特許第6184090号(P6184090)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6184090
(24)【登録日】2017年8月4日
(45)【発行日】2017年8月23日
(54)【発明の名称】ハイブリッド電気車の電源供給システム
(51)【国際特許分類】
   B60L 11/12 20060101AFI20170814BHJP
   B61C 3/02 20060101ALI20170814BHJP
【FI】
   B60L11/12ZHV
   B61C3/02
【請求項の数】1
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2012-271253(P2012-271253)
(22)【出願日】2012年12月12日
(65)【公開番号】特開2014-117120(P2014-117120A)
(43)【公開日】2014年6月26日
【審査請求日】2015年12月9日
(73)【特許権者】
【識別番号】000230696
【氏名又は名称】日本貨物鉄道株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100100712
【弁理士】
【氏名又は名称】岩▲崎▼ 幸邦
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【弁理士】
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】添田 正
(72)【発明者】
【氏名】杉山 義一
(72)【発明者】
【氏名】氏家 昭彦
【審査官】 笹岡 友陽
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−131834(JP,A)
【文献】 特開2000−083302(JP,A)
【文献】 特開2009−055786(JP,A)
【文献】 特開2011−010442(JP,A)
【文献】 特開2014−091504(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60L 1/00− 3/12
B60L 7/00−13/00
B60L 15/00−15/42
B61C 3/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動モータ及び補機負荷と、
エンジンと発電機とで交流電力を発電する交流発電手段と、
前記交流発電手段の発電した交流を整流する整流手段と、
前記整流手段の整流した直流を、所定の直流電圧に昇圧する電圧変換手段と、
蓄電装置と、
前記電圧変換手段の直流出力又は蓄電装置を直流電源とし、
前記駆動モータ用の電力に変換して出力するインバータ装置と、
前記蓄電装置の出力電圧が所定値以下に低下しているときには、前記整流手段から入力される直流電圧に基づき、インバータ装置への出力電圧が蓄電装置の出力電圧よりも高い電圧になるように整流手段からの直流電圧を上昇させる制御を行う制御手段と、
を備え、
前記電圧変換手段と蓄電装置とから前記インバータ装置に並列に直流電源を給電することを特徴とする電気車の電源供給システム。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
実施の形態は、ハイブリッド電気車の電源供給システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来のハイブリッド電気車の電源供給システムでは、蓄電装置の出力にチョッパ装置を接続し、充電量によって出力電圧が変動する蓄電装置の電圧変動に合わせて電圧を制御するか、あるいはエンジン発電機の出力にPWM(Pulse Width Modulation)コンバータを接続し、同じく充電量によって出力電圧が変動する蓄電装置から電気車の走行状態などの負荷変動に応じた入出力電力管理を行っている。
【0003】
ところが、従来の電気車の電源供給システムでは、蓄電装置側の電力が大きな場合には必要以上に大きなチョッパ装置を具備しなければならず、車両の軽量化を阻害する問題点があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上記従来技術の課題に鑑みてなされたもので、大容量の発電機あるいは複数の電源をハイブリッド電気車の電源として用いる場合に、装置の大型化を避けることができるハイブリッド電気車の電源供給システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施の形態の特徴は、駆動モータと、エンジン及びこれにより発電する発電機と、発電機から発電した交流を整流手段を通して直流に変換する変換器と、駆動モータに電力を給電するための蓄電装置と、変換器又は蓄電装置を直流電源とし、直流を入力として駆動モータ用の交流電力に変換して出力する直交変換器とを備え、変換器出力と蓄電装置出力を並列に直交変換器に給電するようにしたハイブリッド電気車の電源供給システムである。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】第1の実施の形態の電気車の電源供給システムの回路ブロック図。
図2】第2の実施の形態の電気車の電源供給システムの回路ブロック図。
図3】第3の実施の形態の電気車の電源供給システムの回路ブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、実施の形態を図に基づいて詳説する。
【0008】
[第1の実施の形態]
図1は第1の実施の形態のハイブリッド電気車の電源供給システムを示しており、エンジン1の回転軸は発電機2の軸とカップリングさせてあり、エンジン1により発電機2を回転させる。発電機2は交流電力を発電する。発電機2の出力は整流器3に接続してあり、発電機2の出力する交流を整流器3にて平滑して直流にする。この整流器3の出力側と接続点Aとの間に整流器3からの直流電圧を昇圧するチョッパ装置4が接続してある。
また、接続点Aには蓄電装置5が接続してある。接続点Aの出力側には、必要台数のインバータ6と接続点Aの出力側には、必要台数のインバータ6と補機負荷8が並列に接続してある。各インバータ6により駆動モータ7各々が駆動される。
【0009】
整流器3の出力線には電圧検出器11が設置してあり、蓄電装置5の出力線には電圧検出器12が設置してあり、これらの電圧検出器11,12の電圧検出信号は電圧制御部13に入力する。電圧制御部13は、インバータ6と駆動モータ7、補機負荷8が必要とする電力を、蓄電装置5からの出力と整流器3からの出力とにより供給される入力電力が等しくなるような電圧を演算してチョッパ装置4を制御する。エンジン1はエンジン制御部14にて必要な出力を出すように制御される。
【0010】
本実施の形態のハイブリッド電気車の電源供給システムでは、エンジン制御部14は運転指令によりエンジン1を起動させて列車速度に応じた電力を発電するように制御する。
【0011】
これと共に、電圧制御部13は蓄電装置5の直流電圧を電圧検出器12の電圧検出信号に基づいて監視し、蓄電装置5の出力電圧が所定値以下に低下していれば、チョッパ装置4に整流器3から入力される直流電圧を見て、A点の出力電圧が蓄電装置5の出力電圧よりも高い電圧になるように、チョッパ装置4により整流器3からの直流電圧を上昇させてA点に出力させる。このようにしてチョッパ装置4の電圧出力Vaを蓄電装置5の直流電圧Vbよりも高くなるように制御することにより、A点の直流電力を蓄電装置5側にも流がして蓄電装置5を充電する。蓄電装置5の直流電圧Vbが満充電状態の電圧に到達すれば上の昇圧制御を停止し、チョッパ装置4の出力電圧が蓄電装置5の直流電圧よりも所定値だけ低い電圧になるように昇圧制御する。接続点Aの電圧が蓄電装置5の電圧よりも低くなれば、発電機2の発電電力が交直変換されてインバータ6、補機負荷8に出力されると共に、これと並列に、蓄電装置5の直流電圧がインバータ6、補機負荷8に出力される。
【0012】
インバータ6、補機負荷8へ供給する電力の大部分は蓄電装置5側であり、エンジン発電系統の発電電力はそれに比べれば小さい割合である。そのため、以上の構成の本実施の形態のハイブリッド電気車の電源供給システムによれば、大容量の蓄電装置5側ではなく、発電系統上にチョッパ装置4を設置したことにより、チョッパ装置4を従来のように蓄電装置5の大電流に耐える仕様のものにしなくても済み、したがって比較的小容量のものを採用することができ、コスト的に適切なチョッパ装置にてシステムを構成できる。
【0013】
[第2の実施の形態]
図2に示す第2の実施の形態のハイブリッド電気車の電源供給システムは、図1に示した第1の実施の形態に対して、整流器3とチョッパ装置4に代えてPWMコンバータ9を採用し、電圧制御部13に代えて電力制御部15を採用したことを特徴とする。蓄電装置5に対しては、その蓄電状態を監視するために電圧計12が設置してある。尚、この電圧計12に代えて、蓄電装置5の出力する積算電流計により蓄電装置5の蓄電状態を監視する構成であってもよい。
【0014】
本実施の形態のハイブリッド電気車の電源供給システムでは、運転指令を受けてエンジン制御部14はエンジン1を起動させ、効率が最高の回転数にてエンジン1を回転させる。これによって発電機2が回転して交流を発電する。PWMコンバータ9は、電力制御部15の制御に基づき交直変換により所定電圧の直流を出力する。電力制御部15は、蓄電装置5の直流電圧を監視する電圧計12の電圧検出信号から蓄電装置5の充電状態を推定し、充電が必要であればPWMコンバータ9が蓄電装置5の直流電圧よりも所定値だけ高めの直流電圧を出力するようにPWMコンバータ9を制御する。このPWMコンバータ9の直流出力電圧により、蓄電装置5は充電される。そして蓄電装置5の直流電圧が所定電圧まで上昇すれば充電完了とし、電力制御部15はPWMコンバータ9の直流出力が蓄電装置5の直流電圧よりも所定値だけ低い電圧になるように制御を切り替える。こうして接続点Aの電圧が蓄電装置5の電圧よりも低くなれば、発電機2の発電電力が交直変換されてインバータ6、補機負荷8に出力されると共に、これと並列に、蓄電装置5の直流電圧がインバータ6、補機負荷8に出力される。
【0015】
インバータ6、補機負荷8へ供給する電力の大部分は蓄電装置5側であり、エンジン発電系統の発電電力はそれに比べれば小さい割合である。そのため、本実施の形態によれば、大容量の蓄電装置5側ではなく、発電系統上にPWMコンバータ9を設置したことにより、PWMコンバータ9を従来のように蓄電装置5の大電流に耐える仕様のものにしなくても済み、したがって比較的小容量のものを採用することができ、コスト的に適切なPWMコンバータ9にてシステムを構成できる。
【0016】
[第3の実施の形態]
第3の実施の形態のハイブリッド電気車の電源供給システムは、発電手段にエコ発電手段としての燃料電池20を採用し、燃料電池20の発電電力をD−Dコンバータ22にて所定電圧の直流に変換し、蓄電装置5側の直流電力と並列にインバータ6及び補機負荷8に供給する構成を特徴とする。
【0017】
燃料電池20の発電は制御部21にて行い、D−Dコンバータ22の制御は電力制御部23にて行う。運転指令を受けて制御部21は燃料電池20を起動して発電させる。D−Dコンバータ22は、電力制御部23の制御に基づきD−D変換により所定電圧の直流を出力する。電力制御部23は、蓄電装置5の直流電圧を監視する電圧計12の電圧検出信号から蓄電装置5の充電状態を推定し、充電が必要であればD−Dコンバータ22が蓄電装置5の直流電圧よりも所定値だけ高めの直流電圧を出力するようにD−Dコンバータ22を制御する。このD−Dコンバータ22の直流出力電圧により、蓄電装置5は充電される。そして蓄電装置5の直流電圧が所定電圧まで上昇すれば充電完了とし、電力制御部23はD−Dコンバータ22の直流出力が蓄電装置5の直流電圧よりも所定値だけ低い電圧になるように制御を切り替える。こうして接続点Aの電圧が蓄電装置5の電圧よりも低くなれば、燃料電池20の発電電力がD−D変換されてインバータ6、補機負荷8に出力されると共に、これと並列に、蓄電装置5の直流電圧がインバータ6、補機負荷8に出力される。
【0018】
インバータ6、補機負荷8へ供給する電力の大部分は蓄電装置5側であり、発電系統の発電電力はそれに比べれば小さい割合である。そのため、本実施の形態の場合にも、大容量の蓄電装置5側ではなく、発電系統上にD−Dコンバータ23を設置したことにより、D−Dコンバータ22を従来のように蓄電装置5の大電流に耐える仕様のものにしなくても済み、したがって比較的小容量のものを採用することができ、コスト的に適切なD−Dコンバータ22にてシステムを構成できる。
【0019】
尚、第3の実施の形態における燃料電池20、D−Dコンバータ22のエコ発電系統は、第1の実施の形態のエンジン発電系統に代えて採用することができる。またこれらの実施の形態で、エコ発電系統には燃料電池の他に、太陽光発電システムを採用することも可能である。また、第1、第2の実施の形態において、エンジン発電系統と共にエコ発電系統を設置することもできる。また、各実施の形態にあって、補機負荷8は必須の構成要件ではない。
【符号の説明】
【0020】
1 エンジン
2 発電機
3 整流器
4 チョッパ装置
5 蓄電装置
6 インバータ
7 駆動モータ
8 補機負荷
9 PWMコンバータ
13 電圧制御部
14 エンジン制御部
15 電力制御部
20 燃料電池
21 制御部
22 D−Dコンバータ
23 電力制御部
図1
図2
図3