特許第6184300号(P6184300)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6184300
(24)【登録日】2017年8月4日
(45)【発行日】2017年8月23日
(54)【発明の名称】コンロ用の温度検出装置
(51)【国際特許分類】
   F24C 3/12 20060101AFI20170814BHJP
【FI】
   F24C3/12 X
【請求項の数】5
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2013-235309(P2013-235309)
(22)【出願日】2013年11月13日
(65)【公開番号】特開2015-94563(P2015-94563A)
(43)【公開日】2015年5月18日
【審査請求日】2016年10月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】301071893
【氏名又は名称】株式会社ハーマン
(74)【代理人】
【識別番号】100107308
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 修一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100120352
【弁理士】
【氏名又は名称】三宅 一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100128901
【弁理士】
【氏名又は名称】東 邦彦
(72)【発明者】
【氏名】高砂 賀裕
【審査官】 宮崎 光治
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−331205(JP,A)
【文献】 実開昭51−143708(JP,U)
【文献】 特開平11−182849(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24C3/00−3/14
F24C7/00
F24C7/04−7/06
H05B6/12
A47J27/00−27/13
A47J27/20−29/06
A47J33/00−36/42
G01K1/00−19/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンロに設けた固定部に固定される支持体に、サーミスタを備える当接体を設けた移動体を上下動自在に設けると共に、前記移動体を上方向に付勢する付勢部材を前記移動体と前記支持体との間に備え、前記コンロで加熱される調理容器の底面に当接した前記当接体が、前記移動体の上下動可動範囲において前記調理容器の上下動に追随して上下して常時前記調理容器の底面に当接するように構成されるコンロ用の温度検出装置であって、
前記付勢部材が、コイルバネと当該コイルバネの両端に設けられた一対の腕部とで形成され、前記移動体の上下動により前記コイルバネが湾曲する状態で前記移動体の上下動方向に沿って、且つ、一方の腕部を前記移動体に、他方の腕部を前記支持体に連結して設けられ、
前記付勢部材による前記上方向への付勢力が、前記移動体の上下動可動範囲において略一定の付勢力となるように構成されるコンロ用の温度検出装置。
【請求項2】
前記付勢部材は、一方の前記腕部が前記移動体に前記上下動方向に回転自在に連結されるとともに、他方の前記腕部が前記支持体に前記上下動方向に回転自在に連結されている請求項1に記載のコンロ用の温度検出装置。
【請求項3】
前記移動体と前記支持体との間に前記付勢部材が複数設けられ、
前記複数の付勢部材が、前記支持体又は前記移動体の周方向の外側に向けて前記コイルバネが湾曲する状態で、前記周方向に等間隔に配置されている請求項1又は2に記載のコンロ用の温度検出装置。
【請求項4】
前記移動体の上下動可動範囲が、前記支持体に設けられた規制部と、前記移動体に設けられ前記規制部が当接する当接部とで規定されている請求項1から3の何れか1項に記載のコンロ用の温度検出装置。
【請求項5】
前記コイルバネが引張コイルバネである請求項1から4の何れか1項に記載のコンロ用の温度検出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンロに設けた固定部に固定される支持体に、サーミスタを備える当接体を設けた移動体を上下動自在に設けると共に、前記移動体を上方向に付勢する付勢部材を前記移動体と前記支持体との間に備え、前記コンロで加熱される調理容器の底面に当接した前記当接体が、前記移動体の上下動可動範囲において前記調理容器の上下動に追随して上下して常時前記調理容器の底面に当接するように構成されるコンロ用の温度検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
かかるコンロ用の温度検出装置は、環状のバーナ(加熱手段)を備えたコンロにおいて、その加熱手段で加熱される調理容器の底部の温度を検出するために用いるものであり、例えば五徳に載置される調理容器の底部に当接体を当接させることが可能なように、支持筒を環状の加熱手段の内部に配設して、温度検出装置にて当接体の温度を調理容器の温度として検出するようになっている。
【0003】
このようなコンロ用の温度検出装置においては、当接体を設けた移動体を上方向に付勢する付勢部材として圧縮コイルバネが用いられることが一般的である(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
特許文献1のコンロ用の温度検出装置は、被加熱物の底部に当接させる当接体1を上端部に支持する円筒状の移動体としての筒状支持体3、その筒状支持体3を上下動自在に支持する支持体としての案内筒部8、当接体1の温度を検出するサーミスタ2、及び、筒状支持体3を上向きに復帰付勢する圧縮コイルバネ5等を備えて構成してある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−331205号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このようなコンロ用の温度検出装置は、例えば五徳に載置される調理容器の底部に当接体を当接させることで調理容器の温度を検出するものであるから、調理容器の上下動に追随して、サーミスタを備える当接体が上下して常時前記調理容器の底面に適切に当接する必要があるため、当接体を設けた移動体を上方向に付勢するコイルバネとしては、当接体がその上下動可動範囲の最も上方に位置する場合にも当接体が確実に調理容器の底部に当接するような自由長とばね定数とを有する圧縮コイルバネが用いられることになる。
【0007】
しかしながら、特許文献1のコンロ用の温度検出装置では、当接体がその上下動可動範囲の最も上方に位置する場合と、当接体がその上下動可動範囲の最も下方に位置する場合とで比較した場合、当接体が下方に位置するほどコイルバネによる付勢力が大きくなるものであるから、当接体がその上下動可動範囲の最も上方に位置する場合にも当接体が確実に調理容器の底部に当接するようなばね定数の圧縮コイルバネを用いたときには、当接体がその上下動可動範囲の最も下方に位置する場合には圧縮コイルバネによる付勢力が大きくなりすぎて、たとえば、アルミニウム製で小径軽量の雪平鍋などを調理容器として用いた場合に、当接体によって調理容器が持ち上げられ、調理容器が五徳上の適切位置に載置されず調理容器が傾いてしまう不都合が生じるおそれがある。
【0008】
これに対し、当接体がその上下動可動範囲の最も下方に位置する場合に、圧縮コイルバネによる付勢力が大きくなりすぎないようなばね定数の圧縮コイルバネを用いたときには、当接体によって調理容器が持ち上げられて調理容器が五徳上の適切位置に載置されず調理容器が傾いてしまう、という不都合は生じないものの、当接体がその上下動可動範囲の最も上方近傍に位置する場合に、圧縮コイルバネによる付勢力が小さすぎて、当接体がその上下動可動範囲の最も上方に戻ることができず、当接体がその上下動可動範囲の最も上方に位置する場合に、当接体が調理容器の底部に当接することができず、調理容器底部の温度を適切に検出できない不都合が生じるおそれがある。
【0009】
本発明は、かかる点に着目してなされたものであり、その目的は、当接体がその上下動可動範囲において、当接体が確実に当該コンロで加熱される調理容器の底部に当接し、しかも、当接体がその上下動可動範囲の最も下方に位置する場合にも、当接体によって調理容器が持ち上げられて調理容器が傾いてしまう不都合が抑制されたコンロ用の温度検出装置を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この目的を達成するための本発明に係るコンロ用の温度検出装置は、
コンロに設けた固定部に固定される支持体に、サーミスタを備える当接体を設けた移動体を上下動自在に設けると共に、前記移動体を上方向に付勢する付勢部材を前記移動体と前記支持体との間に備え、前記コンロで加熱される調理容器の底面に当接した前記当接体が、前記移動体の上下動可動範囲において前記調理容器の上下動に追随して上下して常時前記調理容器の底面に当接するように構成されるコンロ用の温度検出装置であって、その第1特徴構成は、
前記付勢部材が、コイルバネと当該コイルバネの両端に設けられた一対の腕部とで形成され、前記移動体の上下動により前記コイルバネが湾曲する状態で前記移動体の上下動方向に沿って、且つ、一方の腕部を前記移動体に、他方の腕部を前記支持体に連結して設けられ、
前記付勢部材による前記上方向への付勢力が、前記移動体の上下動可動範囲において略一定の付勢力となるように構成される点にある。
【0011】
本発明に係るコンロ用の温度検出装置の第1特徴構成によれば、コイルバネとコイルバネの両端に設けられた一対の腕部とで形成された付勢部材を、移動体の上下動方向の移動に伴ってコイルバネが湾曲する状態でたわませて、たわみの反力としての移動体を付勢する付勢力が略一定となるたわみの範囲を利用する。よって、移動体の上下動可動範囲をその付勢部材のたわみの範囲に設定することで、その上下動可動範囲において移動体を上方向へ付勢する付勢力を略一定にすることができる。
これにより、移動体の上下動可動範囲において、当該コンロで加熱される調理容器の底部にサーミスタを備えた当接体を略一定の付勢力で調理容器の底部に当接させることができる。また、当然に、当接体がその上下動可動範囲の最も下方に位置する場合にも、当接体によって調理容器が持ち上げられて傾いてしまうということもなく、サーミスタによる調理容器の温度検出を精度よく行うことができる。
【0012】
本発明に係るコンロ用の温度検出装置の第2特徴構成は、上記コンロ用の温度検出装置の第1特徴構成に加えて、
前記付勢部材は、一方の前記腕部が前記移動体に前記上下動方向に回転自在に連結されるとともに、他方の前記腕部が前記支持体に前記上下動方向に回転自在に連結されている点にある。
【0013】
上記コンロ用の温度検出装置の第2特徴構成によれば、腕部と移動体及び腕部と支持体との夫々の連結部において、支持体の上下動方向の移動によるコイルバネの湾曲に伴う腕部の回転を円滑にして付勢部材をたわませることができるとともに、付勢部材をたわませた状態で、移動体に対してその上下動方向に付勢力を付勢することができる。
【0014】
本発明に係るコンロ用の温度検出装置の第3特徴構成は、上記コンロ用の温度検出装置の第1乃至第2特徴構成に加えて、
前記移動体と前記支持体との間に前記付勢部材が複数設けられ、
前記複数の付勢部材が、前記支持体又は前記移動体の周方向の外側に向けて前記コイルバネが湾曲する状態で、前記周方向に等間隔に配置されている点にある。
【0015】
上記コンロ用の温度検出装置の第3特徴構成によれば、複数の付勢部材が、支持体又は移動体の周方向の外側に向けてコイルバネが湾曲する状態で設けられているので、移動体の上下動により支持体又は移動体の周方向の外側に凸にたわむ状態となる複数の付勢部材が、互いに干渉することを防止することができる。また、移動体は周方向に等間隔に配置された複数の付勢部材を介して支持体に支持されるので、周方向において均一な付勢力を得ることができ、移動体を安定した状態で上下動させることができる。
【0016】
本発明に係るコンロ用の温度検出装置の第4特徴構成は、上記コンロ用の温度検出装置の第1乃至第3特徴構成に加えて、
前記移動体の上下動可動範囲が、前記支持体に設けられた規制部と、前記移動体に設けられ前記規制部が当接する当接部とで規定されている点にある。
【0017】
上記コンロ用の温度検出装置の第4特徴構成によれば、規制部と当接部との当接により、移動体の上下動可動範囲の上限位置及び下限位置を規定することができるので、確実に移動体の上下動を付勢部材による上方向への付勢力が略一定の付勢力となる範囲内に規制することができる。
【0018】
本発明に係るコンロ用の温度検出装置の第5特徴構成は、上記コンロ用の温度検出装置の第1乃至第4特徴構成に加えて、
前記コイルバネが引張コイルバネである点にある。
【0019】
上記コンロ用の温度検出装置の第5特徴構成によれば、引張コイルバネでは、コイルバネの軸方向にすきまがないので、移動体の下方への移動に伴って、コイルバネが圧縮変化せず、コイルバネの圧縮による反力により移動体が上方向に付勢する付勢力を受けることを防止することができる。つまり、付勢手段として、例えば、移動体の上下動に伴って伸縮する圧縮コイルバネを設けた場合では、移動体の下方への移動に伴って、圧縮コイルバネが圧縮されて移動体を上方向に付勢する付勢力が大きくなるが、付勢手段として引張コイルバネを使用することで、そのように移動体の下方への移動により勢力が大きくなることはなく、移動体が下方へ移動した場合でも付勢力を略一定に保つことができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本実施形態に係るコンロ用の温度検出装置を備えたガスコンロの概略構成図
図2】本実施形態に係るコンロ用の温度検出装置を備えたガスバーナの概略構成図
図3】調理容器の搭載前のコンロ用の温度検出装置を示す図
図4】調理容器の搭載後のコンロ用の温度検出装置を示す図
図5】上下動可動範囲の上限位置及び下限位置における付勢部材の状態を示す図
図6】付勢部材のたわみに対する荷重、モーメント及び腕の長さの関係を示す図
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明のコンロ用の温度検出装置について、図面に基づいて説明する。
図1に示すように、本発明に係るコンロ用の温度検出装置Sは、ガスコンロCに備えられた3つのコンロバーナ1の夫々に設けられ、夫々のコンロバーナ1において加熱される調理容器Dの温度を検出するものである。
【0022】
ガスコンロCは、キッチンカウンターに組み込まれるビルトインタイプのガスコンロであり、3つのコンロバーナ1は標準バーナ1aと、小バーナ1bと、高火力バーナ1cとによって構成されている。さらに、このガスコンロCは、グリルバーナ(図示せず)を備えるグリル部3を備えている。また、グリル部3の燃焼排ガスを排気するためのグリル排気口4が形成されている。
【0023】
ガスコンロCの上面は、ガラス製のトッププレート5にて覆われており、このトッププレート5の上部に、夫々のコンロバーナ1に対する調理容器D(鍋など)を受け止め支持するための五徳6が載置支持されている。また、ガスコンロ前側面には、夫々のコンロバーナ1とグリルバーナとの点火及び消火や火力調節と各種の設定とを指令する手動操作部Fが設けられている。
【0024】
さらに、ガスコンロ前側面にはガスコンロ前側面には自動復帰型の押し操作式の電源スイッチ40も設けられている。また、夫々のコンロバーナ1には、点火プラグ20(図2参照)及び着火状態を検出する熱電対が設けられている。
【0025】
夫々のコンロバーナ1の構成は周知であるが、図2に基づいて、標準バーナ1aを例に挙げてバーナの構成について説明すると、混合管21とその混合管21の先端に連設された環状のバーナベース22とを備えたバーナ本体Bm、及び、バーナベース22に載置して組み付けられる環状のバーナキャップ23等を備え、バーナキャップ23の周方向外方に向けて火炎が形成されるように構成されている。そして、トッププレート5に形成されたバーナ用開口部5a内にバーナベース22を位置させた状態で取り付けられている。
【0026】
また、図1及び図2に示すように、標準バーナ1a、小バーナ1b及び高火力バーナ1cの夫々に設けられた温度検出装置Sは、移動体7に設けられた当接体8の上端が五徳6の上端よりも上方に突出する状態で、上述のように組み付けられた環状のバーナベース22及びバーナキャップ23の内部の略中央で立ち姿勢となるように、ガスコンロC内に固定されている。
【0027】
そして、図2及び図3に示すように、温度検出装置Sは、五徳6上に調理容器Dが載置されていないときは、移動体7が、五徳6よりも上方に突出する状態となっており、一方、図4に示すように、五徳6に調理容器Dが載置されるに伴って、移動体7が調理容器Dの底部に当接して押し下げられる状態となる。
【0028】
そして、温度検出装置Sの移動体7の当接体8の下面には、サーミスタ9が設けられ、五徳6上に載置された調理容器Dの底部が当接体8の上面に当接した状態で、このサーミスタ9により調理容器Dの温度を検出するように構成されている。
【0029】
次に、標準バーナ1aへのガス供給構成について説明すると、図2に示すように、都市ガス等のガス燃料を供給するガス供給路24がガスノズル11に接続され、このガス供給路24には、ガス流量を調整して標準バーナ1aの燃焼量(火力)を調整する流量制御弁24aが備えられている。この流量制御弁24aは燃焼制御部Hによって制御されている。
【0030】
燃焼制御部Hは、マイクロコンピュータを備えて各種の制御を実行するように構成されており、ガスコンロ前側面に設けられた手動操作部Fと接続されるとともに、サーミスタ9と接続され、手動操作部Fにて指令された運転状態、及び、サーミスタ9によって検出された温度検出信号に基づいて、流量制御弁24aの開度を調整して標準バーナ1aの燃焼量を制御するように構成されている。
【0031】
燃焼制御部Hによる燃焼量の制御として、例えば、手動操作部Fにおいて所定の加熱目標温度を設定することで、サーミスタ9の検出温度が設定された加熱目標温度になるように、燃焼制御部Hが流量制御弁24aの開度を調整する制御や、例えば、手動操作部Fおいてバーナを消火する所定の消火温度を設定することで、サーミスタ9の検出温度が設定された消火温度となると、流量制御弁24aを閉弁して標準バーナ1aを消火する制御等が行われる。なお、このようなガス供給構成及び燃焼制御部Hによる燃焼量の調整については、小バーナ1b及び高火力バーナ1cも同様に構成されている。
【0032】
以下、温度検出装置Sについて詳細に説明する。
図2及び図3に示すように、温度検出装置Sは、ガスコンロCに設けた固定部25に固定される支持体10に、サーミスタ9を備える当接体8を設けた移動体7を上下動自在に設けられている。そして、移動体7を上方向に付勢する付勢部材15を移動体7と支持体10との間に備え、ガスコンロCで加熱される調理容器Dの底面に当接した当接体8が、移動体7の上下動可動範囲Rにおいて調理容器Dの上下動に追随して上下して常時調理容器Dの底面に当接するように構成されている。
【0033】
図3に示すように、支持体10は、その下部において接続部材17を介して固定部25に固定され、上端側に径方向外方に突出する突起部10aを周方向に沿って環状に設けると共に、その支持体10の上端に鍔部10bを備え、それら環状の突起部10aと鍔部10bとの間にリング形状の規制部材26を嵌め込む状態で支持体10の外周部に取り付けてある。
【0034】
また、移動体7は、当接体8と外筒体14で構成されている。外筒体14は、下方側の小径部14aの内径が支持体10の外径よりも大径で、且つ、支持体10に設けられた規制部材26の外径よりも小径であり、上方側の大径部14bの内径がリング形状の規制部材26の外径よりもやや大径な2段円筒状に形成されている。外筒体14の内周側にはリング形状の当接部材19が設けられている。一方、当接体8は、円盤状の平面部8aと、平面部8aの外周から下方に延びる外周筒部8bとで構成され、この外周筒部8bを外筒体14の大径部14bに外嵌させて固定されている。そして、その小径部14aが規制部材26よりも下方側に位置する状態で、支持体10の外周部に上下動自在に設けてある。
【0035】
移動体7の上下動可動範囲Rが、支持体10に設けられた規制部16と、移動体7に設けられ規制部16が当接する当接部18とで規定されている。具体的には、移動体7の上方向の移動により、支持体10に設けられた規制部材26の下面側である上限規制部16a(規制部16に相当)と、移動体7の上方側の大径部14bと下方側の小径部14aとを接続する円環部14cの上面側である上限当接部18a(当接部18に相当)とが当接して、移動体7の上方向への移動が規制され上下動可動範囲Rの上限位置R1が規定されている。
一方、移動体7の下方向の移動により、支持体10に設けられた規制部材26の上面側である下限規制部16b(規制部16に相当)と、移動体7に設けられた当接部材19の下面側である下限当接部18b(当接部18に相当)とが当接して、移動体7の下方向への移動が規制され上下動可動範囲Rの下限位置R2が規定されている。
【0036】
そして、移動体7において、円盤状の平面部8aの下面には、下向きに開口する収納空間Eを形成する収納部材12が設けられ、サーミスタ9が、平面部8aの下面に当接させて収納空間E内に配設した状態、且つ、サーミスタ9のリード線を挿通したリード線被覆チューブ13を収納部材12の下端に固定した状態で設けられている。ここで、リード線被覆チューブ13の収納部材12への固定は、図示はしないが、耐熱性の樹脂等を利用して行う。そして、リード線被覆チューブ13は、支持体10にその上端から挿通した状態、且つ、移動体7の上下動を許容するように接続部材17内にて弛ませた状態で、接続部材17から外部に導出させて、燃焼制御部Hに接続されている。
【0037】
移動体7と支持体10との間に備えられた付勢部材15は、引張コイルバネ15aとこの引張コイルバネ15aの両端に設けられた一対の腕部15bとで構成されている。
そして、移動体7の上下動により引張コイルバネ15aが湾曲する状態で移動体7の上下動方向に沿って、且つ、一方の腕部15bが移動体7に、移動体7の上下動方向に回転自在に連結されるとともに、他方の腕部15bが支持体10に、移動体7の上下動方向に回転自在に連結されている。具体的には、腕部15bの夫々の端部には引張コイルバネ15aが移動体7の上下動により湾曲する湾曲面において環状に形成された環状連結部15cが設けられ、一方の環状連結部15cが、移動体7の小径部14aの下端に設けられた移動体連結部7aに連結され、他方の環状連結部15cが、支持体10の下端付近に設けられた支持体連結部10cに連結されている。
【0038】
また、付勢部材15は、移動体7と支持体10との間に4本設けられている。この4本の付勢部材15が、支持体10又は移動体7の周方向の外側に向けて引張コイルバネ15aが湾曲する状態で、支持体10又は移動体7の周方向に等間隔に、つまり90°毎に配置されている。なお、図2図4においては、4本の付勢部材15のうち、左右方向の2本の付勢部材15のみが表されている。
【0039】
図5に示すように、付勢部材15を、移動体連結部7a及び支持体連結部10cに連結して、移動体7の上下動方向に沿って設け、周方向の外側に向けて引張コイルバネ15aが湾曲する状態でたわませる状態とすると、この時の付勢部材15が受ける荷重P及び付勢部材15のたわみδは、以下の式(1)及び式(2)で表される。ここで、付勢部材15が受ける荷重Pは付勢部材15の付勢力に対抗する力であり、調理容器Dの搭載によって移動体7を介して付勢部材15に加えられる力を示す。また、付勢部材15のたわみδは、付勢部材15の自然長Lから、荷重Pを受けることでたわんで、上下動方向において短くなった長さを示す。
【0040】
P=(θrGd4/8Dn+P0D/2)/[a・sin(α+θ0)+dn(cosθ0/2-cosθ0)/2θr]・・・(1)
δ=2a[cosα-cos(α+θ0)]+dn(1-(sinθ0/θr) ・・・(2)
(ここで、G:バネ材の横弾性係数、D:平均コイル径、n: 有効巻数、P:荷重、P0:初張力、δ:たわみ、α:腕の角度(°)、a:腕の長さ 、θr:バネのたわみ角(rad)、θ0:バネのたわみ角(°)、d:線径)
【0041】
そして、図6に、横軸に付勢部材15のたわみδをとり、縦軸に付勢部材15の荷重P、モーメント(P×Lδ)、モーメントの腕の長さLδを示すと、付勢部材15のたわみδが増加しても荷重Pが増加しない定荷重たわみ範囲δrが存在する。すなわち、モーメントは、たわみδとともに増加するが、同時にモーメントの腕の長さLδも増加するので、モーメントの腕の長さLδで除して求められる荷重Pは、たわみδ1から、たわみδ2までのたわみδの範囲である定荷重たわみ範囲δrでは略一定となる(図5参照)。
【0042】
よって、この付勢部材15の定荷重たわみ範囲δrが、移動体7の上下動可動範囲Rに対応するように、移動体7の上下動可動範囲Rを規定する規制部16及び当接部18を設けることで、付勢部材15は移動体7の上下動可動範囲Rにおいて略一定の荷重Pを受けることとなるので、この荷重Pに対向する力である付勢部材15による上方向への付勢力を略一定とすることができる。
【0043】
具体的には、付勢部材15のたわみδが、定荷重たわみ範囲δrにおける上限たわみδ2であるときの移動体7の上下動方向の位置を、移動体7の上下動可動範囲Rの下限位置R2として設定するともに、付勢部材15のたわみδが、定荷重たわみ範囲δrにおける下限たわみδ1であるときの移動体7の上下動方向の位置を、移動体7の上下動可動範囲Rの上限位置R1として設定する。これにより、付勢部材15による上方向への付勢力が、移動体7の上下動可動範囲Rにおいて略一定の付勢力となるように構成されている。
【0044】
ここで、略一定に保たれた付勢力の大きさは、比較的軽量のアルミニウム製の小型の雪平鍋が五徳上で押し上げられることなく、調理容器Dの底面に当接体8を密着させることができ、当接体8に設けられたサーミスタ9による調理容器Dの温度検出に検出誤差が発生しない程度の付勢力の変化を含むものであり、例えば、0.3N〜0.4N(0.03〜0.04kgf)程度の範囲とされる。
【0045】
〔別実施形態〕
最後に、本発明の別実施形態について説明する。尚、以下に説明する各実施形態の構成は、夫々単独で適用されるものに限られず、矛盾が生じない限り、他の実施形態の構成と組み合わせて適用することも可能である。
(A)上記実施形態では、ガスコンロCをキッチンカウンターに組み込まれるビルトインタイプのガスコンロとしたが、これに限らず、ガスコンロCを卓上設置式のガスコンロとしてもよい。
【0046】
(B)上記実施形態では、付勢部材15は、移動体7と支持体10との間に4本設けたが、これに限らず、付勢部材15を、移動体7と支持体10との間に単数設けてもよいし、2本、3本、又は5本以上設けてもよい。
【0047】
(C)上記実施形態では、当接部材19を移動体7の大径部14bの上下方向の中間部付近に設けたが、これに限らず、規制部材26との当接により下限位置R2を規定できる位置であれば、当接部材19を移動体7の大径部14b及び小径部14aの内周のいずれの上下方向の位置に設けてもよい。
【0048】
(D)上記実施形態では、規制部材26を支持体10の上端に設けたが、これに限らず、当接部18との当接により下限位置R2及び上限位置R1を規定できる位置であれば、規制部材26を支持体10の外周のいずれの上下方向の位置に設けてもよい。また、移動体7の上方向への移動を規制する上限当接部18a(当接部18に相当)を、移動体7の上方側の大径部14bと下方側の小径部14aとを接続する円環部14cの上面側としたが、これに限らず、上限当接部18aを有する部材を、大径部14b又は小径部14aの内側の適切な場所に設けてもよい。
【0049】
(E)上記実施形態では、移動体7が、当接体8の外周筒部8bを外筒体14の大径部14bに外嵌させて直接固定したが、これに限らず、当接体8の外周筒部8bと外筒体14の大径部14bとの間に断熱材を設けて、外周筒部8bを大径部14bに外嵌させて固定してもよい。
【0050】
(F)上記実施形態では、当接部材19及び規制部材26をリング形状としたが、これに限らず、当接部材19及び規制部材26を円弧形状等としてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0051】
以上説明したように、コンロに載置された調理容器の温度を、サーミスタを備えた移動体の上下動可動範囲において、正確に検出することができるコンロ用の温度検出装置を提供することができる。
【符号の説明】
【0052】
7 移動体
8 当接体
9 サーミスタ
10 支持体
15 付勢部材
15a 引張コイルバネ
15b 腕部
16 規制部
18 当接部
25 固定部
C ガスコンロ(コンロ)
D 調理容器
S 温度検出装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6