(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記特許文献1の圧力センサの検出感度としては、圧電素子の形状や、透孔又は凹部の容積や、透孔又は凹部と外気との間を出入りする流量等によって決定がなされ、特に圧電素子の形状によって大きく左右され易い。この点、圧電素子は、圧電体の両面に電極膜等を具備する両面電極構造とされるので、その構造上、厚みが増してしまい大きな変形量を確保することが難しい。従って、共振周波数が高くなり且つ感度を上げ難かった。また、測定できる下限周波数を下げることが難しいうえ、例えば1Hz以下等の低周波帯域における感度が低いものであった。
【0005】
本発明は、このような事情に考慮してなされたもので、その目的は、圧力変動の検出を精度良く行うことができると共に、検出できる下限周波数を下げることができ、且つ低周波帯域の圧力変動を感度良く検出することができる圧力センサを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決して係る目的を達成するために、本発明は以下の態様を採用した。
(1)本発明の一態様に係る圧力センサは、圧力変動を検出する圧力センサであって、キャビティと、該キャビティの内部と外部とを連通する連通開口と、が形成されたセンサ本体と、先端部が自由端とされると共に、基端部が前記センサ本体に片持ち状に支持された状態で前記連通開口を塞ぐように配設され、前記キャビティの内部と外部との圧力差に応じて撓み変形する複数のレバー片と、複数の前記レバー片のうち、少なくともいずれか1つのレバー片の変位を測定する変位測定部と、を備え、複数の前記レバー片は、それぞれの前記先端部同士が所定のギャップをあけて向かい合うように配設されている。
【0007】
この態様に係る圧力センサによれば、センサ外部の圧力が変動すると、キャビティの外部と内部との間に圧力差が生じ、この圧力差に応じて複数のレバー片が同時且つ同方向に撓み変形する。また、この変形後、時間の経過と共にギャップを通じて圧力伝達媒体がキャビティの内部と外部との間を流動するので、キャビティの内部と外部との圧力が徐々に均衡状態となる。そのため、複数のレバー片の撓みが徐々に小さくなって元の状態に復元変形する。従って、変位測定部により、少なくとも1つのレバー片の変位測定(撓み変形測定)を行うことで、その測定結果から圧力変動を検出することができる。
【0008】
特に、上記圧力差が生じた際に、複数のレバー片が同時且つ同方向に変形する。そのため、各レバー片の先端部同士の間に形成されているギャップが、レバー片の変形に伴って大きくなることを抑制することができる。つまり、レバー片の変形が進むにしたがって大きくなるギャップの開きを小さく抑えることができる。
従って、ギャップを通じた圧力伝達媒体の流動量(出入り量)を小さくすることができ、キャビティ内部の圧力上昇をできるだけ抑えて、レバー片を十分に変形させることができる。従って、センサ感度を向上でき、圧力変動の検出を精度良く行うことができる。
【0009】
しかも、レバー片の変形後、該レバー片をゆっくりと復元変形させることができ、元の状態に戻るまでの緩和時間を大きく確保できる。従って、圧力差を長い時間に亘って維持できるので、従来よりも低い例えば1Hz以下の低周波数帯域の圧力変動であっても感度良く検出することが可能となり、検出できる下限周波数を下げることができる。
以上のことから、特に低周波帯域の圧力変動の検出を感度良く行うことができる高性能な圧力センサを得ることができる。
【0010】
(2)上記(1)に記載の圧力センサにおいて、複数の前記レバー片は、前記圧力差に対して同一の変位特性を有していることが好ましい。
【0011】
この場合には、キャビティの内部と外部との間に圧力差が生じた際、圧力差に応じて複数のレバー片を同一の変形量で撓み変形させることができる。従って、各レバー片の先端部同士の間に形成されているギャップの開き具合を、より小さく抑えることができる。そのため、上述した作用効果をより効果的に奏効させることができる。
【0012】
(3)上記(1)または(2)に記載の圧力センサにおいて、複数の前記レバー片は、該レバー片の外周縁と前記連通開口における内周縁との間に隙間が形成されることを防止するように配設されていることが好ましい。
【0013】
この場合には、キャビティの内部と外部とが、各レバー片の先端部同士の間に形成されているギャップを通じてのみ連通することになるので、キャビティの内部と外部との間における圧力伝達媒体の流動量をさらに小さくできる。従って、センサ感度をさらに向上でき、圧力変動の検出をより精度良く行い易い。
【0014】
(4)上記(1)から(3)の何れか1つに記載の圧力センサにおいて、前記変位測定部は、前記レバー片の基端部に形成されたピエゾ抵抗を備えることが好ましい。
【0015】
この場合には、ピエゾ抵抗を利用して自己変位検出型のレバー片とすることができ、レバー片の変位測定をより精度良く行うことが可能であり、圧力変動の検出を高精度に行い易い。
【0016】
(5)上記(1)から(3)の何れか1つに記載の圧力センサにおいて、前記変位測定部は、前記レバー片の基端部に圧電センサを備えることが好ましい。
【0017】
この場合には、圧電センサを利用して自己変位検出型のレバー片とすることができ、レバー片の変位測定をより精度良く行うことが可能であり、圧力変動の検出を高精度に行い易い。
【0018】
(6)上記(1)から(5)の何れか1つに記載の圧力センサにおいて、前記レバー片の基端部には、該レバー片を貫通する貫通孔が形成されていることが好ましい。
【0019】
この場合には、レバー片の基端部に貫通孔が形成されているので、該レバー片を撓み変形させ易くすることができる。そのため、キャビティの内部と外部との間に圧力差が生じた際、レバー片をより大きく変形させることができ、センサ感度をさらに向上させることができる。
また、各レバー片が容易に撓み変形し易いので、上記圧力差が生じた際に、複数のレバー片をより同期させた状態で同時且つ同方向に撓み変形することが可能になる。従って、変形の違いに起因するギャップ変化を防止でき、センサ感度のより一層の向上を期待できる。
【発明の効果】
【0020】
上記の態様に係る圧力センサによれば、圧力変動の検出を精度良く行うことができると共に、検出できる下限周波数を下げることができ、且つ低周波帯域の圧力変動を感度良く検出することができる。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明に係る圧力センサの実施形態について図面を参照して説明する。
(圧力センサの構成)
図1及び
図2に示すように、本実施形態の圧力センサ1は、圧力変動を検出するセンサであって、例えばシリコン支持層2a、シリコン酸化膜等の酸化層2b、及びシリコン活性層2cを熱的に張り合わせたSOI基板2を利用して形成され、センサ本体3と、2つのレバー片4A、4B(カンチレバー)と、変位測定部5と、を備えている。
【0023】
上記センサ本体3は、SOI基板2によって、上方に開口する有底筒状に形成されている。センサ本体3の内部空間は、キャビティ(空気室)10として機能し、上方に開口した部分はキャビティ10の内部と外部とを連通する連通開口11として機能する。
なお、図示の例では、センサ本体3は平面視長方形状に形成されているが、この形状に限定されるものではない。
【0024】
上記レバー片4A、4Bは、それぞれセンサ本体3の長手方向に沿いながら基端部4aから自由端とされた先端部4bに向けて一方向に延びる板状に形成されており、基端部4aがセンサ本体3に片持ち状に支持された状態で連通開口11を塞ぐように配設されている。
より具体的には、レバー片4A、4Bは、例えばSOI基板2におけるシリコン活性層2cにより、それぞれ平面視長方形状に形成され、基端部4aを介してセンサ本体3における周壁部3aの開口端の内側(連通開口11の内周端)に一体的に固定されることで、片持ち支持されている。
【0025】
この際、2つのレバー片4A、4Bは、それぞれの先端部4b同士が微小なギャップ12をあけて向かい合うように配設されている。また、各レバー片4A、4Bの外周縁と連通開口11における内周端との間にも、微小な隙間であるギャップ13があいている。
つまり、2つのレバー片4A、4Bは、上記した微小なギャップ12、13を僅かにあけた状態で、連通開口11を略閉塞している。これにより、2つのレバー片4A、4Bは、基端部4aを中心としてキャビティ10の内部と外部との圧力差に応じて撓み変形可能とされている。
【0026】
なお、2つのレバー片4A、4Bは、材質、外形形状及び厚みが同じであり、上記圧力差に対して同一の変位特性(応答特性)を有するように形成されている。また、図示の例では、レバー片4A、4Bの先端部4b同士の間に形成されているギャップ12の幅と、レバー片4A、4Bと連通開口11の内周端との間のギャップ13の幅とは、共に同じギャップ幅Gで形成されている場合を例にしている。
【0027】
各レバー片4A、4Bの基端部4aには、該レバー片4A、4Bを貫通する平面視コの字状の貫通孔15が形成されており、該レバー片4A、4Bが撓み変形し易い設計とされている。但し、この貫通孔15は必須なものではなく形成されていなくても構わないし、その形状は上記形状に限定されるものではない。
なお、上記貫通孔15は、連通開口11の内側に位置しており、レバー片4A、4Bを撓み易くしている。
【0028】
更に、各レバー片4A、4Bの基端部4aには、該レバー片4A、4Bの撓み量(変位量)に応じて抵抗値が変化するピエゾ抵抗20が、貫通孔15をセンサ本体3の短手方向から挟み込むようにそれぞれ形成されている。そして、これらピエゾ抵抗20には、該ピエゾ抵抗20の抵抗値変化に基づいてレバー片4A、4Bの変位を測定する検出回路22が接続されている。
【0029】
なお、図示の例では、上記2つのピエゾ抵抗20を接続するように銅等の導電性材料からなる配線部21が接続されており、配線部21及び2つのピエゾ抵抗20を含む全体的な形状が平面視U字状とされている。但し、この配線部21は、必須なものではなく具備しなくても構わない。この場合には、シリコン活性層2cを通じて2つのピエゾ抵抗20が導通する。しかしながら、必要以上に抵抗値が大きくならないようにピエゾ抵抗20を配線部21で接続することが好ましい。
【0030】
これにより、検出回路22を通じて、例えば各レバー片4A、4Bにおける一方のピエゾ抵抗20に所定電圧が印加されると、この電圧印加に起因する電流は、貫通孔15を回り込むようにして、一方のピエゾ抵抗20から配線部21を経由して他方のピエゾ抵抗20に流れる。
そのため、検出回路22は、レバー片4A、4Bの変位(撓み変形)に応じて変化するピエゾ抵抗20の抵抗値変化を電気的な出力信号として取り出すことが可能とされている。従って、この出力信号(センサ出力)に基づいて各レバー片4A、4Bの変位を測定でき、圧力変動を検出することが可能となる。
【0031】
なお、上記ピエゾ抵抗20は、例えばリン等のドープ剤(不純物)をイオン注入法や拡散法等の各種の方法によりドーピングされることで形成されている。また、ピエゾ抵抗20及び配線部21上には、図示しない絶縁膜が保護膜として被膜されており、外部との電気的な接触の防止がなされている。
また、上記したピエゾ抵抗20、配線部21及び検出回路22は、レバー片4A、4Bの変位を測定する変位測定部5として機能する。
【0032】
上記検出回路22は、
図3に示すように、ブリッジ回路30(ホイートストンブリッジ回路)と、基準電圧発生回路31と、作動増幅回路32と、を備えている。
【0033】
ブリッジ回路30は、一方のレバー片4Aのピエゾ抵抗20〔以下、第1ピエゾ抵抗35(抵抗値R1)と称する〕、及び固定抵抗36(抵抗値R2)が直列接続されてなる枝辺と、固定抵抗37(抵抗値R3)、及び他方のレバー片4Bのピエゾ抵抗20〔以下、第2ピエゾ抵抗38(抵抗値R4)と称する〕が直列接続されてなる枝辺と、が基準電圧発生回路31に対して並列に接続されている。
【0034】
また、ブリッジ回路30において、第1ピエゾ抵抗35と固定抵抗36との接続点(中点電圧E1)は、作動増幅回路32の反転入力端子(−端子)に接続され、第2ピエゾ抵抗38と固定抵抗37との接続点(中点電圧E2)は、作動増幅回路32の非反転入力端子(+端子)に接続されている。
【0035】
基準電圧発生回路31は、ブリッジ回路30に対して所定の基準電圧Vccを印加する。作動増幅回路32は、上記した中点電圧E1と中点電圧E2との間の電位差を検出し、その電位差を所定増幅率にて増幅して出力する。なお、この電位差は、2つのレバー片4A、4Bの変位に基づいた出力信号に応じた値となる。
【0036】
この点、詳細に説明する。
キャビティ10の外部と内部との間に圧力差が生じ、2つのレバー片4A、4Bが撓み変形すると、第1ピエゾ抵抗35及び第2ピエゾ抵抗38の抵抗値は共に変化する。この時の変化分(抵抗増加量)を△R1、△R4とすると、第1ピエゾ抵抗35に関しては電源側である基準電圧発生回路31側に接続されているので、△R1が増加した分、中点電圧E1が低下する。これに対して、第2ピエゾ抵抗38に関してはグランド側に接続されているので、△R4が増加した分、中点電圧E2が増加する。
このように中点電圧E1が低下し、中点電圧E2が増加するので、その差は両方の変化電圧の和となる。そして、作動増幅回路32により、この差を任意の倍率で増幅することで、2つのレバー片4A、4Bの変位に基づいた出力信号を得ることができる。特に、この検出回路22によれば、ブリッジ回路30に2つのレバー片4A、4Bのピエゾ抵抗20を組み込んでいるので、レバー片を1つだけ組み込む場合よりも2倍の出力信号を得ることが可能である。
【0037】
(圧力センサの作動)
次に、上述した圧力センサ1を利用して、圧力変動を検出する場合について説明する。
はじめに、
図4(A)に示す期間Aのように、キャビティ10の外部の圧力(以下、外気圧P
outと称する)と、キャビティ10の内部の圧力(以下、内気圧P
inと称する)との圧力差がゼロである場合には、
図5(A)に示すように、各レバー片4A、4Bは撓み変形することがない。
【0038】
ここで、
図4(A)に示す時刻t1以降の期間Bのように、例えば外気圧P
outがステップ状に上昇すると、キャビティ10の外部と内部との間に圧力差が生じるので、
図5(B)に示すように2つのレバー片4A、4Bは同時、且つ同方向に(キャビティ10の内部に向けて)撓み変形する。なお、
図5で示す黒矢印は圧力を示し、白矢印はレバー片4A、4Bの動きを示している。
すると、各レバー片4A、4Bの撓み変形に応じてピエゾ抵抗20に歪が生じ、それにより抵抗値が変化するので、
図4(B)に示すように出力信号が増大する。
【0039】
また、外気圧P
outの上昇以降、ギャップ12、13を介してキャビティ10の外部から内部へと圧力伝達媒体が流動するので、
図4(A)に示すように、内気圧P
inが時間の経過と共に外気圧P
outよりも遅れながら、且つ外気圧P
outの変動よりも緩やかな応答で上昇する。
これにより、内気圧P
inが外気圧P
outに徐々に近づくので、キャビティ10の外部と内部との圧力が均衡状態になりはじめ、各レバー片4A、4Bの撓みが徐々に小さくなり、
図4(B)に示すように上記出力信号が徐々に低下する。
【0040】
そして、内気圧P
inが外気圧P
outに等しくなると、
図5(C)に示すように、レバー片4A、4Bの撓み変形が解消されて元の状態に復帰し、
図4(B)に示す時刻t2以降の期間Cのように上記出力信号が再びゼロになる。
【0041】
このように、変位測定部5により、2つのレバー片4A、4Bの変位に基づいた出力信号の変動をモニタすることで、圧力変動を検出することができる。特に、SOI基板2のシリコン活性層2cを利用して半導体プロセス技術によりレバー片4A、4Bを形成できるので、従来の圧電素子に比べて薄型化(例えば数十〜数百nm)し易い。従って、微小な圧力変動の検出を精度良く行うことができる。
【0042】
しかも、本実施形態の圧力センサ1によれば、2つのレバー片4A、4Bが同時且つ同方向に変形するので、各レバー片4A、4Bの先端部4b同士の間に形成されているギャップ12が、レバー片4A、4Bの変形に伴って大きくなることを抑制することができる。つまり、レバー片4A、4Bの変位が進むにしたがって大きくなるギャップ12の開きを小さく抑えることができる。
【0043】
この点、詳細に説明する。
比較例として、
図6(A)に示すように、センサ本体3に基端部41aが片持ち支持されたレバー片41が1つだけ配設された圧力センサ40を例に挙げる。この圧力センサ40においては、レバー片41の先端部41bと連通開口11の内周端との間にギャップ12が形成される。
ここで、
図6(A)に示す比較例における圧力センサ40のギャップ12と、
図6(B)に示す本実施形態の圧力センサ1のギャップ12と、が共に同じギャップ幅G0である場合において、キャビティ10の内部と外部との間に圧力差が生じて各レバー片4A、4B、41が変形した状態を
図7(A)、(B)に示す。
【0044】
なお、比較例における圧力センサ40のキャビティ10と、本実施形態の圧力センサ1のキャビティ10とは、同じ容積とされる。また、比較例における圧力センサ40のレバー片41と、本実施形態における圧力センサ1のレバー片4A、4Bとは、同一の変位特性とされている。
【0045】
図7(A)に示すように、比較例における圧力センサ40においては、連通開口11の内周端に対してレバー片41の先端部41bが変位するので、ギャップ幅G0がギャップ幅GAまで大きく広がってしまう。
これに対して、
図7(B)に示すように、本実施形態の圧力センサ1においては、2つのレバー片4A、4Bが同時且つ同方向に変形するので、ギャップ幅G0がほとんど変化せず、上記ギャップ幅GAよりも遥かに小さいギャップ幅GBとなる。しかも、2つのレバー片4A、4Bは、圧力差に対して同一の変位特性を有しているので同期して撓み変形する。よって、ギャップ12の開きを極力抑えることができ、上記したようにギャップ幅GBとすることができる。
【0046】
ここで、比較例における圧力センサ40と、本実施形態における圧力センサ1と、でギャップ幅の開きがどの程度異なるかという点について、実際に試験を行った結果を
図8及び
図9に示す。
【0047】
図8は、圧力センサ1、40においてギャップ幅G0を共に5μmに設定し、その状態から外気圧P
outが△P(Pa)上昇、即ち△Pの圧力差が生じたときに、それぞれのギャップ幅G0が増大して、各レバー片4A、4B、41の変形後にギャップ幅GA、GBとしての値がその程度になったかを試験した結果である。
図9は、ギャップ幅G0を共に1μmに設定した場合において、上記と同様の試験を行った結果である。
【0048】
これら
図8及び
図9から明らかなように、比較例における圧力センサ40に比べて、本実施形態の圧力センサ1の方がギャップ幅の開きが遥かに小さいことが実際に確認できた。しかも、ギャップ幅G0が小さいほど、その効果が顕著であることが確認できた。
【0049】
このように、本実施形態の圧力センサ1によれば、先端部4b同士が向かい合うように2つのレバー片4A、4Bを具備しているので、レバー片4A、4Bの変位が進むにしたがって大きくなるギャップ12の開きを小さく抑えることができる。
従って、このギャップ12を通じた圧力伝達媒体の流動量(出入り量)を小さくすることができ、キャビティ10内部の圧力上昇をできるだけ抑えてレバー片4A、4Bを十分に変形させることができる。そのため、
図4(B)に示すように、大きなセンサ出力を得ることができる。従って、本実施形態の圧力センサ1によれば、センサ感度を向上でき、圧力変動の検出を精度良く行うことができる。
なお、
図4(B)で示す点線は、上記した比較例における圧力センサ40のように、レバー片を1つだけ具備する場合のセンサの出力信号を示している。
【0050】
更に、
図4(B)で示すように、レバー片4A、4Bの変形後、該レバー片4A、4Bをゆっくりと復元変形させることができ、元の状態に戻るまでの緩和時間を大きく確保できる。従って、圧力変動を長時間に亘って維持することが可能となり、
図10に示すように、従来よりも低い、例えば0.1以上、1Hz以下の周波数帯域の圧力変動であっても感度良く検出することができ、検出できる下限周波数を下げることができる。
なお、
図10で示す点線は、上記した比較例における圧力センサ40のように、レバー片を1つだけ具備する場合のセンサの出力信号を示している。
【0051】
以上のことから、本実施形態の圧力センサ1によれば、圧力変動の検出を精度良く行うことができると共に、検出できる下限周波数を下げることができ、且つ低周波帯域の圧力変動を感度良く検出できる高性能なセンサとすることができる。
【0052】
なお、ギャップ幅を小さくするほど、キャビティ10の内部と外部との圧力差を維持し易いので、微小な圧力変動であっても検出し易く、圧力変動の下限周波数が低下することが理論上知られているが、本発明によれば、複数のレバー片4A、4Bを利用した具体的な構成により、この理論通りの効果を奏効できる。
【0053】
そして、本実施形態の圧力センサ1は、上記したような作用効果を発揮できるため、以下の各種用途に適用することができる。
例えば、自動車用ナビゲーション装置に適用することが可能である。この場合、例えば圧力センサ1を利用して高低差に基づく気圧差を検出できるので、高架道路と高架下道路とを正確に判別してナビゲーション結果に反映させることができる。
また、携帯用ナビゲーション装置に適用することも可能である。この場合、例えば圧力センサ1を利用して高低差に基づく気圧差を検出できるので、ユーザが建物内の何階に位置しているのかを正確に判別してナビゲーション結果に反映させることができる。
【0054】
更には、室内の気圧変化を検出することが可能であるので、例えば建物や自動車の防犯装置に適用することも可能である。特に、1Hz以下の周波数帯域の圧力変動であっても感度良く検出することができるので、ドアや引き戸の開閉等に基づく圧力変動であっても検出することが可能であり、防犯装置等の適用に好適である。
【0055】
(変形例)
なお、本発明の技術範囲は上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
【0056】
例えば、上記実施形態では、2つのレバー片4A、4Bを圧力差に対して同一の変位特性を有するように形成したが、変位特性が異なっていても構わない。つまり、一方のレバー片4Aが他方のレバー片4Bよりも若干大きく撓み変形するように設計しても構わない。この場合であっても、同様の作用効果を奏効することができる。
但し、2つのレバー片4A、4Bを、同一の変位特性を有するように形成することで、各レバー片4A、4Bの先端部4b同士の間に形成されているギャップ12の開き具合をより小さくできるので好ましい。
【0057】
(第1変形例)
また、上記実施形態では、2つのレバー片4A、4Bの先端部4b同士の間に形成されているギャップ12の幅と、レバー片4A、4Bと連通開口11の内周端との間のギャップ13の幅とを同じギャップ幅Gで形成したが、
図11に示すように、上記ギャップ12のギャップ幅Gよりも、上記ギャップ13のギャップ幅G1を小さくしても良い。
このようにすることで、ギャップ13を通じた圧力伝達媒体の流動量を小さくできるので、上述した作用効果をより効果的に奏効することができる。
【0058】
(第2変形例)
また、上記実施形態では、2つのレバー片4A、4Bを具備する構成としたが、3つ以上のレバー片を具備する構成としても構わない。
例えば、
図12に示すように、3つのレバー片4A、4B、4Cを具備し、各レバー片4A、4B、4Cの先端部4b同士がギャップ12をあけて向かい合うように配設された圧力センサ50としても構わない。なお、図示の例では、平面視六角形状のセンサ本体3としている。
この場合であっても、同様の作用効果を奏効することができる。それに加え、各レバー片4A、4B、4Cと連通開口11の内周端との間のギャップ13の形成領域を上記実施形態の圧力センサ1よりも小さくし易いので、このギャップ12を通じた圧力伝達媒体の流動量を小さくでき好ましい。
【0059】
(第3および第4変形例)
また、
図13に示すように、4つのレバー片4A、4B、4C、4Dを具備し、各レバー片4A、4B、4C、4Dの先端部4b同士がギャップ12をあけて向かい合うように配設された圧力センサ60としても構わない。なお、図示の例では、平面視正方形状のセンサ本体3としている。
更には、
図14に示すように、5つのレバー片4A、4B、4C、4D、4Eを具備し、各レバー片4A、4B、4C、4D、4Eの先端部4b同士がギャップ12をあけて向かい合うように配設された圧力センサ70としても構わない。なお、図示の例では、平面視五角形形状のセンサ本体3としている。
【0060】
図13及び
図14に示す場合であっても、同様の作用効果を奏効することができる。それに加え、図示のように各レバー片4A、4B、4C、4D、4Eを平面視三角形状にすることで、連通開口11における各辺に対して各レバー片4A、4B、4C、4D、4Eの基端部4aを接続することが可能であるので、各レバー片4A、4B、4C、4D、4Eの外周縁と連通開口11の内周端との間に形成されていた上記ギャップ13を無くすことができる。従って、各レバー片4A、4B、4C、4D、4Eの先端部4b同士の間で形成されるギャップ12を通じてのみ、圧力伝達媒体を流通させることができるので、流動量をさらに小さくできる。
【0061】
従って、センサ感度をさらに向上でき、圧力変動の検出をより精度良く行い易い。さらにこの場合には、各レバー片4A、4B、4C、4D、4Eの形状が平面視三角形状であるので、剛性を高めることができ、レバー片4A、4B、4C、4D、4Eの作動信頼性を高めることができる。
【0062】
(他の変形例)
なお、本実施形態においてレバー片の数は6つ以上としても良いし、形状も片持ち支持されるのであれば自由に設計して構わない。また、センサ本体3の形状としては、レバー片の数や形状等に適宜変更して構わない。
【0063】
また、上記実施形態では、ピエゾ抵抗20を利用してレバー片の変位を測定する構成としたが、例えば、レバー片に検出光を照射し、その反射光の受光位置に基づいてレバー片の変位を測定する方式(いわゆる光てこ方式)であっても構わない。
但し、上記実施形態のように、ピエゾ抵抗20を利用することで自己変位検出型のレバー片とすることができるので、外光等の影響を受けることなく、圧力変動の検出を高精度に行い易い。
【0064】
また、本実施形態では、複数のレバー片が同時且つ同方向に撓み変形するので、変位測定部5により、複数のレバー片のうち少なくともいずれか1つのレバー片の変位を測定すれば良く、圧力変動を検出することができる。
例えば、
図3に示す検出回路22において、2つのレバー片4A、4Bのうちの、どちらか一方のピエゾ抵抗20だけをブリッジ回路30に組み込んでも構わない。この場合であっても、同様に検出信号を得ることができる。但し、上述したように、同一の変位特性を有する2つのレバー片4A、4Bのピエゾ抵抗20をブリッジ回路30に組み込むことで、レバー片を1つだけ組み込む時よりも2倍の出力信号を得ることができるので、より好ましい。
【0065】
(第5変形例)
なお、上記実施形態では、
図15および
図16に示すように、ピエゾ抵抗20の代わりに圧電センサを用いてレバー片の変位を測定してもよい。つまり、上記実施形態では、ピエゾ抵抗20の抵抗値変化に基づいてレバー片4A、4Bの変位を測定する構成としたが、レバー片4A、4Bの変位に応じて撓む圧電素子より生ずる起電力を検出することで、レバー片4A、4Bの変位を測定する構成とすることも可能である。この第5変形例の圧力センサ80は、
図1および
図2に示す圧力センサ1においてピエゾ抵抗20の代わりに圧電センサ81を備えたものである。
圧電センサ81は、PZT(チタン酸ジルコン酸鉛)またはAlN(窒化アルミニウム)などの薄膜圧電体82と、薄膜圧電体82を厚さ方向の両側から挟み込むPt/Ti電極(チタン基材の表面にプラチナがめっきされた電極)などの第1および第2電極83,84と、第1および第2電極83,84の各々と検出回路22とを接続するAu(金)などからなる第1および第2取り出し電極85,86と、を備えている。圧電センサ81は、2つのレバー片4A、4Bの各々の基端部4aに第2電極84が装着されることによって実装されている。
【0066】
この第5変形例において、検出回路22は、例えば
図17に示す電荷電圧変換型の検出回路22Aまたは
図18に示す電圧増幅型の検出回路22Bであって、各圧電センサ81の第1取り出し電極85を正極かつ第2取り出し電極86を負極として、2つのレバー片4A、4Bに装着された2つの圧電センサ81,81を直列に接続して、出力電圧Voutを出力する。
【0067】
図17に示す電荷電圧変換型の検出回路22Aは、オペアンプ91と、帰還抵抗(抵抗値Ra)92と、帰還抵抗92に並列に接続されたコンデンサ(容量値Ca)93と、を備えている。直列に接続された2つの圧電センサ81,81の正極はオペアンプ91の反転入力端子(−)に接続され、負極はオペアンプ91の非反転入力端子(+)に接続されるとともに接地されている。この検出回路22Aの出力電圧Voutは、直列に接続された2つの圧電センサ81,81の正極に生じる正電荷(+q)により、例えば下記数式(1)に示すように記述される。
【0069】
図18に示す電圧増幅型の検出回路22Bは、オペアンプ95と、帰還抵抗(抵抗値Rd)96と、オペアンプ91の非反転入力端子(+)と接地点との間に接続された第1抵抗(抵抗値Rb)97と、オペアンプ91の反転入力端子(−)と接地点との間に接続された第2抵抗(抵抗値Rc)98と、を備えている。直列に接続された2つの圧電センサ81,81の正極はオペアンプ95の非反転入力端子(+)に接続され、負極は接地点にて接地されている。この検出回路22Bの出力電圧Voutは、直列に接続された2つの圧電センサ81,81の正極の電位Vinにより、例えば下記数式(2)に示すように記述される。
【0071】
(第6変形例)
なお、上述した第6変形例においては、
図19および
図20に示すように、上述した第2〜第4変形例と同様に3つ以上のレバー片を備えてもよく、3つ以上のレバー片の各々に圧電センサ81を備えてもよい。この場合の検出回路22は、
図21に示す電荷電圧変換型の検出回路22Aまたは
図22に示す電圧増幅型の検出回路22Bのように、3つ以上のレバー片に装着された3つ以上の圧電センサ81,…,81を直列に接続して、出力電圧Voutを出力する。
【0072】
第5変形例および第6変形例によれば、複数の圧電センサ81を直列に接続して出力電圧Voutを増大させることができ、検出感度を向上させることができる。
なお、第5変形例および第6変形例において、圧電センサ81の厚さに起因する感度低下が生じる場合には、各レバー片を長くしたり、各レバー片の先端部を基端部に比べて幅広に形成することによって、感度上昇に対するレバー片の寄与を増大させてもよい。