特許第6184375号(P6184375)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6184375粉末塗布装置及び粉末塗布装置を動作させる方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6184375
(24)【登録日】2017年8月4日
(45)【発行日】2017年8月23日
(54)【発明の名称】粉末塗布装置及び粉末塗布装置を動作させる方法
(51)【国際特許分類】
   B22F 3/105 20060101AFI20170814BHJP
   B05C 9/12 20060101ALI20170814BHJP
   B05C 19/04 20060101ALI20170814BHJP
   B05C 19/06 20060101ALI20170814BHJP
   B22F 3/16 20060101ALI20170814BHJP
   B05D 7/24 20060101ALI20170814BHJP
   B05D 1/26 20060101ALI20170814BHJP
【FI】
   B22F3/105
   B05C9/12
   B05C19/04
   B05C19/06
   B22F3/16
   B05D7/24 301A
   B05D1/26 Z
【請求項の数】15
【外国語出願】
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2014-128865(P2014-128865)
(22)【出願日】2014年6月24日
(65)【公開番号】特開2015-38241(P2015-38241A)
(43)【公開日】2015年2月26日
【審査請求日】2015年9月25日
(31)【優先権主張番号】13173625.8
(32)【優先日】2013年6月25日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】514298748
【氏名又は名称】エスエルエム ソルーションズ グループ アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100102532
【弁理士】
【氏名又は名称】好宮 幹夫
(72)【発明者】
【氏名】アンドレ ハーマン
(72)【発明者】
【氏名】アンドレアス ウィーズナー
【審査官】 川村 裕二
(56)【参考文献】
【文献】 特表2013−538705(JP,A)
【文献】 特表2003−502500(JP,A)
【文献】 特開2009−078558(JP,A)
【文献】 特開2006−205456(JP,A)
【文献】 特開2012−246541(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B22F 3/00− 8/00
B05C 9/12
B05C 19/04
B05C 19/06
B05D 1/26
B05D 7/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
粉末の層を電磁放射線又は粒子放射線に暴露することによってワークピースを製造する装置に使用される粉末塗布装置(10’、10”)であって、
前記粉末塗布装置(10’、10”)の第1の部分(20)に設けられ、原材料粉末を受け取って貯蔵するように構成された第1の粉末貯蔵部(12a)と、
前記粉末塗布装置(10’、10”)の第2の部分(24)に設けられ、原材料粉末を前記第1の粉末貯蔵部(12a)から前記粉末塗布装置(10’、10”)の下方に配置されたキャリア(16)上に放出するように構成された第1の粉末供給チャネル(14a)と、
前記第1の粉末供給チャネル(14a)内に設けられ、第1の位置と第2の位置の間で移動するように構成され、前記第1の位置では、前記第1の粉末貯蔵部(12a)から前記キャリア(16)上への原材料粉末の放出を可能にし、前記第2の位置では、前記第1の粉末貯蔵部(12a)から前記キャリア(16)上への原材料粉末の放出を妨げる第1のチャネル開閉部品(26a)とを具備し、前記第1のチャネル開閉部品(26a)は、該第1のチャネル開閉部品(26a)に作用する外部からの機械的な力によって前記第1の位置と前記第2の位置の間で移動するように構成され、前記外部からの機械的な力は、前記粉末塗布装置(10’、10”)が前記キャリア(16)の上方を移動する時に、前記第1のチャネル開閉部品(26a)が前記ワークピースを製造する装置のストッパー(28a、28b)と接することによって生じるものであることを特徴とする粉末塗布装置。
【請求項2】
前記第1の位置及び前記第2の位置の一方では、前記第1のチャネル開閉部品(26a)は前記粉末塗布装置(10’、10”)のハウジング(36)の側面(34a)から突出しており、前記第1の位置及び前記第2の位置のもう一方では、前記第1のチャネル開閉部品(26a)は前記粉末塗布装置(10’、10”)のハウジング(36)の側面(34a)から突出していないか、又は、前記粉末塗布装置(10’、10”)のハウジング(36)の側面(34a)から、前記第1の位置及び前記第2の位置の一方で突出された時よりも突出していないものであることを特徴とする請求項1に記載の粉末塗布装置。
【請求項3】
前記第1のチャネル開閉部品(26a)は、前記第1の位置と前記第2の位置の間で水平方向に移動可能な板状部材であり、前記第1の位置及び前記第2の位置の一方では、前記板状部材の側面(40)は、前記粉末塗布装置(10’、10”)のハウジング(36)の側面(34a)から突出しており、前記第1の位置及び前記第2の位置のもう一方では、前記板状部材の側面(40)は、前記粉末塗布装置(10’、10”)のハウジング(36)の側面(34a)と一直線に揃っている、又は、前記粉末塗布装置(10’、10”)のハウジング(36)の側面(34a)から、前記第1の位置及び前記第2の位置の一方で突出された時よりも突出していないものであることを特徴とする請求項2に記載の粉末塗布装置。
【請求項4】
前記粉末塗布装置(10’、10”)の第1の部分(20)に設けられ、原材料粉末を受け取って貯蔵するように構成された第2の粉末貯蔵部(12b)と、
前記粉末塗布装置(10’、10”)の第2の部分(24)に設けられ、原材料粉末を前記第2の粉末貯蔵部(12b)から前記粉末塗布装置(10’、10”)の下方に配置された前記キャリア(16)上に放出するように構成された第2の粉末供給チャネル(14b)と、
前記第2の粉末供給チャネル(14b)内に設けられ、第1の位置と第2の位置の間で移動するように構成され、前記第1の位置では、前記第2の粉末貯蔵部(12b)から前記キャリア(16)上への原材料粉末の放出を可能にし、前記第2の位置では、前記第2の粉末貯蔵部(12b)から前記キャリア(16)上への原材料粉末の放出を妨げる第2のチャネル開閉部品(26b)とを更に具備し、前記第2のチャネル開閉部品(26b)は、該第2のチャネル開閉部品(26b)に作用する外部からの機械的な力によって前記第1の位置と前記第2の位置の間で移動するように構成され、前記外部からの機械的な力は、前記粉末塗布装置(10’、10”)がキャリア(16)の上方を移動する時に、第2のチャネル開閉部品(26b)が前記ワークピースを製造する装置のストッパー(28a、28b)と接することによって生じるものであることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の粉末塗布装置。
【請求項5】
前記第1のチャネル開閉部品(26a)及び前記第2のチャネル開閉部品(26b)は、互いに一体的に形成されたものであることを特徴とする請求項4に記載の粉末塗布装置。
【請求項6】
前記第1の及び前記第2のチャネル開閉部品(26a、26b)は、前記第1の及び前記第2のチャネル開閉部品(26a、26b)の両方が、前記第1の粉末貯蔵部及び前記第2の粉末貯蔵部(12b)から前記キャリア(16)上への原材料粉末の放出が妨げられる充填位置に、同時に位置合わせされることが可能であるように、及び/又は、
前記充填位置から第1の移動方向(D1)への前記第1の及び前記第2のチャネル開閉部品(26a、26b)の両方の移動が、前記第1の粉末貯蔵部(12a)から前記キャリア(16)上への原材料粉末の放出が可能になる前記第1の位置への前記第1のチャネル開閉部品(26a)の移動を引き起こすのと同時に、前記第2の粉末貯蔵部(12b)から前記キャリア(16)上への原材料粉末の放出が妨げられる前記第2の位置への前記第2のチャネル開閉部品(26b)の移動を引き起こすように、及び/又は、
前記充填位置から第2の移動方向(D2)への前記第1の及び前記第2のチャネル開閉部品(26a、26b)の両方の移動が、前記第1の粉末貯蔵部(12a)から前記キャリア(16)上への原材料粉末の放出が妨げられる前記第2の位置への前記第1のチャネル開閉部品(26a)の移動を引き起こすのと同時に、前記第2の粉末貯蔵部(12b)から前記キャリア(16)上への原材料粉末の放出が可能になる前記第1の位置への前記第2のチャネル開閉部品(26b)の移動を引き起こすように構成されたものであることを特徴とする請求項5に記載の粉末塗布装置。
【請求項7】
前記第1の貯蔵部(12a)は、前記第1の粉末貯蔵部(12a)の入口部分から前記第1の粉末貯蔵部(12a)の出口部分の方向に進むに従って、前記粉末塗布装置(10’、10”)の長手方向の軸と一致する垂直面と前記第1の粉末貯蔵部(12a)の間の距離が増加するように、該垂直面に対して傾斜した平面に沿って延び、及び/又は、前記第2の貯蔵部(12b)は、前記第2の粉末貯蔵部(12b)の入口部分から前記第2の粉末貯蔵部(12b)の出口部分の方向に進むに従って、前記粉末塗布装置(10’、10”)の長手方向の軸と一致する前記垂直面と前記第2の粉末貯蔵部(12b)の間の距離が増加するように、前記垂直面に対して傾斜した平面に沿って延びたものであることを特徴とする請求項4から請求項6のいずれか1項に記載の粉末塗布装置。
【請求項8】
前記第1の粉末貯蔵部(12a)の入口端は、原材料粉末を受け取るための複数の第1の入口(74)を具備し、前記第2の粉末貯蔵部(12b)の入口端は、原材料粉末を受け取るための複数の第2の入口(76)を具備し、前記第1の入口(74)は前記第2の入口(76)と異なるものであることを特徴とする請求項4から請求項7のいずれか1項に記載の粉末塗布装置。
【請求項9】
前記第1の入口(74)及び前記第2の入口(76)は、前記粉末塗布装置(10’、10”)の長手方向の軸に平行な方向に沿って、交互に配置されたものであることを特徴とする請求項8に記載の粉末塗布装置。
【請求項10】
取外し可能に装着されたならし用スライダー(46)が、前記粉末塗布装置(10’、10”)の底面(44)に設けられたものであることを特徴とする請求項4から請求項9のいずれか1項に記載の粉末塗布装置。
【請求項11】
前記粉末塗布装置(10’、10”)の底面(44)から始まり、前記粉末塗布装置(10’、10”)の第1の部分(20)に向かって、前記粉末塗布装置(10’、10”)内に延びる空間(48)が、前記第1の粉末貯蔵部(12a)と前記第2の粉末貯蔵部(12b)の間に設けられ、保持部品(50)が、前記空間(48)内で垂直方向に移動可能であるように、前記空間(48)にはめ込まれ、該保持部品(50)の底面(44)は、前記取外し可能に装着されたならし用スライダー(46)が設けられた前記粉末塗布装置(10’、10”)の底面(44)を成すものであることを特徴とする請求項10に記載の粉末塗布装置。
【請求項12】
前記保持部品(50)の垂直方向の位置は、前記粉末塗布装置(10’、10”)の上端で作動されることができるように前記粉末塗布装置(10’、10”)の上面(54)及び前記空間(48)を貫通して垂直に延びる、マイクロメータネジ(52)によって、調節可能なものであることを特徴とする請求項11に記載の粉末塗布装置。
【請求項13】
粉末塗布装置(10’、10”)を用いて、粉末の層を電磁放射線又は粒子放射線に暴露することによってワークピースを製造する方法であって、
前記粉末塗布装置は、該粉末塗布装置(10’、10”)の第1の部分(20)に設けられ、原材料粉末を受け取って貯蔵するように構成された第1の粉末貯蔵部(12a)と、
前記粉末塗布装置(10’、10”)の第2の部分(24)に設けられ、原材料粉末を前記第1の粉末貯蔵部(12a)から前記粉末塗布装置(10’、10”)の下方に配置されたキャリア(16)上に放出するように構成された第1の粉末供給チャネル(14a)と、
前記第1の粉末供給チャネル(14a)内に設けられ、第1の位置と第2の位置の間で移動するように構成され、前記第1の位置では、前記第1の粉末貯蔵部(12a)から前記キャリア(16)上への原材料粉末の放出を可能にし、前記第2の位置では、前記第1の粉末貯蔵部(12a)から前記キャリア(16)上への原材料粉末の放出を妨げる第1のチャネル開閉部品(26a)とを具備し、
前記第1のチャネル開閉部品(26a)に作用する外部からの機械的な力によって、前記第1のチャネル開閉部品(26a)を前記第1の位置と前記第2の位置の間で移動させる工程を含み、前記外部からの機械的な力は、前記粉末塗布装置(10’、10”)が前記キャリア(16)上を移動した時に、前記第1のチャネル開閉部品(26a)がワークピースを製造する装置のストッパー(28a、28b)と接することによって生じるものとすることを特徴とする方法。
【請求項14】
前記粉末塗布装置(10’、10”)は、前記粉末塗布装置(10’、10”)の第1の部分(20)に設けられ、原材料粉末を受け取って貯蔵するように構成された第2の粉末貯蔵部(12b)と、
前記粉末塗布装置(10’、10”)の第2の部分(24)に設けられ、原材料粉末を前記第2の粉末貯蔵部(12b)から前記粉末塗布装置(10’、10”)の下方に配置された前記キャリア(16)上に放出するように構成された第2の粉末供給チャネル(14b)と、
前記第2の粉末供給チャネル(14b)内に設けられ、第1の位置と第2の位置の間で移動するように構成され、前記第1の位置では、前記第2の粉末貯蔵部(12b)から前記キャリア(16)上への原材料粉末の放出を可能にし、前記第2の位置では、前記第2の粉末貯蔵部(12b)から前記キャリア(16)上への原材料粉末の放出を妨げる第2のチャネル開閉部品(26b)とを更に具備し、
前記第2のチャネル開閉部品(26b)に作用する外部からの機械的な力によって、前記第2のチャネル開閉部品(26b)を前記第1の位置と前記第2の位置の間で移動させる工程を更に含み、前記外部からの機械的な力は、前記粉末塗布装置(10’、10”)が前記キャリア(16)の上方を移動する時に、前記第2のチャネル開閉部品(26b)がワークピースを製造する装置のストッパー(28a、28b)と接することによって生じるものとすることを特徴とする請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記第1の及び前記第2のチャネル開閉部品(26a、26b)の両方を、前記第1の粉末貯蔵部及び前記第2の粉末貯蔵部(12b)から前記キャリア(16)上への原材料粉末の放出が妨げられる充填位置に同時に位置合わせする工程、
前記第1の粉末貯蔵部(12a)から前記キャリア(16)上への原材料粉末の放出が可能になる前記第1の位置への前記第1のチャネル開閉部品(26a)の移動を引き起こすのと同時に、前記第2の粉末貯蔵部(12b)から前記キャリア(16)上への原材料粉末の放出が妨げられる前記第2の位置への前記第2のチャネル開閉部品(26b)の移動を引き起こすように、前記第1の及び前記第2のチャネル開閉部品(26a、26b)の両方を充填位置から第1の移動方向(D1)へ移動させる工程、及び/又は、
前記第1の粉末貯蔵部(12a)から前記キャリア(16)上への原材料粉末の放出が妨げられる前記第2の位置への前記第1のチャネル開閉部品(26a)の移動を引き起こすのと同時に、前記第2の粉末貯蔵部(12b)から前記キャリア(16)上への原材料粉末の放出が可能になる前記第1の位置への前記第2のチャネル開閉部品(26b)の移動を引き起こすように、前記第1の及び前記第2のチャネル開閉部品(26a、26b)の両方を充填位置から第2の移動方向(D2)へ移動させる工程を更に含む請求項14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粉末の層を電磁放射線又は粒子放射線に暴露することによってワークピースを製造する装置に使用される粉末塗布装置に関する。更に、本発明は、このような粉末塗布装置を動作させる方法に関する。
【背景技術】
【0002】
粉末の層を電磁放射線又は粒子放射線に選択的に暴露することによって、複雑な3次元ワークピースを製造することが知られている。このような製造アプローチでは、金属又はセラミック材料の原材料粉末の層は、キャリア上に堆積される。次いで、原材料粉末の層は、放射線(例えば、レーザービーム)に選択的に暴露される。放射線に選択的に暴露される粉末領域の位置は、一般に、原材料粉末の層によって異なり、製造される3次元ワークピースの目標とする形状に依存する。照射により、照射領域内に位置する原材料粉末の粒子は溶融又は焼結し、これによって、照射領域内に位置する原材料粉末の層の部分は、対応する固体材料構造に変化させられる。固体材料構造が生成された後、更なる原材料粉末がキャリア上に堆積され(すなわち、それまでに生成された全ての固体材料構造上に堆積され)、対応する選択された領域等で放射線に暴露される。
【0003】
図1は、従来の粉末塗布装置10を概略的に示す。粉末塗布装置10は、粉末塗布装置の第1の部分に設けられ、原材料粉末を受け取って貯蔵するように構成された粉末貯蔵部12を具備する。更に、粉末塗布装置10は、粉末塗布装置10の第2の部分に設けられ、原材料粉末を粉末貯蔵部12から粉末塗布装置10の下方に配置されたキャリア16上に放出するように構成された粉末供給チャネル14を具備する。粉末供給チャネル14内に設けられたチャネル開閉機構18は、第1の位置と第2の位置の間で移動するように構成され、第1の位置では、粉末貯蔵部12からキャリア16上への原材料粉末の放出を可能にし、第2の位置では、粉末貯蔵部12からキャリア16上への原材料粉末の放出を妨げる可動部品を具備する。チャネル開閉機構18は、一般に、第1の位置及び第2の位置の間で可動部品を駆動する電動モーターを具備する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、電磁放射線又は粒子放射線に粉末の層を暴露することによってワークピースを製造する装置への使用に適している代替的な粉末塗布装置を提供することを目的とする。更に、本発明は、このような代替的な粉末塗布装置を用いて、電磁放射線又は粒子放射線に粉末の層を暴露することによってワークピースを製造する方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様によると、電磁放射線又は粒子放射線に粉末の層を暴露することによってワークピースを製造する装置に使用される粉末塗布装置が提供される。粉末塗布装置は、粉末塗布装置の第1の部分に設けられ、原材料粉末を受け取って貯蔵するように構成された第1の粉末貯蔵部を具備する。粉末塗布装置は、粉末塗布装置の第2の部分に設けられ、原材料粉末を第1の粉末貯蔵部から装置の下方に配置されたキャリア上に放出するように構成された第1の粉末供給チャネルを更に具備する。更に、第1の位置と第2の位置の間で移動するように構成され、第1の位置では第1の粉末貯蔵部からキャリア上への原材料粉末の放出を可能にし、第2の位置では第1の粉末貯蔵部からキャリア上への原材料粉末の放出を妨げる第1のチャネル開閉部品が、第1の粉末供給チャネル内に設けられる。第1のチャネル開閉部品は、第1のチャネル開閉部品に作用する外部からの機械的な力によって第1の位置と第2の位置の間で移動するように構成され、この外部からの機械的な力は、粉末塗布装置がキャリアの上方を移動する時に、第1のチャネル開閉部品がワークピースを製造する装置のストッパーと接することによって生じる。
【0006】
本願の説明における「外部からの機械的な力」という用語は、粉末塗布装置の「外部」から粉末塗布装置の第1のチャネル開閉部品に作用する機械的な力を示す。具体的には、外部からの機械的な力は、粉末塗布装置がキャリアの上方を移動する時に、第1のチャネル開閉部品がワークピースを製造する装置のストッパーと相互作用することによって生じる。特に、第1のチャネル開閉部品とストッパーの相互作用は、粉末塗布装置がキャリアの上方を一方向に移動する時に、その反対方向に第1のチャネル開閉部品を移動させるように、第1のチャネル開閉部品に作用する外部からの機械的な力を生成することができる。
このような粉末塗布装置の有利な効果は、第1のチャネル開閉部品が完全に機械的に駆動するために、すなわち駆動手段として電動モーターを必要としないために、その構造が単純であるということである。これによって、粉末塗布装置の重量が大幅に低減され、粉末塗布装置の移動の速度/加速度の特性を増加させることができる。また、電動モーターを駆動するために、外部から電気エネルギーを粉末塗布装置に供給する電気接続を提供する必要はない。更に、自動で原材料粉末を所望の領域(以下でその構造及び機能についてより詳細に説明がなされる、ならし用スライダーの正面の領域)に放出することが保証されるので、原材料粉末を正しい位置に放出するために、粉末塗布装置の位置を追跡する必要がない。
【0007】
一つの実施形態によると、第1の位置及び第2の位置のうち一方では、第1のチャネル開閉部品は粉末塗布装置のハウジングの側面から突出する。第1の位置及び第2の位置のもう一方では、第1のチャネル開閉部品は粉末塗布装置のハウジングの側面から突出していなくても良く、又は、粉末塗布装置のハウジングの側面からほとんど突出していなくても良い。
【0008】
第1のチャネル開閉部品は、例えば、第1の位置と第2の位置の間で水平方向に移動可能な板状部材であっても良く、第1の位置及び第2の位置の一方では、板状部材の側面は、粉末塗布装置のハウジングの側面から突出していても良く、第1の位置及び第2の位置のもう一方では、板状部材の側面は、粉末塗布装置のハウジングの側面と一直線に揃っていても良く、又は、粉末塗布装置のハウジングの側面からほとんど突出していなくても良い。例えば、第1のチャネル開閉部品が第1の位置に配置されている時に、第1の粉末供給チャネルに揃う開口部を第1のチャネル開閉部品に設けることで、原材料粉末がその開口部を通って第1の粉末貯蔵部からキャリア上に放出されることを可能にしても良い。
【0009】
これに代わって、第1のチャネル開閉部品は、第1のチャネル開閉部品の第2の位置において、第1の粉末貯蔵部から放出される原材料粉末を受け取り、その原材料粉末がキャリア上に塗布されるのを妨げるように適合された回旋可能なブレードを具備しても良い。更に、回旋可能なブレードは、外部からの機械的な力が第1のチャネル開閉部品に作用した時に、原材料粉末をキャリア上に放出するために、回旋軸周りに回旋するように適合されても良い。この外部からの機械的な力は、特に、粉末塗布装置がキャリアの上方を移動する時に、第1のチャネル開閉部品がワークピースを製造する装置のストッパーと接することによって生じるものであっても良い。
【0010】
粉末塗布装置は、第1のチャネル開閉部品がストッパーと接しなくなるとすぐに、第1のチャネル開閉部品を第1の位置から第2の位置に自動的に押す力が生じるように、第1のチャネル開閉部品及び粉末塗布装置と連結された第1のバネ部品を更に具備しても良い。バネが第1のチャネル開閉部品を第2の位置に移動させる役割を果たす一方で、ストッパーは、第1のチャネル開閉部品を第1の位置に押す役割のみを果たす。更に、ワークピースを製造する装置は、2つのストッパーを具備しても良い。第1のストッパーは、第1のチャネル開閉部品を第1の位置に動かすために、第1のチャネル開閉部品と相互作用する役割を果たしても良い。一方で、第2のストッパーは、第1のチャネル開閉部品を第2の位置に動かすために、第1のチャネル開閉部品と相互作用する役割を果たしても良い。例えば、2つのストッパーは、粉末塗布装置のハウジングの両側面の部位に設けられても良い。
【0011】
粉末塗布装置は、粉末塗布装置の第1の部分に設けられ、原材料粉末を受け取って貯蔵するように構成された第2の粉末貯蔵部と、粉末塗布装置の第2の部分に設けられ、原材料粉末を第2の粉末貯蔵部から粉末塗布装置の下方に配置されたキャリア上に放出するように構成された第2の粉末供給チャネルと、第2の粉末供給チャネル内に設けられ、第1の位置と第2の位置の間で移動するように構成され、第1の位置では、第2の粉末貯蔵部からキャリア上への原材料粉末の放出を可能にし、第2の位置では、第2の粉末貯蔵部からキャリア上への原材料粉末の放出を妨げる第2のチャネル開閉部品とを更に具備しても良い。第2のチャネル開閉部品は、該第2のチャネル開閉部品に作用する外部からの機械的な力によって第1の位置と第2の位置の間で移動するように構成されても良く、この外部からの機械的な力は、粉末塗布装置がキャリアの上方を移動する時に、第2のチャネル開閉部品がワークピースを製造する装置のストッパーと接することによって生じるものであっても良い。
【0012】
2つの粉末貯蔵部を具備する粉末塗布装置は、2つの異なる種類の原材料粉末で充填されても良い。更に、後により詳細に説明されるように、第1の粉末貯蔵部に含まれる粉末は、粉末塗布装置が第1の方向に移動する時に、キャリア上に塗布されても良く、その一方で、第2の粉末貯蔵部に含まれる粉末は、粉末塗布装置が第1の方向と反対の第2の方向に移動する時に、キャリア上に塗布されても良い。更に、第1の及び第2のチャネル開閉部品を具備する粉末塗布装置は、第1のチャネル開閉部品及び第2のチャネル開閉部品をそれぞれの第1の位置と第2の位置の間で移動させるために、装置の第1のチャネル開閉部品が第1のストッパーと相互作用でき、その一方で、第2のチャネル開閉部品が第2のストッパーと相互作用できるように、2つのストッパーを備える、ワークピースを製造する装置に用いられることが好ましい。
【0013】
第2のチャネル開閉部品は、第1のチャネル開閉部品に関する上述したような構成とされても良い。すなわち、第1の位置及び第2の位置のうち一方では、第2のチャネル開閉部品は粉末塗布装置のハウジングの側面から突出していても良い。第1の位置及び第2の位置のもう一方では、第2のチャネル開閉部品は粉末塗布装置のハウジングの側面から突出していなくても良く、又は、粉末塗布装置のハウジングの側面からほとんど突出していなくても良い。
【0014】
第1のチャネル開閉部品と同様に、第2のチャネル開閉部品もまた、例えば、第1の位置と第2の位置の間で水平方向に移動可能な板状部材であっても良く、第1の位置及び第2の位置の一方では、板状部材の側面は、粉末塗布装置のハウジングの側面から突出していても良く、第1の位置及び第2の位置のもう一方では、板状部材の側面は、粉末塗布装置のハウジングの側面と一直線に揃っていても良く、又は、粉末塗布装置のハウジングの側面からほとんど突出していなくても良い。例えば、第2のチャネル開閉部品が第1の位置に配置されている時に、第2の粉末供給チャネルに揃う開口部を第2のチャネル開閉部品に設けることで、原材料粉末がその開口部を通って第2の粉末貯蔵部からキャリア上に放出されることを可能にしても良い。
【0015】
これに代わって、第2のチャネル開閉部品は、第2のチャネル開閉部品の第2の位置において、第2の粉末貯蔵部から放出される原材料粉末を受け取り、その原材料粉末がキャリア上に塗布されるのを妨げるように適合された回旋可能なブレードを具備しても良い。更に、回旋可能なブレードは、外部からの機械的な力が第2のチャネル開閉部品に作用した時に、原材料粉末をキャリア上に放出するために、回旋軸周りに回旋するように適合されても良い。この外部からの機械的な力は、特に、粉末塗布装置がキャリアの上方を移動する時に、第2のチャネル開閉部品がワークピースを製造する装置のストッパーと接することによって生じるものである。
【0016】
粉末塗布装置は、第2のチャネル開閉部品がストッパーと接しなくなるとすぐに、第2のチャネル開閉部品を第1の位置から第2の位置に自動的に押す力が生じるように、第2のチャネル開閉部品及び粉末塗布装置と連結された第2のバネ部品を更に具備しても良い。バネが第2のチャネル開閉部品を第2の位置に移動させる役割を果たす一方で、ストッパーは、第2のチャネル開閉部品を第1の位置に押す役割のみを果たす。
【0017】
これに加えて、又はこれに代わって、第1のチャネル開閉部品及び第2のチャネル開閉部品は、更に、互いに一体的に形成されても良い。すなわち、一つの構成要素が第1の及び第2のチャネル開閉部品を形成しても良い。例えば、第1のチャネル開閉部品及び第2のチャネル開閉部品は、水平方向に移動可能な板状部材によって形成されても良い。第1の及び第2の粉末供給チャネルに揃えることができる2つの開口部を板状部材に設けることで、原材料粉末が、各開口部を通って第1の及び第2の粉末貯蔵部からキャリア上にそれぞれ放出されることを可能にしても良い。
【0018】
第1の及び第2のチャネル開閉部品は、第1の及び第2のチャネル開閉部品の両方が、第1の及び第2の粉末貯蔵部からキャリア上への原材料粉末の放出が妨げられる充填位置に同時に位置合わせされることが可能であるように、構成されても良い。第1の及び第2のチャネル開閉部品が充填位置に配置された時、キャリア上への原材料粉末の放出を妨げながら、第1の及び第2の粉末貯蔵部を所望の量の粉末で充填することができる。充填位置に配置された時、第1のチャネル開閉部品は、粉末塗布装置のハウジングの第1の側面から突出していても良い。同様に、充填位置に配置された時、第2のチャネル開閉部品は、粉末塗布装置のハウジングの第1の側面の反対側に位置する、粉末塗布装置のハウジングの第2の側面から突出していても良い。
【0019】
更に、第1の及び第2のチャネル開閉部品は、充填位置から第1の移動方向への第1の及び第2のチャネル開閉部品の両方の移動が、第1の粉末貯蔵部からキャリア上への原材料粉末の放出が可能になる第1の位置への第1のチャネル開閉部品の移動を引き起こすのと同時に、第2の粉末貯蔵部からキャリア上への原材料粉末の放出が妨げられる第2の位置への第2のチャネル開閉部品の移動を引き起こすように、構成されても良い。
【0020】
第1のチャネル開閉部品が第1の位置に配置された時、第1のチャネル開閉部品は、充填位置に配置された時よりも粉末塗布装置のハウジングの第1の側面から大きく突出していても良い。これに対し、第2のチャネル開閉部品は、第2の位置に配置された時、充填位置に配置された時よりも粉末塗布装置のハウジングの第2の側面から小さく突出していても良く、又は、粉末塗布装置のハウジングの第2の側面と一直線に揃っていても良い。第1の及び第2のチャネル開閉部品の両方の移動は、粉末塗布装置が第1の移動方向と反対の第2の移動方向に移動し、第2のチャネル開閉部品が第2のチャネル開閉部品と関連付けられた第2のストッパーと接触することによって達成されても良い。
【0021】
また、第1の及び第2のチャネル開閉部品は、充填位置から第2の移動方向への第1の及び第2のチャネル開閉部品の両方の移動が、第1の粉末貯蔵部からキャリア上への原材料粉末の放出が妨げられる第2の位置への第1のチャネル開閉部品の移動を引き起こすのと同時に、第2の粉末貯蔵部からキャリア上への原材料粉末の放出が可能になる第1の位置への第2のチャネル開閉部品の移動を引き起こすように、構成されても良い。
【0022】
第1のチャネル開閉部品が第2の位置に配置された時に、第1の開閉部品は、充填位置に配置された時よりも粉末塗布装置のハウジングの第1の側面から小さく突出していても良く、又は、粉末塗布装置のハウジングの第1の側面と一直線に揃っていても良い。これに対し、第2のチャネル開閉部品は、第1の位置に配置された時、充填位置に配置された時よりも粉末塗布装置のハウジングの第2の側面から大きく突出していても良い。第1の及び第2のチャネル開閉部品の両方の移動は、粉末塗布装置が第2の移動方向と反対の第1の移動方向に移動し、第1のチャネル開閉部品が第1のチャネル開閉部品と関連付けられた第1のストッパーと接触することによって達成されても良い。更に、後により詳細に説明されるように、第1の粉末貯蔵部に含まれる粉末は、粉末塗布装置が第1の方向に移動する時に、キャリア上に分配されても良く、その一方で、第2の粉末貯蔵部に含まれる粉末は、粉末塗布装置が第1の方向と反対の第2の方向に移動する時に、キャリア上に分配されても良い。
【0023】
第1の及び第2のチャネル開閉部品の構成は、特に、粉末塗布装置の効率的な動作を可能にする。第1の工程で、第1の及び第2のチャネル開閉部品は、それぞれの充填位置に位置合わせされても良い。これは、例えば、キャリア上方での粉末塗布装置の適切な移動、及び、第1の又は第2のチャネル開閉部品と第1の又は第2のストッパーとのそれぞれの相互作用によって達成されても良い。その後、第1の及び第2のチャネル開閉部品がキャリア上への粉末の放出を妨げながら、第1の及び第2の粉末貯蔵部が充填されても良い。
【0024】
第2の工程で、粉末塗布装置は、第1のチャネル開閉部品が第1のストッパーと接するまで、キャリアの上方で第1の移動方向に動かされても良い。これによって、第1の及び第2のチャネル開閉部品は、第2のチャネル開閉部品が第2の粉末貯蔵部からキャリア上への原材料粉末の放出が可能になる第1の位置に位置合わせされる一方で、第1のチャネル開閉部品が第1の粉末貯蔵部からキャリア上への原材料粉末の放出が依然として妨げられる第2の位置に到達するまで、第1の移動方向と反対の第2の移動方向に動かされる。
【0025】
その後、粉末塗布装置は、第2のチャネル開閉部品が第2のストッパーと接するまで、キャリアの上方で第2の移動方向に動かされても良い。これによって、第1の及び第2のチャネル開閉部品は、第2のチャネル開閉部品が第2の粉末貯蔵部からキャリア上への原材料粉末の放出が妨げられる第2の位置に位置合わせされる一方で、第1のチャネル開閉部品が第1の粉末貯蔵部からキャリア上への原材料粉末の放出が可能になる第1の位置に到達するまで、第2の移動方向と反対の第1の移動方向に動かされる。このようにして、粉末塗布装置がキャリアの上方で移動するたびに、粉末の層が生成される。すなわち、粉末塗布装置は、粉末の層を生成せずにキャリアの上方を移動するという必要はない。
【0026】
第1の粉末貯蔵部は、第1の粉末貯蔵部の第1の部分から第1の粉末貯蔵部の第2の部分の方向に進むに従って、粉末塗布装置の長手方向の軸と一致する垂直面と第1の粉末貯蔵部の間の距離が増加するように、該垂直面に対して傾斜した平面に沿って延びても良い。更に、第2の粉末貯蔵部は、第2の粉末貯蔵部の第1の部分から第2の粉末貯蔵部の第2の部分の方向に進むに従って、粉末塗布装置の長手方向の軸と一致する垂直面と第2の粉末貯蔵部の間の距離が増加するように、該垂直面に対して傾斜した平面に沿って延びても良い。
【0027】
このようにして、第1の粉末貯蔵部の容積及び第2の粉末貯蔵部の容積は、小さく維持される。これは、第1の粉末貯蔵部及び第2の粉末貯蔵部内の原材料粉末の量もまた制限されることを意味する。これによって、粉末塗布装置の重量が低減される。その一方で、第1の粉末貯蔵部及び第2の粉末貯蔵部内の原材料粉末の量は、2つの連続した粉末の層(一つは粉末塗布装置が第2のストッパーの方向に移動する時、第2の粉末貯蔵部からの原材料粉末を用いた粉末の層、もう一つは粉末塗布装置が第1のストッパーの方向に移動する時、第1の粉末貯蔵部からの原材料粉末を用いた粉末の層)を生成するために十分であるため、粉末塗布工程を中断する必要がない。第1の粉末貯蔵部及び第2の粉末貯蔵部への原材料粉末の再充填は、2回の粉末塗布サイクルの後で十分である。
【0028】
第1の粉末貯蔵部の入口端は、原材料粉末を受け取るための複数の第1の入口を具備し、第2の粉末貯蔵部の入口端は、原材料粉末を受け取るための複数の第2の入口を具備し、第1の入口は第2の入口と異なるものである。このようにして、第1の入口によって受取られた原材料粉末の量と、第2の入口によって受け取られた原材料粉末の量を確認することによって、第1の粉末貯蔵部及び第2の粉末貯蔵部内に同量の原材料粉末を正確に充填することが可能になる。これによって、2つの粉末の層の厚さが正確に同等になるように制御されることができることが保証される。また一方で、これによって、2つの異なる粉末材料が互いに混ざる危険性を有することなく、第1の粉末材料を第1の貯蔵部内に充填し、第2の粉末材料を第2の粉末貯蔵部内に充填することが可能になる。このように、異なる粉末材料の層からなるサンドイッチ構造の層を容易に生成することができる。第1の入口及び第2の入口は、粉末塗布装置の長手方向の軸に平行な方向に沿って、交互に配置されても良い。
【0029】
粉末塗布装置の底面に、取外し可能に装着されたならし用スライダーが設けられても良い。このようにして、ならし用スライダーは、製造工程の種類に応じて、要求に従って容易に交換されることができる。ならし用スライダーは、キャリアの表面に対して、第1の及び/又は第2の粉末貯蔵部からキャリア上に塗布された粉末を均等に分配する役割を果たす。好ましくは、ならし用スライダーは、キャリアの上方における粉末塗布装置の移動方向に対して、原材料粉末が粉末供給チャネルを通ってキャリア上に供給される際の該粉末供給チャネルの後方に配置されるような位置で、粉末塗布装置に配置される。2つの粉末貯蔵部と2つの粉末供給チャネルを具備する粉末塗布装置において、ならし用スライダーは、好ましくは第1の粉末供給チャネルと第2の粉末供給チャネルの間に配置される。
【0030】
粉末塗布装置の底面から始まり、粉末塗布装置の第1の部分に向かって、粉末塗布装置内に延びる空間が、第1の粉末貯蔵部と第2の粉末貯蔵部の間に設けられても良い。保持部品が、上記空間内で垂直方向に移動可能であるように、上記空間にはめ込まれても良く、該保持部品の底面は、取外し可能に装着されたならし用スライダーを具備しても良い。
【0031】
保持部品の垂直方向の位置は、粉末塗布装置の上面及び上記空間を貫通して垂直に延びる、マイクロメータネジを粉末塗布装置の上端で作動することによって、調節可能であっても良い。このようにして、取り外し可能に装着されたならし用スライダーの垂直方向の位置を容易に変更することを可能にする非常に単純な機構が提供される。
【0032】
本発明の一態様によると、上述のような粉末塗布装置を用いて、粉末の層を電磁放射線又は粒子放射線に暴露することによってワークピースを製造する方法において、第1のチャネル開閉部品は、第1のチャネル開閉部品に作用する外部からの機械的な力によって、第1の位置と第2の位置の間で移動され、この外部からの機械的な力は、粉末塗布装置がキャリア上を移動した時に、第1のチャネル開閉部品がワークピースを製造する装置のストッパーと接することによって生じるものである。
【0033】
本発明の方法は、粉末塗布装置の第1の部分に設けられ、原材料粉末を受け取って貯蔵するように構成された第2の粉末貯蔵部と、粉末塗布装置の第2の部分に設けられ、原材料粉末を第2の粉末貯蔵部から粉末塗布装置の下方に配置されたキャリア上に放出するように構成された第2の粉末供給チャネルと、第2の粉末供給チャネル内に設けられ、第1の位置と第2の位置の間で移動するように構成され、第1の位置では、第2の粉末貯蔵部からキャリア上への原材料粉末の放出を可能にし、第2の位置では、第2の粉末貯蔵部からキャリア上への原材料粉末の放出を妨げる第2のチャネル開閉部品とを更に具備する粉末塗布装置の使用を含んでも良い。この方法は、第2のチャネル開閉部品に作用する外部からの機械的な力によって、第2のチャネル開閉部品を第1の位置と第2の位置の間で移動させる工程を更に含んでも良く、この外部からの機械的な力は、粉末塗布装置がキャリアの上方で移動する時に、第2のチャネル開閉部品がワークピースを製造する装置のストッパーと接することによって生じるものである。
【0034】
本発明の方法は、第1の及び第2のチャネル開閉部品の両方を、第1の粉末貯蔵部及び第2の粉末貯蔵部からキャリア上への原材料粉末の放出が妨げられる充填位置に同時に位置合わせする工程を更に含んでも良い。更に、第1の粉末貯蔵部からキャリア上への原材料粉末の放出が可能になる第1の位置への第1のチャネル開閉部品の移動を引き起こすのと同時に、第2の粉末貯蔵部からキャリア上への原材料粉末の放出が妨げられる第2の位置への第2のチャネル開閉部品の移動を引き起こすように、第1の及び第2のチャネル開閉部品の両方を充填位置から第1の移動方向へ移動させても良い。最後に、第1の粉末貯蔵部からキャリア上への原材料粉末の放出が妨げられる第2の位置への第1のチャネル開閉部品の移動を引き起こすのと同時に、第2の粉末貯蔵部からキャリア上への原材料粉末の放出が可能になる第1の位置への第2のチャネル開閉部品の移動を引き起こすように、第1の及び第2のチャネル開閉部品の両方を充填位置から第2の移動方向へ移動させることが更に考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
以下の説明において、本発明の実施形態の例を説明する。
図1】従来の粉末塗布装置の概略的な断面図である。
図2a-2b】本発明の一つの実施形態による粉末塗布装置の概略的な断面図である。
図3a-3c】本発明の一つの実施形態による粉末塗布装置の斜視断面図である。
【0036】
以下で説明される実施形態において、同一の又は類似の領域、部分又は要素は、同一の符号によって示される。
【発明を実施するための形態】
【0037】
図2a及び図2bに示されるように、粉末の層を電磁放射線又は粒子放射線に暴露することによってワークピースを製造する装置に使用される、本発明の第1の実施形態による粉末塗布装置10’が提供される。粉末塗布装置10’は、第1の部分、すなわち粉末塗布装置10’の上部20に設けられ、粉末用入口22を介して原材料粉末を受け取って貯蔵するように構成された第1の粉末貯蔵部12aを具備する。粉末塗布装置10’は、第2の部分、すなわち粉末塗布装置10’の下部24に設けられ、原材料粉末を第1の粉末貯蔵部12aから粉末塗布装置の下方に配置されたキャリア16上に放出するように構成された第1の粉末供給チャネル14aを更に具備する。
【0038】
更に、粉末塗布装置10’は、第1の粉末供給チャネル14a内に設けられ、第1の位置と第2の位置の間で移動するように構成され、第1の位置では、第1の粉末貯蔵部12aからキャリア16上への原材料粉末の放出を可能にし(図2b参照)、第2の位置では、第1の粉末貯蔵部12aからキャリア16上への原材料粉末の放出を妨げる(図2a参照)第1のチャネル開閉部品26aを具備する。第1のストッパー28aはキャリア16から分離して形成される。例えば、第1のストッパー28aは、ワークピースを製造する装置のハウジングの側面に装着されても良い(不図示)。
【0039】
すなわち、第2の位置(初期位置)では、第1のチャネル開閉部品26aは粉末塗布装置10’のハウジング36の側面34aから突出しているが、第1のチャネル開閉部品26aの第1の末端30は第1のストッパー28aと接していない。しかしながら、粉末塗布装置10’がキャリア16の上方で第1の方向D1に沿って移動した場合、第1のチャネル開閉部品26aの第1の末端30は、第1のストッパー28aと接する。このようにして、第1の末端30に作用する外部からの機械的な力が生成され、第1のチャネル開閉部品26aは粉末塗布装置10’内で第1の方向D1と反対の第2の方向D2に沿って動かされる。このようにして、第1のチャネル開閉部品26aは、第2の位置から第1の位置へ動かされる。第1のチャネル開閉部品26aが第1の位置に配置された時、第1のチャネル開閉部品26aは粉末塗布装置10’のハウジング36の側面34aから突出していない。代わりに、第1の末端30は、ハウジング36の側面34aと一直線に揃う。第1のチャネル開閉部品26aの開口領域32は、第1の粉末供給チャネルの内側に配置され、これによって、第1の粉末貯蔵部12aと第1の粉末供給チャネル14aの第2の部分の間に通路が形成される。その一方で、第1のチャネル開閉部品26aの第2の位置では、開口領域32は、第1の粉末供給チャネル14aの外側に配置される。
【0040】
粉末塗布装置10’は、第1のチャネル開閉部品26aがストッパーと接しなくなるとすぐに、第1のチャネル開閉部品26aを第1の位置から第2の位置に自動的に押す力が生じるように、第1のチャネル開閉部品26a及び粉末塗布装置10’と連結されたバネ部品(不図示)を更に具備する。このように、バネが第1のチャネル開閉部品26aを第2の位置に移動させる役割を果たす一方で、ストッパー28aは、第1のチャネル開閉部品26aを第1の位置に押す役割のみを果たす。
【0041】
粉末塗布装置10’は、第1のチャネル開閉部品26aが完全に機械的に駆動するために、すなわち駆動手段として電動モーターを必要としないために、単純な構造を有する。そのため、粉末塗布装置10’の重量は低減する。これによって、粉末塗布装置10’のキャリア16の上方での移動の速度/加速度を増加させることが可能になる。キャリア16上に塗布される粉末の量は、第1の粉末貯蔵部12a内に導入される粉末の量を適切に制御することによって、制御される。特に、第1の粉末貯蔵部12aは、次の粉末の層をキャリア16上に塗布するために必要な粉末の量と、キャリア16上で粉末が不足するのを防ぐための所定の余剰な粉末の量との合計に相当する量の粉末で充填される。
【0042】
図3aから図3cは、粉末塗布装置10”の第2の実施形態を示す。粉末塗布装置10”は、第1の部分、すなわち粉末塗布装置10”の上部20に設けられ、粉末用入口22を介して原材料粉末を受け取って貯蔵するように構成された第1の粉末貯蔵部12aを具備する。粉末塗布装置10”は、第2の部分、すなわち粉末塗布装置10”の下部24に設けられ、原材料粉末を第1の粉末貯蔵部12aから粉末塗布装置10”の下方に配置されたキャリア16上に放出するように構成された第1の粉末供給チャネル14aを更に具備する。
【0043】
更に、第1の位置と第2の位置の間で移動するように構成され、第1の位置では第1の粉末貯蔵部12aからキャリア16上への原材料粉末の放出を可能にし、第2の位置では第1の粉末貯蔵部12aからキャリア16上への原材料粉末の放出を妨げる第1のチャネル開閉部品26aが、第1の粉末供給チャネル14a内に設けられる。
【0044】
粉末塗布装置10”は、粉末塗布装置10”の第1の部分20に設けられ、粉末用入口22を介して原材料粉末を受け取って貯蔵するように構成された第2の粉末貯蔵部12bを更に具備する。第2の粉末供給チャネル14bは、粉末塗布装置10”の第2の部分24に設けられ、原材料粉末を第2の粉末貯蔵部12bからキャリア16上に放出するように構成される。
【0045】
第1の位置と第2の位置の間で移動するように構成され、第1の位置では、第2の粉末貯蔵部12bからキャリア16上への原材料粉末の放出を可能にし、第2の位置では、第2の粉末貯蔵部12bからキャリア16上への原材料粉末の放出を妨げる第2のチャネル開閉部品26bが、第2の粉末供給チャネル14b内に設けられる。
【0046】
第1の及び第2のチャネル開閉部品26a、26bは互いに一体的に形成される。更に、第1の及び第2のチャネル開閉部品26a、26bは、第1の及び第2のチャネル開閉部品26a、26bの両方が、第1の粉末貯蔵部及び第2の粉末貯蔵部12bからキャリア16上への原材料粉末の放出が妨げられる充填位置に同時に位置合わせされることが可能であるように、構成される(図3b及び図3c参照)。第1の及び第2のチャネル開閉部品26a、26bが充填位置に配置された時、キャリア16上への原材料粉末の放出を妨げながら、第1の及び第2の粉末貯蔵部12a12bを所望の量の粉末で充填することができる。充填位置に配置された時、第1のチャネル開閉部品26は、粉末塗布装置10”のハウジング36の第1の側面34aから突出する。同様に、充填位置に配置された時、第2のチャネル開閉部品26bは、第1の側面34aとは反対側に位置する、粉末塗布装置10”のハウジング36の第2の側面34bから突出する。
【0047】
第1のチャネル開閉部品26aは、該第1のチャネル開閉部品26aに作用する外部からの機械的な力によって、第1の位置と第2の位置の間で移動するように構成され、この外部からの機械的な力は、粉末塗布装置10”がキャリア16の上方で第1の移動方向D1に移動する時に、第1のチャネル開閉部品26aがワークピースを製造する装置の第1のストッパー28aと接することによって、及び、粉末塗布装置10”がキャリア16の上方で第2の移動方向D2に移動する時に、第1のチャネル開閉部品26aが第2のチャネル開閉部品26bを介してワークピースを製造する装置の第2のストッパー28bと接することによって生じる。
【0048】
同様に、第2のチャネル開閉部品26bは、該第2のチャネル開閉部品26bに作用する外部からの機械的な力によって、第1の位置と第2の位置の間で移動するように構成され、この外部からの機械的な力は、粉末塗布装置10”がキャリア16の上方で第2の移動方向D2に移動する時に、第2のチャネル開閉部品26bがワークピースを製造する装置の第2のストッパー28bと接することによって、及び、粉末塗布装置10”がキャリア16の上方で第1の移動方向D1に移動する時に、第2のチャネル開閉部品26bが第1のチャネル開閉部品26aを介してワークピースを製造する装置の第1のストッパー28aと接することによって生じる。第1の及び第2のストッパー28a、28bは、キャリア16から分離して形成される。例えば、第1の及び第2のストッパー28a、28bは、ワークピースを製造する装置のハウジングの両側に装着されても良い(不図示)。
【0049】
キャリア16の上方での第2の移動方向D2への粉末塗布装置10”の移動、及び、第2のチャネル開閉部品26bと第2のストッパー28bの接触による、充填位置から第1の移動方向D1への第1の及び第2のチャネル開閉部品26a、26bの両方の移動は、第1の粉末貯蔵部12aからキャリア16上への原材料粉末の放出が可能になる第1の位置への第1のチャネル開閉部品26aの移動を引き起こす。それと同時に、第2のチャネル開閉部品26bは、第2の粉末貯蔵部12bからキャリア16上への原材料粉末の放出が依然として妨げられる第2の位置に動かされる。
【0050】
第1のチャネル開閉部品26aが第1の位置に配置された時、第1のチャネル開閉部品26aは、充填位置に配置された時よりも粉末塗布装置10”のハウジング36の第1の側面34aから大きく突出する。これに対し、第2のチャネル開閉部品26bは、第2の位置に配置された時、充填位置に配置された時よりも粉末塗布装置10”のハウジング36の第2の側面34bから小さく突出し、特に、粉末塗布装置10”のハウジング36の第2の側面34bと一直線に揃う。
【0051】
更に、キャリア16の上方での第1の移動方向D1への粉末塗布装置10”の移動、及び、第1のチャネル開閉部品26aと第1のストッパー28aの接触による、充填位置から第2の移動方向D2への第1の及び第2のチャネル開閉部品26a、26bの両方の移動は、第1の粉末貯蔵部12aからキャリア16上への原材料粉末の放出が依然として妨げられる第2の位置への第1のチャネル開閉部品26aの移動を引き起こす。それと同時に、第2のチャネル開閉部品26bは、第2の粉末貯蔵部12bからキャリア16上への原材料粉末の放出が可能になる第1の位置に動かされる。
【0052】
第1のチャネル開閉部品26aが第2の位置に配置された時、第1のチャネル開閉部品26aは、充填位置に配置された時よりも粉末塗布装置10”のハウジング36の第1の側面34aから小さく突出し、特に、粉末塗布装置10”のハウジング36の第1の側面34aと一直線に揃う。これに対し、第2のチャネル開閉部品26bは、第1の位置に配置された時、充填位置に配置された時よりも粉末塗布装置10”のハウジング36の第2の側面34bから大きく突出する。
【0053】
図3aから図3cに示される粉末塗布装置10”の実施形態において、第1の及び第2のチャネル開閉部品26a、26bのうち少なくとも一つを第1の又は第2の移動方向D1、D2のいずれか一方向に押すためのバネ機構を設けることができる。これに代わって、第1の及び第2のチャネル開閉部品26a、26bの両方の移動は、第1のチャネル開閉部品26aと第1のストッパー28aの相互作用及び第2のチャネル開閉部品26bと第2のストッパー28bの相互作用によって達成される。
【0054】
図3b及び図3cから明らかになるように、粉末塗布装置10”の底面44に取外し可能に装着されたならし用スライダー46が設けられる。ならし用スライダー46は、要求に従って容易に交換されることができる。粉末塗布装置10”の底面44から始まり、粉末塗布装置10”の第1の部分20に向かって、粉末塗布装置10”内に延びる空間48が、第1の粉末貯蔵部12aと第2の粉末貯蔵部12bの間に設けられる。保持部品50が、上記空間48内で垂直方向の軸Vに沿って移動可能であるように、上記空間48にはめ込まれ、該保持部品50の底面は、取外し可能に装着されたならし用スライダー46を具備する。保持部品50の垂直方向の位置は、粉末塗布装置10”の上面54及び上記空間48を貫通して垂直に延びる、マイクロメータネジ52によって調節され、このマイクロメータネジは、粉末塗布装置10”の上端で作動されることができる。このようにして、取り外し可能に装着されたならし用スライダー46の垂直方向の位置を容易に変更することを可能にする非常に単純な機構が提供される。ならし用スライダー46が、例えばゴム等の軟らかい弾性材料からなる場合、ならし用スライダー46は、保持部品50に設けられた適当な凹部内に収容される。ならし用スライダー46が、例えば金属やセラミック等の硬い非弾性材料からなる場合、ならし用スライダー46は適当な留め金機構によって固定される。
【0055】
ならし用スライダー46は、第1の粉末供給チャネル14aと第2の粉末供給チャネル14bの間に配置される。従って、粉末塗布装置10”がキャリア16の上方で第1の移動方向D1に移動する時、ならし用スライダー46は第1の粉末供給チャネル14aの後方に配置され、そのため、第1の粉末貯蔵部12aから第1の粉末供給チャネル14aを介して放出された原材料粉末をキャリア16に対して分配することができる。同様に、粉末塗布装置10”がキャリア16の上方で第2の移動方向D2に移動する時、ならし用スライダー46は第2の粉末供給チャネル14bの後方に配置され、そのため、第2の粉末貯蔵部12bから第2の粉末供給チャネル14bを介して放出された原材料粉末をキャリア16に対して分配することができる。
【0056】
第1の粉末貯蔵部12aは、第1の部分、すなわち第1の粉末貯蔵部12aの上部から第1の粉末貯蔵部12aの第2の部分の方向に進むに従って、粉末塗布装置10”の長手方向の軸60と一致する垂直面58と第1の粉末貯蔵部12aの間の距離64が増加するように、該垂直面58に対して第1の角度αで傾斜した平面56に沿って平行に延びる。更に、第2の粉末貯蔵部12bは、第1の部分、すなわち第2の粉末貯蔵部12bの上部から第2の粉末貯蔵部12bの第2の部分の方向に進むに従って、粉末塗布装置10”の垂直面58と第2の粉末貯蔵部12bの間の距離66が増加するように、該垂直面58に対して第2の角度βで傾斜した平面62に沿って延びる。第1の粉末貯蔵部12a及び第2の粉末貯蔵部12bの高さ68(すなわち、第1の/第2の粉末貯蔵部12a、12bの底面70と上面72の間の距離)が小さく保たれるため、第1の/第2の粉末貯蔵部12a、12bの容積もまた制限される。これは、第1の粉末貯蔵部12a内/第2の粉末貯蔵部12b内に貯蔵される原材料粉末の量もまた制限されることを意味する。
【0057】
これによって、粉末塗布装置がキャリア16の上方を移動する際の、粉末塗布装置10”の重量が低減される。これは、粉末塗布装置の移動速度を増加させることができることを意味する。また一方で、第1の粉末貯蔵部12a及び第2の粉末貯蔵部12b内の原材料粉末の量が、2つの粉末の層(一つは粉末塗布装置が第1のストッパー28aの方向へ移動した時、第1の粉末貯蔵部12aからの原材料粉末を用いた粉末の層、もう一つは粉末塗布装置が第2のストッパー28bの方向へ移動した時、第2の粉末貯蔵部12bからの原材料粉末を用いた粉末の層)を生成するのに十分であるため、粉末塗布工程を中断する必要がない。第1の粉末貯蔵部12a及び第2の粉末貯蔵部12bへの原材料粉末の再充填は、2つの粉末の層が生成された後のみで十分である。
【0058】
図2a及び図2bで図示される粉末塗布装置10’の第1の実施形態と同様に、図3aから図3cの粉末塗布装置10”においても、キャリア16上に塗布される粉末の量は、第1の及び第2の粉末貯蔵部12a、12b内に導入される粉末の量を適切に制御することによって制御される。特に、第1の及び第2の粉末貯蔵部12a、12bの両方は、一つの粉末の層をキャリア16上に塗布するために必要な粉末の量と、キャリア16上で粉末が不足するのを防ぐための所定の余剰な粉末の量との合計に相当する量の粉末で充填される。
【0059】
第1の粉末貯蔵部12aの入口端は、原材料粉末を受け取るための複数の第1の入口74を具備し、第2の粉末貯蔵部12bの入口端は、原材料粉末を受け取るための複数の第2の入口76を具備し、第1の入口74は、粉末塗布装置10”の長手方向の軸60に平行な方向に沿って、第2の入口76と交互に配置される。このようにして、2つの異なる粉末材料が互いに混ざる危険性を有することなく、第1の粉末材料を第1の貯蔵部12a内に充填し、それとは別々に、第2の粉末材料を第2の粉末貯蔵部12b内に充填することが可能になる。このように、異なる材料からなるサンドイッチ構造の層を容易に生成することができる。第1の粉末貯蔵部12a及び第2の粉末貯蔵部12bの底面70は傾斜しているため、粉末貯蔵部12a、12bによって受け取られる原材料粉末は、生成される粉末の層の品質を向上させる(粉塵が生成されない、又は生成が少ない)乱流のない方式で底面70に沿って滑り落ちる。
【0060】
第1の入口74又は第2の入口76が(例えば、それぞれに対応する板によって)塞がれている場合、第1の粉末貯蔵部12a及び第2の粉末貯蔵部12bのうち一つのみが原材料粉末で充填される。このようにして、サイクルあたり1つの粉末の層を生成するか、サイクルあたり2つの粉末の層を生成するかを容易に切り替えることができる。
図1
図2a
図2b
図3a
図3b
図3c