(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に図面を用いて本発明に係る実施の形態につき、詳細に説明する。また、以下では、全ての図面において対応する要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0013】
図1は、エレベータ8の乗場に設置される本発明に係る第一実施形態のエレベータドア装置10を示す図である。エレベータ8の乗場には、片開き式のドア12が設置されている。ドア12は、戸当たり相手である戸当たり柱13と接触したときに全閉状態となる。
【0014】
図2(a)は、ドア12及び戸当たり柱13の下端部の拡大図である。
図2(b)は、戸当たり柱13からドア12を見た様子を示す図である。
図2(c)は、ドア12から戸当たり柱13を見た様子を示す図である。
【0015】
ドア12の戸当たり面の下端部には異物センサ14が取り付けられている。異物センサ14は、ドア12の全閉時にドア12と戸当たり柱13との間に挟まれた紐状の異物23を検出するために紐挟み込み時の圧力上昇を検出する圧力センサから形成することが好ましい。また、異物センサ14としては、ドア12と戸当たり柱13との隙間が紐挟み込み時に増加することを検出する隙間幅検出スイッチとすることも可能である。
【0016】
ドア12の底面には、ドア12の開閉時に敷居16の敷居溝18に案内されるドアシュー20が取り付けられている。ドア12の底面と敷居16との間には
図2(a)に示されるように若干の隙間が形成されている。
【0017】
ドア12の戸当たり面側の下端部には、押し上げ部材22が取り付けられている。押し上げ部材22は、
図2(a)に示されるように三角形状を有する。押し上げ部材22は、
図2(b)に示されるように敷居溝18よりも小さい幅を有する。押し上げ部材22は、ドア12の戸当たり面から戸当たり柱13に向かって突出し、上面に敷居溝18から異物センサ14の検知領域に向かう傾斜面24を有する。押し上げ部材22は、ドア12の戸閉とともに、敷居16上に存在する紐状の異物23を異物センサ14の検知領域内の高さ位置まで持ち上げる持ち上げ手段として機能する。
【0018】
戸当たり柱13の下端部には、ドア12の全閉時に押し上げ部材22を収納するための空間領域である収納部26が形成されている。収納部26は、
図2(b)及び
図2(c)に示されるように、押し上げ部材22の幅及び高さよりも大きい幅及び高さを有している。
【0019】
続いて、上記構成のエレベータドア装置10の作用について説明する。犬の引き紐等の紐状の異物23が敷居16上に横たわったままドア12が戸閉する場合について説明する。ドア12の戸閉中に、紐状の異物23が押し上げ部材22の傾斜面24に接触する。その後、押し上げ部材22によって紐状の異物23が戸当たり柱13まで押し運ばれる。押し上げ部材22が収納部26に収納され始めると、紐状の異物23は戸当たり柱13の戸当たり面によって傾斜面24に沿って押し上げられる。押し上げ部材22が収納部26に完全に収納されたときには、紐状の異物23は異物センサ14の検知領域内まで持ち上げられる。これにより、ドア12の全閉時に異物センサ14によって紐状の異物23を検出することができる。
【0020】
次に、本発明に係る第二実施形態のエレベータドア装置10aについて説明する。エレベータドア装置10aは、両開き式のドア12,12aを備えたエレベータに取り付けられる。なお、両開き式のドア12,12aでは、ドア12の戸当たり相手はドア12aとなり、逆にドア12aの戸当たり相手はドア12となる。
【0021】
図3(a)は、エレベータドア装置10aが取り付けられた両開き式のドア12,12aの下端部の拡大図である。
図3(b)は、ドア12aからドア12を見た様子を示す図である。
図3(c)は、ドア12からドア12aを見た様子を示す図である。なお、ドア12の戸当たり面の下端部には異物センサ14が取り付けられているが、エレベータドア装置10の異物センサと同様の構成であるため、詳細な説明は省略する。
【0022】
ドア12の戸当たり面側の下端部には、押し上げ部材22が取り付けられている。押し上げ部材22は、
図3(a)に示されるように三角形状を有する。押し上げ部材22は、
図3(b)に示されるように敷居溝18の半分以下の幅を有し、敷居溝18の一方側に寄せて配置されている。
【0023】
押し上げ部材22は、ドア12の戸当たり面からドア12aに向かって突出し、上面に敷居溝18から異物センサ14の検知領域に向かう傾斜面24を有する。押し上げ部材22は、ドア12の戸閉とともに、敷居16上に存在する紐状の異物23を異物センサ14の検知領域内の高さ位置まで持ち上げる持ち上げ手段として機能する。
【0024】
ドア12の戸当たり相手であるドア12aの下端部にも、押し上げ部材22と同様の構成を有する押し上げ部材22aが取り付けられている。押し上げ部材22aは、
図3(c)に示されるように、ドア12,12aの戸閉時に押し上げ部材22と衝突しないように敷居溝18の他方側に寄せて配置されている。
【0025】
ドア12,12aの戸当たり面の下端部には、ドア12,12aの全閉時に戸当たり相手側の押し上げ部材22,22aをそれぞれ収納するための空間領域である収納部25,25aが形成されている。収納部25,25aは、
図3(b)及び
図3(c)に示されるように、押し上げ部材22,22aよりも大きい幅を有している。
【0026】
続いて、上記構成のエレベータドア装置10aの作用について説明する。犬の引き紐等の紐状の異物23が敷居16上に横たわったままドア12,12aが戸閉する場合について説明する。ドア12,12aの戸閉中に、紐状の異物23が押し上げ部材22,22aのいずれかの傾斜面24,24aに接触して押し運ばれた後、紐状の異物23は傾斜面24,24aに挟み込まれた状態となる。その後、ドア12,12aが全閉状態に近づくにつれて、紐状の異物23は傾斜面24,24aによって押し上げられる。押し上げ部材22,22aが収納部25,25aに完全に収納されたときには、紐状の異物23は異物センサ14の検知領域内まで持ち上げられる。これにより、ドア12,12aの全閉時に異物センサ14によって紐状の異物23を検出することができる。
【0027】
次に、本発明に係る第三実施形態であるエレベータドア装置11について説明する。
図4(a)は、エレベータドア装置11が取り付けられたドア12及び戸当たり柱13の下端部の拡大図である。
図4(b)は、戸当たり柱13からドア12を見た様子を示す図である。
【0028】
回動アーム30は、ドア12の戸当たり面側の下端部にドア12の進行面に沿って、回動軸31を軸として回動可能に取り付けられる。回動アーム30は、
図4(b)に示されるように敷居溝18よりも小さい幅を有する棒状の部材である。回動アーム30は、ドア12の戸閉とともに、敷居16上に存在する紐状の異物23を異物センサ14の検知領域内の高さ位置まで持ち上げる持ち上げ手段として機能する。回動アーム30は、ドア12の戸開時には、
図4(a)に示されるように、先端部32が敷居溝18内に位置する。
【0029】
ドア12には、回動アーム30の回動軸31を回動させる電動モータ33が取り付けられている。電動モータ33は、ドア12の戸閉状態を監視する監視センサ(不図示)からの情報に基づいて、ドア12の全閉直前に回動軸31を回動させて回動アーム30の先端部32を異物センサ14の検知領域内まで上昇させる。
【0030】
ドア12の戸当たり面の下端部には、ドア12の全閉時に回動アーム30を収納するための空間領域である収納部34が形成されている。収納部34は、
図4(b)に示されるように回動アーム30よりも大きい幅と高さを有している。
【0031】
続いて、上記構成のエレベータドア装置11の作用について説明する。犬の引き紐等の紐状の異物23が敷居16上に横たわったままドア12が戸閉する場合について説明する。ドア12の戸閉中に、回動アーム30に紐状の異物23が引っ掛けられて、そのまま戸当たり柱13側に押し運ばれる。そして、ドア12が戸当たり柱13に近づいて全閉直前になると、電動モータ33が回動軸31を回動させて回動アーム30の先端部32が上昇する。これにより、回動アーム30に引っ掛けられた紐状の異物23が異物センサ14の検知領域内の高さ位置まで持ち上げられて、回動アーム30は収納部34内に収納される。したがって、ドア12の全閉時に異物センサ14によって紐状の異物23を検出することができる。
【0032】
なお、上記では、回動アーム30は、電動モータ33を用いて上昇させるものとして説明したが、その他の駆動機構を用いて上昇させてもよい。例えば、回動アーム30を上昇させるように上下移動可能に取り付けられたカムフォロアと、ドア12の戸閉位置近傍に設けられてカムフォロアに接触するカムとを用いて回動アーム30を上昇させることもできる。