特許第6184178号(P6184178)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6184178
(24)【登録日】2017年8月4日
(45)【発行日】2017年8月23日
(54)【発明の名称】電力変換装置
(51)【国際特許分類】
   H02M 3/28 20060101AFI20170814BHJP
【FI】
   H02M3/28 W
   H02M3/28 U
【請求項の数】10
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2013-122886(P2013-122886)
(22)【出願日】2013年6月11日
(65)【公開番号】特開2014-241674(P2014-241674A)
(43)【公開日】2014年12月25日
【審査請求日】2015年11月6日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004695
【氏名又は名称】株式会社SOKEN
(73)【特許権者】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】110000604
【氏名又は名称】特許業務法人 共立
(72)【発明者】
【氏名】吉川 覚
(72)【発明者】
【氏名】安藤 真司
(72)【発明者】
【氏名】石井 淳
【審査官】 高野 誠治
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−095377(JP,A)
【文献】 特開2008−109754(JP,A)
【文献】 特開2006−101636(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 3/00 − 3/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
交流端が交流電源に、直流端が直流負荷にそれぞれ接続され、交流を直流に変換する第1電力変換回路(105、205)と、
直流端が前記第1電力変換回路の直流端に接続され、直流と交流を双方向に変換する第2電力変換回路(107、207)と、
1次巻線と2次巻線を有し、1次巻線が前記第2電力変換回路の交流端に接続される第1トランス(108、208)と、
交流端が前記第1トランスの2次巻線に、直流端がバッテリにそれぞれ接続され、交流と直流を双方向に変換する第3電力変換回路(109、209)と、
を備え、前記交流電源から前記バッテリに電力を供給する場合、前記第1電力変換回路、前記第2電力変換回路、前記第1トランス及び前記第3電力変換回路を介して電力を供給し、前記交流電源が接続されていない状態で前記直流負荷に電力を供給する場合、前記第3電力変換回路、前記第1トランス及び前記第2電力変換回路を介して前記バッテリから前記直流負荷に電力を供給する電力変換装置において、
直流端が前記バッテリに接続され、直流を交流に変換する第4電力変換回路(111、211)と、
1次巻線と2次巻線を有し、1次巻線が前記第4電力変換回路の交流端に、2次巻線が前記第1電力変換回路の交流端にそれぞれ接続される第2トランス(112、212)と、
を有し、前記交流電源が接続されていない状態で前記直流負荷に電力を供給する場合、前記第4電力変換回路、前記第2トランス及び前記第1電力変換回路を介して前記バッテリから前記直流負荷に電力を供給することを特徴とする電力変換装置。
【請求項2】
前記直流負荷に供給する電力が基準電力以上のとき、前記第4電力変換回路、前記第2トランス及び前記第1電力変換回路を介して前記バッテリから前記直流負荷に電力を供給することを特徴とする請求項1に記載の電力変換装置。
【請求項3】
前記交流電源が接続されているか否かを判定する交流電源接続判定回路によって、前記交流電源が接続されていないと判定されたとき、前記第2トランスの2次巻線を前記第1電力変換回路の交流端に接続する接続回路(104、204)を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の電力変換装置。
【請求項4】
前記第1トランスの1次巻線に対する2次巻線の巻数比と、前記第2トランスの2次巻線に対する1次巻線の巻数比が、異なる値に設定されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の電力変換装置。
【請求項5】
前記第1トランス及び前記第2トランスは、2次巻線に対する1次巻線の巻数比が0.5〜2の範囲内になるように設定されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の電力変換装置。
【請求項6】
前記第2電力変換回路及び前記第3電力変換回路は、ダイオードが逆並列接続されたスイッチング素子をブリッジ接続して構成されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の電力変換装置。
【請求項7】
前記第1電力変換回路は、交流と直流を双方向に変換することを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の電力変換装置。
【請求項8】
前記第1電力変換回路は、交流と直流を双方向に変換し、
前記第4電力変換回路(211)は、直流と交流を双方向に変換し、
前記交流電源から前記バッテリに電力を供給する場合、前記第1電力変換回路の交流端を前記交流電源から切断して、前記第2トランスの2次巻線を前記第1電力変換回路の交流端に接続するとともに、前記第2電力変換回路の交流端に前記交流電源を接続し、前記第2電力変換回路、前記第1電力変換回路、前記第2トランス及び前記第4電力変換回路を介して電力を供給できることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の電力変換装置。
【請求項9】
前記第4電力変換回路は、ダイオードが逆並列接続されたスイッチング素子をブリッジ接続して構成されていることを特徴とする請求項8に記載の電力変換装置。
【請求項10】
前記第1電力変換回路は、ダイオードが逆並列接続されたスイッチング素子をブリッジ接続して構成されていることを特徴とする請求項7〜9のいずれか1項に記載の電力変換装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、交流電源からバッテリに電力を供給し、また、バッテリから直流負荷に電力を供給する電力変換装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、交流電源からバッテリに電力を供給する電力変換装置として、例えば以下に示す特許文献1に開示されている電力変換装置がある。
【0003】
この電力変換装置は、交流電源からバッテリに電力を供給し、バッテリを充電する装置である。また、バッテリから交流電源に電力を供給する装置でもある。電力変換装置は、AC−DC変換部と、DC−DC変換部とを備えている。
【0004】
AC−DC変換部は、交流と直流を双方向に変換する回路である。AC−DC変換部は、第1電力変換部を備えている。第1電力変換部は、交流と直流を双方向に変換する回路である。第1電力変換部の交流端は交流電源に、直流端はDC−DC変換部にそれぞれ接続されている。
【0005】
DC−DC変換部は、直流と直流を双方向に変換する回路である。DC−DC変換部は、第2電力変換部と、トランスと、第3電力変換部とを備えている。第2電力変換部は、直流と交流を双方向に変換する回路である。第2電力変換部の直流端は第1電力変換部の直流端に、交流端はトランスの1次巻線にそれぞれ接続されている。第3電力変換部は、交流と直流を双方向に変換する回路である。第3電力変換部の交流端はトランスの2次巻線に、直流端はバッテリにそれぞれ接続されている。
【0006】
交流電源からバッテリに電力を供給し、バッテリを充電する場合、第1電力変換部、第2電力変換部、トランス及び第3電力変換部を介して電力を供給する。一方、バッテリから交流電源に電力を供給する場合、第3電力変換部、トランス、第2電力変換部及び第1電力変換部を介して電力を供給する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2011−035957号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、前述した電力変換装置において、第1電力変換部の直流端に直流負荷を接続し、直流負荷に電力を供給する構成が用いられる場合がある。交流電源が接続されていない状態で直流負荷に電力を供給する場合、第3電力変換部、トランス及び第2電力変換部を介してバッテリから直流負荷に電力を供給する。バッテリから直流負荷に供給できる最大電力を増加させようとした場合、第3電力変換部、トランス及び第2電力変換部の構成部品の電流容量や耐圧を上げなければならない。そのため、電力変換装置の体格が増大してしまう。
【0009】
これに対し、バッテリから直流負荷に電力を供給する第3電力変換部、トランス及び第2電力変換部と同一の回路を、これらの回路に並列に設ける構成が考えられる。しかし、第3電力変換部、トランス及び第2電力変換部と同一の回路が複数設けられるため、やはり、電力変換装置の体格が増大してしまう。
【0010】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、体格の増大を抑え、直流負荷に供給できる電力を上げることができる電力変換装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するためになされた本発明は、交流端が交流電源に、直流端が直流負荷にそれぞれ接続され、交流を直流に変換する第1電力変換回路と、直流端が第1電力変換回路の直流端に接続され、直流と交流を双方向に変換する第2電力変換回路と、1次巻線と2次巻線を有し、1次巻線が第2電力変換回路の交流端に接続される第1トランスと、交流端が第1トランスの2次巻線に、直流端がバッテリにそれぞれ接続され、交流と直流を双方向に変換する第3電力変換回路と、を備え、交流電源からバッテリに電力を供給する場合、第1電力変換回路、第2電力変換回路、第1トランス及び第3電力変換回路を介して電力を供給し、交流電源が接続されていない状態で直流負荷に電力を供給する場合、第3電力変換回路、第1トランス及び第2電力変換回路を介してバッテリから直流負荷に電力を供給する電力変換装置において、直流端がバッテリに接続され、直流を交流に変換する第4電力変換回路と、1次巻線と2次巻線を有し、1次巻線が第4電力変換回路の交流端に、2次巻線が第1電力変換回路の交流端にそれぞれ接続される第2トランスと、を有し、交流電源が接続されていない状態で直流負荷に電力を供給する場合、第4電力変換回路、第2トランス及び第1電力変換回路を介してバッテリから直流負荷に電力を供給することを特徴とする。
【0012】
この構成によれば、交流電源からバッテリに電力を供給する際に用いられる第1電力変換回路を利用してバッテリから直流負荷に電力を供給する。そのため、従来のように、バッテリから直流負荷に電力を供給する第3電力変換回路、第2トランス及び第2電力変換回路と同一の回路を、これらの回路に並列に設ける場合に比べ、構成を簡素化することができる。従って、体格の増大を抑え、直流負荷に供給できる電力を上げることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】第1実施形態における電力変換装置の回路図である。
図2】第1実施形態における電力変換装置の動作を説明するための交流電源が接続されていない状態の回路図である。
図3】第2実施形態における電力変換装置の回路図である。
図4】第2実施形態における電力変換装置の動作を説明するための回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
次に、実施形態を挙げ、本発明をより詳しく説明する。本実施形態では、本発明に係る電力変換装置を、車両外部に設けられた交流電源、車両に搭載されたバッテリ及び直流負荷の間で電力を供給する電力変換装置に適用した例を示す。
【0015】
(第1実施形態)
まず、図1を参照して第1実施形態の電力変換装置の構成について説明する。
【0016】
図1に示す電力変換装置1は、車両外部に設けられた交流電源AC1の出力する交流を直流に変換して車両に搭載されたバッテリB1に供給し、バッテリB1を充電する装置である。また、バッテリB1の出力する直流を交流に変換して交流電源AC1に供給する装置でもある。さらに、交流電源AC1から電力が供給されていない状態でバッテリB1の出力する直流を所定電圧の直流に変換し、車両に搭載された直流負荷S1に供給する装置でもある。ここで、交流電源AC1は、住宅等に設けられている商用交流電源である。バッテリB1は、主に車両駆動用モータに電力を供給するための高電圧のバッテリである。直流負荷S1は、直流で動作する補機である。例えば、車両に搭載された排気ガス処理装置の触媒を加熱するヒータである。電力変換装置1は、交流電源接続判定回路100と、フィルタ回路101と、リアクトル102、103と、接続回路104と、第1電力変換回路105と、コンデンサ106と、第2電力変換回路107と、トランス108(第1トランス)と、第3電力変換回路109と、フィルタ回路110と、第4電力変換回路111と、トランス112(第2トランス)と、制御回路113とを備えている。
【0017】
交流電源接続判定回路100は、交流電源AC1が交流電源AC1の接続端に接続されているか否かを判定し、判定結果に応じた信号を出力するとともに、供給される交流をそのまま出力する回路である。交流電源接続判定回路100の一端は交流電源AC1を接続するための接続端に、他端はフィルタ回路101にそれぞれ接続されている。また、信号出力端は、制御回路113に接続されている。
【0018】
フィルタ回路101は、供給される交流に含まれる高周波成分を除去する回路である。フィルタ回路101の一端は交流電源接続判定回路100の他端に、他端はリアクトル102、103にそれぞれ接続されている。
【0019】
リアクトル102、103は、接続回路104を介して第1電力変換回路105に接続されることで、第1電力変換回路105とともに力率改善機能を有する電力変換回路を構成する素子である。また、第1電力変換回路105から供給される交流に含まれる高調波成分を抑制する素子でもある。リアクトル102、103の一端はフィルタ回路101の他端に、他端は接続回路104にそれぞれ接続されている。
【0020】
接続回路104は、交流電源接続判定回路100の判定結果に基づいて制御回路113によって制御され、リアクトル102、103又はトランス112を第1電力変換回路105に接続する回路である。接続回路104は、スイッチ104a、104bを備えている。スイッチ104aの共通端は第1電力変換回路105に、一方の接続端はリアクトル102の他端に、他方の接続端はトランス112にそれぞれ接続されている。スイッチ104bの共通端は第1電力変換回路105に、一方の接続端はリアクトル103の他端に、他方の接続端はトランス112にそれぞれ接続されている。
【0021】
第1電力変換回路105は、制御回路113によって制御され、交流と直流を双方向に変換する回路である。具体的には、交流端に供給される交流を直流に変換して直流端から出力する回路である。また、逆に、直流端に供給される直流を交流に変換して交流端から出力する回路でもある。第1電力変換回路105は、IGBT105a〜105d(スイッチング素子)と、ダイオード105e〜105hとを備えている。
【0022】
IGBT105a、105b及びIGBT105c、105dは、それぞれ直列接続されている。具体的には、IGBT105a、105cのエミッタが、IGBT105b、105dのコレクタにそれぞれ接続されている。直列接続されたIGBT105a、105b及び直列接続されたIGBT105c、105dは並列接続されている。具体的には、IGBT105a、105cのコレクタ及びIGBT105b、105dのエミッタがそれぞれ共通接続されている。つまり、IGBT105a〜105dはブリッジ接続されている。IGBT105a、105bの直列接続点及びIGBT105c、105dの直列接続点は、第1電力変換回路105の交流端を形成し、スイッチ104a、104bの共通端にそれぞれ接続されている。また、共通接続されたIGBT105a、105cのコレクタ及び共通接続されたIGBT105b、105dのエミッタは、第1電力変換回路105の直流端を形成し、直流負荷S1及びコンデンサ106にそれぞれ接続されている。さらに、IGBT105a〜105dのゲートは、制御回路113にそれぞれ接続されている。
【0023】
ダイオード105e〜105hのアノードはIGBT105a〜105dのエミッタに、カソードはIGBT105a〜105dのコレクタにそれぞれ接続されている。つまり、ダイオード105e〜105hは、IGBT105a〜105dに逆並列接続されている。
【0024】
第1電力変換回路105は、リアクトル102、103とともに力率改善機能を有する電力変換回路を構成し、IGBT105a、105cをオフし、IGBT105b、105dを所定のタイミングでスイッチングすることで、リアクトル102、103の一端に供給される交流の力率を改善しながら、供給される交流を直流に変換して直流端から出力する。また、IGBT105a〜105dを所定のタイミングでスイッチングすることで、直流端に供給される直流を交流に変換して交流端から出力する。さらに、IGBT105a〜105dをオフすることで、ダイオード105e〜105hによって、交流端に供給される交流を直流に変換して直流端から出力する。
【0025】
コンデンサ106は、直流を平滑化するための素子である。コンデンサ106の一端及び他端は、共通接続されたIGBT105a、105cのコレクタ及び共通接続されたIGBT105b、105dのエミッタにそれぞれ接続されるとともに、直流負荷S1に接続されている。
【0026】
第2電力変換回路107は、制御回路113によって制御され、直流と交流を双方向に変換する回路である。具体的には、直流端に供給される直流を交流に変換して交流端から出力する回路である。また、逆に、交流端に供給される交流を直流に変換して直流端から出力する回路でもある。第2電力変換回路107は、IGBT107a〜107d(スイッチング素子)と、ダイオード107e〜107hとを備えている。
【0027】
IGBT107a〜107d及びダイオード107e〜107hは、第1電力変換回路105のIGBT105a〜105d及びダイオード105e〜105hと同一構成である。共通接続されたIGBT107a、107cのコレクタ及び共通接続されたIGBT107b、107dのエミッタは、第2電力変換回路107の直流端を形成し、コンデンサ106の一端及び他端にそれぞれ接続されている。また、IGBT107a、107bの直列接続点及びIGBT107c、107dの直列接続点は、第2電力変換回路107の交流端を形成し、トランス108に接続されている。さらに、IGBT107a〜107dのゲートは、制御回路113にそれぞれ接続されている。
【0028】
第2電力変換回路107は、IGBT107a〜107dを所定のタイミングでスイッチングすることで、直流端に供給される直流を交流に変換して交流端から出力する。また、IGBT107a〜107dをオフすることで、ダイオード107e〜107hによって、交流端に供給される交流を直流に変換して直流端から出力する。
【0029】
トランス108は、1次巻線108aと2次巻線108bを有し、1次巻線108aに供給される交流を所定電圧の交流に変換して2次巻線108bから出力する素子である。また、逆に、2次巻線108bに供給される交流を所定電圧の交流に変換して1次巻線108aから出力する素子でもある。トランス108は、2次巻線108bに対する1次巻線108aの巻数比が0.5〜2の範囲内の所定値になるように設定されている。1次巻線108aの一端はIGBT107a、107bの直列接続点に、他端はIGBT107c、107dの直列接続点にそれぞれ接続されている。2次巻線108bの一端と他端は、第3電力変換回路109に接続されている。
【0030】
第3電力変換回路109は、制御回路113によって制御され、交流と直流を双方向に変換する回路である。具体的には、交流端に供給される交流を直流に変換して直流端から出力する回路である。また、逆に、直流端に供給される直流を交流に変換して交流端から出力する回路でもある。第3電力変換回路109は、IGBT109a〜109d(スイッチング素子)と、ダイオード109e〜109hとを備えている。
【0031】
IGBT109a〜109d及びダイオード109e〜109hは、第1電力変換回路105のIGBT105a〜105d及びダイオード105e〜105hと同一構成である。IGBT109a、109bの直列接続点及びIGBT109c、109dの直列接続点は、第3電力変換回路109の交流端を形成し、2次巻線108bの一端及び他端にそれぞれ接続されている。また、共通接続されたIGBT109a、109cのコレクタ及び共通接続されたIGBT109b、109dのエミッタは、第3電力変換回路109の直流端を形成し、フィルタ回路101にそれぞれ接続されている。さらに、IGBT109a〜109dのゲートは、制御回路113にそれぞれ接続されている。
【0032】
第3電力変換回路109は、IGBT109a〜109dをオフすることで、ダイオード109e〜109hによって、交流端に供給される交流を直流に変換して直流端から出力する。また、IGBT109a〜109dを所定のタイミングでスイッチングすることで、直流端に供給される直流を交流に変換して交流端から出力する。
【0033】
フィルタ回路110は、供給される直流に含まれる高周波成分を除去する回路である。フィルタ回路110の一端は共通接続されたIGBT109a、109cのコレクタ及び共通接続されたIGBT109b、109dのエミッタにそれぞれ接続されるとともに、第4電力変換回路111に接続されている。また、他端はバッテリB1に接続されている。
【0034】
第4電力変換回路111は、制御回路113によって制御され、直流を交流に変換する回路である。具体的には、直流端に供給される直流を交流に変換して交流端から出力する回路である。第4電力変換回路111は、IGBT111a〜111d(スイッチング素子)と、ダイオード111e〜111hとを備えている。
【0035】
IGBT111a〜111d及びダイオード111e〜111hは、第1電力変換回路105のIGBT105a〜105d及びダイオード105e〜105hと同一構成である。共通接続されたIGBT111a、111cのコレクタ及び共通接続されたIGBT111b、111dのエミッタは、第4電力変換回路111の直流端を形成し、フィルタ回路101の一端にそれぞれ接続されている。また、IGBT111a、111bの直列接続点及びIGBT111c、111dの直列接続点は、第4電力変換回路111の交流端を形成し、トランス112に接続されている。さらに、IGBT111a〜111dのゲートは、制御回路113にそれぞれ接続されている。
【0036】
第4電力変換回路111は、IGBT111a〜111dを所定のタイミングでスイッチングすることで、直流端に供給される直流を交流に変換して交流端から出力する。
【0037】
トランス112は、1次巻線112aと2次巻線112bを有し、1次巻線112aに供給される交流を所定電圧の交流に変換して2次巻線112bから出力する素子である。トランス112は、2次巻線112bに対する1次巻線112aの巻数比が0.5〜2の範囲内の所定値になるように設定されている。しかも、トランス112の2次巻線112bに対する1次巻線112aの巻数比が、トランス108の2次巻線108bに対する1次巻線108aの巻数比の逆数である、1次巻線108aに対する2次巻線108bの巻数比と異なる値に設定されている。1次巻線112aの一端はIGBT111a、111bの直列接続点に、他端はIGBT111c、111dの直列接続点にそれぞれ接続されている。2次巻線112bの一端はスイッチ104aの他方の接続端に、他端はスイッチ104bの他方の接続端にそれぞれ接続されている。
【0038】
制御回路113は、交流電源接続判定回路100の判定結果に基づいて接続回路104を制御するとともに、各部の電圧及び電流に基づいて、第1電力変換回路105、第2電力変換回路107、第3電力変換回路109及び第4電力変換回路111を制御する回路である。制御回路113は、交流電源接続判定回路100の信号出力端に接続されている。また、スイッチ104a、104bの制御端に接続されている。さらに、IGBT105a〜105d、107a〜107d、109a〜109d、111a〜111dのゲートにそれぞれ接続されている。
【0039】
次に、図1及び図2を参照して第1実施形態の電力変換装置の動作について説明する。
【0040】
まず、交流電源AC1の出力する交流を直流に変換してバッテリB1に供給し、バッテリB1を充電する動作について説明する。
【0041】
図1に示すように、交流電源AC1を接続するための接続端に、交流電源AC1が接続されている。交流電源接続判定回路100は、交流電源AC1が接続端に接続されていると判定し、判定結果に応じた信号を出力するとともに、交流電源AC1から供給される交流をそのまま出力する。フィルタ回路101は、交流電源接続判定回路100を介して交流電源AC1から供給される交流に含まれる高周波成分を除去する。
【0042】
制御回路113は、交流電源接続判定回路100の判定結果に基づいて交流電源AC1が接続端に接続されていると判断し、接続回路104を制御して、リアクトル102、103の他端を第1電力変換回路105の交流端に接続させる。
【0043】
第1電力変換回路105は、接続回路104を介してリアクトル102、103が接続されることで、リアクトル102、103とともに力率改善機能を有する電力変換回路を構成する。第1電力変換回路105は、制御回路113によって制御され、IGBT105a、105cをオフし、IGBT105b、105dを所定のタイミングでスイッチングすることで、リアクトル102、103の一端に供給される交流の力率を改善しながら、供給される交流を直流に変換して直流端から出力する。コンデンサ106は、第1電力変換回路105の直流端から供給される直流を平滑化する。
【0044】
第2電力変換回路107は、制御回路113によって制御され、IGBT107a〜107dを所定のタイミングでスイッチングすることで、コンデンサ106によって平滑化され直流端に供給される直流を交流に変換して交流端から出力する。トランス108は、第2電力変換回路107の交流端から1次巻線108aに供給される交流を巻数比に応じた所定電圧の交流に変換して2次巻線108bから出力する。第3電力変換回路109は、制御回路113によって制御され、IGBT109a〜109dをオフすることで、ダイオード109e〜109hによって、トランス108の2次巻線108bから交流端に供給される交流を直流に変換して直流端から出力する。フィルタ回路110は、第3電力変換回路109の直流端から供給される直流に含まれる高周波成分を除去してバッテリB1に供給する。
【0045】
つまり、リアクトル102、103と第1電力変換回路105によって構成される力率改善機能を有する電力変換回路、第2電力変換回路107、トランス108及び第3電力変換回路109を介し、交流電源AC1の出力する交流を直流に変換してバッテリB1に供給し、バッテリB1を充電する。
【0046】
次に、バッテリB1の出力する直流を交流に変換して交流電源AC1に供給する動作について説明する。
【0047】
図1に示すように、交流電源AC1を接続するための接続端に交流電源AC1が接続されている。
【0048】
交流電源接続判定回路100は、交流電源AC1が接続端に接続されていると判定し、判定結果に応じた信号を出力する。制御回路113は、交流電源接続判定回路100の判定結果に基づいて交流電源AC1が接続端に接続されていると判断し、接続回路104を制御して、リアクトル102、103の他端を第1電力変換回路105の交流端に接続させる。
【0049】
フィルタ回路110は、バッテリB1から供給される直流に含まれる高周波成分を除去する。第3電力変換回路109は、制御回路113によって制御され、IGBT109a〜109dを所定のタイミングでスイッチングすることで、フィルタ回路110を介してバッテリB1から直流端に供給される直流を交流に変換して交流端から出力する。トランス108は、第3電力変換回路109の交流端から2次巻線108bに供給される交流を巻数比に応じた所定電圧の交流に変換して1次巻線108aから出力する。第2電力変換回路107は、制御回路113によって制御され、IGBT107a〜107dをオフすることで、ダイオード107e〜107hによって、トランス108の1次巻線108aから交流端に供給される交流を直流に変換して直流端から出力する。コンデンサ106は、第2電力変換回路107の直流端から供給される直流を平滑化する。
【0050】
第1電力変換回路105は、制御回路113によって制御され、IGBT105a〜105dを所定のタイミングでスイッチングすることで、コンデンサ106によって平滑化され直流端に供給される直流を交流に変換して交流端から出力する。リアクトル102、103は、接続回路104を介して第1電力変換回路105の交流端に接続されている。リアクトル102、103は、第1電力変換回路105の交流端から供給される交流に含まれる高調波成分を抑制する。フィルタ回路101は、リアクトル102、103を介して供給される交流に含まれる高周波成分を除去する。交流電源接続判定回路100は、フィルタ回路101を介して供給される交流をそのまま交流電源AC1に供給する。
【0051】
つまり、第3電力変換回路109、トランス108、第2電力変換回路107及び第1電力変換回路105を介し、バッテリB1の出力する直流を交流に変換して交流電源AC1に供給する。
【0052】
次に、交流電源AC1から電力が供給されていない状態で、バッテリB1の出力する直流を所定電圧の直流に変換して直流負荷S1に供給する場合の動作について説明する。
【0053】
図2に示すように、交流電源AC1を接続するための接続端に、交流電源AC1が接続されていない。交流電源接続判定回路100は、交流電源AC1が接続端に接続されていないと判定し、判定結果に応じた信号を出力する。
【0054】
制御回路113は、交流電源接続判定回路100の判定結果に基づいて交流電源AC1が接続端に接続されていないと判断し、接続回路104を制御してトランス112の2次巻線112bを第1電力変換回路105の交流端に接続させる。
【0055】
フィルタ回路110は、バッテリB1から供給される直流に含まれる高周波成分を除去する。第3電力変換回路109は、制御回路113によって制御され、IGBT109a〜109dを所定のタイミングでスイッチングすることで、フィルタ回路110を介してバッテリB1から直流端に供給される直流を交流に変換して交流端から出力する。トランス108は、第3電力変換回路109の交流端から2次巻線108bに供給される交流を、巻数比に応じた所定電圧の交流に変換して1次巻線108aから出力する。第2電力変換回路107は、制御回路113によって制御され、IGBT107a〜107dをオフすることで、ダイオード107e〜107hによって、トランス108の1次巻線108aから交流端に供給される交流を直流に変換して直流端から出力する。
【0056】
第4電力変換回路111は、直流負荷に供給する電力が基準電力以上のとき、制御回路113によって制御され、IGBT111a〜111dを所定のタイミングでスイッチングすることで、フィルタ回路110を介してバッテリB1から直流端に供給される直流を交流に変換して交流端から出力する。具体的には、直流負荷に供給する電流を指示する電流指令が基準電流以上のとき、制御回路113によって制御され、直流端に供給される直流を交流に変換して交流端から出力する。ここで、基準電力は、第3電力変換回路109、トランス108及び第2電力変換回路107を介して直流負荷S1に供給できる最大電力に設定されている。また、基準電流は、直流負荷S1に供給する電圧が所定電圧である場合における、基準電力に対応する電流に設定されている。
【0057】
トランス112は、第4電力変換回路111の交流端から1次巻線112aに供給される交流を、巻数比に応じた所定電圧の交流に変換して2次巻線112bから出力する。第1電力変換回路105は、制御回路113によって制御され、IGBT105a〜105dをオフすることで、ダイオード105e〜105hによって、接続回路104を介してトランス112の2次巻線112bから交流端に供給される交流を直流に変換して直流端から出力する。コンデンサ106は、第2電力変換回路107の直流端から供給される直流、及び、第1電力変換回路105の直流端から供給される直流を平滑化して直流負荷S1に供給する。
【0058】
ところで、トランス108の1次巻線108aに対する2次巻線108bの巻数比と、トランス112の2次巻線112bに対する1次巻線112aの巻数比は異なる値に設定されている。そのため、バッテリB1から直流負荷S1に電力を供給する、第3電力変換回路109、トランス108及び第2電力変換回路107によって構成される電力変換回路と、第4電力変換回路111、トランス112及び第1電力変換回路105によって構成される電力変換回路は、特性が異なる。
【0059】
制御回路113は、バッテリB1から直流負荷S1に電力を供給する際、バッテリB1の状態に応じて、効率が最も高くなるように、第3電力変換回路109、トランス108及び第2電力変換回路107介して供給される電力量と、第4電力変換回路111、トランス112及び第1電力変換回路105介して供給される電力量を調整する。
【0060】
つまり、第3電力変換回路109、トランス108及び第2電力変換回路107を介し、バッテリB1の出力する直流を所定電圧の直流に変換して直流負荷S1に供給する。しかも、直流負荷S1に供給する電力が基準電力以上のとき、さらに、第4電力変換回路111、トランス112及び第1電力変換回路105を介し、バッテリB1の出力する直流を所定電圧の直流に変換して直流負荷S1に供給する。その際、最も効率が高くなるように、第3電力変換回路109、トランス108及び第2電力変換回路107介して供給される電力量と、第4電力変換回路111、トランス112及び第1電力変換回路105を介して供給される電力量を調整する。
【0061】
次に、第1実施形態の効果について説明する。
【0062】
第1実施形態によれば、電力変換装置1は、第4電力変換回路111と、第2トランス112とを備えている。第4電力変換回路111は、直流端がバッテリB1に接続され、直流を交流に変換する。トランス112は、1次巻線112aと2次巻線112bを有し、1次巻線112aが第4電力変換回路111の交流端に、2次巻線112bが第1電力変換回路105の交流端にそれぞれ接続されている。そして、交流電源AC1が接続されていない状態で直流負荷S1に電力を供給する場合、第4電力変換回路111、第2トランス112及び第1電力変換回路105を介してバッテリB1から直流負荷S1に電力を供給する。つまり、交流電源AC1からバッテリB1に電力を供給する際に用いられる第1電力変換回路105を利用してバッテリB1から直流負荷S1に電力を供給する。そのため、従来のように、バッテリB1から直流負荷S1に電力を供給する第3電力変換回路109、第2トランス108及び第2電力変換回路107と同一の回路を、これらの回路に並列に設ける場合に比べ、構成を簡素化することができる。従って、体格の増大を抑え、直流負荷S1に供給できる電力を上げることができる。
【0063】
第1実施形態によれば、交流電源AC1から電力が供給されていない状態でバッテリB1から直流負荷S1に電力を供給する場合、直流負荷S1に供給する電力が基準電力以上のとき、第4電力変換回路111、トランス112及び第1電力変換回路105を介してバッテリB1から直流負荷S1に電力を供給する。そのため、直流負荷S1に供給する電力の大きさに係わらず、第4電力変換回路111、トランス112及び第1電力変換回路105を介してバッテリB1から直流負荷S1に電力を供給する場合に比べ、これらの回路動作に伴う損失を抑えることができる。
【0064】
第1実施形態によれば、電力変換装置1は、交流電源接続判定回路100と、接続回路104とを備えている。交流電源接続判定回路100は、交流電源AC1が接続端に接続されているか否かを判定する。接続回路104は、交流電源接続判定回路100が、交流電源AC1が接続端に接続されていないと判定したとき、トランス112の2次巻線112bを第1電力変換回路105の交流端に接続する。そのため、交流電源AC1が接続されていないとき、第4電力変換回路、第2トランス及び第1電力変換回路を介してバッテリから直流負荷に確実に電力を供給することができる。
【0065】
第1実施形態によれば、トランス108の1次巻線108aに対する2次巻線108bの巻数比と、トランス112の2次巻線112bに対する1次巻線112aの巻数比が異なる値に設定されている。そのため、バッテリB1から直流負荷S1に電力を供給する、第3電力変換回路109、トランス108及び第2電力変換回路107によって構成される電力変換回路と、第4電力変換回路111、トランス112及び第1電力変換回路105によって構成される電力変換回路は特性が異なる。従って、第3電力変換回路109、トランス108及び第2電力変換回路107を介してバッテリB1から直流負荷S1供給される電力量と、第4電力変換回路111、トランス112及び第1電力変換回路105を介してバッテリB1から直流負荷S1供給される電力量を適切に調整することで、効率を向上させることができる。
【0066】
第1実施形態によれば、トランス108、112は、2次巻線108b、112bに対する1次巻線108a、112aの巻数比が0.5〜2の範囲内になるように設定されている。つまり、巻数比が比較的1に近い値となるように設定されている。そのため、巻数比が大きい場合に比べ、トランスの特性のばらつきを抑えることができる。
【0067】
第1実施形態によれば、第2電力変換回路107及び第3電力変換回路109は、ダイオード107e〜107h、109e〜109hが逆並列接続されたIGBT107a〜107d、109a〜109dをブリッジ接続して構成されている。そのため、直流と交流、交流と直流を双方向に確実に変換することができる。
【0068】
第1実施形態によれば、第1電力変換回路105は、交流と直流を双方向に変換する。そのため、第3電力変換回路109、トランス108、第2電力変換回路107及び第1電力変換回路105を介してバッテリB1から交流電源AC1に電力を供給することができる。
【0069】
第1実施形態によれば、第1電力変換回路105は、ダイオード105e〜105hが逆並列接続されたIGBT105a〜105dをブリッジ接続して構成されている。そのため、交流と直流を双方向に確実に変換することができる。
【0070】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態の電力変換装置について説明する。第2実施形態の電力変換装置は、第1実施形態の電力変換装置が、交流電源からバッテリに電力を供給する際、第1電力変換回路、第2電力変換回路、第1トランス及び第3電力変換回路を介して電力を供給するのに対して、それ以外に、第2電力変換回路、第1電力変換回路、第2トランス及び第4電力変換回路を介して電力を供給することができるようにしたものである。
【0071】
まず、図3を参照して第2実施形態の電力変換装置の構成について説明する。
【0072】
図3に示す電力変換装置1は、車両外部に設けられた交流電源AC2の出力する交流を直流に変換して車両に搭載されたバッテリB2に供給し、バッテリB2を充電する装置である。また、バッテリB2の出力する直流を交流に変換して交流電源AC2に供給する装置でもある。さらに、交流電源AC2から電力が供給されていない状態でバッテリB2の出力する直流を所定電圧の直流に変換し、車両に搭載された直流負荷S2に供給する装置でもある。ここで、交流電源AC2、バッテリB2及び直流負荷S2は、第1実施形態の交流電源AC1、バッテリB1及び直流負荷S1と同一のものである。電力変換装置2は、交流電源接続判定回路200と、フィルタ回路201と、リアクトル202、203と、接続回路204と、第1電力変換回路205と、コンデンサ206と、第2電力変換回路207と、トランス208(第1トランス)と、第3電力変換回路209と、フィルタ回路210と、第4電力変換回路211と、トランス212(第2トランス)と、制御回路213とを備えている。
【0073】
交流電源接続判定回路200、フィルタ回路201及びリアクトル202、203は、第1実施形態の交流電源接続判定回路100、フィルタ回路101及びリアクトル102、103と同一のものであり、同一構成である。
【0074】
接続回路204は、交流電源接続判定回路200の判定結果に基づいて制御回路213によって制御され、リアクトル202、203又はトランス212を第1電力変換回路205に接続するとともに、リアクトル202、203又はトランス208を第2電力変換回路207に接続する回路である。接続回路204は、スイッチ204a〜204dを備えている。スイッチ204a、204bは、第1実施形態のスイッチ104a、104bと同一のものであり、同一構成である。スイッチ204cの共通端は第2電力変換回路207に、一方の接続端はリアクトル202の他端に、他方の接続端はトランス208にそれぞれ接続されている。スイッチ204dの共通端は第2電力変換回路207に、一方の接続端はリアクトル203の他端に、他方の接続端はトランス208にそれぞれ接続されている。
【0075】
第1電力変換回路205は、第1実施形態の第1電力変換回路105と同一のものである。第1電力変換回路205は、IGBT205a〜205d(スイッチング素子)と、ダイオード205e〜205hとを備えている。IGBT205a〜205d及びダイオード205e〜205hは、第1実施形態のIGBT105a〜105d及びダイオード105e〜105hと同一構成である。
【0076】
コンデンサ206は、第1実施形態のコンデンサ106と同一のものであり、同一構成である。
【0077】
第2電力変換回路207は、第1実施形態の第2電力変換回路107と同一のものである。第2電力変換回路207は、IGBT207a〜207d(スイッチング素子)と、ダイオード207e〜207hとを備えている。IGBT207a〜207d及びダイオード207e〜207hは、第1実施形態のIGBT107a〜107d及びダイオード107e〜107hと同一構成である。
【0078】
トランス208は、第1実施形態のトランス108と同一のものである。1次巻線208aの一端はスイッチ204cの他方の接続端に、他端はスイッチ204dの他方の接続端にそれぞれ接続されている。2次巻線208bの一端と他端は、第3電力変換回路209に接続されている。
【0079】
第3電力変換回路209は、第1実施形態の第3電力変換回路109と同一のものである。第3電力変換回路209は、IGBT209a〜209d(スイッチング素子)と、ダイオード209e〜209hとを備えている。IGBT209a〜209d及びダイオード209e〜209hは、第1実施形態のIGBT109a〜109d及びダイオード109e〜109hと同一構成である。
【0080】
フィルタ回路210は、第1実施形態のフィルタ回路110と同一のものであり、同一構成である。
【0081】
第4電力変換回路211は、制御回路213によって制御され、直流と交流を双方向に変換する回路である。具体的には、交流端に供給される交流を直流に変換して直流端から出力する回路である。また、逆に、直流端に供給される直流を交流に変換して交流端から出力する回路でもある。第4電力変換回路211は、IGBT211a〜211d(スイッチング素子)と、ダイオード211e〜211hとを備えている。IGBT211a〜211d及びダイオード211e〜211hは、第1実施形態のIGBT111a〜111dと及びダイオード111e〜111hと同一構成である。
【0082】
トランス212は、1次巻線212aと2次巻線212bを有し、1次巻線212aに供給される交流を所定電圧の交流に変換して2次巻線212bから出力する素子である。また、逆に、2次巻線212bに供給される交流を所定電圧の交流に変換して1次巻線212aから出力する素子でもある。トランス212は、第1実施形態のトランス112と同一のものである。1次巻線212a及び2次巻線212bは、第1実施形態の1次巻線112a及び2次巻線112bと同一構成である。
【0083】
制御回路213は、交流電源接続判定回路200の判定結果に基づいて接続回路204を制御するとともに、各部の電圧及び電流に基づいて、第1電力変換回路205、第2電力変換回路207、第3電力変換回路209及び第4電力変換回路211を制御する回路である。制御回路213は、交流電源接続判定回路200の信号出力端に接続されている。また、スイッチ204a〜204dの制御端に接続されている。さらに、IGBT205a〜205d、207a〜207d、209a〜209d、211a〜211dのゲートにそれぞれ接続されている。
【0084】
次に、図3及び図4を参照して第2実施形態の電力変換装置の動作について説明する。
【0085】
まず、交流電源AC2の出力する交流を直流に変換してバッテリB2に供給し、バッテリB2を充電する動作について説明する。
【0086】
図3に示すように、交流電源AC2を接続するための接続端に、交流電源AC2が接続されている。交流電源接続判定回路200は、交流電源AC2が接続端に接続されていると判定し、判定結果に応じた信号を出力するとともに、交流電源AC2から供給される交流をそのまま出力する。
【0087】
ところで、トランス208の2次巻線208bに対する1次巻線208aの巻数比と、トランス212の1次巻線212aに対する2次巻線212bの巻数比は異なる値に設定されている。そのため、交流電源AC2からバッテリB2に電力を供給する、第1電力変換回路、第2電力変換回路、トランス及び第3電力変換回路によって構成される電力変換回路と、第2電力変換回路、第1電力変換回路、トランス及び第4電力変換回路によって構成される電力変換回路は、特性が異なる。
【0088】
制御回路213は、交流電源接続判定回路200の判定結果に基づいて交流電源AC2が接続端に接続されていると判断する。そして、バッテリB2の状態に応じて、効率が最も高くなるように、第1電力変換回路205、第2電力変換回路207、トランス208及び第3電力変換回路209を介して電力を供給するか、第2電力変換回路207、第1電力変換回路205、トランス212及び第4電力変換回路211を介して電力を供給するか判断し、接続回路204を制御する。
【0089】
第1電力変換回路205、第2電力変換回路207、トランス208及び第3電力変換回路209を介して電力を供給すると判断した場合、制御回路213は、接続回路204を制御して、リアクトル202、203の他端を第1電力変換回路205の交流端に接続させるとともに、トランス208の1次巻線208aを第2電力変換回路207の交流端に接続させる。そして、第1電力変換回路205、第2電力変換回路207及び第3電力変換回路209を制御する。これにより、第1電力変換回路205、第2電力変換回路207、トランス208及び第3電力変換回路209を介して交流電源AC2からバッテリB2に電力が供給される。
【0090】
一方、第2電力変換回路207、第1電力変換回路205、トランス212及び第4電力変換回路211を介して電力を供給すると判断した場合、図4に示すように、制御回路213は、接続回路204を制御して、リアクトル202、203の他端を第2電力変換回路207の交流端に接続させるとともに、トランス212の2次巻線212bを第1電力変換回路205の交流端に接続させる。そして、第1電力変換回路205、第2電力変換回路207及び第4電力変換回路211を制御する。これにより、第2電力変換回路207、第1電力変換回路205、トランス212及び第4電力変換回路211を介して交流電源AC2からバッテリB2に電力が供給される。
【0091】
バッテリB2の出力する直流を交流に変換して交流電源AC2に供給する動作については、接続回路204によって、第2電力変換回路207の交流端がトランス208の1次巻線208aに接続されることを除いて第1実施形態と同様であるため説明を省略する。また、交流電源AC2から電力が供給されていない状態で、バッテリB2の出力する直流を所定電圧の直流に変換して直流負荷S2に供給する動作についても、接続回路204によって、第2電力変換回路207の交流端がトランス208の1次巻線208aに接続されることを除いて第1実施形態と同様であるため説明を省略する。
【0092】
次に、第2実施形態の電力変換装置の効果について説明する。
【0093】
第2実施形態によれば、接続回路204は、交流電源接続判定回路200が、交流電源AC2が接続されていないと判定したとき、トランス212の2次巻線212bを第1電力変換回路205の交流端に接続するとともに、トランス208の1次巻線208aを第2電力変換回路207の交流端に接続する。そのため、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0094】
第2実施形態によれば、接続回路204は、交流電源接続判定回路200が、交流電源AC2が接続されていると判定したとき、交流電源AC2を第1電力変換回路205の交流端又は第2電力変換回路207の交流端に接続する。第4電力変換回路211は、第1実施形態の第4電力変換回路111と異なり、直流と交流を双方に変換することができる。そのため、交流電源AC2からバッテリB2に電力を供給する場合、第1電力変換回路205、第2電力変換回路207、トランス208及び第3電力変換回路209を介して電力を供給するか、第2電力変換回路207、第1電力変換回路205、トランス212及び第4電力変換回路211を介して電力を供給するか選択することができる。
【0095】
第2実施形態によれば、トランス208の2次巻線208bに対する1次巻線208aの巻数比と、トランス212の1次巻線212aに対する2次巻線212bの巻数比は異なる値に設定されている。そのため、交流電源AC2からバッテリB2に電力を供給する、第1電力変換回路205、第2電力変換回路207、トランス208及び第3電力変換回路209によって構成される電力変換回路と、第2電力変換回路207、第1電力変換回路205、トランス212及び第4電力変換回路211によって構成される電力変換回路は、特性が異なる。従って、交流電源AC2からバッテリB2に電力を供給する際、バッテリB2の状態に応じて効率のよい回路を選択して電力を供給することができる。
【0096】
第2実施形態によれば、第4電力変換回路211は、ダイオード211e〜211hが逆並列接続されたIGBT211a〜211dをブリッジ接続して構成されている。そのため、交流と直流を双方向に確実に変換することができる。
【符号の説明】
【0097】
1・・・電力変換装置、100・・・交流電源接続判定回路、101・・・フィルタ回路、102、103・・・リアクトル、104・・・接続回路、105・・・第1電力変換回路、106・・・コンデンサ、107・・・第2電力変換回路、108・・・トランス(第1トランス)、109・・・第3電力変換回路、110・・・フィルタ回路、111・・・第4電力変換回路、112・・・トランス(第2トランス)、113・・・制御回路
図1
図2
図3
図4