(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記治療済画像生成部に対し、前記第1の合成画像データに前記治療済画像データを生成および表示させる設定操作が可能な操作部を備えた、請求項1に記載の光治療装置。
前記第2の撮像画像データの各位置において、前記ガイド光が照射された位置を特定するガイド光照射位置特定部を備え、前記治療済画像生成部は、特定した前記ガイド光が照射された位置に基づき、前記治療済画像データを生成する、請求項1から3のいずれか一つに記載の光治療装置。
前記撮像部は、撮像素子と、前記撮像素子と前記観察領域との間に位置する励起光カットフィルタを有し、前記励起光カットフィルタは、前記光感受性物質の励起光のピーク波長をカットし、かつ、蛍光のピーク波長をカットしない励起光カットフィルタとから構成される、請求項1から5のいずれか一つに記載の光治療装置。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、本発明の光治療装置の実施の形態を図面とともに詳細に説明する。なお、以下に示す実施の形態においては、光感受性物質としてクロリン系光感受性物質であるタラポルフィンナトリウムを例に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。その他の光感受性物質としてはポルフィリン系光感受性物質があり、例えば、フォトフィリンなどがある。
【0013】
(実施の形態1)
以下、実施の形態1に係る光治療装置について、図面を参照しながら説明する。
【0014】
≪構成について≫
<全体構成>
図1は、本発明の実施の形態1における光治療装置の概略ブロック図である。
【0015】
光治療装置1は、操作部2、光照射部3、撮像部4、画像処理部5、表示部6および制御部7から構成される。
【0016】
<操作部2>
操作部2は、医師等の操作者が光治療装置1の各種設定を行うものである。操作部2は、観察領域の中から癌領域を特定するモード(以下、「観察モード」とする。)と、観察モードで特定した癌領域を治療するモード(以下、「治療モード」とする。)とを操作者が切替え可能な構成となっている。また、後述する光照射部3から光の照射の制御を行うON/OFFのスイッチ(不図示)を備えている。そして、後述する治療済画像生成部55において、治療済画像データを生成するための設定操作が可能な構成となっている。なお、操作部2は、前述のON/OFFスイッチをフットスイッチとして別に設ける構成であってもよい。
【0017】
<光照射部3>
光照射部3は、少なくとも光感受性物質を励起することができる波長を含む光(以下、「励起光」という。)を照射することができる光源(以下、「励起光源」とする。」)(不図示)を備えている。この励起光源は、例えば、半導体レーザ素子が挙げられる。
光感受性物質がタラポルフィンナトリウムの場合、概ね405nm、510nm、664nmをピークとする励起波長がある。405nmを基準とする励起波長は、相対的に大きいピークを有するが、酸化ヘモグロビンの吸収波長と重複し、生体組織内に深達し難い等
の問題があるため、励起光には適さない。また、510nmを基準とする励起波長は、相対的に小さなピークであるため、励起光には適さない。したがって、このような問題が少ない664nmを基準とする励起光とすることが望ましい。なお、タラポルフィンナトリウムは、664nmのピーク波長を基準に概ね655〜670nmの帯域に励起波長を有し、概ね672nmをピーク波長とする蛍光を発する性質を有する。
【0018】
また、光照射部3は、観察モードと治療モードとで異なる出力の光を照射する構成となっている。観察モードでは光感受性物質を励起し、蛍光を発する相対的に弱い出力の光を照射し(以下、「第1の出力の光」という。)、治療モードでは光感受性物質を励起し、蛍光を発するとともに、光感受性物質から一重項酸素を発生させる相対的に強い出力の光を照射する(以下、「第2の出力の光」という。)すなわち、第2の出力の光は、第1の出力の光よりも、出力が大きい光であることになる。例えば、光感受性物質がタラポルフィンナトリウムの場合、第1の出力の光は、概ね125mW、10mW/cm
2出力の光であって、第2の出力の光は概ね265mW、150mW/cm
2の出力の光である。
【0019】
なお、観察モードでは、一度に広範囲の観察領域で癌領域を確認することができるように、第1の出力の光と第2の出力の光とで、生体に照射する光照射範囲(すなわち、光照射径のことをいう。)を可変とする構成であることが望ましい。例えば、第1の出力の光では40mm程度の直径で観察領域に光を照射する構成とし、第2の出力の光では10〜15mm程度の直径で観察領域に光を照射する構成とする。この場合、第1の出力の光と第2の出力の光を照射する励起光源をそれぞれ別個に設けてもよいし、1つの励起光源で第1の出力の光と第2の出力の光を照射する構成であってもよい。ただし、1つの励起光源で第1の出力の光と第2の出力の光を照射する場合、手動ないし自動で励起光源と観察領域との間に光照射径を変えるレンズ(不図示)を設け、このレンズにより観察モードと治療モードとで光照射径を可変とする構成にする必要がある。
【0020】
<撮像部4>
撮像部4は、観察モードにおいて、光照射部3で照射された観察領域を撮像するものであって、励起光成分をカットし、蛍光成分を可能な限り透過させた画像を撮像し、その撮像信号を後述する画像処理部5に出力する。具体的には、例えば、CCD、CMOSといった撮像素子(不図示)と励起光カットフィルタ(ノッチフィルタ)(不図示)を有し、撮像素子と観察領域との間にこの励起光カットフィルタを備えることで、励起光成分をカットする。
【0021】
この点を、タラポルフィンナトリウムを例に
図2を用いて説明する。
図2は、光照射部3(励起光源)が照射する励起光のスペクトル(
図2中の「a」)と、タラポルフィンナトリウムが発する蛍光のスペクトル(
図2中の「b」)と、励起光カットフィルタの透過率特性(
図2中の「c」)を示す図である。
図2に示すように、励起光カットフィルタは、励起光成分をカットし、蛍光成分を可能な限り透過することができるフィルタである。したがって、励起光カットフィルタは、少なくとも励起光成分のうち励起光のピーク波長をカットし、かつ、蛍光のピーク波長をカットしないものであることが望ましい。タラポルフィンナトリウムの場合、励起光成分である655〜670nmの波長の光をカットすることができるフィルタであることが望ましい。
【0022】
<画像処理部5>
画像処理部5は、撮像画像生成部51、蛍光強度演算部52、判定部53、治療部位画像生成部54、治療済画像生成部55、画像合成・表示処理部56および記憶部57から構成され、撮像部4からの撮像信号に基づき、後述の処理を行う。
【0023】
<撮像画像生成部51>
撮像画像生成部51は、観察モードにおいて、撮像部4で撮像した撮像信号に基づき、第1の撮像画像データを生成する。ここで生成される第1の撮像画像データは、励起光カットフィルタで励起光成分がカットされた画像データである。そして、この第1の撮像画像データを後述する蛍光強度演算部52、画像合成・表示処理部56および記憶部57へと出力する。
【0024】
<蛍光強度演算部52>
蛍光強度演算部52は、観察モードにおいて、第1の撮像画像データに基づき光感受性物質が発した蛍光強度を演算し、演算結果を後述する判定部53に出力する。具体的には、第1の撮像画像データ中のピクセル毎の蛍光成分を抽出し、この蛍光成分の蛍光強度を演算する。蛍光強度の演算としては、光感受性物質の蛍光のピーク波長(タラポルフィンナトリウムの場合は672nm)の強度を蛍光強度としてもよいし、蛍光のピーク波長を基準とした所定の範囲の波長分の強度を蛍光強度としてもよい。
【0025】
<判定部53>
判定部53は、観察モードにおいて、蛍光強度演算部52の演算結果に基づき、観察領域中の各部位(すなわち、第1の撮像画像データの各ピクセルに相当する位置を指す。)が癌領域か否かを判定する。具体的には、判定部53において、あらかじめ癌領域か否かを判定する所定の閾値を設け、観察領域中の各部位の蛍光強度が所定の閾値より大きいか否かを判定する。すなわち、蛍光強度が大きいということは、光感受性物質が多く蓄積されていることを示していることであり、係る部位を癌領域と判定することができる。そして、所定の閾値より大きいと判定したピクセル部分を癌領域と判定し、第1の撮像画像データにおけるそのピクセルの位置に係る情報を、後述する治療部位画像生成部54へと出力する。
【0026】
<治療部位画像生成部54>
治療部位画像生成部54は、観察モードにおいて、判定部53から出力されたピクセルの位置に係る情報に基づき、治療部位画像データを生成し、この第1の撮像画像データを後述の画像合成・表示処理部56に出力する。この治療部位画像データは、第1の撮像画像データの観察領域における癌細胞の位置を示す画像である。
【0027】
<治療済画像生成部55>
治療済画像生成部55は、治療モードにおいて、観察領域中で第2の出力の光を照射した部位(すなわち、治療済部位のことをいう。)の位置および範囲を示す治療済画像データを生成し、表示処理部56に出力する。この治療済画像データは、操作部2の操作を介して後述の制御部7の指令の下で行われる。具体的には、操作者が表示部6で表示された後述の第1の合成画像を確認しながら操作部2を操作し、第1の合成画像におけるレーザ光を照射した治療済部位の位置を特定し、その特定した位置情報に基づき、治療済画像データを生成する。そして、治療済画像データを後述の画像合成・表示処理部56に出力する。
【0028】
<画像合成・表示処理部56>
画像合成・表示処理部56は、観察モードでは、撮像画像生成部51から出力された第1の撮像画像データを記憶部57から取り出し、この撮像画像データと治療部位画像生成部54から出力された治療部位画像データとを合成し、第1の合成画像データを生成する。この第1の合成画像データは、撮像画像上に治療部位画像が重畳して表示された画像となる。そして、画像合成・表示処理部56は、第1の合成画像データを表示部6および記憶部57に出力する。表示部6の表示画面には、第1の合成画像が表示されることになる。
【0029】
一方、画像合成・表示処理部56は、治療モードでは、記憶部57から第1の合成画像データを取り出し、治療済画像生成部55からの治療済画像データと第1の合成画像データとを合成し、第2の合成画像データを生成する。この第2の合成画像データは、第1の合成画像上に治療済画像が重畳して表示された画像となる。そして、第2の合成画像データを表示部6に出力し、表示部6の表示画面には、第2の合成画像が表示されることになる。
【0030】
<記憶部57>
記憶部57は、撮像画像生成部51からの第1の撮像画像データと表示処理部56からの第1の合成画像データを記憶し、記憶したデータを表示処理部56へ出力する。
【0031】
<制御部7>
制御部7は、操作部2の指令の下、光治療装置1内の各ブロック(主に光照射部3、撮像部4、画像処理部5)を制御する。
【0032】
≪動作について≫
以上の構成からなる光治療装置1の動作について、操作者の操作も踏まえて、
図4および
図5のフロー図を用いて説明する。なお、
図4は観察モードにおけるフロー図、
図5は治療モードにおけるフロー図を示している。
【0033】
≪観察モードの動作について≫
以下、観察モードにおける光治療装置1の動作を、
図4を用いて説明する。
【0034】
<ステップ1(S001)>
ステップ1(S001)では、操作者が治療を行う観察領域に向けて光照射部3をセットし、操作部2を操作により観察モードに設定する。この際、操作部2のON/OFFスイッチは、OFFの状態となっている。また、この際、治療が行われる患者は、光感受性物質が投与されている状態となっている。
【0035】
<ステップ2(S002)>
ステップ2(S002)では、操作者が操作部2のON/OFFスイッチをONにすることで、光照射部3の励起光源から観察モードにおける第1の出力の光を観察領域に向けて照射される。この際、観察モードにおいては、観察領域に照射される第1の出力の光が40mmの光照射径となるように設定されているものとする。この第1の出力の光により、観察領域に存する光感受性物質が励起され、蛍光を発することになる。
【0036】
<ステップ3(S003)>
ステップ3(S003)では、撮像部4が第1の出力の光が照射された観察領域を撮像し、撮像画像生成部51で第1の撮像画像データを構築して、画像合成・表示処理部56の処理を介して表示部6に第1の撮像画像データを表示されることなる。この際、前述のとおり、撮像部4で撮像された撮像信号は、励起光カットフィルタにより、励起光成分がカットされた撮像信号である。そして、表示部6には、
図6(a)に示すような表示画面101が表示されることとなる。すなわち、
図6(a)における観察領域102のうち、光感受性物質が多く蓄積された癌細胞(癌領域103)は、正常細胞(正常領域104)と比較して、強い強度の蛍光が発せられた画像が表示部6に表示されることとなる。ただし、この場合、特に正常領域と癌領域との境界が分かり難かったり、正常領域と癌領域とが判別し難かったりする場合があるので、後述のステップ4(S004)に移行することになる。
【0037】
<ステップ4(S004)>
ステップ4(S004)では、蛍光強度演算部52が、撮像画像生成部51で生成した第1の撮像画像データに基づき、第1の撮像画像データ中の各ピクセルの蛍光強度を演算する。
【0038】
<ステップ5(S005)>
ステップ5(S005)では、判定部53が、あらかじめ所定の閾値を備え、蛍光強度演算部52で演算された第1の撮像画像データ中の各ピクセルの蛍光強度と、所定の閾値を比較する。観察領域中に、所定の閾値以上のピクセルが存する場合には(
図4中の「YES」)、そのピクセルを癌領域と判定し、第1の撮像画像データ中のピクセルの位置を治療部位画像生成部54に出力する。一方、観察領域中に、所定の閾値以上のピクセルが存しなかった場合は(
図4中の「NO」)、ステップ1(S001)に戻り、別の観察領域で再度、同様のステップを繰り返すことになる。
【0039】
<ステップ6(S006)>
ステップ6(S006)では、治療部位画像生成部54が、判定部53で閾値以上と判定されたピクセルに対し、治療部位画像データを生成する。治療部位画像データは、例えば、閾値以上と判定されたピクセルを、操作者が第1の撮像画像データから癌領域と識別できる画像(例えば、色で識別)である。
【0040】
<ステップ7(S007)>
ステップ7(S007)では、画像合成・表示処理部56が、第1の撮像画像データと治療部位画像データとを合成して第1の合成画像データを生成し、第1の合成画像データを表示部6へ出力する。この場合、
図6(b)に示すように、表示画面101には、第1の合成画像として、撮像画像に治療部位画像105が重畳して表示された画像が表示されることになる。そして、操作者は、この画像を確認し、治療モードへ移行することとなる。
【0041】
≪治療モードの動作について≫
以下、治療モードにおける光治療装置1の動作を、
図5を用いて説明する。この治療モードの動作は、観察モードの処理が終わった後に行う動作である。
【0042】
<ステップ1(S021)>
ステップ1(S021)では、観察モードにおいて観察した癌領域にレーザ光を照射すべく、操作者が操作部2を操作することにより治療モードを設定する。この際、操作部2のON/OFFスイッチは、OFFの状態となっている。また、表示部6には、観察モードで生成した第1の合成画像が表示された状態となっている。
【0043】
<ステップ2(S022)>
ステップ2(S022)では、操作者が表示部6の第1の合成画像を確認しながら、光照射部3が観察領域に第2の出力の光を照射すべき位置に光照射部3をセットし、操作部2のON/OFFスイッチをONにする。操作部2のON/OFFスイッチをONにすることで、観察モードで観察した観察領域における癌領域(すなわち、第1の合成画像に表示された治療部位画像の領域)に対し、第2の出力の光を照射することになる。この際、この際、治療モードにおいては、癌領域に照射する第2の出力の光が10mmの光照射径となるように設定されているものとする。この第2の出力の光は、第1の出力の光よりも大きい出力であり、この光を所定の時間照射し続けることで、光感受性物質が励起されて蛍光を発するとともに、一重項酸素を発生させ、この一重項酸素により、癌細胞を破壊することができる。
【0044】
<ステップ3(S023)>
ステップ3(S023)では、操作者が操作部2を逐次操作することにより、観察領域における癌領域(すなわち、第1の合成画像の治療部位画像の領域)のうち、所定の時間、第2の出力の光を照射することで治療が済んだ部分を特定する。
【0045】
<ステップ4(S024)>
ステップ4(S024)では、ステップ3(S023)の操作部2の操作に基づき、制御部7が、治療済画像生成部55に対し、治療済画像データの生成を指示する。具体的には、治療済画像生成部55が、操作部2の操作による第1の合成画像の癌領域で治療が済んだ部位の情報に基づき、治療済画像データを生成する。
【0046】
<ステップ5(S025)>
ステップ5(S025)では、画像合成・表示処理部56が、第1の合成画像データと治療済み画像データとを合成して第2の合成画像データを生成し、第2の合成画像データを表示部6へ出力する。例えば、治療途中段階では、
図6(c)に示すように、操作者が指示した第1の合成画像中の治療済部位には、円形の治療済画像106が第1の合成画像上に重畳して表示されることとなる。また、観察領域中の全ての癌領域103に対し、治療が完了した場合には、例えば、
図6(d)に示すように癌領域103の全ての領域に治療済画像106が重畳して表示されることとなる。
【0047】
<ステップ6(S026)>
ステップ6(S026)では、ステップ5(S025)の
図6(d)のように全ての癌領域103に治療済画像106が重畳して表示された場合には、治療が完了したものとして終了する(
図5中の「YES」」。一方、
図6(c)のように全ての癌領域103に治療済画像106が重畳して表示されていない場合には、ステップ2(S022)に戻り、未治療部位の領域で再度、同様のステップ繰り返すことになる。
【0048】
≪実施の形態1についてまとめ≫
以上で示した実施の形態1では、操作者が、表示部に表示された表示画面に治療した部位を適宜、治療済画像としてマーキングしていくことができるため、術中であっても、治療済部位と未治療部位を容易に把握することができるので、術者が治療すべき部位に対するレーザ光照射の取りこぼしや過剰照射を抑制することが可能となる。
【0049】
(実施の形態2)
実施の形態1で示した光治療装置は、操作者が操作部を操作することにより、第1の合成画像上に治療済画像を重畳して表示する構成に示した。
【0050】
実施の形態2で示す光治療装置では、術者が術中であっても、治療部位と未治療部位を容易に把握することができ、術者が、治療すべき部位に対するレーザ光照射の取りこぼしをさらに抑制することができる構成について説明する。すなわち、実施の形態2における光治療装置は、操作者自身が操作部を操作することなく、自動で第1の合成画像上に治療済画像を重畳して表示する構成について示す。なお、実施の形態1と同様の構成については、説明を省略する。
【0051】
以下、実施の形態2に係る光治療装置について、図面を参照しながら説明する。
【0052】
≪構成について≫
<全体構成>
実施の形態2における光治療装置の概略ブロック図は、実施の形態1で示した
図1と同様である。実施の形態1と同様の構成については、説明を省略する。
【0053】
<光照射部3>
光照射部3においては、実施の形態1と異なる点は、励起光源とは別にガイド光を照射するガイド光源(不図示)を設けた点が異なる。このガイド光源は、治療モードにおいて少なくとも、励起光源が第2の出力の光を照射した光の中心位置とガイド光源が照射するガイド光を照射した光の中心位置とが略一致する配置で構成されている。このガイド光源は、例えば、光照射径が1〜2mmの光を出力することができる光である。また、ガイド光源は、観察領域にガイド光を照射した位置が撮像部4で認識できる光であって、例えば、青色光源や赤色光源のような可視光帯域の光を照射する光である。
【0054】
このガイド光源は、治療モードにおいて、操作者が操作部2のON/OFFスイッチをONにすると、第2の出力の光を照射する前に一定時間、第2の出力の光を照射する部位にガイド光を照射するものである。そして、一定時間が経過後、ガイド光の照射を停止され、第2の出力の光を照射することで癌細胞に対する治療を行う。
<撮像部4>
撮像部4は、観察モードにおける機能は、実施の形態1と同様である。
【0055】
治療モードにおいては、光照射部3のガイド光源からガイド光が照射されると、ガイド光が照射された部分を含む観察領域を撮像し、その撮像信号を画像処理部5に出力する。
【0056】
<画像処理部5>
画像処理部5は、実施の形態1同様の撮像画像生成部51、蛍光強度演算部52、判定部53、治療部位画像生成部54、治療済画像生成部55、画像合成・表示処理部56および記憶部57に加え、ガイド光照射位置特定部58から構成される。
【0057】
蛍光強度演算部52、判定部53および治療部位画像生成部54と、観察モードに係る撮像画像生成部51、画像合成・表示処理部56および記憶部57に係る構成は、実施の形態1と同様のため説明を省略する。
【0058】
<撮像画像生成部51>
撮像画像生成部51は、観察モードにおける機能は、実施の形態1と同様である。
【0059】
治療モードにおいては、ガイド光が照射された観察領域を撮像した撮像信号に基づき、第2の撮像画像データを生成し、その第2の撮像画像データをガイド光照射位置特定部58に出力する。
【0060】
<ガイド光照射位置特定部58>
ガイド光照射位置特定部58は、撮像画像生成部51からの第2の撮像画像データを解析し、観察領域の中でガイド光が照射された位置を特定する。具体的には、第2の撮像画像データ中のピクセル毎のガイド光成分を抽出し、第2の撮像画像データにおいて、抽出されたピクセルの位置(すなわち、観察領域におけるガイド光が照射された位置)を特定する。そして、その特定したピクセルの位置に係る情報を、治療画像生成部55へ出力する。
【0061】
<治療済画像生成部55>
治療済画像生成部55は、ガイド光照射位置特定部58で特定した第2の撮像画像データの観察領域におけるガイド光が照射された位置に基づき、治療済画像データを生成し、画像合成・表示処理部56に出力する。
【0062】
<画像合成・表示処理部56>
画像合成・表示処理部56は、観察モードにおける機能は、実施の形態1と同様である
。
【0063】
治療モードにおいては、記憶部57に記憶された第1の合成画像データと、治療済画像生成部55で生成した治療済画像データを合成し、第2の合成画像データを生成する。そして、第2の合成画像データを表示部6に出力し、表示部6の表示画面には第2の合成画像が表示されることになる。
【0064】
≪動作について≫
以上の構成からなる光治療装置1の動作について、操作者の操作も踏まえて、
図8を用いて説明する。なお、観察モードにおける光治療装置1の動作は実施の形態1と同様であるため、説明を省略する。ここでは、治療モードにおける光治療装置1の動作について説明する。
【0065】
<ステップ1(S101)>
ステップ1(S101)では、観察モードにおいて観察した癌領域にレーザ光を照射すべく、操作者が操作部2を操作することにより治療モードを設定する。この際、操作部2のON/OFFスイッチは、OFFの状態となっている。
【0066】
<ステップ2(S102)>
ステップ2(S102)では、操作者が表示部6の第1の合成画像(例えば、
図6(b))を確認しながら、観察領域のうち第2の出力の光を照射すべき位置に光照射部3をセットし、操作部2のON/OFFスイッチをONにする。これにより、第2の出力の光を照射すべき位置に光照射部3のガイド光源から一定時間、ガイド光が照射されることになる。
【0067】
<ステップ3(S103)>
ステップ3(S103)では、ガイド光の照射に伴い、撮像画像生成部51でガイド光が照射された部分を含む観察領域を撮像し、第2の撮像画像データを生成する。この場合、例えば、
図9(a)に示すように、第2の撮像画像としてガイド光(
図9(a)に示すガイド光照射位置107)が照射された観察領域の画像が得られることとなる。
【0068】
<ステップ4(S104)>
ステップ4(S104)では、光照射部3が、操作部2のON/OFFスイッチのONに伴い、ガイド光を照射する一定時間が経過後、ガイド光照射を停止させ、第2の出力の光を照射して癌細胞を破壊させる。
【0069】
<ステップ5(S105)>
ステップ5(S105)は、ガイド光照射位置特定部58が、ステップ3(103)の撮像した第2の撮像画像データにおいて、観察領域中のガイド光が照射された位置を特定する。すなわち、第2の撮像画像データの各位置におけるピクセルを解析し、例えば、
図9(a)に示した第2の撮像画像データにおけるガイド光照射位置107を特定する。
【0070】
<ステップ6(S106)>
ステップ6(S106)は、治療済画像生成部55が、ステップ5(S105)のガイド光が照射された位置に基づき治療済画像データの生成を行う。
【0071】
<ステップ7(S107)>
ステップ7(S107)は、画像合成・表示処理部56が、第1の合成画像データと治療済み画像データとを合成して第2の合成画像データを生成し、第2の合成画像データを表示部6へ出力する。この場合、第2の合成画像は、例えば、
図9(b)に示すように、治
療済画像106の中心位置が、ガイド光照射位置107の中心位置と略一致するような画像となる。
【0072】
<ステップ8(S108)>
ステップ8(S108)では、実施の形態1で示したステップ5(S025)の
図6(d)のように全ての癌領域に治療済画106像が重畳して表示された場合には、治療が完了したものとして終了する(
図5中の「YES」」。一方、
図6(c)のように全ての癌領域に治療済画像106が重畳して表示されていない場合には、ステップ2(S102)に戻り、未治療部位の領域で再度、同様のステップ繰り返すことになる。
【0073】
≪実施の形態2についてまとめ≫
以上で示した実施の形態2では、操作者が、表示部に表示された表示画面に治療した部位を適宜自動で、治療済画像としてマーキングしていくことができるため、術中であっても、治療済部位と未治療部位を容易に把握することができ、術者が、治療済画像のマーキングをし忘れることもなくなり、治療すべき部位に対するレーザ光照射の取りこぼしや過剰照射をさらに抑制することが可能となる。