(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1は、本発明に係る検査パネルのための検査装置10の外観を示す。この検査装置10は、長方形の平面形状を有する検査パネル12の例えば点灯検査、あるいはアレイ検査に用いられる。以下、検査装置10が点灯検査に用いられる一例について説明する。検査装置10は、傾斜正面14aを備える筐体14を備えている。筐体14の傾斜正面14aには、点灯検査のための第1の窓(開口)16aおよび第1の窓16aに隣り合う第2の窓(開口)16bが設けられている。検査パネル12は、被検査体であり、例えば、液晶パネル、有機ELパネルなどの表示パネルである。さらには、X線フラットパネルディテクタ等の回路検査に適用することも可能である。
【0018】
筐体14内には、検査パネル12の点灯検査のための検査ステーション18が第1の窓16aに対応して設けられている。筐体14内には、パネル受け渡しステーション20が検査ステーション18と並んで設けられている。パネル受け渡しステーション20は、検査ステーション18との間で、検査パネル12を順次やり取りする。パネル受け渡しステーション20としては、従来よく知られた構成を用いることができる。パネル受け渡しステーション20は、第2の窓16bに対応して設けられている。筐体14は、GND(グランド)に接地されている。
【0019】
検査パネル12の一方の面には、多数の電極12a(
図5参照)が配列されている。例えば、複数の電極12aは、矩形の検査パネル12の一方の長辺縁部に沿って配列されている。さらに、複数の電極12aは、検査パネル12の一方の短辺縁部に沿って配列されている。検査ステーション18で点灯検査を受ける検査パネル12は、従来よく知られているように、パネル受け渡しステーション20のパネル受け渡し装置24上に、搬入される。例えば、図示しない搬送ロボットが、筐体14の背面に設けられた出し入れ口22を介して、パネル受け渡し装置24上に、検査パネル12を搬入する。このとき、電極12aが上方を向けた状態で、検査パネル12がパネル受け渡し装置24に搬入される。このパネル受け渡し装置24上の検査パネル12は、パネル受け渡し装置24の搬送アーム機構24aを経て、検査ステーション18に移送される。そして、検査ステーション18において、検査パネル12の点灯検査が行われる。また、検査ステーション18で点灯検査を受けた検査パネル12は、従来よく知られているように、搬送アーム機構24aの取り扱いにより、パネル受け渡し装置24に移送される。そして、搬送ロボットが、パネル受け渡し装置24に移送された検査パネル12を検査装置10から取り出す。
【0020】
検査ステーション18は、
図1に示すように、パネル受け渡しステーション20からの検査パネル12を保持するワークテーブル26と、該ワークテーブルから間隔を置いて配置される固定板たる矩形の固定枠体28と、該固定枠体に支持された複数のプローブユニット30とを備える。
【0021】
ワークテーブル26は検査パネル12が載置される検査台である。ワークテーブル26は、検査パネル12の電極12aが第1の窓16aに向くように、検査パネル12を保持する。ワークテーブル(検査台)26上の検査パネル12は、筐体14内で第1の窓16aに対応する位置に保持される。ワークテーブル26は、筐体14内に収納されている。ワークテーブル26は、筐体14内に設置された従来におけると同様なXYZθ支持機構(図示せず)により、支持されている。これにより、ワークテーブル26上の検査パネル12の平面位置は、ワークテーブル26と一体的に、調整可能となる。すなわち、検査パネル12の位置はXYZ方向に調整可能である。なお、X方向、及びY方向は、傾斜正面14aと平行な面内において、互いに直交する方向である。Z方向は、XY平面に直角な方向である。さらに、検査パネル12は、Z軸周りの回転姿勢、すなわちθ方向の角度が調整可能である。
【0022】
ワークテーブル26の斜め上方、すなわちワークテーブル26からZ軸方向に沿って傾斜正面14aへ向けての斜め前方には、固定枠体28が筐体14に固定されている。固定体となる固定枠体は、例えば、ワークテーブル26から間隔をおいて配置されている。
【0023】
固定枠体28は、
図2に示す例では、X方向に沿った一対の長辺部28aおよびY方向に沿った一対の短辺部28bを有する。すなわち、固定枠体28は矩形枠状に形成されている。各辺部28a、28bには、プローブステージ板32(32a、32aおよび32b、32b)がそれぞれ配置されている。各プローブステージ板32の上面には、各プローブユニット30を取付けるための凹所32cが形成されている。取付け凹所32cは、プローブステージ板32の長手方向の一方の縁部に沿って該縁部に開放する。取付け凹所32cは、固定枠体28の対応する各辺部28a、28bから固定枠体28の枠内に露出している。各プローブステージ板32は、各辺部28a、28bに沿って配置されている。プローブステージ板32の一部が取付け凹所32c内に配置され、残りが固定枠体28の枠内に突出している。
【0024】
固定枠体28の長辺部28aとプローブステージ板32aとの間には、案内部34が設けられている。同様に、固定枠体28の短辺部28bとプローブステージ板32bとの間には、案内部34が設けられている。案内部34により、プローブステージ板32aは、長辺部28aの長手方向に移動可能な状態で、固定枠体28に支持される。同様に、案内部34により、プローブステージ板32bは、短辺部28bの長手方向に移動可能な状態で、固定枠体28に支持される。例えば、プローブステージ板32aは、X方向に移動し、プローブステージ板32bはY方向に移動する。
また、プローブステージ板32aを長辺部28aに関して移動させるための駆動機構36が長辺部28aに設けられている。同様に、プローブステージ板32bを短辺部28bに関して移動させるための駆動機構36が短辺部28bに設けられている。この駆動機構36は、例えば、電気モータ36aと、ボールねじ部材36bと、雌ねじ部材36cを有するボールねじのような送り機構とで構成することができる。電気モータ36aは、固定枠体28に固定されている。ボールねじ部材36bは電気モータ36aの出力シャフトと一体的に回転可能になっている。雌ねじ部材36cは、ボールねじ部材36bに螺合して、プローブステージ板32に固定されている。
【0025】
図2の例では、検査パネル12の一方の長辺縁部および一方の長辺縁部に沿って電極12aが配列されている。したがって、電極12aに対応する一方の長辺部28aにおいて、プローブステージ板32aにプローブユニット30が取り付けられている。同様に、電極12aに対応する一方の短辺部28bにおいて、プローブステージ板32bにプローブユニット30が取り付けられている。長辺部28aのプローブユニット30には、5つのプローブ組立体38が等間隔をおいて配列されている。短辺部28bのプローブユニット30には3つのプローブ組立体38が等間隔をおいて配列されている。
【0026】
各プローブユニット30は、基本的に同一構成となっている。なお、短辺部28bと長辺部28aのプローブユニットで、プローブ組立体38の個数、後述するアライメントカメラおよびアライメントマークの個数に違いがある。以下、固定枠体28の短辺部28bに設けられるプローブユニット30の例について説明するが、長辺部28aについても同様の構成となる。
【0027】
プローブユニット30は、
図2、
図3、及び
図4に示されているように、全体に矩形板状のサポートベース部材40と、該ベース部材に枢軸機構42の一対の水平軸42aを介して枢着されたプローブベース板44とを含んでいる。プローブベース板44に各懸架機構46を介してプローブ組立体38が支持されている。
【0028】
サポートベース部材40の一方の長辺と一対の短辺とが交わる隅部には、面取り40aが施されている。長辺の両端における面取り40a間には、切欠き部40bが形成されている。切欠部40bは、矩形のプローブベース板44を水平軸42aの回りに回動可能に受け入れる。サポートベース部材40は、
図3に示すように、その他方の長辺に沿った縁部分が取付け凹所32cに嵌合される。この状態で、サポートベース部材40は、プローブステージ板32に取り外し可能に固定される。サポートベース部材40は、ボルトのようなねじ部材48を用いて、プローブステージ板32に固定される。ねじ部材48は、サポートベース部材40の貫通穴40cを貫通しかつ先端がプローブステージ板32bのねじ穴32dに螺合する。この構成によって、プローブベース板44が水平軸42a周りに回動する。
【0029】
プローブベース板44上には、
図3および
図4に示すように、3つのプローブ組立体38がそれぞれ懸架機構46を介して支持されている。3つのプローブ組立体38は、プローブベース板44の長手方向に等間隔をおいて整列している。図示の例では、プローブ組立体38の列の両端には、それぞれアライメントカメラ50が配置されて、対をなしている。さらに、アラインメントカメラ50の下側には、アラインメントカメラ50で撮影可能な透過アライメントマーク52がそれぞれ配置され、対をなしている。各対は、それらの間にプローブ組立体38の列を位置させるように、プローブベース板44に支持されている。アライメントカメラ50は、ワークテーブル26上の検査パネル12に形成されたアライメントマーク(図示せず)とプローブベース板44に支持された透過アライメントマーク52とを重ね合わせた画像を捉える。
【0030】
懸架機構46は、プローブ組立体38に対応して設けられている。各懸架機構46は、
図5に示されているように、プローブベース板44上に固定されるサスペンションベース部材46aと、サスペンションベース部材46aに支持されるスライドブロック46bとを備える。スライドブロック46bは、サスペンションベース部材46aとの間に設けられたリニアスライド機構46cにより上下方向に移動可能である。スライドブロック46bは、ばね機構により、プローブベース板44の干渉を受けることなく、サスペンションベース部材46aに好適に弾性支持されている。なお、図示しないばね機構は、スライドブロック46bの内部に組み込まれた従来よく知られた構成を取ることができる。
【0031】
スライドブロック46bの下端には、プローブ組立体38を取り付けるための取付けブロック46dが固定されている。プローブ組立体38には、その先端から突出するプローブ先端(プローブ針)38aが取り付けられている。プローブ先端38aが下方すなわちワークテーブル26上の検査パネル12に向いた状態で、プローブ組立体38は取付けブロック46dに取り付けられている。よって、プローブ先端38aは、検査パネル12の対応する電極12aに接触する。プローブ組立体38は複数のプローブ針を保持するホルダとなる。
【0032】
また、取付けブロック46dの下端には取付け板46eが固定されている。取付け板46eの下面には、例えばTCPからなる回路基板54が支持されている。この回路基板54には、検査パネル12の駆動信号(検査信号)を生成するための駆動信号生成ICチップ54aが搭載されており、ICチップ54aを含むIC回路が形成されている。プローブ組立体38は、懸架機構46の取付けブロック46dに取付けられる。すると、プローブ組立体38のプローブ針が駆動信号を受けるように、プローブ針の後端38bが回路基板54の対応する導電路に下方から押圧される。これにより、プローブ組立体38のプローブ針が回路基板54に電気的に接続される。
【0033】
回路基板54は、プローブベース板44の下面にスペーサ56を介して支持された中継基板58に接続されている。この中継基板58は、配線60を経て制御信号発生器62に接続されている。したがって、ICチップ54aは、中継基板58および回路基板54の導電路を経て制御信号発生器62からの制御信号を受けることにより、プローブ組立体38の前記各プローブを経て検査パネル12の対応する電極12aに駆動信号を供給する。ICチップ54aは、中継基板58を伝送されたデジタルの制御信号をアナログの駆動信号に変換して出力する。
【0034】
プローブベース板44には、各懸架機構46を介して複数のプローブ組立体38が取り付けられている。プローブベース板44は、
図5に示すように、結合手段64により、サポートベース部材40に固定されている。プローブベース板44は、サポートベース部材40と同一面上に位置する姿勢となっている。
【0035】
結合手段64は、ボルト64aと、結合板64bと、ボルト64dとを備える。結合板64bは、プローブベース板44の下面にボルト64aを介して固定されている。ボルト64dは、結合板64bに形成されたねじ穴64cに螺合する。サポートベース部材40には、ねじ穴64cに整合する挿通孔40dが形成されている。したがって、ボルト64dは、挿通孔40dを貫通して、ねじ穴64cに螺合する。ボルト64dは、サポートベース部材40の上面からサポートベース部材40dを貫通して配置されている。そして、ボルト64dの先端部がねじ穴64cに螺合するように、結合板64bをサポートベース部材40に締め付ける。このボルト64dの締め付けにより、プローブベース板44の水平軸42aの回りの回動が阻止される。よって、プローブベース板44は、前記したように
図5に示す姿勢を保持される。
【0036】
ねじ穴64cが形成された結合板64bをボルト64aでプローブベース板44に固定することに代えて、他の構成を取ることもできる。例えば、図示しないが、ねじ穴64cを有する結合部に代えて、プローブベース板44と一体的に形成され、プローブベース板44から下方向に伸長する伸長部分を用いることも可能である。
さらに、結合手段64には、絶縁部材71、72が設けられている。したがって、結合手段64は、懸架機構46とサポートベース部材40とを絶縁した状態で、懸架機構46をプローブベース板44に固定する。なお、この構成については、後述する。
【0037】
本発明に係る検査装置10では、被検査体である検査パネル12の規格に合うプローブユニット30が選択される。すなわち、検査パネル12の電極12aに対応した適正なプローブ間隔を有するプローブ組立体38が用いられる。さらに、所定の間隔を有して配置された複数のプローブ組立体38を有するプローブユニット30が用いられる。そして、適正なプローブユニット30が、プローブステージ板32に取り付けられる。
【0038】
その後、前記したようにパネル受け渡しステーション20から検査ステーション18のワークテーブル26上に検査パネル12が移送される。そして、アライメントカメラ50により撮影された画像上での透過アライメントマーク52と検査パネル12上の前記アライメントマークとのずれに基づいて、XYZθ支持機構が電極12aとプローブ組立体38の対応するプローブ先端38aとを整合させる。すなわち、ワークテーブル26の位置が適切に調整される。駆動機構36によって、また各プローブユニット30が取り付けられた各プローブステージ板32の位置が微調整される。
【0039】
これらの調整後、XYZθ支持機構の作動により、ワークテーブル26が固定枠体28に向けて移動される。こうすることにより、検査パネル12の電極12aがプローブ組立体38のプローブ先端38aに電気的に接続される。この接続状態で、ICチップ54aからの駆動信号が対応する前記プローブを経て検査パネル12に供給される。すると、その駆動信号に応じて検査パネル12が点灯される。この点等状態を作業員が第1の窓16aを通して観察することにより、点灯検査が行える。
【0040】
本発明に係る検査装置10に設けられた回路基板54の保守点検では、
図5に示したように、結合手段64の結合板64bのねじ穴64cに螺合するボルト64dが緩められる。そして、
図6に示すように、ボルト64dが結合板64bから引き抜かれることにより、結合手段64が解除される。
【0041】
この結合手段64の解除により、プローブベース板44が、サポートベース部材40に対して、水平軸42aの回りに回転される。よって、プローブベース板44上の懸架機構46を介して支持されたプローブ組立体38およびアライメントカメラ50等も、回転する。懸架機構46の下方に配置された回路基板54は、第1の窓16aに向けられる。
【0042】
このプローブベース板44の姿勢の回転によって、回路基板54およびそのICチップ54aは第1の窓16aに向けて露出される。このことから、作業員はワークテーブル26と固定枠体28との間から手を差し入れることなく、第1の窓16aを通してICチップ54aの点検や取り換え作業を行うことが可能となる。さらに、作業員は、重重量のプローブユニット30を各プローブステージ板32から取り外して分離することなく、点検や取り替え作業を行うことが可能になる。よって、従来に比較して楽な姿勢で容易に、点検や取り替え作業を行うことが可能になる。
【0043】
回路基板54の保守点検を容易にするためには、回路基板54をプローブベース板44の上面あるいはサポートベース部材40に上面等に設けることが考えられる。しかしながら、ICチップ54aとプローブ組立体38の前記プロ−ブとの間の接続経路長が増大するため、この接続経路に高周波信号が流れることを考慮すると、ノイズ対策上、好ましくはない。
【0044】
これに対し、本発明に係る検査装置10によれば、回路基板54を懸架機構46の下方でプローブ組立体38に近接して保持することができるので、ICチップ54aとプローブ組立体38との接続距離の増大を招くことなく、したがって、前記したノイズ問題を引き起こすことなく、回路基板54の容易な保守点検作業が可能となる。
【0045】
ここで、結合手段64による結合構造について、
図7を用いて説明する。
図7は、結合手段64とプローブベース板44との結合部分を模式的に示す断面図である。結合板64bの上側には、絶縁部材72が配置され、下側には、絶縁部材71が配置されている。
【0046】
絶縁部材72が、プローブベース板44と結合板64bとの間に介在している。絶縁部材72は、ボルト64aが貫通する貫通穴を備えた絶縁板である。また、ボルト64aは、結合板64bの貫通穴64fを挿通している。絶縁部材71は、ボルト64aの先端部64gと結合板64bとの間に配置されている。絶縁部材71は、ボルト64aによって、先端部64gと結合板64bとの間に固定される絶縁ワッシャである。ボルト64aは、絶縁部材71、結合板64b、絶縁部材72を貫通して、プローブベース板44のねじ穴と螺合する。絶縁部材71、及び絶縁部材72は、プラスチック、アクリル、フッ素系樹脂、テフロン(登録商標)、塩化ビニール、ゴム、ガラスエポキシ樹脂、フェノール系樹脂、セラミック、ガラスなどの絶縁材料によって形成されている。ボルト64aは、結合板64bと接触していない。
【0047】
このように、絶縁部材71、72を設けることで、結合板64bとプローブベース板44とが絶縁した状態で、プローブベース板44をサポートベース部材40に固定することができる。なお、上記の説明では、ボルト64aに対して、絶縁部材71、72を設けたが、ボルト64dに対して、同様の絶縁部材を設けることも可能である。このようにしても、サポートベース部材40とサポートベース部材40とを絶縁した状態で、懸架機構46を固定することができる。
【0048】
プローブ組立体38とサポートベース部材40との間に絶縁部材71,72が介在することで、プローブ組立体38をサポートベース部材40から絶縁することができる。よって、プローブベース板44が筐体14と接続されて、GNDに接地されている場合でも、ノイズの影響を低減することができる。例えば、工場で発生するノイズが筐体14を介して、テスタ回路に影響することを防ぐことができる。
【0049】
ノイズの影響について、
図8、
図9を用いて説明する。
図8は、本実施の形態のように、懸架機構46をサポートベース部材40から絶縁した構成を疑似的に示す回路図である、
図9は、懸架機構46をサポートベース部材40から絶縁した比較例を模式的に示す回路図である。
【0050】
図8に示すように、電源81からの測定電流がテスタ回路83に供給される。なお、テスタ回路83は、プローブ先端(プローブ針)38a、回路基板54、ICチップ54aなどによって構成された回路である。電流計82は、テスタ回路83の抵抗Rに流れる測定電流を測定する。これにより、検査パネル12aの検査が行われる。
【0051】
ここで、テスタ回路83は、懸架機構46との間に容量カップリングされている。すなわち、テスタ回路83と懸架機構46とによって、浮遊容量Cが形成されている。具体的には、プローブ先端(プローブ針)38aや回路基板54の配線が、導電性の懸架機構46と近接して配置されると、浮遊容量Cが発生する。
【0052】
本実施の形態では、
図5、及び
図7に示したように、懸架機構46とサポートベース部材40とが絶縁部材71、72で絶縁されている。このため、筐体14のグランドにノイズNが発生した場合でも、筐体14、及びサポートベース部材40を介してテスタ回路83から漏れ出す電流を抑制することができる。このように、本実施の形態の構成によって、アナログ信号に生じるノイズの影響を低減することができる。
【0053】
制御信号発生器62で発生したデジタル信号をICチップ54aがアナログ信号に変換して、プローブ先端38aに出力している。この場合、ICチップ54aからプローブ先端38aまでの間にノイズが発生してしまうと測定データに生じる影響が大きくなってしまう。また、回路基板54の配線やプローブ先端38aが、懸架機構46の金属部分に非常に近接した箇所があると、浮遊容量Cが大きくなる。回路基板54やプローブ先端部38aと近接した箇所を、筐体14から絶縁することで、ノイズの影響を効果的に抑制することができる。特に、回路基板54と近接するプローブ組立体38、取付け板46e、取付けブロック46d等をサポートベース部材40から絶縁することが好ましい。
【0054】
一方、
図9の比較例に示すように、プローブ組立体38が筐体14と絶縁されていない場合、テスタ回路83に流れる測定電流が、容量カップリングを介して、グランド側に流れてしまう。よって、筐体14のグランドにノイズNが発生すると、テスタ回路83から電流が漏れ出してしまう。
【0055】
このように、本実施形態では、ノイズNによる漏れ電流を抑制することができる。これにより、ノイズの低い環境下で検査を行うことができる。したがって、ノイズの影響を平均化するために、測定のサンプリング回数を増やすことなく検査することができる。よって、短時間での測定が可能となる。さらには、許容以上のノイズが発生して、希望の測定結果が得られなくなることを防ぐことができ、正確な検査を行うことができる。
【0056】
上記の説明では、プローブベース板44とサポートベース部材40を結合する結合手段64に絶縁部材71、72を設けていたが、他の箇所で絶縁することも可能である。すなわち、絶縁箇所は、結合板64bとプローブベース板44の間に限られるものではない。以下、絶縁箇所を変えた場合の変形例について説明する。なお、以下の変形例の説明では、上記と実施形態と共通する部分については説明を省略する。
【0057】
(変形例1)
図10は変形例1を模式的に示す図である。なお、
図10では、懸架機構46等の構成を一部簡略化して図示している。変形例1では、リニアスライド機構46cに絶縁部材73を設けている。スライドブロック46bとサスペンションベース46aとの間に、絶縁部材73が介在している。リニアスライド機構46cが絶縁部材73を介して、サスペンションベース46aに取り付けられている。スライドブロック46bが絶縁部材73を介して、リニアスライド機構46cに取り付けられている。この構成によっても、プローブ組立体38をサポートベース部材40から絶縁することができるため、上記と同様の効果を得ることができる。
【0058】
(変形例2)
図11は変形例2を模式的に示す図である。なお、
図11では、懸架機構46の構成を一部簡略化して図示している。変形例2では、プローブベース板44とサポートベース部材40との間に、絶縁部材74が介在している。すなわち、プローブベース板44が絶縁部材74を介して、サポートベース部材40に取り付けられている。この構成によっても、プローブ組立体38をサポートベース部材40から絶縁することができるため、上記と同様の効果を得ることができる。
【0059】
(変形例3)
図12は変形例3を模式的に示す図である。なお、
図12では、懸架機構46の構成を一部簡略化して図示している。変形例3では、プローブベース板44と懸架機構46との間に、絶縁部材75が介在している。すなわち、
懸架機構46が絶縁部材75を介して、
プローブベース板44に取り付けられている。この構成によっても、プローブ組立体38をサポートベース部材40から絶縁することができるため、上記と同様の効果を得ることができる。
【0060】
(変形例4)
図13は変形例4を模式的に示す図である。なお、
図13では、懸架機構46の構成を一部簡略化して図示している。また、変形例2では、回路基板54の上下に、放熱板79が配置されている。スライドブロック46bとサスペンションベース部材46aとの間には、バネ機構46fが設けられている。よって、上述したように、スライドブロック46bは、プローブベース板44の干渉を受けることなく、サスペンションベース部材46aに好適に弾性支持されている。
【0061】
変形例4では、プローブ組立体38とスライドブロック46bとの間に、絶縁部材76が配置されている。すなわち、プローブ組立体38が絶縁部材76を介して、懸架機構46に取り付けられている。この構成によっても、プローブ組立体38をサポートベース部材40から絶縁することができるため、上記と同様の効果を得ることができる。
【0062】
このように、変形例1〜4の構成でも、プローブ組立体38を筐体14と絶縁することができる。変形例1〜4における絶縁部材の固定は、
図7で示した構成と同様の構成を用いることもできる。もちろん、ねじやボルトを絶縁材料によって形成してもよい。
【0063】
また、実施の形態1、及び変形例1〜4のうちの2以上を組み合わせてもよい。すなわち、絶縁箇所を2か所以上として、プローブ組立体38とサポートベース部材40とを絶縁するようにしてもよい。この場合、絶縁部材を2か所以上に配置する。また、絶縁箇所は、プローブ組立体38により近いことが好ましい。例えば、変形例4の構成では、変形例2の構成よりもノイズ低減の効果が高くなる。
【0064】
上記の説明では、液晶パネルなどの検査パネル12の点灯検査を行う検査装置10について説明したが、本実施音の形態は、点灯検査以外の検査を行う検査装置にも適用可能である。例えば、液晶パネルのTFT基板に対して、アレイ検査を行うことも可能である。アレイ検査を行うことで、検査パネル12に設けられた回路を検査することができる。例えば、アレイ検査では、検査装置が、切断前のマザーガラス基板にプローブ38aを介して駆動信号を供給する。さらには、XRAYフラットパネルディテクタなどディテクタパネルについても、同様の手法により、回路のアレイ検査が可能である。
【0065】
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明はその目的と利点を損なうことのない適宜の変形を含み、更に、上記の実施形態よる限定は受けない。