【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 平成23年8月31日 社団法人空気調和・衛生工学会発行の「平成23年度 空気調和・衛生工学会大会 学術講演論文集」に発表
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記熱交換パネル部材は、前記熱媒体が流れる方向に沿う両端部の一方の端部に、狭隘開口状の凹部が設けられ、他方の端部に、連設される前記熱交換パネル部材の前記凹部に嵌合可能な膨隆状の凸部が設けられ、前記凹部と凸部を嵌合して前記熱交換パネル部材同士が連設される、
ことを特徴とする請求項1に記載の熱交換パネル。
【背景技術】
【0002】
輻射熱冷暖房のうち、太陽熱を利用する太陽熱源ヒートポンプ給湯システムにおいては、太陽光や気体(外気)の熱を吸収するために例えば住宅の屋根面などに熱交換パネルを配設する。
【0003】
図11(a)および
図11(b)は、従来の熱交換パネル100を示している。この熱交換パネル100は、金属板で形成された本体部101に細い銅管や樹脂管などで形成された熱媒体流路としての熱媒体管102が接触するように配設されている。熱媒体管102内に例えば液体などの熱媒体を通過させるものである。この熱交換パネル100は、熱媒体が供給口103から供給され、本体部101と接触しながら排出口104まで通過するようになっている。このようにして、熱媒体管102を流れる熱媒体が、本体パネル101を介して周囲の気体との間で熱交換するものである。
【0004】
このような従来の熱交換パネルを用いた輻射冷暖房装置に関する技術(例えば、特許文献1参照。)が知られている。特許文献1の技術は、熱交換パネルに接触するようにして複数本の冷温水配管が間隔をおいて配設されているものである。
【0005】
図12(a)および
図12(b)は、他の従来のハーモニカチューブ(扁平チューブ)で形成された熱交換パネル200を示している。この熱交換パネル200は、内部が仕切壁により複数の室(熱媒体流路)202に区画され、例えば液体などの熱媒体を通過させるようになっている。この熱交換パネル200は、熱媒体が本体部201と接触しながら通過することで、室202を流れる熱媒体が、本体部201を介して周囲の気体との間で熱交換するものである。
【0006】
このような従来のハーモニカチューブ(扁平チューブ)で形成された熱交換パネルを用いた熱交換機に関する技術(例えば、特許文献2参照。)が知られている。特許文献2の技術は、複数の扁平チューブおよびその扁平チューブ間に設けられたコルゲートフィンを有するものである。
【0007】
また、屋根面にパネル形状の採熱側熱交換器を配設する太陽熱量ヒートポンプ給湯システムに関する技術(例えば、特許文献3参照。)が知られている。特許文献3の技術は、採熱側熱交換器が太陽熱集熱器として作用し、波型板の長手方向が建物の屋根の頂面に向かって起立するよう傾斜して設置している。それにより日射を受け集熱するものである。この採熱側熱交換器の内部には、波型板の斜面部に平行で相似の熱媒体流路としての冷媒流路が形成されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、輻射熱冷暖房に使用する熱交換パネルは、本体パネルと熱媒体流路との接触面積が大きいほど、熱媒体と気体との間の熱交換が促進されて高効率となる。
【0010】
しかしながら、特許文献1は、熱交換パネルと冷温水配管との接触面積が小さく、熱抵抗が大きくなるという問題がある。また、冷温水配管の径が小さいため、熱媒体が通過する際の抵抗が大きく、熱媒体の搬送に大きな動力が必要となる。また、特許文献2は、扁平チューブの厚みが大いので、扁平チューブに供給される熱媒体の流量が小さい場合は、扁平チューブ外周において熱伝導率が低下し、熱交換量が減少する。また、熱交換パネルが平坦な形状で表面積が小さいので、気体との接触面積を大きくするためには、大型の熱交換パネルを設置する必要があった。
【0011】
この発明は、前記の課題を解決し、施工が容易で、熱交換の効率の高い熱交換パネルを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記の課題を解決するために、請求項1の発明は、少なくとも1つ以上の熱媒体流路を内蔵す
る複数の熱交換パネル部材を具備し、前記熱媒体流路は、前記熱交換パネル部材の一端の側面から他端の側面に対して貫通するように形成され、前記熱交換パネル部材は、
平坦状基部と、熱媒体が流れる方向に沿う両端部に屈曲部を有し、前記熱交換パネル部材同士が連設されて連続した波型状に形成され、前記熱媒体流路に前記熱媒体を供給可能な第1のヘッダータンクと、前記熱媒体流路から排出された前記熱媒体を回収可能な第2のヘッダータンクと、を備え、前記熱交換パネル部材の前記熱媒体が流れる方向と直交する方向に沿う両端部の一方の端部側に、前記第1のヘッダータンクが配設され、他方の端部側には、前記第2のヘッダータンクが配設され、前記第1のヘッダータンクおよび前記第2のヘッダータンクは、前記熱交換パネル部材の裏面側において、波型状に形成された前記熱交換パネル部材と係合して配設される、ことを特徴とする熱交換パネルである。
【0013】
この発明によれば、熱交換パネル部材の一端の側面から他端の側面に対して貫通するように形成された熱媒体流路を内蔵した熱交換パネルは、熱交換パネル部材同士が連設されて連続した波型状に形成される。
また、熱媒体流路に熱媒体を供給可能な第1のヘッダータンクと、熱媒体流路から排出された熱媒体を回収可能な第2のヘッダータンクとを備え、第1のヘッダータンクは、熱交換パネル部材の熱媒体が流れる方向と直交する方向に沿う両端部の一方の端部側に配設され、第2のヘッダータンクは、他方の端部側に配設され、第1のヘッダータンクおよび第2のヘッダータンクは、熱交換パネル部材の裏面側において、波型状に形成された熱交換パネル部材と係合して配設される。
【0014】
請求項2の発明は、請求項1に記載の冷暖房装置において、
前記熱交換パネル部材は、前記熱媒体が流れる方向に沿う両端部の一方の端部に、狭隘開口状の凹部が設けられ、他方の端部に、連設される前記熱交換パネル部材の前記凹部に嵌合可能な膨隆状の凸部が設けられ、前記凹部と凸部を嵌合して前記熱交換パネル部材同士が連設される、ことを特徴とする。
【0016】
請求項3の発明は、請求項1または2のいずれか1項に記載の冷暖房装置において、前記熱交換パネル部材は
、前記屈曲部は、前記平坦状基部の前記熱媒体が流れる方向に沿う両端部に、該平坦状基部に対して相反する方向に屈曲するように配設された第1の屈曲部と第2の屈曲部とから構成され、前記第1の屈曲部の先端に前記凹部が形成され、前記第2の屈曲部の先端に前記凸部が形成されている、ことを特徴とする。
【0017】
請求項4の発明は、少なくとも1つ以上の熱媒体流路を内蔵す
る複数の熱交換パネル部材を具備し、前記熱媒体流路は、前記熱交換パネル部材の一端の側面から他端の側面に対して貫通するように形成され、前記熱交換パネル部材は、両端が拡開する湾曲状基部と、前記湾曲状基部の両端部から延設される第1の平坦状基部および第2の平坦状基部とを有し、前記熱交換パネル部材同士が連設されて連続した波型状に形成され、前記熱媒体流路に前記熱媒体を供給可能な第1のヘッダータンクと、前記熱媒体流路から排出された前記熱媒体を回収可能な第2のヘッダータンクと、を備え、前記熱交換パネル部材の前記熱媒体が流れる方向と直交する方向に沿う両端部の一方の端部側に、前記第1のヘッダータンクが配設され、他方の端部側には、前記第2のヘッダータンクが配設され、前記第1のヘッダータンクおよび前記第2のヘッダータンクは、前記熱交換パネル部材の裏面側において、波型状に形成された前記熱交換パネル部材と係合して配設され、前記第1の平坦状基部の先端に
狭隘開口状の凹部が形成され、前記第2の平坦状基部の先端に
、連設される前記熱交換パネル部材の前記凹部に嵌合可能な膨隆状の凸部が形成され
、前記凹部と凸部を嵌合して前記熱交換パネル部材同士が連設される、ことを特徴とする熱交換パネルである。
【発明の効果】
【0018】
請求項1に記載の発明によれば、熱交換パネル部材の一端の側面から他端の側面に対して貫通するように形成された熱媒体流路を内蔵するため、熱媒体の表面積が大きくなり、熱交換効率を向上させることが可能となる。さらに、互いに連設されて連続した波型状に形成されるので、設置面積に対する表面積が大きくなる。つまり、同一の設置面積であっても、熱交換の効率をより高めることができる。
また、熱媒体が、第1のヘッダータンクから熱交換パネル部材の熱媒体流路に供給され、第2のヘッダータンクへ排出して回収されるので、熱媒体を熱媒体流路内に流すことができる。さらに、熱交換パネル部材の熱媒体が流れる方向と直交する方向に沿う両端部には、第1のヘッダータンクと第2のヘッダータンクが配設され、熱交換パネル部材を支持可能となっている。すなわち、熱交換パネル部材の強度を確保するために、枠材などを配設する必要がない。さらに、熱交換パネルを屋根面に設置する際に、第1のヘッダータンクと第2のヘッダータンクを介して固定することが可能であり、設置用の架台が不要である。
【0019】
請求項2に記載の発明によれば、
熱交換パネル部材の熱媒体が流れる方向に沿う両端部の一方の端部に設けられた凹部と、他方の端部に設けられた凸部とが嵌合することによって熱交換パネル部材同士を連設することができるので、施工が容易である。つまり、熱交換パネル部材の狭隘開口状の凹部に、他の熱交換パネル部材の凸部を嵌合させる場合は、熱交換パネル部材の凹部の端部から、他の熱交換パネル部材の凸部を挿入してスライドさせることで、熱交換パネル部材同士を連設できる。このため、熱交換パネル部材同士の連設に工具などを要さず、容易に連設することができる。
【0021】
請求項
3に記載の発明によれば、熱交換パネル部材が、平坦状基部を有しているので、連設前は重ね合せることにより、省スペースで保管することができる。
【0022】
請求項
4に記載の発明によれば、熱交換パネル部材が湾曲状部を有しているため、複数の熱交換パネル部材を連設して波型形状を形成する際に、必要となる熱交換パネル部材の枚数を削減できる。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、この発明を図示の実施の形態に基づいて説明する。
【0025】
(実施の形態1)
図1ないし
図5は、この発明の実施の形態1を示している。熱交換パネル1は、熱媒体に輻射熱を吸収、放出させるとともに、熱媒体と気体との間で熱伝達によって熱交換するものである。この実施の形態では、熱交換パネル1は、輻射熱として太陽熱を吸収し、住宅の屋根面に設置されるものとし、
図5に示すように、表面形状が山と谷とが連続した波型状となっている。この熱交換パネル1には、熱媒体の供給タンク4と回収タンク5とが接続されている。ここで、熱媒体は、ポンプPによって供給タンク4からバルブVaを介して供給用配管2に送出されるようになっている。また、熱交換パネル1の内部を通過した熱媒体は、バルブVbを介して回収タンク5へ排出される。
【0026】
この熱交換パネル1は、主として、少なくとも1つ以上の熱媒体流路11を長手通しに有する複数の熱交換パネル部材10と、第1のヘッダータンク20と、第2のヘッダータンク30とを有している。
【0027】
熱交換パネル部材10は、
図1および
図2に示すように、平坦状基部15のA方向(長手方向、熱媒体の流れる方向)に沿う両端部の一方の端部側に第1の屈曲部16aを有し、他方の端部側に第2の屈曲部16bを有している。ここで、第1の屈曲部16aと第2の屈曲部16bとは、平坦状基部15を基準面として相反する方向に弧を描くように屈曲(湾曲)している。
【0028】
扁平楕円状の熱媒体流路11は、熱交換パネル部材10の平坦状基部15に、A方向を貫通するように、少なくとも1つ以上、例えば5つが並列に形成された後に、両端部側を閉塞して形成されている。熱媒体流路11は、熱交換パネル部材10を屋根面に取り付けた際に太陽側に露出する表面10aと、屋根面側の裏面10bとの略中間部に形成され、熱媒体流路11同士は仕切壁14によって区画されている。熱媒体流路11は、熱交換パネル部材10の強度を維持するとともに、内部を流れる熱媒体と表面10aと接触する外気との間での熱交換の効率が高くなるように形成されている。すなわち、熱交換パネル部材10の体積のうち、第1の屈曲部16aおよび第2の屈曲部16bと仕切壁14を除いた体積を、熱媒体流路11が占めており、熱媒体の流路が大となるように設定されている。
【0029】
凹部12は、第1の屈曲部16aの先端部に、狭隘開口を有する円弧状に形成されている。凸部13は、第2の屈曲部16bの先端部に、連設される他の熱交換パネル部材10の凹部12に嵌合するように、膨出した円弧状に形成されている。凸部13の外周は、凹部12の内周よりもわずかに大きく形成されており、熱交換パネル部材10の凹部12と、他の熱交換パネル部材10の凸部13とが嵌合することにより、熱交換パネル部材10同士が連設するようになっている。
【0030】
連通口17は、押出成形して形成された熱交換パネル部材10の裏面10b側から熱媒体流路11まで連通するように切削して形成されている。連通口17の配設位置は、第1のヘッダータンク20または第2のヘッダータンク30の取付位置となるように設定されている。具体的には、熱交換パネル部材10のA方向と略直交するB方向(短手方向)に沿う両端部から数cm〜10数cm内側に形成されている。熱媒体は、連通口17から各熱媒体流路11に供給されてA方向に流れた後に、対向する連通口17から排出されるようになっている。
【0031】
このような構成の熱交換パネル部材10は、例えばアルミニウム材などの耐水性・耐腐食性を有する金属材を押出成形した後に、各熱媒体流路11の両端部側を閉塞し、熱交換パネル部材10の裏面側10bに連通口17を切削して形成される。また、熱交換パネル部材10の表面10aには、撥水性を有する黒色系の塗料が塗布されている。
【0032】
第1のヘッダータンク20は、
図4および
図5に示すように、複数の熱交換パネル部材10の連設方向(C方向)に沿って配設されるものである。第1のヘッダータンク20は、1枚のアルミニウム材などの耐水性・耐腐食性を有する金属材を中空のタンク状に成形し、ヘッダータンク本体部21と、上部が波型の熱交換パネル1と係合可能な波型に形成された側壁部22、23とを有する細長い形状に形成されている。つまり、この第1のヘッダータンク20の上部は、熱交換パネル1の波型と係合して支持するようになっている。側壁部22には、熱媒体を通過させるための接続口24a、24bが配設されている。また、第2のヘッダータンク30は、第1のヘッダータンク20と同等に構成されている。
【0033】
次に、このような構成の熱交換パネル1の使用方法および作用について説明する。
【0034】
まず、屋根面などの熱交換パネル1の設置面積に合わせて、複数の熱交換パネル部材10Aおよび10Bを用意する。ここで、
図3に示すように、熱交換パネル部材10Aと10Bとは、連通口17が、平坦状基部15に対して相反する側に形成されている点のみが異なっている。
【0035】
熱交換パネル部材10Aおよび10Bの連設は、第1の熱交換パネル部材10A
1の表面10A
1aと、第2の熱交換パネル部材10B
1の表面10B
1aとが同一方向を向いた状態とする。そして、第1の熱交換パネル部材10A
1のB方向に沿った一端部側から、第2の熱交換パネル部材10B
1の他端部側の凹部12を、第1の熱交換パネル部材10A
1の凸部13に挿入し、他端部側に向かってA方向にスライドさせることにより、第1の熱交換パネル部材10A
1と第2の熱交換パネル部材10B
1とが嵌合して連設される。これにより、屋根面に対して凹型の波型形状が形成される。
【0036】
また、第2の熱交換パネル部材10B
1のB方向に沿った一端部側から、第3の熱交換パネル部材10A
2の凹部12を第2の熱交換パネル部材10B
1の凸部13に挿入し、他端部側に向かってA方向にスライドさせることにより、第2の熱交換パネル部材10B
1と第3の熱交換パネル部材10A
2とが嵌合して連設される。これにより、屋根面に対して凹型の波型形状が形成される。
【0037】
このようにして、複数の熱交換パネル部材10Aと10Bが交互に連設されることにより、屋根面に対して波型形状が形成される。
【0038】
つぎに、
図5に示すように、連設した熱交換パネル部材10の裏面側(底面側)に、C方向に沿って両端部にヘッダータンク20、30がそれぞれ配設されて、各熱交換パネル部材10Aおよび10Bの連通部17がヘッダータンク20、30と連通される。
【0039】
このようにして、複数の熱交換パネル部材10同士が連設されて波型の熱交換パネル1が形成される。
【0040】
つづいて、第1のヘッダータンク20の接続口24a、24bが、供給タンク4側に接続され、第2のヘッダータンク30の接続口34a、34bが、回収タンク5側に接続される。
【0041】
そして、ポンプPが起動されると、供給タンク4から、第1のヘッダータンク20に熱媒体が供給され、さらに、各熱交換パネル部材10Aおよび10Bの熱媒体流路11を通って、第2のヘッダータンク30を介して回収タンク5へ排出される。
【0042】
このとき、熱交換パネル部材10の体積のうち、熱媒体流路が占める体積が大きいため、熱交換パネル部材10の表面10a(熱交換パネル1の表面)においては、太陽光や気体(外気)との熱交換が十分に行われる。
【0043】
以上のように、この実施の形態に係る発明によれば、熱交換パネル部材10のA方向に沿う両端部の一方の端部に設けられた凹部12と、他方の端部に設けられた凸部13とが嵌合することによって熱交換パネル部材10同士を連設することができるので、施工が容易である。つまり、例えば熱交換パネル部材10A
1の凸部13に、他の熱交換パネル部材10B
1の凹部12を嵌合させる場合は、熱交換パネル部材10A
1の狭隘開口状の凸部13の端部から、他の熱交換パネル部材10B
1の凹部12を挿入してスライドさせることで、熱交換パネル部材10A
1、10B
1を連設できる。このため、熱交換パネル部材10同士の連設に工具などを要さず、容易に嵌合して連設することができる。
【0044】
また、同一形状に押出成形された熱交換パネル部材10に対して、連通口17の切削面を変えるだけで熱交換パネル部材10Aおよび10Bが成形できるので、製造コストを削減することができる。
【0045】
また、熱媒体が、第1のヘッダータンク20から熱交換パネル部材10の熱媒体流路11に供給され、第2のヘッダータンク30へ排出されるので、熱媒体を熱媒体流路11に流すことができる。また、連設された熱交換パネル部材10のC方向に沿う両端部に、第1のヘッダータンク20と第2のヘッダータンク30が配設されるので、連設された複数の熱交換パネル部材10を支持可能となっている。すなわち、熱交換パネル部材10のC方向の強度を確保するために、枠材などを配設する必要がない。さらに、熱交換パネル1を屋根面に設置する際に、第1のヘッダータンク20と第2のヘッダータンク30を介して固定することが可能であり、設置用の架台が不要である。
【0046】
また、連設された熱交換パネル部材10は、第1のヘッダータンク20および第2のヘッダータンク30よりA方向の外方に張り出しているので、雨水や結露水などをスムーズに排水することができる。
【0047】
また、熱交換パネル部材10は、互いに連設されて連続する波型を形成するので、設置面積に対する表面積が大きくなる。つまり、同一の設置面積であっても、表面積が大きいため、熱交換の効率をより高めることができる。また、熱交換パネル部材10の体積のうち、熱媒体流路が占める体積が大きく、熱媒体流路が扁平であるので、熱交換パネル部材10の表面10a(熱交換パネル1の表面)においては、太陽光や気体(外気)との熱交換量が大きくなる。
【0048】
さらに、熱交換パネル部材10が、平坦状基部15を有しているので、連設前は重ね合せることにより、省スペースで保管、運搬することができる。
【0049】
さらにまた、熱交換パネル部材10の表面10aは黒色系塗料で塗装されているため、太陽光の熱を吸収し易くすることによって、熱交換をより効率的に行うことができる。
【0050】
(実施の形態2)
図6は、この発明の実施の形態2を示している。この実施の形態では、
図6に示すように、実施の形態1における熱交換パネル1がC方向に4つ連設されている。このため、実施の形態1と同等の構成については、同一符号又は対応する符号を付することで、その説明を省略する。後述する他の実施の形態においても同様とする。
【0051】
この実施の形態では、熱交換パネル1
1の端部の熱交換パネル部材10
1Nの凸部13と、熱交換パネル1
2の端部の熱交換パネル部材10
21の凹部12とが嵌合して、連設されている。また、第1のヘッダータンク20
1の接続口24
b1と、隣接する第1のヘッダータンク20
2の接続口24
a2とが接続管25
1によって接続されている。そして、接続管24a
1と24b
4とが供給タンク4に接続されて、すべての熱交換パネル部材10の熱媒体流路11に熱媒体が供給される。
【0052】
この熱交換パネル1が複数連設された場合は、設置面積がC方向に長い場合であっても、小型の熱交換パネル1、ヘッダータンク20および30を複数連設すればよいので、省スペースで保管、運搬することができる。このように熱交換パネル1を複数連設することができるので、採熱量や放熱量を設置面積に合わせて大きくすることができる。
【0053】
(実施の形態3)
図7および
図8は、この発明の実施の形態3を示している。この実施の形態では、熱交換パネル部材10Bの連設方法が、実施の形態1と異なる。
【0054】
この実施の形態では、実施の形態1の熱交換パネル部材10Bを複数連設して、屋根面に対して階段形状の熱交換パネル1Aを形成する。具体的には、複数の熱交換パネル部材10BのC方向は、熱交換パネル部材10BのB方向と一致する。すなわち、第1の熱交換パネル部材10B
1のB方向に沿う一端部側から、第2の熱交換パネル部材10B
2の凹部12を挿入し、他端部側に向かってA方向にスライドさせることにより、第1の熱交換パネル部材10B
1と第2の熱交換パネル部材10B
2とが嵌合して連設される。このようにして、複数の熱交換パネル部材10B同士が連設されて階段形状の熱交換パネル1Aが形成される。
【0055】
ヘッダータンク(図示略)は、複数の熱交換パネル部材10BのC方向に沿って配設されるものである。ヘッダータンクは、ヘッダータンク本体部と、上部が熱交換パネル1Aと係合可能な階段型に形成された側壁部とによって細長い形状に形成されている。
【0056】
このような構成の熱交換パネル1Aにおいては、太陽熱集熱器を兼用する屋根部材として使用することができるため、屋根を軽量化することができる。
【0057】
また、屋根面に対して段差の小さい階段形状に形成され、窪みがないため風雪や埃などが堆積し、熱交換パネル1Aを覆ってしまうことを防止できる。
【0058】
このように、同一形状の熱交換パネル部材10Bであっても、取り付けられる屋根面の形状や大きさなどに合わせて、連設方法を変えるだけで容易に形状を変えることができる。また、例えば、波型の熱交換パネル1と、階段状の熱交換パネル1Aとを組み合わせてもよい。
【0059】
(実施の形態4)
図9および
図10は、この発明の実施の形態4を示している。この実施の形態では、熱交換パネル部材10Cの形状が、他の実施の形態と異なる。
【0060】
熱交換パネル部材10Cは、両端の開口部が拡開した略逆U字型形状であり、両端が拡開した湾曲状の湾曲状基部18aと、湾曲状基部18aの先端側から延設された直線状で略ハの字型の第1の平坦状基部18bおよび第2の平坦状基部18bとを有している。第1の平坦状基部18bの先端側には凹部12が配設され、第2の平坦状基部18bの先端側には凸部13が配設されている。湾曲状基部18aと第1の平坦状基部18bおよび第2の平坦状基部18bには、複数の熱媒体流路11が内蔵されている。
【0061】
熱交換パネル部材10Cの連設は、第1の熱交換パネル部材10C
1は上方が開口し、第2の熱交換パネル部材10C
2は下方が開口した状態で、第1の熱交換パネル部材10C
1のB方向の一端部側から、第2の熱交換パネル部材10C
2の凹部12を第1の熱交換パネル部材10C
1の凸部13に挿入し、他端部側に向かってA方向にスライドさせることにより、第1の熱交換パネル部材10C
1と第2の熱交換パネル部材10C
2とが嵌合して連設される。
【0062】
また、第2の熱交換パネル部材10C
2は下方が開口し、第3の熱交換パネル部材10C
3は上方が開口した状態で、第2の熱交換パネル部材10C
2のB方向の一端部側から、第3の熱交換パネル部材10C
3の凹部12を第2の熱交換パネル部材10C
2の凸部13に挿入し、他端部側に向かってA方向にスライドさせることにより、第2の熱交換パネル部材10C
2と第3の熱交換パネル部材10C
3とが嵌合して連設される。
【0063】
このようにして、複数の熱交換パネル部材10C同士が連設されて波型の熱交換パネル1Bが形成される。
【0064】
このような構成の熱交換パネル1Bにおいては、同一形状に押出成形された熱交換パネル部材10Cを複数連設することによって、波型に形成することができるので、すべての熱交換パネル部材10Cに対して、内周側に連通口17を切削すればよいので、製造コストを削減することができる。また、同一形状の熱交換パネル部材10Cのみを連設すればよいので、施工が容易となる。
【0065】
さらに、1つの熱交換パネル部材が波型を構成する湾曲状基部18aを有しているため、複数の熱交換パネル部材を連設する際に必要な熱交換パネル部材の枚数を削減できる。
【0066】
以上、この発明の実施の形態について説明したが、具体的な構成は、上記の実施の形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても、この発明に含まれる。例えば、熱交換パネル部材10同士の連設部、すなわち、凹部12と凸部13との嵌合部には、シール材(図示略)を配設してもよい。
【0067】
また、熱交換パネル1は、結露水を排水するために、熱交換パネル部材10をA方向に沿って傾斜させるようにしてもよい。例えば、第1のヘッダータンク20と第2のヘッダータンク30との高さを変えることで、上部に取り付けられる熱交換パネル部材10を、A方向に沿って傾斜させればよい。
【0068】
さらに、
図1に示す熱交換パネル部材10の屈曲部16a、16bは、曲線状ではなく直線状に屈曲し、熱交換パネル部材10が略鉤型状に形成されていてもよい。さらにまた、
図4に示す熱交換パネル部材10Cは湾曲状基部18aではなく、略コの字型状に形成されていてもよい。このような熱交換パネル部材10を連接した場合は、台形が連続した形状の波型の熱交換パネルが形成される。すなわち、熱交換パネルの波型の山と谷、および階段形状の段差部は、鋭角状であっても曲面状であってもよい。
【0069】
さらにまた、上記の実施の形態では、太陽光や気体(外気)の熱を吸収するために屋根面に配設される熱交換パネルとして説明したが、屋内において輻射冷暖房に使用され、壁面や天井面に配設される熱交換パネルとして使用できることはもちろんである。