(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6184420
(24)【登録日】2017年8月4日
(45)【発行日】2017年8月23日
(54)【発明の名称】動力システム
(51)【国際特許分類】
H02K 7/06 20060101AFI20170814BHJP
F03B 13/00 20060101ALI20170814BHJP
F16H 35/00 20060101ALI20170814BHJP
【FI】
H02K7/06 Z
F03B13/00
F16H35/00 G
【請求項の数】17
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2014-547339(P2014-547339)
(86)(22)【出願日】2012年12月11日
(65)【公表番号】特表2015-503320(P2015-503320A)
(43)【公表日】2015年1月29日
(86)【国際出願番号】US2012068877
(87)【国際公開番号】WO2013090230
(87)【国際公開日】20130620
【審査請求日】2015年11月25日
(31)【優先権主張番号】61/630,641
(32)【優先日】2011年12月14日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】13/709,201
(32)【優先日】2012年12月10日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】514151638
【氏名又は名称】カルバリー,グラント ハワード
(74)【代理人】
【識別番号】100077012
【弁理士】
【氏名又は名称】岩谷 龍
(72)【発明者】
【氏名】カルバリー,グラント ハワード
(72)【発明者】
【氏名】ウェブスター,スコット ロイド
【審査官】
三澤 哲也
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許出願公開第2010/0230968(US,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2007/0120004(US,A1)
【文献】
米国特許第04124182(US,A)
【文献】
特開2000−016318(JP,A)
【文献】
特開昭63−080078(JP,A)
【文献】
米国特許第05066867(US,A)
【文献】
特開平09−201006(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2002/0040948(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 7/06
F03B 13/00
F16H 35/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下を含む動力システム。
両端を持つロープであって、一方はロープの張力の調整ができるよう配置された伸張機構に接続され、他方はロープを保持する機構に接続されたもの。
張力を抽出する機構であって:
少なくともあらかじめ設定された位置に配置された第一のキャプスタンローラーおよび
第一の連結機構により少なくとも一つの第一のキャプスタンローラーにより駆動される、少なくとも一つの第二のキャプスタンローラー
少なくとも一つの第一のキャプスタンローラーの周囲の一部に張力により当接し、実質的に接触していることにより少なくとも一つの第一のキャプスタンローラーおよび少なくとも一つの第二のキャプスタンローラーと連動して回転エネルギーを抽出するロープ。
張力抽出機構からロープを受け入れ、ないしは張力抽出機構へとロープを導くために工夫され、さらにロープの張力を維持するよう工夫された、アイドラープーリーからなる、少なくとも一つの補助伸張デバイスをもち、当該アイドラープーリーに巻き付けられたロープが第一のキャプスタンローラーを経て第二のキャプスタンローラーに回転を伝達し、前記アイドラープーリーは第一のキャプスタンローラーの表面とロープとの接触面積が最大となる位置に配置されており、および
少なくとも一つの第二のキャプスタンローラーと機能上協働し、回転エネルギーを送出、保存、消費可能な形のエネルギーのいずれかに変換する、少なくとも一つの変換機構。
【請求項2】
請求項1で請求された動力システムであって、加えて、摩擦接触および歯車、チェーン、ロープ、ベルト・プーリー機構からなるグループから選択した第一の連結機構により少なくとも一つの第一のキャプスタンローラーと連動する、少なくとも一つの第二のキャプスタンローラーをもつもの。
【請求項3】
請求項1で請求された動力システムであって、加えて伸張機構と張力抽出機構の間に配置する、旋回可能ターンテーブル、金車、滑車のうち少なくとも一つにより構成され、ねじれが容易に防止でき、ロープが自由に運動できるよう工夫されたロープ取扱い機構をもつもの。
【請求項4】
請求項1で請求された動力システムであって、加えて、(i)伸張機構から張力抽出機構まで、(ii)張力抽出機構から保持機構まで、(iii)張力抽出機構の両側以上からなるグループから一つを選択した場所に配置された、少なくとも一つの補助伸張デバイスをもつもの。
【請求項5】
請求項1で請求された動力システムであって、加えて、以下からなるグループから一つを選択した、少なくとも一つのサブシステムをもつもの。
ロープの伸張機構のパラメーター計測および制御のための計測器、センサーからなる計測およびコントロールのシステム;
ロープの伸張機構と協働するように工夫された調節およびアライメント制御システム;および
異物、長期使用による磨滅および劣化や気象条件に起因する問題を回避するための安全管理システム。
【請求項6】
請求項1で請求された動力システムであって、ロープの伸張機構が風力システム、水力システム、ロープによる輸送機器制御システムのうち少なくとも一つと関連するもの。
【請求項7】
請求項1で請求された動力システムであって、その保持機構がロープを保持し、さらにロープのスムースな巻き取り、送り出しのために工夫されたもの。
【請求項8】
請求項1で請求された動力システムであって、ロープの張力抽出機構がグラウンドに固着または係留されたもの。
【請求項9】
請求項1で請求された動力システムであって、張力抽出機構がもつ複数の第一のキャプスタンローラーが互いに歯車、チェーン、ロープ、ベルト・プーリ機構からなるグループから選択した第二の結合機構により結合されているもの。
【請求項10】
請求項1で請求された動力システムであって、既定の配置はロープに印加される張力およびロープ張力抽出機構により加えられる荷重に対し、酷使においても十分耐久するように設置された台座によるもの。
【請求項11】
請求項1で請求された動力システムであって、既定の配置における台座のコアは、鉄筋コンクリートコア、複合材料コア、鋼製コアのうちの少なくとも一つであるもの。
【請求項12】
請求項1で請求された動力システムであって、既定の配置が、張力抽出機構を構成する複数の第一のキャプスタンローラーが外周に配置された、曲線からなる図形となるもの。
【請求項13】
請求項1で請求された動力システムであって、既定の配置が、張力抽出機構を構成する複数の第一のキャプスタンローラーが少なくともその頂点に配置された多角形であるもの。
【請求項14】
請求項1で請求された動力システムであって、既定の配置が、張力抽出機構を構成する複数の第一のキャプスタンローラーが少なくともその頂点に配置された多角形であって、ロープとこれらの第一のキャプスタンローラーの少なくともいくつかとの接触角度が少なくとも45度または90度のいずれかのもの。
【請求項15】
請求項1で請求された動力システムであって、少なくとも一つの第一のキャプスタンローラーに少なくとも一つの、ロープの一部分を受け入れるように工夫された溝を設けたもの。
【請求項16】
請求項1で請求された動力システムであって、張力抽出機構を構成する複数の第一のキャプスタンローラーが、その軸が互いに既定の角度となるように配置されているもの。
【請求項17】
請求項1で請求された動力システムであって、変換機構は電動発電機、リニア電動発電機、水力発動機、圧縮機、ポンプからなるエネルギー変換方法のグループから選択したもの。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
開示の分野
本開示は、動力システムに関するものである。特に、本開示は、ロープに基づく動力システムに関するものである。
【0002】
特に、本開示は、ロープの線形運動およびロープによる張力を他の有用な動力の形式に変換することに関するものである。
【0003】
定 義
本明細書で以下使用されている「ロープ」という表現は、0.9から1.2の範囲にある大変低い摩擦係数をもち、できれば超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)製の、少なくとも一本のロープないしはコードをいうがそれに限らない。
【0004】
本明細書で以下使用されている「水力システム」という表現は、海や大洋における波、潮流、海流または落水、水流に関連するエネルギーより動力を抽出する、ロープに基づいた動力システムをいうがそれに限らない。
【0005】
本明細書で以下使用されている「風力システム」という表現は、風力エネルギーより動力を抽出する、ロープに基づいた動力システムをいうがそれに限らない。
【0006】
本明細書で以下使用されている「キャプスタンローラー」という表現は、ローラー、キャプスタン、滑車、プーリー、ホイールなどの回転機械をいうがそれらに限らない。
【0007】
本明細書で以下使用されている「グラウンド」という表現は、海底を含む地球の表面をいうがそれに限らない。
【0008】
本明細書で以下使用されている「台座」という表現は、取り付けために使用される一体構造の支持体、基礎、コア、枠組みをいうがそれに限らない。
【0009】
これらの定義は、本開示に関連する技術における諸定義に追加されるものである。
【背景技術】
【0010】
エネルギーの需要は経済成長、工業化、人口増加および住民のニーズの増加により高まる一方である。 気候変動、降雨量不足、厳格な環境保全法令および政府による規制、リソースの低下、化石燃料の枯渇などによりエネルギー生産の分野における課題は山積している。このような背景のもと、クリーンで経済的であり、再生可能なエネルギーへの転向の必要が感じられるのである。加えて、日々増加する需要に応えるため、クリーンで経済的であり、再生可能な大量の動力を供給できる、再生可能な動力生産の必要が認められる。
【0011】
従前の開示では、風力エネルギーの取得と有用なエネルギーへの変換において、風車による動力発生が提案されているが、風車にはその使用上に複数の欠点が指摘される。風車は、風力自体がランダムであり、変化するものであるゆえ、継続的に効率よく動力を発生させることはできない。効率よく、信頼性ある風力利用を可能とするシステムを開発するために、常に一定の努力が払われてきているが、ロープに基づく動力システムはその実現に重要な役割を担うものである。
【0012】
一般的に高強度を持つロープはその一端を風力または水力システムに接続し、他方はグラウンドに設置されている動力システムのロープリールに巻き付ける。巻出し行程においては、ロープはグラウンドに設置されている動力システムのロープリールから引き出され、巻き戻し行程には引き出されたロープが元に巻き取られ、ロープはロープの保持機構に格納され保持される。ロープに掛る張力の結果、ロープは線形運動を行い、その運動に伴ってグラウンドに配置されたリールが回転する。リールには、発電機が接続され、回転運動から電力を発生する。ロープの巻き戻しには、少量の動力を必要とする。巻出し行程により発生する動力と、巻き戻しに要する動力の差がシステムによって発生した動力である。
【0013】
要するに、ロープの張力と線形運動が動力発生に利用される。ここで、ロープの張力が効果的に発電に利用されるようにすることが大変重要である。また、どのようなロープの磨滅および劣化も動力発生に悪影響を及ぼす。ロープは、その長さから、高価な部品である。このため、ロープの磨滅、劣化や巻き取り時の損傷などを最低限に抑える必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本開示の課題は、従前の開示における一つまたはそれ以上の問題点を改善し、ないしは有用な代替方法を提供することである。それらを以下に示す:
【0015】
本開示の一つの課題は、グラウンドに基礎を持つ動力システムにおいて風力、水力動力システムで使用されているロープのより効果的な取り扱いを可能とすることである。
【0016】
本開示のもう一つの課題は、グラウンドに基礎を持つ動力システムであって、風力、水力動力システムで使用されているロープの磨滅、劣化や損傷を低減することができるものを提供することである。
【0017】
加えて、本開示のもう一つの課題は、グラウンドに基礎を持つ動力システムであって、風力、水力動力システムで使用されているロープの張力および運動をより効果的に抽出することができるものを提供することである。
【0018】
加えて、本開示のもう一つの課題は、グラウンドに基礎を持つ動力システムであって、風力、水力動力システムで使用されているロープの張力および運動を抽出し、対費用効果の上がる方法で、他の有用な形式の動力に変換することができるものを提供することである。
【0019】
加えて、本開示のもう一つの課題は、グラウンドに基礎を持つ、信頼性のある動力システムを提供することである。
【0020】
さらに、本開示のもう一つの課題は、グラウンドに基礎を持つ、稼働中においても修理可能な動力システムを提供することである。
【0021】
さらに、本開示のもう一つの課題は、グラウンドに基礎を持つ、構造上頑丈な動力システムを提供することである。
【0022】
加えて、本開示のもう一つの課題は、グラウンドに基礎を持つ、保守が容易な動力システムを提供することである。
【0023】
これらや他の本開示の課題の多くは、本開示の解説のための実施例の説明事項や添付図表により説明されている。
【課題を解決するための手段】
【0024】
要約
本開示によれば、以下を含む動力システムが提供される。
【0025】
両端を持つロープであって、一方はロープの張力の調整ができるよう配置された伸張機構に接続され、他方はロープを保持する機構に接続されたもの。
張力を抽出する機構であって、少なくともあらかじめ設定された位置に配置された第一のキャプスタンローラー、少なくとも一つの第一のキャプスタンローラーの周囲の一部に張力により当接し、実質的に接触していることにより少なくとも一つの第一のキャプスタンローラーと連動して回転エネルギーを抽出するロープ。および
少なくとも一つの第一のキャプスタンローラーと機能上協働し、回転エネルギーを送出、保存、消費可能な形のエネルギーのいずれかに変換する、少なくとも一つの変換機構。
【0026】
本開示の一実施例によると、本開示においてここまでに示した動力システムに加えて少なくとも一つの第一のキャプスタンローラーと、摩擦接触および歯車、チェーン、ロープ、ベルト・プーリー機構からなるグループから一つを選択した連結機構により連動する少なくとも一つの第二のキャプスタンローラーが使用された。
【0027】
本開示の他の実施例によると、本開示においてここまでに示した動力システムに加えて伸張機構と張力抽出機構の間に配置する、旋回可能なターンテーブル、金車、滑車のうち少なくとも一つにより構成され、ねじれが容易に防止でき、ロープが自由に運動できるよう工夫されたロープ取扱い機構が使用された。
【0028】
さらに本開示の他の実施例によると、本開示においてここまでに示した動力システムにおいて、歯車、チェーン、ロープ、ベルト・プーリー機構からなるグループから一つを選択した連結機構により複数の第一のキャプスタンローラーが互いに連結する機構が使用された。
【0029】
さらに本開示の他の実施例によると、本開示においてここまでに示した動力システムに加えて、張力抽出機構からロープを受け入れ、ないしは張力抽出機構へとロープを導くために工夫され、さらにロープの張力を維持するよう工夫された、アイドラープーリー、伸張プーリーまたはバックテンションデバイスのうち少なくとも一つからなる、少なくとも一つの補助伸張デバイスが使用された。
【0030】
さらに本開示の他の実施例によると、本開示においてここまでに示した動力システムに加えて、(i)伸張機構から張力抽出機構まで、(ii)張力抽出機構から保持機構まで、(iii)張力抽出機構の両側 以上からなるグループから一つを選択した場所に配置された、少なくとも一つの補助伸張デバイスが使用された。
【0031】
さらに本開示の他の実施例によると、本開示においてここまでに示した動力システムに加えて、以下からなるグループから一つを選択した、少なくとも一つのサブシステムが使用された。
【0032】
ロープの伸張機構のパラメーター計測および制御のための計測器、センサーからなる計測およびコントロールのシステム;
ロープの伸張機構と協働するように工夫された調節およびアライメント制御システム;および
異物、長期使用による磨滅および劣化や気象条件に起因する問題を回避するための安全管理システム。
【0033】
標準として、本開示によるシステムでは、ロープの伸張機構は風力システム、水力システム、ロープによる輸送機器制御システムのうち少なくとも一つと関連する。
【0034】
できれば、保持機構はロープを保持し、さらにロープのスムースな巻き取り、送り出しのために工夫された物とする。
【0035】
あるいは、ロープの張力抽出機構はグラウンドに固着または係留されたものであってもよい。
【0036】
できれば、台座の既定の配置はロープに印加される張力およびロープ張力抽出機構により加えられる荷重に対し、酷使においても十分耐久するように行う。台座のコアは、鉄筋コンクリートコア、複合材料コア、鋼製コアのうちの少なくとも一つとする。
【0037】
本開示によれば、装置の既定配置について複数の想定が提供される。その一つの様相によれば、配置は第一のキャプスタンローラーが外周に配置された、曲線からなる図形となるものである。他の様相によれば、配置は複数の第一のキャプスタンローラーが少なくともその頂点に配置された多角形である。さらに他の様相によれば、配置は複数の第一のキャプスタンローラーが少なくともその頂点に配置された多角形であって、ロープとこれらの第一のキャプスタンローラーの少なくともいくつかとの接触角度が45度のものである。加えて他の様相によれば、配置は複数の対をなすキャプスタンローラーが少なくともその頂点に配置された多角形であって、ロープと第一キャプスタンローラーの少なくともいくつかとの接触角度が90度のものである。
【0038】
できれば、少なくとも一つの第一のキャプスタンローラーに少なくとも一つの、ロープの一部分を受け入れるように工夫された溝を設ける。さらに溝は、そこに受け入れたロープのスリップを防止する機構として利用できるよう工夫して設ける。
【0039】
重ねて、複数の第一のキャプスタンローラーはその車軸が互いに既定の角度となるように配置されている。
【0040】
本開示のもう一つの実施例によると、以下を含む動力システムが提供された。
【0041】
両端を持つロープであって、一方はロープの張力の調整ができるよう配置された伸張機構に接続され、他方はロープを保持する機構に接続されたもの。および
張力を抽出する機構であって、少なくとも一つの変換機構および少なくとも一つの変換機構の周囲の一部に張力により当接し、実質的に接触していることにより少なくとも一つの変換機構と連動しているロープから構成され、送出、保存、消費可能な形のエネルギーのいずれかを発生させるもの。
【0042】
標準として、変換機構は電動発電機、リニア電動発電機、水力発動機、圧縮機、ポンプからなるエネルギー変換方法のグループから選択したものである。
【発明の効果】
【0043】
新規技術と経済的効果
本開示により提供される新規技術には以下の実現が含まれる:
風力または水力システムにおいて、効果的にロープを取扱う、グラウンドに基礎を持つ動力システム;
風力または水力システムで使用されるロープの磨滅や劣化を低減する、グラウンドに基礎を持つ動力システム;
風力または水力システムが使用するロープの張力、運動から効果的に動力を抽出する、グラウンドに基礎を持つ動力システム;
風力または水力システムが使用するロープの張力、運動から効果的に動力を抽出し、対費用効果を考慮して他の有用な形式の動力へと変換する、グラウンドに基礎を持つ動力システム;
グラウンドに基礎を持ち、信頼性ある動力システム;
グラウンドに基礎を持ち、稼働中であっても修理可能な動力システム ;
グラウンドに基礎を持ち、頑丈な構造を持つ動力システム; および
グラウンドに基礎を持ち、保守が容易である動力システム。
【0044】
特定の実施例は、現行の知識をもとに、簡単にその変更や適用を行い、基本的概念から出発することなく、即にその広い応用ができるよう、また、類推による理解を深めることのできるよう、発明の性質を全般的に示したものである。本文で使用した表現や用語は説明を目的とするもので、限定を目的としないことを理解すべきである。さらに、実施例は、好ましい物を取り上げてはいるが、技能ある者は、それら実施例に変更を加えて、実施例の意図と適用範囲を継承しつつその応用ができることを認識できるであろう。
【0045】
本明細書において使用されている用語は単に特定の実施例の説明の目的のみで使用されているものであり、限定を行う目的ではない。単数形の「a」「an」「the」については、明確に否定されていない限り複数形の使用の意図も含まれていることがある。「含む」「からなる」「もつ」はといったような単語は、述べられている機能、完全体、段階、操作、要素、部品、構成物の存在を意味するものと理解されるが、その他のいかなる機能、完全体、段階、操作、要素、部品、構成物の存在を除外するものではない。明示された場合を除き、特定の性能や機能について説明されている手法、段階、プロセス、操作はその達成に必然なものと理解すべきではない。追加の段階や代わりの段階が使用される可能性があると理解されるべきである。
【0046】
要素が他の要素に「上に」「連結され」「接続され」「結合され」といった単語は、直接の連結等を意味するとは限らず、間接的な要素が存在することがありえる。一方、「上に直接」「直接連結され」「直接接続され」「直接結合され」という場合は、間接的な要素が存在しないであろうという意味である。要素間の関連を意味する他の単語についても同様に理解すべきである(「間において」と「間において直接」、「隣接する」と「直接隣接する」など)。「加えて/ないしは」のような表記は、列記された単語のすべての組み合わせを意味すると理解すべきである。
【0047】
第一、第二、第三などという単語は様々な要素、部品、領域、層、部分を示すために使用されるが、要素、部品、領域、層、部分はこれらの単語に制限されない。これらの単語は特定の要素等を他の要素等から区別し識別するためにのみ用いるものである。内容により明示されている場合を除き、「第一」「第二」や他の数値を含む単語は順位や順序を示すものではない。このようにして、ある実施例で第一の要素とされていたものが他所において第二の要素と命名されることがありうると理解すべきである。
【0048】
一つまたはそれ以上の望まれた対象や結果を達成するための発明の実施例における「少なくとも」や「少なくとも一つは」の表現の使用は、一つ、または一つ以上の要素、成分、量を示唆する。
【0049】
ここで示されたさまざまな物理パラメータ、寸法、量の数値は近似値にすぎず、本発明とその請求項では、そこに示された物理パラメータ、容積、量の数値よりも高い値も、相反する記述がない限りは、許容されることが予想される。
【0050】
添付図表の概要説明
本開示の提供する動力システムの内容は、以下の説明と、添付された図表により明確にされる。これらの図表は、本開示の標準的な実施例を示したのみであり、本開示の範囲を限定するものではない、本開示の特長および詳細の説明では以下の各図表を使用する:
【図面の簡単な説明】
【0051】
【
図1A】
図1Aは、大きな直径を持つ単一のキャプスタンによる、本開示の第1の実施例についてその側面を示したものである;
【
図1C】
図1C は
図1Aで全般的にXとして示されたロープガイド10を拡大して示したものである;
【
図1D】
図1D は
図1Aで全般的にYとして示されたアイドラープーリー20を拡大し、その側面および上面を示したものである;
【
図1E】
図1E は
図1Aの動力システムにおけるキャプスタンローラー30の外側エッジの側面を示したものである;
【
図2】
図2 は複数(8本)の溝付キャプスタンローラーをもつ、本開示の第2の実施例について示したものである;
【
図3】
図3 は
図2の実施例に類する他の実施例[複数(4本)の溝付キャプスタンローラーをもつ]を示したものである;
【
図4】
図4 は
図3の実施例の側面図であり、
図2の実施例の側面の参考ともなるものである;
【
図5】
図5 は
図2の実施例に類する、複数(4本)の溝付キャプスタンローラーを水面に浮上しているブイに垂直に取り付けた第2の実施例を示したものである;
【
図6-7】
図6 および7は本開示が提供するシステムであって、複数の内接点を持つ単一キャプスタンとアイドラープーリーをもつものの望ましい実施例を示したものである;加えて
【
図8】
図8 は本開示において
図1Cに示したロープガイド10の代わりとして使用できる金車を示したものである。
【発明を実施するための形態】
【0052】
添付図表の詳細説明
本開示のよる動力システムについて添付図表にある実施例を示して説明する。実施例は本開示の適用範囲を限定しない。詳細説明は実施を単に例示し、本開示の応用を提案したものである。
【0053】
本開示は、ロープを使用する風力、水力エネルギーシステムないしは他の動力システムでロープの張力および線形運動を利用して動力を発生させる、グラウンドに基礎を持つ動力システムを提供する。本開示が提供するシステムはまた、軽航空機、気球、グライダー、カイト、ジャイログライダー、船舶の牽引、はしけなど、非常に長いロープによる輸送機器(飛行または浮上によるもの)であって、とりわけ恒久的に配置された軍用、調査用、通信用設備に関するものの制御へ応用できる。特に、本開示が提供する動力システムは、ロープの最低限の磨滅や劣化を確実にした上で効率的に張力を抽出する。ロープの張力は、風力による牽引のみならず、いかなる方法で取得したものでもよい。以下の例では、簡単のためにロープが凧に接続され、風力により牽引されているものとして説明している。
【0054】
本開示による動力システムは、両端を持つロープに掛る張力より動力を抽出する。第一の端には伸張機構が接続され、ロープの張力の調整を行う。伸張機構は、標準として、風力、水力エネルギーシステムと関連する。第二の端はロープの保持を行い、またロープのスムースな巻き取りや送り出しを容易にする保持機構に接続される。本開示の提供するシステムの張力抽出機構は、既定の配置におかれた少なくとも一つのキャプスタンローラーを含む。ロープは少なくとも一つの第一のキャプスタンローラーの周囲の一部に張力により当接し、実質的に接触していることにより単一または複数の第一のキャプスタンローラーと連動して回転エネルギーを抽出する。他の実施例では、少なくとも一つの第二のキャプスタンローラーが連結機構により複数の第一のキャプスタンローラーを連動する。第一および第二のキャプスタンローラーを接続する連結機構は摩擦接触および歯車、チェーン、ロープ、ベルト・プーリー機構のいずれかで第二のキャプスタンローラーが第一のキャプスタンローラーより高速に回転するように良好な連結ができるものである。
【0055】
少なくとも一つの変換機構が第一のキャプスタンローラーと協働し回転エネルギーを送出、保存、消費可能な形のエネルギーのいずれか、ないしはこれらの組み合わせに変換する。第二のキャプスタンローラーが第一のキャプスタンローラーと連動する形の実施例では、変換機構は第二のキャプスタンローラーのうち少なくともいずれか一つに結合されている。変換機構は、標準で、巻き戻し行程においては保持機構によるロープの巻き取りを容易にするために発動モードで作動し、巻出し行程においてはロープの送り立しに伴って動力発生を行う発電モードで作動する。したがって、キャプスタンローラーはロープへの動力の印加とロープからの抽出の両方を行う。さらに、本開示によるシステムの説明は、とりわけ本開示が提供するシステムがロープによる輸送機器の制御システムに使用された場合においては、ロープによる動的な制動(ブレーキ)やロープの張力により抽出されたエネルギーの伝達および保存についても応用可能である。
【0056】
本開示の一実施例によれば、本開示の提供するシステムは、加えて、ロープのねじれを防ぎ、自由な運動を確実にするための、伸張機構と張力抽出機構の間に配置されたロープの取り扱い機構を含む。標準で、取扱い機構は、旋回可能なターンテーブルないしは金車により構成される。
【0057】
添付図表の
図1A および
図1B は本開示の第一の実施例による、単一のキャプスタンローラーをもつ動力システム100の側面および上面をそれぞれ示したものである。動力システム100はロープガイド10の形のロープ取扱い機構、大きな直径を持つアイドラープーリー20の形の補助張力デバイス、キャプスタンローラー30の形の第一のキャプスタンローラー、ロープタンク40の形の回転するロープ保持機構を含む。
図1C は
図1Aに全般的に「X」と示されているロープガイド10を拡大して示している。一方
図1Dは
図1Aに示され、全般的に「Y」とされているアイドラープーリー20の拡大された側面、前面図である。
【0058】
ロープ 01 は、例えば、凧に接続され、ロープガイド10および標準でロールベアリングであるステンレス鋼ベアリング03により自由に回転するベルト02をもつ自由に旋回するデッキに導かれる。他の様相によれば、ベアリングは各々がその軸にベアリングを持つ複数のローラーである。ベルト02は、ロープガイド10を包むように配置した連続したベルトである。アイドラープーリー20およびキャプスタンローラー30にもベルトがあり、ロープガイド10同様にステンレス鋼ローラベアリングにより配置されている。他の様相によれば、アイドラープーリー20およびキャプスタンローラー30に結合したベルトのローラベアリングは少なくともローラベアリングか、各々の軸にベアリングを持つ複数のローラーか、ないしはベアリングケースに収められたボールベアリングのいずれか一つである。ロープガイド10はターンテーブル05上に配置され、ロープの降下方向に合せて360度回転し、ターンテーブル05の正確な中心にロープが降ろされる。ロープガイド10は凧が空間のどの象限にあってもロープがねじれることのないようにし、複雑な回転機構の使用を省くものである。さらに他の様相によれば、ロープガイド10は
図1Cに示すようにターンテーブル上に配置された単一の大きな滑車またはアイドラープーリーである。さらに他の様相によれば、ロープガイド10はベルトを介さずロープが直接掛かる、複数の小さなプーリーから構成されている。省プーリーは上下逆にターンテーブル上に配置され、
図1Cのロープガイドと同様の方向に向けられている。
【0059】
ロープ 01は、ロープガイド10を通じてアイドラープーリ20へと降ろされ、その運動方向を垂直から水平に変更する。ロープガイド10の形状により、垂直、水平の負荷は確実に均一に分配される。アイドラープーリー20の周囲にあるベルト02はロープ01がアイドラープーリー20の周辺を通る際、摩擦とロープ01の張力により回転する。ロープ01がアイドラープーリー20を離れると、ベルト02の上を通り、膨大なロープ張力および圧縮荷重に耐えるためにコンクリートにより支持されているキャプスタンローラー30に巻き付く。鉄筋コンクリートによるアイドラープーリー20の台座は、大きな挙上力、圧縮力を吸収できるように設計されている。ベルト02は台座との摩擦を避けるようコンクリートに設けられた凹部を通る。台座はコンクリート製であるが、全構造を吊り橋等の固定と同様にケーブルによる浮き抑え06によりグラウンドに固定する。大規模なシステムにおいては挙上力は10万キログラムの桁にも達すため、浮き上がり対策としては、巨大なコンクリート台座の重量のみに頼るより簡単である。
【0060】
ロープ01は、最終的に巻き取りロープタンク40からなる保持機構に導かれる。キャプスタンローラー30およびアイドラープーリー20の直径を大きなものとすることで小さなローラを通した時の鋭どい曲げ角度によるロープ01の折れ、損傷、過熱を予防し、その寿命を指数的に向上している。
【0061】
キャプスタンローラー30はその内面に配置された複数の変換機構、この場合電動発電機60と協働する。 電動発電機60は、条件により電動機としても、発電機としても作動する。各電動発電機60は、巻き戻し行程において電動機として作動し、ロープ01の保持機構40への巻き戻しを容易にし、巻出し行程においてはロープの送り出しに伴って発電機として作動する。
【0062】
ロープ01は凧により牽引されているため、ロープ01は伸張され、線形運動が開始してロープ保持機構40からの引き出しが行われる。ロープの線形運動は、ベルト20を介してキャプスタンローラー30に伝達される。キャプスタンローラー30は回転を開始し、キャプスタンローラー30の回転トルクは複数の電動発電機60に伝達される。電動発電機60が回転し、発電が行われる。キャプスタンローラー30の回転トルクは歯車を通じて電動発電機60に伝えられる。電動発電機60はコンクリートの周囲をベアリング03上で回転するベルト02の歯がつけられた部分にかみ合ったピニオンギアを持っている。本開示によれば、標準で、ベアリングはローラーベアリングか、各軸にベアリングを持つ複数の小さなローラーで構成される。他の様相によれば、電動発電機60はキャプスタンローラーの外側に配置され、ベルト02およびベアリング03は強い圧縮力下でもコンクリートに摩擦しないよう設けられた凹部を通る。本開示は、しかし、キャプスタンローラー30から電動発電機60へのいかなる特定の回転トルク伝達機構にも制限されるものではない。電動発電機60を複数用いることにより、故障に対応するため冗長度を向上させている。また、ロープの強張力時、低張力時には電動発電機60をオン・オフすることにより様々なロープのスピードに対応可能である。さらに、複数の電動発電機をもつことにより保守は容易になり、動力システム100が稼働中でも一つづつの電動発電機の交換が可能である。動力システム100は、風力が十分でその取得が効率的にできるとき、接続される電動発電機の数を増やすことでさらに多くの動力の取得を可能とするよう設計することができる。キャプスタンローラーにより動力の抽出を済ますと、ロープ01は保持機構40に格納され、巻き取りデバイス(図にはない)により丁寧に並べて巻き取られる。
【0063】
他の様相によれば、すべての電動発電機60は、磁気浮上列車と同様のリニアモーターに置き換えられている。この実施例では、リニアモーター状の変換機構は第一および第二のキャプスタンローラーを必要としない。モーターの一部は内部台座(コンクリート側)に、他の一部はベルト側に配置されている。
【0064】
図1E は
図1Aの動力システム100におけるキャプスタンローラー30の外側エッジの側面をキャプスタンローラー内側に配置され、ベアリング03上でコンクリートの周囲を回転するベルト02の歯の部分にかみ合ったピニオンをもつ電動発電機60と共に示したものである。余計な減速機構を省くこの単純な構造により機械的ロスを低減している。
【0065】
本開示の上記の最初の実施例は、キャプスタンローラーにロープを2ないしは3回の巻き付けている。キャプスタンローラーの直径を大きくすることは、鋭い角度で巻き付けることによるロープの磨滅や劣化を予防する面で有利である。一方、キャプスタンの特性上、大きな直径はロープの保持力維持に貢献しない。ロープの摩擦係数と巻き付け回数の決定は重要な要因である。超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)製のロープは非常に低い摩擦係数を持ち、ロープ保持力確保のためにはキャプスタンに8回以上巻き付けることが必要である。巻き付け回数を多くすることは、キャプスタン表面におけるロープの移動によるもつれの原因となりうる。
【0066】
図2は本開示の提供するシステムの、複数の溝付キャプスタンローラー(8本)をもつ第2番目の実施例を示したものである。この第2番目の実施例は、前例のキャプスタン巻き付け回数の制限による欠点を考慮したものである。これにより低摩擦係数をもつUHMWPE製ロープの使用が容易になり、また保持力向上のための巻き付け回数の増加にも対応している。全般的に200と図示された8つの溝付キャプスタンローラーシステムは多角形の形状(例としての形状である)をしたコンクリート台座50を含む。システム200は、動力発生におけるロープ01の張力維持を容易にする。ロープ01はその一部分が少なくとも複数のキャプスタンローラー52 のいくつかに接触する形で、コンクリート台座50の頂点に配置された8つの溝付キャプスタンローラー52(第一のキャプスタンローラーとして機能する)に巻き付けられる。
【0067】
風力または水力システムによりロープ01が牽引されると、ロープ01の線形運動がコンクリート台座50の頂点に配置されたキャプスタンローラー52の回転運動につながる。各キャプスタンローラー52にはロープ01を通すのに適した寸法の溝が設けられている。これらの溝は、ロープ01が張力下にあるときその圧縮を最低限に抑え、ロープ01とキャプスタンローラー52の接触面積を大きくする。このことは、摩擦によるキャプスタンローラー52への張力の伝達を増加させる。ロープ01と各キャプスタンローラー52の接触面積は、ロープ01と各キャプスタンローラー52の接触角度「A」に依存する。本開示の第2番目の実施例によれば、ロープ01と多くのキャプスタンローラー52の接触角度「A」は45度である。この第2番目の実施例の他の様相によれば、溝付キャプスタンローラー52は多段に取り付けられ、ロープ01はコイル状に巻き付けられる。このような構成は、ロープにおける張力の維持を容易にする。溝付キャプスタンローラー52の場合は、ロープを多重に巻き付けてもロープ同士が溝によって分けられ重ならないため、キャプスタンローラー52の回転に伴うロープの上下動による過熱を防ぐことができる。
【0068】
複数のキャプスタンローラー52は互いにチェーン、ロープ、ベルト、歯車などの機械的な連結機構56により結合されている。
図2は、複数のキャプスタンローラー52を互いに結合しているチェーンの形の連結機構56を示す。複数のキャプスタンローラー52はそれぞれ変換機構である電動発電機54へ機械的に結合されており、各キャプスタンローラー52の回転は、各々対応する電動発電機54へと伝達される。複数の電動発電機54を持つことで、ロープ01の張力に応じて、一つまたは複数の電動発電機をオン・オフして使用することができる。複数の電動発電機54は互いに連結されており、各電動発電機はそれぞれ一つのキャプスタンローラー52と機械的に結合されている。ロープ01の巻き戻しに必要な動力が小さい場合は、複数ある電動発電機54のうち1つだけによりすべての8つのキャプスタンローラー52を駆動し、巻き戻しを行うことができる。
【0069】
複数のローラーをコンクリート台座の頂点に配置することにより、単一の大型電動発電機の代わり小型の交流非同期可変速度電車電動機が使用でき。電車用として容易に入手できるものであることが利点となる。交流電車電動機は変換機構として、とりわけキャプスタンローラーの回転エネルギーを送電可能および蓄電可能なエネルギーないしはその両方に変換する機能を持っている。加えて、他の実施例によれば、変換機構には水力モーター、圧縮機、ポンプや他のエネルギー変換機構が含まれる。
【0070】
電動発電機54とキャプスタンローラー52を結合する機械的な連結機構56は、一つのみのキャプスタンローラーが作動し、他のローラーは空転して運転する場合におけるスリップを防止するためのもので、常に8つの電動発電機54が作動する使用のみを想定する場合は、電車などにおいてすべての車両の電動機の速度を同じにするのと同様に、全電動発電機が同期して作動するよう電子的に制御するため、この連結機構は不要である。
【0071】
システム200の重要な利点は、モジュール化された部品を使用してモジュール化された建造が可能な点である。特に、各電動発電機とキャプスタンローラーは簡単に取り外し、保守や交換が可能である。上面からのアクセスとクレーンによる部品の移動を要する単一の大きなキャプスタンローラーと電動発電機を使用するシステム(ここではシステム100)とは異なるものである。モジュール化されたシステム200はコンクリート台座からの部品、ロープ、飛行機体の取り外しが容易で、他の台座への移動も簡単である。このようなことは、季節ごとの風、水流の変化への対応や、他の張力に悪影響をもたらす現象により有効な張力が得られなくなった場所からの移動といった対応に必要なことがある。
【0072】
図3 は本開示の提供するシステムである[複数の溝付キャプスタンローラー(4本)をもつ]
図2のもう一つの実施例を示したものである。この実施例は、全般的に300と図示する。システム300は、正方形(例としての形状である)をしたコンクリート台座50を含む。システム300は、動力発生におけるロープ01の張力維持を容易にする。ロープ01はコンクリート台座50の頂点に配置された4つのキャプスタンローラー52 のいくつかに接触する形で巻き付けられる。頂点に配置されたキャプスタンローラー52は
図2にあるものと同様の溝を持つ。ロープ01と各キャプスタンローラー52の接触面積は、ロープ01と各キャプスタンローラー52の接触角度「B」に依存する。本開示のこの実施例によれば、ロープ01と多くのキャプスタンローラー52の接触角度「B」は90度である。システム300のロープ01と各キャプスタンローラー52の接触角度はシステム200のロープ01と各キャプスタンローラー52の接触角度より大きい。また、ロープ01の屈曲はシステム300の場合のほうがシステム200より緩やかであり、このことはロープの寿命の延長につながる。
【0073】
システム200およびシステム300では、キャプスタンローラー52の直径をできるだけ大きくすることがロープの劣化を最低限に抑えるために重要である。高度の張力を扱うシステムでは、張力が複数のキャプスタンローラーに分散される当方式が有利となることがある。システム300はコンパクトで、ブイへの内臓や可動発電ユニットなどのスペースが限られた用途にも応用できる。
【0074】
システム200およびシステム300では、中心となる台座50は鉄筋コンクリート、複合材料ないしは鋼鉄によって製造する。台座は、ロープの張力および圧縮力に耐えるだけの強度が必要である。システムで最も重い部位であり、標準で運送コストを避けるためにオンサイトで建造される。キャプスタンローラー52と電動発電機54は台座50にロープ01の圧縮力を伝えるように配置されている。ロープ01は、キャプスタンローラー52に対して、台座の中央へむけて圧縮する力を発生させる。台座は、安全な基礎の上に強固にグラウンドに固定し、アイドラープーリー(図にはない)からの高張力に対応する。この水平方向の高張力は、システムの規模にもよるが10万キログラムの桁に達することもある。
【0075】
加えて、台座はケーブルによる抑え(図にはない)により吊り橋などと同様にグラウンドに固定し、キャプスタンローラー52を保持する。ケーブルによる支持機構を用いることにより、基礎に使用する必要なコンクリートの量を減らすことができる。
【0076】
上記の第2、第3の実施例のような複数のキャプスタンローラーを使用する方式における問題点は、ロープがキャプスタンに接する時と離れる時の動作に起因する。低摩擦係数をもつUHMWPE製ロープが使用された場合、4つ(または8つ)のキャプスタン52を経由して1周を構成するとして、ロープを安全に保持しつつ有効な動力の抽出を得るには8周の巻き付けが必要である。この場合、ロープ01は台座50の内部において32回のずれによる移動と摩擦を繰り返す。つまり、キャプスタンローラー52との接触32回と離脱32回の計64回の摩擦を繰り返すことになる。64回の摩擦を経て、ロープは高温となり、寿命に影響する。高張力下のずれによる移動も熱を発生させ、ロープの寿命を縮めてシステムの対投資効果を低下させる。
【0077】
図 4 は
図3に示した実施例の側面を示したものであり、また
図2に示した実施例の側面の参考となるものである。ロープ01は低摩擦係数をもつUHMWPE製ロープを使用しても十分な保持力が発揮できるよう5周の巻き付けを行っている。キャプスタンローラー52は各々が前後のローラーに対してわずかに傾斜して取り付けてあり、ロープ01が螺旋状に隣接した5層を形成して巻き付けられ、ねじの運動と同様に回転するようになっている。
【0078】
溝付ローラーを用いる設計の利点として、溝にロープを保持するために、ロープキーパー58を用いることができる点がある。これによりとりわけ低張力時においてもロープを正しい溝に維持することができる。システムが運転されていない時などは張力はゼロ近くまで下がり、ロープが離脱する危険が存在する。
【0079】
図5 は
図3のシステムに類するもう一つの実施例として、水面に浮上しているブイに垂直に配置された複数のキャプスタンローラー(4本)を持つシステムを示している。保持機構であるロープタンク40を巻き取りリールに代わり持つ。システム300と併せてロープタンクを用いることで、数百キログラムのロープを巻き取る大きな鋼製のリールにくらべて慣性の小さなシステムができている。慣性の低いロープタンク40により、ロープ01の運動方向は、巻き取り、巻出しをほぼ瞬間的に切り替えることができ、エネルギーの無駄を削減できる。この実施例はロープ01が送り出される時に動力を発生する構成で、深海など風力システムの使用が大変困難な場合に有用なものである。単純なバックテンションデバイス60により構成される補助張力機構が示されている。これは、キャプスタンの両端に必要であり、いかなる時でもキャプスタンに最低限の張力を維持し、低張力時でもロープの離脱を防止するためのものである。バックテンションデバイスの2つのプーリーはロープの実際の速度とわずかに異なる速度で回転し、摩擦によりロープに一定の張力を印加する。
【0080】
図6および
図7は本開示の望ましい実施例として、複数のキャプスタン面(キャプスタン面に溝を設けて実現)をもつ単一のキャプスタンリング(第一のキャプスタンローラーとして機能する)およびアイドラーとしての補助張力機構をもつものを、全般的に400として図示している。システム400は、
図1Aに示したシステム100のキャプスタン巻き付け回数の制限による欠点を考慮し改善によるもので、直径の大きなキャプスタンにおいても低摩擦係数をもつUHMWPE製ロープの使用が容易である。また、
図2および3に示したシステム200およびシステム300のロープ劣化の問題をも解決している。この実施例によれば、システム400は風力または水力システムにより牽引されるロープ01が巻き付けられ、軸の周りを回転するキャプスタンリング64を含む。キャプスタンリング64は内部中心に台座となるコンクリート柱50を持っている。または、台座は大きなホイールであって、中心軸にベアリングを持っている。キャプスタンリング64の内面は歯があり、複数の歯車66(結合機構として機能する)とかみ合い、この歯車66はキャプスタンリング64の内面に沿って配置されている各電動発電機54(変換機構として機能する)にある歯車70(第2のキャプスタンローラーとして機能する)とかみ合わされており、キャプスタンリング64の回転運動が複数の電動発電機54に伝達される。これにより、一つの電動発電機またはいかなる組み合わせの電動発電機の動作によってもキャプスタンリング64を駆動し、巻き戻し行程を行うことが可能である。すべての電動発電機54がキャプスタンリング64に歯車により連結されているため、ベルト、チェーンなど、キャプスタンリング64から電動発電機54への回転トルク伝達を行うための他の連結機構は必要ない。外周にあるキャプスタンリング64は、中央のコンクリート柱50に固定された電動発電機54と歯車により、既定の位置におかれて回転する。キャプスタンリング64の単一の外周表面は2つの表面64-1および64-2に分割されている。ロープ01は第一の表面64-1に数回巻き付けられ、アイドラープーリー20を経由して、キャプスタンリング64の第二の表面64-2に巻き付けられている。システム400内のロープ経路として、アイドラープーリー20はロープ01の張力と摩擦力により自由に回転する。表面64-1および64-2はキャプスタンリング64の外周にロープの重なりがないように形成されている。アイドラープーリー20は、キャプスタンリング64の外周に形成されている表面64-1および64-2とロープ01との接触面積が最大となる位置に配置されている。図示したようにキャプスタンリング64の外周面を2分割することによりシステム400は低摩擦係数をもつUHMWPE製ロープに最適な回数の巻き付けを可能としている。
【0081】
大型のアイドラープーリー20にはロープ01の1または3回の巻き付けが行われ、ロープ01を主キャプスタンリング64のもう一方の表面に送り込む。説明のため、システム400をロープ01が通る、一列になった3つのキャプスタンをもつものとみなすことができる。まず第一のキャプスタンは64-1であり、この3から4周の巻き付けにより、ロープ01の張力のほとんどが抽出される。2番目のキャプスタンはアイドラープーリー20であり、空転するホイールであるため、概ね3周の巻き付けから抽出する張力はほとんどゼロである。第3番目のキャプスタンは64-2であり、この3から4周の巻き付けで残りの張力が抽出される。最終的にロープはバックテンションデバイス60を介してロープタンクないしは保持機構40へと送られる。
【0082】
この実施例の他の様相によれば、システム400はそれぞれ個別の電動発電機群をもつ、2つまたは3つの個別のキャプスタンで構成されている。
図6および7に示されたシステム400は、64-1、64-2の2面が同一のキャプスタンリング上にあり、単一の割合で動力の抽出を行うため、単一の電動発電機群のみが必要である。2つまたはそれ以上の個別のキャプスタンを使用する場合、最初のキャプスタンは他のものに比べ大きな動力抽出、ないしはほとんどの抽出を行う。このため、各キャプスタン毎に違う電圧を得ることに対応するため複数の電動発電機群を用いる。さらに
図6および7に示されたシステム400ではロープ01の屈曲の数を抑えることができる。溝付キャプスタンローラーを複数用いるシステム200での屈曲箇所が40から80に上るのに比べ、システム400では、屈曲は6か所(B1-B6)でのみ起こっている。キャプスタンローラーの直径も大きく、ロープ寿命の延長と対投資効果の向上につながっている。図示されているシステム400には2つのキャプスタン面64-1、64-2およびアイドラープーリー20一つが含まれるが、この実施例の他の様相によれば、単一のキャプスタンローラーに3から5のキャプスタン面(各面に1から4周の巻き付け)および単一のアイドラープーリーに2または3つのアイドラープーリー面を設けている。システムには、緊急時、電動発電機用の電源がない時や停止、制動の機能が必要な場合のためにキャプスタンを固定するためのブレーキが必要である。
【0083】
UHMWPEロープの摩擦係数は標準で0.9から1.2の範囲にある。このため、ロープは大変すべりやすく、キャプスタンには12から15回の巻き付けが必要となる。キャプスタン面を2面とするのが最も現実的な実装といえる。できれば、3面を設け、アイドラープーリーを2面とすることで各面4から5周の巻き付けにより(x3面で)合計12から15回の巻き付けを得ることができる。この実施例の他の様相によれば、システムはキャプスタン面を4面もち、アイドラープーリーを3つ、ないしはキャプスタン面が5面、アイドラープーリーが4つで構成される。
【0084】
図8 は本開示が提供するシステムにおける、
図1Cに示すロープガイド10の代わりとなる金車によるロープ取扱い機構を示している。ロープ01により動力システムに伝えられる力の方向を変更する簡単で有効な方法である。ロープの劣化を防ぐには摩擦を最低に抑えるために大直径の滑車が必要である。
【0085】
複数のローラー72を用いれば、サイズを抑えて大直径の滑車と同様の効果を得ることができる。
図1Cに示したロープガイド10のようなベルトとローラーによる機構は、複数のローラー72を用いるのと同様の効果を発揮する。この構成の利点は第一に小型の部品で構成するにも関わらず大きな滑車70と同様の効果が得られることである。第二に複数のローラーによる金車(または単一ローラーによる金車)はロープがどのような角度、方向から(動力システムからみて360度)降下しても対応できることである。しかし、金車を支持するロープはグラウンドに固定しなければならない。このために多様な角度から動的に牽引を受ける、巨大なアンカー62が必要となる。アンカーの牽引の方向は金車の位置に左右される。ロープガイド10に掛る力の大部分はグラウンドへ向け下方へ押し付ける力であって、外側へ牽引される力ではないためロープガイド10による構成は簡単である。金車70による場合は、ロープの水平、垂直の運動があり、ロープの張力機構やアイドラープーリへの送り込み方向が一定せず、わずかでも送り込み方向の調整のための追加の滑車やプーリーが必要となる。ロープガイド10はその中心点(ロープガイドの回転の中心)に正確にロープを送り込むので、この点においても良好に作動する。さらに、張力が失われ、ロープがたるんだ状態では金車70は他の支持機構がなければ金車自体を支持できない。
【0086】
ここまでに説明された各実施例はニーズや需要および各実施例のメリットに応じて実用的に応用することができる。
【0087】
上記で提供された説明は、簡単に説明を進めるために風力システムに関するものとしてきたが、本開示の適用範囲を風力システムのみに限定するものではない。本開示は、水力システムにも同様に応用できる。さらに、上記において説明された動力システムは複数または単一のキャプスタンを含むものないしは説明された実施例の複数または単一のキャプスタンを含むものに限定するものではない。
【0088】
動力システムの様々な実施例は上記に明確に示した部品や図示された部品の使用に限定されるものではない。一般的に、本開示による動力システムが完全に機能するためには、システムには以下の部品やサブシステムが含まれる:
ロープの伸張機構のパラメーター計測および制御のための計測器、センサーからなる計測およびコントロールのシステム;
ロープの伸張機構と協働するように工夫された調節およびアライメント制御システム;および
異物、長期使用による磨滅および劣化や気象条件に起因する問題を回避するための安全管理システム。