特許第6184275号(P6184275)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6184275
(24)【登録日】2017年8月4日
(45)【発行日】2017年8月23日
(54)【発明の名称】車両用シート
(51)【国際特許分類】
   B60N 2/06 20060101AFI20170814BHJP
   B60N 2/20 20060101ALI20170814BHJP
   B60N 2/16 20060101ALI20170814BHJP
   B60N 2/68 20060101ALI20170814BHJP
   B60N 2/22 20060101ALI20170814BHJP
【FI】
   B60N2/06
   B60N2/20
   B60N2/16
   B60N2/68
   B60N2/22
【請求項の数】3
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2013-200367(P2013-200367)
(22)【出願日】2013年9月26日
(65)【公開番号】特開2015-66991(P2015-66991A)
(43)【公開日】2015年4月13日
【審査請求日】2016年4月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004640
【氏名又は名称】日本発條株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000002082
【氏名又は名称】スズキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079049
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 淳
(74)【代理人】
【識別番号】100084995
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 和詳
(74)【代理人】
【識別番号】100099025
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 浩志
(72)【発明者】
【氏名】岡田 康則
(72)【発明者】
【氏名】小野寺 健志
(72)【発明者】
【氏名】櫻井 昭弘
(72)【発明者】
【氏名】羽場 慎
(72)【発明者】
【氏名】久保田 淳
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 覚
【審査官】 小島 哲次
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−030632(JP,A)
【文献】 特開2012−254777(JP,A)
【文献】 特開2002−234367(JP,A)
【文献】 特開平07−047021(JP,A)
【文献】 特開2010−274691(JP,A)
【文献】 特開2012−066800(JP,A)
【文献】 実開昭55−022234(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60N 2/00−2/72
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートバックの骨格を構成するシートバックフレームと、
シートクッションの骨格を構成し、後端部に前記シートバックフレームが傾倒可能に連結されるシートクッションフレームと、
前記シートクッションフレームの下部に連結され、シート前後方向に延び、シートセンターに対して左右対称に配置された一対の移動レールと、
車体フロアに固定され、シート前後方向に延び、シートセンターに対して左右対称に配置され、前記移動レールをスライド移動可能に支持する支持レールと、
を備え、
前記シートクッションフレームは、高さ調整機構を介して前記移動レールに連結され、
前記高さ調整機構は、前記シートクッションフレームの前端部及び前記移動レールの前端部を連結する前側リンク部材と、前記シートクッションフレームの後端部及び前記移動レールの後端部を連結する後側リンク部材と、を備え、
前記シートバックフレームと前記シートクッションフレームの連結部及び前記支持レールをシート前後方向に投影したときに、当該連結部が前記支持レールの直上に配置され、且つ、記前側リンク部材及び前記後側リンク部材と前記シートクッションフレーム及び前記移動レールとのそれぞれの連結部、及び、前記支持レールをシート前後方向に投影したときに、当該連結部が前記支持レールの直上に配置される車両用シート。
【請求項2】
前記支持レールは、レールセンター上に配置された固定部材によって前記車体フロアに固定されている請求項1に記載の車両用シート。
【請求項3】
前記シートバックフレーム及び前記シートクッションフレームの各々がシートセンターに対して左右対称とされた請求項1又は請求項2に記載の車両用シート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用シートに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1では、シートクッションの骨格を構成するシートクッションフレームの下部に一対のアッパレールを連結し、これらのアッパレールをスライド移動可能に支持するロアレールを車体フロアに固定している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011−194913号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、車両用シートでは、着座乗員からのシートバックフレームへの入力がシートクッション、アッパレール及びロアレールを介して車体フロアに伝達される。
ここで、特許文献1のように、アッパレール及びロアレールがシートセンターに対して片寄って配置された場合には、着座乗員からのシートバックフレームへの入力が車体フロアに伝達されるまでの間に、入力の一部が例えばシート幅方向に逃げる傾向がある。特に、入力が大きい場合には、入力の一部が逃げる部分において応力が集中し変形などを生じる虞があるため、対象となる部位または部材の板厚を厚くして十分な剛性を確保する必要があり、シート重量を軽減させることが困難であった。
【0005】
本発明は、上記事実を考慮して、着座乗員からのシートバックフレームへの入力を車体フロアへ効率よく伝えられる車両用シートを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の車両用シートは、シートバックの骨格を構成するシートバックフレームと、シートクッションの骨格を構成し、後端部に前記シートバックフレームが傾倒可能に連結されるシートクッションフレームと、前記シートクッションフレームの下部に連結され、シート前後方向に延び、シートセンターに対して左右対称に配置された一対の移動レールと、車体フロアに固定され、シート前後方向に延び、シートセンターに対して左右対称に配置され、前記移動レールをスライド移動可能に支持する支持レールと、を備え、前記シートクッションフレームは、高さ調整機構を介して前記移動レールに連結され、前記高さ調整機構は、前記シートクッションフレームの前端部及び前記移動レールの前端部を連結する前側リンク部材と、前記シートクッションフレームの後端部及び前記移動レールの後端部を連結する後側リンク部材と、を備え、前記シートバックフレームと前記シートクッションフレームの連結部及び前記支持レールをシート前後方向に投影したときに、当該連結部が前記支持レールの直上に配置され、且つ、記前側リンク部材及び前記後側リンク部材と前記シートクッションフレーム及び前記移動レールとのそれぞれの連結部、及び、前記支持レールをシート前後方向に投影したときに、当該連結部が前記支持レールの直上に配置されている。
【0007】
請求項1に記載の車両用シートでは、一対の移動レール及び一対の支持レールをシートセンターに対して左右対称にそれぞれ配置し、且つ、シートバックフレームとシートクッションフレームの連結部及び支持レールをシート前後方向に投影したときに、この連結部を支持レールの直上に配置していることから、例えば、上記連結部を支持レールの直上に配置しない構成と比べて、着座乗員からのシートバックフレームへの入力をシートバックフレームから支持レールまでの間において、例えばシート幅方向へ逃がすことなく、車体フロアへ伝達することができる。すなわち、着座乗員からのシートバックフレームへの入力を、シートバックフレームからシートクッションフレーム、移動レール及び支持レールを介して車体フロアへ効率よく伝達することができる。
なお、ここでいう「連結部及び支持レールをシート前後方向に投影」とは、連結部及び支持レールをシート前後方向と直交する平面に投影することを指している。また、「連結部が支持レールの直上に配置」とは、連結部の少なくとも一部が支持レールの上方域に配置されることを含んでいる。
【0009】
また、請求項に記載の車両用シートでは、高さ調整機構を操作することで、移動レールに対するシートクッションフレームの高さを調整することができる。
また、前側リンク部材及び後側リンク部材とシートクッションフレーム及び移動レールとのそれぞれの連結部、及び、支持レールをシート前後方向に投影したときに、これらの連結部を支持レールの直上に配置していることから、着座乗員からのシートバックフレームへの入力をシートクッションフレームから支持レールまでの間において、例えばシート幅方向へ逃がすことなく、車体フロアへ効率よく伝達することができる。
【0010】
請求項に記載の車両用シートは、請求項1に記載の車両用シートにおいて、前記支持レールは、レールセンター上に配置された固定部材によって前記車体フロアに固定されている。
【0011】
請求項に記載の車両用シートでは、レールセンター上に配置した固定部材で支持レールを車体フロアに固定していることから、着座乗員からのシートバックフレームへの入力を支持レールから車体フロアへ効率よく伝達することができる。
【0012】
請求項に記載の車両用シートは、請求項1又は請求項2に記載の車両用シートにおいて、前記シートバックフレーム及び前記シートクッションフレームの各々がシートセンターに対して左右対称とされた。
【0013】
請求項に記載の車両用シートでは、シートバックフレーム及びシートクッションフレームの各々をシートセンターに対して左右対称としていることから、例えば、シートバックフレーム及びシートクッションフレームの各々がシートセンターに対して左右非対称とされた構成と比べて、着座乗員からのシートバックフレームへの入力を車体フロアへ効率よく伝達することができる。
さらに、上記車両用シートでは、車両右側に配置される場合と車両左側に配置される場合において、少なくともシートバックフレーム、シートクッションフレーム、移動レール及び支持レールを共通部材化できる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、着座乗員からのシートバックフレームへの入力を車体フロアへ効率よく伝達する車両用シートを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】第1実施形態の車両用シートのシートフレームをシート左斜め前方から見た斜視図である。
図2図1に示されるシートフレーム下部をシート幅方向外側から見た側面図である。
図3図2の矢印3X−3X線断面図である。
図4図2の矢印4X−4X線断面図である。
図5】第2実施形態の車両用シートのシートフレーム下部をシート幅方向外側から見た側面図である。
図6図5の矢印6X−6X線断面図である。
図7図5の矢印7X−7X線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
次に、図面を参照して本発明の第1実施形態に係る車両用シート10について説明する。各図中に適宜示される矢印FRは車両前方を示し、矢印UPは車両上方を示し、矢印OUTは車両幅方向外方を示している。また、本実施形態では、車両用シート10の前方向、上方向および幅方向は、車両の前方向、上方向および幅方向と一致している。
【0017】
図1に示されるように、本実施形態に係る車両用シート10は、シートバック12の骨格を構成するシートバックフレーム14と、シートクッション20の骨格を構成し、後端部24Bにシートバックフレーム14が傾倒可能に連結されるシートクッションフレーム22と、を備えている。これらのシートバックフレーム14及びシートクッションフレーム22には、それぞれ図示しないシートパッドが取り付けられると共に各シートパッドの表面が図示しないシート表皮によって覆われている。
【0018】
シートバックフレーム14は、シート幅方向の両サイド部をそれぞれ構成する一対のバックサイドフレーム16と、シート上下方向の上部を構成するアッパパイプ18と、両バックサイドフレーム16のシート下側でかつ背面(後面)に架け渡された背面プレート19と、を備えている。
【0019】
バックサイドフレーム16は、シート上下方向に延びている。また、バックサイドフレーム16は、鋼板で製作され、シート幅方向を板厚方向とし、前側端部及び後側端部をそれぞれシート幅方向中央(後述のシートセンタと同義)に向かって折り曲げた形状(断面略コ字形状)とされている。
【0020】
アッパパイプ18は、シート幅方向に延びると共に両端部がシート下方へ折り曲げられて両バックサイドフレーム16の上端部16Aにそれぞれ固定されている。このアッパパイプ18は、金属製とされ、中間部に図示しないヘッドレストの取付部が設けられている。
【0021】
背面プレート19は、鋼板で製作され、シート幅方向に延びて両端部が両バックサイドフレーム16のシート下側でかつ後側端部の背面(後面)にそれぞれ固定されている。
【0022】
また、本実施形態のシートバックフレーム14は、シートセンターCLに対して左右対称とされている。ここでいう「シートセンターCL」とは、車両用シート10のシート幅方向の中央を通る中央線を指している。なお、本発明は上記構成に限定されず、シートバックフレーム14は、シートセンターCLに対して左右非対称とされてもよい。
【0023】
シートクッションフレーム22は、シート幅方向の両サイド部をそれぞれ構成する一対のクッションサイドフレーム24と、シートクッションフレーム22の前部を構成するフロントフレーム26と、を備えている。
【0024】
クッションサイドフレーム24は、シート前後方向に延びている。また、クッションサイドフレーム24は、鋼板で製作され、シート幅方向を板厚方向とし、上側端部及び下側端部をそれぞれシート幅方向中央に向かって折り曲げた形状(断面略コ字形状)とされている。
【0025】
フロントフレーム26は、シート幅方向に延びて両端部が両クッションサイドフレーム24の前端部24Aにそれぞれ固定されている。また、フロントフレーム26は、鋼板で製作され、シート上下方向を板厚方向とし、前側端部及び後側端部をそれぞれシート下方に向かって折り曲げた形状(断面略コの字形状)とされている。
【0026】
また、本実施形態のシートクッションフレーム22は、シートセンターCLに対して左右対称とされている。なお、本発明は上記構成に限定されず、シートクッションフレーム22は、シートセンターCLに対して左右非対称とされてもよい。
【0027】
クッションサイドフレーム24の後端部24Bには、ベースブラケット28が設けられている。ベースブラケット28は、鋼板で製作され、下部がボルト及びナット等の締結部材によってクッションサイドフレーム24の後端部24Bに締結されている。また、ベースブラケット28の上部には、後述するリクライニング機構30のリクライナ32が組み付けられるようになっている。
【0028】
リクライニング機構30は、リクライナ32(図4参照)と、連結シャフト34と、リターンスプリング38とを備えている。
【0029】
図4に示すように、リクライナ32は、円盤状とされ、ベースブラケット28とバックサイドフレーム16の下端部16Bとの間に配置されて両者を連結している。また、リクライナ32は、シートバックフレーム14を傾倒可能に支持すると共にシートクッションフレーム22に対するシートバックフレーム14の傾斜角度(リクライニング角度)を調整可能に構成されている。
【0030】
連結シャフト34は、シート幅方向に延びて両端部が両側のリクライナ32の中央部にそれぞれカラー36を介して連結されている。
【0031】
リターンスプリング38は、バックサイドフレーム16の下端部16Bとベースブラケット28に掛け渡されており、シートバックフレーム14を前傾方向へ付勢している。
【0032】
また、リクライニング機構30は、従来周知のロック機構(図示省略)を備えており、ロック機構が後述するシートバックフレーム14を傾倒不能にロック(拘束)することで、シートバックフレーム14のリクライニング角度を調整した状態を保持することができる。
【0033】
また、シートクッションフレーム22の下部には、シート前後方向に延び、シートセンターCLに対して左右対称に配置された一対の移動レール50が連結されている。具体的には、一対の移動レール50は、高さ調整機構としてのリフタ機構40を介してシートクッションフレーム22の下部に連結されている。
【0034】
リフタ機構40は、クッションサイドフレーム24の前端部24A及び移動レール50の前端部50Aを連結する左右一対の前側リンク部材42と、クッションサイドフレーム24の後端部24B及び移動レール50の後端部50Bを連結する車両幅方向内側に配置されるインナ後側リンク部材44及び車両幅方向外側に配置されるアウタ後側リンク部材45と、を備えている。
【0035】
図3に示すように、前側リンク部材42は、鋼板で製作され、一端部42Aが両クッションサイドフレーム24に両端部が回転可能に支持されたシート幅方向に延びる前側シャフト46に固定されている。また前側リンク部材42の他端部42Bは、移動レール50の前端部50Aに設けられたシート幅方向に延びる軸部47に回転可能に支持されている。また、一対の前側リンク部材42は、シートセンターCLを挟んで左右対称とされている。
【0036】
図4に示すように、インナ後側リンク部材44は、鋼板で製作され、一端部44Aが両クッションサイドフレーム24に両端部が回転可能に支持されたシート幅方向に延びる後側シャフト48に固定されている。またインナ後側リンク部材44の他端部44Bは、移動レール50の後端部50Bに設けられたシート幅方向に延びる軸部49に回転可能に支持されている。
一方、アウタ後側リンク部材45は、鋼板で製作され、一端部45Aが後側シャフト48に固定されている。またアウタ後側リンク部材45の他端部45Bは、移動レール50の後端部50Bに設けられたシート幅方向に延びる軸部49に回転可能に支持されている。また、本実施形態のアウタ後側リンク部材45は、平板とされ、後述するリフタギヤ74を備えている。
【0037】
なお、図1及び図2に示すように、前側シャフト46は、クッションサイドフレーム24のシート前方側に配置され、後側シャフト48は、クッションサイドフレーム24のシート後方側に配置されている。また、本実施形態のシートクッションフレーム22は前側シャフト46及び後側シャフト48を含んで構成されている。
【0038】
前側リンク部材42及びインナ後側リンク部材44と前側リンク部材42及びアウタ後側リンク部材45は、クッションサイドフレーム24及び移動レール50と共に4節リンクをそれぞれ構成している。
【0039】
また、リフタ機構40は、従来周知のラチェット式リフタ装置70を備えている。このラチェット式リフタ装置70は、シートクッションフレーム22のシート幅方向外側の側面に取り付けられており、軸方向がシート幅方向に沿った入力軸72を備えている。この入力軸72が回転されると、入力軸72の回転力がピニオン(図示省略)及びアウタ後側リンク部材45に形成されたリフタギヤ74を介して伝達されるようになっている。これにより、アウタ後側リンク部材45、インナ後側リンク部材44及び一対の前側リンク部材42が回動して、移動レール50に対するシートクッションフレーム22の配置高さが調整されるようになっている。
【0040】
図1及び図2に示すように、車体フロアFには、シート前後方向に延びて、移動レール50をスライド移動可能に支持する支持レール52が固定されている。図3及び図4に示すように、支持レール52は、シートセンターCLに対して左右対称に配置されている。また、支持レール52は、レールセンター(支持レール52のシート幅方向中央)上に配置された固定部材の一例としてのボルト54によって車体フロアFに固定されている。なお、本実施形態では、支持レール52の底部52A上にレールセンターがあるため、底部52Aがボルト54によって車体フロアFに締結されている。また、支持レール52の底部52Aと車体フロアFとの間には、スペーサー55が配置されている。
【0041】
図1及び図2に示すように、支持レール52上には、支持レール52に対する移動レール50のスライドをロック(制限)するロック機構(図示省略)が配置されている。このロック機構は、解除レバー58を操作することでロックを解除できる。
【0042】
図3に示すように、前側リンク部材42とシートクッションフレーム22との連結部80、前側リンク部材42と移動レール50との連結部82及び支持レール52をシート前後方向に投影したときに、連結部80及び連結部82が支持レール52の直上に配置されている。具体的には、連結部80及び連結部82は、支持レール52のレール幅Wの上方域内に配置されている。
なお、図3は、図2の矢印3X−3X線断面図であるが、連結部80、連結部82及び支持レール52をシート前後方向に投影した投影図と連結部80、連結部82及び支持レール52の位置関係が同じになる図面である。
【0043】
図4に示すように、インナ後側リンク部材44とシートクッションフレーム22との連結部84、インナ後側リンク部材44と移動レール50との連結部86及び支持レール52をシート前後方向に投影したときに、連結部84及び連結部86が支持レール52の直上に配置されている。具体的には、連結部84及び連結部86は、支持レール52のレール幅Wの上方域内に配置されている。同様に、アウタ後側リンク部材45とシートクッションフレーム22との連結部(接触する部分)85、アウタ後側リンク部材45と移動レール50との連結部(接触する部分)87及び支持レール52をシート前後方向に投影したときに、連結部85及び連結部87が支持レール52の直上に配置されている。具体的には、連結部85及び連結部87は、支持レール52のレール幅Wの領域の直上に配置されている。
【0044】
また、図4に示すように、シートバックフレーム14とシートクッションフレーム22との連結部88及び支持レール52をシート前後方向に投影したときに、連結部88が支持レール52の直上に配置されている。具体的には、連結部88は、支持レール52のレール幅Wの上方域内に配置されている。この連結部88は、クッションサイドフレーム24の後端部24Bとベースブラケット28との連結部89、ベースブラケット28とリクライナ32との連結部90、及びリクライナ32とバックサイドフレーム16との連結部91を含んで構成されている。なお、連結部89は、クッションサイドフレーム24の後端部24Bにベースブラケット28が締結部材で締結された部分であり、連結部90は、ベースブラケット28にリクライナ32が溶接された部分であり、連結部91は、バックサイドフレーム16にリクライナ32が溶接された部分である。
なお、図4は、図2の矢印4X−4X線断面図であるが、連結部84〜88及び支持レール52をシート前後方向に投影した投影図と連結部84〜88及び支持レール52の位置関係が同じになる図面である。
【0045】
次に、本実施形態の車両用シート10の作用効果について説明する。
車両用シート10では、一対の移動レール50及び一対の支持レール52をシートセンターCLに対して左右対称にそれぞれ配置し、且つ、連結部80〜88(連結部88には、連結部89〜91が含まれる)及び支持レール52をシート前後方向に投影したときに、これらの連結部80〜88を支持レール52の直上に配置していることから、着座乗員からのシートバックフレーム14への入力をシートバックフレーム14から支持レール52までの間において、例えばシート幅方向へ逃がすことなく、車体フロアFへ伝達することができる。すなわち、着座乗員からのシートバックフレーム14への入力を、シートバックフレーム14からシートクッションフレーム22、移動レール50及び支持レール52を介して車体フロアFへ効率よく伝達することができる。
【0046】
このように車両用シート10では、着座乗員からのシートバックフレーム14への入力を車体フロアFへ効率よく伝達できる、すなわち、上記入力に対して応力集中が生じにくいため、上記入力を伝達するバックサイドフレーム16、クッションサイドフレーム24、前側リンク部材42及びインナ後側リンク部材44の板厚を薄くしても上記入力に対して十分な剛性を確保できるので、シート重量を軽減させることが可能となる。
【0047】
また、レールセンター上に配置したボルト54で支持レール52を車体フロアFに固定していることから、着座乗員からのシートバックフレーム14への入力を支持レール52から車体フロアFへ効率よく伝達することができる。
【0048】
一方、車両用シート10では、シートバックフレーム14及びシートクッションフレーム22の各々をシートセンターCLに対して左右対称としていることから、例えば、シートバックフレーム14及びシートクッションフレーム22の各々がシートセンターCLに対して左右非対称とされた構成と比べて、着座乗員からのシートバックフレーム14への入力を車体フロアFへ効率よく伝達することができる。
さらに、車両用シート10では、車両右側に配置される場合と車両左側に配置される場合において、少なくともシートバックフレーム14、シートクッションフレーム22、移動レール50及び支持レール52を共通部材化できる。
【0049】
次に、図面を参照して本発明の第2実施形態に係る車両用シート100について説明する。なお、第1実施形態の車両用シート10と同一構成には同一符号を付し、その説明は省略する。
【0050】
図5図7に示すように、本実施形態の車両用シート100は、第1実施形態の車両用シート10のリフタ機構40を備えておらず、シートクッションフレーム22の下部に移動レール50が直に連結されている。
【0051】
次に、本実施形態の車両用シート100の作用効果について説明する。なお、本実施形態の作用効果のうち、第1実施形態と同様の作用効果についてはその説明を適宜省略する。
【0052】
車両用シート100では、シートバックフレーム14及びシートクッションフレーム22の各々がシートセンターCLに対して左右対称とされ、かつ、一対の移動レール50及び一対の支持レール52がシートセンターCLに対して左右対称に配置され、さらにリフタ機構40を備えないことから、車両右側に配置される場合と車両左側に配置される場合において共通部材化をさらに図ることができる。具体的には、車両用シート100は、車両右側に配置される場合と車両左側に配置される場合において、インナベルト11の取付けボルトとリクライニング機構30の操作レバー(図示省略)の取付位置が異なるだけで、その他の部材は共通部材とすることができる。
【0053】
以上、実施形態を挙げて本発明の実施の形態を説明したが、これらの実施形態は一例であり、要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施できる。また、本発明の権利範囲がこれらの実施形態に限定されないことは言うまでもない。
【符号の説明】
【0054】
10 車両用シート
12 シートバック
14 シートバックフレーム
20 シートクッション
22 シートクッションフレーム
24A 前端部
24B 後端部
40 リフタ機構(高さ調整機構)
42 前側リンク部材
44 インナ後側リンク部材
45 アウタ後側リンク部材
50 移動レール
50A 前端部
50B 後端部
52 支持レール
54 ボルト(固定部材)
80〜91 連結部
CL シートセンター
F 車体フロア
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7