特許第6184211号(P6184211)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6184211
(24)【登録日】2017年8月4日
(45)【発行日】2017年8月23日
(54)【発明の名称】ケーブル導出構造
(51)【国際特許分類】
   H01B 17/58 20060101AFI20170814BHJP
   H02G 15/02 20060101ALI20170814BHJP
【FI】
   H01B17/58 A
   H02G15/02
【請求項の数】3
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2013-146263(P2013-146263)
(22)【出願日】2013年7月12日
(65)【公開番号】特開2015-18739(P2015-18739A)
(43)【公開日】2015年1月29日
【審査請求日】2016年6月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】000105659
【氏名又は名称】日本電産コパル電子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100080838
【弁理士】
【氏名又は名称】三浦 光康
(72)【発明者】
【氏名】野口 昇司
(72)【発明者】
【氏名】落合 康成
【審査官】 牟田 博一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2000−228588(JP,A)
【文献】 実開昭56−155484(JP,U)
【文献】 実開平05−072019(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01B 17/58
H02G 3/18、15/02
H05K 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケーブルの端部寄りの部位に一体形成されたケーブルブッシュと、このケーブルブッシュに一体形成されたフランジ状に外方へ突出するシール片と、前記ケーブルの端部が接続された基板の外周部を覆う保護筒と、該保護筒が収納され、前記シール片の一端外周部が面接触する先端部にシール面が形成されたケーブル導出部を備えるケース体と、このケース体のケーブル導出部の外周部と固定される、前記シール片の他側外周部が面接触してシール片を圧着できるクランプ体からなることを特徴とするケーブル導出構造。
【請求項2】
ケース体のケーブル導出部の内壁面と所定の圧力で密着するように少なくとも1個以上のシールフランジをケーブルブッシュに形成したことを特徴とする請求項1記載のケーブル導出構造。
【請求項3】
ケースに外力が加わった場合に該ケーブルがケース体から引き出されるのを防止する抜け止め防止フランジをケーブルブッシュに形成したことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のケーブル導出構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電子機器等からケーブルを引き出すケーブル導出部に用いられるケーブル導出構造、特に防水性に優れたケーブル導出構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電子機器等からケーブルを引き出すケーブル導出部には、ケーブルと一体に形成したケーブルブッシュが用いられている。
しかし、ケース体を構成する材料とケーブルブッシュの材料とが異なることから、両者の密着性が悪く、ケース体のケーブル導出部とケーブルブッシュとの間の防水、防塵効果が十分でない。
【0003】
このため、ケース体のケーブル導出部とケーブルブッシュとの密封性を高めるために、ケーブル導出構造が複雑でコスト高になり、かつ密封構造部分によって、小型化することが難しいという欠点があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第5035033号公報
【特許文献2】特開2000−228588号公報
【特許文献3】特開2004−159459号公報
【特許文献4】特許第4852978号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は以上のような従来の欠点に鑑み、構造が簡単で、容易に取付け作業ができ、かつ基板とケーブルとの接続部分に悪影響をおよぼすことなく防水性・防塵性を高めることができるケーブル導出構造を提供することを目的としている。
【0006】
本発明の前記ならびにそのほかの目的と新規な特徴は次の説明を添付図面と照らし合わせて読むと、より完全に明らかになるであろう。
ただし、図面はもっぱら解説のためのものであって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明はケーブルの端部寄りの部位に一体形成されたケーブルブッシュと、このケーブルブッシュに一体形成されたフランジ状に外方へ突出するシール片と、前記ケーブルの端部が接続された基板の外周部を覆う保護筒と、該保護筒が収納され、前記シール片の一端外周部が面接触する先端部にシール面が形成されたケーブル導出部を備えるケース体と、このケース体のケーブル導出部の外周部と固定される、前記シール片の他側外周部が面接触してシール片を圧着できるクランプ体とでケーブル導出構造を構成している。
【発明の効果】
【0008】
以上の説明から明らかなように、本発明にあっては次に列挙する効果が得られる。
(1)請求項1により、ケーブルブッシュに一体形成されたフランジ状に外方へ突出するシール片をケース体の先端部とクランプ体で圧着してシールしているので、ケース体にケーブルブッシュを確実にシールした状態で取付けることができる。
したがって、構造が簡単で、容易に防水できるように取付けることができる。
(2)前記(1)によって、ケーブルブッシュに一体形成されたフランジ状に外方へ突出するシール片を、ケース体のケーブル導出部のシール面とクランプ体で圧着してシールするので、そのシール部に大きなスペースが必要なく、小型化を図ることができる。
(3)前記(1)によって、ケーブルブッシュに一体形成したシール片をクランプ体で圧着するだけでシールできるので、ケーブルに接続された基板部分に、取付け時に不必要な荷重が加わるのを防止することができる。
したがって、シールによって他の部分に悪影響を与えるのを確実に防止することができる。
(4)前記(1)により、ケース体のケーブル導出部の先端部よりケーブルブッシュのシール片を突出させ、ケース体のケーブル導出部の先端部にクランプ体を螺合させて締付け、あるいは押し込むだけで取付けることができるので、楽に取付け作業を行なうことができる。
(5)請求項2も前記(1)〜(4)と同様な効果が得られるとともに、シールフランジによって、さらに確実にシールすることができ、かつケース体のケーブル導出部にケーブルブッシュの取付け位置を確実に配置することができる。
(6)請求項3も前記(1)〜(4)と同様な効果が得られるとともに、抜け止め防止フランジによって、ケーブルに外力が加わった場合であっても、該ケーブルがケース体から引き出されるのを防止することができ、ケーブルの端部に接続された基板等の損傷を確実に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明を実施するための第1の形態の一部断面図。
図2】本発明を実施するための第1の形態の分解一部断面図。
図3】本発明を実施するための第1の形態のケーブルブッシュ部分の正面図。
図4図3の4−4線に沿う断面図。
図5】本発明を実施するための第1の形態のケース体にケーブルブッシュを取付けた状態の説明図。
図6】本発明を実施するための第1の形態のケース体にクランプ体を取付けた状態の説明図。
図7】本発明を実施するための第2の形態の一部断面図。
図8】本発明を実施するための第2の形態の分解一部断面図。
図9】本発明を実施するための第2の形態のケーブルブッシュ部分の説明図。
図10】本発明を実施するための第3の形態の一部断面図。
図11】本発明を実施するための第3の形態の分解一部断面図。
図12】本発明を実施するための第3の形態のケーブルブッシュ部分の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面に示す本発明を実施するための形態により、本発明を詳細に説明する。
【0011】
図1ないし図6に示す本発明を実施するための第1の形態において、1は電子機器に接続される本発明のケーブル導出構造で、このケーブル導出構造1はケーブル2と、このケーブル2の後端部寄りの部位に一体形成されたケーブルブッシュ3と、このケーブルブッシュ3の先端部寄りの部位に一体形成されたフランジ状に外方へ突出するシール片4と、前記ケーブル2の端部が接続された基板5と、この基板5に接続されたケース体係合凹部6を有する電子機器への接続部7と、この接続部7の先端側と前記基板5の外周部を覆う保護筒8と、この保護筒8の先端部と嵌合させた樹脂や金属からなるキャップ9と、このキャップ9の先端部に密着させることができるリング状のシリコンパッキンやOリング等のパッキン10と、前記シール片4の一端外周部がケーブル導出部11の先端部と面接触するシール面12が形成され、かつ前記保護筒8、キャップ9およびパッキン10が内部に収納され、該パッキン10が面接触する接触面13を有し、後端部に前記ケース体係合凹部6と係合する係合片14を有するケース体15と、このケース体15のケーブル導出部11のシール面12に支持されたシール片4を圧着できるように、該ケーブル導出部11の外周部のねじ部16と螺合されるねじ部17が形成され、かつ前記シール片4の他側外周部を圧着することができるクランプ体18としてのクランプナットで構成されている。
【0012】
前記ケーブルブッシュ3には、該ケーブルブッシュ3の先端部に一体形成された、前記クランプ体18の支持凹部19に支持される抜け止め防止フランジ20と、前記シール片4の後方部位に一体形成された外方へ突出し、前記ケース体15のケーブル導出部11の内壁面11aに所定の圧力で密着する2個のシールフランジ21、21とが形成されている。
【0013】
上記構成のケーブル導出構造1は接続部7に、図2に示すようにケーブル2の端部が接続された基板5、保護筒8、キャップ9および該キャップ9にパッキン10を位置させ、ケーブル2をケース体15およびクランプ体18を通過させ、ケース体15の係合片14を接続部7のケース体係合凹部6と係合させると、図5に示すようにケーブルブッシュ3のシール片4がケース体15のケーブル導出部11を通過して支持凹部であるシール面12に位置した状態となる。
【0014】
この状態で、パッキン10はケース体15の接触面13に接触した状態を保つとともに、2個のシールフランジ21、21はケース体15のケーブル導出部11の内壁面11aに所定の圧力で密着している。
【0015】
この状態から、クランプ体18のねじ部17をケース体15のケーブル導出部グランド11のねじ部16に螺合させ、図6に示すように締付けることにより、ケーブルブッシュ3の抜け止め防止フランジ20がクランプ体18の支持凹部19に侵入するとともに、シール片4の他側外周部が内壁面と面接触して圧着して固定され、ケース体15内を確実に防水処理することができる。
【0016】
さらに、抜け止め防止フランジ20によって、ケーブル2に外力が加わった場合であっても、該ケーブル2がケース体15から引き出されるのを防止することができ、ケーブル2の端部に接続された基板5等の損傷を確実に防止することができる。
【0017】
また、シール片4の他側外周部とクランプ体18の内壁面との間に位置するように、クランプ体18の内部にワッシャー(図示せず)を挿入することにより、クランプ体18を締付けたときにケーブル2やシール片4が捩れるのを抑制することができる。
【0018】
なお、ケーブル導出部11の外周部のねじ部16と螺合されるねじ部17が形成されたクランプ体18としてのクランプナットを用いるものについて説明したが、例えば、ケーブル導出部11の外周部にねじ部16を形成せずに、代わりにその根元部分に凹部を形成し、一方のクランプ体の内周部にもねじ部17を形成せずに前記ケーブル導出部に形成された凹部と係合する凸部を該クランプ体の内周部先端部に設けることにより、クランプ体を押し込んでケーブル導出部の凹部とクランプ体の凸部が係合することにより、シール片4の他側外周部がクランプ体の内壁面と面接触して圧着して固定できるように構成しても良い。
【0019】
[発明を実施するための異なる形態]
次に、図7ないし図12に示す本発明を実施するための異なる形態につき説明する。なお、これらの本発明を実施するための異なる形態の説明に当って、前記本発明を実施するための第1の形態と同一構成部分には同一符号を付して重複する説明を省略する。
【0020】
図7ないし図9に示す本発明を実施するための第2の形態において、前記本発明を実施するための第1の形態と主に異なる点は、ケース体15のケーブル導出部11の内壁面11aに所定の圧力で密着する1個のシールフランジ21を形成したケーブルブッシュ3Aを用いた点で、このようなケーブルブッシュ3Aを用いて構成したケーブル導出構造1Aにしても、前記本発明を実施するための第1の形態と同様な作用効果が得られる。
【0021】
図10ないし図12に示す本発明を実施するための第3の形態において、前記本発明を実施するための第1の形態と主に異なる点は、ケース体15のケーブル導出部11の内壁面11aと隙間が生じないように挿入されるケーブル位置決め用突片22をケーブルブッシュ3Bに形成した点で、このようなケーブルブッシュ3Bを用いて構成したケーブル導出構造1Bにしても、前記本発明を実施するための第1の形態と同様な作用効果が得られる。
【産業上の利用可能性】
【0022】
本発明は電子機器等からケーブルを引き出すケーブル導出構造を製造する産業で利用される。
【符号の説明】
【0023】
1、1A、1B:ケーブル導出構造、
2、2:ケーブル、
3、3A、3B:ケーブルブッシュ、
4:シール片、 5:基板、
6:ケース体係合凹部、 7:接続部、
8:保護筒、 9:キャップ、
10:パッキン、 11:ケーブル導出部、
12:シール面、 13:接触面、
14:係合片、 15:ケース体、
16:ねじ部、 17:ねじ部、
18:クランプ体、 19:支持凹部、
20:抜け止め防止フランジ、 21:シールフランジ、
22:位置決め用突片。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
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