(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記離型フィルムが、離型フィルム本体と、前記離型フィルム本体の前記保護層側の表面に形成された離型剤層とを有する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の電磁波シールドフィルム。
前記工程(e)の後の前記離型フィルムの保護層側の表面の算術平均粗さRaが、前記工程(e)の前の前記離型フィルムの保護層側の表面の算術平均粗さRaよりも大きい、請求項7に記載の電磁波シールドフィルム付きフレキシブルプリント配線板の製造方法。
前記工程(f)の後の前記保護層の表面の算術平均粗さRaが、0.30〜0.80μmである、請求項7または8に記載の電磁波シールドフィルム付きフレキシブルプリント配線板の製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下の用語の定義は、本明細書および特許請求の範囲にわたって適用される。
算術平均粗さRaは、試験片についてレーザー顕微鏡を用いて粗さ曲線を測定し、この粗さ曲線から、JIS B 0601:2001(ISO 4287:1997)に基づいて求めた値である。
気泡の割合は、離型フィルムの断面を顕微鏡で観察し、画像の面積に対する画像中の気泡の断面積の割合を算出することによって求めた値である。
気泡の平均径は、離型フィルムの押し出し方向あるいはそれに垂直な断面を顕微鏡で観察し、無作為に選ばれた100個の気泡について、それぞれ断面積を測定し、断面積が等しい円の相当直径を求め、これらを平均することによって求めた値である。
導電性粒子の平均粒子径は、導電性粒子の電子顕微鏡像から30個の導電性粒子を無作為に選び、それぞれの導電性粒子について、最小径および最大径を測定し、最小径と最大径との中央値を一粒子の粒子径とし、測定した30個の導電性粒子の粒子径を算術平均して得た値である。
導電性粒子の比表面積は、脱気した粒子等を液体窒素に浸漬させ、吸着した窒素量を測定し、この値から算出した値である。
フィルム(離型フィルム、絶縁フィルム等)、塗膜(保護層、導電性接着剤層等)、金属薄膜層等の厚さは、透過型電子顕微鏡を用いて測定対象の断面を観察し、5箇所の厚さを測定し、平均した値である。
貯蔵弾性率は、測定対象に与えた応力と検出した歪から算出され、温度または時間の関数として出力する動的粘弾性測定装置を用いて、粘弾性特性の一つとして測定される。
表面抵抗は、石英ガラス上に金を蒸着して形成した、2本の薄膜金属電極(長さ10mm、幅5mm、電極間距離10mm)を用い、この電極上に被測定物を置き、被測定物上から、被測定物の10mm×20mmの領域を0.049Nの荷重で押し付け、1mA以下の測定電流で測定される電極間の抵抗である。
【0013】
<電磁波シールドフィルム>
図1は、本発明の電磁波シールドフィルムの一例を示す断面図である。
電磁波シールドフィルム10は、保護層12と、保護層12の第1の表面を覆う金属薄膜層14と、金属薄膜層14の表面を覆う導電性接着剤層16と、保護層12の第2の表面を覆う第1の離型フィルム18と、導電性接着剤層16の表面を覆う第2の離型フィルム20とを備える。
【0014】
(保護層)
保護層12は、金属薄膜層14を形成する際のベース(下地)となり、電磁波シールドフィルム10を、フレキシブルプリント配線板の表面に設けられた絶縁フィルムの表面に貼着した後には、金属薄膜層14を保護する。
保護層12の表面抵抗は、電気的絶縁性の点から、1×10
6Ω以上が好ましい。保護層12の表面抵抗は、実用上の点から、1×10
19Ω以下が好ましい。
【0015】
保護層12としては、熱硬化性樹脂と硬化剤とを含む塗料を塗布し、硬化させて形成された塗膜、熱可塑性樹脂を含む塗料を塗布して形成された塗膜、熱可塑性樹脂を溶融成形したフィルムからなる層等が挙げられる。ハンダ付け等の際の耐熱性の点から、熱硬化性樹脂と硬化剤とを含む塗料を塗布し、硬化させて形成された塗膜が好ましい。
【0016】
熱硬化性樹脂としては、アミド樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、アミノ樹脂、アルキッド樹脂、ウレタン樹脂、合成ゴム、UV硬化アクリレート樹脂等が挙げられ、耐熱性に優れる点から、アミド樹脂、エポキシ樹脂が好ましい。
【0017】
保護層12の160℃における貯蔵弾性率は、5×10
6〜1×10
8Paが好ましく、8×10
6〜2×10
7Paがより好ましい。通常、熱硬化性樹脂の硬化物は硬いため、これからなる塗膜は、柔軟性に乏しく、特に、厚さを薄くした場合は、非常に脆く自立膜として存在できるほどの強度がない。保護層12は、第1の離型フィルム18を剥離する際の温度下(導電性接着剤を硬化させる温度で、通常150〜200℃の温度)において、十分な強度を有することが好ましい。保護層12の160℃における貯蔵弾性率が5×10
6Pa以上であれば、保護層12が軟化することがない。保護層12の160℃における貯蔵弾性率が1×10
8Pa以下であれば、柔軟性や強度が十分となる。その結果、第1の離型フィルム18を剥離する際に保護層12はもとより電磁波シールドフィルム10が破断しにくい。
【0018】
保護層12は、電磁波シールドフィルム付きフレキシブルプリント配線板に意匠性を付与するために、着色されていてもよい。
保護層12は、貯蔵弾性率等の特性、材料等が異なる2種以上の層から構成されていてもよい。
【0019】
保護層12の厚さは、1〜10μmが好ましく、1〜5μmがより好ましい。保護層12の厚さが1μm以上であれば、耐熱性が良好となる。保護層12の厚さが10μm以下であれば、電磁波シールドフィルム10を薄くできる。
【0020】
(金属薄膜層)
金属薄膜層14は、金属の薄膜からなる層である。金属薄膜層14は、面方向に広がるように形成されていることから、面方向に導電性を有し、電磁波シールド層等として機能する。
【0021】
金属薄膜層14としては、物理蒸着(真空蒸着、スパッタリング、イオンビーム蒸着、電子ビーム蒸着等)、CVD、めっき等によって形成された金属薄膜、金属箔等が挙げられ、厚さを薄くでき、かつ厚さが薄くても面方向の導電性に優れ、ドライプロセスにて簡便に形成できる点から、物理蒸着による金属薄膜(蒸着膜)が好ましい。
【0022】
金属薄膜層14を構成する金属薄膜の材料としては、アルミニウム、銀、銅、金、導電性セラミックス等が挙げられる。電気伝導度の点からは、銅が好ましく、化学的安定性の点からは、導電性セラミックスが好ましい。
【0023】
金属薄膜層14の厚さは、0.01〜1μmが好ましく、0.05〜1μmがより好ましい。金属薄膜層14の厚さが0.01μm以上であれば、面方向の導電性がさらに良好になる。金属薄膜層14の厚さが0.05μm以上であれば、電磁波ノイズの遮蔽効果がさらに良好になる。金属薄膜層14の厚さが1μm以下であれば、電磁波シールドフィルム10を薄くできる。また、電磁波シールドフィルム10の生産性、可とう性がよくなる。
【0024】
金属薄膜層14の表面抵抗は、0.001〜1Ωが好ましく、0.001〜0.1Ωがより好ましい。金属薄膜層14の表面抵抗が0.001Ω以上であれば、金属薄膜層14を十分に薄くできる。金属薄膜層14の表面抵抗が1Ω以下であれば、電磁波シールド層として十分に機能できる。
【0025】
(導電性接着剤層)
導電性接着剤層16は、少なくとも厚さ方向に導電性を有し、かつ接着性を有する。
導電性接着剤層16としては、厚さ方向に導電性を有し、面方向には導電性を有さない異方導電性接着剤層と、厚さ方向および面方向に導電性を有する等方導電性接着剤層とが挙げられる。導電性接着剤層16としては、導電性接着剤層16を薄くでき、導電性粒子22の量が少なくなり、その結果、電磁波シールドフィルム10を薄くでき、電磁波シールドフィルム10の可とう性がよくなる点からは、異方導電性接着剤層が好ましい。導電性接着剤層16としては、電磁波シールド層として十分に機能できる点からは、等方導電性接着剤層が好ましい。
【0026】
導電性接着剤層16としては、硬化後に耐熱性を発揮できる点から、熱硬化性の導電性接着剤層が好ましい。
熱硬化性の導電性接着剤層16は、例えば、熱硬化性接着剤と導電性粒子22とを含む。導電性接着剤層16は、未硬化の状態であってもよく、Bステージ化された状態であってもよい。
【0027】
熱硬化性接着剤としては、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、アミノ樹脂、アルキッド樹脂、ウレタン樹脂、合成ゴム、UV硬化アクリレート樹脂等が挙げられる。耐熱性に優れる点から、エポキシ樹脂が好ましい。エポキシ樹脂は、可とう性付与のためのゴム成分(カルボキシル変性ニトリルゴム等)、粘着付与剤等を含んでいてもよい。
熱硬化性接着剤は、導電性接着剤層16の強度を高め、打ち抜き特性を向上させるために、セルロース樹脂、ミクロフィブリル(ガラス繊維等)を含んでいてもよい。
【0028】
導電性粒子22としては、黒鉛粉、焼成カーボン粒子、金属(銀、白金、金、銅、ニッケル、パラジウム、アルミニウム、ハンダ等)の粒子、めっきされた焼成カーボン粒子等が挙げられる。導電性接着剤層16の流動性の点からは、堅く球状である焼成カーボン粒子が好ましい。
【0029】
導電性接着剤層16が異方導電性接着剤層の場合、導電性粒子22の平均粒子径は、2〜26μmが好ましく、4〜16μmがより好ましい。導電性粒子22の平均粒子径が2μm以上であれば、導電性接着剤の厚みを2μmより厚くすることで、導電接着剤層16の厚みを確保することができ、十分な接着強度を得ることができる。導電性粒子22の平均粒子径が26μm以下であれば、導電性接着剤層16の流動性(絶縁フィルムの貫通孔の形状への追随性)を確保でき、絶縁フィルムの貫通孔内を導電性接着剤で十分に埋めることができる。
【0030】
導電性接着剤層16が等方導電性接着剤層の場合、導電性粒子22の平均粒子径は、0.1〜10μmが好ましく、0.2〜1μmがより好ましい。導電性粒子22の平均粒子径が0.1μm以上であれば、導電性粒子22の接触点数が増えることになり、3次元方向の導通性を安定的に高めることができる。導電性粒子22の平均粒子径が10μm以下であれば、導電性接着剤層16の流動性(絶縁フィルムの貫通孔の形状への追随性)を確保でき、絶縁フィルムの貫通孔内を導電性接着剤で十分に埋めることができる。
【0031】
導電性粒子22の比表面積は、2〜50m
2/gが好ましく、2〜20m
2/gがより好ましい。導電性粒子22の比表面積が2m
2/g以上であれば、導電性粒子22を入手しやすい。導電性粒子22の比表面積が50m
2/g以下であれば、導電性粒子22の吸油量が大きくなりすぎず、その結果、導電性接着剤の粘度が高くなりすぎず、塗布性がさらに良好となる。また、導電性接着剤層16の流動性(絶縁フィルムの貫通孔の形状への追随性)をさらに確保できる。
【0032】
導電性接着剤層16が異方導電性接着剤層の場合、導電性粒子22の割合は、導電性接着剤層16の100体積%のうち、1〜30体積%が好ましく、2〜10体積%がより好ましい。導電性粒子22の割合が1体積%以上であれば、導電性接着剤層16の導電性が良好になる。導電性粒子22の割合が30体積%以下であれば、導電性接着剤層16の接着性、流動性(絶縁フィルムの貫通孔の形状への追随性)が良好になる。また、電磁波シールドフィルム10の可とう性がよくなる。
【0033】
導電性接着剤層16が等方導電性接着剤層の場合、導電性粒子22の割合は、導電性接着剤層16の100体積%のうち、50〜80体積%が好ましく、60〜70体積%がより好ましい。導電性粒子22の割合が50体積%以上であれば、導電性接着剤層16の導電性が良好になる。導電性粒子22の割合が80体積%以下であれば、導電性接着剤層16の接着性、流動性(絶縁フィルムの貫通孔の形状への追随性)が良好になる。また、電磁波シールドフィルム10の可とう性がよくなる。
【0034】
導電性接着剤層16が異方導電性接着剤層の場合、導電性接着剤層16の厚さは、3〜25μmが好ましく、5〜15μmがより好ましい。導電性接着剤層16の厚さが3μm以上であれば、導電性接着剤層16の流動性(絶縁フィルムの貫通孔の形状への追随性)を確保でき、絶縁フィルムの貫通孔内を導電性接着剤で十分に埋めることができる。導電性接着剤層16の厚さが25μm以下であれば、電磁波シールドフィルム10を薄くできる。また、電磁波シールドフィルム10の可とう性がよくなる。
【0035】
導電性接着剤層16が等方導電性接着剤層の場合、導電性接着剤層16の厚さは、5〜20μmが好ましく、7〜17μmがより好ましい。導電性接着剤層16の厚さが5μm以上であれば、導電性接着剤層16の導電性が良好になり、電磁波シールド層として十分に機能できる。また、導電性接着剤層16の流動性(絶縁フィルムの貫通孔の形状への追随性)を確保でき、絶縁フィルムの貫通孔内を導電性接着剤で十分に埋めることができ、耐折性も確保でき繰り返し折り曲げても導電性接着剤層16が断裂することはない。導電性接着剤層16の厚さが20μm以下であれば、電磁波シールドフィルム10を薄くできる。また、電磁波シールドフィルム10の可とう性がよくなる。
【0036】
導電性接着剤層16が異方導電性接着剤層の場合、導電性接着剤層16の表面抵抗は、1×10
4〜1×10
16Ωが好ましく、1×10
6〜1×10
14Ωがより好ましい。導電性接着剤層16の表面抵抗が1×10
4Ω以上であれば、導電性粒子22の含有量が低く抑えられる。導電性接着剤層16の表面抵抗が1×10
16Ω以下であれば、実用上、異方性に問題がない。
【0037】
導電性接着剤層16が等方導電性接着剤層の場合、導電性接着剤層16の表面抵抗は、0.05〜2.0Ωが好ましく、0.1〜1.0Ωがより好ましい。導電性接着剤層16の表面抵抗が0.05Ω以上であれば、導電性粒子22の含有量が低く抑えられ、導電性接着剤の粘度が高くなりすぎず、塗布性がさらに良好となる。また、導電性接着剤層16の流動性(絶縁フィルムの貫通孔の形状への追随性)をさらに確保できる。導電性接着剤層16の表面抵抗が2.0Ω以下であれば、導電性接着剤層16の全面が均一な導電性を有するものとなる。
【0038】
(第1の離型フィルム)
第1の離型フィルム18は、保護層12や金属薄膜層14を形成する際のキャリアフィルムとなるものであり、電磁波シールドフィルム10のハンドリング性を良好にする。第1の離型フィルム18は、電磁波シールドフィルム10をフレキシブルプリント配線板等に貼り付けた後には、保護層12から剥離される。
【0039】
第1の離型フィルム18は、下記の条件(α)および条件(β)を満足するものである。
条件(α):電磁波シールドフィルム10を熱プレスする前の第1の離型フィルム18の保護層12側の表面の算術平均粗さRaが、0.02〜0.20μmである。
条件(β):電磁波シールドフィルム10を温度:170℃、圧力:15MPaで30秒間熱プレスした後の第1の離型フィルム18の保護層12側の表面の算術平均粗さRaが、0.30〜0.80μmである。
【0040】
熱プレス前の第1の離型フィルム18の保護層12側の表面の算術平均粗さRaが0.02〜0.20μmの範囲内であれば、熱プレス前における第1の離型フィルム18と保護層12との密着性が適度なものとなり、電磁波シールドフィルム10のハンドリング性が良好となる。
【0041】
熱プレス後の第1の離型フィルム18の保護層12側の表面の算術平均粗さRaが0.30μm以上であれば、下記の点を満足する凹凸が保護層12の表面に形成される。
・後述する電磁波シールドフィルム付きフレキシブルプリント配線板を電子機器に実装する際に、保護層12の表面に貼着される補強板との接着性を向上させる。
・光学センサ(カメラモジュールのCCDイメージセンサ、CMOSイメージセンサ等)の周辺において電磁波シールドフィルム付きフレキシブルプリント配線板からの光の正反射を抑える。
・保護層12の表面に生じた傷等を目立たなくする。
【0042】
熱プレス後の第1の離型フィルム18の保護層12側の表面の算術平均粗さRaが0.8μm以下であれば、第1の離型フィルム18と保護層12との接着性が高くなりすぎず、第1の離型フィルム18を保護層12から剥離しやすい。
【0043】
第1の離型フィルム18としては、離型フィルム本体18aの内部に複数の気泡24を有する離型フィルムが好ましい。第1の離型フィルム18が複数の気泡24を有する場合、下記のメカニズムによって、熱プレスの際に第1の離型フィルム18の保護層12側の表面、および保護層12側の表面に凹凸が形成される。また、第1の離型フィルム18の保護層12側の表面、および保護層12側の表面に形成される凹凸が滑らかになり、第1の離型フィルム18の保護層12側の表面の算術平均粗さRaが熱プレス前に比べ高いにもかかわらず、第1の離型フィルム18を保護層12から容易に剥離できる。
【0044】
図2に示すように、電磁波シールドフィルム10を熱プレスした際に、第1の離型フィルム18の気泡24の一部が潰れることによって、熱プレスの圧力を吸収する。一方、第1の離型フィルム18において厚さ方向に渡って気泡24がほとんど潰れなかった部分においては、熱プレスの圧力は第1の離型フィルム18にほとんど吸収されない。気泡24の一部が潰れることによって第1の離型フィルム18において熱プレスの圧力が吸収された部分では、第1の離型フィルム18の厚さが小さくなるとともに、保護層12、金属薄膜層14および導電性接着剤層16に伝わる熱プレスの圧力が小さくなる。一方、気泡24が潰れることなく第1の離型フィルム18において熱プレスの圧力がほとんど吸収された部分では、保護層12、金属薄膜層14および導電性接着剤層16に伝わる熱プレスの圧力が小さくならない。このため、気泡24が潰れた部分では、第1の離型フィルム18の厚さが小さくなった分、第1の離型フィルム18の保護層12側の表面が凹み、相対的に気泡24が潰れなかった部分では、第1の離型フィルム18の保護層12側の表面が隆起する。その結果、熱プレスによって第1の離型フィルム18の保護層12側の表面に凹凸が形成される。また、この凹凸は、熱プレスによる第1の離型フィルム18の厚さの変化によって形成されているため、ブラスト処理で形成された凹凸のようにささくれを有することがなく、滑らかである。そして、熱プレスによって第1の離型フィルム18の保護層12側の表面に凹凸が形成される際に、熱プレスの圧力によって保護層12、金属薄膜層14および導電性接着剤層16も、第1の離型フィルム18の凹凸に追随するように変形し、保護層12の表面に滑らかな凹凸が形成される。
【0045】
複数の気泡24を有するフィルムとしては、発泡フィルム、多孔質フィルム等が挙げられ、熱プレス後の第1の離型フィルム18の保護層12側の表面の算術平均粗さRaを前記範囲に調整しやすく、後述する160℃における貯蔵弾性率を後述する範囲に調整しやすく、製造が容易である(入手しやすい)点から、発泡フィルムが好ましい。発泡フィルムは、複数の気泡を有する発泡層のみからなる単層構造のものであってもよく、発泡層と非発泡層とを有する積層構造のものであってもよい。
【0046】
第1の離型フィルム18中の気泡24の割合は、第1の離型フィルム18の100体積%のうち、2〜30体積%が好ましく、5〜25体積%がより好ましく、10〜20体積%がさらに好ましい。第1の離型フィルム18中の気泡24の割合が前記範囲内であれば、熱プレス後の第1の離型フィルム18の保護層12側の表面の算術平均粗さRaを前記範囲に調整しやすい。
【0047】
気泡24の平均径は、0.1〜60μmが好ましく、0.1〜50μmがより好ましく、0.2〜50μmがさらに好ましい。気泡24の平均径が前記範囲内であれば、熱プレス後の第1の離型フィルム18の保護層12側の表面の算術平均粗さRaを前記範囲にしやすくなる。
【0048】
第1の離型フィルム18の材料としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリエチレンイソフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリオレフィン、ポリアセテート、ポリカーボネート、ポリフェニレンサルファイド、ポリアミド、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、合成ゴム、液晶ポリマー等が挙げられ、電磁波シールドフィルム10を製造する際の耐熱性(寸法安定性)およびコストの点から、ポリエチレンテレフタレートが好ましい。
【0049】
第1の離型フィルム18の160℃における貯蔵弾性率は、0.8×10
8〜4×10
8Paが好ましく、0.8×10
8〜3×10
8Paがより好ましい。第1の離型フィルム18の160℃における貯蔵弾性率が0.8×10
8Pa以上であれば、電磁波シールドフィルム10のハンドリング性が良好となる。第1の離型フィルム18の160℃における貯蔵弾性率が4×10
8Pa以下であれば、第1の離型フィルム18の柔軟性が良好となる。
【0050】
第1の離型フィルム18の厚さは、5〜500μmが好ましく、10〜150μmがより好ましく、25〜100μmがさらに好ましい。第1の離型フィルム18の厚さが5μm以上であれば、電磁波シールドフィルム10のハンドリング性が良好となる。また、第1の離型フィルム18がクッション材として十分に働き、フレキシブルプリント配線板の表面に設けられた絶縁フィルムの表面に電磁波シールドフィルム10の導電性接着剤層16を熱プレスにて貼着する際に、導電性接着剤層16が絶縁フィルムの表面の凹凸形状に追随しやすくなる。第1の離型フィルム18の厚さが500μm以下であれば、絶縁フィルムの表面に電磁波シールドフィルム10の導電性接着剤層16を熱プレスする際に導電性接着剤層16に熱が伝わりやすい。
【0051】
(離型剤層)
離型フィルム本体18aの保護層12側の表面に、離型剤による離型処理が施されて、離型剤層18bが形成される。第1の離型フィルム18が離型剤層18bを有することによって、後述する工程(f)において第1の離型フィルム18を保護層12から剥離する際に、第1の離型フィルム18が剥離しやすく、保護層12や硬化後の導電性接着剤層16が破断しにくくなる。
離型剤としては、公知の離型剤を用いればよい。
【0052】
離型剤層18bの厚さは、0.05〜2.0μmが好ましく、0.1〜1.5μmがより好ましい。離型剤層18bの厚さが前記範囲内であれば、後述する工程(f)において第1の離型フィルム18がさらに剥離しやすくなる。
【0053】
(第2の離型フィルム)
第2の離型フィルム20は、導電性接着剤層16を保護するものであり、電磁波シールドフィルム10のハンドリング性を良好にする。第2の離型フィルム20は、電磁波シールドフィルム10をフレキシブルプリント配線板等に貼り付ける前に、導電性接着剤層16から剥離される。
【0054】
第2の離型フィルム20の材料としては、第1の離型フィルム18の材料と同様なものが挙げられる。
第2の離型フィルム20の厚さは、5〜500μmが好ましく、10〜150μmがより好ましく、25〜100μmがさらに好ましい。
【0055】
(電磁波シールドフィルムの厚さ)
電磁波シールドフィルム10の厚さ(離型フィルムを除く)は、10〜45μmが好ましく、10〜30μmがより好ましい。電磁波シールドフィルム10の厚さ(離型フィルムを除く)が10μm以上であれば、第1の離型フィルム18を剥離する際に破断しにくい。電磁波シールドフィルム10の厚さ(離型フィルムを除く)が45μm以下であれば、電磁波シールドフィルム付きフレキシブルプリント配線板を薄くできる。
【0056】
(電磁波シールドフィルムの製造方法)
本発明の電磁波シールドフィルムは、例えば、下記の工程(a)〜(c)を有する方法によって製造できる。
(a)離型フィルムの片面に保護層を形成する工程。
(b)保護層の表面に金属薄膜層を形成する工程。
(c)金属薄膜層の表面に導電性接着剤層を形成する工程。
【0057】
以下、
図1に示す電磁波シールドフィルム10を製造する方法について、
図3を参照しながら説明する。
【0058】
(工程(a))
図3に示すように、第1の離型フィルム18の離型剤層18bの表面に保護層12を形成する。
【0059】
保護層12の形成方法としては、熱硬化性樹脂と硬化剤とを含む塗料を塗布し、硬化させる方法、熱可塑性樹脂を含む塗料を塗布する方法、熱可塑性樹脂を溶融成形したフィルムを貼着する方法等が挙げられる。ハンダ付け等の際の耐熱性の点から、熱硬化性樹脂と硬化剤とを含む塗料を塗布し、硬化させる方法が好ましい。
熱硬化性樹脂と硬化剤とを含む塗料は、必要に応じて溶剤、他の成分を含んでいてもよい。
【0060】
保護層12を、塗料の塗布によって形成した場合、保護層12を比較的薄くできる。なお、熱硬化性樹脂の硬化物は硬いため、保護層12を薄くした場合は、強度が不十分となる。上述したように、保護層12の160℃における貯蔵弾性率を、5×10
6〜1×10
8Paの範囲とすることによって、柔軟性や強度と、耐熱性とのバランスが良好となる。
【0061】
保護層12の貯蔵弾性率の制御は、架橋密度および架橋構造からもたらされる強靭性の観点から熱硬化性樹脂、硬化剤等の種類や組成を選択し、熱硬化性樹脂の硬化物の貯蔵弾性率を調整することによって行われる。
このほか、貯蔵弾性率は、熱硬化性樹脂を硬化させる際の温度、時間等の硬化条件を調整する、または熱硬化性を有さない成分として熱可塑性エラストマー等の熱可塑性樹脂を添加することによって調整できる。
【0062】
(工程(b))
図3に示すように、保護層12の表面に金属薄膜層14を形成する。
【0063】
金属薄膜層14の形成方法としては、物理蒸着、CVD、めっき等によって金属薄膜を形成する方法、金属箔を貼り付ける方法等が挙げられる。面方向の導電性に優れる金属薄膜層14を形成できる点から、物理蒸着、CVD、めっき等によって金属薄膜を形成する方法が好ましく、金属薄膜層14の厚さを薄くでき、かつ厚さが薄くても面方向の導電性に優れる金属薄膜層14を形成でき、ドライプロセスにて簡便に金属薄膜層14を形成できる点から、物理蒸着による方法がより好ましい。
【0064】
(工程(c))
図3に示すように、金属薄膜層14の表面に導電性接着剤層16を形成し、導電性接着剤層16の表面を第2の離型フィルム20で覆う。
【0065】
導電性接着剤層16の形成方法としては、金属薄膜層14の表面に導電性接着剤組成物を塗布する方法;第2の離型フィルム20の表面に導電性接着剤層16を形成した後、金属薄膜層14、保護層12および第1の離型フィルム18からなる第1の積層体と、導電性接着剤層16および第2の離型フィルム20からなる第2の積層体とを、金属薄膜層14と導電性接着剤層16とが接触するように貼り合わせる方法が挙げられる。
導電性接着剤組成物としては、上述した熱硬化性接着剤と導電性粒子22とを含むものを用いる。
【0066】
(作用効果)
以上説明した電磁波シールドフィルム10にあっては、第1の離型フィルム18が上述した条件(α)および条件(β)を満足するものであるため、後述する絶縁フィルム付きフレキシブルプリント配線板と、電磁波シールドフィルム10とを、熱プレスする際に、第1の離型フィルム18の保護層12側の表面に凹凸が形成される。そして、第1の離型フィルム18の保護層12側の表面の凹凸に追随するようにして、保護層12の表面に凹凸を形成できる。また、この凹凸は、熱プレスによる第1の離型フィルム18の変形によって形成されているため、滑らかである。そのため、第1の離型フィルム18の保護層12側の表面の算術平均粗さRaが熱プレス前に比べ高いにもかかわらず、第1の離型フィルム18を保護層12から容易に剥離できる。
【0067】
(他の実施形態)
本発明の電磁波シールドフィルムは、離型フィルムと、導電性接着剤層と、離型フィルムと導電性接着剤層との間に存在する保護層とを備え、離型フィルムが、上述した条件(α)および条件(β)を満足するものであればよく、
図1の実施形態に限定はされない。
例えば、導電性接着剤層16の表面のタック性が少ない場合は、第2の離型フィルム20を省略しても構わない。
第1の離型フィルム18は、離型フィルム本体18aのみで十分な離型性を有する場合は、離型剤層18bを有しなくてもよい。
導電性接着剤層16が面方向に十分な導電性を有する場合(例えば、等方導電性接着剤層である場合)、
図4に示すように、金属薄膜層を省略しても構わない。
【0068】
<電磁波シールドフィルム付きフレキシブルプリント配線板>
図5は、本発明における電磁波シールドフィルム付きフレキシブルプリント配線板の一例を示す断面図である。
電磁波シールドフィルム付きフレキシブルプリント配線板1は、フレキシブルプリント配線板30と、絶縁フィルム40と、離型フィルムを剥離した電磁波シールドフィルム10とを備える。
フレキシブルプリント配線板30は、ベースフィルム32の少なくとも片面にプリント回路34が設けられたものである。
絶縁フィルム40は、フレキシブルプリント配線板30のプリント回路34が設けられた側の表面に設けられる。
電磁波シールドフィルム10の導電性接着剤層16は、絶縁フィルム40の表面に接着され、かつ硬化されている。また、導電性接着剤層16は、絶縁フィルム40に形成された貫通孔(図示略)を通ってプリント回路34に電気的に接続されている。
【0069】
貫通孔のある部分を除くプリント回路34(信号回路、グランド回路、グランド層等)の近傍には、電磁波シールドフィルム10の金属薄膜層14が、絶縁フィルム40および導電性接着剤層16を介して離間して対向配置される。
貫通孔のある部分を除くプリント回路34と金属薄膜層14との離間距離は、絶縁フィルム40の厚さと導電性接着剤層16の厚さの総和である。離間距離は、30〜200μmが好ましく、60〜200μmがより好ましい。離間距離が30μmより小さいと、信号回路のインピーダンスが低くなるため、100Ω等の特性インピーダンスを有するためには、信号回路の線幅を小さくしなければならず、線幅のバラツキが特性インピーダンスのバラツキとなって、インピーダンスのミスマッチによる反射共鳴ノイズが電気信号に乗りやすくなる。離間距離が200μmより大きいと、電磁波シールドフィルム付きフレキシブルプリント配線板1が厚くなり、可とう性が不足する。
【0070】
(フレキシブルプリント配線板)
フレキシブルプリント配線板30は、銅張積層板の銅箔を公知のエッチング法により所望のパターンに加工してプリント回路34(電源回路、グランド回路、グランド層等)としたものである。
銅張積層板としては、ベースフィルム32の片面または両面に接着剤層(図示略)を介して銅箔を貼り付けたもの;銅箔の表面にベースフィルム32を形成する樹脂溶液等をキャストしたもの等が挙げられる。
接着剤層の材料としては、エポキシ樹脂、ポリエステル、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリアミド、フェノール樹脂、ポリウレタン、アクリル樹脂、メラミン樹脂等が挙げられる。
接着剤層の厚さは、0.5〜30μmが好ましい。
【0071】
(ベースフィルム)
ベースフィルム32としては、耐熱性を有するフィルムが好ましく、ポリイミドフィルム、液晶ポリマーフィルムがより好ましく、ポリイミドフィルムがさらに好ましい。
ベースフィルム32の表面抵抗は、電気的絶縁性の点から、1×10
6Ω以上が好ましい。ベースフィルム32の表面抵抗は、実用上の点から、1×10
19Ω以下が好ましい。
ベースフィルム32の厚さは、5〜200μmが好ましく、屈曲性の点から、6〜25μmがより好ましく、10〜25μmがより好ましい。
【0072】
(プリント回路)
プリント回路34(信号回路、グランド回路、グランド層等)を構成する銅箔としては、圧延銅箔、電解銅箔等が挙げられ、屈曲性の点から、圧延銅箔が好ましい。
銅箔の厚さは、1〜50μmが好ましく、18〜35μmがより好ましい。
プリント回路34の長さ方向の端部(端子)は、ハンダ接続、コネクター接続、部品搭載等のため、絶縁フィルム40や電磁波シールドフィルム10に覆われていない。
【0073】
(絶縁フィルム)
絶縁フィルム40は、基材フィルム(図示略)の片面に、接着剤の塗布、接着剤シートの貼り付け等によって接着剤層(図示略)を形成したものである。
基材フィルムの表面抵抗は、電気的絶縁性の点から、1×10
6Ω以上が好ましい。基材フィルムの表面抵抗は、実用上の点から、1×10
19Ω以下が好ましい。
基材フィルムとしては、耐熱性を有するフィルムが好ましく、ポリイミドフィルム、液晶ポリマーフィルムがより好ましく、ポリイミドフィルムがさらに好ましい。
基材フィルムの厚さは、1〜100μmが好ましく、可とう性の点から、3〜25μmがより好ましい。
接着剤層の材料としては、エポキシ樹脂、ポリエステル、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリアミド、フェノール樹脂、ポリウレタン、アクリル樹脂、メラミン樹脂、ポリスチレン、ポリオレフィン等が挙げられる。エポキシ樹脂は、可とう性付与のためのゴム成分(カルボキシル変性ニトリルゴム等)を含んでいてもよい。
接着剤層の厚さは、1〜100μmが好ましく、1.5〜60μmがより好ましい。
【0074】
貫通孔の開口部の形状は、特に限定されない。貫通孔の開口部の形状としては、例えば、円形、楕円形、四角形等が挙げられる。
【0075】
<電磁波シールドフィルム付きフレキシブルプリント配線板の製造方法>
本発明の電磁波シールドフィルム付きフレキシブルプリント配線板の製造方法は、下記の工程(d)〜(f)を有する。
(d)ベースフィルムの少なくとも片面にプリント回路を有するフレキシブルプリント配線板のプリント回路が設けられた側の表面に、絶縁フィルムを設け、絶縁フィルム付きフレキシブルプリント配線板を得る工程。
(e)工程(d)の後、絶縁フィルム付きフレキシブルプリント配線板と、本発明の電磁波シールドフィルムとを、絶縁フィルムの表面に導電性接着剤層が接触するように重ね、これらを熱プレスすることによって、絶縁フィルムの表面に導電性接着剤層を接着する工程。
(f)工程(e)の後、離型フィルムを剥離し、電磁波シールドフィルム付きフレキシブルプリント配線板を得る工程。
【0076】
以下、電磁波シールドフィルム付きフレキシブルプリント配線板を製造する方法について、
図6を参照しながら説明する。
【0077】
(工程(d))
図6に示すように、フレキシブルプリント配線板30に、プリント回路34に対応する位置に貫通孔42が形成された絶縁フィルム40を重ね、フレキシブルプリント配線板30の表面に絶縁フィルム40の接着剤層(図示略)を接着し、接着剤層を硬化させることによって、絶縁フィルム付きフレキシブルプリント配線板2を得る。フレキシブルプリント配線板30の表面に絶縁フィルム40の接着剤層を仮接着し、工程(e)にて接着剤層を本硬化させてもよい。
接着剤層の接着および硬化は、例えば、プレス機(図示略)等による熱プレスによって行う。
【0078】
(工程(e))
図6に示すように、絶縁フィルム付きフレキシブルプリント配線板2に、第2の離型フィルム20を剥離した電磁波シールドフィルム10を重ね、熱プレスすることによって、絶縁フィルム40の表面に導電性接着剤層16が接着され、かつ導電性接着剤層16が、貫通孔42を通ってプリント回路34に電気的に接続された電磁波シールドフィルム付きフレキシブルプリント配線板の前駆体3を得る。
【0079】
導電性接着剤層16の接着および硬化は、例えば、プレス機(図示略)等による熱プレスによって行う。
熱プレスの時間は、20秒〜60分間であり、30秒〜30分間がさらに好ましい。熱プレスの時間が20秒以上であれば、絶縁フィルム40の表面に導電性接着剤層16が接着される。熱プレスの時間が60分以下であれば、電磁波シールドフィルム付きフレキシブルプリント配線板1の製造時間を短縮できる。
【0080】
熱プレスの温度(プレス機のプレス板の温度)は、140〜190℃が好ましく、150〜175℃がより好ましい。熱プレスの温度が140℃以上であれば、絶縁フィルム40の表面に導電性接着剤層16が接着される。また、熱プレスの時間を短縮できる。熱プレスの温度が190℃以下であれば、電磁波シールドフィルム10、フレキシブルプリント配線板30等の劣化等を抑えることができる。
【0081】
熱プレスの圧力は、10MPa〜20MPaが好ましく、10MPa〜16MPaがより好ましい。熱プレスの圧力が10MPa以上であれば、絶縁フィルム40の表面に導電性接着剤層16が接着される。また、熱プレスの時間を短縮できる。熱プレスの圧力が20MPa以下であれば、電磁波シールドフィルム10、フレキシブルプリント配線板30等の破損等を抑えることができる。
【0082】
上述した条件(α)および条件(β)を満足する第1の離型フィルム18を備えた電磁波シールドフィルム10を用いているため、工程(e)の後の第1の離型フィルム18の保護層12側の表面の算術平均粗さRaは、工程(e)の前の第1の離型フィルム18の保護層12側の表面の算術平均粗さRaよりも大きくなる。
【0083】
(工程(f))
図6に示すように、保護層12から第1の離型フィルム18を剥離し、電磁波シールドフィルム付きフレキシブルプリント配線板1を得る。
【0084】
工程(e)における熱プレスの時間が20秒〜10分間の短時間である場合、第1の離型フィルム18を剥離する前または剥離した後に導電性接着剤層16の本硬化を行うことが好ましい。
導電性接着剤層16の本硬化は、例えば、オーブン等の加熱装置を用いて行う。
加熱時間は、15〜120分間であり、30〜60分間が好ましい。加熱時間が15分以上であれば、導電性接着剤層16を十分に硬化できる。加熱時間が120分以下であれば、電磁波シールドフィルム付きフレキシブルプリント配線板1の製造時間を短縮できる。
加熱温度(オーブン中の雰囲気温度)は、120〜180℃が好ましく、120〜150℃が好ましい。加熱温度が120℃以上であれば、加熱時間を短縮できる。加熱温度が180℃以下であれば、電磁波シールドフィルム10、フレキシブルプリント配線板30等の劣化等を抑えることができる。
加熱は、特殊な装置を使用しなくてもよい点から、無加圧で行うことが好ましい。
【0085】
工程(f)の後の保護層12の表面の算術平均粗さRaは、0.30〜0.80μmが好ましく、0.35〜0.60μmがより好ましい。
保護層12の表面の算術平均粗さRaが0.8μm以下であれば、第1の離型フィルム18と保護層12との接着性が高くなりすぎず、第1の離型フィルム18を保護層12から剥離しやすい。
【0086】
保護層12の表面の算術平均粗さRaが0.3μm以上であれば、保護層12が下記の点を満足する。
・後述する電磁波シールドフィルム付きフレキシブルプリント配線板を電子機器に実装する際に、保護層12の表面に貼着される補強板との接着性を向上させる。
・光学センサ(カメラモジュールのCCDイメージセンサ、CMOSイメージセンサ等)の周辺において電磁波シールドフィルム付きフレキシブルプリント配線板からの光の正反射を抑える。
・保護層12の表面に生じた傷等を目立たなくする。
【0087】
(作用効果)
以上説明した電磁波シールドフィルム付きフレキシブルプリント配線板1の製造方法にあっては、電磁波シールドフィルム10を用いているため、絶縁フィルム付きフレキシブルプリント配線板と、電磁波シールドフィルムとを、熱プレスする際に、電磁波シールドフィルムの保護層の表面に凹凸を形成できる。また、熱プレスした後に、離型フィルムを保護層から容易に剥離できる。
【0088】
(他の実施形態)
本発明の電磁波シールドフィルム付きフレキシブルプリント配線板の製造方法は、上述した工程(d)〜(f)を有する方法であればよく、図示例の実施形態に限定はされない。
例えば、フレキシブルプリント配線板は、裏面側にグランド層を有するものであってもよい。また、フレキシブルプリント配線板は、両面にプリント回路を有し、両面に絶縁フィルムおよび電磁波シールドフィルムが貼り付けられたものであってもよい。
【実施例】
【0089】
以下、実施例を示す。なお、本発明は実施例に限定されるものではない。
【0090】
(貯蔵弾性率)
貯蔵弾性率は、動的粘弾性測定装置(Rheometric Scientific,Inc.製、RSAII)を用いて測定した。
【0091】
(気泡の割合)
発泡フィルム中の気泡の割合は、発泡フィルムの断面を3D測定レーザー顕微鏡(OLYMPUS社製、LEXT OLS4000)で対物レンズ100倍に拡大して観察し、画像の面積に対する画像中の気泡の断面積の割合を算出することによって求めた。
【0092】
(気泡の平均径)
気泡の平均径は、発泡フィルムの断面を上記と同様に拡大して観察し、無作為に選ばれた100個の気泡について、それぞれ断面積を測定し、断面積が等しい円の相当直径を求め、これらを平均することによって求めた。
【0093】
(算術平均粗さRa)
熱プレスする前の第1の離型フィルムの離型剤層の表面の算術平均粗さRa、工程(e)の後の第1の離型フィルムの保護層側の表面の算術平均粗さRa、および工程(f)後の保護層12の表面の算術平均粗さRaは、3D測定レーザー顕微鏡(OLYMPUS社製、LEXT OLS4000)を用いて測定した。
電磁波シールドフィルムの熱プレスは、熱プレス装置(VIGOR社製、50トンプレス、VFPC−05R)を用い、プレス板の温度:170℃、圧力:15MPa、時間:30秒間の条件で実施した。
【0094】
(剥離強度)
保護層から第1の離型フィルムを剥離する際の剥離強度は、20mm幅の試験片について剥離角度180°、剥離速度300mm/分で測定した。
【0095】
(実施例1)
第1の離型フィルム18として、非シリコーン系離型剤にて片面が離型処理された発泡ポリエチレンテレフタレートフィルム(東洋紡社製、クリスパー、厚さ:50μm、160℃における貯蔵弾性率:3.5×10
8Pa、気泡の割合:20体積%、気泡の平均径:52μm、離型剤層18bの表面の算術平均粗さRa:0.118μm、離型剤層18bの厚さ:0.12μm)を用意した。熱プレスする前の第1の離型フィルム18の離型剤層18bの表面の算術平均粗さRaを表1に示す。
【0096】
工程(a):
第1の離型フィルム18の離型剤層18bの表面に、溶剤溶解性アミド樹脂(ティーアンドケイ東華社製、TPAE−617C)および硬化剤(トルエンジイソシアネート)をN,N−ジメチルホルムアミドに溶解した塗料を塗布し、150℃で0.4時間加熱し、アミド樹脂を硬化させて、保護層12(厚さ:5μm、160℃における貯蔵弾性率:8×10
6Pa、表面抵抗:8×10
12Ω)を形成した。
【0097】
工程(b):
保護層12の表面に、電子ビーム蒸着法にて銅を物理的に蒸着させ、厚さ0.07μm、表面抵抗0.3Ωの蒸着膜(金属薄膜層14)を形成した。
【0098】
工程(c):
金属薄膜層14の表面に、潜在硬化性エポキシ樹脂としてエポキシ樹脂(DIC社製、EXA−4816)と硬化剤(味の素ファインテクノ社製、PN−23)との混合物、導電性粒子22として焼成カーボン粒子(エアウォーターベルパール社製、CR1−2000、平均粒子径:9μm、比表面積:5m
2/g、真密度:1.5g/cm
3)に銀メッキを1μm厚で施したものを、溶剤(メチルエチルケトン)に溶解または分散させた導電性接着剤組成物を、ダイコーターを用いて塗布し、溶剤を揮発させてBステージ化することによって、異方導電性である導電性接着剤層16(厚さ:10μm、銀メッキ焼成カーボン粒子:5体積%、表面抵抗:5×10
8Ω)を形成した。第2の離型フィルム20として、非シリコーン系離型剤にて片面が離型処理された非発泡ポリエチレンテレフタレートフィルム(リンテック社製、T157、厚さ:50μm)を導電性接着剤層16の表面に設け、電磁波シールドフィルム10を得た。
【0099】
工程(d):
厚さ25μmのポリイミドフィルム(表面抵抗:1×10
17Ω)(基材フィルム)の表面に、ニトリルゴム変性エポキシ樹脂からなる絶縁性接着剤組成物を、乾燥膜厚が25μmになるように塗布し、接着剤層を形成し、絶縁フィルム40(厚さ:50μm)を得た。
【0100】
厚さ12μmのポリイミドフィルム(表面抵抗:1×10
17Ω)(ベースフィルム32)の表面に、プリント回路34が形成されたフレキシブルプリント配線板30を用意した。
フレキシブルプリント配線板30に絶縁フィルム40を熱プレスにより貼り付けて、絶縁フィルム付きフレキシブルプリント配線板2を得た。
【0101】
工程(e):
フレキシブルプリント配線板30に、第2の離型フィルム20を剥離した電磁波シールドフィルム10を重ね、ホットプレス装置(VIGOR社製、VFPC−05R)を用い、温度:170℃、圧力:15MPaで30秒間熱プレスし、絶縁フィルム40の表面に導電性接着剤層16を接着して、電磁波シールドフィルム付きフレキシブルプリント配線板の前駆体3を得た。
【0102】
工程(f):
電磁波シールドフィルム付きフレキシブルプリント配線板の前駆体3から試験片を切り出し、試験片について保護層12から第1の離型フィルム18を剥離し、保護層12から第1の離型フィルム18を剥離する際の剥離強度を測定した。
残りの電磁波シールドフィルム付きフレキシブルプリント配線板の前駆体3について保護層12から第1の離型フィルム18を剥離した。保護層12および硬化後の導電性接着剤層16の破断および剥離の有無、工程(e)の後の第1の離型フィルム18の保護層12側の表面の算術平均粗さRaを表1に示す。
第1の離型フィルム18を剥離した電磁波シールドフィルム付きフレキシブルプリント配線板の前駆体3を、高温恒温器(楠本化成社製、HT210)を用い、温度:170℃で30分間加熱することによって、導電性接着剤層16を本硬化させ、電磁波シールドフィルム付きフレキシブルプリント配線板1を作製した。工程(f)後の保護層12の表面の算術平均粗さRaを表1に示す。
【0103】
(実施例2)
保護層12の厚さを10μmとし、金属薄膜層を省略し、導電性接着層16を等方導電性接着層(厚さ:12μm、表面抵抗:0.3Ω)に変更した以外は、実施例1と同様に、電磁波シールドフィルム付きフレキシブルプリント配線板1を作製した。保護層12から第1の離型フィルム18を剥離する際の剥離強度、保護層12および硬化後の導電性接着剤層16の破断および剥離の有無、工程(e)の後の第1の離型フィルム18の保護層12側の表面の算術平均粗さRa、保護層12の表面の算術平均粗さRaを表1に示す。
【0104】
(実施例3)
第1の離型フィルム18として、非シリコーン系離型剤にて片面が離型処理された発泡ポリエチレンテレフタレートフィルム(東洋紡社製、クリスバー、厚さ:38μm、160℃における貯蔵弾性率:3.7×10
8Pa、気泡の割合:18体積%、気泡の平均径:50μm、離型剤層18bの表面の算術平均粗さRa:0.123μm、離型剤層18bの厚さ:0.11μm)を用い、金属薄膜層14、異方導電性の導電性接着層16および第2の離型フィルム20を表1に示すように変更した以外は、実施例1と同様にして電磁波シールドフィルム付きフレキシブルプリント配線板1を得た。
熱プレスする前の第1の離型フィルム18の離型剤層18bの表面の算術平均粗さRa、工程(e)の後の第1の離型フィルム18の保護層12側の表面の算術平均粗さRa、保護層12から第1の離型フィルム18を剥離する際の剥離強度、保護層12および硬化後の導電性接着剤層16の破断および剥離の有無、保護層12の表面の算術平均粗さRaを表1に示す。
【0105】
(実施例4)
保護層12の厚さを10μmとし、金属薄膜層を省略し、導電性接着層16を等方導電性接着層(厚さ:17μm、表面抵抗:0.2Ω)に変更した以外は、実施例3と同様に、電磁波シールドフィルム付きフレキシブルプリント配線板1を作製した。保護層12から第1の離型フィルム18を剥離する際の剥離強度、保護層12および硬化後の導電性接着剤層16の破断および剥離の有無、工程(e)の後の第1の離型フィルム18の保護層12側の表面の算術平均粗さRa、保護層12の表面の算術平均粗さRaを表1に示す。
【0106】
(比較例1)
第1の離型フィルムとして、非シリコーン系離型剤にて片面が離型処理された非発泡ポリエチレンテレフタレートフィルム(リンテック社製、T157、厚さ:50μm、160℃における貯蔵弾性率:6×10
8Pa、離型剤層の表面の算術平均粗さRa:0.074μm)を用いた以外は、実施例1と同様にして電磁波シールドフィルム付きフレキシブルプリント配線板を得た。
熱プレスする前の第1の離型フィルムの離型剤層の表面の算術平均粗さRa、工程(e)の後の第1の離型フィルムの保護層側の表面の算術平均粗さRa、保護層から第1の離型フィルムを剥離する際の剥離強度、保護層および硬化後の導電性接着剤層の破断および剥離の有無、保護層の表面の算術平均粗さRaを表1に示す。
【0107】
(比較例2)
第1の離型フィルムとして、非シリコーン系離型剤にて片面が離型処理された非発泡ポリエチレンテレフタレートフィルム(リンテック社製、T157、厚さ:50μm、160℃における貯蔵弾性率:6×10
8Pa)の離型処理された側の表面をブラスト処理したフィルム(離型剤層の表面の算術平均粗さRa:0.529μm)を用い、等方導電性の導電性接着層16を表1に示すように変更した以外は、実施例4と同様にして電磁波シールドフィルム付きフレキシブルプリント配線板を得た。
熱プレスする前の第1の離型フィルムの離型剤層の表面の算術平均粗さRa、工程(e)の後の第1の離型フィルムの保護層側の表面の算術平均粗さRa、保護層から第1の離型フィルムを剥離する際の剥離強度、保護層および硬化後の導電性接着剤層の破断および剥離の有無、保護層の表面の算術平均粗さRaを表1に示す。
【0108】
【表1】
【0109】
実施例1〜4においては、電磁波シールドフィルムを熱プレスする前および熱プレスした後の第1の離型フィルムの離型剤層の表面の算術平均粗さRaが、上述した条件(α)および条件(β)を満足するため、絶縁フィルム付きフレキシブルプリント配線板と、電磁波シールドフィルムとを、熱プレスする際に、電磁波シールドフィルムの保護層の表面に凹凸を形成でき、かつ熱プレスした後に、第1の離型フィルムを保護層から容易に剥離できた。
一方、比較例1においては、電磁波シールドフィルムを熱プレスした後の第1の離型フィルムの離型剤層の表面の算術平均粗さRaが、上述した条件(β)を満足しないため、絶縁フィルム付きフレキシブルプリント配線板と、電磁波シールドフィルムとを、熱プレスする際に、電磁波シールドフィルムの保護層の表面に凹凸を形成できなかった。
比較例2においては、第1の離型フィルムの表面ががあらかじめブラスト処理され、かつ電磁波シールドフィルムを熱プレスする前の第1の離型フィルムの離型剤層の表面の算術平均粗さRaが、上述した条件(α)を満足しないため、熱プレスした後に、第1の離型フィルムを保護層から容易に剥離できなかった。