(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
(粒状洗剤)
本発明の粒状洗剤は、(A)成分:水不溶性成分と、(B)成分:アルカリ金属の炭酸塩と、(C)成分:アルカリ金属の重炭酸塩と、(D)成分:界面活性剤と、を含有する。
【0010】
<(A)成分:水不溶性成分>
本発明における(A)成分は、水不溶性成分であり、25℃のイオン交換水に対する溶解度が0.1g/100mL以下の成分をいう。
(A)成分としては、例えば、A型ゼオライト、P型ゼオライト、X型ゼオライト等のゼオライト、ベントナイト、酸化アルミニウム、酸化鉄、脂肪酸カルシウム等が挙げられる。これらの中でも、ゼオライト、ベントナイトが好ましい。
(A)成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
粒状洗剤中の(A)成分の含有量は、3質量%以下であり、0.5〜3質量%が好ましく、1〜3質量%がより好ましい。(A)成分の含有量が3質量%以下であれば、洗濯液の濁りの低減が図れる。一方、前記の好ましい下限値以上であれば、洗浄力がより向上する。加えて、(A)成分を含有することで、(B)成分の水不溶性の塩形成が抑制される。また、アニオン界面活性剤を用いる場合、水道水中のカルシウムイオンによるアニオン界面活性剤の不活化(水不溶性の塩形成)が抑制される。
【0011】
<(B)成分:アルカリ金属の炭酸塩>
本発明における(B)成分は、アルカリ金属の炭酸塩である。
(B)成分としては、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等が挙げられる。これらの中でも、炭酸ナトリウムが好ましい。
(B)成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
粒状洗剤中の(B)成分の含有量は、15質量%以下が好ましく、10質量%以下がより好ましく、下限値は3質量%以上が好ましい。(B)成分の含有量が、前記の好ましい上限値以下であれば、水道水中のカルシウムイオンとの水不溶性の塩形成が抑えられ、洗濯液の濁りがより低減される。これに伴い、界面活性剤による洗浄効果がより発揮されやすくなる。一方、前記の好ましい下限値以上であれば、洗濯液のpHが適度な範囲に調整されやすくなる。
【0012】
<(C)成分:アルカリ金属の重炭酸塩>
本発明における(C)成分は、アルカリ金属の重炭酸塩である。(C)成分は、水道水に溶解した際に水不溶性の塩を生成しにくい成分である。
(C)成分としては、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム等が挙げられる。これらの中でも、炭酸水素ナトリウムが好ましい。
(C)成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
粒状洗剤中の(C)成分の含有量は、20質量%以上であり、20〜60質量%が好ましく、30〜60質量%がより好ましく、40〜60質量%がさらに好ましい。(C)成分の含有量が、前記の下限値以上であれば、粒状洗剤の溶解性が高まる。一方、前記の好ましい上限値以下であれば、(B)成分との配合バランスをとりやすく、界面活性剤による洗浄効果がより発揮されやすくなる。
【0013】
(B)成分と(C)成分との組合せは、本発明の効果が得られやすいことから、炭酸ナトリウムと炭酸水素ナトリウムとの組合せが好ましい。
粒状洗剤中の(B)成分と(C)成分との質量比、すなわち、(B)成分/(C)成分で表される質量比は、0.35以下であり、0.10〜0.25が好ましく、0.10〜0.20がより好ましい。この質量比が0.35以下であれば、洗濯液の濁りの低減が図れ、かつ、界面活性剤による洗浄効果が充分に発揮される。
【0014】
<(D)成分:界面活性剤>
本発明における(D)成分は、界面活性剤であり、少なくともノニオン界面活性剤(D1)(以下「(D1)成分」ともいう)を含む。
(D)成分に占める(D1)成分の含有量は、(D)成分の総質量(100質量%)に対して50質量%以上が好ましく、60質量%以上がより好ましく、70質量%以上がさらに好ましく、80質量%以上が特に好ましい。(D1)成分の含有量が前記の好ましい下限値以上であれば、本発明の効果がより得られやすくなる。
【0015】
≪ノニオン界面活性剤≫
ノニオン界面活性剤((D1)成分)としては例えば以下のものが挙げられる。
(1)炭素数6〜22、好ましくは8〜18の脂肪族アルコールに炭素数2〜4のアルキレンオキシドを平均3〜30モル、好ましくは5〜20モル、より好ましくは10〜18モル付加したポリオキシアルキレンアルキル(又はアルケニル)エーテル。中でも、ポリオキシエチレンアルキル(又はアルケニル)エーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキル(又はアルケニル)エーテルが好適である。ここで使用される脂肪族アルコールとしては、第1級アルコール、第2級アルコールが挙げられる。また、そのアルキル基は、分岐鎖を有していてもよい。脂肪族アルコールとしては、第1級アルコールが好ましい。
(2)ポリオキシエチレンアルキル(又はアルケニル)フェニルエーテル。
【0016】
(3)長鎖脂肪酸アルキルエステルのエステル結合間にアルキレンオキシドが付加した、例えば下記一般式(I)で表される脂肪酸アルキルエステルアルコキシレート。
R
1CO(OA)
mOR
2 ・・・(I)
[式(I)中、R
1COは、炭素数6〜22、好ましくは炭素数8〜18の脂肪酸残基を示し、OAは、エチレンオキシド、プロピレンオキシド等の炭素数2〜4、好ましくは2〜3のアルキレンオキシドの付加単位を示し、mはアルキレンオキシドの平均付加モル数を示し、一般に3〜30、好ましくは5〜20の数である。R
2は炭素数1〜3の置換基を有してもよい低級(炭素数1〜4)アルキル基を示す。]
【0017】
(4)ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル。
(5)ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル。
(6)ポリオキシエチレン脂肪酸エステル。
(7)ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油。
(8)グリセリン脂肪酸エステル。
上記のノニオン界面活性剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を適宜組み合わせて用いてもよい。
【0018】
(D)成分には、(D1)成分に加えて、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、又は両性界面活性剤などを併用してもよい。
【0019】
≪アニオン界面活性剤≫
アニオン界面活性剤としては例えば以下のものが挙げられる。
(1)炭素数8〜20の飽和又は不飽和α−スルホ脂肪酸のメチル、エチルもしくはプロピルエステル塩。
(2)脂肪酸の平均炭素数が10〜20の高級脂肪酸のアルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩。
(3)炭素数8〜18のアルキル基を有する直鎖状又は分岐鎖状のアルキルベンゼンスルホン酸塩(LAS又はABS)。
(4)炭素数10〜20のアルカンスルホン酸塩。
(5)炭素数10〜20のα−オレフィンスルホン酸塩(AOS)。
(6)炭素数10〜20のアルキル硫酸塩又はアルケニル硫酸塩(AS)。
(7)炭素数2〜4のアルキレンオキシドのいずれか、又はエチレンオキシド(EO)とプロピレンオキシド(PO)(モル比EO/PO=0.1/9.9〜9.9/0.1)を、平均0.5〜10モル付加した炭素数10〜20の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル(又はアルケニル)基を有するアルキル(又はアルケニル)エーテル硫酸塩(AES)。
(8)炭素数2〜4のアルキレンオキシドのいずれか、又はエチレンオキシドとプロピレンオキシド(モル比EO/PO=0.1/9.9〜9.9/0.1)を、平均3〜30モル付加した炭素数10〜20の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル(又はアルケニル)基を有するアルキル(又はアルケニル)フェニルエーテル硫酸塩。
(9)炭素数2〜4のアルキレンオキシドのいずれか、又はエチレンオキシドとプロピレンオキシド(モル比EO/PO=0.1/9.9〜9.9/0.1)を、平均0.5〜10モル付加した炭素数10〜20の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル(又はアルケニル)基を有するアルキル(又はアルケニル)エーテルカルボン酸塩。
(10)炭素数10〜20のアルキルグリセリルエーテルスルホン酸のようなアルキル多価アルコールエーテル硫酸塩。
(11)長鎖モノアルキル、ジアルキル又はセスキアルキルリン酸塩。
(12)ポリオキシエチレンモノアルキル、ジアルキル又はセスキアルキルリン酸塩。
これらのアニオン界面活性剤は、ナトリウム、カリウムなどのアルカリ金属塩や、アミン塩、アンモニウム塩等として用いることができる。
上記のアニオン界面活性剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を適宜組み合わせて用いてもよい。
アニオン界面活性剤の中でも、水道水中のカルシウムイオンと水不溶性の塩が形成されにくいことから、非石鹸系アニオン界面活性剤(D2)(以下「(D2)成分」ともいう)が好ましい。具体的には、上記のアニオン界面活性剤における(1)及び(3)〜(12)が挙げられ、これらの中でも(1)、(3)、(7)が好ましい。
【0020】
≪カチオン界面活性剤≫
カチオン界面活性剤としては例えば以下のものが挙げられる。
(1)ジ長鎖アルキルジ短鎖アルキル型4級アンモニウム塩。
(2)モノ長鎖アルキルトリ短鎖アルキル型4級アンモニウム塩。
(3)トリ長鎖アルキルモノ短鎖アルキル型4級アンモニウム塩。
ただし、上記の「長鎖アルキル」は炭素数12〜26、好ましくは炭素数14〜18のアルキル基を示す。「短鎖アルキル」は、フェニル基、ベンジル基、ヒドロキシ基、ヒドロキシアルキル基等の置換基を包含し、炭素間にエーテル結合を有していてもよい。中でも、炭素数1〜4、好ましくは炭素数1〜2のアルキル基;ベンジル基;炭素数2〜4、好ましくは炭素数2〜3のヒドロキシアルキル基;炭素数2〜4、好ましくは炭素数2〜3のポリオキシアルキレン基が好適なものとして挙げられる。
上記のカチオン界面活性剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を適宜組み合わせて用いてもよい。
【0021】
≪両性界面活性剤≫
(D)成分に用いてもよい両性界面活性剤としては、例えば、イミダゾリン系の両性界面活性、アミドベタイン系の両性界面活性剤等が挙げられる。具体的には、2−アルキル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、ラウリン酸アミドプロピルベタイン等が好適なものとして挙げられる。これら両性界面活性剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を適宜組み合わせて用いてもよい。
【0022】
上記の中でも、(D)成分としては、(D1)成分のみを用いること、又は、(D1)成分とアニオン界面活性剤とを含むことが好ましく、(D1)成分とアニオン界面活性剤とを含むことがより好ましい。その中でも、(D)成分は、(D1)成分とアニオン界面活性剤との組合せであることが好ましく、(D1)成分と(D2)成分との組合せであることが特に好ましい。
粒状洗剤中の(D)成分の含有量は、5〜30質量%であり、10〜25質量%が好ましい。(D)成分の含有量が、前記の下限値以上であれば、粒状洗剤の洗浄力が充分に高まる。一方、前記の上限値以下であれば、粒状洗剤は固化を生じにくく、流動性が確保されやすい。
【0023】
粒状洗剤中の(D1)成分と(D2)成分との質量比、すなわち、(D1)成分/(D2)成分で表される質量比は、1以上が好ましく、2以上がより好ましく、2〜5がさらに好ましく、3〜5が特に好ましい。この質量比が1以上であれば、すなわち、(D1)成分の含有量が(D2)成分の含有量に比べて同量か又は多いことにより、(B)成分の水道水中のカルシウムイオンとの水不溶性の塩形成が抑えられる。これに伴い、被洗物に付着した汚れに消費される界面活性剤量が維持されるため、洗浄効果がより発揮されやすくなる。
【0024】
<その他の成分>
本発明の粒状洗剤は、上述した(A)成分、(B)成分、(C)成分及び(D)成分に加えて、必要に応じてその他の成分(洗剤任意成分)を含有してもよい。
洗剤任意成分としては、衣料用等の洗剤に通常使用されているものが挙げられる。
【0025】
本発明の粒状洗剤においては、洗剤任意成分として、洗浄性ビルダーを用いることが好ましい。洗浄性ビルダーとしては、有機ビルダー、無機ビルダーのいずれも用いることができる。
【0026】
有機ビルダーには、低分子キレート剤、高分子キレート剤を用いることができる。
低分子キレート剤としては、例えば、ニトリロトリ酢酸塩、エチレンジアミンテトラ酢酸塩、β−アラニンジ酢酸塩、アスパラギン酸ジ酢酸塩、メチルグリシンジ酢酸塩、イミノジコハク酸塩等のアミノカルボン酸塩;セリンジ酢酸塩、ヒドロキシイミノジコハク酸塩、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸塩、ジヒドロキシエチルグリシン塩等のヒドロキシアミノカルボン酸塩;ヒドロキシ酢酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩、グルコン酸塩等のヒドロキシカルボン酸塩;ピロメリット酸塩、ベンゾポリカルボン酸塩、シクロペンタンテトラカルボン酸塩等のシクロカルボン酸塩;カルボキシメチルタルトロネート、カルボキシメチルオキシサクシネート、オキシジサクシネート、酒石酸モノ又はジサクシネート等のエーテルカルボン酸塩などが挙げられる。
高分子キレート剤としては、例えば、ポリアクリル酸、アクリル酸とアリルアルコールとの共重合体、アクリル酸とマレイン酸との共重合体、ヒドロキシアクリル酸重合体、多糖類とアクリル酸との共重合体等のアクリル酸重合体又は共重合体の塩;ポリグリオキシル酸等のポリアセタールカルボン酸の塩;マレイン酸、イタコン酸、フマル酸、テトラメチレン1,2−ジカルボン酸、コハク酸、アスパラギン酸等の重合体又は共重合体の塩;デンプン、セルロース、アミロース、ペクチン等の多糖類酸化物、カルボキシメチルセルロース等の多糖類誘導体などが挙げられる。
上記の中でも、有機ビルダーとしては、高分子キレート剤が好ましく、アクリル酸重合体又は共重合体の塩がより好ましく、ポリアクリル酸塩、アクリル酸とマレイン酸との共重合体の塩が特に好ましい。
有機ビルダーは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
粒状洗剤が有機ビルダーを含有する場合、有機ビルダーの含有量は、5質量%以下が好ましく、3質量%以下がより好ましい。有機ビルダーを用いることで、水道水中のカルシウムイオン等が捕捉され、(B)成分の水不溶性の塩が形成されにくくなる。有機ビルダーの含有量が、前記の上限値以下であれば、洗濯液の濁りの低減がよりいっそう図れ、加えて、界面活性剤による洗浄効果がより発揮される。
【0027】
無機ビルダーとしては、例えば、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウム等のアルカリ金属亜硫酸塩;結晶性層状珪酸塩、非晶質アルカリ金属珪酸塩などの珪酸塩;塩化ナトリウム、塩化カリウム等のアルカリ金属塩化物;オルソリン酸塩、ピロリン酸塩、トリポリリン酸塩、メタリン酸塩、ヘキサメタリン酸塩、フィチン酸塩等のリン酸塩;結晶性アルミノ珪酸塩、無定形アルミノ珪酸塩などが挙げられる。
上記の中でも、無機ビルダーとしては、珪酸塩が好ましい。
無機ビルダーは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
粒状洗剤が無機ビルダーを含有する場合、無機ビルダーの含有量は、20質量%未満が好ましく、10質量%以下がより好ましく、下限値は3質量%以上が好ましい。無機ビルダーを用いることで、本発明の効果がより得られやすくなる。加えて、粒状洗剤の溶解性がより高まり、また、洗濯液のpHが適度な範囲に調整されやすくなる。
【0028】
本発明の粒状洗剤には、洗剤任意成分として、上述の洗浄性ビルダー以外に、例えば、硫酸塩などの粒子強度保持剤、アルカリ剤、還元剤、蛍光増白剤、紫外線吸収剤、酵素剤、漂白剤、漂白活性化剤、漂白活性化触媒、柔軟化剤、再汚染(沈着)防止剤、泡コントロール剤、香料、表面改質剤なども用いることができる。
【0029】
本発明の粒状洗剤は、従来公知の方法により製造でき、例えば、各原料を粉体混合するドライブレンド法、粉体原料を混合し流動させながら造粒する乾式造粒法、粉体原料を混合し流動させながら液体バインダーを噴霧して造粒する撹拌造粒法、原料を捏和してこれを押出機で押し出す押出造粒法、原料を捏和してこれを粉砕する粉砕造粒法、原料を含有するスラリーを噴霧乾燥する噴霧乾燥法等が挙げられる。
【0030】
本発明の粒状洗剤の平均粒子径は、特に限定されないが、200〜1500μmが好ましく、より好ましくは250〜1000μmであり、さらに好ましくは300〜700μmである。粒状洗剤の平均粒子径が好ましい下限値以上であれば、使用時の粉立ちが抑制される。一方、該平均粒子径が好ましい上限値以下であれば、水への溶解性がより向上する。
【0031】
本発明において、粒状洗剤の平均粒子径は、日本薬局方に記載された粒度の試験に準じた篩い分けによる粒度分布から算出される値を示す。具体的には以下のようにして測定される。
平均粒子径は、目開き1680μm、1410μm、1190μm、1000μm、710μm、500μm、355μm、250μm及び149μmの9段の篩と、受け皿とを用いた分級操作により測定する。
分級操作は、受け皿に、目開きの小さな篩から目開きの大きな篩の順に積み重ね、最上部の1680μmの篩の上から100g/回の粒状洗剤を入れ、蓋をしてロータップ型篩い振盪機(株式会社飯田製作所製、タッピング:156回/分、ローリング:290回/分)に取り付け、10分間振動させた後、それぞれの篩及び受け皿上に残留した粒状洗剤を篩目ごとに回収する操作を行う。この操作を繰り返すことにより、1410〜1680μm(1410μmの篩上)、1190〜1410μm(1190μmの篩上)、1000〜1190μm(1000μmの篩上)、710〜1000μm(710μmの篩上)、500〜710μm(500μmの篩上)、355〜500μm(355μmの篩上)、250〜355μm(250μmの篩上)、149〜250μm(149μmの篩上)、受け皿〜149μm(149μmの篩通過、受け皿上)の各粒子径の分級サンプルを得、その質量を測定する。
そして、受け皿と各篩との質量頻度(%)を算出する。積算の質量頻度が50%以上となる最初の篩の目開きを「aμm」とし、aμmよりも一段大きい篩の目開きを「bμm」とし、受け皿からaμmの篩までの質量頻度の積算値を「c%」、また、aμmの篩上の質量頻度を「d%」とし、下式(1)により平均粒子径(50質量%粒径)を求め、これを粒状洗剤の平均粒子径とする。
【0033】
本発明の粒状洗剤の嵩密度は、特に限定されないが、例えば0.3kg/dm
3以上が好ましく、より好ましくは0.5〜1.2kg/dm
3であり、さらに好ましくは0.6〜1.1kg/dm
3である。
粒状洗剤の嵩密度が、前記の好ましい下限値以上であれば、粉立ちが少なく、取り扱いが容易である。また、粒状洗剤の保存時に必要なスペース(保存場所)をより少なくできる。該嵩密度が前記の好ましい上限値以下であれば、溶解性がより良好である。
本発明において、嵩密度は、JIS K3362−1998に準じて測定される値を示す。
【0034】
本発明の粒状洗剤を用いて被洗物を洗濯する方法としては、従来公知の方法が挙げられ、例えば、水道水に粒状洗剤を溶解してなる洗濯液を洗濯機の槽内で調製して被洗物を洗浄する方法、前記洗濯液に被洗物を浸け置いた後に濯ぐ方法等が挙げられる。
【0035】
以上説明した本発明の粒状洗剤は、(A)成分:水不溶性成分と、(B)成分:アルカリ金属の炭酸塩と、(C)成分:アルカリ金属の重炭酸塩20質量%以上と、(D)成分:ノニオン界面活性剤(D1)を含む界面活性剤5〜30質量%と、を含有することにより、汚れに対して良好な洗浄力を有し、溶解性に優れる。加えて、(A)成分が3質量%以下であり、かつ、(B)成分/(C)成分で表される質量比が0.35以下であることにより、(B)成分と、水道水中のカルシウムイオンと、の水不溶性の塩形成が抑えられる。これにより、被洗物の洗濯時に、洗濯液の濁りの低減が図れる。加えて、水不溶性の塩形成が抑えられると共に、(A)成分が3質量%以下に低減されていることで、水不溶性の塩や水不溶性成分に消費される(C)成分の量が抑えられる。これにより、配合した全部の界面活性剤が本来の汚れ(被洗物に付着した汚れ)に対して有効に作用し、(C)成分による洗浄効果が充分に発揮される。
【0036】
また、本発明の粒状洗剤においては、水不溶性成分の使用量が低減されていることから、環境負荷が低い。
本発明の粒状洗剤は、家庭用、商業用、工業用の用途として利用可能であり、なかでも家庭用として好適に利用可能であり、衣料用として特に好適である。
洗浄対象物(被洗物)の種類は、家庭における洗濯で洗浄対象とされているものと同様のものが挙げられ、たとえば衣類、布巾、タオル類、シーツ、カーテン等の繊維製品等が例示される。
【実施例】
【0037】
以下に実施例を用いて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。本実施例において「%」は特に断りがない限り「質量%」を示す。
各例の粒状洗剤の組成を表1、2に示した。
本実施例において使用した原料は下記の通りである。
【0038】
・(A)成分:水不溶性成分
ゼオライト(商品名「シルトンB」、水澤化学工業株式会社製)粒状、25℃のイオン交換水に対して溶解しないもの。
ベントナイト(商品名「ラウンドロジルPR414」、ズード・ケミ社製)粒状、25℃のイオン交換水に対して溶解しないもの。
【0039】
・(B)成分:アルカリ金属の炭酸塩
炭酸Na(商品名「粒灰」、ソーダアッシュジャパン株式会社製)粒状。
【0040】
・(C)成分:アルカリ金属の重炭酸塩
炭酸水素Na(商品名「Bicarbonate」、Penrice社製)粒状。
【0041】
・(D)成分:界面活性剤
・・ノニオン界面活性剤(D1)
LMAO(商品名「LMAO−90」、株式会社日本触媒製)液状。
【0042】
・・非石鹸系アニオン界面活性剤(D2)
LAS(商品名「ライポン」、ライオン株式会社製)直鎖アルキル(炭素数10〜14)ベンゼンスルホン酸、粒状。粒状洗剤の製造時に中和されてナトリウム塩となる。
AES(ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸(商品名「タイポールSFES−733」、泰光油脂化学工業株式会社製)を硫酸Na(商品名「中性無機塩」、四国化成工業株式会社製)に噴霧して顆粒状としたもの)顆粒状。
MES(商品名「MIZULAN FL−80」、ライオンエコケミカルズ社製)パウダー状。
【0043】
・・石鹸
脂肪酸Na(商品名「ラウリル酸Na」、関東化学株式会社製)パウダー状。
【0044】
・その他の成分
珪酸Na(商品名「プリフィード」、株式会社トクヤマシルテック製)粒状。
MA剤(商品名「ソカランCP7」、BASF社製)アクリル酸と無水マレイン酸との共重合体ナトリウム塩、顆粒状。
ポリアクリル酸Na(商品名「アロンA−20P」、東亜合成株式会社製)粒状。
硫酸Na(商品名「中性無水芒硝」、四国化成工業株式会社製)粒状。
【0045】
<粒状洗剤の製造例>
表1、2に示す、各例の組成(配合成分、含有量(質量%))に従い、下記の製造方法により粒状洗剤をそれぞれ製造した。
表中、空欄の配合成分がある場合、その配合成分は配合されていない。表中、配合成分の含有量は純分換算量を示す。
「質量比(B)成分/(C)成分」は、粒状洗剤中の、(C)成分の含有量に対する、(B)成分の含有量の質量割合を表す。
「質量比(D1)成分/(D2)成分」は、粒状洗剤中の、(D2)成分の含有量に対する、(D1)成分の含有量の質量割合を表す。
【0046】
(実施例1)
レディゲミキサーを用い、ゼオライトと、炭酸Naと、炭酸水素Naと、LASと、珪酸Naと、MA剤と、硫酸Naと、を混合した。
次いで、LMAOを噴霧しつつ充分に混合することにより粒状洗剤を得た。得られた粒状洗剤の平均粒子径は250μm、嵩密度0.98kg/dm
3であった。
【0047】
(実施例2〜17、比較例1〜5)
表1、2に示す各例の組成に従い、それぞれ実施例1と同様にして、レディゲミキサーを用い、粒状、パウダー状及び顆粒状の配合成分を混合し、次いで、液状の配合成分を噴霧しつつ充分に混合することにより粒状洗剤を得た。
得られた粒状洗剤の平均粒子径は125〜300μm、嵩密度0.90〜1.14kg/dm
3であった。
【0048】
<粒状洗剤の評価>
上記にて得られた各例の粒状洗剤について、以下に示す、洗濯液の濁りの無さ、及び洗浄効果の評価をそれぞれ行った。これらの評価結果を表1、2に示した。
【0049】
[洗濯液の濁りの無さ]
容量1Lのビーカーに、20℃水道水1Lを投入し、そこに、各例の粒状洗剤1gをそれぞれ添加して1分間撹拌し、洗濯液を調製した。撹拌の後、該洗濯液を3分間静置した。その後、ビーカーの上から、ビーカー内の洗濯液の濁り状態を目視で観察し、下記の評価基準に基づいて、洗濯液の濁りの無さを評価した。
評価基準
◎◎:洗濯液は均一透明であった。
◎:洗濯液に、僅かに濁りが認められた。
○:洗濯液に、やや濁りが認められた。
△:洗濯液に、少し濁りが認められた。
×:洗濯液に、明らかに濁りが認められた。
洗濯液の濁りが無いほど、水不溶性の塩の形成、又は水不溶性成分の析出が抑制されていることを意味する。
【0050】
[洗浄効果]
容量1Lのメスフラスコに、各例の粒状洗剤1gを採取した。次いで、該メスフラスコに、20℃水道水を加えて1Lにメスアップして、粒状洗剤を水道水に充分に溶解し、洗剤水溶液を得た。
次いで、フィルターにて該洗剤水溶液のろ過を行い、ろ液を得た。次いで、ろ液中の界面活性剤((D)成分)の量を、液体クロマトグラフィーにて測定し、下式より、界面活性剤の残存率を算出した。
界面活性剤の残存率(%)=ろ液中の界面活性剤量/水道水に溶解する前の粒状洗剤中の界面活性剤量×100
かかる界面活性剤の残存率が75%以上であれば、被洗物を洗浄する際、界面活性剤による洗浄効果が充分に発揮される、と判断した。
【0051】
【表1】
【0052】
【表2】
【0053】
表1、2に示す結果から、本発明を適用した実施例1〜17の粒状洗剤は、比較例1〜5の粒状洗剤に比べて、洗濯液の濁りの低減が図れ、かつ、界面活性剤による洗浄効果が発揮されること、が確認できる。