【文献】
Francis A.J.Kerdesky 他9名著、Synthesis of 2’−O−Benzoyl−3−keto−6−O−propargyl−11,12−carbamoyl Erythromycin A、Organic Process Research & Development、2002年, vol.6、No.6、第869〜875頁
【文献】
Zhaohai J. Zhu 他11名著、Structure−activity relationships of macrolides against Mycobacterium tuberculosis、Tuberculosis、2008年、vol.88(Suppl.1)、第S49〜S63頁
【文献】
Mingwei Chen 他3名著、SYNTHESIS AND BIOACTIVITY OF ERYTHROMYCIN DERIVATIVES、Medicinal Chemistry Research、2003年、Vol.12(3)、第111〜129頁
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0003】
1つまたはそれ以上のデオキシ糖、通常クラジノースおよびデソサミンが接続する大ラクトン環によって特徴付けられるマクロライド抗生物質は、好気性および嫌気性グラム陽性大腸菌に対して活性であり、呼吸器官および軟組織感染の処置のために処方される抗細菌剤である。天然産物のポリケチドクラスに属するマクロライド類は、細菌のリボソームの50Sサブユニットに可逆的に結合すること、タンパク質合成を阻害すること、細菌増殖と再生産を防止することによって機能する。この活性は、高濃度において主に静菌性であるけれども、マクロライド類は殺菌性である。エリスロマイシンと半合成誘導体アジスロマイシンおよびクラリスロマイシンが、市販されているマクロライド抗菌剤である。
【0004】
14−員マクロライドエリスロマイシンAの半合成誘導体であるケトライド類は、呼吸器官感染を処置するために使用するこの薬剤のクラスに属する。これらの薬剤は、細菌のリボソーム上の2つの部分に結合するそれらの能力のために、マクロライド耐性細菌に対して効果的である。テリスロマイシンとセスロマイシンが、この群の抗菌剤に属する。
【0005】
マクロライド類に対する獲得細菌耐性は、まず23S細菌リボソームの転写後メチル 化を通して起こる。これは、マクロライド類、リンコサミド類およびストレプトグラミン類に対する交差耐性となる。非常にまれであるが、獲得耐性はまた、エステラーゼ類またはキナーゼ類のような薬物不活性化酵素の産出、ならびに細胞の外にマクロライド類を輸送する活性ATP−依存流出タンパク質の産出の結果でありうる。肺炎球菌のかなりの画分が、現在利用可能な抗生物質に対して耐性である。したがって、その調製のための工程とともに、新規のマクロライドおよびケトライド抗生物質類が必要である。
【0006】
とりわけ、本明細書にて参考文献によって組み込まれている開示物である、国際公開特許第2004/080391号パンフレットと、その対応発行物である、米国特許第2006/0100164号明細書は、式(I)
【化1】
の、フルオロケトライド類抗生物質を含む、マクロライドおよびケトライド抗生物質類のファミリー、およびその薬理学的に許容可能な塩を開示しており、式中R
10、X、Y、V、W、A、BおよびCは本明細書で記述したようであり、Meはメチルを含み、Etはエチルを示唆する。1つの注目に値するが、限定ではない、式(I)の化合物の例は、ソリスロマイシンであり、OP−1068および/またはCEM−101とも呼ばれる。CEM−101および関連化合物の調製は、参考文献によって本明細書に組み込まれている開示物である、国際公開特許第2009/055557号パンフレットにて記述されている。マクロライド抗菌剤の調製のために国際公開特許第2009/055557号 A1パンフレットにて使用される開始物質はクラリスロマイシンである。そこで記述された工程において、クラリスロマイシンが、2’,4’’−ジ−O−ベンゾイル−6−O−メチルエリスロマイシンAとしても知られるクラリスロマイシンジベンゾエートのような、糖部分のヒドロキシル基がアシル基によって保護されるクラリスロマイシン誘導体に変換され、式(II)
【化2】
の化合物およびその薬理学的に許容可能な塩を形成し、式中Rは本明細書で記述したようである。
【0007】
クラリスロマイシンは、エリスロマイシンAの6−ヒドロキシ基が6−メトキシ基に変換され、マクロライド環の9位のカルボニル基との望まない相互作用が除外され、それによって抗菌作用が安定化する、半合成抗菌剤である。クラリスロマイシンは、種々の工程によって調製されてきた。もっとも広く使用される工程は、エリスロマイシンAから開始し、中間体として、そのオキシム、ついで保護エリスロマイシンA9−オキシム誘導体に変換され、マクロライド環の6−ヒドロキシ基のメチル化の前および後に、ペンダント糖部分のヒドロキシル基およびジメチル基の保護および脱保護が種々含まれる(たとえば、報告された工程の概説について、米国特許第6,515,116号明細書を参照のこと、N−オキシドとして、デソサミニルアミノ基の保護を含む他のアプローチが、米国特許第6,809,188号明細書にて記述される)。糖部分のヒドロキシル基が、アシル基で保護されるクラリスロマイシン誘導体の、続いて、最終マクロライド抗生物質の効率的な産出のために、クラリスロマイシンの調製のための先行技術において使用される保護および脱保護段階を避ける、エリスロマイシンAからの二重保護誘導体の調製が必要である。本明細書で記述したものは、糖部分のヒドロキシル基を、段階数を減少させて、アシル基で保護する、式(II)のクラリスロマイシン誘導体のエリスロマイシンAからの直接産出のための工程である。本明細書はまた、式(II)の化合物から式(I)の化合物を調製するための工程も記述している。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の1つの具体的実施形態において、工程が、式(I)
【化3】
の化合物およびその薬理学的に許容可能な塩を調製するために記述され、式中
R
10は水素、アシルまたはプロドラッグ部分であり、
XはHであり、YはOR
7であり、そこでR
7はそれぞれが任意に置換されるモノサッカライド、ジサッカライド、アルキル、アリールアルキル、またはヘテロアリールアルキルであり、またはアシルまたはC(O)NR
8R
9であり、そこでR
8およびR
9はそれぞれ独立して、それぞれが任意に置換される水素、ヒドロキシ、アルキル、ヘテロアルキル、アルコキシ、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリールおよびヘテロアリールアルキルからなる群、ジメチルアミノアルキル、アシル、スルホニル、ウエイドおよびカルバモイルからなる群より選択され、またはR
8およびR
9は接続した窒素と一緒に、任意に置換されたヘテロ環状を形成し、またはXおよびYは接続した炭素と一緒にカルボニルを形成し、
VはC(O)、C(=NR
11)、CH(NR
12,R
13)またはN(R
14)CH
2であり、そこでN(R
14)はC−10炭素に接続し、R
11はヒドロキシまたはアルコキシであり、R
12およびR
13はそれぞれ独立して、それぞれ任意に置換される、水素、ヒドロキシ、アルキル、アルコキシ、ヘテロアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリールおよびヘテロアリールアルキルからなる群、ジメチルアミノアルキル、アシル、スルホニル、ウレイドおよびカルバモイルからなる群より選択され、R
14は、それぞれ任意に置換される、水素、ヒドロキシ、アルキル、アルコキシ、ヘテロアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリールであり、またはヘテロアリールアルキル、またはジメチルアミノアルキル、アシル、スルホニル、ウレイドまたはカルバモイルであり、
WはH、F、Cl、Br、IまたはOHであり、
AはCH
2、C(O)、C(O)O、C(O)NH、S(O)
2、S(O)
2NH、またはC(O)NHS(O)
2であり、
Bは(CH
2)
nであり、式中nは0〜10の整数であるか、2〜10炭素の無飽和炭素鎖であり、
Cは、それぞれ任意に置換される水素、ヒドロキシ、アルキル、アルコキシ、ヘテロアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリールまたはヘテロアリールアルキルであり、またはアシル、アルコキシ、スルホニル、ウレイドまたはカルバモイルである。
【0009】
他の具体的実施形態において、工程は式(II)
【化4】
の化合物およびその薬理学的に許容可能な塩を調製するために記述されており、式中Rはアシル基である。他の実施形態において、Rはベンゾイルのようなヒンダードアシル基である。
【0010】
他の実施形態において、式(III)
【化5】
の化合物およびその酸化円塩をアシル化剤と接触させ、式(IV)
【化6】
の化合物またはその酸添加塩を調製する段階(a)を含む工程が、本明細書中に記述されており、各例で、オキシム酸素との組み合わせでQはアセタールまたケタールを形成し、またはQはトロフィルであり、Rはアシル基である。他の実施形態において、工程の段階(a)には塩基が含まれる。
【0011】
他の具体的実施形態において、本明細書で記述したような式(IV)の化合物をまたはその酸添加塩を、メチル化剤と接触させ、式(V)
【化7】
の化合物またはその酸添加塩を調製する段階(b)を含む工程が本明細書で記述しており、式中、QとRは本発明の他の実施形態で記述されている様なものである。他の実施形態において、段階(b)は塩基を含む。他の実施形態において、工程の段階(b)は比プロトン性極性溶媒を含む。
【0012】
他の具体的実施形態において、本明細書で記述したような式(V)の化合物またはその酸添加塩を、脱オキシム化薬剤と接触させ、式(II)
【化8】
の化合物またはその酸添加塩を形成する段階(c)を含む工程が本明細書で記述されており、式中、Rは本明細書の他の実施形態において記述されている。
【0013】
各段階(a)、(b)および(c)は、さらなる実施形態において組み合わせてよいことが理解されるべきである。本明細書で記述したそれぞれの段階(a)、(b)および(c)の変法を、さらなる実施形態にて制限なしに組み合わせてよいことがさらに理解されるべきである。たとえば、他の具体的工程は、アシル化段階(a)を含み、さらにメチル化段階(b)を含み、さらに脱オキシム化段階(c)を含む。他の具体低工程は、メチル化段階(b)を含み、さらに脱オキシム化段階(c)を含む。他の具体的工程は、アシル化段階(a)を含み、さらにメチル化段階(b)を含み、さらに脱オキシム化段階(c)を含み、さらに式(II)の化合物を式(I)の化合物へ変換するために国際公開第2009/055557号パンフレットにて記述された段階を含む。
【0014】
他の実施形態において、Rがベンゾイルである式(IV)の化合物のような、化合物(IV)の化合物またはその酸添加塩を調製するための工程が、本明細書で記述されており、そこで工程には本明細書で記述したような式(III)の化合物またはその酸添加塩を、無水安息香酸として呼ばれる、無水ベンゾイルのようなアシル化剤と接触させ、式(IV)またはその酸添加塩を形成する段階が含まれる。他の変法において、段階は、塩基の存在下で実施される。
【0015】
他の実施形態において、本明細書で記述されたような、式(V)またはその酸添加塩の化合物を調製するための工程で、そこで工程は、本明細書で記述したような式(V)の化合物またはその酸添加塩を、メチル化剤と接触させ、本明細書で記述したような式(V)の6−O−メチル化合物またはその酸添加塩を形成する段階を含む。1つの変法において、段階は、塩基の存在下で実施する。他の変法において、段階は、非プロトン性極性溶媒中で実施する。他の変法において、段階は、塩基の存在下、非プロトン性極性溶媒中で実施する。
【0016】
他の実施形態において、Rがベンゾイルである式(II)の化合物を含む、化合物(II)または任意の以上の酸添加塩を調製する方法が本明細書で記述されており、そこで工程には、本明細書で記述したような式(V)の化合物またはその酸添加塩を、脱オキシム剤と接触させて、式(II)の化合物またはその酸添加塩を形成する段階が含まれる。
【0017】
任意の以上の工程の他の具体的実施形態において、QはO−保護器基である。一つの変法において、オキシム酸素との組み合わせで、Qはアセタールまたはケタールを形成するか、またはQはトロピルである。他の具体的実施形態において、Rはアシル基である。他の具体的実施形態において、QはO−保護基である。他の変法において、オキシム酸素との組み合わせでQはアセタールまたはケタールを形成し、またはQはトロピルであり、Rはアシル基である。
【0018】
任意の以上の工程の他の具体的実施形態において、QはC(R
A)(R
C)(OR
B)であり、式中
R
Aは式CH
2R
Dの一群であり、そこでR
Dは水素、(1〜3C)アルキルまたは(1〜6C)アルコキシであり、
R
Bは(1〜6)アルキル、(5〜7C)シクロアルキル、フェニルまたはアリールアルキルであり、
R
Cは水素、(1〜4C)アルキル、フェニルまたはアリールアルキル、または前述の任意であり、
R
BとR
Dは一緒にエチレン、プロピレンまたはトリメチレン基を形成し、または
R
BおよびR
Dは一緒に、さらに1〜3の(1〜3C)アルキル置換基で置換されてよい(3〜5C)アルカンジイル基を形成し、または
R
BとR
Cは一緒に(3〜4C)アルカンジイル基を形成する。
【0019】
前述工程の任意の他の実施形態において、Qは2−メトキシ−2−プロピル、1−メトキシシクロヘキシル、または1−イソプロポキシシクロヘキシルである。前述工程の任意の他の実施形態において、Qは2−メトキシ−2−プロピルである。
【0020】
本明細書で記述したような式(III)の化合物を、R
Eが(1〜6C)を、アルコキシであるか、R
AとR
Eが一緒に二重結合によって連結した式CHRDの基を形成する、式RE−C(R
A)(R
C)(OR
B)の相応する化合物とエリスロマイシンA 9−オキシムを接触させることによって調製してよい。段階は、酸性触媒の存在下、たとえば塩酸ピリジンの存在下で実施してよい。他の変法において、段階を、2−メトキシプロペンを用いて実施して、Qが2−メトキシ−2−プロピルである、式(III)の化合物を形成する。他の変法において、段階を、過剰な2−メトキシプロペンを用いて、塩酸ピリジンの存在下、約0℃〜約室温まで、ジクロロメタン中で実施する。他の変法において、Qはトロピルであり、式(III)の化合物を、非プロトン性極性溶媒中、エリスロマイシンA−9をトロピリウムテトラフルオロボレートと反応させることによって調製してよい。
【0021】
本明細書で記述した任意の工程の他の実施形態において、Rはベンゾイル基のような、立体障害アシル基である。本明細書で記述した任意の工程の他の実施形態において、Rはアセチルではない。理論にとらわれず、立体障害基Rの利用が、工程、および/または工程の単離された産物の純度を改善してよいことが、本明細書で信じられている。C−5サッカライド上に存在するアセチル基のような障害のないアシル基が、マクロライド上の他の位置へ、たとえばデソサミン部分の2’−ヒドロキシ基から、側鎖のアミノ基まで移動してよい。立体障害基Rの利用は、そのような移動を減少させる、および/または起きないようにし、これは、工程の改善および/または工程の単離された産物の純度の改善を導く。
【0022】
本明細書で記述した任意の工程の他の実施形態において、Rはベンゾイルである。
【0023】
本明細書で記述した任意の工程の他の実施形態において、段階(a)を、相当するアシル基Rの無水物、酸ハロゲン化物、または活性化エステルである、アシル化剤で実施する。本明細書で記述した任意の工程の他の実施形態において、アシル化剤は、アシル基Rの無水物である。本明細書で記述した任意の工程の他の実施形態において、式(III)の化合物の一等価物に対して、アシル化剤の約2〜約6等価物を使用する。本明細書で記述した任意の工程の他の実施形態において、四級アミンのような塩基が段階(a)に含まれる。本明細書で記述した任意の工程の他の実施形態において、塩基は、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、または4−メチルモルホリン、またはそれらの組み合わせである。本明細書で記述した任意の工程の他の実施形態において、式(III)の式の化合物1等価物に対して、約1〜約4等価物の塩基を使用する。本明細書で記述した任意の工程の他の実施形態において、アシル化は、式(III)の式の化合物一等価物に対して、約0.5〜約2.5等価物の存在下で実施する。本明細書で記述した任意の工程の他の実施形態において、アシル化触媒は、4−ジメチルアミノピリジンである。
【0024】
本明細書で記述した任意の工程の他の実施形態において、メチル化薬剤は、臭化メチル、ヨウ化メチル、硫酸ジメチル、p−トルエンスルホン酸メチル、またはメタンスルホン酸メチルである。他の実施形態において、メチル化剤はヨウ化メチルである。本明細書で記述した工程の他の実施形態において、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、ナトリウムヒドリド、カリウムヒドリド、またはカリウムt−ブトキシドまたはそれらの混合物のような、塩基をメチル化剤との組み合わせで使用する。他の実施形態において、メチル化剤と一緒に使用される塩基は水酸化カリウムである。他の実施形態において、メチル化段階は、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、1−メチル−2−ピロリドン、それらの混合物、または1つまたはそれ以上のテトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエタン、アセトニトリルまたは酢酸エチルとの任意のこれらの溶媒の混合物のような、非プロトン性極性溶媒中で実施する。本明細書で記述した任意の工程の他の実施形態において、メチル化段階を、約−15℃〜約60°の温度にて実施する。式(IV)の化合物のメチル化のための、本発明で記述した工程の他の実施形態は、メチル化段階を、約0℃〜約30℃の温度にて実施するものである。
【0025】
Rがベンゾイルである、式(IV)の化合物のメチル化段階を、式(IV)の化合物上に存在する任意のまたは本質的に任意のベンゾエートエステルの開裂なしに実施することが、予期せず発見された。
【0026】
図解的に、O−脱保護によってのような、官能基Qの除去、および/または脱オキシム化によってのような、ケトンを形成するためのC−9でのオキシム基の除去を、多数の従来の工程および/または試薬を用いて実施してよい。図解的脱オキシム方法には、加水分解、酸化および還元条件が含まれるが、それらに限定はされない。1つの実施形態において、脱オキシム化薬剤には、還元剤が含まれる。脱オキシム化剤の図解的実施形態には、亜硫酸水素ナトリウム、ピロ硫酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、ハイドロサルファイトナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、重亜硫酸ナトリウム、ナトリウムジチオネート、亜硫酸水素カリウム、チオ硫酸カリウムおよびメタ重硫酸カリウム、およびそれらの混合物のような無機硫黄酸化物が含まれるが、これらに限定はされない。本明細書で記述した任意の工程の他の実施形態において、脱オキシム化剤は、メタ重硫酸ナトリウムまたは重硫酸ナトリウム、またはこれらの混合物である。O−脱保護を、脱オキシム化の前に実施してよく、またはO−脱保護と脱オキシム化を、ギ酸のような酸と、脱オキシム剤を使用することによる、連続的に、一斉に(concurrently)、同時に(contemporaneously)、または同時に(simultaneously)のいずれかでの処理によって、一段階で実施してよい(ワンスポット)ことが理解されるべきである。
【0027】
本明細書で記述した任意の工程の他の実施形態において、C−9オキシムをカルボニルへ変換する段階、式(V)の化合物を接触させることによって実施し、そこで、室温〜およそ溶媒の沸点までの範囲の温度で、脱オキシム化剤は、水性アルコール性溶液中、ギ酸およびメタ重硫酸ナトリウムを含む。
【0028】
Rがベンゾイルである、式(V)の化合物から、O−保護基Qを除去し、オキシムを除去することが、式(V)の化合物上に存在するベンゾエートエステルの任意の、および本質的に任意の開裂なしに実施されてよいことが、予期せず発見された。
【0029】
種々の亜属、種および本明細書で記述された化合物を、本明細書で記述した工程の種々の実施形態によって作製してよいことが理解されるべきである。たとえば、本明細書の任意の工程の他の実施形態において、VはC(O)であり、および/または
R
7はアミノ糖またはハロ糖であり、または
R
7は、4−ニトロ−フェニルアセチルまたは2−ピリジルアセチルであり、または、
XおよびYは接続した炭素と一緒にカルボニルを形成し、および/または
AはCH
2であり、および/または
Bはアルケニレンであり、および/または
Bは(CH
2)
nであり、式中nは2〜6、2〜5、2〜4、2〜3、または3であり、および/または、
Cはアミノフェニルであり、または
Cは3−アミノフェニルであり、および/または
Wはフルオロであり、または
Wは水素であり、および/または
R
10は水素またはアシルであり、または
R
10は水素であり、または
R
10はベンゾイルである。
【0030】
本明細書で記述した任意の工程の他の実施形態において、式(I)の化合物はCEM−101またはその薬理学的に許容可能な塩、溶媒和物または水和物である。化合物CEM−101は、Chemical Abstracts Registry Number760981−83−7を持ち、化合物の構造は以下のようである。
【化9】
【0031】
本明細書で使用するところの語句「アルキル」は、単独または組み合わせで、1〜約30の炭素、より好ましくは1〜12の炭素を持つ任意に置換された直鎖、任意に置換された分岐鎖、または任意に置換された環状アルキル基を意味する。アルキル基の例には、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、tert−アミル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチルなどが含まれる。「低級アルキル」は、より短いアルキル、たとえば、1〜約6炭素原子を含むものである。
【0032】
語句「アルコキシ」は、アルキルエーテル基、アルキル−Oを意味し、語句アルキルは以上のような定義である。アルコキシ基の例には、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、イソ−ブトキシ、sec−ブトキシ、tert−ブトキシなどが含まれる。
【0033】
語句「アルケニル」は、単独または組み合わせで、1つまたはそれ以上の炭素−炭素二重結合を持ち、2〜約30炭素原子、より好ましくは2〜約18炭素を持つ、任意に置換された直鎖、任意に置換された分岐鎖、または任意に置換された環状アルケニル炭化水素基を意味する。アルケニル基の例には、エテニル、プロペニル、ブテニル、1,4−ブタジエニルなどが含まれる。本語句はまた、環状アルケニル構造を包囲可能である。「低級アルケニル」は、2〜約6炭素を持つアルケニルを意味する。
【0034】
語句「アシロキシ」は、エステル基OC(O)−Rを意味し、式中RはH、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリールまたはアリールアルキルであり、アルキル、アルケニル、アルキニルおよびアリールアルキル基は任意に置換されてよい。
【0035】
語句「アシル」には、カルボニル官能性を介して化合物と接続するアルキル、アリール、ヘテロアリール、アリールアルキルまたはヘテロアリールアルキル置換基(たとえばCO−アルキル、CO−アリール、CO−アリールアルキルまたはCO−ヘテロアリールアルキルなど)が含まれる。
【0036】
語句「ヘテロアルキル」は一般的に、炭素と少なくとも1つのヘテロ原子両方を含む原子の鎖を意味する。具体的ヘテロアルキルには、窒素、酸素、硫黄が含まれる。
【0037】
本明細書で使用するところの語句「アリール」には、それぞれ任意に置換されてよい、モノ環状およびポリ環状芳香族炭素環状および芳香族ヘテロ環状基が含まれる。本明細書で使用するところの語句「ヘテロアリール」には、それぞれ任意に置換されてよい、芳香族ヘテロ環状基が含まれる。本明細書で記述した具体的炭素環状芳香族基には、フェニル、ナフチルなどが含まれるが、これらに制限はされない。具体的ヘテロ環状芳香族基には、ピリジニル、ピリミジニル、ピラジニル、トリアジニル、テトラジニル、キノリニル、キナゾリニル、キノキサリニル、チエニル、ピラゾリル、イミダゾイル、オキサゾリル、チアゾリル、イソキサゾリル、イソチアゾリル、オキサジアゾーリル、チアジアゾリル、チアゾリル、ベンズイミダゾリル、ベンゾキサゾリル、ベンズチアゾリル、ベンズイソキサゾリル、ベンズイソチアゾリルなどが含まれるが、これらの制限はされない。
【0038】
語句「アリールアルキル」は、1つまたはそれ以上の未置換、または置換モノ環状またはポリ環状アリール基で置換されたアルキル基を意味する。図解アリールアルキル基には、ベンジル、ジフェニルメチル、トリチル、2−フェニルエチル、1−フェニルエチル、2−ピリジルメチル、4,4’−ジメトキシトリチルなどが含まれる。
【0039】
語句「アルキルアリール」は、アルキル基で置換されたアリール基を意味する。
【0040】
語句「スフホニル」は、SO
2−Rを意味し、式中RはH、アルキルまたはアリールである。
【0041】
語句「サッカライド」は、それぞれ任意に置換されてよい、モノサッカライド、ジサッカライドおよびポリサッカライドが含まれる。本語句はまた、アミノ、アミド、ウレイル、ハロゲン、ニトリルまたはアジド基で任意に置換された糖およびデオキシ糖も含む。具体例には、グルコサミン、N−アセチルグルコサミン、デソサミン、ホロサミン、シアル酸などが含まれる。
【0042】
語句「活性化エステル」には、4−ニトロフェニルエステルおよびカップリング剤から誘導された活性化エステルまたは無水物を含む、ヒドロキシ基の水素が、結果として良好な脱離基の形成となる基で置換された、カルボン酸誘導体が含まれる。
【0043】
他の実施形態において、式(IV)の化合物
【化10】
とその酸添加塩が記述され、式中、QおよびRは本明細書種々の実施形態で記述されたようである。
【0044】
他の実施形態において、式(V)の化合物
【化11】
とその酸添加塩が記述され、式中、QおよびRは本明細書種々の実施形態で記述されたようである。
【0045】
式(I)、(II)、(III)、(IV)および(V)の化合物それぞれが、デソサミニル部分上でジメチルアミノ基を含むので、化合物は、酸添加塩を形成しうることが本明細書で理解される。したがって、医薬品製造での使用のため、または医薬品製造での使用のために好適な遊離塩基を提供するために好適な式(I)、(II)、(III)、(IV)および(V)の化合物の任意の酸添加塩が本明細書で記述されており、本明細書で記述された発明中に含まれるべきであることが理解される。
【0046】
以上および以下の実施形態のそれぞれにおいて、式は、化合物のすべての薬理学的に許容可能な塩のみを含み、表すのではなく、任意のそしてすべての化合物式の水和物および/または溶媒和物も含むことが理解されるべきである。ヒドロキシ、アミノなどの基のような特定の官能基が、化合物の種々の物理的形態において、化合物を水および/または種々の溶媒と複合体および/または配位化合物を形成することが理解される。したがって、上記式は、それらの種々の水和物および/または溶媒和物を含み、表すことが理解されるべきである。以上および以下の実施形態それぞれにおいて、式が、個々に、そして任意およびすべての可能性ある混合物中両方で、立体異性体および幾何異性体のような、それぞれ可能性のあるアイソマーを含み、表すことも理解されるべきである。以上および以下の実施形態それぞれにおいて、式は、化合物の任意のおよびすべての結晶質形態、部分的に結晶質形態、および非結晶質および/または非結晶質形態を含み、表すことも理解されるべきである。たとえば、具体的結晶形態が、そのすべてが本明細書にて組み込まれている開示物である、同時継続PCT国際特許第PCT/US2011/029424号明細書にて記述されている。
実施例
【0047】
以下の実施例は、本発明の特定の実施形態をさらに解説するが、以下の具体的実施例は、本発明を制限するとはいずれにしろ解釈されるべきでない。実施例中で使用される略語は以下が含まれる。DCM、ジクロロメタン、DMAP、4−ジメチルアミノピリジン、DMSO、ジメチルスルホキシド、EA、酢酸エチル、
1H−NMR、水素各磁気共鳴分析、MeOH、メタノール、Mw、分子量、RT室(周囲)温、THF、テトラヒドロフラン、TLC、薄層クロマトグラフィー。
【0048】
実施例 エリスロマイシンA9−オキシム(1)の合成。MeOH(23mL)中のエリスロマイシンA(15g、20.4mmol)、NH
2OH.HCl(7.3g、105mmol)およびトリエチルアミン(7g、69mmol)を、一晩還流まで熱する。白色固体が反応の間に形成される。反応混合液を小容量まで濃縮する。残余物を得るために、混合液のpHが約10〜11に達するまで0℃にて希釈NH
4OH水溶液を加える。さらに固体沈殿物が混合液より発生する。混合液を濾過し、回収した固体を水で洗浄し、真空下で乾燥させて、93%収率にて、白色顆粒固体として14.2gの1を得る。得られた1のTLC解析(DCM:MeOH:NH
4OH=90:10:1)により、Z−アイソマーに相当する、少量のさらなる化合物(下スポット)が示されている。得られた1の質量解析が、Mw=749でピークを示した、表題化合物に相当する。産物の
1H−NMR解析が、表題化合物と一致し、また(1)とそのHCl塩の混合物が示される。産物を精製なしに使用する。
【0049】
実施例 (1)の大規模調製。メタノール(325ml)中のエリスロマイシン(250g、0.34mmol)と水酸化ヒドロキシアミン(80.3g、1.15mmol)を、トリエチルアミン(45g、0.44mmol)の存在下、還流下で熱する。反応を、溶出液として、トルエン/トリエチルアミン(8:2)を用いるTLCによってモニタする。完了後(およそ24時間)、反応液を徐々に冷却し、0〜5℃にて1時間攪拌し、濾過し、冷却メタノール(100mL)で洗浄する。しめった固体(265g)を、イソプロピルアルコール(350mL)中に懸濁させ、50〜55℃まで熱し、その後2時間かけて、水性アンモニア(650mL)をくわえる。溶液を1時間、50〜55℃にて攪拌し、徐々に10〜15℃まで冷却し、2時間維持する。固体を濾過し、水で洗浄し、80〜85℃にて12時間乾燥させて186gを単離する。約3%の相当するZ−オキシムアイソマーがHPLCによって観察される。調製を以下のように、相当するスケールの他の試薬で繰り返す。
【表1】
【0050】
実施例 式(III)、Q=2−メトキシ−2−プロピルの化合物(9)の合成。無水ジクロロメタン(DCM、21mL)中の溶液(1)(3g、4mmol)の溶液に、0℃にて2−メトキシプロペン(1.5g、20.8mmol)と、続いて塩酸ピリジン(0.72g、6.2mmol)を加える。添加後、反応混合液をRTにて30分間、0℃にて攪拌する。変換を、反応混合液のTLC解析によってモニタする(DCM:MeOH:NH
4OH=90:10:1)。変換が不完全の場合、混合液を0℃に冷却し直し、さらに0.5gの2−メトキシプロペン(6.9mmol)を加える。混合液を0℃にてさらに5時間攪拌する。変換が不完全の場合、さらに0.5gの2−メトキシプロペン(6.9mmol)、続いてさらに0.1gの塩酸ピリジン(0.86mmol)を、0℃にて反応混合液に加える。反応混合液をさらに15分間0℃にて攪拌する。変換の完了に際し、反応混合液を、飽和水性NaHCO
3溶液で希釈する。DCM層を分離し、水槽をDCMで抽出する。DCM層を合わせて食塩水で洗浄し、MgSO
4上で乾燥させ、乾燥まで濃縮して、定量可能収率で、白色泡として3.3gの未精製産物を得る。産物の質量解析は、Mw=821を示し、表題化合物に相当し、また861の分子量に非常にマイナーなピークが存在する。産物の
1H−NMRは、表題化合物に一致し、少量の2−メトキシプロパン−2−オールとピリジンが存在する。産物をさらなる精製なしに使用する。
【0051】
実施例 式(IV)、Q=2−メトキシ−2−プロピル、R=ベンゾイルの化合物(10)の合成。 酢酸エチル(6.5mL)中の(9)(4.1g、5mmol)の溶液に、RTにて、無水ベンゾイル(4.5g、20mmol)、続いてトリエチルアミン(1.26g、12.5mmol)およびDMAP(0.9g、7.4mmol)を加える。得られた混合液を、RTにて36時間攪拌する。反応混合液を、飽和水性NaHCO
3溶液で希釈する。EA層を分離し、水槽をEAで抽出する。EA層をあわせて食塩水で洗浄し、MgSO
4上で乾燥させ、濾過して乾燥剤を除去し、乾燥まで濃縮する。得られた残余物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(DCM:MeOH:NH
4OH=97:3:0.3)にかけて、白色固体として80%収率で、4.2gの10を得る。精製した産物の質量解析が、Mw=1029を示し、表題化合物に相当する。
1H−NMRは表題化合物と一致する。
【0052】
実施例 (9)の大規模調製。エリスロマイシンオキシム(1)(200g、026mol)をDCM(1.4L)中に希釈し、容量を大気圧下、蒸溜によって1Lまで減少させる。反応液を0〜5℃まで冷却した後、2−メトキシプロペン(80g、1.1mol)とピリジンヒドロブロマイド(50g、0.31mol)を加え、20〜25℃にて3時間攪拌する。質量分析により(9)の存在を確認した。単離しないで、無水安息香酸(211g、0.93mol)、トリエチルアミン(54g、0.53mol)、DMAP(48.8g、0.40mol)を加え、反応を、30℃にて24時間続ける。反応をTLCによってモニタし、質量分析によって解析する。完了後、飽和重炭酸ナトリウム(1L)を加え、15分間攪拌し、静置する。層を分離し、有機層を濃縮する。物質を、48〜51%の収率で190gまで単離する。調製を、相当するスケールの他の試薬で以下のように繰り返す。
【表2】
【0053】
連続するバッチからの未精製産物をあわせ(450g)、EA(4.5L)中で、透明溶液まで希釈し、飽和重炭酸ナトリウム(2.2L)、水(2.2L)および食塩水(2.2L)で洗浄し、濃縮する。単離産物を、IPE/n−ヘキサンから、360g(84%)に結晶化する。
【0054】
実施例 式(V)、Q=2−メトキシ−2−プロピル、R=ベンゾイルの化合物(11)の合成。 無水THF(15mL)と無水DMSO(15mL)中の(10)(3.8g、3.7mmol)の溶液を0℃まで冷却する。0℃にて、粉末化KOH(0.46g、8.2mmol)、続いてヨウ化メチル(1.06g、7.5mmol)を加える。得られた反応混合液を0℃にて5分間攪拌し、つづいて薄いペーストとなり、攪拌を停止する。混合液をRTまで5分間温め、薄いペーストが残り、15mLのTHFおよび15mLのDMSOによって、自由流動懸濁液まで希釈する。混合液をRTにてさらに0.5時間攪拌し、飽和水性NaHCO
3溶液で希釈し、酢酸エチルで抽出する。酢酸エチル抽出液を食塩水で洗浄し、MgSO
4上で乾燥させ、乾燥するまで濃縮する。単離した残余物を、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(DCM:MeOH:NH
4OH=97:3:0.3)によって、白色固体として73%収率で、2.83gの(11)まで精製する。質量解析は、Mw=1043)を示し、Mw=1057のマイナーピークとともに、表題化合物に相当する。
1H−NMRは表題化合物と一致する。
【0055】
実施例 (11)の大規模調製。ベンゾイル化オキシム(10)(100g、0.09mol)を、トルエン(1.8L)中に溶解し、溶液を真空下蒸溜して、トルエン(300mL)を除去し、15℃まで冷却し、DMSO(1.5L)で希釈する。5℃まで冷却した後、ヨウ化メチル(20.5g、0.14mol)、続いてKOH(10.8g、0.19mol)を加え、反応を3時間続ける。反応を、40%ジメチルアミン(22g)の添加によって停止し、反応液の温度をRTまで上昇させ、攪拌しながら水(500mL)で洗浄する。層を分離し、水層をトルエン(500mL)で抽出する。有機層をあわせ、水(2L)で洗浄し、有機層を真空下蒸留によって濃縮する。単離した産物をIPE(500mL)中で5時間攪拌し、82gの表題化合物まで濾過し、さらなる精製なしに使用する。調製を、相当するスケールの他の試薬で以下のように繰り返す。
【表3】
【0056】
実施例 クラリスロマイシンジベンゾエート、式(II)、R=ベンゾイルの合成。エタノール(8mL)および水(8mL)中の(11)(800mg、0.78mmol)の溶液に、RTにてメタ重硫酸ナトリウム(740mg、3.89mmol)を加える。得られた混合液を、ギ酸(1.5mL)を加えることによって、pH2〜3に調整する。混合液を60℃にて1時間熱する。変換を、質量分析によってモニタする。不完全な場合、または大量の脱保護オキシム中間体(Mw=971)を示す場合、さらに2gのメタ重硫酸ナトリウム(10.5mmol)を加える。混合液を、さらに7時間、60℃にて攪拌し、RTまで冷却する。白色固体沈殿が、反応進行とともに形成される。反応混合液を、希釈水性NaHCO
3溶液にて、pH8〜9まで中和し、得られた混合液を濾過する。単離した白色固体を、760mgのクラリスロマイシンジベンゾエートまで、真空下乾燥させる。未精製産物を、他の調製から得た物質(約200mg)とあわせ、シリカゲルカラムクロマトグラフィーによって、79%収率にて、730mgのクラリスロマイシンジベンゾエートまで精製する。質量分析は、Mw=956を示し、表題化合物に相当し、(11)中のキャリーオーバー不純物に関与する、Mw=970のマイナーピークが伴う。
1H−NMRは表題化合物に一致する。
【0057】
実施例 クラリスロマイシンベンゾジエートの大規模調製。メチル化オキシム(11)(80g、0.07mol)を、無水アルコール(400mL)中に溶解する。水(400mL)、続いて重硫酸ナトリウム(72g、0.69mol)およびギ酸(21g)を加える。反応液を、6時間還流まで熱し、RTまで冷却し、水(400mL)で希釈する。反応液を、10〜15℃まで冷却し、25% NaOH(160ml)をゆっくり加える。混合液を2時間攪拌し濾過する。単離した固体を水(500mL)で洗浄し、酢酸エチル(400mL)中に溶解する。有機層を水(400mL)、ついで食塩水(400mL)で洗浄し、ついで濃縮する。単離した物質を、酢酸エチル(1.7T)より、40.8g(95%収率)まで結晶化する。あるいは、単離した物質を、IPA/IPE89〜90%収率より結晶化する。調製を、相当するスケールの他の試薬で以下のように繰り返す。
【表4】