特許第6184119号(P6184119)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ カルソニックカンセイ株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6184119-車両用キーレスシステム 図000002
  • 特許6184119-車両用キーレスシステム 図000003
  • 特許6184119-車両用キーレスシステム 図000004
  • 特許6184119-車両用キーレスシステム 図000005
  • 特許6184119-車両用キーレスシステム 図000006
  • 特許6184119-車両用キーレスシステム 図000007
  • 特許6184119-車両用キーレスシステム 図000008
  • 特許6184119-車両用キーレスシステム 図000009
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6184119
(24)【登録日】2017年8月4日
(45)【発行日】2017年8月23日
(54)【発明の名称】車両用キーレスシステム
(51)【国際特許分類】
   E05B 49/00 20060101AFI20170814BHJP
   B60R 25/01 20130101ALI20170814BHJP
【FI】
   E05B49/00 K
   B60R25/01
【請求項の数】12
【全頁数】26
(21)【出願番号】特願2013-20981(P2013-20981)
(22)【出願日】2013年2月6日
(65)【公開番号】特開2014-152457(P2014-152457A)
(43)【公開日】2014年8月25日
【審査請求日】2015年9月11日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004765
【氏名又は名称】カルソニックカンセイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】240000327
【弁護士】
【氏名又は名称】弁護士法人クレオ国際法律特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100082670
【弁理士】
【氏名又は名称】西脇 民雄
(74)【代理人】
【識別番号】100180068
【弁理士】
【氏名又は名称】西脇 怜史
(72)【発明者】
【氏名】斎藤 伸二
【審査官】 佐藤 美紗子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−148810(JP,A)
【文献】 特開2013−227828(JP,A)
【文献】 特開2009−150219(JP,A)
【文献】 特開2010−168010(JP,A)
【文献】 特開2008−291422(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05B 1/00−85/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載されて、少なくとも車両のドアロック機構を操作する車載機と、
ユーザーによって携帯可能とされて、前記車載機との間で無線通信可能な携帯機と、を備えた車両用キーレスシステムにおいて、
前記携帯機が、前記車載機と間欠周期を有して近距離無線通信を行うように構成され、
前記車両と、前記車載機と、前記携帯機とのうち、少なくとも携帯機が、前記車両の位置と、前記携帯機の位置とを衛星測位システムを使って測定可能な少なくとも1つの測位部を備えて、
前記携帯機が、前記測位部で測定した前記車両の位置と前記携帯機の位置とに基づいて、前記車両と前記携帯機との間の距離を監視し、
該距離に応じて、前記車載機に対して行う近距離無線通信の間欠周期を調整する間欠周期調整部を備え
該間欠周期調整部は、3段階以上の多段階または無段階に間欠周期を変更可能であることを特徴とする車両用キーレスシステム。
【請求項2】
前記間欠周期調整部が、
前記測位部で測定した前記車両の位置を記憶する車両位置記憶部と、
該車両位置記憶部に記憶した前記車両の位置と、前記測位部で測定した前記携帯機の位置とに基づいて、前記車両と前記携帯機との間の距離を監視する距離監視部と、
該距離監視部で監視している前記距離に応じて、前記車載機に対して行う近距離無線通信の間欠周期を変更する間欠周期設定部と、を備えたことを特徴とする請求項1に記載の車両用キーレスシステム。
【請求項3】
少なくとも運転終了時に、
前記車両の位置を、前記車両または前記車載機に設置された測位部で測定し、
前記車載機は、測定した前記車両の位置を前記携帯機へ送信すると共に、
前記携帯機は、送信された前記車両の位置を記憶することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の車両用キーレスシステム。
【請求項4】
少なくとも運転終了時に、
前記車両の位置を、前記携帯機に設置された測位部で測定し、
前記携帯機は、測定した前記車両の位置を記憶することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の車両用キーレスシステム。
【請求項5】
少なくとも車両の位置が変更された時に、
前記携帯機は、変更後の車両の位置を、当該携帯機に設置された測位部で測定して、前記車載機に登録された他の携帯機へ送信し得るように構成され、
他の携帯機は、記憶している車両の位置を、前記携帯機によって送信された変更後の車両の位置に書き換えるように構成されたことを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の車両用キーレスシステム。
【請求項6】
少なくとも車両の位置が変更された時に、
前記車載機が、変更後の車両の位置、或いは、車両の位置が変更されたことを、
前記車載機に登録された他の携帯機へ送信し得るように構成され、
他の携帯機は、記憶している車両の位置を、
前記車載機によって送信された変更後の車両の位置に書き換えるか、
前記車載機が記憶している変更後の車両の位置を受信して、当該変更後の車両の位置に書き換えるか、或いは、
当該携帯機に設置された測位部で変更後の車両の位置を測定し直して、当該測定した車両の位置に書き換えるかすることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の車両用キーレスシステム。
【請求項7】
前記携帯機は、
前記測位部で測定した携帯機の位置が、
前記車両との前記近距離無線通信の通信エリア外に出た時に前記近距離無線通信を停止し、
前記車両との前記近距離無線通信の通信エリア内に入った時に前記近距離無線通信を開始することを特徴とする請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載の車両用キーレスシステム。
【請求項8】
前記近距離無線通信装置が、携帯機に搭載されたブルートゥース通信装置(BlueTooth(登録商標))であり、
前記測位部が、少なくとも前記携帯機に搭載されたGPS装置であることを特徴とする請求項1ないし請求項7のいずれか1項に記載の車両用キーレスシステム。
【請求項9】
前記携帯機は、前記車両と前記携帯機との間の距離に応じて、前記測位部による前記携帯機の位置の測位の間欠周期を調整させるようにしたことを特徴とする請求項8に記載の車両用キーレスシステム。
【請求項10】
前記携帯機が、前記近距離無線通信装置および前記測位部を備えた多機能携帯端末、多機能携帯電話、専用携帯端末のいずれかであることを特徴とする請求項1ないし請求項9のいずれか1項に記載の車両用キーレスシステム。
【請求項11】
前記車載機は、運転終了を、
車速0信号、シフトPレンジ信号、パーキングブレーキ信号、エンジン停止信号、イグニッションオフ信号、アクセサリースイッチオフ信号、ドアロック信号、ドア開閉信号、のうちの少なくとも1つによって検知するよう構成されたことを特徴とする請求項1ないし請求項10のいずれか1項に記載の車両用キーレスシステム。
【請求項12】
車両に搭載されて、少なくとも車両のドアロック機構を操作する車載機と、
ユーザーによって携帯可能とされて、前記車載機との間で無線通信可能な携帯機と、を備えた車両用キーレスシステムにおいて、
少なくとも携帯機が、前記車両の位置を衛星測位システムを使って測定可能な少なくとも1つの測位部を備えて、
少なくとも車両の位置が変更された時に、
前記携帯機は、変更後の車両の位置を、当該携帯機に設置された測位部で測定して、前記車載機に登録された他の携帯機へ送信し得るように構成され、
他の携帯機は、記憶している車両の位置を、前記携帯機によって送信された変更後の車両の位置に書き換えるように構成されたことを特徴とする車両用キーレスシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、携帯機と車載機との間で通信を行うようにした車両用キーレスシステムに関し、特に、携帯機が、車載機と間欠周期を有して近距離無線通信を行う場合に、携帯機の電力消耗を抑制させるようにした車両用キーレスシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動車などの車両では、鍵穴に鍵を差し込まなくてもドアロックを操作できるようにした車両用キーレスシステムを装備することが普及しつつある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
このような車両用キーレスシステムでは、ユーザーがドアロックを操作するための何らかの電子キー(インテリジェントキー)を身に着けておくことが必要となる。
【0004】
一方、携帯電話の分野では、小型パソコンとしての優れた情報処理機能を備えたスマートフォンなどの多機能携帯通信端末の普及が急速に進んでいる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2012−184609号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記したように、車両用キーレスシステムの電子キーは、運転を行う際にユーザーが身に着けておくことが必要であるため、運転の度に電子キーを自宅から持ち出す必要があると共に、外出中に電子キーを管理し続けていなければならず、便利な反面、煩わしさも有しているという問題があった。
【0007】
これに対し、携帯電話(多機能携帯通信端末を含む)は、既に、必需品として日常生活に深く浸透しているため、常に身に着けておくことがもはや当たり前のものとなっている。
【0008】
そこで、優れた機能を満載している多機能携帯通信端末を、上記した車両用キーレスシステムの電子キーとして使用することが考えられるが、多機能携帯通信端末は、車両用キーレスシステムの電子キーに採用されている通信規格(例えば、LF波(長波)やUHF波(短波)を使った無線通信など)を備えていないタイプのものが多いため、そのままでは電子キーとして使用することができないという問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、請求項1に記載された発明は、
車両に搭載されて、少なくとも車両のドアロック機構を操作する車載機と、
ユーザーによって携帯可能とされて、前記車載機との間で無線通信可能な携帯機と、を備えた車両用キーレスシステムにおいて、
前記携帯機が、前記車載機と間欠周期を有して近距離無線通信を行うように構成され、
前記車両と、前記車載機と、前記携帯機とのうち、少なくとも携帯機が、前記車両の位置と、前記携帯機の位置とを衛星測位システムを使って測定可能な少なくとも1つの測位部を備えて、
前記携帯機が、前記測位部で測定した前記車両の位置と前記携帯機の位置とに基づいて、前記車両と前記携帯機との間の距離を監視し、
該距離に応じて、前記車載機に対して行う近距離無線通信の間欠周期を調整する間欠周期調整部を備え、該間欠周期調整部は、3段階以上の多段階または無段階に間欠周期を変更可能であることを特徴とする。
請求項2に記載された発明は、上記において、
前記間欠周期調整部が、
前記測位部で測定した前記車両の位置を記憶する車両位置記憶部と、
該車両位置記憶部に記憶した前記車両の位置と、前記測位部で測定した前記携帯機の位置とに基づいて、前記車両と前記携帯機との間の距離を監視する距離監視部と、
該距離監視部で監視している前記距離に応じて、前記車載機に対して行う近距離無線通信の間欠周期を変更する間欠周期設定部と、を備えたことを特徴とする。
請求項3に記載された発明は、上記において、
少なくとも運転終了時に、
前記車両の位置を、前記車両または前記車載機に設置された測位部で測定し、
前記車載機は、測定した前記車両の位置を前記携帯機へ送信すると共に、
前記携帯機は、送信された前記車両の位置を記憶することを特徴とする。
請求項4に記載された発明は、上記において、
少なくとも運転終了時に、
前記車両の位置を、前記携帯機に設置された測位部で測定し、
前記携帯機は、測定した前記車両の位置を記憶することを特徴とする。
請求項5に記載された発明は、上記において、
少なくとも車両の位置が変更された時に、
前記携帯機は、変更後の車両の位置を、当該携帯機に設置された測位部で測定して、前記車載機に登録された他の携帯機へ送信し得るように構成され、
他の携帯機は、記憶している車両の位置を、前記携帯機によって送信された変更後の車両の位置に書き換えるように構成されたことを特徴とする。
請求項6に記載された発明は、上記において、
少なくとも車両の位置が変更された時に、
前記車載機が、変更後の車両の位置、或いは、車両の位置が変更されたことを、
前記車載機に登録された他の携帯機へ送信し得るように構成され、
他の携帯機は、記憶している車両の位置を、
前記車載機によって送信された変更後の車両の位置に書き換えるか、
前記車載機が記憶している変更後の車両の位置を受信して、当該変更後の車両の位置に書き換えるか、
或いは、
当該携帯機に設置された測位部で変更後の車両の位置を測定し直して、当該測定した車両の位置に書き換えるかすることを特徴とする。
請求項7に記載された発明は、上記において、
前記携帯機は、
前記測位部で測定した携帯機の位置が、
前記車両との前記近距離無線通信の通信エリア外に出た時に前記近距離無線通信を停止し、
前記車両との前記近距離無線通信の通信エリア内に入った時に前記近距離無線通信を開始することを特徴とする。
請求項8に記載された発明は、上記において、
前記近距離無線通信装置が、携帯機に搭載されたブルートゥース通信装置(BlueTooth(登録商標))であり、
前記測位部が、少なくとも前記携帯機に搭載されたGPS装置であることを特徴とする。
請求項9に記載された発明は、上記において、
前記携帯機は、前記車両と前記携帯機との間の距離に応じて、前記測位部による前記携帯機の位置の測位の間欠周期を調整させるようにしたことを特徴とする。
請求項10に記載された発明は、上記において、
前記携帯機が、前記近距離無線通信装置および前記測位部を備えた多機能携帯端末、多機能携帯電話、専用携帯端末のいずれかであることを特徴とする。
請求項11に記載された発明は、上記において、
前記車載機は、運転終了を、
車速0信号、シフトPレンジ信号、パーキングブレーキ信号、エンジン停止信号、イグニッションオフ信号、アクセサリースイッチオフ信号、ドアロック信号、ドア開閉信号、 のうちの少なくとも1つによって検知するよう構成されたことを特徴とする。
請求項12に記載された発明は、
車両に搭載されて、少なくとも車両のドアロック機構を操作する車載機と、
ユーザーによって携帯可能とされて、前記車載機との間で無線通信可能な携帯機と、を備えた車両用キーレスシステムにおいて、
少なくとも携帯機が、前記車両の位置を衛星測位システムを使って測定可能な少なくとも1つの測位部を備えて、
少なくとも車両の位置が変更された時に、
前記携帯機は、変更後の車両の位置を、当該携帯機に設置された測位部で測定して、前記車載機に登録された他の携帯機へ送信し得るように構成され、
他の携帯機は、記憶している車両の位置を、前記携帯機によって送信された変更後の車両の位置に書き換えるように構成されたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
請求項1に記載された発明によれば、上記構成によって、以下のような作用効果を得ることができる。即ち、車両と携帯機との間の距離に応じて、携帯機の無線通信の間欠周期を調整することにより、近距離無線通信による電力の消耗を防止して、携帯機の電池容量の減少や電池切れなどを抑制することができる。
また、車両と携帯機との間の距離に応じて、携帯機の無線通信の間欠周期を調整することにより、ドアロック機構を操作する際における、応答性の低下を防止することができる。
特に、車両と携帯機との間の距離が近い場合に間欠周期を短くし、車両と携帯機との間の距離が遠い場合に間欠周期を長くすることにより、上記効果を有効に発揮させることができる。
更に、間欠周期調整部は、3段階以上の多段階または無段階に間欠周期を変更可能することができる。
請求項2に記載された発明によれば、上記構成によって、以下のような作用効果を得ることができる。即ち、車両位置記憶部は、測位部で測定した車両の位置を記憶する。
距離監視部は、車両位置記憶部に記憶した車両の位置と、測位部で測定した携帯機の位置とに基づいて、車両と携帯機との間の距離を監視する。
間欠周期設定部は、距離監視部で監視している車両と携帯機との間の距離に応じて、車載機に対して行う近距離無線通信の間欠周期を変更する。
このようにすることにより、携帯機の近距離無線通信の間欠周期の調整を具体的に実施できる構成を得ることができる。
請求項3に記載された発明によれば、上記構成によって、以下のような作用効果を得ることができる。即ち、少なくとも運転終了時に、車両または車載機に設置された測位部で車両の位置を測定する。そして、車載機は、測定した車両の位置を携帯機へ送信する。携帯機は、車載機から送信された車両の位置を記憶する。このようにすることにより、車両側の測位部によって車両の位置を測定し、上記した機能(携帯機の近距離無線通信の間欠周期の調整)を実現することができるようになる。
請求項4に記載された発明によれば、上記構成によって、以下のような作用効果を得ることができる。即ち、少なくとも運転終了時に、携帯機に設置された測位部で車両の位置を測定する。
そして、携帯機は、測定した車両の位置を記憶する。このようにすることにより、車両側に測位部が設けられていないような場合であっても、携帯機が有する測位部によって車両の位置を測定することができるので、携帯機の測位部のみによって車両の位置を測定し、上記した機能(携帯機の近距離無線通信の間欠周期の調整)を実現することができるようになる。
請求項5に記載された発明によれば、上記構成によって、以下のような作用効果を得ることができる。即ち、少なくとも車両の位置が変更された時に、携帯機(運転に使用された携帯機)は、変更後の車両の位置を、当該携帯機に設置された測位部で測定して、車載機に登録された他の携帯機へ送信する。
そして、他の携帯機は、記憶している車両の位置を、上記携帯機(運転に使用された携帯機)によって送信された変更後の車両の位置に書き換える。
このようにすることにより、車両の位置の変更があった場合でも、登録された他の携帯機に対して有効な位置変更対策を行わせることができる。しかも、携帯機どうしで、車両の位置の変更を通報し合うようにしているので、車載機の負担を減らすことができる。
請求項6に記載された発明によれば、上記構成によって、以下のような作用効果を得ることができる。即ち、少なくとも車両の位置が変更された時に、車載機が、変更後の車両の位置、或いは、車両の位置が変更されたことを、車載機に登録された他の携帯機へ送信する。
そして、他の携帯機は、記憶している車両の位置を、車載機によって送信された変更後の車両の位置に書き換える。または、他の携帯機は、車載機が記憶している変更後の車両の位置を受信して、当該変更後の車両の位置に書き換える。或いは、他の携帯機は、当該携帯機に設置された測位部で変更後の車両の位置を測定し直して、当該測定した車両の位置に書き換える。
このようにすることにより、車両の位置の変更があった場合でも、登録された他の携帯機に対して有効な位置変更対策を行わせることができる。
請求項7に記載された発明によれば、上記構成によって、以下のような作用効果を得ることができる。即ち、携帯機は、測位部で測定した携帯機の位置が、車両との近距離無線通信の通信エリア外に出た時に近距離無線通信を停止し、車両との近距離無線通信の通信エリア内に入った時に近距離無線通信を開始する。これにより、通信エリア外では、近距離無線通信を停止する分だけ、携帯機の電池の消費量を少なくすることができる。また、携帯機の位置は、携帯機自身の測位部で測定できるので、通信エリア内に入った時に確実に近距離無線通信を開始(再開)させることができる。よって、車両と携帯機との間の近距離無線通信に影響を及ぼすことが防止される。
請求項8に記載された発明によれば、上記構成によって、以下のような作用効果を得ることができる。即ち、近距離無線通信装置が、携帯機に搭載されたブルートゥース通信装置(BlueTooth(登録商標))であることにより、近年急速に普及されているブルートゥース通信装置(BlueTooth(登録商標))をそのまま利用してドアロック装置の操作を行わせるようにすることができる。
測位部が、少なくとも携帯機に搭載されたGPS装置であることにより、携帯機の位置を、GPS装置を用いて正確に測定することができる。このGPS装置は、現在、我が国で最も普及されているものなので、測位部に用いるのには、最も便宜が良い。なお、車両の位置は、上記したような、車両に搭載されたGPS装置や、携帯機に搭載されたGPS装置によって測定することができる。
請求項9に記載された発明によれば、上記構成によって、以下のような作用効果を得ることができる。即ち、携帯機が、車両と携帯機との間の距離に応じて、測位部による携帯機の位置の測位の間欠周期(測位周期)を調整することにより、携帯機の電力の消耗をより一層抑えることができるようになる。
請求項10に記載された発明によれば、上記構成によって、以下のような作用効果を得ることができる。即ち、近距離無線通信装置や測位部を備えていれば、多機能携帯端末や、多機能携帯電話や、専用携帯端末などの各種の携帯機によってドアロック装置の操作を行わせ得るようにすることができる。これにより、例えば、スマートフォンなどを車両用キーレスシステムの携帯機として使用することが可能となり、スマートフォンの用途を拡げると共に、外出時の持ち物の数を減らすことができる。
請求項11に記載された発明によれば、上記構成によって、以下のような作用効果を得ることができる。即ち、車速0信号、シフトPレンジ信号、パーキングブレーキ信号、エンジン停止信号、イグニッションオフ信号、アクセサリースイッチオフ信号、ドアロック信号、ドア開閉信号、のうちの少なくとも1つを用いることにより、車載機は、運転停止を確実に検知することができる。また、ドアの開閉や降車なども検知することができる。
請求項12に記載された発明によれば、上記構成によって、以下のような作用効果を得ることができる。即ち、少なくとも車両の位置が変更された時に、携帯機(運転に使用された携帯機)は、変更後の車両の位置を、当該携帯機に設置された測位部で測定して、車載機に登録された他の携帯機へ送信する。
そして、他の携帯機は、記憶している車両の位置を、上記携帯機(運転に使用された携帯機)によって送信された変更後の車両の位置に書き換える。
このようにすることにより、車両の位置の変更があった場合でも、登録された他の携帯機に対して有効な位置変更対策を行わせることができる。しかも、携帯機どうしで、車両の位置の変更を通報し合うようにしているので、車載機の負担を減らすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の実施例にかかる車両用キーレスシステムの概略全体構成図である。
図2図1の車両用キーレスシステムの構成を示すブロック図である。
図3】近距離無線通信の通信エリアを示す平面図である。
図4】距離と間欠周期との関係を示すグラフである。
図5】変形例にかかる距離と間欠周期との関係を示すグラフである。
図6】車載機の動きと携帯機の動きとの関係を示すシーケンス図である。
図7】車載機の動きを示すフローチャートである。
図8】携帯機の動きを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本実施の形態、および、それを具体化した実施例を、図面を用いて詳細に説明する。
図1図8は、この実施例およびその変形例を示すものである。
【実施例1】
【0013】
<構成>以下、構成について説明する。
図1に示すように、自動車などの車両1に対して、鍵穴に鍵を差し込まなくてもドアロックを操作できるようにした車両用キーレスシステム2を装備する。
【0014】
この車両用キーレスシステム2は、車両1に搭載されて、少なくとも車両1のドアロック機構5を操作可能な車載機6と、ユーザー(乗員など)によって携帯可能とされて、車載機6との間で無線通信を行う携帯機7と、を備えている。
【0015】
ここで、補足説明をすると、上記した「車両1」は、主に公道を走行可能な自動車(乗用車やバスやトラックなど)を対象としているが、車両用キーレスシステム2によって操作されるドアロック機構5を有していれば、これに限るものではない。
【0016】
上記した「車両用キーレスシステム2」には、各種のものが存在している。
【0017】
この場合には、車両1の外側部分にトリガースイッチ3が設置されると共に、このトリガースイッチ3からのトリガー信号4を車載機6へ入力して、トリガー信号4に基づいてドアロック機構5の自動操作を行わせるようにしたパッシブ型のものとしているが、車両用キーレスシステム2の構成は、これに限るものではない。
【0018】
例えば、トリガースイッチ3を用いずに、車載機6と携帯機7との間の無線通信のみでドアロック機構5の自動操作を行わせるようにしたものや、または、携帯機7にロック操作ボタンが設けられて、ロック操作ボタンの操作をトリガーとしてドアロック機構5の自動操作を行わせるようにしたものなどとすることができる。
【0019】
なお、図1では、運転席側のみに対して、トリガースイッチ3などが設けられているが、助手席側などに対してもトリガースイッチ3などを設けるようにしても良い。
【0020】
上記した「トリガースイッチ3」は、文字通り、ドアロック機構5を操作する時にトリガーとして使用されるスイッチのことである。即ち、ドアロック機構5が施錠状態の時にトリガースイッチ3を操作することによって解錠状態となり、反対に、ドアロック機構5が解錠状態の時にトリガースイッチ3を操作することによって施錠状態となるようにするためのきっかけとなる信号(トリガー信号4)を発生するためのスイッチである。このトリガースイッチ3は、例えば、リクエストスイッチなどと呼ばれるものである。このトリガースイッチ3は、機械式のスイッチや、センサー類や、その他のものなどとすることができる。
【0021】
上記した「トリガー信号4」は、文字通り、トリガースイッチ3から発生される信号のことであり、ドアロック機構5の状態によって、施錠用トリガーまたは開錠用トリガーとなるものである。トリガー信号4のオン・オフは、車載機6(の後述する記憶装置12(図2参照)におけるフラグ領域)にセットされる。
【0022】
上記した「ドアロック機構5」は、特に詳細には図示しないが、車両1のドアの内部に設けられた機械式のロック機構部と、このロック機構部を駆動するドアロックアクチュエーターなどの駆動装置とを備えている。
【0023】
上記した「車載機6」は、文字通り、車両1に搭載された、ドアロック機構5のための制御器のことである。この制御器は、少なくとも、制御装置と、制御用プログラムとを有するものとされる。
【0024】
制御装置には、図2に示すように、少なくとも、CPUやワンチップマイコンなどを備えた処理ユニット11と、メモリなどの記憶装置12とが含まれる。
【0025】
記憶装置12には、少なくとも、上記した制御用プログラムを格納したり展開したりするためのプログラム領域や、制御用プログラムが処理や作業を行う際に使用するための作業領域や、後述する各種のデータ(例えば、車載機6の位置や携帯機7の位置など)や車載機6および(複数の)携帯機7の識別コード(車載機6IDおよび携帯機7ID)などを記憶するためのデータ記憶領域や、車両1、車載機6、携帯機7、トリガースイッチ3などの各種の状態を監視するためのフラグをセットするようにしたフラグ領域などが設けられる。
【0026】
制御用プログラムには、車両用キーレスシステム2としての基本的な機能である、車載機6と携帯機7との間で無線通信を行ってドアロック機構5を解錠または施錠する機能、を実施するための基本機能部13と、それ以外の特定の機能などを実施するための特定機能部14とが設定される。このような基本機能部13と、特定機能部14とは、制御用プログラムによって、処理ユニット16の内部に構築される。
【0027】
また、上記した車載機6は、ドアロック機構5を操作する以外にも、イベントとして、車両1に設けられた警報装置15などを、警報や注意喚起のため、または、例えば、歓迎の意思表示を行うため、などの様々な目的で作動させるようにすることができる。警報装置15の作動は、ドアロック機構5の操作と連携して行わせたり、ドアロック機構5の操作とは連携せずに単独で行わせたりすることができる。このような警報装置15には、例えば、ターンシグナルランプおよびハザードランプなどのランプ類15a(およびそのコントローラ)や、車外ブザー15bなどがある。これらは、個別にまたは同時に作動させることができる。
【0028】
上記した「携帯機7」は、文字通り、ユーザーによって携帯されるようにした、持ち運び可能な端末装置である。この携帯機7は、少なくとも、制御装置と、制御用プログラムとを有するものとされる。
【0029】
制御装置には、少なくとも、CPUやワンチップマイコンなどを備えた処理ユニット16と、メモリなどの記憶装置17とが含まれる。
【0030】
記憶装置17には、少なくとも、上記した制御用プログラムを格納したり展開したりするためのプログラム領域や、制御用プログラムが処理や作業を行う際に使用するための作業領域や、後述する各種のデータ(例えば、車載機6の位置や携帯機7の位置など)や車載機6および(複数の)携帯機7の識別コード(車載機IDおよび携帯機ID)などを記憶するためのデータ記憶領域や、車両1、車載機6、携帯機7、トリガースイッチ3などの各種の状態を監視するためのフラグをセットするようにしたフラグ領域などが設けられる。
【0031】
制御用プログラムには、車両用キーレスシステム2としての基本的な機能である、車載機6と携帯機7との間で無線通信を行ってドアロック機構5を解錠または施錠する機能、を行わせるための基本機能部18と、それ以外の補助的な機能を実行するための補助機能部(または特定機能部)19とが設定される。このような基本機能部18と、特定機能部19とは、制御用プログラムによって、処理ユニット16の内部に構築される。
【0032】
上記した携帯機7は、主に、ドアロック機構5を操作するための機能(ドアロック機能)を有するものであるが、例えば、車両1のエンジンキーとしての機能(エンジンキー機能)を有していても良い。なお、車両1のエンジンキーには、通常の鍵(メカキーなど)を使用することができるのは勿論である。
【0033】
また、上記した携帯機7には、表示装置7aや、入力装置7bが設けられる。この場合、表示装置7aは、液晶表示装置や有機EL表示装置などのモニタ装置とされている。表示装置7aには、例えば、携帯機7の表面のほぼ全面を覆うような大型のモニタ装置を使うことができる。表示装置7aには、例えば、地図や、キーボードや、ソフトウエアの操作ボタンなどの表示画面や入力画面を表示することができる。また、入力装置7bは、透明なタッチセンサーパネルとされている。そして、このタッチセンサーパネルは、モニタ装置の表面に設置されることにより、入力と表示とが可能なタッチパネルを構成している。
【0034】
「車載機6と携帯機7との間の無線通信」は、それぞれ互いの識別コード(車載機IDおよび携帯機ID)を含むものとされる。車載機6は、複数の携帯機7を記憶装置12のデータ記憶領域に登録することができると共に、登録した複数の携帯機7に優先順位を付けることができるようになっている。車載機6と携帯機7との間は、予め接続設定(ペアリング)がなされている。また、携帯機7は、車載機6に登録された他の携帯機7を記憶して識別できるようにするために、記憶装置17のデータ記憶領域に他の携帯機7の識別コード(携帯機ID)を登録させるようにしても良い。
【0035】
車載機6は、例えば、トリガースイッチ3からのトリガー信号4を入力した時に、携帯機7へ向けて車載機6自身の識別コード(車載機ID)を含む要求信号reqを送信するようになっている。
【0036】
また、携帯機7は、一定周期ごとに車載機6からの要求信号reqを受信しに行くようになっており、車載機6からの要求信号reqを受信して車載機6の識別コードを確認した時に、車載機6へ向けて携帯機7自身の識別コード(携帯機ID)を含む応答信号ansを送信するようになっている。そして、車載機6は、受信した応答信号ansに携帯機7の識別コードを確認すると、無線通信が正しく確立したものとして、ドアロック機構5を操作するようになっている。
【0037】
或いは、車載機6が一定周期ごとに常時要求信号reqを送信し、携帯機7が(車載機6のものとは異なる独自の)一定周期ごとに車載機6からの要求信号reqを受信して、上記したように車載機6と携帯機7との間で無線通信が正しく確立した後に、車載機6がトリガースイッチ3からのトリガー信号4が入力されるのを待って、ドアロック機構5を操作させるような作動手順としても良い。
【0038】
そして、上記したいずれの場合にも、車載機6および携帯機7は、それぞれの独自の作動周期に従って作動されるようになっている。
【0039】
以上は、車両用キーレスシステム2としての基本的な機能(基本機能部13および基本機能部18による機能)である。
【0040】
なお、車載機6と携帯機7とは、無線通信の確立後に、後述するような、補助的な機能を実行するために、上記とは異なる通信(例えば、データのやり取りや、指令信号の送信など)を行うことができる。
【0041】
そして、以上のような基本構成に対し、この実施例のものでは、以下のような構成を備えるようにしている。
【0042】
(構成1)
上記携帯機7が、上記車載機6と間欠周期Cを有して近距離無線通信を行うように構成される。
そして、上記車両1と、上記車載機6と、上記携帯機7とのうち、少なくとも携帯機7が、上記車両1の位置と、上記携帯機7の位置とを衛星測位システムを使って測定可能な少なくとも1つの測位部21〜23を備えるようにする。
上記携帯機7が、上記測位部21〜23で測定した上記車両1の位置と上記携帯機7の位置とに基づいて、上記車両1と上記携帯機7との間の距離Dを監視し、この距離Dに応じて、上記車載機6に対して行う近距離無線通信の間欠周期Cを調整する間欠周期調整部24を備えるようにする。
【0043】
(補足説明1)
ここで、上記した「携帯機7」は、運転に使用された携帯機7と、運転に使用されなかった携帯機7との両方を含むものとする。或いは、車載機6に登録された全ての携帯機7を対象とする。
【0044】
上記した「間欠周期C」は、上記した携帯機7独自の作動周期(通信周期)のことである。携帯機7の間欠周期Cを短くすると、車両用キーレスシステム2の応答性が高く(良好に)なり、反対に、携帯機7の間欠周期Cを長くすると、車両用キーレスシステム2の応答性が低下する。反面、携帯機7の間欠周期Cを短くすると、携帯機7の電力(電池)の消耗が大きくなり、反対に、携帯機7の間欠周期Cを長くすると、携帯機7の電力の消耗が抑えられる。
【0045】
上記した「近距離無線通信」は、文字通り、近距離での通信に適した無線通信のことである。そのために、車載機6と携帯機7とは、それぞれ近距離無線通信部25,26を備えるようにする。この近距離無線通信部25,26は、それぞれ、送信部25a,26aと、受信部25b,26bと、アンテナ部25c,26cと、を備えている。
【0046】
この場合、近距離無線通信は、通信エリアX(図3参照)が、概ね数m〜数十m程度以下のものを想定している。上記した近距離無線通信には、BlueTooth(登録商標)や、Wi−Fiや、ZigBeeや、無線LANなどの、各種のものが知られている。
【0047】
上記した「車両1の位置」は、文字通り、車両1の運転終了時の位置のことである。運転終了は、運転終了判断部27によって判断される。運転終了判断部27については後述する。また、車両1の位置は、主に、車両位置測定部28(または、車両位置測定指示部)によって測定される。測定した車両1の位置は、車載機6の記憶装置12のデータ記憶領域に記憶するようにしても良い。車両位置測定部28については後述する。運転終了判断部27および車両位置測定部28は、車載機6に設けられる。
【0048】
上記した「携帯機7の位置」は、文字通り、携帯機7の現在位置である。携帯機7の位置は、携帯機位置測定部29によって測定される。携帯機位置測定部29は、携帯機7の測位部23に、携帯機7の位置を測定させるようにするためのものである。測定した携帯機7の位置は、携帯機7の記憶装置17のデータ記憶領域に記憶するようにしても良い。
【0049】
上記した「測位部21〜23(衛星測位部21〜23)」は、文字通り、衛星測位システムを利用して位置を測定するためのものである。衛星測位システムには米国のGPS(Global Positioning System:全地球測位システム)や、欧州のガリレオ(測位システム)(Galileo(positioning system))など、各種のものが存在している。
【0050】
測位部21は、車両1に搭載されたカーナビゲーションシステム31のものを用いることができる。この場合には、車載機6は、カーナビゲーションシステム31との間で通信(無線通信または有線通信)ができるようにする。なお、カーナビゲーションシステム31は、外部の無線通信網(例えば、道路交通情報ネットワーク)などに対して通信可能な通信モジュール32を備えたものであるのが好ましい。
【0051】
測位部22は、車載機6に対しては、設けても良いし、または、設けなくても良い。
【0052】
測位部23は、携帯機7(後述する多機能携帯端末など)に装備されているのが好ましい。この実施例では、少なくとも1つの携帯機7が測位部23を備えていることが必要となる。
【0053】
なお、後述するように、携帯機7が測位部23によって携帯機7の位置(や車両1の位置)を測定する場合には、携帯機7の電力を消費することになるので、携帯機7の電力の消耗を抑えるために、測位部23による測位は、間欠的なものとするのが好ましい。即ち、測位部23による測位は、間欠周期(測位周期)を有して行うのが好ましい。
【0054】
上記した「間欠周期調整部24」は、文字通り、上記した携帯機7の、車載機6に対する近距離無線通信の間欠周期Cを調整するための機構である。間欠周期調整部24については後述する。
【0055】
この場合、図3図4に示すように、近距離無線通信の通信エリアX内で、車両1と携帯機7との間の距離Dが近い場合(内側エリアX1)に間欠周期Cを短くし(C1)、車両1と携帯機7との間の距離Dが遠い場合(外側エリアX2)に間欠周期Cを長くする(C2)ように構成するのが好ましい。なお、車両1と携帯機7との間の距離Dを示す地図など(図3のようなもの)を、表示装置7aに表示させるようにしても良い。
【0056】
なお、上記した内側エリアX1は、ユーザーが速やかに車両1へ近寄れる程度の短い距離D1を半径とする円の内部などとされる。例えば、半径5m程度以下の範囲などとすることができる。但し、内側エリアX1の大きさは、5mに限るものではない。
【0057】
短い間欠周期C1は、例えば、車両用キーレスシステム2の応答性が悪くならないような周期に設定される。この短い間欠周期C1が、本来予定している通常モードである。
【0058】
長い間欠周期C2は、例えば、車両用キーレスシステム2の応答性が若干悪くなっても、電力の消耗を有効に抑えられるような周期に設定される。この長い間欠周期C1が、節電モードまたは省エネモードである。
【0059】
なお、図4では、短い間欠周期C1と長い間欠周期C2との2段階の値を取るようになっているが、3段階以上の多段階の値としたり、近い側から遠い側へ向かって無段階に連続的に変化する(長くなる)値としたりすることもできる。
【0060】
(構成2)
図2に示すように、上記間欠周期調整部24が、上記測位部21〜23で測定した上記車両1の位置を記憶する車両位置記憶部35(または、車両位置測定記憶部)と、
上記車両位置記憶部35に記憶した上記車両1の位置と、上記測位部21〜23で測定した上記携帯機7の位置とに基づいて、上記車両1と上記携帯機7との間の距離Dを監視する距離監視部36と、
この距離監視部36で監視している上記距離Dに応じて、上記車載機6に対して行う近距離無線通信の間欠周期Cを変更する間欠周期設定部37と、を備えるようにする。
【0061】
(補足説明2)
ここで、上記した「車両位置記憶部35」は、文字通り、測定した車両1の位置を携帯機7の記憶装置17のデータ記憶領域に記憶させるようにしたものである。車両1の位置の測定は、主に、車両位置測定部28からの指示または指令によって行わせるようにする。
【0062】
上記した「距離監視部36」は、文字通り、車両1と携帯機7との間の距離Dを継続的に算出すると共に、得られた距離Dを継続的に監視するためのものである。
【0063】
上記した「間欠周期設定部37」は、文字通り、間欠周期Cを設定するものである。間欠周期Cの設定は、例えば、特定の値(上記した短い距離D1)を閾値(間欠周期設定用閾値)として、監視している距離Dと閾値(短い距離D1)との大小関係によって間欠周期Cを設定するようにしても良いし、または、距離Dと間欠周期Cとの関係を定めた制御テーブルを予め設けておき、制御テーブルに従って間欠周期Cを設定するものとしても良い。なお、上記した閾値や制御テーブルは、携帯機7の制御プログラムに定義しておいても良いし、携帯機7の記憶装置のデータ記憶領域に記憶させておくようにしても良い。また、閾値や制御テーブルは、後から変更し得るようにしても良い。
【0064】
なお、このようなこの実施例の機能は、主に、携帯機7のハードウェア(制御装置)やソフトウェア(制御用プログラム)を利用して構成することができる。
【0065】
但し、車載機6と携帯機7とで、分散処理し得るようなものとすることも可能である。
【0066】
更に、この実施例における車載機6の機能や、携帯機7の機能は、その一部または全てを、ネットワーク上のクラウドコンピューターサービスを利用して代行させることも可能である。この場合、「車載機6」または「携帯機7」には、ネットワーク上のクラウドコンピューターが含まれるものとする。このように、クラウドコンピューターサービスを利用することにより、例えば、ネットワーク上で各種の位置情報を共有したり、車載機6と携帯機7との間の位置情報の交換や、携帯機7どうしの位置情報の交換などを、より容易に行ったりすることができるようになる。
【0067】
なお、クラウドコンピューターサービスを利用するためには、「車載機6」および「携帯機7」は、それぞれネットワークに接続し得るようにする。「車載機6」は、直接、または、上記したカーナビゲーションシステム31を介して間接的にネットワーク(インターネットや道路交通情報ネットワークなど)に接続することができる。また、「携帯機7」は、自身が備えている通信機能などを利用してネットワーク(インターネットなど)に接続することができる。「車載機6」と「携帯機7」とが接続できるネットワークは、必ずしも同じでなくても良い。また、「車載機6」と「携帯機7」とが利用するクラウドコンピューターサービスは、必ずしも同じでなくても良い。
【0068】
(構成3)
少なくとも運転終了時に、上記車両1の位置を、上記車両1または上記車載機6に設置された測位部21,22で測定し、上記車載機6は、測定した上記車両1の位置を上記携帯機7へ送信すると共に、上記携帯機7は、送信された上記車両1の位置を記憶するものとされる。
【0069】
(補足説明3)
この構成は、主に、車両1側に測位部21,22が設けられている場合を対象としている。
【0070】
ここで、上記した「運転終了時」は、文字通り、ユーザーが運転を終了した時という意味である。運転終了時は、上記した運転終了判断部27によって判断される。運転終了判断部27については、後述する。なお、運転終了時以外の時、例えば、一時的な停車時などを上記した運転終了時に含めて、車両1の位置を停車するごとに逐次測定して最新のものに更新するようにしても良い。
【0071】
そして、車両位置測定部28が、車両1側の測位部21,22で車両1の位置を測位させるようにする。
【0072】
上記した「送信」は、車載機6やカーナビゲーションシステム31の通信モジュール32(または車載機6やカーナビゲーションシステム31の機能を代行するクラウドコンピューターサービス)などから、携帯機7(または携帯機7の機能を代行するクラウドコンピューターサービス)へ送信することが広く含まれる。なお、以降の記載において、「送信」などの通信には、上記したような、クラウドコンピューターサービスによるものを含むことができるものとする。携帯機7どうしの送信についても同様である。
【0073】
(構成4)
少なくとも運転終了時に、上記車両1の位置を、上記携帯機7に設置された測位部23で測定し、上記携帯機7は、測定した上記車両1の位置を記憶するものとされる。
【0074】
(補足説明4)
この構成は、主に、車両1側に測位部21,22が設けられていない場合を対象としている。但し、車両1側に測位部21,22が設けられていても良い。
【0075】
運転終了時に、携帯機位置測定部29が、携帯機7の測位部23に測位させた携帯機7の位置を、車両1の位置として使用する。このようにしても、正確な車両1の位置を得ることができる。
【0076】
なお、上記したような、車両1の位置の測定や測定指示などは、主に、車載機6に設けた車両位置測定部28からの指示または指令によって行わせるようにする。車両1の位置を携帯機7で測定する場合には、上記した車両位置記憶部35からの指示または指令によって行わせるようにすることができる。或いは、車載機6や携帯機7の基本機能部13や基本機能部18などによって、基本的な機能の範囲内のものとして、適宜または定期的に行わせるようにすることができる。
【0077】
車両1の位置を携帯機7の測位部23で測定した場合には、必要に応じて、車両1の位置を通信によって携帯機7から車載機6へ送るようにする。携帯機7から送られた車両1の位置は、車載機6の記憶装置12のデータ記憶領域に記憶させておくようにするのが好ましい。
【0078】
更に、運転終了時に、車載機6は、当該携帯機7(運転に使用された携帯機7)の他に、登録した全ての携帯機7へ、測定した車両1の位置を送信するようにしても良い。或いは、運転終了時に、車両1の位置を測定した当該携帯機7は、登録された他の携帯機7へ車両1の位置を直接転送して記憶を変更させるようにしても良い。以下、他の携帯機7への対応について説明する。
【0079】
(構成5)
少なくとも車両1の位置が変更された時に、携帯機7(運転に使用された携帯機7)は、変更後の車両1の位置を、当該携帯機7に設置された測位部23で測定して、車載機6に登録された他の携帯機7へ送信し得るように構成される。
そして、他の携帯機7は、記憶している車両1の位置を、上記携帯機7(運転に使用された携帯機7)によって送信された変更後の車両1の位置に書き換えるように構成される。
【0080】
(補足説明5)
ここで、上記した「車両1の位置が変更」は、要するに、車両1が、記憶している位置から移動したことである。この車両1の位置の変更は、運転終了判断部27によって判断される。この車両1の位置の変更は、別の携帯機7を利用して車両1の運転が行われた場合や、携帯機7を用いずに鍵(メカキーなど)を用いて車両1を運転した場合などに、他の携帯機7にとって問題になるものである。なお、鍵(メカキーなど)が、測位部23を有していないのは勿論である。
【0081】
上記した「変更後の車両1の位置」は、車両位置測定部28(や、別の携帯機7の車両位置記憶部35(車両位置測定部))によって測定の指示または指令が出され、測位部21〜23によって測定が実行される。
【0082】
上記した「送信」は、近距離無線通信部25,26や、カーナビゲーションシステム31の通信モジュール32などによって行われる(クラウドコンピューターサービスも含む)。
【0083】
上記した「車載機6に登録された他の携帯機7」は、運転に使用されていない携帯機7のことである。この場合、車載機6や携帯機7(他の携帯機7を含む)の識別コードは、上記したクラウドコンピューターサービスによって共用させるようにししても良い。
【0084】
なお、上記した他の携帯機7(運転に使用されなかった携帯機7)は、車載機6や運転に供された携帯機7からの車両1の位置を受信した場合には、車両1との距離Dが近くなったのか、遠ざかったのかが一時的に不明となるので、少なくとも、車両1との距離Dの再計算が済むまでの間は、車両用キーレスシステム2の応答性が悪くならないように、例外的に、間欠周期Cを短い通常モードに一時的に戻すようにしても良い。車両1の位置の記憶が変更され、上記した距離Dの再計算が済んだ携帯機7は、変更後の車両1の位置に基づいて再び間欠周期Cの調整を行う。或いは、他の携帯機7は、実際に運転に使用されるまでの間は、車両1との距離Dが不明確なものとして、間欠周期Cを短い通常モードにリセットさせてしまうようにしても良い。上記は、以降の記載においても同様に行うことができる。
【0085】
なお、上記した各場合において、車両1の位置を検出可能な測位部21〜23が、車両1や車載機6や携帯機7などに複数存在する場合には、これらのうちの最も精度の良いもののみを使用するようにしたり、複数の測位部21〜23でそれぞれ別個に測定して一定のタイミングでデータを(最も精度の良いものなどに)統一するようにしたり、それぞれが異なるタイミングで測定して一定のタイミングでデータを(最新のものに)更新したりすることなどができる。このような車両1の位置の修正や管理などは、ネットワーク上で上記したクラウドコンピューターサービスを利用して情報を共有するような場合に、最も有効に行うことができる。上記は、以降の記載においても同様に行うことができる。
【0086】
(構成6)
上記したように、少なくとも車両1の位置が変更された時に、上記車載機6(または運転に使用された携帯機7でも良い)が、変更後の車両1の位置、或いは、車両1の位置が変更されたことを、上記車載機6に登録された他の携帯機7へ送信し得るように構成される。
そして、他の携帯機7は、記憶している車両1の位置を、
上記したように、上記車載機6によって送信された変更後の車両1の位置に書き換えるか(ケース1)、
上記車載機6が記憶している変更後の車両1の位置を受信して、当該変更後の車両1の位置に書き換えるか(ケース2)、
或いは、当該携帯機7に設置された測位部23で変更後の車両1の位置を測定し直して、当該測定した車両1の位置に書き換えるか(ケース3)するように構成される。
【0087】
(補足説明6)
ここで、上記した「車両1の位置が変更」「変更後の車両1の位置」「送信」については、上記と同じである。
【0088】
上記した「車載機6に登録された他の携帯機7」は、運転に使用されていない携帯機7のことである。
【0089】
そして、上記したケース1は、上記した構成3、構成4にて記載したものとほぼ同じである。この場合には、車載機6は、車両1の位置を記憶する必要をなくすことができる。
【0090】
また、上記したケース2は、特に、車両1側に測位部21,22がない場合に、運転に使用した携帯機7の測位部23で測位した車両1の位置を、車載機6に記憶しておき、車両1の位置が変更されたことのみを他の携帯機7へ送信する場合に相当する。
【0091】
そして、上記したケース3は、特に、車両1側に測位部21,22がなく、且つ、鍵(メカキーなど)を用いて車両1の位置が変更された場合に、即ち、移動後の車両1の位置を測定することも記憶することもできない場合に、車両1の位置が変更されたことのみを他の携帯機7へ送信する場合に相当する。
【0092】
上記した「車両1の位置を測定し直す」は、例えば、鍵(メカキーなど)で運転が行われて、車両1の位置が変更されたことのみが送信された場合などに、他の携帯機7が変更後の車両1の位置を測定し直す場合であるが、上記した構成だと、他の携帯機7に自動的に測定を行わせることができないので、他の携帯機7は、所持者(ユーザー)に対して、変更後の車両1の位置を測定する操作を行うよう促すことができるようにする。例えば、他の携帯機7が、後述するようなスマートフォン(多機能携帯電話)である場合、画面表示や音声信号などを通じて案内などを発生させるようにする。
【0093】
そして、他の携帯機7のユーザーは、次に運転する際に、当該車両1に近づいた状態で、他の携帯機7(の表示画面などに表示されたアイコンや操作ボタンなど)を操作することにより、変更後の車両1の位置を測定させるようにする。
【0094】
車両1の位置を測定した他の携帯機7は、車載機6に対して、測定した車両1の位置を記憶させるようにするのが好ましい。
【0095】
なお、上記の手間をなくすために、鍵(メカキーなど)で運転が行われて、車両1の位置が変更されたことのみが送信された場合などに、最初に車両1に近づいた他の携帯機7が、自動的に車両1の位置を測定して車載機6に記憶させるような構成としても良い。車両1の位置の記憶が変更された場合には、車載機6や当該携帯機7が、他の各携帯機7へ変更後の車両1の位置を送信するようにしても良い。或いは、鍵(メカキーなど)で運転が行われて、車両1の位置が変更されたことのみが送信された場合などに、他の携帯機7は、間欠周期Cの調整をリセットして、一律に短い間欠周期C1(通常モード)となるようにしても良い。なお、ネットワーク上で車両1の位置を共有するような場合には、このような複雑な操作を不要化することが可能となる。
【0096】
(構成7)
図5に示すように、上記携帯機7は、上記測位部21〜23(主に測位部23)で測定した携帯機7の位置が、上記車両1との上記近距離無線通信の通信エリアXの外部(領域Y)に出た時に上記近距離無線通信を停止し、上記車両1との上記近距離無線通信の通信エリアXの内部に入った時に上記近距離無線通信を開始するものとされる。
【0097】
(補足説明7)
ここで、上記した「通信エリアXの外部」は、文字通り、近距離無線通信の通信エリアXの外側の領域Yのことである。
【0098】
上記した「通信エリアXの内部」は、文字通り、近距離無線通信の通信エリアXの内側の領域のことである。
【0099】
上記した「近距離無線通信を停止する」とは、携帯機7の間欠周期Cを0にすることである。
【0100】
なお、近距離無線通信を停止する距離Dは、図示のように、通信エリアXに対して若干内側または外側にズレていても良い。
【0101】
通信エリアXによる近距離無線通信の停止および開始は、上記した距離監視部36と間欠周期設定部37とによって制御することができる。
【0102】
(構成8)
上記近距離無線通信装置が、携帯機7に搭載されたブルートゥース通信装置(BlueTooth(登録商標))とされる。
また、上記測位部21〜23が、少なくとも上記携帯機7に搭載されたGPS装置とされる。
【0103】
(補足説明8)
ここで、上記した「ブルートゥース通信装置」は、文字通り、ブルートゥース通信を行うための装置であり、現状では、ICチップ化されたブルートゥースモジュールなどを、車載機6や携帯機7(の回路基板)に実装することによって、簡単に使用可能となるものである。ブルートゥースモジュールには、送信部と、受信部と、アンテナ部とが内蔵されている。但し、アンテナ部については、感度を上げるために外付けのものとしても良い。
【0104】
ここで、ブルートゥースは、デジタル機器間の近距離無線通信規格の一つであり、2.4GHz帯の電波を使用して、数m〜数十m以下の範囲で簡易な情報のやりとりを行うものである。近年の普及率の高さと、通信エリアXが最適なことなどにより、車両用キーレスシステム2に採用するのには最も適しているものと考えられる。ブルートゥースは、例えば、パソコンと、キーボードやマウスとの間の無線通信や、車載オーディオと携帯音楽プレーヤーとの間の無線通信などに既に使用されている。なお、ブルートゥース通信は、上記したLF波(長波)による無線通信よりも、消費電力が大きい。
【0105】
上記した「GPS装置」は、例えば、上空にある数個の人工衛星から送信される信号を受信して、送信から受信までの間にかかる僅かな時間差を利用によって正確な位置を測定するようにしたものである(Global Positioning System:全地球測位システム)。このGPS装置は、現在、我が国で最も普及している測位部21〜23である。このGPS装置も上記したブルートゥース通信装置と同様に、ICチップ化されたGPSモジュールなどを、車載機6や携帯機7(の回路基板)に実装することによって、簡単に使用可能となるものである。
【0106】
(構成9)
更に、好ましくは、携帯機7は、車両1と携帯機7との間の距離Dに応じて、測位部23による携帯機7の位置の測位の間欠周期(測位周期)を調整させるようにする。
【0107】
(補足説明9)
測位部23(GPS装置など)による測位は、継続的に行うことができるが、既に上記したように、間欠的なものとすることにより、携帯機7の電力の消耗を抑えることが可能となる。そして、この構成では、更に、測位部23による測位の間欠周期(測位周期)は、上記した間欠周期C(通信周期)と同様に距離Dに応じて調整させるようにしている。
【0108】
測位部23(GPS装置など)による測位周期の調整は、例えば、距離監視部36や間欠周期設定部37などによって行わせることができる。
【0109】
例えば、車両1と携帯機7との間の距離Dが離れている場合には、測位周期を長くして電力の消耗を抑えるようにし、車両1と携帯機7とのあいだの距離Dが近くなった場合に、測位周期を短くして、上記した間欠周期C(通信周期)の調整が素早く行い得るようにする。
【0110】
(構成10)
上記携帯機7が、上記近距離無線通信装置および上記測位部21〜23を備えた多機能携帯端末、多機能携帯電話、専用携帯端末のいずれかとされる。
【0111】
(補足説明10)
ここで、上記した「多機能携帯端末」は、モバイルパソコンや、タブレット型端末や、PDAや、電子書籍や、電子手帳や、電子辞書や、近年の著しい進化を遂げているデジタルカメラなどのような、近距離無線通信機能やジャイロセンサーや、更には、GPS機能などを備えた各種のデジタル機器を広く含むことができる。
【0112】
上記した「多機能携帯電話」は、小型パソコンとしての多彩な機能(プログラム実行やデータ処理などの情報処理機能、インターネット機能、メール機能など)を備えたスマートフォンや、一般的な携帯電話を多機能化した多機能型の携帯電話などのような、近距離無線通信機能やジャイロセンサーや、更には、GPS機能などを備えたものを含むものとされる。
【0113】
なお、上記した多機能携帯端末や多機能携帯電話の場合、上記した各機能は、例えば、「キーレス端末化用アプリ」などのソフトウェア(制御用プログラム)として構成して、常時起動させておくようにして使用することができる。或いは、上記した「キーレス端末化用アプリ」は、ユーザーが、運転などを行う際にその都度起動し、運転が終了したら終了するような使い方をしても良い。この実施例に記載した機能のほとんどは、主に、このキーレス端末化用アプリによってコントロールさることになる。
【0114】
上記した「専用携帯端末」は、上記した多機能携帯端末や多機能携帯電話を持っていないユーザーのために、上記した近距離無線通信機能やジャイロセンサーや、更には、GPS機能などの必要な機能を持つものとして専用に開発された携帯機7(いわゆるKeyFob)などとすることができる。但し、専用携帯端末として、GPS機能を省略した簡易版のものを別途用意するなどしても良い。
【0115】
なお、上記した携帯機7は、この場合、日常的に携帯されると共に、急速に普及されているスマートフォンなどの多機能携帯電話とするのが最適である。
【0116】
(構成11)
上記車載機6は、運転終了を、車速0信号、シフトPレンジ信号、パーキングブレーキ信号、エンジン停止信号、イグニッションオフ信号、アクセサリースイッチオフ信号、ドアロック信号、ドア開閉信号、のうちの少なくとも1つによって検知するよう構成される。
【0117】
(補足説明11)
ここで、上記した「車速0信号」は、文字通り、車速が0であるかどうかを示す信号である。
【0118】
上記した「シフトPレンジ信号」は、文字通り、シフトレバーがP(パーキング)レンジに入ったかどうかを示す信号である。
【0119】
上記した「パーキングブレーキ信号」は、文字通り、パーキングブレーキがオンになっているか、オフになっているかを示す信号である。
【0120】
上記した「エンジン停止信号」は、文字通り、エンジンが停止しているかどうかを示す信号である。
【0121】
上記した「イグニッションオフ信号」(IGN−OFF)は、文字通り、イグニッションスイッチが、オフになったことを示す信号である。
【0122】
上記した「アクセサリースイッチオフ信号」(ACC−OFF)は、文字通り、アクセサリースイッチがオフ信号になったことを示す信号である。
【0123】
上記した「ドアロック信号」は、文字通り、ドアロック機構5が施錠状態となっているか、または、解錠状態となっているかを示す信号である。
【0124】
上記した「ドア開閉信号」は、文字通り、ドアが開状態にあるか閉状態にあるかを示す信号である。
【0125】
これらの各信号(運転終了等検知用信号)は、車両1の各部に設置された各種のセンサー類や電子制御ユニットなどによって検知され、車両1に設けられたCAN300などの車内情報通信網に乗って車両1の各部に送信されている信号である。よって、これらの各信号は、車載機6を上記した車内情報通信網に接続することによって、簡単に取得することができる。
【0126】
そして、車載機6の運転終了判断部27は、これらの各信号の状態を、記憶装置12に設けられたフラグ領域にセットして、これらのフラグの状態を調べることによって、運転終了や、降車などを判断するようなものとされる。
【0127】
或いは、車室内を撮影可能なカメラなどの撮影装置が搭載された車両1にあっては、撮影装置で撮影した車室内の映像を画像解析することによって、運転終了や降車などを判断することが可能なので、運転終了判断部27は、上記した各信号の状態による運転終了や降車などの判断に替えて、または、上記と組み合わせて、撮影装置を用いた運転終了や降車などの判断を用いるようにしても良い。なお、上記した映像の画像解析においては、例えば、運転席に対する乗員の乗り降りや、着座の有無、または、運転動作などを撮影し解析することなどによって、運転終了や降車などを直接または間接的に判断させることができる。
【0128】
ここで、運転終了から降車までの一連の動きは、例えば、車速0、シフトPレンジ、パーキングブレーキon、エンジン停止、イグニッションスイッチオフ、アクセサリースイッチオフ、ドアロック解錠、ドア開、ドア閉、ドアロック施錠、の順などとなるので(但し、これらの順番は入れ替わったり、一部が抜けたりすることもある)、運転終了判断部27は、これらのいずれか1つまたは複数の動きを把握することによって、運転終了や降車を判断するように構成される。
【0129】
なお、運転終了判断部27は、携帯機7に設けることも可能である。この場合には、運転終了判断部27は、車載機6の記憶装置12に設けられたフラグ領域に無線通信でアクセスするようなものとされる。
【0130】
(その他の構成)
携帯機7は、車載機6からの無線通信の受信強度(RSSI)に基づいて、携帯機7と車載機6との間の距離Dを測定し得るようにすることもできる。そして、この受信強度(RSSI)に基づいた距離Dを、衛星測位部を利用した測位部21〜23によって測定した距離Dと併用させるようにすることができる。例えば、測位部21〜23による測位ができないような状況の時に、受信強度(RSSI)に基づいた距離Dを使用させるようにする。
【0131】
そのために、携帯機7に、受信強度(RSSI)に基づいて距離Dを測定するRSSI距離測定部41を設けるようにしても良い。
【0132】
<作用>以下、この実施例の作用について説明する。
携帯機7を携帯しているユーザーが、車両1の外側部分に設置されたトリガースイッチ3を操作すると、トリガースイッチ3からのトリガー信号4が車両1に搭載された車載機6へ入力され、車載機6と携帯機7との間で無線通信が行われる。そして、この無線通信の結果、許可可能となった場合には、例えば、車載機6がドアロック機構5を操作する。これによって、ドアロックを解錠状態とすることができる。なお、車載機6は、ドアロック機構5を操作するのに加えて、または、ドアロック機構5を操作する替りに、他のイベント(例えば、ターンシグナルランプおよびハザードランプなどのランプ類15aなどの警報装置15を点滅させることなどによって、乗車歓迎の意を表すウェルカム点灯など)を発生させるようにすることもできる。
【0133】
反対に、運転が終了し、ユーザーが降車した後で、携帯機7を携帯しているユーザーが、車両1の外側部分に設置されたトリガースイッチ3を操作すると、トリガースイッチ3からのトリガー信号4が車両1に搭載された車載機6へ入力され、車載機6と携帯機7との間で無線通信が行われる。そして、この無線通信の結果、許可可能となった場合には、例えば、車載機6がドアロック機構5を操作する。これによって、ドアロックを施錠状態とすることができる。
【0134】
なお、車載機6と携帯機7との間の無線通信が先に行われて許可が出されてから、トリガースイッチ3の操作を待ってドアロック機構5を操作するようにしても良い。
【0135】
また、トリガースイッチ3を用いずに、車載機6と携帯機7との間の無線通信のみでドアロック機構5の自動操作を行わせるようにしても良い。
【0136】
または、携帯機7にロック操作ボタンが設けられて、ロック操作ボタンの操作をトリガーとしてドアロック機構5の自動操作を行わせるようにしたても良い。
【0137】
<効果>この実施例によれば、以下のような効果を得ることができる。
(作用効果1)
車両1と携帯機7との間の距離Dに応じて、携帯機7の無線通信の間欠周期Cを調整することにより、近距離無線通信による電力の消耗を防止して、携帯機7の電池容量の減少や電池切れなどを抑制することができる。
【0138】
また、車両1と携帯機7との間の距離Dに応じて、携帯機7の無線通信の間欠周期Cを調整することにより、ドアロック機構5を操作する際における、応答性の低下を防止することができる。
【0139】
特に、車両1と携帯機7との間の距離Dが近い場合に間欠周期Cを短くし、車両1と携帯機7との間の距離Dが遠い場合に間欠周期Cを長くすることにより、上記効果を有効に発揮させることができる。
【0140】
(作用効果2)
図6のシーケンス図および、図7(車載機6側)、図8(携帯機7側)のフローチャート(主に図8参照)に示すように、運転終了の判断(ステップS1)によって、車両位置記憶部35は、測位部21〜23で測定した車両1の位置を記憶する(ステップS11)。
【0141】
そして、距離監視部36は、車両位置記憶部35に記憶した車両1の位置と、ステップS12によって測位部23で測定した携帯機7の位置とに基づいて、車両1と携帯機7との間の距離Dを監視する(ステップS13)。
【0142】
間欠周期設定部37は、距離監視部36で監視している車両1と携帯機7との間の距離Dに応じて、車載機6に対して行う近距離無線通信の間欠周期Cを変更する(ステップS14,15)。
【0143】
このようなものとすることにより、携帯機7の近距離無線通信の間欠周期Cの調整を具体的に実施できる構成を得ることができる。
【0144】
(作用効果3)
少なくとも運転終了時に(ステップS1)、車両1または車載機6に設置された測位部21,22で車両1の位置を測定する(ステップS2)。
【0145】
そして、車載機6は、測定した車両1の位置を携帯機7へ送信する。携帯機7は、車載機6から送信された車両1の位置を記憶する(ステップS11)。
【0146】
このようにすることにより、車両1側の測位部21,22によって車両1の位置を測定し、上記した機能(携帯機7の近距離無線通信の間欠周期Cの調整)を実現することができるようになる。
【0147】
(作用効果4)
或いは、少なくとも運転終了時に(ステップS1)、携帯機7に設置された測位部23で車両1の位置を測定する(ステップS11)。
【0148】
そして、携帯機7は、測定した車両1の位置を記憶する。
【0149】
このようにすることにより、車両1側に測位部21,22が設けられていないような場合であっても、携帯機7が有する測位部23によって車両1の位置を測定することができるので、携帯機7の測位部23のみによって車両1の位置を測定し、上記した機能(携帯機7の近距離無線通信の間欠周期Cの調整)を実現することができるようになる。
【0150】
(作用効果5)
少なくとも車両1の位置が変更された時に、携帯機7(運転に使用された携帯機7)は、変更後の車両1の位置を、当該携帯機7に設置された測位部23で測定して、車載機6に登録された他の携帯機7へ送信する。
【0151】
そして、他の携帯機7は、記憶している車両1の位置を、上記携帯機7(運転に使用された携帯機7)によって送信された変更後の(最新の)車両1の位置に書き換える。
【0152】
このようにすることにより、車両1の位置の変更があった場合でも、登録された他の携帯機7に対して有効な位置変更対策を行わせることができる。しかも、携帯機7どうしで、車両1の位置の変更を通報し合うようにしているので、車載機6の負担を減らすことができる。
【0153】
(作用効果6)
或いは、少なくとも車両1の位置が変更された時に、車載機6が、変更後の車両1の位置、或いは、車両1の位置が変更されたことを、車載機6に登録された他の携帯機7へ送信する。
【0154】
そして、他の携帯機7は、記憶している車両1の位置を、車載機6によって送信された変更後の車両1の位置に書き換える(ケース1)。または、他の携帯機7は、車載機6が記憶している変更後の車両1の位置を受信して、当該変更後の車両1の位置に書き換える(ケース2)。
【0155】
或いは、他の携帯機7は、当該携帯機7に設置された測位部23で変更後の車両1の位置を(後日)測定し直して、当該測定した車両1の位置に書き換える(ケース3)。
【0156】
このようにすることにより、車両1の位置の変更があった場合でも、登録された他の携帯機7に対して有効な位置変更対策を行わせることができる。
【0157】
(作用効果7)
図5に示すように、携帯機7は、測位部23で測定した携帯機7の位置が、車両1との近距離無線通信の通信エリアXの外部に出た時に近距離無線通信を停止し、車両1との近距離無線通信の通信エリアXの内部に入った時に近距離無線通信を開始する。これにより、通信エリアXの外部では、近距離無線通信を停止する分だけ、携帯機7の電池の消費量を少なくすることができる。また、携帯機7の位置は、携帯機7自身の測位部23で測定できるので、通信エリアXの内部に入った時に確実に近距離無線通信を開始(再開)させることができる。よって、車両1と携帯機7との間の近距離無線通信に影響を及ぼすことが防止される。
【0158】
(作用効果8)
近距離無線通信装置が、携帯機7に搭載されたブルートゥース通信装置(BlueTooth(登録商標))であることにより、近年急速に普及されているブルートゥース通信装置(BlueTooth(登録商標))をそのまま利用してドアロック装置の操作を行わせるようにすることができる。
【0159】
また、測位部21〜23が、少なくとも携帯機7に搭載されたGPS装置であることにより、携帯機7の位置を、GPS装置を用いて正確に測定することができる。このGPS装置は、現在、我が国で最も普及されているものなので、測位部21〜23に用いるのには、最も便宜が良い。なお、車両1の位置は、上記したような、車両1に搭載されたGPS装置や、携帯機7に搭載されたGPS装置によって測定することができる。また、車両1の位置は、携帯機7の表示装置7aに必要に応じて随時表示させることができる。
【0160】
(作用効果9)
携帯機7が、車両1と携帯機7との間の距離Dに応じて、測位部23による携帯機7の位置の測位の間欠周期(測位周期)を調整することにより、携帯機7の電力の消耗をより一層抑えることができるようになる。
【0161】
(作用効果10)
近距離無線通信装置や測位部21〜23を備えていれば、多機能携帯端末や、多機能携帯電話や、専用携帯端末などの各種の携帯機7によってドアロック装置の操作を行わせ得るようにすることができる。これにより、例えば、スマートフォンなどを車両用キーレスシステム2の携帯機7として使用することが可能となり、スマートフォンの用途を拡げると共に、外出時の持ち物の数を減らすことができる。
【0162】
(作用効果11)
車速0信号、シフトPレンジ信号、パーキングブレーキ信号、エンジン停止信号、イグニッションオフ信号、アクセサリースイッチオフ信号、ドアロック信号、ドア開閉信号、のうちの少なくとも1つを用いることにより、車載機6は、運転停止を確実に検知することができる。また、ドアの開閉や降車なども簡単に検知することができる。
【0163】
以上、この発明の実施例を図面により詳述してきたが、実施例はこの発明の例示にしか過ぎないものであるため、この発明は実施例の構成にのみ限定されるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があってもこの発明に含まれることは勿論である。また、例えば、各実施例に複数の構成が含まれている場合には、特に記載がなくとも、これらの構成の可能な組合せが含まれることは勿論である。また、複数の実施例や変形例が示されている場合には、特に記載がなくとも、これらに跨がった構成の組合せのうちの可能なものが含まれることは勿論である。また、図面に描かれている構成については、特に記載がなくとも、含まれることは勿論である。更に、「等」の用語がある場合には、同等のものを含むという意味で用いられている。また、「ほぼ」「約」「程度」などの用語がある場合には、常識的に認められる範囲や精度のものを含むという意味で用いられている。
【符号の説明】
【0164】
1 車両
2 車両用キーレスシステム
5 ドアロック機構
6 車載機
7 携帯機
21 測位部
22 測位部
23 測位部
24 間欠周期調整部
35 車両位置記憶部
36 距離監視部
37 間欠周期設定部
C 間欠周期
D 距離
X 通信エリア
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8