(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記乾燥及び硬化されたコーティング組成物が、少なくとも約40重量%の、ポリウレタンポリマー、アクリルポリマー、又はこれらの混合物から選択されるカルボキシレート含有ポリマーを含む、請求項1に記載の防曇性コーティング組成物。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本明細書に記載のコーティング組成物は、防曇性の特性を与えるのに適している。コーティング組成物は、水性ポリマー分散液、典型的には、ラテックスとして、より典型的には、アルカリ性pHが安定しているラテックスとして調製され得るものを含む。好適なポリマー分散液は、ポリウレタンポリマー分散液、アクリルポリマー分散液、及びこれらの混合物を含む。そのようなポリマーは、典型的には、熱可塑性である。
【0013】
「ポリウレタン」という用語は、ポリウレタンセグメントを含む任意のポリマー材料を含む。「ポリウレタンセグメント」という用語は、有機基によって接続される少なくとも2つのウレタン基及び/又は尿素基を指す。
【0014】
「アクリル」という用語は、アクリル酸、メタクリル酸、これらの酸のエステル、又はアクリロニトリルの任意のポリマー若しくはコポリマーを含む。
【0015】
熱可塑性ポリウレタン組成物は、概して、短鎖ジオール(鎖延長剤としても称される)を有するジイソシアネート及び長鎖二官能性ジオール(ポリオールとして知られている)を有するジイソシアネートの反応生成物である。ポリウレタンは、ウレタン基、即ち、ジイソシアネート及びジオール由来のセグメントを連結する−NH−(C=O)−O−を有することを特徴とする。そのようなウレタン基は、カルボニル基、即ち、酸素原子と二重結合した炭素原子、C=Oを含む。
【0016】
長鎖ポリオールの非限定例は、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、アクリルポリオール、及びそのようなポリオールの混合物である。典型的には、ポリエステル系熱可塑性ウレタンは、良好な摩耗及び耐化学性をもたらすことが知られている。最終樹脂は、ブロック構造において、線状ポリマー鎖から成る。そのような鎖は、「ハードセグメント」と称される、より短い、高極性セグメントと交互に起こる「ソフトセグメント」と称される低極性セグメントを含有する。どちらの型のセグメントも、共有結合によって一緒に連結され、ランダムコポリマー又はブロックコポリマーを形成する。
【0017】
ポリエステルポリオールは、有機ポリカルボン酸又はその無水物と有機ポリオール及び/又はエポキシドとのポリエステル化によって調製される。通常、ポリカルボン酸及びポリオールは、脂肪族又は芳香族の二塩基酸及びジオールである。ポリエステルを作製するために通常利用されるジオールとしては、エチレングリコール及びネオペンチルグリコール等の非環式アルキレングリコール、水素添加ビスフェノールA、シクロヘキサンジオール、及びシクロヘキサンジメタノール等の環式グリコールが挙げられるが、これらに限定されない。また、高官能性のポリオールも使用され得る。非限定例としては、トリメチロールプロパン及びペンタエリスリトール、並びに低分子量ポリオールをオキシアルキル化することによって生成されるような高分子量ポリオールが挙げられる。
【0018】
ポリエステルの酸成分は、主として、1分子当たり2〜18個の炭素原子を有するモノマー性カルボン酸又は無水物から成る。使用することができる酸では、フタール酸、テレフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、マレイン酸、グルタル酸、クロレンド酸、デカン酸及びドデカン酸が挙げられる。また、トリメリット酸及びトリカルバリル酸等の高分子ポリカルボン酸も使用することができる。酸が上記に示される酸である場合、無水物を形成するこれらの酸の無水物は、酸の代わりに使用され得ることが理解される。また、ジメチルグルタレート及びジメチルテレフタレート等の酸の低級アルキルエステルも使用され得る。
【0019】
ポリエステルポリオールに加えて、ヒドロキシ含有アクリルポリマー又はアクリルポリオールが、ポリオール成分として使用され得る。
【0020】
ポリエーテルポリオールの例は、ポリアルキレンエーテルポリオールであり、以下の一般式を有するものを含む。
【0021】
【化1】
式中、置換基Rは、水素又は1〜5個の炭素原子を含む低級アルキルであり、これには混合置換基を含み、nは、典型的には、2〜6であり、mは、10〜100又は更にそれ以上である。ポリ(オキシテトラメチレン)グリコール、ポリ(オキシエチレン)グリコール、ポリ(オキシ−1,2−プロピレン)グリコール、並びにエチレングリコールと1,2−プロピレンオキシド及びエチレンオキシドの混合物との反応生成物が含まれる。
【0022】
使用され得るポリイソシアネートは、芳香族及び脂肪族のポリイソシアネートを含み、脂肪族のポリイソシアネートは、それらの優れた紫外線安定性及び黄変傾向がないという理由でより望ましい。そのようなポリイソシアネートの非限定例としては、トルエンジイソシアネート、及び4,4’−メチレン−ビス−(シクロヘキシルイソシアネート)、イソホロンジイソシアネート、及びNCO−プレポリマー等のモノマー性ポリイソシアネート、例えば、上述のもののようなモノマー性ポリイソシアネートとポリエステル又はポリエーテルポリオールとの反応生成物が挙げられる。特に、イソホロンイソシアネート及び1,6−ヘキサメチレンジイソシアネートからのイソシアネートが望ましく、これらの両方とも、市販されている。
【0023】
いくつかの実施形態では、ポリウレタン分散液は、ポリエステル主鎖、ポリカーボネート主鎖、ポリエステルカーボネート又はこれらの組み合わせを含む。他の実施形態では、アクリル分散液は、アクリル主鎖、ヒドロキシル含有アクリル主鎖、又はこれらの組み合わせを含む。なお他の実施形態では、ポリマー分散液は、ウレタン−アクリルハイブリッド、又はポリカーボネートウレタン/アクリルハイブリッドである。いくつかの実施形態では、ポリマーは、ポリカーボネート又はカーボネート主鎖を有すると記載されている。そのような実施形態では、ポリマーは、ビスフェノールAのカーボネート部分等の脂肪族又は芳香族のカーボネート部分を含む。
【0024】
様々なプロセスが、水溶性又は水性ポリマー分散液の調製のために開発されている。水性ポリウレタンポリマーの調製では、典型的には、中間分子量ポリマー(例えば、プレポリマー)が、内部乳化剤の存在下、好適なジオール又はポリオールとモル過剰のジイソシアネート又はポリイソシアネートとの反応によって形成される。この内部乳化剤は、典型的には、イオン基(カルボキシレート、スルホン酸塩、若しくは第四級アンモニウム塩)又はポリエチレンオキシド等の非イオン基を有するジオールである。水性ポリウレタン分散液は、典型的には、3つの種類、即ち、非イオン性、カチオン性、及びアニオン性のうちの1つであり、ポリウレタン主鎖に存在する親水性セグメントの種類による。アニオン性ポリウレタンの場合、ジメチロールプロピオン酸(DMPA)は、一般に、その後のトリエチルアミンとの中和反応における水分散液に対するその有効性のため、ポリウレタン主鎖に組み込まれる。ポリマー中のDMPAのカルボキシレートイオンは、親水性であり、アニオン中心並びに内部乳化剤の役目を果たす。カルボン酸イオンは、水性ポリウレタン分散液を安定させるだけでなく、硬化部位を提供する。水性アクリルポリマーはまた、典型的には、内部乳化剤を用いて調製され、そのため、典型的には、カルボキシレートイオンを含み、分散液を安定させ、硬化部位を提供する。
【0025】
(例えば、ポリウレタン及び/又はアクリル)ポリマーは、概して、液体希釈剤中に分散して、ポリマー分散液を形成する。「液体希釈剤」とは、揮発性であり、コーティングが塗布された後除去される溶媒を指す。好適な実施形態では、コーティング組成物は、希釈剤として、主に水を含み、ほとんど又は全く有機溶媒を含まない。この実施形態では、有機溶媒の濃度は、典型的には、コーティング組成物の2、1.5、1重量%、又は0.5重量%未満である。商品名「W835 Series」でIncorezから入手可能なポリウレタン分散液は、ポリウレタン分散液のグレードで共溶媒を含まないとされている。
【0026】
水性希釈剤中に分散される(例えば、ポリウレタン及び/又はアクリル)ポリマーは、フィルム形成ポリマーである。これらを製造するのに好適なポリマーラテックス及び方法は、当該技術分野において広く既知であり、数多くのラテックスが市販されている。
【0027】
典型的には、ポリマーラテックス中の粒子は実質的に球状である。ポリマーコアは、1つ以上の水不溶性のポリマーを含んでもよいが、これは必須ではない。有用なポリマー粒径は、ラテックス及び他の分散体又はエマルションの典型的な粒径を包含する。典型的なポリマー粒径は、約0.01マイクロメートル〜100マイクロメートルの範囲、好ましくは0.01〜0.2マイクロメートルの範囲であるが、これは必須ではない。
【0028】
市販されている水性脂肪族ポリウレタンエマルションの例としては、DSM NeoResins,Inc.(Wilmington,MA)からNEOREZ R−960、NEOREZ R−967、NEOREZ R−9036、及びNEOREZ R−9699;Essential Industries,Inc.(Merton,WI)からESSENTIAL CC4520、ESSENTIAL CC4560、ESSENTIAL R4100、及びESSENTIAL R4188として入手可能な水性アニオン性ポリウレタン分散液;Lubrizol,Inc.(Cleveland,OH)からSANCURE 843、SANCURE 898、及びSANCURE 12929として入手可能なポリエステルポリウレタン分散液;Lubrizol,Inc.からTURBOSET 2025として入手可能な水性脂肪族自己架橋性ポリウレタン分散液;並びにStahl USA(Peabody,MA)から商品名「RU−077」及び「RU−075」で入手可能なポリウレタン分散液が挙げられる。
【0029】
自己架橋性ポリマー分散液は、インク受容層中に使用され得る。そのようなポリマー分散液は、コーティング層の乾燥時に活性化する自己架橋性機能を有する。この型の分散液の使用により、架橋性化合物をコーティング組成物に組み込む必要がなくなる可能性がある。自己架橋性ポリマー分散液の例としては、Bayer Material Science,LLC(Pittsburgh,PA)から「BAYHYDROL PR240」として、及びDSM Neoresinsから「NEOREZ R−661」として入手可能なポリウレタン分散液が挙げられる。
【0030】
市販されている水性脂肪族アクリルエマルションの例としては、Dow Coating Materialsから商品名ROSHIELD(商標)及びRHOPLEX(商標)、例えば、「ROSHIELD(商標)3188」、「ROSHIELD(商標)3275」、「ROSHIELD(商標)1024」、「ROSHIELD(商標)636」、「RHOPLEX(商標)WL−96」、及び「RHOPLEX(商標)CL−104」で入手可能なアクリル系ラテックス;Arkema Coating Resinsから商品名「UCAR(商標)」、例えば「UCAR(商標)LATEX 455」、「UCAR(商標)LATEX 443」、「UCAR(商標)LATEX 451」、及び「UCAR(商標)LATEX DM109」で入手可能なアクリル系ラテックス;Lubrizol Advanced Materials,Inc.から商品名HYCAR(登録商標)、例えば、「HYCAR(登録商標)26349」、「HYCAR(登録商標)26459」で入手可能なアクリル系ラテックス;DSM NeoResinsから商品名「NEOCRYL」、例えば、「NEOCRYL A−640」、「NEOCRYL XK−220」、「NEOCRYL A−1044」、「NEOCRYL XK−90」、「NEOCRLYL XK−96」、及び「NEOCRYL XK−95」で入手可能なアクリル系ラテックスが挙げられる。
【0031】
分散液から形成された(22℃/50%相対湿度で14日間乾燥させた)50〜100マイクロメートルの薄膜の未希釈ポリウレタンの特性を測定することによって、ポリウレタンポリマーの分散液は、特徴付けられ得る。いくつかの実施形態では、このようにして形成された薄膜の伸長は、典型的には、約500%〜約600%の範囲の破断点伸長を有する。いくつかの実施形態では、引張強度は、約15〜30MPaの範囲である。
【0032】
いくつかの実施形態では、アクリル分散液は、ポリアクリレート主鎖、ポリカーボネート主鎖、又はこれらの組み合わせを含む。
【0033】
高分子ポリマーの組み合わせは、(例えば、防曇性)コーティング組成物において使用してもよい。例えば、ポリウレタン分散液は、異なる平均分子量を有する2つ以上のポリウレタンポリマーを含んでもよい。更に、組成物は、例えば、アクリル系ラテックス及びポリウレタンラテックスを混合することにより得られるもの等のポリウレタンと組み合わせて、異なる種類のポリマーを含有してもよい。一実施形態では、水性ポリウレタン分散液は、「INCOREZ W835/140」と「NEOREZ R−961」の混合物を含む。「NEOREZ R−961」の内容物は、摩耗耐性を改善することができる。しかしながら、「NEOREZ R−961」の濃度が約1:2の重量比を超える(即ち、2重量部の「INCOREZ W835/140」に対して1重量部を上回る「NEOREZ R−961」)場合、コーティングは、水中に浸された後、白くなる恐れがある。なお別の例では、ポリウレタンポリマーとアクリルポリマーの組み合わせが使用されるか、又はアクリル及びポリウレタンの両方のハイブリッドポリマーが使用される。市販されているアクリルウレタンコポリマー分散液の一例が、DSM Neoresinsから商品名NEOPACで入手可能である。
【0034】
コーティング組成物は、典型的には、合計で少なくとも40重量%の固体のコーティング組成物、典型的には、90重量%又は85重量%又は80重量%以下の量で1つ以上の(例えば、ポリウレタン及び/又はアクリル)ポリマーを含む。いくつかの実施形態では、コーティング組成物は、少なくとも45重量%又は50重量%の量で1つ以上のポリマーを含む。
【0035】
本明細書に記載の(例えば、防曇性)コーティング組成物は、少なくとも1つの界面活性剤を含む。本明細書で使用される「界面活性剤」という用語は、コーティング組成物の表面張力を減少させ、実施例において記載される試験方法によって、それとともにコーティングされた基材又は物品に対して「良好な」又は「卓越した」防曇性の特性を与えるコーティングを提供する分子を説明する。界面活性剤分子は、概して、同じ分子上に親水性(極性)及び疎水性(非極性)セグメントの両方を含む。
【0036】
本発明の有用な界面活性剤には、イオン性(例えば、アニオン性、カチオン性)非イオン性、並びに両性の界面活性剤が含まれる。界面活性剤は、その頭部における形式上の荷電基の存在により分類することができる。イオン性界面活性剤の頭部は、実効電荷を保有する。イオン性界面活性剤は、アルキル硫酸塩及びアルキルエトキシ化硫酸塩にあるような負の電荷を持つ親水性基を有する。カチオン性界面活性剤は、ナトリウム塩及び第四級(例えば、アンモニウム)塩にあるような正の電荷を持つ親水性基を有する。非イオン性界面活性剤は、その頭部に荷電基をもたない。いくつかの例示的な界面活性剤は、国際公開第WO 2009/085680号において記載され、これは参照により本明細書に組み込まれる。
【0037】
コーティング組成物が、親水性構成成分としてポリアルキレンオキシドの酸又はその塩を欠いている実施形態については、コーティング組成物は、コーティング組成物を防曇性組成物に提供する十分な量の界面活性剤を含む。コーティング組成物中の界面活性剤の濃度は、典型的には、コーティング組成物の少なくとも0.5重量%、1重量%、1.5重量%、又は2重量%の百分率である。界面活性剤濃度は、典型的には、コーティング組成物の10重量%以下である。
【0038】
いくつかの実施形態では、(例えば、防曇性)コーティング組成物は、非イオン性界面活性剤を含む。非イオン性界面活性剤は、一般に、少なくとも6個、又は8個、又は10個、又は12個の炭素原子を有するアルキル又はアルケニル基を含む。そのような比較的長鎖のアルキル基又はアルキレン基は、一般に「脂肪」基と呼ばれる。炭素原子の数は、非イオン性界面活性剤が室温(例えば、25℃)で液体である限り、18個を超えてもよい。いくつかの実施形態では、アルキル又はアルケニル基は、24個以下の炭素原子を有する。いくつかの好ましい実施形態では、そのようなアルキル基は非分枝状である。アルキル又はアルケニル基は、任意に、置換基を含んでもよい。
【0039】
様々な部類の非イオン性界面活性剤が知られており、これには、例えば、脂肪族アルコール、脂肪酸、脂肪族アミン、脂肪アミド、及びこれらの誘導体が挙げられる。
【0040】
脂肪族アルコールは典型的に、以下の一般式を有する。
R−OH
式中、Rは(例えば、直鎖又は分枝鎖)アルキル又はアルケニル基であり、前述のように、所望により対応できる位置でN、O、又はS原子により置換される。様々な脂肪族アルコールが知られており、これにはドデシルアルコール、セチルアルコールCH
3(CH
2)
15OH、ステアリルアルコール(別名オクタデシルアルコール又は1−オクタデカノール)、及びオレイルアルコールが挙げられる。
【0041】
いくつかの実施形態において、非イオン性界面活性剤は、脂肪族アルコールの誘導体である。ある好ましい誘導体は、エチレンオキシド及び/又はプロピレンオキシド反復単位等のアルキレンオキシド反復単位を含む、脂肪族アルコール、エステル又はその誘導体である。そのような誘導体はまた、ポリエトキシル化及び/又はポリプロポキシル化脂肪族アルコール、エステル、又はこれらの誘導体とも称され得る。ポリエトキシレート化脂肪族アルコールは、以下の一般式を有する。
R−(OCH
2CH
2)
nOH
式中、Rは(例えば、直鎖又は分枝鎖)アルキル又はアルケニル基であり、前述のように、所望により対応できる位置でN、O、又はS原子により置換される。エチレンオキシド反復単位の数「n」は、2〜20の範囲である得る。いくつかの実施形態では、nは、少なくとも3又は4であり、約10又は12以下である。
【0042】
ポリエトキシレート化脂肪族アルコール等のポリアルキレンオキシド反復単位を含む界面活性剤は、コーティング組成物の好ましい非イオン性界面活性剤であり得る。
【0043】
いくつかの実施形態では、1つ以上のポリエトキシレート化脂肪族アルコールは、コーティング組成物の唯一の界面活性剤である。他の実施形態では、少なくとも1つのポリエトキシレート化脂肪族アルコールが、第2の界面活性剤と組み合わせて使用される。ポリエトキシレート化脂肪族アルコール界面活性剤が、約1:1又は2:1の重量比で第2の界面活性剤と組み合わせて使用され得る。いくつかの実施形態では、第2の界面活性剤は、シリコーン界面活性剤、イオン性界面活性剤、又はそれらの混合物である。
【0044】
いくつかの実施形態で、コーティング組成物は、イオン性界面活性剤又はシリコーン界面活性剤と組み合わせて非イオン性界面活性剤を含む。
【0045】
シリコーン界面活性剤は、概して、様々な数のジメチルシロキサン単位を有し、典型的には、それぞれの末端でトリメチルシロキサン基で末端保護されたシロキサン主鎖を含む。シロキサン主鎖は、概して、疎水基である。この疎水基は、イオン性、双極性イオン性、又は非イオン性であり得、通常、シロキサン主鎖に対して短いアルキル鎖によって結合する。ある例示的なシロキサン界面活性剤は、ポリエーテルで修飾されたシロキサンであり、商品名「BYK−346」でInnovadexから市販されている。
【0046】
様々なイオン性界面活性剤が知られている。ある例示的なイオン性界面活性剤は、アルファオレフィンスルホン酸ナトリウムであり、商品名「A−18」で、Stepan Companyから市販されている。別のイオン性界面活性剤は、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルアンモニウムスルファートであり、商品名「Hitenol BC 10」で日本の第一工業製薬株式会社から市販されている。
【0047】
前述されるように、様々な非イオン性界面活性剤は、ヒドロキシル基を含む。防曇性コーティングは、前述されており、ヒドロキシル官能性界面活性剤が、ポリウレタンの形成中、反応物質として利用される。(例えば、米国特許第3,822,238号を参照のこと)しかしながら、前述の防曇性コーティング組成物では、水分散液として提供される予備成形された(例えば、市販されている)ポリマーが、成分として利用される。この分散液のポリマーは、典型的には、ヒドロキシル反応性を含まない。したがって、ヒドロキシル官能性界面活性剤がそのようなポリウレタン分散液と組み合わされるとき、この界面活性剤は、ポリウレタンにより反応しない。つまり、界面活性剤は、(例えば、ポリウレタン及び/又はアクリル)ポリマーに対して非反応性である。
【0048】
本明細書に記載の防曇性コーティングは、任意に、様々な親水性添加剤を含み得る。親水性添加剤は、親水性添加剤が界面活性剤の必要な基である疎水基を欠いている界面活性剤とは異なる。いくつかの実施形態では、コーティング組成物は、防曇性の性能を強化するために、少濃度の(例えば、非反応性)親水性添加剤、例えば、ポリエチレングリコール(PEG)モノメチルエーテル等を含む。この実施形態では、親水性添加剤の濃度は、典型的には、少なくとも0.5重量%、又は1重量%、又は1.5重量%、又は2重量%であり、概して、約5重量%以下である。
【0049】
別の実施形態では、防曇性コーティングは、ポリウレタンポリマーに対しては非反応性であるが、なおも反応性であり、そのため、(例えば、アジリジン)架橋剤によって架橋され得る親水性添加剤を含む。そのような親水性添加剤の濃度は、典型的には、少なくとも5重量%、6重量%、7重量%、8重量%、9重量%、又は10重量%の固体のコーティング組成物である。いくつかの実施形態では、親水性添加剤の濃度は、少なくとも11重量%、12重量%、13重量%、14重量%、又は15重量%である。そのような親水性添加剤の濃度は、典型的には、約35重量%以下である。
【0050】
架橋剤によって架橋され得る親水性添加剤の一例は、ポリアルキレンオキシドの酸又はその塩である。そのような添加剤は、概して、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、又はこれらの組み合わせの反復単位を含むポリアルキレンオキシド主鎖を含む。エチレンオキシド反復単位及びプロピレンオキシド反復単位の数は、独立して、0〜100の範囲に及び得るが、但し、エチレンオキシド反復単位及びプロピレンオキシド反復単位の合計は、約10〜100の範囲であるとする。ポリアルキレンオキシド主鎖は、典型的には、プロピレンオキシド反復単位よりも多いエチレンオキシド反復単位を含む。いくつかの実施形態では、エチレンオキシド反復単位とプロピレンオキシド反復単位との比は、少なくとも2:1、又は3:1、又は4:1、又は5:1、又は6:1、又は7:1、又は8:1、又は9:1、又は10:1である。ポリアルキレンオキシド主鎖は、典型的には、直鎖及び二価であり、それぞれの末端において酸基又は塩基で終了する。二価結合基は、典型的には、ポリアルキレンオキシド主鎖と少なくとも1つ若しくは2つの末端酸基又は塩基との間に存在する。出発化合物及び反応物質(複数可)に応じて、連結基は異なり得る。いくつかの実施形態では、添加剤は、二塩基酸を形成する無水コハク酸と反応させ、次いで、アルキルアミンと反応させて、酸基をアンモニウム塩基に変換するポリアルキレンオキシドアミン(ポリエーテルアミンとも称される)から形成される。この実施形態では、ポリアルキレンオキシド主鎖と末端酸基又は塩基との間の連結基は、−CH
2NHCOC
2H
4−であり得る。しかしながら、他の連結基は、他の反応スキームの使用によって存在するであろう。連結基の分子量は、概して、ポリアルキレンオキシド主鎖の親水性の性質を損なわないように比較的小さい。いくつかの実施形態では、連結基の分子量は、100g/モル以下である。ポリアルキレンオキシド主鎖の分子量が増加すると、連結基の分子量もまた、親水性の特性を損なうことなく、増加し得る。しかしながら、連結基の分子量は、典型的には、親水性添加剤の全分子量の約20、15又は10重量%(即ち、連結基の分子量は、全分子量で割って、100%を掛ける)以下である。
【0051】
一実施形態では、親水性添加剤は、以下の式:
R−L−(C
3H
6O)
x(C
2H
4O)
y−L−R
によって表され得るとき、二価ポリアルキレンオキシド主鎖及び末端酸基又は塩基を含み、式中、Rは、カルボン酸基又はその塩等の(例えば、アジリジン)架橋剤で(共有結合)することができる反応基であり、
Lは、二価連結基であり、
x及びyは、独立して、0〜100の範囲であるが、但し、x+yの合計は、約5、6、7、8、9、又は10〜約100の範囲であるものとする。
【0052】
連結基Lは、反応物質の選択に応じて異なり得る。例えば、ポリアルキレンオキシドジオールがイソシアネート化合物と反応するとき、Lは、−OCONH−であり得る。
【0053】
別の実施形態では、ポリアルキレンオキシドジアミンがイソシアネート化合物と反応するとき、Lは、−NHCONH−であり得る。なお別の実施形態では、ポリアルキレンオキシドジオールが無水物又はカルボン酸化合物と反応するとき、Lは、−(C=O)−O−であり得る。Lはまた、ポリアルキレンオキシド二塩基酸がアルコール化合物と反応するとき、エステル連結であり得る。なお別の実施形態では、Lは、ポリアルキレンオキシド二塩基酸又は塩化アクリルと第一級又は第二級アミンとの反応によって、−CONH−であり得る。アミド連結はまた、ポリアルキレンジアミンと無水物又はカルボン酸化合物との反応によっても、作製され得る。なお別の実施形態では、Lは、ポリアルキレンオキシドジアミンとハロゲン化物化合物との反応によって、又はポリアルキレンオキシドのジハロゲン化物とアミン化合物との反応によって、−NR−であり得る。なお別の実施形態では、Lは、ポリアルキレンオキシドジオールとアクリルクロライドチオール又はチオールエステル化合物との反応によって、−COS−であり得る。更に、Lは、ポリアルキレンオキシドジチオールとチオール又はメルカプト化合物との反応によって、−CS
2−であり得る。なお別の実施形態では、Lは、ポリアルキレンオキシドジチオールとハロゲン化物化合物との反応によって、−S−であり得る。なお別の実施形態では、Lは、ポリアルキレンオキシドジオールの縮合反応によって、−O−であり得る。なお別の実施形態では、Lは、ポリアルキレンオキシドジチオールとイソシアネート化合物との反応によって、又はポリアルキレンオキシドジイソシアネートとチオール化合物との反応によって、−SCONH−であり得る。
【0054】
酸塩の対イオンは、アンモニウム、並びに第一級、第二級又は第三級アルキルアンモニウムであり得る。対イオンはまた、ハロゲン化亜鉛からの二価亜鉛、硝酸塩、カーボネート、又は炭酸アンモニウムを含む、無機金属イオンであり得る。他の無機金属イオンは、Cu、Ti、及びZrを含む。
【0055】
理論により拘束されることを意図しないが、ポリアルキレンオキシドの酸又は塩のアルキレンオキシド反復単位は、そのような親水性セグメント(例えば、アルキレンオキシド反復単位を含む非イオン性界面活性剤等)に適合する界面活性剤が、コーティングから外に浸出するのを防ぐのに役立ち得ると推測される。
【0056】
本明細書に記載の防曇性コーティングは、架橋剤を含む。架橋剤は、典型的に、ポリマー(例えば、ポリウレタン及び/又はアクリル)主鎖に存在する(例えば、カルボキシレート)親水性セグメントと反応する。好適な架橋剤には、典型的には、少なくとも3つの末端基を含む、多官能性アジリジン架橋剤が含まれる。
【0057】
水性ポリマー分散液及び多官能アジリジン硬化剤を含有するカルボン酸イオン(例えば、カルボキシレート)は、硬化ポリマー分散液として製剤化され得る。硬化機構は、pH値が6より下回って低下する場合の乾燥プロセス中、周囲温度で行うことができる。いくつかの実施形態では、架橋剤はまた、先ほど記載されたように、(例えば、ポリアルキレンオキシドの酸又は塩)親水性添加剤と反応し得る。
【0058】
(例えば、アジリジン)架橋剤の濃度は、典型的には、少なくとも5重量%の固体のコーティング組成物である。いくつかの実施形態では、比較的高い濃度の(例えば、アジリジン)架橋剤が使用される。例えば、(例えば、アジリジン)架橋剤の濃度は、典型的には、少なくとも10又は15重量%の固体のコーティング組成物である。(例えば、アジリジン)架橋剤の濃度は、典型的には、25重量%、又は24重量%、又は23重量%、22重量%、又は21重量%又は20重量%以下である。
【0059】
トリメチロールプロパントリ−[ベータ−(N−アジリジニル)−プロピオン酸塩、2,2−ビスヒドロキシメチルブタノールトリス[3−(1−アジリジン)プロピオン酸塩]、アジリジン−2−メチロールアクリレート、アジリジン−2−メチロールメタクリレート、N−(2−アジリジニル)メチルアクリルアミド、N−(2−アジリジニル)メチルメタクリルアミド、1−(アジリジン−2−イル)−2−オキサブタ−3−エン、4−(アジリジン−2−イル)−ブタ−1−エン、及び5−(アジリジン−2−イル)−ペンタ−1−エン等の様々な多官能性アジリジン架橋剤が知られている。これらの特定のアジリジン架橋剤は、比較的疎水性の架橋剤である。
【0060】
特に、架橋剤が比較的高い濃度で存在する実施形態については、疎水性架橋剤よりむしろ、親水性アジリジン架橋剤を使用するのが好適であり得る。親水性アジリジン架橋剤は、エチレンオキシド反復単位等のアルキレンオキシド反復単位を含み得る。アルキレンオキシド(例えば、エチレンオキシド)反復単位の数は、典型的には、少なくとも2つ又は3つであり、典型的には、約20以下である。いくつかの実施形態では、アルキレンオキシド(例えば、エチレンオキシド)反復単位の数は、平均して約6、7、8、又は9である。親水性架橋剤の使用は、組成物が実質的に親水性添加剤含まないか、又は低濃度(5重量%以下)の親水性添加剤を含む実施形態には好適である。
【0061】
エチレンオキシド反復単位を含むアジリジン架橋剤は、エトキシ化(9)トリメチルプロパントリアクリレート等のエトキシ化アルキル多官能(メタ)アクリレートと、2−メチルアジリジン等のアルキルアジリジンと、を反応させることによって調製され得る。そのようなアジリジン架橋剤は、一般式:
【0062】
【化2】
を有し、式中、R’は水素、又はC
1〜C
4アルキル基であり、
R”は水素又はメチルであり、
x、y、及びzは独立して、少なくとも1であり、
Mは、二価連結基の二価原子である。
【0063】
いくつかの実施形態では、x+y+zの合計は、少なくとも3、4、5、又は6である。更に、x+y+zの合計は20以下であり得る。いくつかの実施形態では、Mは酸素である。
【0064】
アルキレンオキシド反復単位を含む他のアジリジン架橋剤は、米国特許第8,017,666号に記載されており、参照により本明細書に組み込まれる。
【0065】
理論により拘束されることを意図しないが、架橋剤のアルキレンオキシド反復単位は、そのような親水性セグメント(例えば、アルキレンオキシド反復単位を含む非イオン性界面活性剤等)に適合する界面活性剤が、コーティングから外に浸出するのを防ぐのに役立つことが推定される。
【0066】
いくつかの実施形態では、1つ以上の界面活性剤及び親水性アジリジン架橋剤は、コーティング組成物の主要な又は唯一の親水性成分である。
【0067】
他の実施形態では、この組成物は、ポリアルキレンオキシドの酸又は塩を更に含む。
【0068】
これらの実施形態のそれぞれでは、コーティング組成物は、5重量%未満を含んでも、N−ビニルピロリドン由来のモノマー又はポリマー等の他の親水性有機モノマー、オリゴマー、又はポリマーを含まなくてもよい。
【0069】
いくつかの実施形態では、防曇性コーティング組成物は、無機ナノ粒子を含まない。そのような乾燥及び硬化された組成物は、典型的には、ポリウレタンの選択及び比較的高い濃度の架橋剤により、満足のいく摩耗耐性を示す。
【0070】
他の実施形態では、コーティング組成物は、少なくとも0.5重量%、1重量%、又は2重量%、及び典型的には、約40重量%以下の固体のコーティング組成物の濃度で、無機ナノ粒子を含む。いくつかの実施形態では、無機ナノ粒子の濃度は、約30重量%又は20重量%以下である。いくつかの実施形態では、線状摩耗は、ナノ粒子濃度が15重量%以上であるとき、具体的には、200又は300サイクルで障害を来たす。
【0071】
本明細書において、「ナノ粒子」は、ナノメートルサイズの粒子として定義され、好ましくは平均粒径が100、75又は50ナノメートル(nm)以下である。いくつかの実施形態では、無機ナノ粒子の平均粒径は、(表面改質以前)40、30、又は20nm以下である。ナノ粒子の平均粒径は、少なくとも1nm、2nm、又は3nmである。
【0072】
本明細書で使用する時、「粒径」及び「粒子直径」は同一の意味を有し、粒子(又はその凝集体)の最大寸法を指すために使用される。この文脈において、「アグロメレーション」は、電荷又は極性によってまとまることができ、またより小さな構成要素に分解することができる、粒子間の弱い結合を指す。
【0073】
ナノ粒子の平均粒径は、透過電子顕微鏡を使用して測定することができる。本発明の実践において、粒径はいずれかの好適な技術を用いて決定することができる。粒径は、数平均粒径を表し、透過電子顕微鏡又は走査電子顕微鏡を使用する機器を用いて測定される。粒径を測定する別の方法は、重量平均粒径を測定する動的光散乱である。好適であることがわかったそのような機器の1つの例は、Beckman Coulter Inc.(Fullerton, CA)から入手可能なN4 PLUS SUB−MICRON PARTICLE ANALYZERである。
【0074】
ナノ粒子は、比較的均一のサイズであり得る。均一なサイズのナノ粒子は、一般に、より再現可能な結果を提供する。好ましくは、ナノ粒子のサイズの変動性は、平均粒径の25%未満である。
【0075】
ナノ粒子は、好ましくは少なくとも10m
2/グラム、より好ましくは少なくとも20m
2/グラム、更に好ましくは少なくとも25m
2/グラムの表面積を有する。ナノ粒子は、好ましくは750m
2/グラムを超える表面積を有する。
【0076】
本発明のナノ粒子は、多孔質又は無孔質であり得る。いくつかの実施形態では、ナノ粒子は、単にシリカのみから成る。シリカは、好ましくは、ナノ粒子、特に、ケイ酸塩、例えば、アルカリ金属ケイ酸塩又はアンモニウムケイ酸塩等に由来するシリカナノ粒子であり得る。本明細書では、「シリカナノ粒子」はシリカのみを含むナノ粒子、並びに表面にシリカを含むコアシェルナノ粒子を指す。他の実施形態では、コーティング組成物は、ZrO
2、コロイド状ジルコニア、Al
2O
3、コロイド状アルミナ、CeO
2、コロイド状セリア、SnO
2、コロイド状スズ(第二スズ)酸化物、及びTiO
2、コロイド状二酸化チタン)等の他の無機酸化物を含み得る。また、そのような無機酸化物の混合物も使用することができる。
【0077】
非修飾ナノ粒子は、典型的には、粉末としてよりもむしろ分散液として提供される。好ましい分散液は、一般に、流体媒質に分散された15重量%〜50重量%のコロイド状粒子を含有する。コロイド状粒子に好適な流体媒体の代表的な例には、水、水性アルコール溶液、低級脂肪族アルコール、エチレングリコール、N,N−ジメチルアセトアミド、ホルムアミド、又はこれらの組み合わせが挙げられる。好ましい流体媒体は水性であり、例えば、水及び所望により1種以上のアルコールである。水性媒質中の無機シリカゾルは、当該技術分野において周知であり、市販されている。水又は水−アルコール溶液中のシリカゾルは、LUDOX(E.I.duPont de Nemours and Co.,Inc.(Wilmington,DE)により製造)、NYACOL(Nyacol Co.(Ashland,MA)より入手可能)、又はNALCO(Nalco Chemical Co.(Naperville,IL)により製造)等の商品名で入手可能である。有用なシリカ分散液は、「NALCO 1115」及び「DVSZN004」を含み、両方ともNalco Chemical Companyより入手可能である。
【0078】
無機ナノ粒子は、典型的には、表面処理を含む。ナノサイズの粒子を表面処理することで、ポリマー樹脂中での安定した分散をもたらすことができる。好ましくは、これらの粒子が水性ポリウレタン分散液中に良好に分散されて、実質的に均一な組成物を生じるように、ナノ粒子を表面処理により安定化させる。更に、ナノ粒子は、表面処理剤によってその表面の少なくとも一部を変性することができ、そのため、安定化された粒子が、硬化中に共重合することができるか、又はポリウレタン若しくはアジリジン架橋剤と反応させることができる。
【0079】
一般に、表面処理剤は、粒子表面に付着(共有結合、イオン結合、又は強力な物理吸着による結合)するであろう第一末端部と、粒子にコーティング組成物の残りとの適合性をもたらす及び/又は硬化中にコーティング組成物の成分と反応する第二末端部と、を有する。表面処理剤の例としては、アルコール、アミン、カルボン酸、スルホン酸、ホスホン酸、シラン及びチタン酸塩が挙げられる。好ましいタイプの処理剤は、金属酸化物表面の化学的性質によりある程度は決定される。シリカに対してはシランが好ましく、ケイ酸質充填剤に対しては他のものが好ましい。
【0080】
いくつかの実施形態では、ナノ粒子は、水分散性基を含む表面処理を含む。水分散性基は、ナノ粒子表面に親水性の特性を提供し、それによって、水性コーティング溶液中のナノ粒子の過剰な凝集及び沈殿を低減、好ましくは防止することができる一価の基である。そのような表面処理は、式A−L−WDにより表すことができ、式中、Aは表面結合基であり(即ち、ナノ粒子表面に結合するため)、WDは水分散性基を表し、Lは有機リンカー又は結合を表す。有機リンカーLは、直鎖若しくは分枝アルキレン、アリーレン、又はアルキレンとアリーレン基との組み合わせであることができ、所望によりヘテロ原子を含む。
【0081】
水分散性基は、親水基又は水様基(water−like group)である。これらは典型的には、例えば、非イオン基、アニオン基、カチオン基、水に分散されるとアニオン基又はカチオン基を形成することができる基(例えば、塩又は酸)、又はこれらの混合物を含む。
【0082】
非イオン性水分散性基の例は、ポリアルキレンオキシド(例えば、PEG)基を含む。シリカナノ粒子で使用するためのある例示的なシラン表面処理剤は、2−[メトキシ(ポリエチレンオキシ)プロピル]トリメトキシシラン等のポリエチレンオキシド(PEG)シランである。
【0083】
表面処理剤は、国際公開第2009/085680号(参照により本明細書に組み込まれる)に記載されるような、他の水分散性基、並びにエポキシシラン表面処理剤を含み得る。
【0084】
表面改質剤の好ましい量は、そのような粒径、粒子の種類、改質剤の分子量、及び改質剤の種類等のいくつかの要因に依存し得る。一般的には、ほぼ単層の変性剤を粒子の表面に付着させることが好ましい。必要とされる付着手順又は反応条件もまた、使用する表面変性剤に依存する。シランの場合、酸性又は塩基性の条件下で、高温で約1〜24時間表面処理することが好ましい場合がある。
【0085】
本明細書では、無機ナノ粒子の被覆のレベルは、コーティング組成物内のエポキシ基の濃度に関して報告されており、表面処理剤の官能基の量の100%がシリカ粒子の表面に共有結合されると想定されている。いくつかの実施形態では、無機ナノ粒子は、25%又は50%の被覆率で表面処理剤を含む。
【0086】
コーティング組成物は、液状で(例えば、注ぎ可能な形状又はスプレー状)又はアプリケータ基材に浸透させて(例えば、アプリケータパッド又はワイプを成形して)供給され得る。好適なアプリケータ基材は、例えば、スポンジ状、フォーム状、織布、不織布、又はニット物質であり得る。用語「不織布ウェブ」又は「不織布」は、不規則な様式でインターレイされた個々の繊維の構造を有するウェブ又は布を意味する。対照的に、ニット又は織布は規則的な様式でインターレイされた繊維を有する。
【0087】
液体ポリウレタンコーティング組成物は、スプレー、スピンコーティング、ブラッシング、浸漬、フローコーティング等を含む従来の方法によって塗布され得るが、典型的には、スピンコーティング又はスプレーによって塗布される。コーティング操作は、当該技術分野で周知のように、単一の段階又は複数の段階のコーティング手順によって行うことができる。(例えば、アジリジン)架橋剤をポリウレタンポリマーで硬化させるために採用される条件は、異なり得る。いくつかの実施形態では、コーティングは、約90〜120℃の温度で約20分間、熱的に硬化される。概ね、温度が低いほど、より長い硬化時間を必要とする。赤外線加熱を使用して、コーティングを取り扱うことができるまでの時間を短縮することができる。
【0088】
本明細書に記載の乾燥及び硬化されたコーティング組成物は、90%超の高透明性を示すことができ、そのため、様々な光透過性基材及び物品へ塗布するのに適している。乾燥及び硬化されたコーティングの曇りは、典型的には、5、4、3、2、1又は0.5%未満である。高透明性組成物は、典型的には、実質的に、不透明にする色素を含まない(即ち、0.5又は0.1重量%未満)。
【0089】
コーティング組成物は、その上にコーティングされ、乾燥及び硬化された基材に対して防曇性の特性を提供することができる。乾燥及び硬化されたコーティングは、実施例に記載される試験方法に従って、コーティングされた基材が適度に透けて見えないように、十分な密度の少量の凝縮水の液滴の形成に耐性を示してコーティングされた基材の透明性を著しく低下させる場合、「良好な」又は「卓越した」防曇性の特性を有すると考えられる。
【0090】
いくつかの実施形態では、乾燥及び硬化されたコーティング組成物は、良好な又は卓越した防曇性の特性が、初めに及び25℃の水中に1時間浸された後に、提供されるように、十分耐久性がある。他の実施形態では、乾燥及び硬化されたコーティング組成物は、50℃の水中に24時間又は65℃の水中に120時間、浸された後に良好な又は卓越した防曇性の特性を提供することができるように、十分耐久性がある。
【0091】
いくつかの実施形態では、乾燥及び硬化されたコーティング組成物は、線状かみそり摩耗試験後、機械的耐久性を示し(即ち、コーティングの曇りは、曇り変化率をわずか1〜7%増加させた)、100、200、又は300サイクルの間、コーティングをペーパータオルで拭き取った後の引っ掻き傷は観察されなかった。
【0092】
防曇性コーティングから利益を享受することができる様々な物品、例えば、交通標識、自動車の窓ガラス、具体的には、フロントガラス、目の保護具(例えば、ゴーグル、フェイスシールド、ヘルメット等)、及び建築用グレージング、並びに他の装飾ガラス物品等がある。
【0093】
防曇性コーティング組成物を塗布し得る基材は、好ましくは可視光に透明又は半透明である。コーティング組成物を異なる目的のために利用する場合、基材は、代替として、ステンレス鋼、ポリ塩化ビニル、及び繊維板等の場合、不透明であり得る。基材は、有機材料と無機材料との両方を含む。代表的な基材は、ポリエステル(例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート)、ポリカーボネート(PC)、アリルジグリコールカーボネート、ポリメチルメタクリレート等のポリアクリレート、ポリスチレン、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、酢酸酪酸セルロース、ガラス、及びこれらに類するもの、(これらのブレンド及びラミネートを含む)から作製される。典型的には、基材は、フィルム状、シート状、パネル状又は物質の枠状であり、物品の一部である。基材は平板であっても、湾曲していても、所定の形状に形成されてもよい。コーティングされる物品はブロー成形、鋳造、押出し成形、又は射出成形によって製造することができる。
【0094】
防曇性コーティングは、基材の両側にコーティングされ得る。別の方法としては、本発明のコーティングは、基材の片側にコーティングされ得る。基材の反対側は、コーティングされていなくても、多様な従来の防曇組成物でコーティングされてもよい。好ましくは、コーティング面は、より湿度が高い方向を向くべきであり、例えば、フェイスシールドでは、防曇コーティングを有する側が着用者に向くべきである。
【0095】
本発明の目的及び利点を、以下の実施例によって更に例示するが、これらの実施例において列挙される特定の材料及びその量、並びに他の諸条件及び詳細によって、本開示を不当に制限するものではないと解釈すべきである。
【0096】
試験の説明
防曇性の特性についての試験
本発明に従って、コーティングの防曇性の特性は、温水(約50〜60℃の温度で)の容器上にコーティングされた基材を置くことによって判定された。曇りが10秒以内に観察された場合、コーティングは、「不良な」防曇性の特性を有すると見なされた。曇りが10〜60秒以内に観察された場合、コーティングは、「良好な」防曇性の特性を有すると見なされた。曇りが60秒後に観察された場合、コーティングは、「卓越した」防曇性の特性を有すると見なされた。
【0097】
透過及び曇りを測定するための試験
本明細書に開示される透過及び曇り値は、ASTM D1003に記述されている手順に従い、Haze−Gard Plus曇り計(BYK−Gardiner(Silver Springs,MD)から入手可能)を用いて測定された。
【0098】
コーティングの耐久性のための試験
防曇性コーティング及び(プラスチック)基材の接着力は、クロスハッチ/テープ接着力試験によって判定された。本発明の実施例に従って作製されたコーティングのすべては、クロスハッチ/テープ接着力試験に合格した。
【0099】
防曇性コーティングの機械的耐久性は、コーティングされた基材を線状摩耗試験に供することによって判定された。線状摩耗試験は、約1400グラム(13.73N)の力の一定力下で、100、200又は300サイクルの間、コーティングをペーパータオルで拭き取ることによって行われた。次いで、コーティングを曇りについて試験し、引っ掻き傷の存在については、視覚的に観察した。
【0100】
材料
材料及びその供給源の次の一覧は、実施例全体にわたって参照される。
【実施例】
【0102】
調製実施例1〜4
PEGシラン表面処理を含むナノ粒子の合成
調製実施例1〜3のそれぞれについては、官能性シランで修飾されたシリカナノ粒子を、所望の量の官能性シランを選択されたシリカナノ粒子分散液にゆっくり加えることによって調製した。官能性シランに対するシリカナノ粒子分散液の相対的な量は、所望の当量表面被覆率に基づいて決定された。得られた分配液を、室温で4時間撹拌し、次いで、オーブン内で65℃まで一晩加熱した。以下の表1は、使用されたシリカナノ粒子、官能性シラン、及び調製実施例1〜3のそれぞれに対して得られた被覆率を記載する。異なる粒径及び表面被覆率を有する、得られた修飾されたナノ粒子分散液は、以下に記載の実施例において記載されるように使用された。
【0103】
【表2】
【0104】
調製例4
多官能性アジリジン架橋剤PZ−2382及びPZ−502の合成:
三官能性アジリジン架橋剤PZ−2382及びPZ−502を、EM 2382(MW=692)又はSR−502(MW=692)と2−メチルアジリジンとのマイケル付加によって調製した。簡潔には、2−メチルアジリジン(9.1グラム、0.1385モル)を、室温でEM 2382又はSR−502(30グラム、0.0434モル)に滴加し、次いで、得られた混合物を室温で1時間撹拌し、次いで、60℃で24時間還流した。過剰なメチルアジリジンを真空下で除去し、最終的に、ほんの少し黄色の液体生成物を得、それぞれ、PZ−2382及びPZ−502と名付けた。5.8〜6.4の二重結合の消失は、メチルアジリジン中のアクリレート基とNHとの間の反応がうまく完了したことを確認する。
【0105】
「EM−2382」三官能性アクリレートのNMRスペクトルは、Bruker BioSpin Corporation(Tucson,AZ)から入手した最新の500MHz Avance III Bruker NMRを用いて得られた。分析によれば、このアクリレートは、以下の界面活性剤を30重量%含有した。
HO−[CH
2CH
2O]n−C
12H
25
したがって、「EM−2382」から調製されたアジリジン架橋剤は、23重量%のそのような界面活性剤を含有することが算出された。
【0106】
調製例5
PEG系アンモニウム塩(900−DA及び2003−DA)の合成:
無水コハク酸(10グラム)を50℃でTHFに溶かすために、ED−900(50グラム)又はED−2003(100グラム)を加えた。50℃で24時間の反応後、黄色の強粘液体又は黄色っぽいワックスの生成物が、それぞれ、真空下でTHFの除去後、得られた。得られたPEG系二塩基酸を水中に溶かして、30%の水溶液を得て、これに、10グラムのトリエチルアミンを加え、室温で30分間撹拌して、30重量%の固体を有するPEG系ジカルボン酸アンモニウム塩を得た。得られた生成物を、続く実施例において、塩形態で使用した。反応スキームを以下に示す。
【0107】
【化3】
【0108】
防曇性コーティングを形成するための一般的プロセス
これらの成分を一緒に混合し、室温で20分間撹拌した。約30〜35%の固体含量を含む、得られたコーティング溶液を、15番のMayer棒を用いて又はディップコーティングによって、ポリエステル(PET)、ポリカーボネート(PC)又はガラス基材上にコーティングした。次いで、得られたコーティングを、110〜120℃の温度で20〜30分間硬化して、所望の特性(即ち、透明かつ耐久性のある防曇性コーティング)を有するコーティングを形成した。
【0109】
ディップコーティング手順
Velmax Unislideディップコーターの金属棒上に新たに調製されたポリカーボネートのスライドレンズの付いたクリップを定置する。スライドを位置合わせして、側面は実験台の上部に垂直であり、下部は実験台の上部に平行であるようにした。バインダークリップをテープで固定する。基材をコーティング溶液中に浸し、約1mm/秒の適切な引っ張り速度で徐々に引っ張り出す。
【0110】
(実施例1)
ポリウレタン分散液W835/140(32重量%、79.7グラム)を、4.5グラムのPZ−2382(未希釈)及び15.8グラムの水と混合し、次いで、均一な分散液が得られるまで、20分間撹拌した。この溶液(30重量%の固体)を、14番のMayer棒を用いてPCフィルム上に塗布し、次いで、110℃で20分間硬化した。得られた、コーティングされたPCフィルムを、上述のように、防曇性性能について試験した。実施例1の試料は、「卓越した」防曇性特性(50℃の蒸気で65〜70秒の曝露後に曇った)を有する一方、良好な光線透過率(>90%)を有した。
【0111】
(実施例2)
ポリウレタン分散液W835/140(32重量%、75.0グラム)を、6.0グラムのPZ−2382(未希釈)及び9.0グラムの水と混合し、次いで、均一な分散液が得られるまで、20分間撹拌した。この溶液(30重量%の固体)を、14番のMayer棒を用いてPCフィルム上に塗布し、次いで、110℃で20分間硬化した。得られた、コーティングされたPCフィルムは、「卓越した」防曇性特性(50℃の蒸気に曝露したとき、曇りが見られなかった)、及び良好な光線透過率(>90%)を示した。室温の水中に1時間、並びに50℃で24時間浸された後、コーティングされたPCフィルムは、依然として、「良好な」防曇性の性能を示す。
【0112】
(実施例3)
ポリウレタン分散液W835/140(32重量%、65.6グラム)を、9.0グラムのPZ−2382(未希釈)及び25.37グラムの水と混合し、次いで、均一な分散液が得られるまで、20分間撹拌した。この溶液(30重量%の固体)を、14番のMayer棒を用いてPCフィルム上に塗布し、次いで、110℃で20分間硬化した。得られた、コーティングされたPCフィルムは、「卓越した」防曇性特性(50℃の蒸気に曝露したとき、曇りが見られなかった)、及び良好な光線透過率(>90%)を示した。室温の水中に1時間、並びに50℃の水中に24時間浸された後、コーティングされたPCフィルムは、依然として、「良好な」防曇性の性能を示す。
【0113】
(実施例4)
ポリウレタン分散液W835/177(34重量%、61.8グラム)を、9.0グラムのPZ−2382(未希釈)及び29.2グラムの水と混合し、次いで、均一な分散液が得られるまで、20分間撹拌した。この溶液(30重量%の固体)を、14番のMayer棒を用いてPCフィルム上に塗布し、次いで、110℃で20分間硬化した。得られた、コーティングされたPCフィルムは、「卓越した」防曇性特性(50℃の蒸気に曝露したとき、曇りが見られなかった)、及び良好な光線透過率(>90%)を示した。室温の水中に1時間、並びに50℃の水中に24時間浸された後、コーティングされたPCフィルムは、依然として、「良好な」防曇性の性能を示す。
【0114】
(実施例5)
ポリウレタン分散液W835/360(33重量%、63.6グラム)を、9.0グラムのPZ−2382(未希釈)及び27.4グラムの水と混合し、次いで、均一な分散液が得られるまで、20分間撹拌した。この溶液(30重量%の固体)を、14番のMayer棒を用いてPCフィルム上に塗布し、次いで、110℃で20分間硬化した。得られた、コーティングされたPCフィルムは、「卓越した」防曇性特性(50℃の蒸気に曝露したとき、曇りが見られなかった)、及び良好な光線透過率(>90%)を示した。室温の水中に1時間、並びに50℃の水中に24時間浸された後、コーティングされたPCフィルムは、依然として、「良好な」防曇性の性能を示す。
【0115】
(実施例6)
ポリウレタン分散液U9800(34重量%、61.8グラム)を、9.0グラムのPZ−2382(未希釈)及び29.2グラムの水と混合し、次いで、均一な分散液が得られるまで、20分間撹拌した。この溶液(30重量%の固体)を、14番のMayer棒を用いてPCフィルム上に塗布し、次いで、110℃で20分間硬化した。得られた、コーティングされたPCフィルムは、「卓越した」防曇性特性(50℃の蒸気に曝露したとき、曇りが見られなかった)、及び良好な光線透過率(>90%)を示した。室温の水中に1時間、並びに50℃の水中に24時間浸された後、コーティングされたPCフィルムは、依然として、「良好な」防曇性の性能を示す。
【0116】
(実施例7)
ポリウレタン分散液R961(34重量%、61.8グラム)を、9.0グラムのPZ−2382(未希釈)及び29.2グラムの水と混合し、次いで、均一な分散液が得られるまで、20分間撹拌した。この溶液(30重量%の固体)を、14番のMayer棒を用いてPCフィルム上に塗布し、次いで、110℃で20分間硬化した。得られた、コーティングされたPCフィルムは、「卓越した」防曇性特性(50℃の蒸気に曝露したとき、曇りが見られなかった)、及び良好な光線透過率(>90%)を示した。室温の水中に1時間、並びに50℃の水中に24時間浸された後、コーティングされたPCフィルムは、依然として、「良好な」防曇性の性能を示す。
【0117】
(実施例8)
ポリウレタン分散液W835/140(32重量%、74.1グラム)を、6.0グラムのPZ−502(未希釈)、1.0gのBYK−346及び18.9グラムの水と混合し、次いで、均一な分散液が得られるまで、20分間撹拌した。この溶液(30重量%の固体)を、14番のMayer棒を用いてPCフィルム上に塗布し、次いで、110℃で20分間硬化した。得られた、コーティングされたPCフィルムは、「卓越した」防曇性特性(50℃の蒸気に曝露したとき、曇りが見られなかった)、及び良好な光線透過率(>90%)を示した。室温の水中に1時間、並びに50℃の水中に24時間浸された後、コーティングされたPCフィルムは、依然として、「良好な」防曇性の性能を示す。
【0118】
(実施例9)
ポリウレタン分散液W835/140(32重量%、74.1グラム)を、6.0グラムのPZ−502(未希釈)、1.0gのBRIJ 30及び18.9グラムの水と混合し、次いで、均一な分散液が得られるまで、20分間撹拌した。この溶液(30重量%の固体)を、14番のMayer棒を用いてPCフィルム上に塗布し、次いで、110℃で20分間硬化した。得られた、コーティングされたPCフィルムは、「卓越した」防曇性特性(50℃の蒸気に曝露したとき、曇りが見られなかった)、及び良好な光線透過率(>90%)を示した。室温の水中に1時間、並びに50℃の水中に24時間浸された後、コーティングされたPCフィルムは、依然として、「良好な」防曇性の性能を示す。
【0119】
以下の表1は、上記の実施例1〜9で得られた硬化されたコーティング(PCフィルム上)における成分及びそれぞれの成分の相対的な量を要約する。
【0120】
【表3】
PZ−2382は、前述のように、23%の界面活性剤を含む。したがって、
15重量%のPZ−2382=3.5重量%の界面活性剤及び11.5重量%の親水性アジリジン架橋剤
20重量%のPZ−2382=4.6重量%の界面活性剤及び15.4重量%の親水性アジリジン架橋剤
30重量%のPZ−2382=6.9重量%の界面活性剤及び23.1重量%の親水性アジリジン架橋剤
【0121】
(実施例10)
ポリウレタン分散液W835/140(32重量%、75.0グラム)を、4.5グラムのPZ−2382(未希釈)、5.0グラムのPEGで修飾されたDVSZN004(調製実施例2、50%の被覆率及び30重量%の固体)、及び15.5グラムの水で混合し、次いで、均一な分散液が得られるまで、20分間撹拌した。この溶液(30重量%の固体)を、14番のMayer棒を用いてPCフィルム上に塗布し、次いで、110℃で20分間硬化した。得られた、コーティングされたPCフィルムは、「卓越した」防曇性特性(50℃の蒸気に曝露したとき、曇りが見られなかった)、及び良好な光線透過率(>90)を示した。1400グラム(13.73N)の力で、ペーパータオルを用いて100回を超えるサイクルの線状摩擦後、引っ掻き傷は観察されなかった。室温の水中に1時間、並びに50℃の水中に24時間浸された後、コーティングされたPETフィルムは、依然として、「良好な」防曇性の性能を示す。
【0122】
(実施例11A)
ポリウレタン分散液W835/140(32重量%、75.0グラム)を、4.5グラムのPZ−2382(未希釈)、5.0グラムのPEGで修飾されたDVSZN004(調製実施例2、50%の被覆率及び30重量%の固体)、及び15.5グラムの水で混合し、次いで、均一な分散液が得られるまで、20分間撹拌した。この溶液(30重量%の固体)を、14番のMayer棒を用いてPCフィルム上に塗布し、次いで、110℃で20分間硬化した。得られた、コーティングされたPCフィルムは、「卓越した」防曇性特性(50℃の蒸気に曝露したとき、曇りが見られなかった)、及び良好な光線透過率(>90)を示した。1400グラム(13.73N)の力で、ペーパータオルを用いて100回を超えるサイクルの線状摩擦後、引っ掻き傷は観察されなかった。室温の水中に1時間、並びに50℃の水中に24時間浸された後、コーティングされたPETフィルムは、依然として、「良好な」防曇性の性能を示す。
【0123】
(実施例11B)
実施例11Aと同じコーティング組成物を、実施例11Aと同じ様式でPETフィルムに塗布した。得られた、コーティングされたPETフィルムは、「卓越した」防曇性特性(50℃の蒸気に曝露したとき、曇りが見られなかった)、及び良好な光線透過率(>90)を示した。室温の水中に1時間、並びに50℃の水中に24時間浸された後、コーティングされたPETフィルムは、依然として、「良好な」防曇性の性能を示す。
【0124】
(実施例11C)
実施例11Aと同じコーティング組成物を、実施例11Aと同じ様式でポリメチルメタクリレート(PMMA)フィルムに塗布した。得られた、コーティングされたPMMAフィルムは、「卓越した」防曇性特性(50℃の蒸気に曝露したとき、曇りが見られなかった)、及び良好な光線透過率(>90)を示した。室温の水中に1時間、並びに50℃の水中に24時間浸された後、コーティングされたPETフィルムは、依然として、「良好な」防曇性の性能を示す。
【0125】
(実施例11D)
実施例11Aと同じコーティング組成物を、実施例11Aと同じ様式でガラス基材に塗布した。得られた、コーティングされたガラス基材は、「卓越した」防曇性特性(50℃の蒸気に曝露したとき、曇りが見られなかった)、及び良好な光線透過率(>90)を示した。室温の水中に1時間、並びに50℃の水中に24時間浸された後、コーティングされたPETフィルムは、依然として、「良好な」防曇性の性能を示す。
【0126】
(実施例12)
ポリウレタン分散液W835/140(32重量%、65.6グラム)を、7.5グラムのPZ−2382(未希釈)、5.0グラムのPEGで修飾されたDVSZN004(調製実施例2、50%の被覆率及び30重量%)、並びに21.9グラムの水で混合し、次いで、均一な分散液が得られるまで、20分間撹拌した。この溶液(30重量%の固体)を、14番のMayer棒を用いてPCプレート上に塗布し、次いで、110℃で20分間硬化した。得られた、コーティングされたPCプレートは、「卓越した」防曇性特性(50℃の蒸気に曝露したとき、曇りが見られなかった)、及び良好な光線透過率(>90)を示した。室温の水中に1時間、並びに50℃の水中に24時間浸された後、コーティングされたPETフィルムは、依然として、「良好な」防曇性の性能を示す。
【0127】
(実施例13)
ポリウレタン分散液W835/140(32重量%、65.6グラム)を、7.5グラムのPZ−2382(未希釈)、5.0グラムのPEGで修飾されたDVSZN004(調製実施例3、100%の被覆率及び30重量%)、及び21.9グラムの水で混合し、次いで、均一な分散液が得られるまで、20分間撹拌した。この溶液(30重量%の固体)を、14番のMayer棒を用いてPCフィルム上に塗布し、次いで、110℃で20分間硬化した。得られた、コーティングされたPCフィルムは、「卓越した」防曇性特性(50℃の蒸気に曝露したとき、曇りが見られなかった)、及び良好な光線透過率(>90)を示した。室温の水中に1時間、並びに50℃の水中に24時間浸された後、コーティングされたPETフィルムは、依然として、「良好な」防曇性の性能を示す。
【0128】
(実施例14)
ポリウレタン分散液W835/140(32重量%、65.6グラム)を、7.5グラムのPZ−2382(未希釈)、5.0グラムのPEGで修飾されたDVSZN004(調製実施例2、50%の被覆率及び30重量%)、及び21.9グラムの水で混合し、次いで、均一な分散液が得られるまで、20分間撹拌した。次いで、0.6グラムのポリ(エチレングリコール)(200)モノメタクリレートを、均一な分散液が形成されるまで、撹拌しながら上記の分散液に加えた。この溶液(30重量%の固体)を、14番のMayer棒を用いてPCフィルム上に塗布し、次いで、110℃で20分間硬化した。得られた、コーティングされたPCフィルムは、「卓越した」防曇性特性(50℃の蒸気に曝露したとき、曇りが見られなかった)、及び良好な光線透過率(>90)を示した。室温の水中に1時間、並びに50℃の水中に24時間浸された後、コーティングされたPETフィルムは、依然として、「良好な」防曇性の性能及び耐久性のあることを示す。
【0129】
(実施例15)
ポリウレタン分散液W835/140(32重量%、65.6グラム)を、7.5グラムのPZ−2382(未希釈)、5.0グラムのPEGで修飾されたDVSZN004(調製実施例2、50%の被覆率及び30重量%)、並びに21.9グラムの水で混合し、次いで、均一な分散液が得られるまで、20分間撹拌した。次いで、1.0グラムのBYK−346を、均一な分散液が形成されるまで、撹拌しながら上記の分散液に加えた。この溶液(30重量%の固体)を、14番のMayer棒を用いてPCフィルム上に塗布し、次いで、110℃で20分間硬化した。得られた、コーティングされたPCフィルムは、「卓越した」防曇性特性(50℃の蒸気に曝露したとき、曇りが見られなかった)、及び良好な光線透過率(>90)を示した。室温の水中に1時間、並びに50℃の水中に24時間浸された後、コーティングされたPETフィルムは、依然として、「良好な」防曇性の性能及び耐久性のあることを示す。
【0130】
(実施例16)
ポリウレタン分散液W835/140(32重量%、65.6グラム)を、7.5グラムのPZ−2382(未希釈)、5.0グラムのPEG系で修飾されたDVSZN004(調製実施例2、50%の被覆率及び30重量%)、及び21.9グラムの水で混合し、次いで、均一な分散液が得られるまで、20分間撹拌した。次いで、1.0グラムのBRIJ 30を、均一な分散液が形成されるまで、撹拌しながら上記の分散液に加えた。この溶液(30重量%の固体)を、14番のMayer棒を用いてPCフィルム上に塗布し、次いで、110℃で20分間硬化した。得られた、コーティングされたPCフィルムは、「卓越した」防曇性特性(50℃の蒸気に曝露したとき、曇りが見られなかった)、及び良好な光線透過率(>90)を示した。室温の水中に1時間、並びに50℃の水中に24時間浸された後、コーティングされたPETフィルムは、依然として、「良好な」防曇性の性能及び耐久性のあることを示す。
【0131】
(実施例17)
ポリウレタン分散液W835/140(32重量%、65.6グラム)を、7.5グラムのPZ−2382(未希釈)、1.5グラムのAL−2450、及び22.9グラムの水と混合し、次いで、均一な分散液が得られるまで、20分間撹拌した。この溶液(30重量%の固体)を、14番のMayer棒を用いてPCフィルム上に塗布し、次いで、110℃で20分間硬化した。得られた、コーティングされたPCフィルムは、「卓越した」防曇性特性(50℃の蒸気に曝露したとき、曇りが見られなかった)、及び良好な光線透過率(>90)を示した。室温の水中に1時間、並びに50℃の水中に24時間浸された後、コーティングされたPETフィルムは、依然として、「良好な」防曇性の性能及び耐久性のあることを示す。
【0132】
(実施例18)
ポリウレタン分散液W835/140(32重量%、8.43グラム)を、0.94グラムのR−961(32%)、1.15グラムのPZ−2382(未希釈)、及び2.5グラムのPEG系で修飾されたDVSZN004(調製実施例2、50%の被覆率及び10重量%)と混合し、次いで、均一な分散液が得られるまで、20分間撹拌した。次いで、0.4グラムのA−18及び0.2グラムのBC−10をそれぞれ、均一な分散液が形成されるまで、撹拌しながら上記の分散液に加えた。この溶液を、14番のMayer棒を用いてPCフィルム上に塗布し、次いで、110℃で20分間硬化した。得られた、コーティングされたPCフィルムは、「卓越した」防曇性特性(50℃の蒸気に曝露したとき、曇りが見られなかった)、及び良好な光線透過率(>90)を示した。室温の水中に1時間、並びに50℃の水中に24時間浸された後、コーティングされたPCフィルムは、依然として、「良好な」防曇性の性能及び耐久性のあることを示す。
【0133】
(実施例19)
ポリウレタン分散液W835/140(32重量%、65.6グラム)を、6.0グラムのPZ−2382(未希釈、調製実施例21において上述されるように調製された)、10.0グラムのPEG系で修飾されたDVSZN004(調製実施例4、5%の被覆率及び30重量%)、及び18.4グラムの水と混合し、次いで、均一な分散液が得られるまで、20分間撹拌した。この溶液(30重量%の固体)を、14番のMayer棒を用いてPCフィルム上に塗布し、次いで、110℃で20分間硬化した。得られた、コーティングされたPCフィルムは、「卓越した」防曇性特性(50℃の蒸気に曝露したとき、曇りが見られなかった)、及び良好な光線透過率(>90)を示した。室温の水中に1時間、並びに50℃の水中に24時間浸された後、コーティングされたPCフィルムは、依然として、「良好な」防曇性の性能を示す。
【0134】
(実施例20)
ポリウレタン分散液W835/140(32重量%、56.3グラム)を、6.0グラムのPZ−2382(未希釈)、20.0グラムのPEG系で修飾されたDVSZN004(調製実施例4、5%の被覆率及び30重量%)、並びに17.7グラムの水と混合し、次いで、均一な分散液が得られるまで、20分間撹拌した。この溶液(30重量%の固体)を、14番のMayer棒を用いてPCフィルム上に塗布し、次いで、110℃で20分間硬化した。得られた、コーティングされたPCフィルムは、「卓越した」防曇性特性(50℃の蒸気に曝露したとき、曇りが見られなかった)、及び良好な光線透過率(>90)を示した。室温の水中に1時間、並びに50℃の水中に24時間浸された後、コーティングされたPCフィルムは、依然として、「良好な」防曇性の性能を示す。
【0135】
(実施例21)
ポリウレタン分散液W835/140(32重量%、28.1グラム)を、6.0グラムのPZ−2382(未希釈)、50.0グラムのPEG系で修飾されたDVSZN004(調製実施例4、5%の被覆率及び30重量%)、並びに15.9グラムの水と混合し、次いで、均一な分散液が得られるまで、20分間撹拌した。この溶液(30重量%の固体)を、14番のMayer棒を用いてPCフィルム上に塗布し、次いで、110℃で20分間硬化した。得られた、コーティングされたPCフィルムは、「卓越した」防曇性特性(50℃の蒸気に曝露したとき、曇りが見られなかった)、及び良好な光線透過率(>90)を示した。室温の水中に1時間、並びに50℃の水中に24時間浸された後、コーティングされたPCフィルムは、依然として、「良好な」防曇性の性能を示す。
【0136】
以下の表2は、上記の実施例10〜21の基材上で得られた硬化されたコーティングにおける成分及びそれぞれの成分の相対的な量を要約する。
【0137】
【表4】
PZ−2382は、前述のように、23%の界面活性剤を含む。したがって、
15重量%のPZ−2382=3.5重量%の界面活性剤及び11.5重量%の親水性アジリジン架橋剤
25重量%のPZ−2382=5.8重量%の界面活性剤及び19.2重量%の親水性アジリジン架橋剤
24.2重量%のPZ−2382=5.6重量%の界面活性剤及び18.6重量%の親水性アジリジン架橋剤
23重量%のPZ−2382=5.3重量%の界面活性剤及び17.7重量%の親水性アジリジン架橋剤
【0138】
(実施例22)
ポリウレタン分散液W835/140(32重量%、60.9グラム)を、撹拌しながら、15グラムの900−DA(30重量%、調製実施例5において上記のように調製された)と混合し、均一な分散液を形成し、次いで、6.0グラムのPZ−2382(未希釈)及び18.1グラムの水を加え、均一な分散液が得られるまで、20分間撹拌した。この溶液(30重量%の固体)を、Velmax UnislideディップコーターによってPCプレート上に塗布し、次いで、110℃で20分間硬化した。得られた、コーティングされたPCフィルムは、「卓越した」防曇性特性(50℃の蒸気に曝露したとき、曇りが見られなかった)、及び良好な光線透過率(>90)を示した。室温の水中に240時間、並びに80℃の水中に96時間、又は65℃で120時間浸された後、コーティングされたPCプレートは、依然として、「卓越した」防曇性の性能及び非常に耐久性のあることを示す。
【0139】
(実施例23)
ポリウレタン分散液W835/140(32重量%、60.2グラム)を、撹拌しながら、29.2グラムの900−DA(30重量%)と混合し、均一な分散液を形成し、次いで、7.0グラムのPZ−2382(未希釈)及び3.6グラムの水を加え、均一な分散液が得られるまで、20分間撹拌した。この溶液(35重量%の固体)を、Velmax UnislideディップコーターによってPCプレート上に塗布し、次いで、110℃で20分間硬化した。得られた、コーティングされたPCフィルムは、「卓越した」防曇性特性(50℃の蒸気に曝露したとき、曇りが見られなかった)、及び良好な光線透過率(>90)を示した。室温の水中に240時間、並びに80℃の水中に96時間、又は65℃で120時間浸された後、コーティングされたPETフィルムは、依然として、「卓越した」防曇性の性能及び非常に耐久性のあることを示す。
【0140】
(実施例24)
ポリウレタン分散液W835/140(32重量%、54.7グラム)を、撹拌しながら、35グラムの900−DA(30重量%)と混合し、均一な分散液を形成し、次いで、7.0グラムのPZ−2382(未希釈)及び3グラムの水を加え、均一な分散液が得られるまで、20分間撹拌した。この溶液(35重量%の固体)を、Velmax UnislideディップコーターによってPCプレート上に塗布し、次いで、110℃で20分間硬化した。得られた、コーティングされたPCフィルムは、「卓越した」防曇性特性(50℃の蒸気に曝露したとき、曇りが見られなかった)、及び良好な光線透過率(>90)を示した。室温の水中に240時間、並びに80℃の水中に96時間、又は65℃で120時間浸された後、コーティングされたPCプレートは、依然として、「卓越した」防曇性の性能及び非常に耐久性のあることを示す。
【0141】
(実施例25)
ポリウレタン分散液W835/140(32重量%、65.6グラム)を、撹拌しながら、23.3グラムの900−DA(30重量%)と混合し、均一な分散液を形成し、次いで、7.0グラムのPZ−2382(未希釈)、1グラムのBYK−346、及び3グラムの水を加え、均一な分散液が得られるまで、20分間撹拌した。この溶液(35重量%の固体)を、Velmax UnislideディップコーターによってPCプレート上に塗布し、次いで、110℃で20分間硬化した。得られた、コーティングされたPCフィルムは、「卓越した」防曇性特性(50℃の蒸気に曝露したとき、曇りが見られなかった)、及び良好な光線透過率(>90)を示した。室温の水中に240時間、並びに80℃の水中に96時間、又は65℃で120時間浸された後、コーティングされたPCフィルムは、依然として、「卓越した」防曇性の性能及び非常に耐久性のあることを示す。ガラスプレート及びPCレンズを、鋳造及びディップコーティング法によって、上記のコーティング溶液でコーティングし、その後、110℃で20分間硬化した。得られた、コーティングされたガラスプレート及びPCレンズは、室温の水中並びに温水に浸された24時間前及び24時間後、「卓越した」防曇性の性能を有した。
【0142】
(実施例26)
ポリウレタン分散液W835/140(32重量%、54.7グラム)を、撹拌しながら、35.0グラムの900−DA(30重量%)と混合し、均一な分散液を形成し、次いで、7.0グラムのPZ−2382(未希釈)、1グラムのBYK−346、及び4グラムの水を加え、均一な分散液が得られるまで、20分間撹拌した。この溶液(35重量%の固体)を、14番のMayer棒を用いてPCプレート上に塗布し、次いで、110℃で20分間硬化した。得られた、コーティングされたPCフィルムは、「卓越した」防曇性特性(50℃の蒸気に曝露したとき、曇りが見られなかった)、及び良好な光線透過率(>90)を示した。室温の水中に240時間、並びに80℃の水中に96時間、又は65℃で120時間浸された後、コーティングされたPCフィルムは、依然として、「卓越した」防曇性の性能及び非常に耐久性のあることを示す。ガラスプレート及びPCレンズを、鋳造及びディップコーティング法によって、上記のコーティング溶液でコーティングし、その後、110℃で20分間硬化した。得られた、コーティングされたガラスプレート及びPCレンズは、室温の水中並びに温水に浸された24時間前及び24時間後、「卓越した」防曇性の性能を有した。
【0143】
(実施例27)
ポリウレタン分散液W835/140(32重量%、56.3グラム)を、撹拌しながら、15.0グラムの900−DA(30重量%)と混合し、均一な分散液を形成し、その後、6.0グラムのPZ−2382(未希釈)、5.0グラムのPEGで修飾されたDVSZN004(調製実施例2、50%の被覆率及び30重量%)、及び17.7グラムの水を加え、均一な分散液が得られるまで、20分間撹拌した。この溶液(30重量%の固体)を、Velmax UnislideディップコーターによってPCプレート上に塗布し、次いで、110℃で20分間硬化した。得られた、コーティングされたPCフィルムは、「卓越した」防曇性特性(50℃の蒸気に曝露したとき、曇りが見られなかった)、及び良好な光線透過率(>90)を示した。室温の水中に240時間、並びに80℃の水中に96時間、又は65℃で120時間浸された後、コーティングされたPCフィルムは、依然として、「卓越した」防曇性の性能及び非常に耐久性のあることを示す。PCレンズは、ディップコーティングによって、上記のコーティング溶液でコーティングされ、その後、110℃で20分間硬化された。得られた、コーティングされたPCレンズは、室温の水中並びに温水に浸された24時間前及び24時間後、「卓越した」防曇性の性能を有した。
【0144】
(実施例28)
ポリウレタン分散液W835/140(32重量%、60.9グラム)を、撹拌しながら、15グラムの2003−DA(30重量%)と混合し、均一な分散液を形成し、次いで、6.0グラムのPZ−2382(未希釈)及び18.1グラムの水を加え、均一な分散液が得られるまで、20分間撹拌した。この溶液(30重量%の固体)を、Velmax UnislideディップコーターによってPCプレート上に塗布し、次いで、110℃で20分間硬化した。得られた、コーティングされたPCフィルムは、「卓越した」防曇性特性(50℃の蒸気に曝露したとき、曇りが見られなかった)、及び良好な光線透過率(>90)を示した。室温の水中に240時間、並びに80℃の水中に96時間、又は65℃で120時間浸された後、コーティングされたPCプレートは、依然として、「卓越した」防曇性の性能及び非常に耐久性のあることを示す。
【0145】
(実施例29)
ポリウレタン分散液W835/140(32重量%、60.9グラム)を、撹拌しながら、25グラムの900−DA(30重量%)と混合し、均一な分散液を形成し、次いで、3.0グラムのPZ−502(未希釈)及び11.1グラムの水を加え、均一な分散液が得られるまで、20分間撹拌した。この溶液(30重量%の固体)を、14番のMayer棒を用いてPCフィルム上に塗布し、次いで、110℃で20分間硬化した。得られた、コーティングされたPCフィルムは、「卓越した」防曇性特性(50℃の蒸気に曝露したとき、曇りが見られなかった)、及び良好な光線透過率(>90)を示した。室温の水中に240時間、並びに80℃の水中に96時間、又は65℃で120時間浸された後、コーティングされたPCフィルムは、依然として、「卓越した」防曇性の性能及び非常に耐久性のあることを示す。
【0146】
(実施例30)
ポリウレタン分散液W835/140(32重量%、60.9グラム)を、撹拌しながら、25グラムの900−DA(30重量%)と混合し、均一な分散液を形成し、次いで、3.0グラムのPZ−502(未希釈)及び11.1グラムの水を加え、均一な分散液が得られるまで、20分間撹拌した。この溶液(30重量%の固体)を、14番のMayer棒を用いてPCプレート上に塗布し、次いで、110℃で20分間硬化した。得られた、コーティングされたPCフィルムは、「卓越した」防曇性特性(50℃の蒸気に曝露したとき、曇りが見られなかった)、及び良好な光線透過率(>90)を示した。室温の水中に240時間、並びに80℃の水中に96時間、又は65℃で120時間浸された後、コーティングされたPCフィルムは、依然として、「卓越した」防曇性の性能及び非常に耐久性のあることを示す。
【0147】
(実施例31)
ポリウレタン分散液W835/140(32重量%、60.9グラム)を、撹拌しながら、25グラムの900−DA(30重量%)と混合し、均一な分散液を形成し、次いで、3.0グラムのXL−706(未希釈)及び11.1グラムの水を加え、均一な分散液が得られるまで、20分間撹拌した。この溶液(30重量%の固体)を、14番のMayer棒を用いてPCフィルム上に塗布し、次いで、110℃で20分間硬化した。得られた、コーティングされたPCフィルムは、「卓越した」防曇性特性(50℃の蒸気に曝露したとき、曇りが見られなかった)、及び良好な光線透過率(>90)を示した。室温の水中に240時間、並びに80℃の水中に96時間、又は65℃で120時間浸された後、コーティングされたPCフィルムは、依然として、「卓越した」防曇性の性能及び非常に耐久性のあることを示す。
【0148】
(実施例32)
ポリウレタン分散液W835/140(32重量%、60.9グラム)を、撹拌しながら、25グラムの900−DA(30重量%)と混合し、均一な分散液を形成し、次いで、3.0グラムのCX−100(未希釈)及び11.1グラムの水を加え、均一な分散液が得られるまで、20分間撹拌した。この溶液(30重量%の固体)を、14番のMayer棒を用いてPCフィルム上に塗布し、次いで、110℃で20分間硬化した。得られた、コーティングされたPCフィルムは、「卓越した」防曇性特性(50℃の蒸気に曝露したとき、曇りが見られなかった)、及び良好な光線透過率(>90)を示した。室温の水中に240時間、並びに80℃の水中に96時間、又は65℃で120時間浸された後、コーティングされたPCフィルムは、依然として、「卓越した」防曇性の性能及び非常に耐久性のあることを示す。
【0149】
(実施例33)
ポリウレタン分散液W835/140(32重量%、54.7グラム)を、撹拌しながら、35.0グラムの900−DA(30重量%)と混合し、均一な分散液を形成し、次いで、7.0グラムのPZ−2382(未希釈)、1グラムのBRIJ 30、及び4グラムの水を加え、均一な分散液が得られるまで、20分間撹拌した。この溶液(35重量%の固体)を、14番のMayer棒を用いて、又はディップコーティングし、次いで、110℃で20分間硬化することによって、PCプレート上に塗布した。得られた、コーティングされたPCフィルムは、「卓越した」防曇性特性(50℃の蒸気に曝露したとき、曇りが見られなかった)、及び良好な光線透過率(>90)を示した。室温の水中に240時間、並びに80℃の水中に96時間、又は65℃で120時間浸された後、コーティングされたPCフィルムは、依然として、「卓越した」防曇性の性能及び非常に耐久性のあることを示す。ガラスプレート及びPCレンズを、鋳造及びディップコーティング法によって、上記のコーティング溶液でコーティングし、その後、110℃で20分間硬化した。得られた、コーティングされたガラスプレート及びPCレンズは、室温の水中並びに温水に浸された24時間前及び24時間後、「卓越した」防曇性の性能を有した。
【0150】
(実施例34)
ポリウレタン分散液W835/140(32重量%、65.6グラム)を、撹拌しながら、23.3グラムの900−DA(30重量%)と混合し、均一な分散液を形成し、次いで、7.0グラムのPZ−2382(未希釈)、1グラムのBRIJ 30、及び3グラムの水を加え、均一な分散液が得られるまで、20分間撹拌した。この溶液(35重量%の固体)を、14番のMayer棒を用いて、又はディップコーティングし、次いで、110℃で20分間硬化することによって、PCプレート上に塗布した。得られた、コーティングされたPCフィルムは、「卓越した」防曇性特性(50℃の蒸気に曝露したとき、曇りが見られなかった)、及び良好な光線透過率(>90)を示した。室温の水中に240時間、並びに80℃の水中に96時間、又は65℃で120時間浸された後、コーティングされたPCフィルムは、依然として、「卓越した」防曇性の性能及び非常に耐久性のあることを示す。ガラスプレート及びPCレンズを、鋳造及びディップコーティング法によって、上記のコーティング溶液でコーティングし、その後、110℃で20分間硬化した。得られた、コーティングされたガラスプレート及びPCレンズは、室温の水中並びに温水に浸された24時間前及び24時間後、「卓越した」防曇性の性能を有した。
【0151】
以下の表3は、上記の実施例22〜34の基材上で得られた硬化されたコーティングにおける成分及びそれぞれの成分の相対的な量を要約する。
【0152】
【表5】
PZ−2382は、前述のように、23%の界面活性剤を含む。したがって、
15重量%のPZ−2382=3.5重量%の界面活性剤及び11.5重量%の親水性アジリジン架橋剤
25重量%のPZ−2382=5.8重量%の界面活性剤及び19.2重量%の親水性アジリジン架橋剤
24.2重量%のPZ−2382=5.6重量%の界面活性剤及び18.6重量%の親水性アジリジン架橋剤
23重量%のPZ−2382=5.3重量%の界面活性剤及び17.7重量%の親水性アジリジン架橋剤
**実施例27はまた、5重量%の調製物2のシリカナノ粒子も含有した。
【0153】
表3の組成物から調製された防曇性コーティングはすべて、卓越した機械的耐久性を示した(即ち、コーティングの曇りは、線状かみそり摩耗試験後、曇り変化率をわずか1〜7%増加させ、300サイクルに対してコーティングをペーパータオルで拭き取った後の引っ掻き傷は観察されなかった)。
【0154】
実施例29商品名「ROSHIELD(商標)3188」でDow Coating Materialsから入手可能なアクリルラテックス(40.5重量%、43.5グラム)を、撹拌しながら、900−DA(30重量%、30グラム)と混合し、均一な分散液を形成した。次いで、PZ−2382(7.0グラム、未希釈)及び19.5グラムの水をそれぞれ加え、得られた溶液を20分間撹拌した。このようにして、最終的な分散溶液(35重量%の固体)を得、その後、14番のMayerを用いてPCフィルム上に塗布した。得られた、コーティングを、110℃で20分間硬化した。得られた、コーティングされたPCフィルムは、「卓越した」防曇性の性能(50℃の蒸気に曝露されてから、1分後、曇りは見られなかった)及び最大90%の光線透過率を有する良好な光学特性を示した。試料は共に、1つは、室温で120時間、もう1つは、65℃で120時間の水浸漬試験に供された。浸されたPC試料は、卓越した耐水性及び防曇性の特性が残っていることを示した。
【0155】
実施例30商品名「NEOPAC R−9036」でDSM NeoResins Companyから入手可能なポリウレタン/アクリルハイブリッドラテックス(40重量%、43.5グラム)を、撹拌しながら、900−D(30重量%、30.0グラム)と混合し、均一な分散液を形成した。次いで、PZ−2382(7.0グラム、未希釈)及び19.5グラムの水をそれぞれ加え、得られた溶液を、均一な分散液が得られるまで、20分間撹拌した。このようにして、最終的な分散溶液(35重量%の固体)を得、その後、14番のMayerを用いてPCフィルム上に塗布した。得られた、コーティングを、110℃で20分間硬化した。得られた、コーティングされたPCフィルムは、「卓越した」防曇性の性能(50℃の蒸気に曝露されてから、1分後、曇りは見られなかった)及び最大90%の光線透過率を有する良好な光学特性を示した。試料は共に、1つは、室温で120時間、もう1つは、65℃で120時間の水浸漬試験に供された。浸されたPC試料は、卓越した耐水性及び防曇性の特性が残っていることを示した。
【0156】
(実施例31)
エポキシシラン表面処理を含むシリカナノ粒子を、Nalco 1050シリカナノ粒子ゾル(180グラム、10重量%)と濃縮されたH
2SO
4とを合わせることによって、撹拌条件下、pH値=2〜3になるように調製した。次いで、γ−グリシドオキシプロピル−トリメトキシシラン(1.31グラム、50モル%の被覆率)を、酸性化したゾル分散液に滴加した。添加後、この溶液を60℃で一晩加熱した。反応後、NaOH水溶液(5重量%)を加えることによって、この溶液のpHを中性状態に調節した。
【0157】
商品名「NeoResin R960」でDSM NeoResins Companyから入手可能なポリウレタン分散液(4.0グラム、10重量%)を、商品名「VPLS2058」でBayer Companyから入手可能なヒドロキシル含有アクリル系ラテックス(2.0グラム、10重量%)と混合した。この溶液に、商品名「Bayhdur 2665」でBayerから入手可能なポリイソシアネート(0.04グラム、未希釈)、PZ−2382(0.15グラム、未希釈)、及びエポキシシラン修飾ナノ粒子(50モル%の被覆率、2.0グラム、10重量%)を連続して加えた。最終溶液を10分間撹拌した。このようにして、最終的な分散溶液(35重量%の固体)を得、その後、14番のMayerを用いてPCフィルム上に塗布した。得られた、コーティングを、110℃で20分間硬化した。得られた、コーティングされたPCフィルムは、「卓越した」防曇性の性能(50℃の蒸気に曝露されてから、1分後、曇りは見られなかった)及び最大90%の光線透過率を有する良好な光学特性を示した。