特許第6184295号(P6184295)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6184295-耳穴型補聴器 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6184295
(24)【登録日】2017年8月4日
(45)【発行日】2017年8月23日
(54)【発明の名称】耳穴型補聴器
(51)【国際特許分類】
   H04R 25/02 20060101AFI20170814BHJP
【FI】
   H04R25/02 C
【請求項の数】2
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2013-224704(P2013-224704)
(22)【出願日】2013年10月29日
(65)【公開番号】特開2015-88861(P2015-88861A)
(43)【公開日】2015年5月7日
【審査請求日】2016年9月5日
(73)【特許権者】
【識別番号】000115636
【氏名又は名称】リオン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100143764
【弁理士】
【氏名又は名称】森村 靖男
(72)【発明者】
【氏名】五十木 隆敏
(72)【発明者】
【氏名】中村 有紀
【審査官】 北原 昂
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2007/077605(WO,A1)
【文献】 特開2009−089333(JP,A)
【文献】 特開2001−238296(JP,A)
【文献】 特開2007−124022(JP,A)
【文献】 特開2004−187745(JP,A)
【文献】 米国特許第4193396(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04R 25/02
A61F 11/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケースと、
把持用の線状部材と、
を備え、
前記ケースには、前記ケースが外耳道に挿入された状態で外界側に一対の孔が形成され、
前記線状部材の一方の端部は一方の前記孔に挿入され他方の端部は他方の前記孔に挿入されると共に、それぞれの前記端部は前記ケースに固定され、
前記線状部材は、それぞれの前記孔間の距離よりも大きく膨らむように湾曲され、面の輪郭を形成する
ことを特徴とする耳穴型補聴器。
【請求項2】
前記一対の孔は、前記ケースが外耳道に挿入された状態で水平方向となるように並んで形成される
ことを特徴とする請求項1に記載の耳穴型補聴器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外耳道に挿入して装着する耳穴型補聴器に関し、特にその装着及び取り外しに適したものに関する。
【背景技術】
【0002】
外耳道に全体が挿入されて装着されるタイプの耳穴型補聴器が広く流通している。耳穴型補聴器の一例として、可橈性を有する線状部材が本体から突出するように設けられ、線状部材を摘まんで補聴器本体を外耳道に挿入或いは外耳道から取り外すものが知られている。
【0003】
下記特許文献1には、このような線状部材が設けられた補聴器が記載されている。この補聴器には、線状部材として1本の引き紐が設けられている。この引き紐の一方の端部はケースに固定されており、他方の端部は自由端とされている。また、下記特許文献2には、ケース表面に輪状の連結部が設けられ、線状部材としての1本の紐が当該連結部の貫通孔に通されてリング状とされた補聴器が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−238296号公報
【特許文献2】特開2007−124022号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の補聴器は1本の引き紐が直線的に突出する構成とされている。従って、使用者は、引き紐を摘まんで補聴器を外耳道に挿入する際に、補聴器の外耳道に対する回転方向のずれを認識しづらい。特に、ケース形状を使用者の外耳道形状に合わせて作製されたオーダーメイド耳穴型補聴器の場合は、この回転方向の角度がずれると外耳道にうまく挿入できない。また、特許文献2に記載の補聴器では、リング状とされた紐が貫通孔に対して自由に動くため、使用者は、紐を摘まんで補聴器を外耳道に挿入する際に、補聴器本体を安定させづらい。従って、特許文献1、特許文献2に記載の補聴器は装着しづらい場合がある。
【0006】
また、上記のように線状部材を摘まんで補聴器を取り扱う際、線状部材には屈曲や引っ張りによる応力が加わる。このため線状部材は使用により劣化し、線状部材が切れる場合がある。上記特許文献1に記載の補聴器の場合、引き紐が根元から切れると引き紐を摘まむことが出来なくなる。また、上記特許文献2に記載の補聴器の場合、紐が切れると紐が抜けてしまう。これらの場合、補聴器が装着された状態であると、補聴器を外耳道から取り外しづらい。
【0007】
そこで、本発明は、着脱性に優れる耳穴型補聴器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の補聴器は、ケースに把持用の線状部材が設けられる耳穴型補聴器である。ケースには、ケースが外耳道に挿入された状態で外界側となる面に一対の孔が形成される。そして、線状部材の一方の端部は一方の孔に挿入され他方の端部は他方の孔に挿入され、それぞれの端部はケースに固定される。
【0009】
このような構成の補聴器によれば、線状部材の両方の端部が一対の孔にそれぞれ挿入され、線状部材が輪の一部を描くように湾曲される。すると、線状部材で囲まれる領域に面の輪郭が形成される。従って、線状部材を摘まんで補聴器を外耳道に挿入するときに、湾曲部分全体を面的に摘まむことができるので、補聴器の回転方向を指先の感覚のみで直感的に概ね把握することができ、補聴器の挿入時の回転角を安定させることができる。
【0010】
また、上記のように2か所に形成されるそれぞれの孔に線状部材のそれぞれの端部が挿入されることで、線状部材を摘まんだ際に2本の線状部材を摘まんだようになり、応力が2本に分散するので、線状部材にかかる負荷が軽減するため、線状部材が切れづらくなる。しかも、たとえ線状部材が切れたとしても、線状部材の少なくとも一方の端部から線状部材が切れた位置までを摘まむことができる。
【0011】
さらに、線状部材のそれぞれの端部がケースに固定されるため、特許文献2に記載のリング状線状部材がぶら下がる構成に比べて、線状部材がふらつくことを防止することができる。このため使用者は、補聴器が耳に装着された状態で、目視によらず線状部材の位置を認識し易い。従って、補聴器が装着された状態で、容易に線状部材を摘まむことができる。
【0012】
また線状部材は、それぞれの孔の間の距離よりも大きく膨らんで湾曲されるため、湾曲される線状部材を摘まむ使用者は、線状部材で囲まれる領域の面を摘まむ感覚となる。しかし、ケースに設けられる孔は外界側の面に形成されるため、孔同士の距離は小さい。そこで、上記のように線状部材が膨らむように湾曲させることで、使用者が線状部材を摘まむ際に適当な大きさの面を摘まむ感覚とすることができる。従って、補聴器の装着を心地良く行うことができる。
【0013】
以上のように本発明の耳穴型補聴器は着脱性に優れるのである。
【0014】
また、一対の孔は、ケースを外耳道に挿入した状態で水平になるように形成されることが好ましい。このように孔が形成されることで、使用者は、自然な手の位置で、補聴器を装着や取り外しを行うことができる。
【発明の効果】
【0015】
以上のように、本発明によれば、着脱性に優れる耳穴型補聴器が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の実施形態に係る補聴器を示す図である。
図2図1のV−V線における電池ホルダの断面及び線状部材の様子を示す図である。
図3図1の補聴器が装着される途中の様子を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明に係るオーダーメイド耳穴型補聴器の好適な実施形態について図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下の説明において補聴器と言う場合、特に説明が無い限りにおいてオーダーメイド耳穴型補聴器を意味する。
【0018】
図1は、本発明の実施形態に係るCIC(Complete In the Canal)タイプの補聴器を示す図である。図1上下方向が装着時の上下方向となる。図1に示すように、補聴器1は、ケース10と線状部材20とを備える。ケース10は、シェル11と、フェースプレート12と、電池ホルダ13とを備え、シェル11とフェースプレート12と電池ホルダ13とで、補聴器1の外形が概ね形成されている。
【0019】
シェル11は、外耳道の形に合わせた形状をしている。鼓膜側の先端部にはイヤホン音口32が形成されている。
【0020】
フェースプレート12は、シェル11の開口を塞ぐように配置されており、シェル11は、補聴器1が外耳道に挿入された状態で外界側となる。また、フェースプレート12は、略中心に電池ホルダ13が取り付けられている。さらに本実施形態では、フェースプレート12に外部の音をシェル11内の図示せぬマイクロホンに伝搬するためのマイクロホン音口31が形成されている。マイクロホン音口31からシェル内に伝搬する音は、上記マイクロホンで検出されて、図示せぬDSP(デジタルシグナルプロセッサ)で周波数帯域毎の増幅処理、出力制限、ノイズ抑制等の補聴処理をした後、図示せぬイヤホンから音を出力し、シェル11のイヤホン音口32から補聴器1外に出力する。
【0021】
電池ホルダ13は、フェースプレート12に回動して開閉できるように取り付けられており、さらに補聴器1の内部側に電池を保持する機構を有している。また、電池ホルダ13には、線状部材20を挿入するための一対の孔Hが形成されている。線状部材20は、上方から見ると靴ベラの輪郭のように湾曲し、横から見るとフェースプレート12に対して線状部材20がほぼ垂直に立っている。
【0022】
線状部材20は、樹脂製の線材から成り、その直径は、例えば0.4mm程度、長さは例えば2〜3cm程度とされる。線状部材20を構成する樹脂としては、例えばナイロンを挙げることができる。肌色やモスグリーンなど着色されていても良い。線状部材20の両端は、それぞれ電池ホルダ13に形成される孔Hに挿入されている。
【0023】
図2は、図1のV−V線における電池ホルダ13の断面及び線状部材20の様子を示す図である。図2に示すように、本実施形態におけるそれぞれの孔Hは、互いに離れて並べられる2つの貫通孔である。孔Hは、電池ホルダ13の外面側から内面側に向かって直径が広がるようにすり鉢状に形成されており、孔Hの外面側が小径部とされ、内面側が大径部とされる。仮想線Lは、それぞれの孔Hの中心軸の方向を示す線である。仮想線Lが示すように、それぞれの孔Hは、電池ホルダ13の外面に対して中心軸が垂直となるように形成されている。このため、それぞれの孔Hの軸方向は互いに平行とされている。また、線状部材20が捻じれないように、孔Hは中心軸がハ字状(互いに離れる向き)となるように形成されても良い。
【0024】
それぞれの孔Hに挿入された線状部材20のそれぞれの端部21には、孔Hからの抜け止め加工が施されている。本実施形態では、それぞれの端部21は、熱加工により直径が広げられており、孔Hのすり鉢状の形状に収まっている。従って、線状部材20を引き抜こうとしても、直径が広げられた端部21が孔Hの小径部において電池ホルダ13に引っ掛かり抜けが防止されている。また、それぞれの孔Hには大径部側から接着剤25が充填されており、線状部材20は、電池ホルダ13に固定されている。従って、線状部材20は、ケース10に対してふらつくことが抑制されている。
【0025】
また、上記のようにそれぞれの孔Hの軸方向は電池ホルダに対して垂直となっているため、線状部材20のそれぞれの孔Hから電池ホルダ13外に導出する直後の部分22は、互いに平行に且つ電池ホルダに対して垂直に近づけられている。従って、当該部分22が、大きな角度をなす場合と比べて、線状部材20と摘まんで補聴器1を取り扱う際、当該部分に曲げ応力がかかることを抑制することができる。
【0026】
そして、線状部材20は、十分な長さをもって、孔H側から膨らんだ輪を描くように湾曲される。線状部材20は、補聴器1の横から見ると電池ホルダ13にほぼ垂直に取り付けられており、補聴器1の上から見ると靴ベラの輪郭状に湾曲している。従って、この線状部材20が描く輪郭の最大幅Rは、それぞれの孔H間の距離Rよりも大きくなる。また、この幅Rは、補聴器1の幅よりも小さく、線状部材20の湾曲した先端は、外耳道からあまり飛び出さない程度で摘まみやすい程度の長さにすると良い。このように線状部材20が、それぞれの孔H間の距離よりも大きな直径を有した輪をなして湾曲されることで、使用者は、線状部材20で囲まれる面を摘まむような感覚で線状部材20を摘まむことができ、補聴器1を心地良く着脱することができる。
【0027】
図3は、図1の補聴器1が装着される途中の様子(指は不図示)を示す図である。補聴器1は外耳道に挿入されることで人体に装着される。補聴器1が外耳道に完全に挿入されると、補聴器1は正面からは見えなくなり、わずかに線状部材20が見える状態になる。このとき使用者の上半身が自然に起きている状態(直立している状態や正規着座している状態)で、水平に孔Hが並んでいる。つまり線状部材20が湾曲することで成す面は、補聴器1の正面から見ると水平になる。
【0028】
一般に外耳道は2回曲がって鼓膜に通じているので、補聴器を外耳道に挿入する際には、少し回転させながら挿入する。線状部材20が成す面が鉛直方向でも可能ではあるが、水平方向になっている方が扱いやすい。また、本実施例では、電池ホルダ13は下側を軸に回動して開閉するが、電池ホルダ13の縦方向に孔Hが並ぶと、線状部材20を摘まんだ際に意図せず電池ホルダ13が開いてしまう場合がある。従って、一対の孔Hがケース10を外耳道に挿入した状態で凡そ水平方向に沿って並んで形成されることで、使用者は、自然な手の位置で、補聴器1の装着や取り外しを行うことができるのである。
【0029】
以上、本発明について、実施形態を例に説明したが、本発明はこれらに限定されるものではない。例えば、上記実施形態では、それぞれの孔Hが電池ホルダ13に形成され、線状部材20が電池ホルダ13に固定された。しかし、例えば、孔Hがフェースプレート12に形成され、線状部材20がフェースプレート12に固定されても良い。
また、少し大きな補聴器で、耳甲介腔までケースが拡がっているタイプの補聴器に応用しても、補聴器の着脱が容易になる。
【産業上の利用可能性】
【0030】
以上説明したように、本発明によれば、着脱性に優れる耳穴型補聴器が提供され、様々なタイプの耳穴型補聴器に利用することが期待される。
【符号の説明】
【0031】
1・・・補聴器(耳穴型補聴器)
10・・・ケース
11・・・シェル
12・・・フェースプレート
13・・・電池ホルダ
20・・・線状部材
21・・・端部
25・・・接着剤
31・・・イヤホン音口
32・・・マイクロホン音口
図1
図2
図3