(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記キャパシタンスが補正された検体濃度は、前記キャパシタンスが第1のキャパシタンス閾値未満であり、かつ、前記第1の検体濃度が第1の検体濃度閾値よりも大きいときに、計算される、請求項14に記載の方法。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下の発明を実施するための形態は、異なる図面中の類似要素に同一に番号が付けられている図面を参照して読むべきである。必ずしも原寸に比例していない図面は、選択された実施形態を示し、本発明の範囲を制限するよう意図されていない。発明を実施するための形態は、制限としてではなく、例として本発明の原理を示す。
【0020】
本明細書で使用される場合、あらゆる数値または範囲のための用語「約」または「およそ」は、構成要素の部分または集合体が、本明細書に説明されるその意図された目的のために機能できるようにする適切な寸法公差を示す。さらに、本明細書で使用される場合、用語「患者」、「ホスト」、「ユーザ」、および「被験者」は任意の人間の被験者または動物の被験者を指し、人間の患者での本発明の使用が好ましい実施形態を表しているが、システムおよび方法を人間の使用に制限するよう意図されていない。
【0021】
ここで、特定の例示的な実施形態が、本明細書に開示されるシステムおよび方法の構造、機能、製造、および使用の原理の全体的な理解を与えるために説明される。これらの実施形態の1つまたは複数の例は、添付図面に示されている。当業者は、本明細書に具体的に説明され、添付図面に示されるシステムおよび方法が、非制限的な例示の実施形態であること、および本開示の範囲が特許請求の範囲によってのみ定められることを理解する。1つの例示的な実施形態に関連して示される、または説明される特徴は、他の実施形態の特徴と組み合わされてよい。かかる変更形態および変形形態は、本開示の範囲内に含まれるよう意図される。
【0022】
本開示のシステムおよび方法は、多種多様な試料中の多種多様な検体の決定での使用に適しており、特に全血、血漿、血清、間質液、またはその派生物での検体の決定での使用に相応しい。例示的な実施形態では、対向する電極を備えた薄層セル設計、および高速(たとえば、約5秒の分析時間)であるトライパルス(tri−pulse)電気化学検出に基づいたグルコース検査システムは、小量の試料(たとえば、約0.4μL)を必要とし、血糖測定値の信頼性および確度の改善を実現できる。検体を検査するための反応セルでは、試料中のグルコースは、グルコースデヒドロゲナーゼを使用してグルコノラクトンに酸化することができ、電気化学的に活性の媒介物質が該酵素からパラジウム作用電極に電子を往復輸送するために使用できる。さらに詳細には、反応セル中の電極のうちの少なくとも1つを被覆する試薬層は、ピロロキノリンキノン(PQQ)補因子およびヘキサシアノ鉄酸塩をベースにしたグルコースデヒドロゲナーゼ(GDH)を含むことができる。別の実施形態では、PQQ補因子をベースにした酵素GDHは、フラビンアデニンジヌクレオチド(FAD)補因子をベースにした酵素GDHで置換されてよい。血液または対照溶液(control solution)が反応室の中に投与されるとき、グルコースは、GDH(ox)によって酸化され、以下の化学的変化T.1に示されるように、過程でGDH(ox)をGDH(red)に変換する。GDH(ox)は、GDHの酸化された状態を指し、GDH(red)は、GDHの還元された状態を指すことに留意されたい。
T.1 Dグルコース+GDH(ox)→グルコン酸+GDH(red)
【0023】
ポテンシオスタット(potentiostat)は、作用電極および対電極にトライパルス電位波形を印加し、グルコース濃度を計算するために使用される試験過渡電流を生じさせるために活用できる。さらに、試験過渡電流から得られる追加の情報は、試料マトリクスを区別し、ヘマトクリット、温度変化、電気化学的に活性な成分に起因する血液試料中の可変性を補正し、考えられるシステムエラーを識別するために使用され得る。
【0024】
本方法は、原則的に、相隔たる第1の電極および第2の電極、ならびに試薬層を有するどのようなタイプの電気化学セルとでも使用できる。たとえば、電気化学セルは、テストストリップの形をとることができる。一態様では、テストストリップは、試薬層が中に位置する試料受取りチャンバまたは試料受取りゾーンを画定するための薄いスペーサによって区切られる2つの対向する電極を含んでよい。出願人は、たとえば同一平面上にある電極を備えたテストストリップを含む他のタイプのテストストリップが、本明細書で説明される方法とともに使用され得ることを強調する。
<電気化学セル>
【0025】
図1Aから
図4Bは、本明細書に説明される方法との使用に適した例示的なテストストリップ62の多様な図を示す。図示されるように、テストストリップ62は、近端部80から末端部82に伸長し、側面方向端縁56、58を有する細長い本体を含むことができる。本体59の近端部分は、複数の電極164、166、および試薬72を有する試薬反応室61を含むことができる。一方、テストストリップ本体59の末端部分は、テストメータと電気的に通信するために構成された機構を含むことができる。使用中、生理液または対照溶液は、電気化学分析のために試料反応室61に送達できる。
【0026】
実例となる実施形態では、テストストリップ62は、第1の電極層66および第2の電極層64、ならびに第1の電極層と第2の電極層との間に位置するスペーサ層60を含むことができる。第1の電極層66は、第1の電極166および、第1の電極166を第1の電気接点67に電気的に接続するための第1の接続トラック76を提供できる。同様に、第2の電極層64は、第2の電極164および、第2の電極164を第2の電気接点63に電気的に接続するための第2の接続トラック78を提供できる。
【0027】
一実施形態では、試料反応室61は、
図1Aから
図4Bに示されるように、第1の電極166、第2の電極164、およびスペーサ60によって画定される。具体的には、第1の電極166および第2の電極164は、それぞれ試料反応室61の底部および上部を画定する。スペーサ60の切欠き領域68は、試料反応室61の側壁を画定できる。一態様では、試料反応室61は、試料入口および/またはベントを提供するいくつかのポート70をさらに含むことができる。たとえば、ポートのうちの一方は、流体試料入口を提供することができ、他方のポートは、ベントとしての機能を果たすことができる。
【0028】
試料反応室61は、小さな容積を有することができる。たとえば、容積は、約0.1マイクロリットルから約5マイクロリットル、好ましくは約0.2マイクロリットルから約3マイクロリットル、およびより好ましくは約0.3マイクロリットルから約1マイクロリットルに及ぶことができる。当業者によって理解されるように、試料反応室61は、多様な他のかかる容積を有することができる。小さな試料容積を提供するために、切欠き68は、約0.01cm
2から約0.2cm
2、好ましくは約0.02cm
2から約0.15cm
2、およびより好ましくは約0.03cm
2から約0.08cm
2に及ぶ面積を有することができる。同様に、当業者は、容積切欠き68が多様な他のかかる面積となることができることを理解する。さらに、第1の電極166および第2の電極164は、約1ミクロンから約500ミクロンの範囲で、好ましくは約10ミクロンから約400ミクロンの範囲で、およびより好ましくは約40ミクロンから約200ミクロンの範囲で間隔をあけることができる。他の実施形態では、かかる範囲は、多様な他の値の間で変わることができる。また、電極の密接なスペーシングは、酸化還元サイクルが発生できるようにし、第1の電極166で生成された酸化媒介物質は、第2の電極164に拡散し、還元され、その後第1の電極166に拡散して戻り、再び酸化することができる。
【0029】
テストストリップ本体59の末端部で、第1の電気接点67は、テストメータへの電気的な接続を確立するために使用できる。第2の電気接点63は、
図2に示されるように、U字形のノッチ65を通してテストメータによってアクセスされることができる。出願人は、テストストリップ62がテストメータに電気的に接続するために構成されたさまざまな代替電気接点を含むことができることを強調する。たとえば、全体が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第6,379,513号は、電気化学セル接続手段を開示する。
【0030】
一実施形態では、第1の電極層66および/または第2の電極層64は、金、パラジウム、炭素、銀、プラチナ、酸化スズ、イリジウム、インジウム、およびその組合せ(たとえば、インジウムでドープされた酸化スズ)等の物質から形成される導電体であることができる。さらに、電極は、たとえば、スパッタリング、無電解めっき、またはスクリーン印刷プロセス等の多様なプロセスによって絶縁シート(不図示)上に導電体を配置することによって形成できる。例示的な一実施形態では、第2の電極層64は、スパッタされた金電極であり得て、第1の電極層66は、スパッタされたパラジウム電極であり得る。スペーシング層60として利用できる適切な材料は、たとえばプラスチック(たとえば、PET、PETG、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリスチレン)、シリコン、セラミック、ガラス、接着剤、およびその組合せ等の多様な絶縁材料を含む。
【0031】
試薬層72は、長穴コーティング、管の端部からの排出、インクジェット、およびスクリーン印刷等のプロセスを使用して試料反応室61内部に配置できる。かかるプロセスは、たとえば以下の米国特許第6,749,887号、同第6,869,411号、同第6,676,995号、および同第6,830,934号で説明され、これらの参考文献のそれぞれの全体が参照により本明細書に組み込まれる。一実施形態では、試薬層72は、少なくとも1つの媒介物質および1つの酵素を含むことができ、第1の電極166の上に付着できる。多様な媒介物質および/または酵素は、本開示の精神および範囲内にある。たとえば、適切な媒介物質は、ヘキサシアノ鉄酸塩、フェロセン、フェロセン誘導体、オスミウムビビリジル錯体、およびキノン誘導体を含む。適切な酵素の例は、グルコースオキシダーゼ、ピロロキノリンキノン(PQQ)補因子をベースにしたグルコースデヒドロゲナーゼ(GDH)、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド補因子をベースにしたGDH、およびFADベースのGDH[E.C.1.1.99.10]を含む。試薬層72を作るのに適切である1つの例示的な試薬調合物は、全体が参照により本明細書に組み込まれる米国公開特許出願第2004/0120848号として公開されている、「Method of Manufacturing a Sterilized and Calibrated Biosensor−Based Medical Device(滅菌され、較正されたバイオセンサに基づいた医療機器を製造する方法)」と題する係属中の米国特許出願第10/242,951号に説明されている。
【0032】
第1の電極166または第2の電極164のどちらかは、テストメータの印加された試験電位の極性に応じて制限量の媒介物質を酸化または還元する作用電極として機能できる。たとえば、電流制限種(current limiting species)が還元された媒介物質である場合、それは、第2の電極164に関して十分な正の電位が印加されたのである限り、第1の電極166で酸化できる。かかる状況では、第1の電極166は、作用電極の機能を果たし、第2の電極164は、対電極/基準電極の機能を果たす。テストストリップ62について別段の記載がない限り、テストメータ100によって印加されるすべての電位は、これ以降、第2の電極164に関して記載されることに留意されるべきである。
【0033】
同様に、十分に負の電位が第2の電極164に関して印加される場合、次いで、還元された媒介物質は、第2の電極164で酸化できる。かかる状況では、第2の電極164は、作用電極の機能を果たし、第1の電極166は、対電極/基準電極の機能を果たし得る。
【0034】
最初に、開示されている本方法は、第1の電極166、第2の電極164および試薬層72を含むテストストリップ62の中に関心のある多量の流体試料を導入することを含む。流体試料は、全血またはその派生物もしくは部分、または対照溶液であることができる。たとえば血液等の流体試料は、ポート70を介して試料反応室61の中に投与できる。一態様では、ポート70および/または試料反応室61は、毛細管現象によって流体試料が試料反応室61を満たすように構成できる。
【0035】
図5は、テストストリップ62の第1の電極166および第2の電極164とそれぞれ電気的に通信している第1の電気接点67および第2の電気接点63とのインタフェースを有するテストメータ100の簡略化された概略図を示す。テストメータ100は、(
図2および
図5に示されるように)それぞれ、第1の電気接点67および第2の電気接点63を介して第1の電極166および第2の電極164に電気的に接続するように構成できる。当業者によって理解されるように、さまざまなテストメータは、本明細書に説明される方法とともに使用できる。ただし、一実施形態では、テストメータは、少なくとも1つのプロセッサを含み、そしてそのプロセッサは、データ並べ替えおよび/またはデータ記憶のために構成されるだけではなく、電気化学セルの物理的性質に相互に関連がある少なくとも1つの測定されたパラメータを考慮して補正係数を計算できる計算を実行するために構成された1つまたは複数の制御部を含んでよい。マイクロプロセッサは、たとえばテキサスインスツルメント(Texas Instrument)MSP 430等のミックスシグナルマイクロプロセッサ(MSP)の形をとることができる。TI−MSP 430は、ポテンシオスタット機能および電流測定機能の一部を果たすように構成することもできる。さらに、MSP 430は、揮発性メモリおよび不揮発性メモリも含むことができる。別の実施形態では、電子部品の多くは、特定用途向け集積回路の形をとるマイクロコントローラと統合できる。
【0036】
図5に示されるように、電気接点67は、2つのプロング67a、67bを含むことができる。例示的な一実施形態では、テストメータ100は、プロング67a、67bに別々に接続し、したがってテストメータ100がテストストリップ62とインタフェースをとるとき、回路は完成する。テストメータ100は、プロング67a、67b間の抵抗または電気的連続性を測定して、テストストリップ62がテストメータ100に電気的に接続されているかどうか判断できる。出願人は、テストメータ100がさまざまなセンサおよび回路を使用して、テストストリップ62がいつテストメータ100に関して適切に位置決めされるのかを決定できることを強調する。
【0037】
一実施形態では、テストメータ100内に配置される回路は、第1の電気接点67と第2の電気接点63との間に試験電位および/または電流を印加できる。いったんテストメータ100が、ストリップ62が挿入されたことを認識すると、テストメータ100はオンになり、流体検出モードを開始する。一実施形態では、流体検出モードは、テストメータ100に、第1の電極166と第2の電極164との間に1マイクロアンペアの定電流を印加させる。テストストリップ62は最初乾燥しているため、テストメータ100は、テストメータ100の内部のハードウェアによって制限される最大電圧を測定する。ただし、ユーザがいったん入口70の上に流体試料を投与すると、これによって試料反応室61は充填される。流体試料が第1の電極166と第2の電極164との間の隙間を埋めると、テストメータ100は、(たとえば全体が参照により本明細書に組み込まれる米国特許第6,193,873号に説明するように)測定電圧の減少を測定する。測定電圧は、所定の閾値未満であり、テストメータ100にグルコース検査を自動的に開始させる。
【0038】
試料反応室61の一部だけが充填されたときに、測定電圧は、所定の閾値を下回って減少してよいことに留意されるべきである。流体が適用されたことを自動的に認識する方法は、必ずしも試料反応室61が完全に充填されたことを示すのではなく、試料反応室61内になんらかの量の流体が存在することを確認できるにすぎない。いったんテストメータ100が、流体がテストストリップ62に適用されたと決定すると、流体が試料反応室61を完全に充填できるようにするために、短いがゼロ以外の時間量は、依然として必要とされてよい。
【0039】
本明細書に開示される方法のうちの少なくともいくつかと併せて使用するための試料分析装置、つまり免疫センサ110の別の例示的な実施形態は、
図6に示される。そしてそれは、内容が全体として参照により本明細書に組み込まれる、「Adhesive Compositions for Use in an Immunometer(免疫センサでの使用のための接着剤組成物)」と題し、2009年9月30日に出願された、Chatelierらの米国特許出願第12/570,268号に説明される。それによって試料を免疫センサの中に導入できる充填チャンバ、それによって試料を1つまたは複数の所望される物質と反応させることができる反応室、およびそれによって試料の特定の成分の濃度を決定できる検出チャンバを含む複数のチャンバは、免疫センサ内部に形成できる。これらのチャンバは、第1の電極、第2の電極、および免疫センサの分離器のうちの少なくとも一部に形成できる。また、免疫センサは、空気が所望されるように免疫センサに進入し、免疫センサから出ることができるようにするためのベント穴、およびベント穴の第1の側および第2の側を選択的に密封するための第1の密封構成要素および第2の密封構成要素も含むことができる。第1の密封構成要素は、充填チャンバの壁を形成することもできる。
【0040】
示されるように、免疫センサ110は、その上に縞模様が付けられた2つの液体試薬130、132を有する第1の電極112を含む。第1の電極112は、電極を形成するために使用されるさまざまな技法を使用しても形成できるが、一実施形態では、硫酸バリウムで充填されるポリエチレンテレフタレート(PET)シートが、金でスパッタコートされている。また、PETシートは、二酸化チタンで充填することもできる。電極を形成することの他の非制限例は、内容が全体として参照により本明細書に組み込まれる、「Electrochemical Cell(電気化学セル)」と題し、2000年11月10日に出願された、Hodgesらの米国特許第6,521,110号に開示されている。
【0041】
同様に、液体試薬130、132は、いくつかの異なる組成物を有することができる。一実施形態では、第1の液体試薬130は、Pluronics(登録商標)ブロック共重合体等のポロキサマ、シトラコネート等の抗凝血剤、カルシウムイオン等だけではなく、スクロースを含む緩衝液中に、GDH−PQQ等の酵素に結合される抗体も含む。一実施形態では、第2の液体試薬132は、希釈シトラコン酸溶液等の酸性緩衝液中に、ヘキサシアノ鉄酸塩、グルコース、およびフェナジンエトスルファート等の第2の媒介物質の混合物を含む。第1のおよび第2の液体試薬130、132は、第1の電極112の上で乾燥できる。試薬130、132を乾燥させるために多くの技法が使用できるが、一実施形態では、第1の電極112上での試薬130、132に縞模様を付けるのに続き、試薬130、132に1つまたは複数の赤外線乾燥機を適用できる。赤外線乾燥機の後で、たとえば1つまたは複数の空気乾燥機も使用できる。本明細書での第1の試薬および第1の液体試薬、ならびに第2の試薬および第2の液体試薬に対する参照は、交互に用いられ、必ずしも、試薬が特定の実施形態について所与のときにその液体形態または乾燥形態にあることを示すものではない。さらに、第1の液体試薬および第2の液体試薬と関連付けられる成分のいくつかは、所望されるように交互におよび/または第1の液体試薬と第2の液体試薬の両方で使用できる。非制限例によって、抗凝血剤は、第1の液体試薬130および第2の液体試薬132のどちらかまたは両方と関連付けることができる。
【0042】
試薬130、132の間でスパッタコートされた金に、試薬132の端縁がラインに非常に近づくかまたはラインに接するようにラインを形成できる。ラインは、レーザ切断を使用して、または鋭い金属エッジを用いて付けることができる。例示的な一実施形態では、電極の上で試薬130、132に縞模様を付ける前にラインを付けることができる。ラインは、検出チャンバの下の第1の電極112の部分を、反応室の下になる部分から電気的に絶縁するように設計できる。これによって、電気化学アッセイ中の作用電極の領域のよりよい画定を実現できる。
【0043】
また、免疫センサ110は、その上に表面結合抗体を含む1つまたは複数の磁気ビーズ134を有する第2の電極114を含むこともできる。抗体は、以下にさらに詳しく説明するように、第1の電極112の上に配置される抗体、および反応室118内部の試料と反応するように構成できる。当業者は、第1の電極112および第2の電極114上に配置される構成要素が交換可能であることを認識する。したがって、第1の電極112は、1つまたは複数の磁気ビーズ134を含むことができ、第2の電極114は、その上に縞模様が付けられた2つの液体試料130、132を含むことができる。さらに、示されている実施形態では、電極112の長さは、免疫センサ110の本体全体の長さを形成するが、他の実施形態では、電極は、第1の電極または第2の電極として働く免疫センサの層の一部にしかすぎないか、または複数の電極を免疫センサの単一層上に配置できる。さらに、免疫センサに印加される電圧は、反転するおよび/または交互にすることができるため、第1の電極および第2の電極のそれぞれは、異なる段階で作用電極および対電極または対電極/基準電極として働くことができる。説明を容易にするために、本願では、第1の電極が作用電極と見なされ、第2の電極が対電極または対電極/基準電極と見なされる。
【0044】
第1の電極112と第2の電極114との間に配置される分離器116は、さまざまな形状およびサイズを有することができるが、分離器は、一般に第1の電極112および第2の電極114と所望されるように係合して、免疫センサ110を形成するように構成される。例示的な一実施形態では、分離器116は、両面に接着剤を含む。分離器116は、分離器116の2つの面のそれぞれの面に放出ライナをさらに含むことができる。分離器116は、少なくとも2つの空洞を形成するように切断できる。第1の空洞は、反応室118として働くために形成することができ、第2の空洞は、検出チャンバ120として働くために形成できる。一実施形態では、分離器116は、反応室118が電極112、114と整列され、その中での抗原−抗体の反応を可能にさせ、一方で検出チャンバ120は、電極112、114と整列され、その中でヘキサシアノ鉄酸塩の電気化学決定を可能にするようにキスカット(kiss−cut)できる。
【0045】
一実施形態では、分離器116は、第2の電極114の磁気ビーズ134および第1の電極112の第1の試薬130を、少なくとも部分的に反応室118に配置し、第1の電極112の第2の試薬132のヘキサシアノ鉄酸塩−グルコースの組合せを、少なくとも部分的に検出チャンバ120に配置できるように、第1の電極112の上に設置できる。抗凝血剤が反応室および検出チャンバ118、120のそれぞれと関連付けられるように、第1の液体試薬130および第2の液体試薬132のそれぞれに抗凝血剤を含むことは、有利であり得る。いくつかの実施形態では、第1の電極112および第2の電極114のうちの1つ、ならびに分離器116の組合せは、二層を形成するためにともに積層できる。一方、他の実施形態では、第1の電極112、第2の電極114、および分離器116のそれぞれの組合せは、三層を形成するためにともに積層できる。代わりに、追加の層が追加されてもよい。
【0046】
充填チャンバ122は、第1の電極112および第2の電極114のうちの1つ、ならびに分離器116の中に穴をあけることによって形成できる。示されている実施形態では、充填チャンバは、第1の電極内の穴が反応室118に重複するように第1の電極112および分離器116に穴をあけることによって形成される。図示されるように、充填チャンバ122は、検出チャンバ120から少し離間されることができる。かかる構成は、試料が充填チャンバ122を通って免疫センサ110に進入し、反応室118の中に流れ込み、検出チャンバ120に進入することなく、たとえば、第1の電極112上の、および第2の電極114の上で縞模様が付けられた磁気ビーズ134上の緩衝液中の酵素に共役される抗体を含む第1の液体試薬130と反応することを可能にする。いったん試料が反応すると、試料は、次いで検出チャンバ120に流れ込み、たとえばヘキサシアノ鉄酸塩、グルコース、および第2の媒介物質の混合物等の第2の液体試薬132との化学変換または物理変換を受けることができる。
【0047】
ベント124は、ベント124が免疫センサ110の全体を通って伸長するように、2つの電極112、114および分離器116のそれぞれを通る穴をあけることによって形成できる。穴は、たとえば多くの異なる場所にドリルで穴をあけるまたはパンチで穴をあける等の適切な方法で形成することができるが、例示的な一例では、穴は、反応室118から相隔たる検出チャンバ120の領域と重複できる。
【0048】
ベント124は、多くの異なる方法で密封できる。示されている実施形態では、第1の密封構成要素140は、ベント124の第1の側を密封するために第1の電極112上に位置し、第2の密封構成要素142は、ベント124の第2の側を密封するために第2の電極114上に位置する。密封構成要素は、どのようなさまざまな材料からも作ることができる、および/またはどのようなさまざまな材料も含むことができる。非制限例として、密封構成要素のどちらかまたは両方とも、親水性の粘着テープ、つまりScotch(登録商標)テープであり得る。密封構成要素の接着側は、免疫センサ110に面することができる。図示されるように、第1の密封構成要素140は、ベント124用のシールを形成できるだけではなく、試料をその中に封じ込めることができるように充填チャンバ122用の壁を形成することもできる。第1の密封構成要素140の接着剤側の上に取り入れられる特性は、充填チャンバ122と関連付けることができる。たとえば、第1の密封構成要素140が、密封構成要素を親水性および/または水溶性にする特性を含んでいる場合、充填チャンバは、試料がその中に配置されるとき十分に濡れたままとなることができる。さらに、密封構成要素140、142は、免疫センサ110およびその中に配置される構成要素に、所望されるように通気および/または密封を提供するために、免疫センサ110と選択的に関連付けて、分離することができる。
【0049】
接着剤は、一般に、免疫センサの構築で使用できる。接着剤を本開示の免疫センサおよび他の試料分析装置に取り込むことができる方法の非制限例は、全体としてすでに参照により本明細書に組み込まれている、「Adhesive Compositions for Use in an Immunometer(免疫センサでの使用のための接着剤組成物)」と題し、2009年9月30日に出願された、Chatelierらの米国特許出願第12/570,268号に記載されている。
【0050】
本開示は、免疫センサに関するさまざまな異なる実施形態を説明しているが、免疫センサの他の実施形態も本開示の方法とともに使用できる。かかる実施形態の非制限例は、それぞれが全体として参照により本明細書に組み込まれる、「Direct Immunosensor Assay(直接免疫センサアッセイ)」と題し、2002年3月21日に出願された、Hodgesらの米国特許出願公開第2003/0180814号、「Immunosensor(免疫センサ)」と題し、2004年4月22日に出願された、Hodgesらの米国特許出願公開第2004/0203137号、「Biosensor Apparatus and Methods of Use(バイオセンサ装置および使用法)」と題し、2005年11月21日に出願された、Rylattらの米国特許出願公開第2006/0134713号、および米国特許出願公開第2003/0180814号および同第2004/0203137号のそれぞれに優先権を主張する米国特許出願第12/563,091号に説明される例を含む。
【0051】
一実施形態では、免疫センサ110は、たとえば適切な回路を介して電極112、114に電位を印加し、電位の印加から生じる電流を測定するように構成される計測器の中に設置されるように構成できる。一実施形態では、免疫センサは、計測器を係合するための1つまたは複数のタブ117を含む。また、免疫センサ110を計測器と係合するために、他の機構も使用できる。計測器は、多くの異なる機構を含むことができる。たとえば、計測器は、他の構成要素が他方のチャンバに流れる間に、一方のチャンバ内に免疫センサ110の特定の構成要素を維持するように構成される磁石を含むことができる。例示的な一実施形態では、計測器の磁石は、計測器内に免疫センサ110を設置すると、磁石が反応室118の下に配置されるように位置する。これは、磁石が、どのような磁気ビーズ134も、より詳細にはビーズ134に固着されるどのような抗体−酵素複合体も、検出チャンバ120の中に流れ込まないように阻止するのを支援できるようにする。
【0052】
計測器の代替機構は、発熱体を含む。発熱体は、反応速度を加速するのに役立ち、試料が、粘度を削減することによって所望されるように免疫センサ110を通って流れるのに役立つ。また、加熱要素は、1つまたは複数のチャンバおよび/またはその中に配置される試料を所定の温度まで加熱できるようにする。所定の温度まで加熱することは、たとえば、反応が発生するにつれた温度変化の影響を減少するかまたは除去することによって確度を提供するのに役立つことができる。
【0053】
さらに、穿孔計器も計測器と関連付けることができる。穿孔計器は、空気がベント穴の中から流れ出し、液体が反応室から検出チャンバの中に流れ込むことができるように、所望されるときに第1の密封構成要素および第2の密封構成要素のうちの少なくとも1つを穿孔するように構成できる。
【0054】
また、免疫センサ110およびテストストリップ62は、制御部と関連付けられるように構成することもできる。制御部は、さまざまな機能を実行するように構成できる。例示的な一実施形態では、制御部は、試料が装置に導入されるときに、試料の充填時間を測定できる。別の実施形態では、制御部は、血液試料のヘマトクリット値を決定するように構成できる。さらに別の実施形態では、制御部は、充填時間を考慮して試料中の検体の濃度を計算するように構成できる。実際、制御部は、少なくとも部分的には、所望される機能性およびシステムが充填時間を計算するように設計される方法に応じて、多くの異なる機構を含むことができる。
【0055】
また、制御部は、システムの他の態様も測定できる。非制限例として、制御部は、免疫センサまたはテストストリップの1つまたは複数のチャンバの温度を測定するように構成できる。また、制御部は、試料の温度、試料の色、免疫センサもしくはテストストリップのキャパシタンス、または試料および/またはシステムのさまざまな他の特徴および/または特性を測定するように構成することもできる。追加の非制限例として、制御部は、充填時間決定の結果、キャパシタンスの測定の結果、検体濃度決定の結果、および/またはヘマトクリット測定値を外部装置に通信するように構成できる。これは、どのようなさまざまな方法でも達成できる。一実施形態では、制御部は、マイクロプロセッサおよび/または表示装置に結線できる。別の実施形態では、制御部は、制御部からマイクロプロセッサおよび/または表示装置に無線でデータを送信するように構成できる。
【0056】
また、システムの他の構成要素は、かかる測定を行うようにも構成できる。たとえば、免疫センサまたは計測器は、免疫センサまたはテストストリップの1つまたは複数のチャンバの温度を測定し、試料の温度を測定するもしくは推測する、または試料および/またはシステムのさまざまな他の特徴および/または特性を測定する、決定する、もしくは推測するように構成できる。なおさらに、当業者は、制御部のこれらの機構が交換することができ、単一の制御部内で選択的に組み合わせることができることを認識する。たとえば、制御部は、充填時間、キャパシタンスを決定することと、チャンバの温度を測定することの両方を行うことができる。他の実施形態では、複数の制御部が、少なくとも部分的には多様な制御部の構成、および実行される所望の機能に基づいて多様な機能を実行するためにともに使用できる。
<検体濃度検査>
【0057】
一実施形態では、いったんテストメータ100が、流体がテストストリップ62の上に導入された(たとえば投与された)と判断すると、テストメータ100は、
図7Aに示されるように所定の時間間隔の間、テストストリップ62に複数の試験電位を印加することによってグルコース検査を実行できる。グルコース検査時間間隔T
Gは、グルコース検査(ただし、必ずしもグルコース検査に関連付けられたすべての計算ではない)を実行するための時間量を表し、グルコース検査時間間隔T
Gは、第1の試験電位時間間隔T
1の間の第1の試験電位E
1、第2の試験電位時間間隔T
2の間の第2の試験電位E
2、および第3の試験電位時間間隔T
3の間の第3の試験電位E
3を含むことができる。さらに、
図7Aに示されるように、第2の試験電位時間間隔T
2は、一定(DC)試験電圧成分および重畳された交流(AC)、つまり発振試験電圧成分を含むことができる。重畳交流試験電圧成分は、T
capで示される時間間隔の間印加できる。グルコース検査時間間隔T
Gは、たとえば約1秒から約5秒に及ぶことができる。
【0058】
上述されたように、第1の電極166または第2の電極164のどちらかは、テストメータの印加された試験電位の極性に応じて制限量の媒介物質を酸化または還元する作用電極として機能できる。別段の記載がない限り、テストメータ100によって印加されるすべての電位は、これ以降、第2の電極164に関して記載されることに留意されるべきである。ただし、出願人は、テストメータ100によって印加される試験電位は、第1の電極166に関しても記載されることがあり、その場合、以下に説明される試験電位および測定電流の極性が逆転することになることを強調する。
【0059】
第1の試験電位時間間隔、第2の試験電位時間間隔、および第3の試験電位時間間隔の間に測定される複数の試験電流値は、およそ1ナノ秒につき約1回の測定からおよそ100ミリ秒につき約1回の測定に及ぶ頻度で実行されてよい。出願人は、名称「第1の」、「第2の」および「第3の」が便宜上選ばれ、必ずしも試験電位が印加される順序を反映していないことを強調する。たとえば、実施形態は、第1の試験電圧および第2の試験電圧の印加の前に、第3の試験電圧を印加できる電位波形を有することができる。3つの試験電圧を順次使用する実施形態が説明されているが、出願人は、グルコース検査が異なる数の開回路電圧および試験電圧を含むことができることを強調する。出願人は、グルコース検査時間間隔がどのようなさまざまな開回路電位時間間隔も含むことができることを強調する。たとえば、グルコース検査時間間隔は、1つまたは複数の試験電位時間間隔の前および/または後に、2つの試験電位時間間隔および/または開回路電位時間間隔しか含むことができない。別の例示的な実施形態では、グルコース検査は、第1の時間間隔のための開回路、第2の時間間隔のための第2の試験電圧、および第3の時間間隔のための第3の試験電圧を含むことができる。
【0060】
図7Aに示されるように、テストメータ100は、(たとえば、約0秒から約1秒の範囲の)第1の試験電位時間間隔T
1、第1の試験電位E
1(たとえば、
図7Aに示されるように約−20mV)を印加してよい。第1の試験電位時間間隔T
1は、
図7Aのゼロ(0)秒の開始点から、約0.1秒から約3秒に及び、好ましくは約0.2秒から約2秒に及び、最も好ましくは約0.3秒から約1秒に及ぶことができる。第1の試験電位時間間隔T
1は、試料反応室61が試料で完全にいっぱいになるようにだけではなく、試薬層72が少なくとも部分的に溶解するまたは溶媒和になるように十分に長くてよい。他の実施形態では、第1の試験電位時間間隔T
1は、任意の他の所望される時間範囲を含むことができる。
【0061】
一実施形態では、テストメータ100は、計測器が、ストリップが試料でいっぱいになっていることを検出するときと、第2の試験電位E
2が印加される前との間の期間、電極間に第1の試験電位E
1を印加できる。一態様では、試験電位E
1は小さい。たとえば、電位は、約−1から約−100mVの範囲、好ましくは約−5mVから約−50mVの範囲、および最も好ましくは約−10mVから約−30mVの範囲であり得る。より大きな電位差を印加することと比較すると、より小さな電位は、還元媒介物質の濃度勾配を混乱させる程度はより少ないが、それでも試料中の酸化できる物質を得るには十分である。試験電位E
1は、充填の検出と、第2の試験電位E
2がその期間の全体に印加される、または印加できるときとの間の時間の一部、印加できる。試験電位E
1が時間の一部に使用される場合、次いで開回路が時間の残りの部分、印加される。任意のさまざまな開回路および小電圧電位の印加(それらの順序および印加される時間は本実施形態では重大ではない)の組合せは、小電位E
1が印加される総期間が、試料内に存在する酸化できる物質の存在および/または量を示す電流測定値を得るのに十分である限り、適用できる。好ましい実施形態では、小電位E
1は、充填が検出されるときと、第2の試験電位E
2が印加されるときとの間の実質的に全期間、印加される。
【0062】
第1の時間間隔T
1の間、テストメータ100は、i
a(t)と呼ぶことができる、結果として生じる第1の過渡電流を測定する。過渡電流は、特定の試験電位時間間隔の間にテストメータによって測定される複数の電流値を示す。第1の過渡電流は、第1の試験電位時間間隔を通した電流値の積分、または第1の試験電位時間間隔の時間間隔で乗算される第1の試験電位時間間隔の間に測定される平均もしくは単一電流値であることができる。いくつかの実施形態では、第1の過渡電流は、第1の試験電位時間間隔の間の多様な時間間隔を通して測定される電流値を含むことができる。一実施形態では、第1の過渡電流i
a(t)は、約0.05秒から約1.0秒の範囲、および好ましくは約0.1秒から約0.5秒の範囲、および最も好ましくは約0.1秒から約0.2秒の範囲の時間、測定できる。他の実施形態では、第1の過渡電流i
a(t)は、他の所望される時間範囲、測定できる。以下に説明するように、第1の過渡電流の一部またはすべては、テストストリップ62に対照溶液が適用されたのか、それとも血液試料が適用されたのかを判断するために、本明細書に説明される方法で使用できる。第1の過渡電流の大きさは、試料中の容易に酸化できる物質の存在によって影響を受ける。血液は、通常、第2の電極164で容易に酸化される内因性化合物および外因性化合物を含む。逆に、対照溶液は、対照溶液が酸化できる化合物を含まないように調製できる。ただし、血液試料の組成は変わることがあり、試料反応室61は、約0.2秒後に完全に充填されないことができるため、高粘度血液試料の第1の過渡電流の大きさは、通常、低粘度試料よりも小さくなる(いくつかの場合、対照溶液試料未満にもなる)。不完全な充填によって、第1の電極166および第2の電極164の有効面積は減少し、それによって同様に第1の過渡電流は減少する。したがって、血液試料中の変動のため、酸化できる物質の試料中での存在は、それ自体、必ずしも十分に識別的な要因ではない。
【0063】
いったん第1の時間間隔T
1時間が経過すると、テストメータ100は、第2の試験電位時間間隔T
2(たとえば、
図7Aに示される約3秒)、第1の電極166と第2の電極164との間に第2の試験電位E
2(たとえば、
図7Aに示される約−300mV)を印加できる。第2の試験電位E
2は、制限酸化電流が第2の電極164で発生するように、媒介物質酸化還元電位の十分に負の値であってよい。たとえば、媒介物質としてヘキサシアノ鉄酸塩および/またはフェロシアン化物を使用するとき、第2の試験電位E
2は、約−600mVから約ゼロmVに及び、好ましくは約−600mVから約−100mVに及び、より好ましくは約−300mVであることができる。同様に、
図6でt
capとして示される時間間隔も、一連の時間継続してよいが、例示的な一実施形態では、それは約20ミリ秒の持続時間を有する。例示的な一実施形態では、重畳交流試験電圧成分は、第2の試験電圧V
2の印加後約0.3秒から約0.32秒の後に印加され、振幅が約+/−50mVの約109Hzの周波数を有する正弦波の2つのサイクルを誘発する。テストメータ100は、第2の試験電位時間間隔T
2の間、第2の過渡電流i
b(t)を測定できる。
【0064】
第2の試験電位時間間隔T
2は、制限酸化電流の大きさに基づいて、試薬反応室61内での還元媒介物質(たとえば、フェロシアン化物)の生成の速度を監視するほど十分に長くてよい。還元媒介物質は、試薬層72での一連の化学反応によって生成されてよい。第2の試験電位時間間隔T
2の間、制限量の還元媒介物質は、第2の電極164で酸化され、非制限量の酸化媒介物質は、第1の電極166で還元され、第1の電極166と第2の電極164との間の濃度勾配を形成する。説明するように、第2の試験電位時間間隔T
2は、十分な量のヘキサシアノ鉄酸塩が、第2の電極164で生成できるように十分に長くなくてはならない。制限電流が、第3の試験電位E
3の間に第1の電極166でフェロシアン化物を酸化するために測定できるように、十分な量のヘキサシアノ鉄酸塩は、第2の電極164で必要とされてよい。第2の試験電位時間間隔T
2は、約0秒から約60秒に及び、好ましくは約1秒から約10秒に及び、最も好ましくは約2秒から約5秒に及ぶことができる。
【0065】
図7Bは、第2の試験電位時間間隔T
2の始まりの相対的に小さいピークi
pbを示し、ピークの後には(たとえば、約1秒から約4秒の範囲の)第2の試験電位時間間隔の間の酸化電流の絶対値の緩やかな上昇が続く。小さなピークは、約1秒での還元媒介物質の初期枯渇のために発生する。酸化電流の緩やかな上昇は、後に第2の電極164へのその拡散が続く試薬層72によるフェロシアン化物の生成に原因を帰する。
【0066】
第2の時間間隔T
2が経過すると、テストメータ100は、(たとえば、
図6に示される約4から約5秒の範囲の)第3の試験電位時間間隔T
3の間、第1の電極166と第2の電極164との間に第3の試験電位E
3(たとえば、
図7Aに示される約+300mV)を印加できる。第3の試験電位時間間隔T
3の間、テストメータ100は、i
c(t)と呼ばれてよい、第3の過渡電流を測定できる。第3の過渡電流E
3は、制限酸化電流が第1の電極166で測定されように、媒介物質酸化還元電位の十分に正の値であってよい。たとえば、媒介物質としてヘキサシアノ鉄酸塩および/またはフェロシアン化物を使用するとき、第3の試験電位E
3は、約ゼロmVから約600mVに及び、好ましくは約100mVから約600mVに及び、より好ましくは約300mVであることができる。
【0067】
第2の試験電位時間間隔T
2および第3の試験電位時間間隔T
3は、それぞれ約0.1秒から約4秒に及ぶことができる。
図7Aに示される実施形態の場合、第2の試験電位時間間隔T
2は、約3秒であり、第3の試験電位時間間隔T
3は、約1秒であった。上述されたように、開回路電位期間を、第2の試験電位E
2と第3の試験電位E
3との間で経過できるようにすることができる。代わりに、第3の試験電位E
3は、第2の試験電位E
2の印加に続いて印加できる。第1の過渡電流、第2の過渡電流、または第3の過渡電流の一部は、一般にセル電流または電流値と呼ばれることができることに留意されたい。
【0068】
第3の試験電位時間間隔T
3は、酸化電流の大きさに基づいて、第1の電極166の近くで還元媒介物質(たとえば、フェロシアン化物)の拡散を監視するほど十分に長くてよい。第3の試験電位時間間隔T
3の間、制限量の還元媒介物質は、第1の電極166で酸化され、非制限量の酸化媒介物質は、第2の電極164で還元される。第3の試験電位時間間隔T
3は、約0.1秒から約5秒に及び、好ましくは約0.3秒から約3秒に及び、最も好ましくは約0.5秒から約2秒に及ぶことができる。
【0069】
図7Bは、第3の試験電位時間間隔T
3の始まりの相対的に大きいピークi
pcを示し、ピークの後には定常電流への減少が続く。一実施形態では、第1の試験電位E
1および第2の試験電位E
2は、ともに第1の極性を有し、第3の試験電位E
3は、第1の極性と反対の第2の極性を有する。ただし、出願人は、第1の試験電位、第2の試験電位、および第3の試験電位の極性は、検体濃度がどのように決定されるのかに応じて、および/または試験試料および対照溶液がどのように区別されるのかに応じて、選ぶことができることを強調する。
<キャパシタンスの測定>
【0070】
いくつかの実施形態では、キャパシタンスを測定できる。キャパシタンスの測定は、本来、電極−液界面でのイオン層の形成から生じるイオン二重層キャパシタンスを測定できる。キャパシタンスの大きさは、試料が対照溶液なのか、それとも血液試料なのかを判断するために使用できる。たとえば、対照溶液が反応室内部にあるときに測定されたキャパシタンスの大きさは、血液試料が反応室内部にあるときに測定されたキャパシタンスの大きさよりも大きいことが可能である。以下により詳しく説明するように、測定キャパシタンスは、電気化学セルを使用して行われる測定に対する電気化学セルの物理的性質の変化の影響を補正するための多様な方法で使用できる。たとえば、測定されたキャパシタンスの変化は、電気化学セルの寿命、および電気化学セルの保管条件のうちの少なくとも1つに関連付けることができる。
【0071】
非制限例として、テストストリップの上でキャパシタンスの測定を実行するための方法およびメカニズムは、それぞれが全体として参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第7,195,704号および同第7,199,594号に記載されている。キャパシタンスを測定するための例示的な1つの方法では、定数成分および発振成分を有する試験電圧が、テストストリップに印加される。かかる例では、結果として生じる試験電流は、以下にさらに詳しく説明するように、キャパシタンス値を決定するために数学的に処理できる。
【0072】
概して、制限試験電流が、明確に画定された領域(つまり、キャパシタンスの測定中に変化しない領域)を有する作用電極で発生するとき、電気化学テストストリップでの最も正確かつ精密なキャパシタンスの測定は、実行できる。経時的に変化しない明確に画定された電極領域は、電極とスペーサとの間に密封があるときに発生することができる。試験電流は、電流がグルコース酸化または電気化学的減衰のどちらかのために急激に変化していないときには、相対的に一定である。代わりに、グルコースの酸化に起因して見られる信号の増加が、電気化学的減衰に伴う信号の減少によって実質的に平衡するどのような期間も、キャパシタンスを測定するための適切な時間間隔になり得る。
【0073】
第1の電極166の面積は、おそらく、試料がスペーサ60と第1の電極166との間で染み込む場合、試料を用いた投与の後経時的に変化することができる。テストストリップの実施形態では、試薬層72は、試薬層72の一部がスペーサ60と第1の電極層66との間にあるようにする切欠き領域68よりも大きい面積を有することができる。特定の状況下で、スペーサ60と第1の電極層66との間に試薬層72の部分を挟むと、検査中に湿潤電極面積を拡大できる。結果として漏れが検査中に発生すると、第1の電極の面積を経時的に拡大させることがあり、それは同様にキャパシタンスの測定を歪曲させることがある。
【0074】
対照的に、第2の電極164の面積は、第2の電極164とスペーサ60との間には試薬層がないため、第1の電極166と比較して経時的により安定することができる。よって、試料は、スペーサ60と第2の電極164との間ではより染み込みにくい。検査中に面積は変化しないため、第2の電極164で制限試験電流を使用するキャパシタンスの測定は、したがってより精密であり得る。
【0075】
上述され、
図7Aに図示されるように、いったん液体がテストストリップで検出されると、液体の充填挙動を監視するために、および対照溶液と血液とを区別するために、第1の試験電位E
1(たとえば、
図7Aに示されるように約−20mV)は、約1秒間電極間に印加できる。式1では、試験電流は、約0.05から約1秒、使用される。この第1の試験電位E
1は、セル内でのフェロシアン化物の分散が、第1の電極および第2の電極で発生する電気化学反応によって可能な限り乱されないように相対的に低くなることができる。
【0076】
より大きい絶対量を有する第2の試験電位E
2(たとえば、
図7Aに示されるように約−300mV)は、制限電流が第2の電極164で測定できるように、第1の試験電位E
1の後に印加できる。第2の試験電位E
2は、AC電圧成分およびDC電圧成分を含むことができる。AC電圧成分は、第2の試験電位E
2の印加後の所定の時間量で印加することができ、さらに約109ヘルツの周波数、および約+/−50ミリボルトの振幅を有する正弦波であり得る。好ましい実施形態では、所定量の時間は、第2の試験電位E
2の印加後約0.3秒から約0.4秒に及ぶことができる。代わりに、所定量の時間は、時間の関数としての試験過渡電流が約ゼロの傾きを有する時間であり得る。別の実施形態では、所定量の時間は、ピーク電流値(たとえば、i
pb)が約50%分、減衰するために要する時間であり得る。DC電圧成分に関しては、それは第1の試験電位の始まりで印加できる。DC電圧成分は、第2の電極に関して、たとえば約−300mV等の第2の電極で制限試験電流を生じさせるのに十分な大きさを有することができる。
【0077】
図4Bと一致して、試薬層72は、第2の電極164の上にコーティングされておらず、それによって絶対ピーク電流i
pbの大きさは、絶対ピーク電流i
pcの大きさに比較して相対的に低くなる。試薬層72は、検体の存在下で還元媒介物質を生成するように構成することができ、第1の電極に近接する還元媒介物質の量は、相対的に高い絶対ピーク電流i
pcに寄与できる。一実施形態では、試薬層72の少なくとも酵素部分は、試料がテストストリップに導入されるときに第1の電極から第2の電極に実質的に拡散しないように構成できる。
【0078】
i
pb後の試験電流は、およそ1.3秒で平坦な領域に落ち着き、次いで、試薬層72でコーティングできる第1の電極166で生成された還元媒介物質が試薬層72でコーティングされていない第2の電極164に拡散するにつれて、電流は、再び上昇する。一実施形態では、キャパシタンスの測定は、約1.3秒から約1.4秒で実行できる試験電流値の相対的に平坦な領域で実行できる。一般に、キャパシタンスが1秒前に測定される場合、次いでキャパシタンスの測定は、第1の過渡電流i
a(t)を測定するために使用できる相対的に低い第1の試験電位E
1と干渉することがある。たとえば、−20mVの定電圧成分の上に重畳される約±50mVの発振電圧成分は、測定された試験電流のかなりの摂動を生じさせることがある。発振電圧成分は、第1の試験電位E
1と干渉するだけではなく、発振電圧成分は、約1.1秒で測定される試験電流も大幅に混乱させ、それは同様に抗酸化剤の補正と干渉することがある。大量の検査および実験に続いて、最終的に、約1.3秒から約1.4秒でキャパシタンスを測定すると、驚くべきことに、対照溶液/血液識別検査または血糖アルゴリズムに干渉しない正確かつ精密な測定を生じさせることが決定された。
【0079】
第2の試験電位E
2の後に、第3の試験電位E
3(たとえば、
図7Aに示されるように約+300mV)が印加でき、それは、試薬層72でコーティングできる第1の電極166で試験電流を測定させる。第1の電極上の試薬層の存在によって、スペーサ層と電極層との間の液体の貫通が可能になり、電極面積を増大させることができる。
【0080】
図7Aに示されるように、例示的な実施形態では、109HzのAC試験電圧(±50mVピークツーピーク)が、時間間隔t
capの間の2つのサイクルに印加できる。第1のサイクルは、調整パルスとして使用でき、第2のサイクルは、キャパシタンスを決定するために使用できる。キャパシタンス推定値は、交流(AC)波の部分を通して試験電流を合計し、直流(DC)オフセットを差し引き、AC試験電圧振幅およびAC周波数を使用して結果を正規化することによって得ることができる。この計算は、ストリップ試料チャンバが試料で充填されるときに、ストリップ試料チャンバによって支配されるストリップのキャパシタンスの測定値を提供する。
【0081】
一実施形態では、キャパシタンスは、入力AC電圧がDCオフセットと交差する時点、つまり入力電圧のAC成分がゼロである(ゼロ交点)ときのどちらかの側でのAC波の4分の1を通して試験電流を合計することによって測定できる。どのようにしてこれがキャパシタンスの測定値になるのかの導出は、さらに詳しく以下に説明される。式1は、時間間隔t
capの間の時間の関数としての電流の大きさを示すことができる。
【数1】
上式では、項i
o+stは、定試験電圧成分によって生じる試験電流を示す。一般に、DC電流成分は、(フェロシアン化物を生成する、継続中のグルコース反応に起因して)経時的に線形に変化すると見なされ、よって時間ゼロ(ゼロ交点)でのDC電流である定数i
o、および経時的なDC電流変化の傾きであるsによって示される。AC電流成分は、Isin(ωt+φ)によって表され、上式では、Iは電流波であり、ωはその周波数であり、φは入力電圧波に対するその位相シフトである。項ωは2πfとして表すこともでき、上式では、fはヘルツ単位のAC波の周波数である。項Iはまた、式2に示されるように表すことができる。
【数2】
上式では、Vは印加電圧信号の振幅であり、|Z|は複素インピーダンスの大きさである。項|Z|は、式22に示されるように表すこともできる。
【数3】
上式では、Rはインピーダンスの実部であり、Cはキャパシタンスである。
【0082】
式1は、ゼロ交点の前の4分の1波長からゼロ交点の後の4分の1波長に統合し、式4を生じさせることができる。
【数4】
式4は、式5に簡略化できる。
【数5】
式2を式1に代入し、次いで式4に代入し、次いで再配列することによって、式6が生じる。
【数6】
式6の積分項は、式7に示される電流の合計を使用して近似できる。
【数7】
上式では、試験電流i
kは、ゼロ交点の前の4分の1波形からゼロ交点を越えた4分の1波形に合計される。式7を式6に代入すると、式8が生じる。
【数8】
上式では、DCオフセット電流i
oは、ゼロ交点周辺の1つの完全な正弦周期を通して試験電流を平均することで得ることができる。
【0083】
別の実施形態では、キャパシタンスの測定値は、電圧ゼロ交点の周辺ではなく、むしろ電流の最大AC成分の周辺で電流を合計することによって得ることができる。よって、式7では、電圧ゼロ交点のどちらかの側で1/4波長を合計するのではなく、試験電流は電流最大値の周辺の1/4波長を合計することができる。これは、AC励起に対応する回路素子が純粋なコンデンサであり、したがってφがπ/2であると仮定するのに等しい。よって、式5は、式9に変形できる。
【数9】
流れている電流のDCつまり実成分がAC励起で使用される電圧の範囲で印加される電圧とは無関係となるように、コーティングされていない電極が分極されるので、これは、この場合では妥当な仮定であると考えられる。したがって、AC励起に対応するインピーダンスの実部は無限であり、純粋な容量素子を暗示する。次いで式9が式6とともに使用され、積分近似を必要としない簡略化されたキャパシタンス式を生じさせる。最終結果は、電圧交点の周辺ではなく、むしろ電流の最大AC成分の周辺で電流を合計するときのキャパシタンスの測定値がより精密であったという点である。
<対照溶液(CS)/血液識別検査>
【0084】
いくつかの実施形態では、対照溶液(CS)/血液識別検査を実行できる。CS/血液識別検査が、試料が血液であると判断する場合、次いで、血糖アルゴリズムの適用、ヘマトクリット値補正、血液温度補正、およびエラーチェックを含むことができる一連のステップを実行でき、CS/血液識別検査が、試料がCSである(つまり、血液ではない)と判断する場合、次いで、CSグルコースアルゴリズムの適用、CS温度補正、およびエラーチェックを含むことができる一連のステップを実行できる。エラーがない場合、次いでテストメータがグルコース濃度を出力するが、エラーがある場合、検査は、次いでエラーメッセージを出力することができる。
【0085】
一実施形態では、対照溶液(CS)の特徴は、対照溶液を血液と区別するために使用される。たとえば、試料中の酸化還元種の存在および/または濃度、反応速度論、および/またはキャパシタンスは、対照溶液を血液から区別するために使用できる。本明細書に開示される方法は、試料中の酸化還元濃度を表す第1の基準値および試料の試薬との反応速度を表す第2の基準値を計算するステップを含むことができる。一実施形態では、第1の基準値は、干渉酸化電流であり、第2の基準値は、反応性完了指数である。
【0086】
一実施形態では、CS/血液識別検査は、第1の基準値および第2の基準値を含むことができる。第1の値は、第1の時間間隔T
1内の電流値に基づいて計算することができ、第2の基準値は、第2の時間間隔T
2と第3の時間間隔T
3の両方の間の電流値に基づくことができる。一実施形態では、第1の基準値は、
図7Aの試験電圧波形を使用するときに第1の時間過渡電流の間に得られる電流値の合計を実行することによって得ることができる。非制限例として、第1の基準値i
sumは、式10によって示すことができる。
【数10】
上式では、項i
sumは電流値の合計であり、tは時間である。残留反応性指数と呼ばれることもある第2の基準値は、式11に示されるように、第2の時間間隔および第3の時間間隔の間の電流値の比率Yによって得ることができる。
【数11】
上式では、absは絶対値関数を示し、3.8および4.15は、この特定の例の、それぞれ第2の時間間隔および第3の時間間隔の秒単位での時間を示す。
【0087】
識別基準は、試料が対照溶液なのか、それとも血液なのかを、式10の第1の基準値および式11の第2の基準に基づいて決定するために使用できる。たとえば、式10の第1の基準値は、所定の閾値と比較することができ、式11の第2の基準値は、所定の閾値関数と比較できる。所定の閾値は、たとえば、約12マイクロアンペアであってよい。所定の閾値関数は、式10の第1の基準値を使用する関数に基づくことができる。より詳細には、式12によって示されるように、式10のi
sumのどれかの計算された値がXによって示される場合、所定の閾値関数F
pdtは、
【数12】
であり、上式では、Zはたとえば0.2等の定数であることができる。よって、CB/血液識別検査は、式10に示されるように、i
sumが所定の閾値、たとえば約12マイクロアンペア以上である場合、試料を血液として識別することができ、式11に示されるように、第2の時間間隔および第3の時間間隔の間の電流値の比率Yが所定の閾値関数F
pdtの値未満である場合、さもなければ試料は、対照溶液である。
<血糖アルゴリズム>
【0088】
試料が血液試料として識別される場合、血糖アルゴリズムを試験電流値に対して実行できる。テストストリップが
図1Aから
図4Bに示されるように、対向面または対向配置を有し、電位波形が
図7Aまたは
図8Aに示されるテストストリップに印加されると仮定すると、グルコース濃度[G]は、式(Eq.)13に示されるグルコースアルゴリズムを使用して計算できる。
【数13】
【0089】
式13では、[G]はグルコース濃度であり、i
1は第1の電流値であり、i
2は第2の電流値であり、i
3は第3の電流値であり、項p、Z、およびaは、経験的に導かれた校正定数である。式13の導出は、全体が参照により本明細書に組み込まれる、2005年9月30日に出願され、「Method and Apparatus for Rapid Electrochemical Analysis(高速電気化学分析のための方法および装置)」と題する係属中の米国公開特許出願第2007/007977号(米国特許出願第11/240,797号)に記載されている。式13の中のすべての試験電流値(たとえば、i
1、i
2、およびi
3)は、電流の絶対値を使用する。第1の電流値i
1および第2の電流値i
2は、第3の過渡電流から計算され、第3の電流値i
3は、第2の過渡電流から計算される。出願人は、名称「第1の」、「第2の」、および「第3の」が便宜上選ばれ、必ずしも電流値が計算される順序を反映していないことを強調する。さらに、式13に記載されるすべての電流値(たとえば、i
1、i
2、およびi
3)は、電流の絶対値を使用する。実施形態では、i
2は、第3の過渡電流中に収集される1つまたは複数の電流値に基づいてよく、i
3は、第2の過渡電流中に収集される1つまたは複数の電流値に基づいてよい。別の実施形態では、i
2は、第3の過渡電流のほぼ最後で収集される1つまたは複数の電流値に基づいてよく、i
3は、第2の過渡電流のほぼ始まりで収集される1つまたは複数の電流値に基づいてよい。i
2とi
3はともに、それぞれの時間間隔の一部に対する総和、積分、または平均を使用して計算され得る。
【0090】
別の実施形態では、項i
1は、式14に示されるようにより正確なグルコース濃度を可能にするために、第2の過渡電流および第3の過渡電流からのピーク電流値を含むように定めることができる。
【数14】
【0091】
項i
pbは、第2の試験電位時間間隔T
2のピーク電流値を示し、項i
pcは、第3の試験電位時間間隔T
3のピーク電流値を示す。項i
ssは、継続中の化学反応がない場合に第3の試験電位E
3の印加後の長い時間に発生すると予測される電流である定常電流の推定値である。i
ssを計算するための方法のいくつかの例は、それぞれが全体として参照により本明細書に組み込まれる米国特許第5,942,102号および同第6,413,410号に記載されている。生理学的試料での干渉を説明するためにピーク電流値を使用することは、全体が参照により本明細書に組み込まれる、2006年3月31日に出願され、「Methods and Apparatus for Analyzing a Sample in the Presence of Interferents(干渉現象存在下で試料を分析するための方法および装置)」と題する、米国公開特許出願第2007/0227912号(米国特許出願第11/278,341号)に説明されている。
【0092】
一実施形態では、式13および式14は、血液または対照溶液のどちらかのグルコース濃度を計算するためにともに使用できる。別の実施形態では、式13および式14のアルゴリズムは、校正係数の第1のセット(つまり、a、p、およびZ)とともに血液のために使用することができ、校正係数の第2のセットは、対照溶液のために使用できる。校正係数の2つの異なるセットを使用するとき、試験流体と対照溶液を区別するための本明細書に説明される方法は、検体濃度計算の効果を改善できる。
【0093】
図7Aおよび
図7Bに示される例は、試薬でコーティングされていない電極が、電圧測定用の基準電極の機能を果たすときに、第1の印加電圧および第2の印加電圧の極性を負として、第3の印加電圧を正として示す。ただし、印加された電圧は、試薬でコーティングされている電極が電圧測定用の基準電極の機能を果たす場合に、
図7Aに示されるシーケンスに対して反対の極性となり得る。たとえば、
図8Aおよび
図8Bの好ましい実施形態では、第3の印加電圧の極性は負として、第1の印加電圧および第2の印加電圧の極性は正である。両方の場合とも、試薬でコーティングされていない電極は、第1の印加電圧および第2の印加電圧の間陽極の機能を果たし、試薬でコーティングされている電極は、第3の印加電圧の間陽極の機能を果たすため、グルコースの計算は同じである。
【0094】
さらに、テストメータが、試料が(血液とは対照的に)対照溶液であると判断する場合、テストメータは、ユーザが対照溶液データとは別に検査試料濃度データを見直すことができるように対照試料の結果として生じるグルコース濃度を記憶できる。たとえば、対照溶液のグルコース濃度は、別個のデータベースに記憶し、フラグを付け、および/または廃棄する(つまり、記憶しない、または短期間記憶する)ことができる。
【0095】
対照溶液を認識できることのもう1つの優位点は、対照溶液の検査の結果(たとえば、グルコース濃度)を対照溶液の予想グルコース濃度と自動的に比較するために、テストメータをプログラムできる点である。たとえば、テストメータは、対照溶液(複数の場合がある)の予想グルコース濃度レベル(複数の場合がある)で前もってプログラムできる。代わりに、ユーザは、対照溶液の予想グルコース濃度を入力できる。テストメータが対照溶液を認識すると、テストメータは、測定された対照溶液グルコース濃度を予想グルコース濃度と比較して、計測器が適切に機能しているかどうかを判断できる。測定グルコース濃度が予想範囲を外れている場合、テストメータは、警告メッセージを出力して、ユーザに警告できる。
<充填時間補正>
【0096】
いくつかの実施形態では、検体濃度は、試料の充填時間に基づいて補正できる。かかる方法の一例は、2009年12月30日に出願され、全体として参照により本明細書に組み込まれる、Ronald C.ChatelierおよびAlastair M.Hodgesの「Systems,Devices and Methods for Improving Accuracy of BIosensors Using Fill Time(充填時間を使用するバイオセンサの制度を改善するためのシステム、装置、および方法)」と題する同時係属中の特許出願(特許出願番号第12/649,594号)に開示される。かかる例示的な方法では、試料は、作用電極および対電極を有する試料分析装置の電気化学セルの中に導入される。電位は、電気化学セルの作用電極と対電極との間で印加でき、たとえば電気化学セルの毛細管空間の中への試料の充填時間が決定できる。プレパルス時間は、試料の少なくとも充填時間を考慮して計算でき、電位は、プレパルス時間に等しい期間、作用電極と対電極との間に印加できる。試料中の検体の濃度が次いで決定できる。充填時間を考慮してプレパルスを計算することによって、検体濃度にとってより正確な結果が達成できる。たとえば、試料全体で変化するヘマトクリットレベルから生じることができる誤差等の誤差を説明することができ、それによって試料中の検体の濃度のより正確な決定につながる。試料中の検体の濃度を検出するための代替実施形態では、誤差は、決定された充填時間ではなく、むしろ決定された初期充填速度に基づいて補正できる。かかる方法の一例は、2009年12月30日に出願され、全体として参照により本明細書に組み込まれる、Ronald C.Chatelier、Dennis Rylatt、Linda Raineri、およびAlastair M.Hodgesの「Systems,Devices and Methods for Measuring Whole Blood Haematocrit Based on Initial Fill Velocity(初期充填速度に基づいて全血ヘマトクリット値を測定するためのシステム、装置および方法)」と題する同時係属中の特許出願(特許出願第12/649,509号)に開示されている。
<温度補正>
【0097】
本発明のシステムおよび方法のいくつかの実施形態では、血液温度補正は、温度からの影響が削減されるために確度が改善された検体濃度を提供するために試験電流値に適用できる。温度補正された検体濃度を計算するための方法は、温度値を測定すること、および温度補正値C
Tを計算することを含むことができる。温度補正値C
Tは、温度値、およびたとえばグルコース濃度等の検体濃度に基づくことができる。したがって、温度補正値C
Tは、次いで温度について検体濃度を補正するために使用できる。
【0098】
最初に、上記式13からのグルコース濃度[G]等の、温度について補正されていない検体濃度を得ることができる。温度値も測定できる。温度は、サーミスタもしくはテストメータの中に搭載される他の温度読取り装置を使用して、または任意のさまざまな他の機構または手段を介して測定できる。その後、温度値Tが第1の温度閾値T
1よりも大きいかどうかを判断するために決定を行うことができる。たとえば、温度閾値T
1は、約15℃であることができる。温度値Tが15℃よりも大きい場合、次いで第1の温度関数が、温度補正値C
Tを決定するために適用できる。温度値Tが15℃よりも大きくない場合、次いで第2の温度関数が、温度補正値C
Tを決定するために適用できる。
【0099】
温度補正値C
Tを計算するための第1の温度関数は、式15の形をとることができる。
【数15】
上式では、C
Tは補正値であり、K
9は9番目の定数(たとえば、0.59)であり、Tは温度値であり、T
RTは室温値(たとえば、22℃)であり、K
10は10番目の定数(たとえば、0.00004)であり、[G]はグルコース濃度である。TがT
RTにほぼ等しいとき、C
Tは約ゼロである。いくつかの例では、第1の温度関数は、変動を通常の周囲条件下で削減できるように、本来室温での補正を有さないように構成できる。第2の補正値C
Tを計算するための第2の温度機能は、式16の形をとることができる。
【数16】
上式では、C
Tは補正値であり、K
11は11番目の定数(たとえば、0.59)であり、Tは温度値であり、T
RTは室温値であり、K
12は12番目の定数(たとえば、0.00004)であり、[G]はグルコース濃度であり、K
13は13番目の定数(たとえば、1.2)であり、T
1は第1の温度閾値であり、K
14は14番目の定数(たとえば、0.005)である。
【0100】
式15を使用してC
Tが計算された後、C
Tが所定の範囲に制約されていることを保証するために2つの階段関数(truncation function)が実行でき、それによって異常値のリスクを軽減する。一実施形態では、C
Tは、−10から+10の範囲を有するように制限できる。たとえば、C
Tが10より大きいかどうかを判断するために決定を実行できる。C
Tが10よりも大きい場合、次いでC
Tは10に設定される。C
Tが10よりも大きくない場合、次いでC
Tが−10未満であるかどうかを判断するために決定が実行される。C
Tが−10未満である場合、C
Tは−10に設定できる。C
Tがすでに−10と+10の間の値である場合、その結果、概して切り捨ての必要はない。
【0101】
いったんC
Tが決定されると、温度補正されたグルコース濃度を計算できる。たとえば、温度について補正されていないグルコース濃度(たとえば[G])が100mg/dL未満であるかどうかを判断するために決定が実行できる。[G]が100mg/dL未満である場合、次いで式17が、補正値C
Tをグルコース濃度[G]に加算することによって温度補正されたグルコース濃度G
Tを計算するために使用できる。
【数17】
[G]が100mg/dL未満ではない場合、次いで式18が、C
Tを100で除算し、1を加算し、次いでグルコース濃度[G]で乗算することによって温度補正されたグルコース濃度G
Tを計算するために使用できる。
【数18】
いったん温度の影響について補正されたグルコース濃度が決定されると、グルコース濃度は、たとえばディスプレイに出力できる。
<寿命/保管の補正>
【0102】
本発明のシステムおよび方法のいくつかの実施形態では、計算されたグルコース濃度に対して追加の補正係数を適用できる。この補正係数は、寿命および/または保管状態のセンサ性能に対する影響を補正することによって、確度の改善を実現するために使用できる。たとえば、センサの物理的性質に相互に関連があるパラメータを測定でき、そのパラメータは、補正された検体濃度を計算するために使用できる。いくつかの実施形態では、センサの物理的性質に相互に関連のあるパラメータは、センサの測定済みのキャパシタンスであり得る。
【0103】
たとえば、上記により詳しく説明されたタイプの電気化学セル等のセンサの測定されたキャパシタンスは、センサの寿命および/または保管条件に関連付けることができる。非制限例として、電気化学セルのキャパシタンスは、スペーサ層から試料反応室の中への、電気化学セルの製造で使用される接着剤のゆっくりとした流れによって影響を及ぼされることができる。センサが特に昇温で保管中などにエージングするにつれ、接着剤は、反応室の中に流れ込み、センサの基準電極および/または対電極を覆うことがある。たとえば、接着剤は、センサによって行われる測定の確度に影響を及ぼすことができる電極の面積の縮小を引き起こすことがある。また、電極面積の縮小は、センサのキャパシタンスの削減と相互に関連することもある。したがって、センサの測定されたキャパシタンスは、センサを使用して行われる読取りの確度を改善するために使用できる補正係数を計算するために使用できる。
【0104】
例示的な一実施形態では、補正された検体濃度を計算するための方法は、たとえばキャパシタンス等の電気化学セルの物理的性質を測定すること、および補正係数C
cを計算することを含むことができる。補正係数C
cは、測定された物理的性質に基づくことができる。したがって、補正係数C
cは、補正された検体濃度を計算するために使用できる。
【0105】
最初に、上記式13からグルコース濃度[G]等の補正されていない検体濃度を得ることができる。代わりに、以下に説明されるアルゴリズムで使用される検体濃度は、たとえば、より詳しく上記に説明された温度および/または充填時間で補正された検体濃度等の、あらゆる他の補正方法を使用して以前に補正された補正済みの検体濃度であることができる。また、たとえば上記に説明されたキャパシタンスの測定方法を使用して、センサの測定されたキャパシタンスを得ることもできる。その後、測定されたキャパシタンス値Cがキャパシタンス閾値C
1未満であるかどうかを判断するために決定が実行できる。いくつかの実施形態では、キャパシタンス閾値C
1は、同じタイプのセンサの平均、つまり理想的なキャパシタンスであることができる。キャパシタンス値Cがキャパシタンス閾値C
1未満である場合、および補正されていない(または以前に補正された)検体濃度[G]が検体濃度閾値[G
1]よりも大きい場合、次いでキャパシタンス補正関数は、補正係数C
cを決定するために使用できる。キャパシタンス値Cがキャパシタンス閾値C1未満ではない場合、および/または補正されていない(または以前に補正された)検体濃度[G]が検体濃度閾値[G
1]よりも大きくない場合、次いで補正係数C
cをゼロに設定できる。たとえば、一実施形態では、キャパシタンス閾値C
1は、約559ナノファラッドであり、たとえばグルコース濃度等の検体濃度閾値[G1]は、約100mg/dLであることができる。したがって、キャパシタンス値Cおよび/または検体濃度[G]が所定の範囲(複数の場合がある)にある場合、補正係数C
cは、キャパシタンス補正関数を使用して決定することができ、さもなければ補正係数C
cは、ゼロに設定できる。
【0106】
測定されたキャパシタンス値Cがキャパシタンス閾値C
1未満であり、補正されていない(または以前に補正された)検体濃度[G]が検体濃度閾値[G
1]よりも大きいときに、キャパシタンス補正係数C
cを計算するためのキャパシタンス補正関数は、式19の形をとることがあり、
【数19】
上式では、C
cは補正係数であり、K
cは経験的に導かれた定数(たとえば、0.152)であり、C
1はキャパシタンス閾値(たとえば、559ナノファラッド)であり、Cは測定されたキャパシタンス値である。
【0107】
C
cがたとえば式19を使用して計算された後、C
cが所定の範囲に制約されていることを保証するために、2つの階段関数が実行でき、それによってデータに適用される最大補正を制限することで、異常値のリスクを軽減する。一実施形態では、C
cがカットオフ値よりも大きい場合、C
cはカットオフ値に設定できる。たとえば、C
cが、カットオフ値(たとえば5)よりも大きいかどうかを判断するために決定が実行できる。C
cがカットオフ値(たとえば5)よりも大きい場合、次いでC
cは、カットオフ値(たとえば5)に設定される。C
cがカットオフ値よりも大きくない場合、次いで概して切り捨ての必要はない。
【0108】
いったんC
cが決定されると、キャパシタンスが補正されたグルコース濃度を計算できる。たとえば、検体がグルコースである場合に、補正されていない(または以前に補正された)検体濃度[G]が、たとえば100mg/dL等の検体濃度閾値「G
1]未満であるかどうかを判断するために決定が実行できる。[G]が検体濃度閾値[G
1]未満である場合、次いでさらなる補正は適用されない。[G]が検体濃度閾値[G
1]よりも大きい場合、次いで式20が、C
cを100で除算し、1を加算し、次いで検体濃度[G]で乗算することによってキャパシタンスが補正されたグルコース濃度G
cを計算するために使用できる。
【数20】
【0109】
いったん寿命および/または保管の影響について補正された検体濃度が決定されると、グルコース濃度は、たとえばディスプレイに出力できる。
【実施例1】
【0110】
電気化学システムで使用されるセンサの寿命を補正するためのアルゴリズムの開発を、以下の例によって明示する。以下の実施例では、システムは、2つの対向する電極を備えたセンサを含み、試薬は、1つの電極上で乾燥される試料と反応するように設計する。本明細書に開示されるシステム、装置、および方法の性能を試験するための分析に複数の試料を提供した。試料は、3つの異なるレベルのヘマトクリット、および2つの異なるレベルのグルコースを含有した血液試料であり、そのそれぞれは、システム、装置、および方法の確度を決定するために検査結果を実際の結果と比較できるように既知であった。3つのレベルのヘマトクリットは、およそ20%、37から45%、および60%であった。2つのレベルのグルコースは、およそ250mg/dLおよび500mg/dLであった。3つのレベルのヘマトクリットおよび2つのレベルのグルコースを試験することにより、開示されているシステム、装置、および方法の確度を、広範囲の濃度レベルにわたって確認できた。
【0111】
本実施例では、センサの第1のグループを、4から21週の間、摂氏5度で保管した。センサの第2のグループを、4から21週の間、摂氏30度および相対湿度65%で保管した。上述した血液の試料でセンサを試験した。グルコース測定中、センサのキャパシタンスも計算した。センサをベースにした測定がNGLバイアスデータを提供するために比較されるグルコースのベースライン測定値を出すために、各試料もYSI2700臨床計器を使用して試験した。NGLバイアス対キャパシタンスを示す
図9は、これらの検査で得られたデータを示す。
図9に示すように、バイアスパーセンテージは、キャパシタンスと相互に関連する。特に、チャートの回帰線によって示すように、より低い測定キャパシタンスが、増加した負のバイアスと相互に関連する。
【実施例2】
【0112】
キャパシタンス補正アルゴリズムの結果を、以下の実施例によって明示する。この実施例では、実施例1で説明した実験から得たデータを、より詳しく上記に説明した補正アルゴリズムに基づいて補正した。表1は、補正アルゴリズムを適用することによって得られるグルコース測定値の改善を示し、データは、G<80mg/dLのときにYSI2700臨床計器によって行う測定の所与の数のmg/dLの範囲内にある、またはG≧80mg/dLのときにYSI 2700臨床計器によって行う測定の所与の%の範囲内にあるバイアスのパーセンテージを示す。表1は、平均バイアスおよび実効値バイアスも示す。
【表1】
表の右欄のキャパシタンスが補正されたデータは、測定キャパシタンスを使用してグルコース値を補正したときの各パラメータの改善を示す。
【実施例3】
【0113】
より激しくエージングしたセンサを用いてキャパシタンス補正アルゴリズムの使用を試験した結果を以下の実施例によって明示する。本実施例では、60,864個のセンサのはるかに大きなデータセットを用いてアルゴリズムを検証し、摂氏5から40度でセンサを保管した。表2の結果は、開示されているキャパシタンス補正アルゴリズムを使用したときの確度および精度の一貫した改善を示す。
【表2】
【実施例4】
【0114】
エージングしていない(新たに製造した)センサを用いて高温でキャパシタンス補正アルゴリズムを使用した結果を、以下の実施例によって明示する。本実施例では、新たに製造したセンサを、摂氏5から45度の温度範囲を通して試験した。表3の結果は、さまざまなシミュレーションした高温気象条件でキャパシタンス補正アルゴリズムを適用したときのセンサの性能が著しく劣化していないことを示す。
【表3】
【実施例5】
【0115】
室温での拡大されたヘマトクリットおよびグルコース範囲を通して複数のセンサ製造ロットおよび血液試料を用いてキャパシタンス補正アルゴリズムを使用した結果を、以下の実施例によって明示する。本実施例では、センサを室温で試験した。表4の結果は、キャパシタンス補正アルゴリズムが、室温での拡大されたヘマトクリットおよびグルコース範囲でも正確な結果を提供することを示す。
【表4】
【0116】
本発明は、特定の変形形態および実例となる図に関して説明されてきたが、当業者は、本発明が説明されている変形形態または図に制限されないことを認識する。さらに、上記に説明する方法およびステップが特定の順序で発生する特定の事象を示す場合、当業者は、特定のステップの順序付けが修正され得ること、およびかかる修正が本発明の変形形態に従っていることを認識する。さらに、特定のステップは、上述するように連続して実行され得るだけではなく、可能なときには並行プロセスで同時に実行され得る。したがって、本開示の精神の範囲内にある、または特許請求の範囲に記載される本発明に同等である本発明の変形形態がある範囲まで、本特許がそれらの変形形態も対象とすることを意図する。本明細書に引用されるすべての公報および参考は、全体として参照により本明細書に組み込まれる。