(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
例えば、飲料における、ノンカロリー甘味料による砂糖(ショ糖)の全体的または部分的な代替は、特に、ステビオシド(Stevia rebaudianaの葉からの抽出物)、羅漢果(Lo Han Guo)(Siraitia grosvenoriiの果実からの抽出物)、グリチルリチン、ペリラルチン((S)−4−(プロパ−1−エン−2−イル)シクロヘキサ−1−エン−カルバルデヒドオキシム)、モグロシドV、ルブソシド、ルブス抽出物、およびレバウジオシドA(RebA)(ステビオシドの1つの甘味の構成成分)などの天然成分が、多くの国において食品における使用のために市販されていることから、ますます一般的になっている。
【0003】
RebAなどのこれらの天然のノンカロリー甘味料の1つの問題は、それらが長持ちする長引く効果を有し、甘さが望まれるレベルにおいて苦味をもたらすことである。かかるオフノートは、それらを含む組成物が砂糖を含む組成物よりもカロリーを減らす必要のある人々にとってはるかに健康的であっても、それらの受け入れを制限する。
【0004】
RebAの別の問題は、それは、味のプロファイルの中盤から終わりまで甘さを届け、そして長引くのに対し、ショ糖は、最初から終わりまで甘さを届け、そして止まることである。
【0005】
アラビノガラクタンなどのマスキング剤の添加により、RebAの長引く苦味をマスクすることが提案されてきた(US2002/0004092)。かかるオフノートをマスクする化合物のさらなる典型的な例は、米国特許出願公開第2010/227039号において見つけることができる。
【発明の概要】
【0006】
それにもかかわらず、良好なフレーバープロファイルを有し、ショ糖様の甘さのプロファイルを(ショ糖を使用せずに)増強し、およびより少ないオフノートを保有するさらなるおよびより良い方法および製品の必要性が今なお残る。
【0007】
ほとんどの果実は、酸を含有する。したがって、果汁および十分な量の果汁を含有する飲料は、酸性である(pHは約2〜4である)。本物の果汁の味を保有するために、フレーバー付与した飲料をクエン酸、リンゴ酸およびまれにフマル酸および/または酒石酸などの天然に存在する有機酸で酸性にすることが一般的である。これらの酸は今日、酸味を緩和するためにクエン酸塩緩衝剤と組み合わせて使用される。
【0008】
本開示の本質的な面は、フレーバー付与した飲料の酸味を緩和するために緩衝剤として使用されるクエン酸塩の存在が、RebAの長引く苦味の増強の原因となるという認識に関する。
【0009】
酸性にした飲料におけるRebAの長引く苦味を、グルコノデルタラクトン(GDL;CAS90−80−2)の添加によりはっきり分かるほど減少することができ、あるいは取り除くことができることが見出された。さらに、驚くべきことに、酸性化剤として一般的に知られるGDLの存在が、緩衝剤の存在を不要なものにすることが見出された。
【0010】
1つの面において、
a)有機酸
b)グルコノデルタラクトン;および
c)レバウジオシドA
を含むフレーバー付与した飲料製品を提供する。
【0011】
有機酸は、クエン酸、リンゴ酸、フマル酸、酒石酸、乳酸、アスコルビン酸、シュウ酸、マロン酸、ウロン酸、キナ酸、コハク酸、レブリン酸、およびそれらの組合せなどの広範囲の有機酸から選択してもよい。
【0012】
一態様において、有機酸は、クエン酸、リンゴ酸、フマル酸、および酒石酸などの果物中に天然に存在する有機酸、およびそれらの組合せ(例えば酒石酸またはリンゴ酸と組み合わせたフマル酸)から選択される。
【0013】
別の態様において、RebA、グルコノデルタラクトン、ならびにクエン酸、リンゴ酸、フマル酸および酒石酸から選択される酸を含む、本質的にクエン酸塩を含まないフレーバー付与した飲料を提供し、前記飲料は、pH約2〜約4を有する。
【0014】
クエン酸もまた、RebAの望ましくないオフノートも増強し得ることが見出された。したがって、ある態様において、酸味は、リンゴ酸、フマル酸、酒石酸、およびそれらの組合せから選択される酸により一部または完全に置き換えられ、任意にクエン酸と混和される。クエン酸が用いられる場合、それを、酸の総量に基づき50mol%(例えば25mol%、20mol%、15mol%、10mol%)以下のレベルで使用してもよい。
【0015】
純粋なグルコノデルタラクトン(GDL)は、水に溶解する、白色の無臭の結晶粉末である。それは、天然に存在する食品添加物であり、食品産業において、例えばベーキングパウダーのための酸性化剤として、および肉製品のための塩漬剤として使用される。GDLは、固体として、飲料と直接混和してもよい。任意に、後に飲料と混和してもよい濃縮水溶液(ストック溶液)を、調製してもよい。それを、最終製品(すなわち、飲み込まれる最終濃度における製品)に基づき約0.005〜0.4重量%、例えば約0.01〜0.2重量%のレベルで使用してもよい。
【0016】
一態様において、有機酸(a)、グルコノデルタラクトン(b)およびレバウジオシドA(c)を含むフレーバー付与した飲料を提供し、ここで、酸(a)対グルコノデルタラクトン(b)のモル比は、約4:1〜1:1、例えば、約3:1〜2:1であり、飲料は、本質的にクエン酸塩を含まない。
【0017】
RebAは、例えば、ステビア植物から抽出などにより得ることができる。ステビア(例えばStecia rebaudiana Bertoni)は、甘い味のする植物である。その葉は、甘い味を保有するジテルペングリコシドの複雑な混合物を含有する。レバウジオシド類は、甘さに寄与するステビアの構成成分である。標準的な方法を使用して、RebAは、90%以上の純度(例えば95〜99%の間、97%など、の純度)で得られる。
【0018】
飲料は、RebAを約30ppm〜約750ppm(例えば約50ppmから350ppmまで)の濃度で含んでもよい。しかしながら、添加する量は主に、望ましい甘さのレベルに依存し、他の成分の存在に依存し得る。例えば、果汁は、糖を含むため甘さのレベルに寄与する。
【0019】
一態様において、RebAは、フレーバー付与した飲料に添加される唯一の甘味料である。
別の態様において、RebAは、他の甘味料および/または甘味増強剤と組み合わせてもよい。
【0020】
好適な甘味料および甘味増強剤の例は、ショ糖、果糖、ブドウ糖、高果糖コーンシロップ、コーンシロップ、キシロース、アラビノース、ラムノース、エリスリトール、キシリトール、マンニトール、ソルビトール、イノシトール、アセスルファムカリウム、アスパルテーム、ネオテーム、スクラロース、およびサッカリン、ならびにそれらの組合せ;トリロバチン、ヘスペレチンジヒドロカルコングルコシド、ナリンギンジヒドロカルコン、モグロシドV、羅漢果の抽出物、ルブソシド、ルブス抽出物、グリシフィリン、イソモグロシドV、モグロシドIV、シアメノシドI、ネオモグロシド、ムクロジオシドIIb、(+)−ヘルナンダルシン、4β−ヒドロキシヘルナンダルシン、バイユノシド、フロミソシドI、ブリオズルコシド、ブリオシド、ブリオノシド、アブルソシドA〜E、シクロカリオシドA、シクロカリオシドI、アルビジアサポニンA〜E、グリチルリチン、アラボグリチルリチン、ペリアンドリンI〜V、プテロカリオシドAおよびB、オスラジン、ポリポドシドAおよびB、テロスモシドA8〜18、フィロダルシン、フアングキオシドE、ネオアスチルビン、モナチン、3−アセトキシ−5,7−ジヒドロキシ−4’−メトキシフラバノン、2R,3R−(+)−3−アセトキシ−5,7,4’−トリヒドロキシフラバノン、(2R,3R)−ジヒドロケルセチン3−O−アセテート、ジヒドロケルセチン3−O−アセテート4’−メチルエーテル、ブラゼイン、クルクリン、マビンリン、モネリン、ネオクリン、ペンタジン、タウマチンおよびそれらの組み合わせを含む。上に列挙した化合物のいくつかは、既知の甘味増強剤ならびに甘味料である。甘味増強剤として使用されるとき、それらは通常、それらの甘さの検知閾値より下で使用される。
【0021】
「フレーバー付与した飲料」は、フレーバー剤を、例えばフレーバリストによって当業者に知られた方法を使用して作り出されたフレーバー組成物の形状で添加する、あらゆる飲料を意味する。植物またはその部位(例えば葉、花および/または果実)由来の搾り汁を添加する飲料もまた、用語「フレーバー付与した飲料」に該当し得る。フレーバー組成物および搾り汁の両方を添加する飲料もまた、含まれる。
【0022】
好適なフレーバー剤の例は、天然のフレーバー、人工のフレーバー、香辛料、調味料などを含む。例示的なフレーバー剤は、合成のフレーバーオイルおよびフレーバー付与アロマティクスおよび/またはオイル、オレオレジン、エッセンスおよび蒸留液ならびに前述のものを少なくとも1つ含む組合せを含む。
【0023】
フレーバーオイルは、スペアミントオイル、シナモンオイル、ウィンターグリーンのオイル(サリチル酸メチル)、ペパーミントオイル、ハッカオイル、クローブオイル、ベイオイル、アニスオイル、ユーカリオイル、タイムオイル、シダーリーフオイル、ナツメグのオイル、オールスパイス、セージのオイル、メース、ビターアーモンドのオイル、およびカシアオイルを含む;有用なフレーバー付与剤は、バニラ、およびレモン、オレンジ、ライム、グレープフルーツ、柚子、酢橘を含むシトラスオイル、およびリンゴ、ナシ、モモ、グレープ、ラズベリー、ブラックベリー、グースベリー、ブルーベリー、ストロベリー、チェリー、プラム、プルーン、レーズン、コーラ、ガラナ、ネロリ、パイナップル、アプリコット、バナナ、メロン、アプリコット、チェリー、トロピカルフルーツ、マンゴー、マンゴスチン、ザクロ、パパイヤ等のフルーツエッセンス等の人工、天然または合成フルーツフレーバーを含む。
【0024】
フレーバー付与剤によって与えられる追加の典型的なフレーバーは、ミルクフレーバー、バターフレーバー、チーズフレーバー、クリームフレーバー、およびヨーグルトフレーバー;バニラフレーバー;緑茶フレーバー、ウーロン茶フレーバー、茶フレーバー、ココアフレーバー、チョコレートフレーバー、およびコーヒーフレーバーなどの茶またはコーヒーフレーバー;ペパーミントフレーバー、スペアミントフレーバー、およびハッカフレーバーなどのミントフレーバー;アサフェティダフレーバー、アジョワンフレーバー、アニスフレーバー、アンゼリカフレーバー、フェンネルフレーバー、オールスパイスフレーバー、シナモンフレーバー、カモミールフレーバー、マスタードフレーバー、カルダモンフレーバー、キャラウェイフレーバー、クミンフレーバー、クローブフレーバー、コショウフレーバー、コリアンダーフレーバー、ササフラスフレーバー、セイボリーフレーバー、山椒フレーバー、シソフレーバー、ジュニパーベリーフレーバー、ショウガフレーバー、スターアニスフレーバー、ホースラディッシュフレーバー、タイムフレーバー、タラゴンフレーバー、ディルフレーバー、トウガラシフレーバー、ナツメグフレーバー、バジルフレーバー、マジョラムフレーバー、ローズマリーフレーバー、ベイリーフフレーバー、およびワサビ(日本のホースラディッシュ)フレーバーなどのスパイシーフレーバー;アーモンドフレーバー、ヘーゼルナッツフレーバー、マカダミアナッツフレーバー、ピーナッツフレーバー、ペカンフレーバー、ピスタチオフレーバー、クルミフレーバーなどのナッツフレーバー;ワインフレーバー、ウィスキーフレーバー、ブランデーフレーバー、ラムフレーバー、ジンフレーバー、リキュールフレーバーなどのアルコールフレーバー;フローラルフレーバー;および、タマネギフレーバー、ニンニクフレーバー、キャベツフレーバー、ニンジンフレーバー、セロリフレーバー、キノコフレーバー、トマトフレーバーなどの野菜フレーバーを含む。
【0025】
一般的に、National Academy of Sciences によるChemicals Used in Food Processing, Publication No 1274, pages 63-258において記載されているもののような、あらゆるフレーバー付与または食品添加物を使用できる。当該出版物は、参照によって本明細書に組み込まれる。
【0026】
一態様において、飲料は、フルーツフレーバー、フルーツフレーバー組成物および果汁、またはそれらの組合せから選択されるフレーバー剤でフレーバー付与される。
【0027】
本明細書において使用される用語「フルーツフレーバー」は、フルーティな味、すなわちフルーツに関する、またはそれに似ている味、を有するあらゆる成分を意味する。フルーツは、種子およびその外皮(とくに甘い、ジューシーおよび/または果肉がある(pulpy)とき)からなる植物ならびに例えばルバーブの茎など植物の他の部位の可食物を意味する。フルーツフレーバーについての例は、リンゴ、アプリコット、バナナ、ベリー、クロフサスグリ、チェリー、シトラス、イチジク、グースベリー、グレープ、グレープフルーツ、グアバ、レモン、マンゴー、メロン、オレンジ、パッションフルーツ、モモ、ナシ、パイナップル、ルバーブ、レーズン、ラズベリー、ストロベリーなど、またはそれらの組合せである。
【0028】
本明細書において使用される用語「飲料」は、あらゆる飲用液体または半液体を意味し、例えば、フレーバー付与した水、ソフトドリンク、フルーツドリンク、コーヒーベースのドリンク、茶ベースのドリンク、搾り汁ベースのドリンク(果物および野菜を含む)、酸性乳製品ベースの飲料(ミルク、ホエイおよびヨーグルトベースの飲料を含む)、ゲル状ドリンク、炭酸または無炭酸ドリンク、アルコールまたはノンアルコールドリンク、スポーツドリンク、エナジードリンク、アイソトニックドリンクを含み、ドリンクスティックおよびシロップ、ならびに液体濃縮物を含む。飲料製品は、すぐ飲むことができる製品ならびに消費前に水に溶解することが意図された液体および乾燥濃縮物(例えば粉末または顆粒)を含む。
【0029】
本明細書に記載のフレーバー付与した飲料製品を、当業者に知られた方法を使用して調製してもよい。好ましくは、グルコノデルタラクトンを、フレーバー、有機酸、保存料、着色料などの他の成分と混和する前に水に溶解してもよい。
【0030】
ある態様において、フレーバー付与した飲料製品は、天然の成分または天然源由来の成分のみを含有する天然のものである。
別の態様において、フレーバー付与した飲料製品は、人工のおよび/または合成成分を含有してもよい。
【0031】
本開示を、特定の態様を説明する以下の実施例を参照にさらに説明する。
これらの例は、説明目的のみのためであり、特許請求の範囲から逸脱することなく当業者により変更および修正を行うことができる。記載された態様は選択的であるのみならず、組み合わせることもできることを理解すべきである。
【0032】
例1:チェリーフレーバーでフレーバー付与した水
【表1】
【0033】
一群の訓練したパネリスト(17人)に、ブラインドに示された2種類の試料を評価するよう依頼した。
パネリストの過半数は、試料1−Aを好んだ。彼らは、試料1−Aを1−Bと比較して苦味が少なく、より長引かず、酸味が少なく、より甘く、およびよりフレーバーがあると説明した。
【0034】
例2:グレープフレーバーでフレーバー付与した水
【表2】
【0035】
一群の訓練したパネリスト(17人)に、ブラインドに示された2種類の試料を評価するよう依頼した。
パネリストの過半数は、試料2−Aを好んだ。彼らは、試料2−Aを2−Bと比較して苦味が少なく、酸性度/酸味が少なく、およびフレーバーがより豊かであり、より複雑であると説明した。
【0037】
一群の訓練したパネリストに、ブラインドに示された2種類の試料を評価するよう依頼した。結果を以下に示す。
以下の組合せを試験した。
試料3−Aと試料3−Bとの比較は、パネリストの過半数が3−Bをより好む結果となった。試料3−Bについて、酸味が少なく、苦味が少なく、およびよりフレーバーがあると説明した。
【0038】
試料3−Bと試料3−Cとの比較は、パネリストの過半数が3−Bをより好む結果となった。試料3−Bについて、酸味が少なく、より長引かず、甘味/酸味のバランスがより良いと説明した。