(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6184014
(24)【登録日】2017年8月4日
(45)【発行日】2017年8月23日
(54)【発明の名称】生体組織診断装置
(51)【国際特許分類】
A61B 10/00 20060101AFI20170814BHJP
【FI】
A61B10/00 E
【請求項の数】6
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2013-240218(P2013-240218)
(22)【出願日】2013年11月20日
(65)【公開番号】特開2015-97730(P2015-97730A)
(43)【公開日】2015年5月28日
【審査請求日】2016年8月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】596151537
【氏名又は名称】オメガウェーブ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100100365
【弁理士】
【氏名又は名称】増子 尚道
(72)【発明者】
【氏名】鹿嶋 進
【審査官】
宮川 哲伸
(56)【参考文献】
【文献】
特表2010−532699(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2005/0171414(US,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2004/0054270(US,A1)
【文献】
川内聡子,脳組織バイアビリティーの光学的モニタリング,レーザー研究,日本,一般社団法人 レーザー学会,2012年 4月15日,第40巻 第4号,P.236-240
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 10/00
A61B 5/145 − 5/1495
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
生体組織に対してレーザー光を照射するとともに当該生体組織で拡散反射された光を受光し、この光の強度分布に基づいて当該生体組織の可逆性を判定する診断装置であって、
前記生体組織中の判定を行う判定領域を設定する領域設定部と、
前記判定領域に対してレーザー光を照射するレーザー光照射部と、
前記生体組織で拡散反射されたレーザー光の散乱光を受光する散乱光受光部と、
前記散乱光受光部により受光された散乱光の、前記判定領域内における強度分布を検出する散乱光強度分布検出部と、
前記散乱光強度分布検出部により検出された前記判定領域内の強度分布から、当該強度分布の広がり程度を算出する分布程度算出部と、
前記分布程度算出部により算出された前記広がり程度が予め定められた大きさ以上の場合に前記判定領域内の生体組織の可逆性が喪失または低下したと判定する可逆性判定部と
を備えたことを特徴とする生体組織診断装置。
【請求項2】
前記レーザー光照射部により照射されるレーザー光は、600nm〜900nmの波長を有する
請求項1に記載の生体組織診断装置。
【請求項3】
前記生体組織の表面で反射したレーザー光が前記散乱光受光部に取り込まれることを防ぎ又は低減する偏光板をさらに備えた
請求項1または2に記載の生体組織診断装置。
【請求項4】
前記生体組織は、脳である
請求項1から3のいずれか一項に記載の生体組織診断装置。
【請求項5】
前記領域設定部は、前記判定領域として複数の領域を設定することが可能であり、
これら複数の判定領域の各々について、前記散乱光強度分布検出部は前記強度分布を検出し、前記分布程度算出部は前記広がり程度を算出し、前記可逆性判定部は判定を行う
請求項1から4のいずれか一項に記載の生体組織診断装置。
【請求項6】
前記生体組織と前記判定領域とを表示する画像表示部をさらに備え、
当該画像表示部は、前記可逆性判定部によって前記可逆性が喪失または低下したと判定されなかった場合には当該判定領域に第一の色彩を施して表示する一方、前記可逆性が喪失または低下したと判定された場合には当該判定領域に前記第一の色彩とは異なる第二の色彩を施して表示する
請求項1から5のいずれか一項に記載の生体組織診断装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生体組織診断装置に係り、特に低酸素または低血流状態となった脳組織の可逆性(バイアビリティ(Viability/生存度))を判定する診断装置に関する。
【背景技術】
【0002】
全身の臓器・器官のうちでも酸素消費量の特に多い脳は酸素不足に敏感に反応し、虚血ないし低酸素状態が続くと、機能低下を生じ、機能喪失から脳細胞の破壊へと進行し生命の危険へとつながる。
【0003】
下記非特許文献1(以下「川内」と言う)は、低酸素下における脳組織のバイアビリティを光学的にモニタリングする技術に関するものであるが、この文献において川内は、赤色から近赤外光をラットの脳に照射し、その散乱光強度の時間変動を測定することにより、脳の低酸素状態と脱分極による脳組織の可逆・不可逆性の判断を行うことが出来るとしている。
【0004】
図1は、自発呼吸下で100%窒素を吸入させたラットの脳からの散乱光強度の時間変化の一例を示すもので、横軸が時間、縦軸が散乱光強度である。川内の報告では、
図1のAの期間、即ち散乱光強度が弱くなった後に上昇する時に脱分極が生じているとしている。脱分極が脳内で発生し一定時間経過すると、血流(酸素の供給)が再開されても脳機能の回復が得られなくなる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】川内聡子著「脳組織バイアビリティーの光学的モニタリング」レーザー研究 第40巻第4号(第236〜240頁)2012年4月 一般社団法人レーザー学会編
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、川内の方法は、散乱光強度の時間的変動から脳の状態を診断するもので、診断を行うには脳組織が正常な状態から酸素不足により脱分極(この状態では機能回復が最早困難である)が生じるまでを連続して測定する必要がある。
【0007】
このため、実験室における動物実験とは違って例えば、脳梗塞で搬送されてきた患者の脳の状態を診断する場合のような、任意の時点での状態をその場で即座に(時間を追うことなく)診断するようなことは川内の方法では出来ない。また、測定システムを診断対象から一旦はずした後に再度装着するようなことも測定条件が同一とならないために難しく、対象組織が既に酸素不足または低血流の状態で正常ではない場合にも診断を行うことは出来ない。
【0008】
したがって、連続的な測定を行わなくても生体組織の状態を診断可能な技術の提供が望まれる。本発明の目的はこのような要望に応えることにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決し目的を達成するため、本発明に係る生体組織診断装置は、生体組織に対してレーザー光を照射するとともに当該生体組織で拡散反射された光を受光し、この光の強度分布に基づいて当該生体組織の可逆性を判定する診断装置であって、生体組織中の判定を行う判定領域を設定する領域設定部と、判定領域に対してレーザー光を照射するレーザー光照射部と、生体組織で拡散反射されたレーザー光の散乱光を受光する散乱光受光部と、散乱光受光部により受光された散乱光の、前記判定領域内における強度分布を検出する散乱光強度分布検出部と、散乱光強度分布検出部により検出された判定領域内の強度分布から、当該強度分布の広がり程度を算出する分布程度算出部と、分布程度算出部により算出された前記広がり程度が予め定められた大きさ以上の場合に判定領域内の生体組織の可逆性が喪失または低下したと判定する可逆性判定部とを備えた。
【0010】
コヒーレント光であるレーザー光を生体組織に照射すると、照射されたレーザー光が生体組織で拡散反射され、これら拡散反射された散乱光が重ね合される(各場所で反射された位相が異なる反射光が重なり合う)ことにより明暗、即ち光の強度の違いによる斑点模様(スペックルパターン)が生じる。このスペックルパターンは物体の光学的特性によって異なり、固体であればスペックルパターンの強度は、最も弱い(暗い)強度を「0」、最も強い(明るい)強度を「1」とすると、基本的に0(暗)から1(明)までの値が分布することとなる。
【0011】
一方、生体組織内に血液が流れている場合には光を散乱させる主成分である赤血球からの散乱光によって、スペックルパターンは固定化されずに時間的な変動を示すが(変動速度は変動の主因である血流速度の関数となる)、撮影画像中の或る範囲(前記判定領域を細かく分割した小領域/例えば撮影を行うCCDカメラの各画素)の光強度の時間平均値、即ち或る一定時間(例えば数十分の一秒から数秒/例えばCCDの画素(フォトダイオード)への電荷蓄積時間)中の受光強度の平均値はいずれも0と1の間の値をとり、
図2に示すようにスペックルパターンの強度分布D1は、或る値を中心とする正規分布状になる。
【0012】
他方、生体組織が虚血状態のような酸素不足の状態になると、血流の減少と脱分極による細胞形状の変化により上記変動が小さくなってスペックルパターンが固定化され、
図2に示すように幅広い強度分布D2となる。つまり、酸素不足の状態になると、散乱光強度分布の広がり程度が大きくなる(例えば半値全幅W1,W2が、W1>W2となる)。さらに、全く動きの無い物体にレーザー光を照射した場合には光強度およびスペックルパターンは一定で変化せず、例えば
図2に示すような平坦な強度分布D3となる。
【0013】
なお、脱分極とは、細胞膜内外のイオンが激しく流出入する現象で、細胞外直流電位の急激な減少を伴って細胞および細胞小器官の形状変化を生じ、長く続くと不可逆的な神経細胞死につながる。
【0014】
本発明は、上記のような散乱光の強度分布が変化する現象を利用するもので、スペックルパターンの強度分布を測定し、この強度分布の広がりがどの程度であるかによって生体組織の可逆性を判定する。これにより、前記川内のように時間を追って連続的に測定を行わなくても任意の時点における生体組織の状態を直ちに判定することが可能となる。
【0015】
具体的には、まず前記領域設定部により判定を行う生体組織の領域(判定領域)を設定する。次に、当該判定領域を含む生体組織に対してレーザー光照射部によってレーザー光を照射し、生体組織で拡散反射された光を散乱光受光部で受光する。この受光した散乱光から散乱光強度分布検出部は判定領域内における強度分布を検出する。検出された強度分布を用い、分布程度算出部は、当該強度分布の広がり程度を算出する。そして、この算出された広がり程度が予め定められた大きさ以上の場合に、可逆性判定部は当該判定領域内の生体組織の可逆性が喪失または低下したと判定する。
【0016】
なお、本発明の典型的な態様では、散乱光受光部は撮像素子(例えばCCDイメージセンサ)であり、上記散乱光の強度分布は当該撮像素子の各画素(ピクセル)の受光強度の分布、即ち受光強度に関する度数分布(画素数の分布)である。
【0017】
また、上記レーザー光としては、赤から近赤外のレーザー光、即ち波長が600nm〜900nmのレーザー光を用いることが好ましい。当該波長領域では生体組織と血液(赤血球)による吸収が少ないためである。さらに好ましくは、約800nmの波長を有するレーザー光を使用する。この波長領域では酸素化と脱酸素化赤血球による吸収係数がほぼ等しく、血液の酸素化の度合いの影響を受けにくいからである。
【0018】
また、本発明の生体組織診断装置では、生体組織の表面で反射したレーザー光が散乱光受光部に取り込まれることを防ぎ又は低減するためにレーザー光の偏光方向と垂直な偏光方向に設定した偏光板をさらに備えることが好ましい。生体組織の表面で反射される光を遮断し、より精度の高い判定を行うためである。
【0019】
さらに本発明の一態様では、領域設定部が判定領域として複数の領域を設定することが可能で、これら複数の判定領域の各々について、散乱光強度分布検出部が強度分布を検出し、分布程度算出部が広がり程度を算出し、可逆性判定部が判定を行う。
【0020】
また、上記態様では、生体組織と判定領域とを表示する画像表示部をさらに備え、この画像表示部は、可逆性判定部によって可逆性が喪失または低下したと判定されなかった場合には当該判定領域に第一の色彩を施して表示する一方、可逆性が喪失または低下したと判定された場合には当該判定領域に第一の色彩とは異なる第二の色彩を施して表示するようにすることが出来る。
【0021】
このような態様によれば、生体組織のどの部分が回復可能でどの部分が回復不能であるかひと目で判断することが可能となる。
【0022】
本発明に言う生体組織とは、典型的には脳であるがこれに限定されず、脳以外の各種の臓器や器官が当該生体組織に含まれる。脳以外の臓器や器官などの生体組織も脳組織と同様に血流や酸素によって生命活動を行う細胞で構成されており、脳と同様に本発明を適用することが可能と考えられるからである。また、本発明の適用対象となる生体組織は、動物・人間のいずれに係るものであっても良い。
【発明の効果】
【0023】
本発明に係る生体組織診断装置によれば、連続的な測定を行わなくても即座に生体組織の可逆性を判定することが可能となる。
【0024】
本発明の他の目的、特徴および利点は、図面に基づいて述べる以下の本発明の実施の形態の説明により明らかにする。なお、本発明は下記の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載の範囲内で種々の変更を行うことができることは当業者に明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】
図1は、自発呼吸下で100%窒素を吸入させたラットの脳からの散乱光強度の時間変化の一例を示す線図である。
【
図2】
図2は、生体組織にレーザー光を照射した場合の散乱光(拡散反射光)の強度分布を示す線図である。
【
図3】
図3は、本発明の一実施形態に係る生体組織診断装置を示すブロック図である。
【
図4】
図4は、自発呼吸下で100%窒素を吸入させたラットの脳からの平均散乱光強度の時間変化を示す線図である。
【
図5】
図5は、前記
図4と同様に自発呼吸下で100%窒素を吸入させたラットの脳からの散乱光の強度分布に関する規格化半値全幅(散乱光強度の平均値で規格化した半値全幅)の時間変化を示す線図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図3に示すように本発明の一実施形態に係る生体組織診断装置11は、脳組織の可逆性を判定するもので、診断対象である脳10にレーザー光を照射してその反射光を撮影する撮影部21と、撮影した画像データから反射光の強度分布(ヒストグラム)を得てその広がり程度を算出し当該生体組織10の可逆性を判定する装置本体部31とからなる。なお、
図3は本実施形態に係る装置を機能的に把握した機能ブロック図であり、装置各部(各ブロック)はハードウエア又はコンピュータソフトウエアにより適宜実現すれば良い。
【0027】
撮影部21は、レーザー光を発光するレーザー光照射部22と、上記反射光を受光するCCDカメラ23とからなる。
【0028】
一方、装置本体部31は、表示部(ディスプレイ)33や入力装置(キーボード・マウス等)を含むコンピュータにより構成し、表示部33における画像表示を制御する画像表示制御部32と、可逆性の判定を行う領域(判定領域/以下「ROI」(Region of Interest:関心領域)と言うことがある)を表示部33に表示された画像上で設定することを可能とするROI設定部34と、ROI設定部34を通じて設定されたROI内の散乱光の強度分布をCCDカメラ23により取得された画像データから得る散乱光強度分布検出部35と、散乱光強度分布検出部35により得られた散乱光の強度分布から分布の程度(広がり程度)を算出する分布程度算出部36と、分布程度算出部36により算出された広がり程度を予め設定された閾値と比較して当該閾値以上の場合に異常状態である(可逆性が低下又は喪失した)と判定する可逆性判定部37とを有する。
【0029】
診断にあたっては、CCDカメラ23によって撮影され画像表示制御部32によってディスプレイ33の画面上に表示された脳10の画像上でマウス操作により所望の範囲を囲むことによりROI(判定領域)を設定する。そして、このROIを含む脳組織10に対してレーザー光照射部22によりレーザー光を照射するとともに、当該脳組織10で拡散反射された散乱光をCCDカメラ23で受光する。なお、ROI設定部34は、複数のROIを設定することが可能であり、例えば疑わしい複数の患部を選択しておいてこれら各部について同時に判定を行うことが可能である。
【0030】
CCDカメラ23からの画像信号は画像表示制御部32に取り込まれ、画像表示制御部32はこの画像信号から、上記設定された各ROI内の各画素の光強度信号を抽出して当該ROI内の各画素の光強度データを散乱光強度分布検出部35に出力する。散乱光強度分布検出部35は、当該データに含まれる各画素の光強度データから各画素の受光強度の時間平均値を算出し、各ROI内の各画素に関する強度分布を求める。
【0031】
そして、これらの強度分布データは分布程度算出部36に出力される。分布程度算出部36は当該強度分布から広がり程度を算出する。この広がり程度は、本実施形態では、散乱光強度の半値全幅FWHMを当該ROI内の散乱光強度の平均値Rmで規格化した(除した)値である規格化半値全幅N.FWHM(=FWHM/Rm)であり、分布程度算出部36はこの規格化半値全幅N.FWHMを算出して可逆性判定部37に出力する。なお、当該広がり程度は、散乱光の強度分布にどの程度のばらつきがあるかを示すものであれば良いから、例えば標準偏差などの指標を使用するようにしても構わない。
【0032】
可逆性判定部37は、分布程度算出部36から提供されたN.FWHMを、予め記憶させてある閾値と比較し、N.FWHMが当該閾値未満の場合には正常状態と、また、N.FWHMが当該閾値以上の場合には異常状態と判定し、これらの判定結果を画像表示制御部32に出力する。
【0033】
画像表示制御部32は、設定されている複数のROI(判定領域)の各々について可逆性判定部37による判定結果に基づいた表示を表示部33を介して行う。具体的には、正常状態のROIには特定の色彩(例えば赤色)を、異常状態のROIには正常状態とは異なる特定の色彩(例えば青色)を施して表示部33の画面上に表示する。なお、このように2色(正常状態と異常状態の2段階)ではなく、N.FWHMの数値によって3色(例えば正常状態と異常状態とこれらの中間的な状態との3段階)のカラー表示やそれ以上の段階的な表示を行うようにすることも可能である。
【0034】
また、このほかにも画像表示制御部32によって表示部33には、スペックルパターンの画像や散乱光の強度分布を示すグラフ(散乱光強度分布検出部35は強度分布データを画像表示制御部32にも出力し、このデータに基づいて表示する)、あるいは散乱光の強度を強度別に色彩を施して生体組織10の画像に対応させて表示する画像など、様々な表示を画面上に行わせることが出来る。
【0035】
図4は、本実施形態に係る診断装置11を使用して自発呼吸下で100%窒素を吸入させたラットの脳からの散乱光強度(受光強度)の時間変化を連続的に測定した結果を示す線図である。測定では時間が0秒の時から100%窒素を吸気させて脳に障害を与えた。この測定結果から、150秒から200秒付近で脱分極が生じていると考えられる。川内では、散乱光強度が再度上昇した後(約250秒以後)でのラットの生存率は0%であり、それ以前の生存率は10〜40%であると報告されている。したがって、250秒以前の脳組織の状態であれば適切な処置を施すことで存命が可能と考えられる。
【0036】
さらに
図5は、自発呼吸下で100%窒素を吸入させたラットの脳からの散乱光の強度分布に関する規格化半値全幅(散乱光強度の平均値で規格化した半値全幅)N.FWHMの時間変化を示す線図であり、前記
図4と同様に本実施形態の診断装置11を使用して測定した結果を示すものである。
【0037】
図5において約220秒からN.FWHMの急激な上昇が観測される。約250秒後にはN.FWHMは窒素吸入前の約2倍の値を示している。このN.FWHMの広がりは血流の減少と脳細胞におけるバイアビリティの低下を反映したものと考えられる。このように散乱光強度分布の広がり程度から脳組織の可逆性を判断することが出来る。
【符号の説明】
【0038】
10 生体組織
11 生体組織診断装置
21 撮影部
22 レーザー光照射部
23 CCDカメラ
31 装置本体部
32 画像表示制御部
33 表示部(ディスプレイ)
34 ROI設定部
35 散乱光強度分布検出部
36 分布程度算出部
37 可逆性判定部