特許第6184411号(P6184411)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6184411
(24)【登録日】2017年8月4日
(45)【発行日】2017年8月23日
(54)【発明の名称】光線治療装置のための熱回収システム
(51)【国際特許分類】
   A61N 5/06 20060101AFI20170814BHJP
【FI】
   A61N5/06 Z
【請求項の数】11
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2014-531368(P2014-531368)
(86)(22)【出願日】2012年9月24日
(65)【公表番号】特表2014-527878(P2014-527878A)
(43)【公表日】2014年10月23日
(86)【国際出願番号】IB2012055067
(87)【国際公開番号】WO2013046113
(87)【国際公開日】20130404
【審査請求日】2015年9月8日
(31)【優先権主張番号】61/538,976
(32)【優先日】2011年9月26日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】590000248
【氏名又は名称】コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
【氏名又は名称原語表記】KONINKLIJKE PHILIPS N.V.
(74)【代理人】
【識別番号】100122769
【弁理士】
【氏名又は名称】笛田 秀仙
(72)【発明者】
【氏名】オイトベイエルス バスティアーン
(72)【発明者】
【氏名】カロン ヘオルゲス マリー
【審査官】 伊藤 孝佑
(56)【参考文献】
【文献】 特表2008−522762(JP,A)
【文献】 特表2003−507144(JP,A)
【文献】 特表2007−510466(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61N 5/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
哺乳動物の組織の近くでの利用のための放射線放射装置であり、
前面及び反対側の背面を持つ基板であって、前記基板が、前記前面上に少なくとも1つの放射線源を収容し、前記少なくとも1つの放射線源が、前記哺乳動物の組織の少なくとも一つの放射領域に放射線を当てるよう構成される基板と、
前記少なくとも1つの放射線源と熱的接触する前記基板の前記背面上に配設される熱拡散セクションとを有する放射線放射装置であって、
前記熱拡散セクションが、前記基板に実質的に平行な方向に前記基板を越えて延在する拡張領域を持ち、前記熱拡散セクションの前記拡張領域の少なくとも一部が、前記放射線放射装置が前記哺乳動物の組織の近くに当てられる場合に、前記哺乳動物の組織の前記少なくとも一つの放射領域を少なくとも部分的に囲む領域と熱的接触して配設される装置。
【請求項2】
前記拡張領域の表面積が、前記基板の表面積の少なくとも25%である、請求項1に記載の放射線放射装置。
【請求項3】
前記拡張領域の表面積が、前記基板の表面積の少なくとも50%である、請求項1に記載の放射線放射装置。
【請求項4】
少なくとも1つの付加的な電気素子を更に有し、前記少なくとも1つの付加的な電気素子が、前記熱拡散セクションと熱的接触しており、前記付加的な電気素子が、バッテリ、マイクロプロセッサ、又は少なくとも1つの放射線源を駆動するための電子素子から成るグループから選ばれる素子である請求項1に記載の放射線放射装置。
【請求項5】
前記拡張領域の表面積及び前記哺乳動物の組織と前記拡張領域の熱的接触面積が、更に、前記少なくとも1つの付加的な電気素子によって生成される熱の量に基づいて、必要な大きさにされる請求項に記載の放射線放射装置。
【請求項6】
前記熱拡散セクションを覆うよう配設される断熱層を更に有する請求項1乃至のいずれか一項に記載の放射線放射装置。
【請求項7】
前記拡張領域が、前記基板に平行な少なくとも1つの方向に配設される請求項1乃至のいずれか一項に記載の放射線放射装置。
【請求項8】
前記拡張領域が、前記基板に平行な全ての方向に配設される請求項1乃至のいずれか一項に記載の放射線放射装置。
【請求項9】
前記少なくとも1つの放射線源が、LED、白熱灯、ガス放電ランプ及び熱放射素子から成るグループから選ばれる少なくとも1つである請求項1乃至のいずれか一項に記載の放射線放射装置。
【請求項10】
前記拡張領域が、更に、放射線が前記装置から漏れるのを防止するよう構成される請求項1乃至のいずれか一項に記載の放射線放射装置。
【請求項11】
前記哺乳動物が人間である請求項1乃至10のいずれか一項に記載の放射線放射装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、哺乳動物の組織の近くでの使用のための放射線又は光線治療装置に関する。より詳細には、本発明は、光源からの余熱の再利用のための熱回収システムを有する光線治療装置に関する。
【背景技術】
【0002】
LED及び/又はOLEDを用いる放射又は照明システムが、低い温度においてより良好に動作するだろうことは、知られている。それ故、このような照明システムの各々は、LED及び/又はOLEDの温度を制限するために冷却システムを持つだろう。
【0003】
哺乳動物の組織の近くでの利用のための放射線放射装置の使用時には、照射される組織の温度を制御及び制限することが、非常に重要である。一般に、LED及び/又はOLED装置からの余熱に関する熱損失は、受動又は能動冷却、例えば、ファンを備える又は備えないヒートシンクを介して、環境へ移されるだろう。このようなシステムが望ましくない場合には、その代わりに、LED及び/又はOLEDに入力される電力が、LED及び/又はOLEDによって生成される熱が、組織の温度を、許容可能なレベルを超えて上昇させないように、制限され得る。
【0004】
従来技術において提案されている解決策は、全て、例えば、US 6290713において提案されている可撓性照明器のように、ヒートシンキングを用いることによって、放射線放射装置からの熱を環境へ移そうとする。しかしながら、この解決策は、哺乳動物の組織の近くでの利用のための放射線放射装置が、環境への熱放散を制限するだろう衣服の下に、別々に着用される場合の効率性が欠如している。
【0005】
安全性は、医療装置に関して、非常に重要であり、詳細には、人間の皮膚などの哺乳動物の組織と直接接触して用いられる装置にとっても、非常に重要である。装置の故障の場合に、ユーザ/患者の危険が引き起こされないことが保証されなければならない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
哺乳動物の組織に安全なようにして装置によって生成される熱を効果的に処理する、哺乳動物の組織の近くでの利用のための光線放射装置を持つことは有利であるだろう。更に、衣服の下で動作させるのに安全である、哺乳動物の組織の近くでの利用のための光線放射装置を達成することも望ましいだろう。
【課題を解決するための手段】
【0007】
これらの問題の1つ以上により良く対処するために、本発明の第1の態様においては、哺乳動物の組織の近くでの利用のための放射線放射装置であり、前面及び反対側の背面を持つ基板であって、前記基板が、前記前面上に少なくとも1つの放射線源を収容し、前記少なくとも1つの放射線源が、放射線放射領域内の前記哺乳動物の組織に放射線を照射するよう構成される基板と、前記少なくとも1つの放射線源と熱的接触する前記基板の前記背面上に配設される熱拡散セクションとを有する放射線放射装置であって、前記熱拡散セクションが、前記基板に実質的に平行な方向に前記基板を越えて延在する拡張領域を持ち、前記熱拡散セクションの前記拡張領域が、前記放射線放射装置が前記哺乳動物の組織の近くに当てられる場合に、前記哺乳動物の組織と熱的接触して配設される装置が提供される。前記熱拡散セクションは、例えば、平坦な熱拡散セクションであってもよい。なぜなら、哺乳動物の組織の近くでの利用のための放射線放射装置の適切な形状は、多くの場合、平坦であるからである。
【0008】
前記放射線源は、前記哺乳動物の組織にエネルギを加えることが可能な任意のエネルギ源であり得る。しかしながら、本発明の実施例においては、前記放射線源は、更に光線治療のために用いられる光源である。
【0009】
本願の文脈においては、「熱的接触する」という用語は、2つのシステムの間で、例えば、前記放射線源と前記熱拡散セクションとの間で、又は前記熱拡散セクションの前記拡張領域と前記哺乳動物の組織との間で、熱エネルギを交換できることを指す。熱的接触は、必ずしも、前記システムが直接的な物理的接触をしていることを必要とせず、例えば、前記システムの間に配置される熱伝導材料があってもよい。熱的接触は、前記2つのシステムの間の伝熱のための好ましい経路を確立する。
【0010】
従って、前記哺乳動物の組織、例えば、人間の皮膚に放射線を照射する放射線放射領域と、前記放射線放射領域を少なくとも部分的に囲む暗がり領域であって、前記暗がり領域に前記熱拡散セクションの前記拡張領域が延在する暗がり領域とを持つ放射線放射装置が示されている。前記熱拡散セクションは、前記放射線放射領域から、拡張領域、即ち、前記装置の、前記皮膚の近くの前記暗がり領域へ熱損失及び余熱を移動させる。前記暗がり領域、好ましくは、それのかなりの部分における前記皮膚と前記熱拡散セクションの拡張領域の熱的接触は、効果的に、「熱い」領域、即ち、熱が生成される前記放射線放射領域から熱を取り除き、「冷たい」領域、即ち、前記熱拡散セクションが前記拡張領域を介して延在する、前記放射線放射装置の前記暗がり領域において前記熱を再利用する。前記放射線源が光源である場合、前記放射線放射領域は、光線放射領域と呼ばれてもよく、「前記熱拡散セクションが、前記基板を越えて延在する拡張領域を持つ」という表現は、「前記熱拡散セクションが、前記光線放射領域を越えて前記暗がり領域に延在する拡張領域を持つ」とも書かれ得る。動作中、前記放射線放射領域において機能性放射線と余熱との両方を生成する前記放射線源によって、前記ユーザは、前記放射線放射装置のより大きな領域にわたって、より一様な熱分布を経験し、それによって、前記皮膚における熱の治療効果を増大させるだろう。好ましい実施例においては、前記熱拡散セクションの前記拡張領域は、前記光線放射領域のサイズの少なくとも25%のサイズを持つ。これは、前記光線放射領域のまわりの周辺領域における前記哺乳動物の組織への知覚可能な伝熱を保証する。より好ましい実施例においては、前記熱拡散セクションの前記拡張領域のサイズは、前記光線放射領域のサイズの少なくとも50%又は少なくとも100%である。大きなサイズの拡張領域は、実質的に、前記哺乳動物の組織に対する更なる伝熱に寄与し、実質的に、前記放射線放射装置の動作領域を、前記光線放射領域を越えて拡張する。
【0011】
かなりの量の熱が前記放射線又は光線放射領域から取り除かれることができることから、単位面積当たりの強度又はルーメンに関してより高い放射線出力が、実質的に前記皮膚の温度を安全動作範囲外に増大させずに、利用されることができる。放射線出力が高ければ高いほど、より効果的な治療処置をもたらし、更なる余熱が、効果的に、取り除かれ、周囲の皮膚を暖めるために再利用され、これは、更に、治療用治癒放射線波長が温熱刺激との組み合わせにおいてより効果的であるので、相乗効果を供給する。放射線治療装置における余熱の再利用は、治療用治癒波長に続く暖かさが筋肉に鎮痛及びリラックス効果を与える鎮痛のためのアプリケーションにおいて特に有利である。
【0012】
前記放射線放射装置は、少なくとも1つの付加的な電気素子を更に有してもよく、前記少なくとも1つの付加的な電気素子も、前記熱拡散セクションと熱的接触する。その方法においては、電子回路からの余熱も再利用され得る。従って、熱の再利用の前述の利点は、前記放射線放射装置内の他の電子素子との組み合わせにおいても達成される。
【0013】
前記熱拡散セクション及び前記熱拡散セクションの前記拡張領域はまた、故障(例えば、電子回路又はバッテリにおける短絡)が生じた場合、熱放散が、大きな表面積にわたって拡散し、温度上昇の速度を落とさせ、身体から前記装置を取り除くための十分な時間をユーザに与えるという事実により、前記装置を本質的に安全にし得る。前記熱は、前記装置の後部ではなく、前記身体に向けられることから、前記ユーザは、ユーザが前記装置の上に着用し得る衣服で如何なる火災の危険も生じる前に、素早く故障を感じるだろう。
【0014】
前記付加的な電気素子は、バッテリ、マイクロプロセッサ、及び放射線放射装置に役立つ任意の他の電気機器から成るグループから選ばれる素子であり得る。
【0015】
前記放射線放射装置は、周囲雰囲気への熱損失が最小限にされるように前記熱拡散セクションを覆うよう配設される断熱層を更に有してもよい。その方法においては、前記放射線源及び他の電子回路からのエネルギ損失は、可能な限り高い程度まで再利用される。それはまた、前記装置を着用する人が、前記放射線放射装置を覆う衣服を身につけているかどうかを、前記装置の機能と無関係にする。これは、前記ユーザの日常生活において有利である。なぜなら、前記ユーザは、様々な状況において、例えば、寒く、暖かい衣服が必要とされるときに外出する場合に、又は怪我を治している人にとっては頻繁であり得る、ベッドに行く又はベッドから出る場合に、服を着る又は服を脱ぐときに、前記装置又は前記装置の動作について心配する必要がないからである。前記断熱層は、織物、又は発泡体、又は可撓性であり、且つ使用するのに快適である任意の適切な断熱材料で作成され得る。
【0016】
前記熱拡散セクションの前記拡張領域は、或る特定の方向に前記基板を越えて延在してもよく、又は前記拡張領域は、全方向に前記基板を越えて延在し、それによって、前記放射線又は光線放射領域を完全に囲んでもよい。
【0017】
前記哺乳動物の組織と前記拡張領域の接触は、放射線が前記基板に平行な少なくとも1つの方向において前記装置から漏れるのを防止するよう整えられ得る。前記装置からの放射線の漏れは、更に、前記基板に平行な全方向において防止され得る。放射線の漏れは、ユーザにとって迷惑であるかもしれず、又は前記放射線又は光線治療がUV及び/又はIR領域において実施される場合には前記ユーザ又は他の人にとって危険でもあり得る。前記装置の不連続使用も容易になる。
【0018】
前記放射線放射装置の前記放射線源は、LED、白熱灯及び/又はガス放電ランプであり得る。前記放射線源は、哺乳動物の組織において放射線を用いる治療装置における使用に適した任意の放射線源であり得る。LEDは、前記装置のバッテリ時間を改善し、拡散され、前記放射線源から遠くへ導く必要がある余熱の量を減らす前記LEDの低電力使用量により、好ましい。或る実施例においては、LEDは、アレイのピッチと呼ばれる隣接LED間の規則正しい距離によって特徴づけられる二次元アレイに配設される。その場合、前記放射線又は光線放射領域は、前記アレイによって覆われる連続的な領域であるとみなされてもよく、ここで、この連続的な領域は、周縁LEDをピッチの半分の距離越えて延在する。
【0019】
高出力放射線源又は電力を消費する付加的な電子素子がある場合には、前記拡張領域の表面積及び前記哺乳動物の組織と前記拡張領域の熱的接触領域が、これらの素子から生成され、前記熱拡散セクションによって拡散される付加的な熱の量の関数として増大され得る。従って、前記熱拡散セクションの面積は、用いられる前記電子回路及び放射線源に十分な熱拡散効果を供給するよう選ばれる。例えば、白熱放射線源の使用により、前記装置においてより多くの電力が用いられる場合には、前記熱拡散セクションの面積はより大きくなるかもしれず、従って、前記装置はより大きくなり得る。
【0020】
前記放射線放射装置の前記拡散領域は、熱伝導性且つ可撓性の材料で作成され得る。その場合、前記熱拡散セクション及び前記装置は、身体の輪郭に沿って、例えば腕に、巻き付けられてもよく、これは、前記装置の着心地の良さを増大させ、同時に、前記放射線源及び前記電子素子からの熱を拡散するために用いられる前記哺乳動物の組織との接触面積を増大させる。前記拡張領域は、更に、ユーザ体験を改善するために軽量な材料で作成されてもよく、これは、前記装置の(付加的な)重量に対する前記ユーザの意識を減らし、従って、前記装置の着心地の良さを増大させる。
【0021】
前記放射線放射装置は、任意の哺乳動物、例えば人間に用いられ得る。しかしながら、放射線治療で治療される如何なる哺乳動物に対して前記装置が用いられる場合でも、同じ効果及び前記利点のほとんどが得られる。
【0022】
本発明の他の態様においては、哺乳動物の組織の放射の方法であって、前記哺乳動物の組織に、少なくとも1つの放射線源から放射線が照射され、前記少なくとも1つの放射線源からの熱エネルギが、熱拡散セクションの拡張領域に拡散され、前記熱拡散セクションの前記拡張領域の少なくとも一部から前記哺乳動物の組織に熱伝導される方法が提供される。好ましい実施例においては、前記放射線源は、光線と熱との両方を前記哺乳動物の組織に放射する光源である。
【0023】
上記の光線放射装置の特徴による利点は、この段落に記載の方法に当てはまり、とりわけ、熱拡散領域の増大、余熱の再利用の最大化、及び放射線治療の処置領域(即ち、哺乳動物の組織の効果的に治療される領域)の拡大を含む。
【0024】
本発明は、請求項において列挙されている特徴の全てのあり得る組み合わせに関することに注意されたい。
【0025】
以下の、例示的且つ非限定的な、本発明の好ましい実施例の詳細な説明を参照することで、添付の図面と共に解釈される場合、本発明の、上記の目的、並びに更なる目的、特徴及び利点が、より完全に理解されるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本発明の実施例による放射線放射装置の断面図を示す。
図2】本発明の実施例による放射線放射装置の上面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0027】
図に図示されているような、層及び領域のサイズは、説明の目的のために誇張されており、従って、本発明の実施例の全体構造を図示するよう供給されている。同様の参照符号は、全体を通して、同様の要素を指す。
【0028】
以下、本発明の現在好ましい実施例が示されている添付図面を参照して、本発明をより詳細に説明する。しかしながら、本発明は、多くの異なる形態で実施されてもよく、本願明細書に記載されている実施例に限定されるものとして解釈されるべきではない。これらの実施例は、むしろ、当業者に本発明の範囲を十分に伝えるために、並びに徹底及び完全のために、供給される。
【0029】
図1は、本発明の第1実施例による放射線放射装置1の概略図である。
【0030】
放射線放射ダイオード、LED6のアレイが、可撓性PCB(例えば、カプトン・ホイル)又は電子織物などの可撓性基板上に配設される。LED6によって放射される放射線は、フォトニック治療のために、哺乳動物の組織2の方へ向けられる。従って、放射線放射装置は、直接照明システムとして動作するよう構成される。LED6を支持するための、穴であって、その中には空気がある穴を持つスペーサ11によって、LED6と、哺乳動物の組織2との間の一定の距離が確保される。スペーサは、LED6と皮膚2との間の距離を保つことに加えて、哺乳動物の組織2におけるソフトタッチを持つ。これらの機能の両方を組み合わせるために、三次元可撓性発泡体が用いられ得る。
【0031】
LED6は、光線の形態の放射線に続いて、熱も生成し、前記熱のうちの或る一定量は、光線と共に、哺乳動物の組織2の方向に放射される。それ故、動作中、ユーザは、哺乳動物の組織2の、LEDアレイサイズに面する第1治療領域にわたって、光線及び熱の放射にさらされる。この領域は、上で言及した放射線又は光線放射領域とみなされ得る。
【0032】
熱拡散セクション7が、LED基板の背面に配置され、余熱(即ち、哺乳動物の組織2へ直接放射によって伝達されない熱)をLED6から取り除く。図1及び図2に示されている熱拡散セクションは、実質的に、LEDアレイのサイズより大きく、拡張領域8は、LEDアレイの周囲の少なくとも一部(例えば、アレイの左側側部及び右側側部)に沿って哺乳動物の組織2の方へ曲げられる。熱拡散セクション7の拡張領域8は、哺乳動物の組織2と熱的接触している。従って、LED6から取り除かれる熱は、熱拡散セクションを介して横に伝えられ、哺乳動物の組織2の方へ伝えられる、又は放射される。図1においては、熱拡散セクション7の拡張領域8と哺乳動物の組織2との間に薄い層が配設され、前記層は、例えば、上述のスペーサと同じ材料及び構造のもの(例えば、LEDスペーサと同様の外観及び感触並びに同様の表面構造を備える、多数の窪み又は穴を持つ薄い発泡層)であってもよい。従って、熱拡散セクション7は、(主要)放射線又は光線放射領域を部分的に囲む(付加的な)熱放射領域で、(主要)放射線又は光線放射領域を拡張する。熱拡散セクション7は、任意の既知の熱伝導基板又はホイル材料から製造され得る。
【0033】
図1及び図2は、バッテリ9、LED6を駆動するための制御装置及び電子回路を備えるPCB10、並びに織物及び発泡材料をベースにしていてもよい全体カバー又はエンベロープなどの、装置の他の構成要素も示している。
【0034】
図1に示されている実施例は、例えば、暖かさが治療効果のかなりの部分を供給し得る、鎮痛に適した可撓性放射線放射装置であり得る。
【0035】
薄い熱伝導基板5を用いることによって、依然として、可撓性且つ軽量であり、それ故、着心地の良い装置を供給しながら、治療領域が実質的に拡大されるような熱拡散セクションが設計されることができる。
【0036】
本発明の実施例による装置1はまた、余熱が効果的に再利用されるという利点に加えて、周囲雰囲気への損失が最小限であるだろう。これは、衣服などの下に着用される治療装置として用いられる場合に、とりわけ有利である。
【0037】
本発明の更なる利点は、熱拡散セクション7が、(例えば、短絡による)小さな領域内の不慮の熱の種を大きな領域にわたって拡散させ、それによって、皮膚のやけどを防止する、装置内の保護層としても動作し得ることである。
【0038】
本発明を、図面において図示し、上記の説明において詳細に説明しているが、このような図及び説明は、説明的なもの又は例示的なものとみなされるべきであって、限定するものとみなされるべきではない。本発明は、開示されている実施例に限定されない。
【0039】
例えば、放射線源に加えて、又は放射線源に代えて、複数の熱源(抵抗器、白熱灯、ダイオードなど)が用いられる実施例において、本発明を動作させることは可能である。このような装置は、鎮痛のために有利に用いられ得る。ここで、熱の鎮痛効果が、哺乳動物の組織2にリラクセーションを供給する。
【0040】
当業者は、哺乳動物の組織に熱エネルギを加えるために、哺乳動物の組織の上に配置される、又は哺乳動物の組織に侵入しさえする直接熱的接触装置又は電極を用いることも可能であることも理解する。本発明の発明の概念は、放射線源の代わりに、哺乳動物の組織を加熱するための任意の他の手段を用いるものにも適用される。
【0041】
請求項に記載の発明を実施する当業者は、図面、明細及び添付の請求項の研究から、開示されている実施例に対する他の変形を、理解し、達成し得る。請求項において、「有する」という用語は、他の要素又はステップを除外せず、単数形表記は、複数の存在を除外しない。請求項において列挙されている幾つかのアイテムの機能を単一のプロセッサ又は他のユニットが実現してもよい。単に、特定の手段が、相互に異なる従属請求項において引用されているという事実は、これらの手段の組み合わせが有利になるように用いられることができないことを示すものではない。請求項におけるいかなる参照符号も、範囲を限定するものとして解釈されてはならない。
図1
図2