特許第6184415号(P6184415)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6184415
(24)【登録日】2017年8月4日
(45)【発行日】2017年8月23日
(54)【発明の名称】センターコンソール
(51)【国際特許分類】
   B60R 7/04 20060101AFI20170814BHJP
   B60N 3/00 20060101ALI20170814BHJP
   B60N 3/10 20060101ALI20170814BHJP
【FI】
   B60R7/04 C
   B60N3/00 Z
   B60N3/10 A
【請求項の数】4
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2014-539253(P2014-539253)
(86)(22)【出願日】2012年10月17日
(65)【公表番号】特表2015-501256(P2015-501256A)
(43)【公表日】2015年1月15日
(86)【国際出願番号】EP2012004333
(87)【国際公開番号】WO2013064213
(87)【国際公開日】20130510
【審査請求日】2014年6月23日
(31)【優先権主張番号】102011117737.3
(32)【優先日】2011年11月5日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】598051819
【氏名又は名称】ダイムラー・アクチェンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Daimler AG
(74)【代理人】
【識別番号】100090583
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 清
(74)【代理人】
【識別番号】100111143
【弁理士】
【氏名又は名称】安達 枝里
(72)【発明者】
【氏名】サンティアゴ・ドゥエニャス
(72)【発明者】
【氏名】カイ・ゴールドベック
(72)【発明者】
【氏名】マルコ・ニースナー
【審査官】 常盤 務
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭63−156851(JP,U)
【文献】 特開2007−145135(JP,A)
【文献】 独国特許出願公開第19542198(DE,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0174207(US,A1)
【文献】 特開平09−002160(JP,A)
【文献】 実開昭59−154125(JP,U)
【文献】 実開昭54−013625(JP,U)
【文献】 米国特許第06045173(US,A)
【文献】 独国特許出願公開第102004057016(DE,A1)
【文献】 欧州特許出願公開第01055552(EP,A1)
【文献】 仏国特許出願公開第02792590(FR,A1)
【文献】 独国特許発明第19615743(DE,C1)
【文献】 米国特許第06419314(US,B1)
【文献】 米国特許第05085481(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 7/04
B60N 3/00
B60N 3/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
閉位置において収納スペース(2)を閉鎖し、開位置においてこれを開く開閉式カバー(3)を有する自動車のセンターコンソール(1)であって、
前記カバー(3)を開位置と閉位置との間で移動して開くための移動機構(4)が設けられ、前記移動機構(4)が、前記収納スペース(2)の両側に設けられた支持体(6)を介して前記センターコンソール(1)に連結されるガイドキャリッジ(5)を有し、前記カバー(3)が、後側でヒンジ(7)を介して前記ガイドキャリッジ(5)上で上方に旋回できるように取り付けられ、前記カバー(3)を開く時には、前記移動機構(4)が、前記ガイドキャリッジ(5)により前記支持体(6)を介して前記カバー(3)を先ず持ち上げ、且つそれを後方に移動し、次いで前記ヒンジ(7)を介してそれを上方に旋回させるように形成されていることを特徴とするセンターコンソール。
【請求項2】
請求項1に記載のセンターコンソールであって、
前記収納スペース(2)には、2つのドリンクホルダ(8)が設けられることを特徴とするセンターコンソール。
【請求項3】
請求項1または2に記載のセンターコンソールであって、
走行方向(10)において前記カバー(3)の前方には、中央制御ユニット(11)、灰皿、更に別の収納スペース(2’)、及び更に別のドリンクホルダ(8’)の少なくとも一つが配置されることを特徴とするセンターコンソール。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項に記載のセンターコンソール(1)を備える自動車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、閉位置において下に位置する収納スペースを閉鎖し、開位置においてこれを開く開閉式カバーを有する、請求項1のプリアンブルに記載の自動車のセンターコンソールに関する。本発明は更に、かかるセンターコンソールを備える自動車に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1から、周知のように後方に折り畳み可能なカバーを有するこの種の自動車のセンターコンソールが既知である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許第4、848、627号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
既知のセンターコンソールの欠点は、カバーを完全に開いた場合だけしか下に配置された収納スペースにうまくアクセスできず、しかも完全に開いた場合でも特に身体障害者には困難が伴うことにある。下に位置する収納スペースを開閉するために、完全に自動車の縦方向だけにスライド可能なカバーはあるが、この場合でもその機能は純然たるスライド運動に限定される。
【0005】
従って本発明は、この種のセンターコンソールの特に向上した機能性を有する改良型の実施形態を提供するという課題に関するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この課題は、本発明により独立クレームの主題によって解決される。有利な実施形態は従属クレームの主題である。
【0007】
本発明は、平行なスライド運動と旋回運動との組み合わせが可能であり、それによって従来は純然たる平行移動が可能な、又は純然たる旋回運動だけが可能なカバーでは実現できないような、センターコンソール内の収納スペースを閉鎖可能にするセンターコンソール内の収納スペースを閉鎖するカバーを移動させる完全に新規な移動機構を提供するという基本概念に基づくものである。本発明による移動機構は、カバーが開く時に先ず軽く持ち上がり且つ後方に移動し、次に上方に旋回するように形成される。それによって、移動機構が先ず走行方向とは反対側の後方に実質的に平行なスライド運動を可能にし、それによって下に位置する収納スペースの前部領域に配置されたドリンクホルダを開放するという大きな利点が得られる。それによって、本発明による移動機構により先ず実質的に純然たるスライド運動を介して、及びその後に続く回転運動を介してカバーを開くことが可能になる。その際、カバーの運動は例えば適宜なラッチ部材を介して調整できるため、本発明によるカバーは閉位置と完全な開位置との間のあらゆる中間位置でも安全に保持される。
【0008】
好適には、移動機構は平行四辺形の2対の支持体を介してセンターコンソールに連結されるガイドキャリッジを備えている。そのため平行四辺形の2対の支持体によって、カバーは軽く持ち上げられるだけだが、後方に実質的に平行移動される第1の開段階と、第1の開段階に続き、カバーが従来から知られている折り畳み運動を行い、それによって下に位置する収納スペースを完全に開く第2の開段階とが可能になる。本発明によるガイドキャリッジは構造が比較的簡単であり、ひいては低コストでもあるため、本発明による移動機構は簡単なだけではなく低コストで提供可能である。
【0009】
本発明による解決策の有利な発展形態では、収納スペース内に特に取り外し可能な2つのドリンクホルダが備えられる。両方のドリンクホルダがあることによって、2つのドリンクカップを同時に保管することができ、その際、本発明によるドリンクホルダは通常はカバーで閉鎖可能な収納スペースの前部領域に配置される。本発明によるドリンクホルダが取り外し可能な構成によって、使用しない場合はこれを簡単に取り外すことによって収納スペースのスペースを拡大することができる。移動機構によって、両方のドリンクホルダに簡単に手が届き、ひいてはドリンクをドリンクホルダに保存できるようになるまで第1の開段階にあるカバーを後方に移動させることが可能であり、一方、残りの収納スペースはカバーで閉鎖されないため、同時にドライバー又は同乗者のアームレストをも形成する。基本的に第1の開段階にあるカバーをスライド可能に据え付けることで別の乗員にも適応できるため、乗員は常に快適であるようにアームレストを簡単に調整可能である。
【0010】
好適には、走行方向においてカバーの前方には中央制御ユニット、灰皿及び別のドリンクホルダの少なくとも一つが配置される。本発明によるカバー及びそれに付属する移動機構によって特に、中央制御ユニットを更に前方に、ひいては人間工学的に明らかにより好ましい位置に配置することが可能である。その上、本発明によるセンターコンソールによって、例えば後部空調装置などの後部ノズル及び収納ポケット又は灰皿などの必要な要素全体を後部領域に備えることが可能になる。
【0011】
本発明の更なる重要な特徴及び利点は、従属クレーム、図面、及び図面を参照した関連する図面の説明から明らかになる。
【0012】
上記の、及び以下に説明する特徴は、それぞれ示される組み合わせだけではなく、本発明の範囲を逸脱せずに別の組み合わせ又は単独でも利用できることが理解されよう。
【0013】
本発明の好適な実施例を図示し以下の記述でより詳細に説明する。その際、同一の参照符号は同一の、又は同類の、又は機能的に同一の部品を示す。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】カバーによって閉鎖される収納スペースを有する、本発明によるセンターコンソールの概略図である。
図2】第1の開段階にあるカバーの概略図である。
図3図2と同様であるが、調整可能なドリンクカップを示す図である。
図4】第2の開段階、すなわち収納スペースが完全に開かれたカバーの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1から4に示すように、その他の部分は図示しない自動車のセンターコンソール1は、その上に位置するカバー3によって閉鎖可能な収納スペース2(図2から4を参照)を備えている。本発明によれば、カバーを閉位置(図1を参照)と開位置(図4を参照)との間で移動して開くための移動機構4であって、移動機構4は、開く時にはカバー3を先ず軽く持ち上げ、且つ後方に移動し(図2及び3を参照)、次いで上方に旋回させる(図4を参照)ように形成されている。このようにカバー3の開く運動は2つの開段階、すなわちカバー3が軽く持ち上げられ、且つ単に後方にスライドされる図2及び3に示す第1の開段階と、カバー3が上方に旋回される図4に示す第2の開段階とに区分される。
【0016】
本発明による移動機構4は、平行四辺形の2対の支持体6を介してセンターコンソール1に連結されるガイドキャリッジ5を具備している。したがって、図2及び3に示す第1の開段階ではガイドキャリッジ5は平行四辺形の両方の支持体6を介して単に上方に軽くスライドされ、且つ後方にのみスライドされる。カバー3の後側は、図4から明確に分かるようにヒンジ7を介してガイドキャリッジ5上で旋回できるように取り付けられる。
【0017】
図3及び4を見ると、収納スペース2には2つのドリンクカップ9(図3及び4を参照)を同時に保管できる2つのドリンクホルダ8が備えられることが分かる。ドリンクホルダ8は好適には取り外し可能に形成されているため、ドリンクホルダ8を取り外せば収納スペース2の収容容積を拡大することができる。
【0018】
走行方向10から見ると、カバー3の前には中央制御ユニット11、灰皿、更に別の収納スペース2’、及び更に別のドリンクホルダ8’の少なくとも一つを配置することができる。勿論、更に別のドリンクホルダ8’を取り外し可能に形成することができ、それによって更に別の収納スペース2’の容積を自発的な小物入れとして拡大することができる。更に、収納スペース2内に配置された両方のドリンクホルダ8だけを備えることによって、更に別の収納スペース2’用のスペースを、例えばオーディオ又はビデオ機器などの更に別の操作要素用に使用することも考えられる。実質的に空いている収納スペース2、2’に対応するいわゆる「自発的な小物入れ」を備えることも特に有利である。
【0019】
本発明による移動機構4によって、特に中央制御ユニット11を更に前方に配置し、ひいては人間工学的により好適にすることが可能である。第1の開段階にあるカバー3を平行にスライドできることによって更に、適宜なラッチを設けると、例えば図2及び3に示すように収納スペース2の一部だけを開くことが考えられる。自動車のドライバー又は同乗者は、走行方向10又はその反対側にカバー3を適宜に配置することによって、快適なアームレストを作り出すこともできる。本発明によるカバー3を移動するための移動機構4では、カバーが第1の開段階(図2及び3を参照)で収納スペース2の残りの部分を覆い、両方のドリンクホルダ8だけを開くことで、ドライバー又は同乗者がそれぞれのドリンクカップ9を関連するドリンクホルダ8内に簡単に保管でき、又はドリンクホルダから取り出し、その際に前腕又は肘でカバー3を支えることができることが特に有利である。
【0020】
本発明による移動機構4は更に、構造的に簡単で低コストで製造できるため、僅かな追加コストで本発明により得られる付加価値を達成可能である。
図1
図2
図3
図4