シールリング20の内周側の面圧が上がり、突出部35と外周Oリング部32とによる上下のリップ構造によって一般的なOリングの軸シール力と同等のシール面圧が発揮される。シールリング20の片側から圧力が加わってこのシールリング20が外周溝26内を移動したとしても、そのシール面圧が維持される。
【0070】
図6においては、管10が先端側のシールリング20を乗り越えつつ、挿入ガイド22が挿入側のシールリング20を乗り越えようとする状態を示している。この場合にも、管10が挿入側のシールリング20を乗り越える場合と同様に挿入でき、さらに、挿入後にも管10挿入時の噛み込みによる引っ張りへの耐久性を向上し、優れたシール性を発揮できる。図においては、管10が開口部側の外周溝26を完全に覆った状態を示している。外周Oリング部32は、更に管10の挿入方向に押されるが、引き続き、その変形を逃げ空間Gで吸収することができる。
【0071】
図7においては、管10の挿入完了状態を示している。この場合、各シールリング20は、管10の挿入方向への変形が収まり、外周Oリング部32が環状台座30に引き戻されて左右対称となり、外周Oリング部32が所定の押圧力で管10の内周に密着し、シール状態が維持される。
なお、挿入ガイド22を用いることなく管10を挿入する場合にも、挿入ガイド22を使用した場合と同様のシール性と噛み込みによる引っ張りへの耐久性を発揮しながら管10を接続することが可能となる。
【0072】
図8図9においては、本発明における管継手の第2実施形態を示している。なお、この実施形態以降において、前記実施形態と同一部分は同一符号によって表し、その説明を省略する。
この実施形態では、シールリング70の外周Oリング部32が、環状台座30の外周中心部30aよりも挿入側にずらした位置に突出形成され、この外周Oリング部32の対称位置にアール状の突出部35が設けられている。この場合にも前記のシールリング20と同様にシール性を確保しながら噛み込みにくくでき、しかも、環状台座30の挿入側が長くなることで、この環状台座30の連続した内周面部位が長くなって対向する外周溝26との接触面積が大きくなり、これによって環状台座30の外周溝26への保持力が強くなり、噛み込みによるシールリング70の脱落等を確実に防止する。
【0073】
図10図11においては、本発明における管継手の第3実施形態を示している。
この実施形態では、シールリング80において、外周Oリング部32が環状台座30の最も挿入側にずれた状態で突出形成され、この外周Oリング部32の対称位置にアール状突出部35が設けられている。この場合には、環状台座30の内周面部位と外周溝26との接触面積を最も大きくでき、環状台座30全体を巾方向に長く設けることなく、噛み込みによるシールリング80の脱落等をさらに確実に防止する。
【符号の説明】
【0074】
1 継手本体
2 内筒
3 外筒
5 間隙
10 管
11 抜止め部材
20 シールリング
26 外周溝
30 環状台座
30a 外周中心部
31 外周面
32 外周Oリング部
35 突出部
D 線径
H 断面高さ
L1 外周溝の外径
L2 シールリングの内径
S1 環状台座の断面積
S2 外周溝の断面積
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11