【実施例】
【0036】
シリンガレシノールの分離及び分析
1.高麗人参の実の前処理
生高麗人参の実を収穫し、種を分離して除去した後、高麗人参の実の果皮を除去し果肉のみを日光乾燥または熱風乾燥して、高麗人参の実の果肉乾燥物を製造した。
【0037】
2.高麗人参の実の果肉抽出物からシリンガレシノールの分離及び分析
先に製造した高麗人参の実の果肉乾燥物1kgに水または酒精3Lを加えて常温または還流抽出しろ過した後、40〜45℃で減圧濃縮して、高麗人参の実の果肉抽出物300gを得た。抽出物にエーテル処理を施して脂溶性成分を除去した後、ブタノールで粗サポニンを抽出及び濃縮した。これを分離、精製してシリンガレシノールを得、その具体的な方法は次のとおりである。先ず、試料194gを逆相コラムクロマトグラフィー(reversed−phase(ODS)column chromatography)にて精製し、このとき、溶出溶媒として、最初は100%水を用い、メタノールを10%ずつ徐々に増加させて、最終的には100%メタノール溶媒を用いた。その結果、GB−1〜GB−10分画物を得、これらの分画物のうち、SIRT 1発現活性を示した分画GB−3を選別し濃縮した後、50%水溶性メタノール(aqueous methanol)を用いてセファデックスLH−20コラムクロマトグラフィー(Sephadex LH−20 column chromatography)を行った。得た分画物のうち、SIRT 1発現活性を示したGB−3−6(3F)を選別し濃縮した後、クロロホルム:メタノール(10:1)を展開溶媒として予備シリカゲル(preparative silica gel)TLCを行い、その結果、Rf値0.67の活性分画を精製した。前記分離及び精製方法を図式化して
図1に示した。
【0038】
NMR分光分析とデータベース検索を行って、分離及び精製した活性化合物をシリンガレシノール(syringaresinol)と同定することができた。これを再確認するために質量(mass)分析を行い、ESI−massをpositive modeで測定した結果、[M+Na]+がm/z 440.9、[2M+Na]+がm/z 858.9で観察され、分子量が418であることが分かった。また、NMR分光分析を行った結果、一般式3で示すような結果が得られた。これによって、前記分離・精製した活性化合物は、シリンガレシノールであることが確認された。
【0039】
【化3】
【0040】
このように高麗人参の実の果肉からシリンガレシノールを分離した。
【0041】
[実験例1]老化したヒト血管内皮細胞におけるSIRT 1発現促進効果の評価
シリンガレシノールの老化したヒト血管内皮細胞におけるSIRT 1遺伝子発現促進効果を評価するために、以下のような実験を行った。
【0042】
ヒト血管内皮細胞は、LONZA(Walersville、MD、USA)から購入し、血管内皮細胞専用培地(EGM−2、EGM−2 SingleQuots、LONZA)において70%コンフルエント(confluent)するまで5%のCO
2培養器で培養した。血管内皮細胞の老化は、自然老化で育たないまで継代培養する方法にて誘導した。集団倍加レベル(Poplulation−doubling level、PDL)は、次式にて細胞成長が止まるまで各世代毎に計算した。PDL値は老化した細胞であればあるほど高くなる。
【0043】
PDL=(Log
10Y−Log
10X)/Log
102
Yは、各世代の最後で数えた細胞数
Xは最初に継代した細胞数
【0044】
DMSOに溶かしたシリンガレシノールは、20、50、及び100μMの濃度で14PDL細胞から二日に1回ずつ処理して40PDL細胞まで老化を誘導しながら処理した。陰性対照群には培地体積1/1000のDMSOを処理した。各試料を処理した細胞を、冷たいPBSで2回洗浄した後、トリゾール試薬(TRIzol agent、Invitrogen)でRNAを抽出した。前記抽出して定量した1μg/μlのRNAと逆転写システム(Promega)を用いてcDNAを合成した。合成したcDNA及びSIRT 1とGAPDHの各遺伝子に対し、予めデザインされたプライマー(Primer)及びプローブ(probe)(Applied biosystems;SIRT 1、Hs01009006_m1;GAPDH、Hs99999905_m1)を利用して各遺伝子の発現様相を測定した。PCR反応と分析は、Rotor−Gene 3000システム(Corbett Research、Sydney、Australia)を利用した。その結果を
図2に示した。
【0045】
図2に示すように、シリンガレシノールは、老化した血管内皮細胞において減少されたSIRT 1の発現を濃度依存的に増加させる。すなわち、シリンガレシノールは、血管老化を抑制し、さらには、心血管疾患を予防または改善することができることが分かる。
【0046】
[実験例2]老化した血管内皮細胞の老化マーカー抑制効果の評価
実験例1と実質的に等しい方法にて、50μMのシリンガレシノールを処理しながら血管内皮細胞の老化を誘導した。老化した細胞はPBSで洗浄し、細胞老化分析キット(Cellular Senescence Assay kit)(Cell Biolabs、Inc.、San Diego、CA、USA)から提供された固定液と染色液にて37℃で16時間染色を行った。翌日、PBSで洗浄し、20%グリセロール溶液をかけて顕微鏡で観察した結果を
図3に示し、緑色で染色された細胞数を測定してから、老化マーカーであるSA−b−Gal活性程度を評価して
図4に示した。
【0047】
図3及び
図4に示すように、シリンガレシノールを処理した細胞は、DMSOのみを処理した細胞に比べて緑色で染色された細胞数が顕著に少なく、最大約50%もSA−b−Gal活性が減少した。これに基づき、シリンガレシノールは血管老化を抑制することで心血管疾患を予防または改善することができることが分かる。
【0048】
[実験例3]老化した血管内皮細胞のテロメラーゼ活性促進効果の評価
実験例1と実質的に等しい方法にて、50μMのシリンガレシノールを処理しながら、または対照群にDMSOを処理しながら血管内皮細胞の老化を誘導した。老化した細胞はPBSで洗浄し、緩衝液(lysis buffer、Sigma)で溶解(lysis)した後、タンパク質を得て定量した。テロメラーゼ活性を、Telo TAGGGテロメラーゼPCR ELISAPLUSキット(Roche Applied Science、Indianapolis、IN、USA)を利用して評価し、その結果を
図5に示した。
【0049】
図5に示すように、シリンガレシノールを処理した細胞は、DMSOのみを処理した細胞に比べて約30%もテロメラーゼ活性が増加した。これに基づき、シリンガレシノールは、老化した血管細胞のテロメラーゼを活性化させて血管老化を抑制し、心血管疾患を予防または改善することができることが分かる。
【0050】
[実験例4]老化した血管内皮細胞の機能正常化効果の評価
シリンガレシノールが老化した血管細胞の機能減少を若い血管細胞と等しい水準に回復させることができるか否かを評価するために、先ず、実験例1と実質的に等しい方法にて、50μMのシリンガレシノールを処理しながら、または対照群にDMSOを処理しながら血管内皮細胞の老化を誘導した。老化した細胞は、eNOSの発現が減少してNOの生成が減少することから血管の収縮/弛緩がなされ難く、また、PAI−1の発現は増加して血栓の生成が促進することから動脈硬化などのような心血管疾患が発生し易い。シリンガレシノールを処理した細胞とDMSOを処理した細胞をPBSで洗浄し、緩衝液(lysis buffer、Sigma)で溶解してから上層液を回収した。各上層液のタンパク質をタンパク質染色試薬(Protein Dye ReagentTM、Bio−Rad)を用いて定量した。収得した各試料のタンパク質を100μgずつ8%のSDS−PAGEに電気泳動して大きさ別に分離した後、50Vの条件下でPVDF膜(Bio−Rad)に12時間転移させた。次いで、タンパク質が転移された膜を5%の脱脂牛乳溶液で1時間ブロッキング(blocking)した後、一次抗体として多クローン抗体である抗−eNOS、抗−PAI−1及び抗−アクチン(actin)を処理し、二次抗体としてHRP(horse radish peroxidase)が結合された抗マウスIgG(Amersham)抗体を処理し、ECLキット(enhanced chemiluminescence kit、Amersham)を利用して抗体反応させた。反応させたPVDF膜をX線フィルム(Fuji)に感光させてから現像し、タンパク質発現程度を確認した。その結果を
図6に示した。
【0051】
図6に示すように、シリンガレシノールを処理した細胞では、老化して減少したeNOSの発現が若い細胞程度に増加し、また老化して増加したPAI−1の発現が若い細胞程度に減少した。これに基づき、シリンガレシノールは、老化した血管細胞の血管収縮/弛緩を滑らかにさせることができ、且つ血栓の生成を抑制することができることから、血管の老化を抑制するとともに、心血管疾患を予防または改善することができることが分かる。
【0052】
本発明の一側面に係る組成物の剤形例を以下で説明するが、他の種々の剤形としても応用可能であり、これらは、本発明を限定するためのものではなく、本発明を具体的に説明するためのものに過ぎない。
【0053】
[剤形例1]健康食品
シリンガレシノール................... 1000mg
ビタミン混合物
ビタミンAアセテート................. 70μg
ビタミンE........................... 1.0mg
ビタミンB1......................... 0.13mg
ビタミンB2......................... 0.15mg
ビタミンB6......................... 0.5mg
ビタミンB12....................... 0.2μg
ビタミンC........................... 10mg
ビオチン............................. 10μg
ニコチン酸アミド..................... 1.7mg
葉酸................................. 50μg
パントテン酸カルシウム............... 0.5mg
無機質混合物
硫酸第一鉄........................... 1.75mg
酸化亜鉛............................. 0.82mg
炭酸マグネシウム..................... 25.3mg
第一リン酸カリウム................... 15mg
第二リン酸カルシウム................. 55mg
クエン酸カリウム..................... 90mg
炭酸カルシウム....................... 100mg
塩化マグネシウム..................... 24.8mg
【0054】
前記ビタミン及びミネラル混合物の組成比は、比較的健康食品に適合した成分を好適な実施例に従い混合組成したが、その配合比を任意に変形実施してもよい。
【0055】
[剤形例2]健康飲料
シリンガレシノール.................... 1000mg
クエン酸.............................. 1000mg
オリゴ糖.............................. 100g
タウリン.............................. 1g
精製水................................ 残量
【0056】
通常の健康飲料の製造方法にて前記成分を混合した後、約1時間にわたって約85℃で撹拌加熱して得た溶液をろ過し、滅菌して得る
[剤形例3]精製
シリンガレシノール100mg、大豆抽出物50mg、葡萄糖100mg、紅参抽出物50mg、澱粉96mg、及びマグネシウムステアレート4mgを混合し、30%エタノールを40mg添加して顆粒を形成した後、60℃で乾燥し、打錠機を利用して打錠して得る。
【0057】
[剤形例4]顆粒剤
シリンガレシノール100mg、大豆抽出物50mg、葡萄糖100mg、及び澱粉600mgを混合し、30%エタノールを100mg添加して顆粒を形成した後、60℃で乾燥して顆粒を形成し、それを包みに充填して得る。
【0058】
[剤形例5]軟膏
下記の表1に表した組成で通常の方法にて軟膏を製造した。
【0059】
【表1】