特許第6184447号(P6184447)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6184447
(24)【登録日】2017年8月4日
(45)【発行日】2017年8月23日
(54)【発明の名称】推定装置及び推定プログラム
(51)【国際特許分類】
   G01B 11/26 20060101AFI20170814BHJP
   G06T 1/00 20060101ALI20170814BHJP
   G06T 7/60 20170101ALI20170814BHJP
【FI】
   G01B11/26 H
   G06T1/00 330Z
   G06T7/60 150Z
【請求項の数】8
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2015-139792(P2015-139792)
(22)【出願日】2015年7月13日
(65)【公開番号】特開2017-20942(P2017-20942A)
(43)【公開日】2017年1月26日
【審査請求日】2016年7月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003609
【氏名又は名称】株式会社豊田中央研究所
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(73)【特許権者】
【識別番号】000004695
【氏名又は名称】株式会社SOKEN
(74)【代理人】
【識別番号】100079049
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 淳
(74)【代理人】
【識別番号】100084995
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 和詳
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 章弘
(72)【発明者】
【氏名】片岡 祐介
(72)【発明者】
【氏名】酒井 唯史
(72)【発明者】
【氏名】川嵜 直輝
【審査官】 梶田 真也
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−026992(JP,A)
【文献】 特開2006−012191(JP,A)
【文献】 李 博 ほか著,車間距離計測のための車載単眼カメラを用いたピッチ角推定,映像情報メディア学会誌,日本,2015年 3月,第69巻, 第4号,p. J169- J176
【文献】 Li, Bo et al.,PITCH ANGLE ESTIMATION USING A VEHICLE-MOUNTED MONOCULAR CAMERA FOR RANGE MEASUREMENT,2014 12th International Conference on Signal Processing,IEEE,2014年10月,p. 1161-1168
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01B 11/00 − 11/30
B60R 1/00 − 1/04
B60R 1/08 − 1/12
G06T 1/00 − 1/40
G06T 3/00 − 9/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に設けられ、該車両の前方及び後方の少なくとも一方の画像を撮像する撮像手段と、
第1時刻に前記撮像手段により撮像された画像内の所定領域の位置、及び前記第1時刻より後の第2時刻に前記撮像手段により同一方向に対して撮像された画像内の前記所定領域に対応する領域の位置に基づいて、前記所定領域の垂直方向の移動量を算出する算出手段と、
前記算出手段により前記移動量が算出される毎に、該移動量の積算値を算出する積算手段と、
過去の所定期間内における前記積算手段により算出された前記移動量の積算値の時系列データに基づいて、前記積算手段により算出された現時点の前記積算値を補正する補正手段と、
前記補正手段により補正された前記積算値に基づいて、前記車両のピッチ角を推定する推定手段と、
を含む推定装置。
【請求項2】
前記補正手段は、前記移動量の積算値の時系列データの平均値を補正量として用いて現時点の前記積算値を補正する
請求項1記載の推定装置。
【請求項3】
前記補正手段は、前記移動量の積算値の時系列データを近似して得られる外挿値を、補正量として算出し、該補正量を用いて現時点の前記積算値を補正する
請求項1記載の推定装置。
【請求項4】
前記補正手段は、前記移動量の積算値の時系列データと、前記積算手段により算出された現時点の前記積算値とに基づいて、現時点における定常状態からの前記画像の垂直方向のずれ量として、補正した現時点の前記積算値を算出する
請求項1から請求項3の何れか1項記載の推定装置。
【請求項5】
前記所定領域は、遠近法における消失点を含む領域とされている
請求項1から請求項4の何れか1項記載の推定装置。
【請求項6】
前記補正手段は、補正する時点が遅くなるほど前記所定期間を長い期間として、現時点の前記積算値を補正する
請求項1から請求項5の何れか1項記載の推定装置。
【請求項7】
前記算出手段は、パターンマッチングにより前記第1時刻の前記所定領域に対応する前記第2時刻の前記所定領域を探索した後に、前記移動量を算出する
請求項1から請求項6の何れか1項記載の推定装置。
【請求項8】
コンピュータを、
車両に設けられ、該車両の前方及び後方の少なくとも一方の画像を撮像する撮像手段により第1時刻に撮像された画像内の所定領域の位置、及び前記第1時刻より後の第2時刻に前記撮像手段により同一方向に対して撮像された画像内の前記所定領域に対応する領域の位置に基づいて、前記所定領域の垂直方向の移動量を算出する算出手段と、
前記算出手段により前記移動量が算出される毎に、該移動量の積算値を算出する積算手段と、
過去の所定期間内における前記積算手段により算出された前記移動量の積算値の時系列データに基づいて、前記積算手段により算出された現時点の前記積算値を補正する補正手段と、
前記補正手段により補正された前記積算値に基づいて、前記車両のピッチ角を推定する推定手段と、
として機能させるための推定プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、推定装置及び推定プログラムに係り、特に、車両のピッチ角を推定する推定装置及び推定プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両に設けられた撮像手段により異なる時刻に撮像された複数の画像に基づいて、車両のピッチ角を推定する技術が提案されている。この技術では、上記複数の画像に基づいて、上記撮像手段の移動方向を示す並進ベクトルと、上記撮像手段の姿勢のピッチ方向の角度変化量を示す回転行列を算出する。
【0003】
また、この技術では、上記並進ベクトルの向きに基づいて第1ピッチ角推定値を逐次算出すると共に、上記回転行列により示される角度変化量を積算することによって第2ピッチ角推定値を算出する。そして、この技術では、所定期間における第1ピッチ角推定値の平均値と第2ピッチ角推定値の平均値との偏差に応じて第2ピッチ角推定値を補正することにより、車両のピッチ角の推定値を決定する。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2012−026992号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1の技術では、上記並進ベクトルが路面に平行であるという制約に基づいて車両のピッチ角を推定している。従って、上記特許文献1の技術では、並進ベクトルの大きさが比較的小さい場合、すなわち、車両の速度が比較的低い場合は、車両のピッチ角を精度良く推定することができない。
【0006】
本発明は、以上の事情に鑑みてなされたものであり、車両の速度が比較的低い場合であっても、車両のピッチ角を精度良く推定することができる推定装置及び推定プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明に係る推定装置は、車両に設けられ、該車両の前方及び後方の少なくとも一方の画像を撮像する撮像手段と、第1時刻に前記撮像手段により撮像された画像内の所定領域の位置、及び前記第1時刻より後の第2時刻に前記撮像手段により同一方向に対して撮像された画像内の前記所定領域に対応する領域の位置に基づいて、前記所定領域の垂直方向の移動量を算出する算出手段と、前記算出手段により前記移動量が算出される毎に、該移動量の積算値を算出する積算手段と、過去の所定期間内における前記積算手段により算出された前記移動量の積算値の時系列データに基づいて、前記積算手段により算出された現時点の前記積算値を補正する補正手段と、前記補正手段により補正された前記積算値に基づいて、前記車両のピッチ角を推定する推定手段と、を含む。
【0008】
本発明に係る推定プログラムは、コンピュータを、車両に設けられ、該車両の前方及び後方の少なくとも一方の画像を撮像する撮像手段により第1時刻に撮像された画像内の所定領域の位置、及び前記第1時刻より後の第2時刻に前記撮像手段により同一方向に対して撮像された画像内の前記所定領域に対応する領域の位置に基づいて、前記所定領域の垂直方向の移動量を算出する算出手段と、前記算出手段により前記移動量が算出される毎に、該移動量の積算値を算出する積算手段と、過去の所定期間内における前記積算手段により算出された前記移動量の積算値の時系列データに基づいて、前記積算手段により算出された現時点の前記積算値を補正する補正手段と、前記補正手段により補正された前記積算値に基づいて、前記車両のピッチ角を推定する推定手段と、として機能させるためのプログラムである。
【0009】
本発明によれば、算出手段によって、車両に設けられ、該車両の前方及び後方の少なくとも一方の画像を撮像する撮像手段により第1時刻に撮像された画像内の所定領域の位置、及び前記第1時刻より後の第2時刻に前記撮像手段により同一方向に対して撮像された画像内の前記所定領域に対応する領域の位置に基づいて、前記所定領域の垂直方向の移動量が算出される。
【0010】
また、積算手段によって、前記算出手段により前記移動量が算出される毎に、該移動量の積算値が算出される。そして、補正手段によって、過去の所定期間内における前記積算手段により算出された前記移動量の積算値の時系列データに基づいて、前記積算手段により算出された現時点の前記積算値が補正される。さらに、推定手段によって、前記補正手段により補正された前記積算値に基づいて、前記車両のピッチ角が推定される。
【0011】
このように、本発明によれば、過去の所定期間内における上記積算値の時系列データに基づいて、現時点の積算値を補正しているので、車両の速度が比較的低い場合であっても、車両のピッチ角を精度良く推定することができる。
【0012】
本発明の推定装置は、前記補正手段が、前記移動量の積算値の時系列データの平均値を補正量として用いて現時点の前記積算値を補正してもよい。
【0013】
本発明の推定装置は、前記補正手段が、前記移動量の積算値の時系列データを近似して得られる外挿値を、補正量として算出し、該補正量を用いて現時点の前記積算値を補正してもよい。
【0014】
本発明の推定装置は、前記補正手段が、前記移動量の積算値の時系列データと、前記積算手段により算出された現時点の前記積算値とに基づいて、現時点における定常状態からの前記画像の垂直方向のずれ量として、補正した現時点の前記積算値を算出してもよい。
【0015】
本発明の推定装置は、前記所定領域が、遠近法における消失点を含む領域とされていてもよい。
【0016】
本発明の推定装置は、前記補正手段が、補正する時点が遅くなるほど前記所定期間を長い期間として、現時点の前記積算値を補正してもよい。
【0017】
本発明の推定装置は、前記算出手段が、パターンマッチングにより前記第1時刻の前記所定領域に対応する前記第2時刻の前記所定領域を探索した後に、前記移動量を算出してもよい。
【0018】
なお、本発明に係る推定プログラムを記憶する記憶媒体は、特に限定されず、ハードディスクであってもよいし、ROMであってもよい。また、CD−ROMやDVDディスク、光磁気ディスクやICカードであってもよい。さらにまた、該推定プログラムを、ネットワークに接続されたサーバ等からダウンロードしてもよい。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、車両の速度が比較的低い場合であっても、車両のピッチ角を精度良く推定することができる、という効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】第1の実施の形態に係る推定装置の構成を示すブロック図である。
図2】第1の実施の形態に係る撮像部による撮像により得られた画像内の所定領域の垂直方向における移動量の説明に供する概略図である。
図3】第1の実施の形態に係る移動量の積算値の時系列データを示すグラフである。
図4】第1の実施の形態に係る補正量の算出処理の説明に供するグラフである。
図5】第1の実施の形態に係る垂直方向のずれ量の時系列データを示すグラフである。
図6】各実施の形態に係る定常状態における垂直方向のずれ量の算出処理の説明に供する概略図である。
図7】第1の実施の形態に係る推定処理の流れを示すフローチャートである。
図8】第2の実施の形態に係る推定装置の構成を示すブロック図である。
図9】第2の実施の形態に係るオプティカルフローの算出処理の説明に供する概略図である。
図10】第2の実施の形態に係る移動量の積算値の時系列データを示すグラフである。
図11】第2の実施の形態に係る補正量の算出処理の説明に供するグラフである。
図12】第2の実施の形態に係る垂直方向のずれ量の時系列データを示すグラフである。
図13】第2の実施の形態に係る推定処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照して、本発明を実施するための形態例について詳細に説明する。
【0022】
[第1の実施の形態]
まず、図1を参照して、本実施の形態に係る推定装置10Aの構成について説明する。
【0023】
図1に示すように、本実施の形態に係る推定装置10Aは、車両12に各々設けられた撮像部14及びコンピュータ20Aを備えている。
【0024】
本実施の形態に係る撮像部14は、一例として、単眼の車載カメラであり、コンピュータ20Aによる制御によって、車両12の前方の画像を所定期間間隔(本実施の形態では、一例として33ミリ秒)で撮像し、撮像した画像を示す画像データをコンピュータ20Aに逐次出力する。なお、撮像部14は、カラー画像を撮像するものであってもよいし、モノクロ画像を撮像するものであってもよい。また、撮像部14は、動画撮像が可能なものであってもよいし、連写での静止画撮像が可能なものであってもよい。
【0025】
本実施の形態に係るコンピュータ20Aは、CPUと、RAMと、後述する推定処理プログラムを記憶したROMと、不揮発性の記憶部とを備え、機能的には以下に示すように構成されている。コンピュータ20Aは、撮像制御部22、移動量算出部24A、移動量積算部26、補正量算出部28A、補正部30、及び推定部32を備えている。なお、撮像部14は、撮像手段の一例であり、移動量算出部24Aは、算出手段の一例である。また、移動量積算部26は、積算手段の一例であり、補正量算出部28A、及び補正部30は、補正手段の一例であり、推定部32は、推定手段の一例である。
【0026】
本実施の形態に係る撮像制御部22は、撮像部14を制御して、車両12の前方の画像を上記所定期間間隔で撮像させる。
【0027】
本実施の形態に係る移動量算出部24Aは、撮像部14により所定期間間隔で出力された画像データを逐次取得する。そして、移動量算出部24Aは、現時点の時刻tに取得した画像データと、現時点から上記所定期間間隔を1つ遡った時刻t−1に取得した画像データと、を用いて後述する移動量δyを算出する。以下、図2を参照して、移動量算出部24Aによる移動量δyを算出する処理について詳細に説明する。
【0028】
図2(1)は、移動量算出部24Aにより時刻t−1に取得された画像データにより示される画像It−1を示し、図2(2)は、移動量算出部24Aにより時刻tに取得された画像データにより示される画像Iを示している。また、図2(3)は、画像I内の領域Rの領域Rt−1に対する垂直方向(車両12のピッチング方向)の移動量δyを示している。
【0029】
まず、図2(1)に示すように、移動量算出部24Aは、画像It−1を示す画像データから、画像It−1内の所定の位置を含む所定の大きさの矩形の領域Rt−1内の画像を示す画像データを抽出する。具体的には、本実施の形態に係る移動量算出部24Aは、一例として、全撮像領域の中央部を中心に含む図2(1)の縦方向及び横方向共に全撮像領域の3分の1の長さの矩形の領域Rt−1内の画像を示す画像データを抽出する。
【0030】
次に、図2(2)に示すように、移動量算出部24Aは、パターンマッチングにより、画像I内の領域Rt−1に対応する領域Rを探索する。具体的には、本実施の形態に係る移動量算出部24Aは、一例として、画像I図2(2)の左上端の位置から、領域Rt−1と同じ形状及び大きさの領域の位置を所定の画素数(本実施の形態では、3画素)ずつ右方向に右端までずらしながら、該領域内の画像を示す画像データと、領域Rt−1内の画像を示す画像データとの相関性を示す度合を算出する。また、移動量算出部24Aは、該算出する処理を、所定の画素数(本実施の形態では、2画素)ずつ図2(2)の下方向に、画像Iの下端まで繰り返し行う。
【0031】
そして、移動量算出部24Aは、上記相関性を示す度合が最も高い領域を領域Rと決定する。なお、本実施の形態では、上記相関性を示す度合が最も高い領域として、対応する画素同士の画素値の差分における絶対値の全画素分の和が最小になる領域を適用しているが、これに限定されない。例えば、上記相関性を示す度合が最も高い領域として、2画素×2画素等、対応する複数の画素群毎の所定の位置の画素同士の画素値の差分における絶対値の全画素分の和が最小になる領域を適用してもよい。
【0032】
そして、図2(3)に示すように、移動量算出部24Aは、移動量δyとして、領域Rt−1と領域Rとの対応する位置(図2(3)では左上端部の位置)を示す画素位置間の垂直方向(図2(3)の上下方向)の画素数を算出する。
【0033】
このように、本実施の形態に係る移動量算出部24Aは、上記相関性を示す度合が最も高い画像I内の領域を領域Rと決定しているが、これに限定されない。例えば、移動量算出部24Aは、画像I内の領域のうち、上記相関性を示す度合が予め定められた閾値以上の何れかの領域を領域Rと決定してもよい。
【0034】
この場合、例えば、移動量算出部24Aは、上記探索を開始して、最初に上記相関性を示す度合が上記閾値以上となった領域を領域Rと決定する形態が例示される。これにより、移動量算出部24Aによる領域Rの探索精度は低下する可能性はあるものの、移動量算出部24Aにより画像Iの全範囲に対して上記探索する処理を行わなくてもよくなるため、移動量算出部24Aによる演算量は低減する。
【0035】
本実施の形態に係る移動量積算部26は、次の式(1)を用いて、時刻tにおける移動量δyの積算値Sとして、移動量算出部24Aにより逐次算出された移動量δyの積算値を算出する。
【0036】
【数1】
【0037】
図3には、移動量積算部26により算出された積算値Sの時系列データの一例が示されている。なお、図3の縦軸は積算値Sを示し、横軸は時刻を示している。図3に示すように、積算値Sは時間の経過と共に、オフセットされた値となる。
【0038】
これは、前述したように、移動量積算部26が、移動量算出部24Aにより逐次算出された移動量δyを積算していることによって、移動量δyに含まれる誤差も積算されるためである。なお、この誤差は、例えば、移動量算出部24Aによる前述した領域Rを探索する際の画像処理による影響、及び領域Rt−1内で撮像された被写体自体が時刻t−1から時刻tまでの間に動くことによる影響等によるものである。
【0039】
そこで、本実施の形態に係る補正量算出部28Aは、過去の所定期間内における移動量積算部26により算出された移動量δyの積算値Sの時系列データに基づいて、上記誤差を補正するための補正量cを算出する。以下、図4を参照して、補正量算出部28Aによる補正量cの算出処理について詳細に説明する。なお、図4には、図3に示した積算値Sの時系列データが破線で示されている。また、図3と同様に、図4の縦軸は積算値Sを示し、横軸は時刻を示している。
【0040】
図4に示すように、本実施の形態に係る補正量算出部28Aは、次の式(2)を用いて、時刻tにおける補正量cとして、過去の所定期間(図4の時刻t−t1から時刻t−t2までの期間)の上記所定期間間隔毎の各時刻に算出された積算値Sの平均値を算出する。
【0041】
【数2】
但し、T1は、時刻t−t1から時刻tまでに積算値Sが算出された回数を示し、T2は、時刻t−t2から時刻tまでに積算値Sが算出された回数を示す。
【0042】
なお、本実施の形態では、上記過去の所定期間として、車両12の実機を用いた実験や車両12の設計仕様に基づくコンピュータ・シミュレーション等により、後述する車両12のピッチ角の推定精度が許容範囲内となる期間を固定的に適用しているが、これに限定されない。前述したように、上記誤差も積算されるため、上記所定期間として、補正量cを算出する時点が遅くなるほど長い期間を適用してもよい。
【0043】
本実施の形態に係る補正部30は、補正量算出部28Aにより算出された補正量cを用いて、移動量積算部26により算出された積算値Sを補正する。具体的には、補正部30は、次の式(3)を用いて、積算値Sから補正量cを減算することにより、定常状態における画像内の水平線の垂直方向の位置に対する現時点の時刻tにおける画像内の水平線の垂直方向の位置のずれ量ΔYを算出する。なお、ここでいう定常状態としては、例えば、車両12が停止している状態や前述した移動量δy≒0の状態が長期間継続している状態等の車両12の垂直方向に対するゆれがほぼ無い状態が挙げられる。
【0044】
【数3】
【0045】
図5には、図3に示した積算値Sの時系列データを、上記所定期間間隔毎の各時刻において補正部30により補正して得られたずれ量ΔYの時系列データが示されている。なお、図5の縦軸はずれ量ΔYを示し、横軸は時刻を示している。
【0046】
ここで、ずれ量ΔYについて詳細に説明する。時刻tにおける撮像部14により撮像された画像における水平線の垂直方向の位置Yは、次の式(4)で表される。
【数4】
但し、Yは、上記定常状態における水平線の垂直方向の位置を示す。
【0047】
そして、一般的に、時刻tにおける位置Yは、定常状態における位置Yを中心として変動するため、時刻tまでの各時刻に算出されたずれ量△Yの平均値は、ほぼ0(零)に等しくなる。また、積算値Sは、移動量δyに上記誤差が含まれない場合は、ずれ量△Yに等しくなる。すなわち、この場合は、積算値Sの平均値も、ほぼ0(零)に等しくなる。
【0048】
しかしながら、前述したように、積算値Sには移動量δyの上記誤差が含まれる。そこで、本実施の形態では、前述したように、上記誤差の補正に用いる補正量cとして、上記所定期間の上記所定期間間隔毎の各時刻に算出された積算値Sの平均値を算出している。
【0049】
本実施の形態に係る推定部32は、補正部30により補正された積算値S(=ずれ量△Y)に基づいて、車両12のピッチ角を推定する。具体的には、推定部32は、撮像部14の解像度及び焦点距離等の諸元値を用いて、ずれ量△Yから撮像部14のピッチ角φを算出する。
【0050】
このピッチ角φは、定常状態の撮像部14の光軸に対する時刻tにおける撮像部14の光軸の角度であるため、推定部32は、定常状態における撮像部14の路面に対する撮像部14の光軸のピッチ角φを算出する。そして、推定部32は、時刻tにおける車両12のピッチ角として、撮像部14の光軸の路面に対する角度であるピッチ角φとピッチ角φとを加算した角度を算出する。
【0051】
ここで、図6を参照して、上記定常状態におけるピッチ角φの算出処理について説明する。ここでは、錯綜を回避するために、一例として、撮像部14が、光軸の路面に対するピッチ角が0度の場合に、光軸が画像の中心に位置する撮像手段であるものとして説明する。なお、図6は、上記定常状態において撮像部14により撮像された画像Iの一例を示している。
【0052】
図6に示すように、推定部32は、2本の白線Wの交点Jを、水平線Hの垂直方向の位置と見なして、定常状態における水平線の位置のずれ量Yとして、交点Jと、車両のピッチ角が0度である場合に対して予め求められた画像Iの交点Jとの画素位置間の垂直方向(図6の上下方向)の画素数を算出する。そして、推定部32は、撮像部14の解像度及び焦点距離等の諸元値を用いて、ずれ量Yからピッチ角φを算出する。なお、定常状態におけるピッチ角φの算出処理は、これに限定されず、他の公知の手法を用いてもよい。
【0053】
次に、図7を参照して、本実施の形態に係る推定装置10Aの作用について説明する。なお、図7は、例えば車両12のイグニッションスイッチがオン状態とされた際にコンピュータ20AのCPUによって実行される推定処理プログラムの処理の流れを示すフローチャートである。
【0054】
図7のステップ100において、推定部32は、前述したように、撮像部14を制御して、車両12の前方の画像を撮像させ、該撮像により得られた画像Iから定常状態におけるピッチ角φを算出する。
【0055】
次のステップ101において、撮像制御部22は、撮像部14を制御して、車両12の前方の画像を撮像させる。次のステップ102において、移動量算出部24Aは、上記ステップ101の処理により撮像部14から出力された画像Iを示す画像データを取得する。
【0056】
次のステップ104Aにおいて、移動量算出部24Aは、上記ステップ101〜後述するステップ118の繰り返し処理における前回の上記ステップ102の処理により取得された画像データから、該画像データにより示される画像It−1の領域Rt−1内の画像を示す画像データを抽出する。なお、本ステップ104Aの処理及び後述するステップ106A〜ステップ116の処理は、本推定処理プログラムの実行を開始してから初回に実行されたタイミングでは実行されない。
【0057】
次のステップ106Aにおいて、移動量算出部24Aは、前述したように、直前の上記ステップ102の処理により取得された画像データにより示される画像Iにおける上記ステップ104Aの処理により抽出された領域Rt−1に対応する領域Rを探索する。
【0058】
次のステップ108Aにおいて、移動量算出部24Aは、前述したように、上記ステップ104Aの処理により抽出された領域Rt−1と、上記ステップ106Aの処理により探索された領域Rとの対応する画素位置に基づいて、移動量δyを算出する。
【0059】
次のステップ110において、移動量積算部26は、前述したように、上記式(1)を用いて、上記ステップ108Aの処理により算出された移動量δyの積算値Sを算出する。
【0060】
次のステップ112Aにおいて、補正量算出部28Aは、上記式(2)を用いて、補正量cとして、上記過去の所定期間に上記ステップ110の処理により算出された積算値Sの平均値を算出する。
【0061】
次のステップ114において、補正部30は、上記式(3)を用いて、上記ステップ110の処理により算出された積算値Sから上記ステップ112Aの処理により算出された補正量cを減算することにより、ずれ量ΔYを算出する。
【0062】
次のステップ116において、推定部32は、前述したように、撮像部14の諸元値を用いて、上記ステップ114の処理により算出されたずれ量ΔYからピッチ角φを算出する。そして、推定部32は、前述したように、該ピッチ角φと上記ステップ100の処理により算出されたピッチ角φとを加算して、車両12のピッチ角を算出する。なお、ここで算出したピッチ角は、例えば、車両12の高度運転支援等で、カメラ等の撮像手段により撮像された車両12の前方の画像内のある物体への距離を推定する場合等の2次元の情報から3次元の情報を推定する場合に用いられる。
【0063】
ステップ118において、推定部32は、所定の終了タイミングが到来したか否かを判定する。この判定が否定判定となった場合は上記ステップ101の処理に戻る一方、肯定判定となった場合は本推定処理プログラムを終了する。なお、本実施の形態では、上記所定の終了タイミングとして、一例として車両12のイグニッションスイッチがオフ状態とされたタイミングを適用している。
【0064】
なお、前述したように、例えば、上記ステップ108Aの処理により算出された移動量δyが長期間ほぼ0(零)である状態(すなわち、定常状態)が継続した場合は、積算値Sを0(零)にリセットして、ステップ100の処理から本推定処理プログラムを再度実行してもよい。
【0065】
以上説明したように、本実施の形態によれば、過去の所定期間内における積算値Sの時系列データに基づいて、現時点の積算値Sを補正しているので、車両12の速度が比較的低い場合であっても、単眼の撮像部14を用いて、車両12のピッチ角を精度良く推定することができる。また、本実施の形態によれば、上記並進ベクトル及び回転行列を算出する場合に比較して、少ない演算量で車両12のピッチ角を精度良く推定することができる。
【0066】
[第2の実施の形態]
まず、図8を参照して、本実施の形態に係る推定装置10Bの構成について説明する。なお、図8における図1と同一の機能を有する構成要素については、図1と同一の符号を付して、その説明を省略する。
【0067】
図8に示すように、本実施の形態に係る推定装置10Bは、コンピュータ20Aに代えてコンピュータ20Bを備えている点が上記第1の実施の形態に係る推定装置10Aとは異なっている。また、本実施の形態に係るコンピュータ20Bは、移動量算出部24Aに代えて移動量算出部24Bを備えている点、及び補正量算出部28Aに代えて補正量算出部28Bを備えている点が上記第1の実施の形態に係るコンピュータ20Aとは異なっている。
【0068】
本実施の形態に係る移動量算出部24Bは、撮像部14により所定期間間隔で出力された画像データを逐次取得する。そして、現時点の時刻tに取得した画像データと、現時点から上記所定期間間隔を1つ遡った時刻t−1に取得した画像データと、を用いて移動量δyを算出する。以下、図9を参照して、移動量算出部24Bによる移動量δyを算出する処理について詳細に説明する。
【0069】
図9(1)は、移動量算出部24Bにより時刻t−1に取得された画像データにより示される画像It−1、及び後述するオプティカルフローVの算出に用いる点(以下、「算出点」という。)Pt−1((i=1...N(Nは自然数。本実施の形態では、5)))を示している。また、図9(2)は、移動量算出部24Bにより時刻tに取得された画像データにより示される画像I、及び後述するオプティカルフローVを示している。また、図9(3)は、図2(3)と同様に、移動量δyを示している。
【0070】
まず、図9(1)に示すように、移動量算出部24Bは、画像It−1を示す画像データから、画像It−1内の上記所定の大きさの矩形の領域Rt−1内の画像を示す画像データを抽出する。なお、本実施の形態では、領域Rt−1として、車両12のピッチングが発生していない状態で車両12が進行した場合に、遠近法における消失点を含む領域を適用している。これは、該領域が、車両12の進行の影響による動きが比較的少ない領域と見なせる領域であるためである。
【0071】
次に、図9(1)に示すように、移動量算出部24Bは、領域Rt−1内のN個の予め定められた位置を算出点Pt−1の位置と決定する。なお、本実施の形態では、一例として、算出点Pt−1の位置として、垂直方向(図9(1)の縦方向)に対しては領域Rt−1の中央の位置で、水平方向(図9(1)の横方向)に対しては各々互いに同一の間隔を隔てた位置を適用している。このように、本実施の形態では、算出点Pt−1の位置として、予め固定的に定められた位置を適用しているが、これに限定されない。例えば、算出点Pt−1の位置として、Harris operator(「C.Harris and M.Stephens(1988).“A combined corner and edge detector”.“Proceedings of the 4th Alvey Vision Conference”. pp.147-151」参照。)等を用いて、複数の画像間の対応する点の対応が取りやすい位置を適用してもよい。
【0072】
また、図9(2)に示すように、移動量算出部24Bは、各算出点Pt−1について、時刻tにおけるオプティカルフローV(={vx、vy})を各々算出する。ここで、上記vxはオプティカルフローVのx成分(水平方向の成分)を表し、上記vyはオプティカルフローVのy成分(垂直方向の成分)を表す。なお、本実施の形態では、オプティカルフローVの算出に用いる手法として、ブロックマッチング法を適用しているが、これに限定されない。例えば、該手法として、lucas-kanade法等の他の手法を適用してもよい。
【0073】
また、移動量算出部24Bは、移動量δyとして、オプティカルフローVのy成分(vy)の平均値を算出する。なお、本実施の形態に係る移動量算出部24Bは、該平均値を算出する際に、オプティカルフローVのy成分の値が正常値である範囲として予め定められた範囲外であるオプティカルフローV図9(2)に示すV)については算入しない。具体的には、例えば、移動量算出部24Bは、上記平均値を算出する際に、他のオプティカルフローVのy成分の値の平均値との差が、所定の範囲(例えば、該平均値の±50%の範囲)外であるオプティカルフローVについては算入しない。
【0074】
このように、本実施の形態では、移動量δyとして、オプティカルフローVのy成分の値の平均値を適用しているが、これに限定されない。例えば、移動量δyとして、オプティカルフローVのy成分の値の中央値を適用してもよい。
【0075】
本実施の形態に係る補正量算出部28Bは、過去の所定期間内における移動量積算部26により算出された移動量δyの積算値Sの時系列データに基づいて、補正量cを算出する。以下、図10及び図11を参照して、補正量算出部28Bによる補正量cの算出処理について詳細に説明する。なお、図10には、図3と同様に、積算値Sの時系列データが示されている。また、図11には、図4と同様に、図10に示した積算値Sの時系列データが破線で示されている。
【0076】
上記第1の実施の形態で前述した移動量δyに含まれる誤差は、一定の値であるとは限らない。そこで、本実施の形態では、図11に示すように、補正量算出部28Bは、過去の所定期間(図11の時刻t−t1から時刻t−t2までの期間)の上記所定期間間隔毎の各時刻に算出された積算値Sを、例えば最小二乗法等を用いて近似することにより、回帰直線Lを示す一次式を示す一次係数及び定数を算出する。そして、補正量算出部28Bは、該一次式を用いた外挿により、時刻tにおける補正量cを算出する。なお、図12には、図5と同様に、図11に示した積算値Sの時系列データを、上記所定期間間隔毎の各時刻において補正部30により補正したずれ量ΔYの時系列データが示されている。
【0077】
このように、本実施の形態では、積算値Sの時系列データを一次式に近似しているが、これに限定されない。例えば、積算値Sの時系列データを二次式等に近似してもよいし、過去の所定期間の積算値Sの時系列データから時刻tの補正量cを外挿により算出可能であれば、近似する手法は限定されない。
【0078】
次に、図13を参照して、本実施の形態に係る推定装置10Bの作用について説明する。なお、図13は、例えば車両12のイグニッションスイッチがオン状態とされた際にコンピュータ20BのCPUによって実行される推定処理プログラムの処理の流れを示すフローチャートである。また、図13における図7と同一の処理を実行するステップについては図7と同一のステップ番号を付して、その説明を省略する。
【0079】
図13のステップ104Bにおいて、移動量算出部24Bは、上記繰り返し処理における前回のステップ102の処理により取得された画像データから、該画像データにより示される画像It−1の領域Rt−1内の画像を示す画像データを抽出する。
【0080】
次のステップ106Bにおいて、移動量算出部24Bは、前述したように、上記ステップ104Bの処理により抽出された画像データにより示される領域Rt−1内のN個の上記予め定められた位置を算出点Pt−1の位置と決定する。そして、移動量算出部24Bは、前述したように、上記ステップ104Bの処理により抽出された画像データ、及び直前の上記ステップ102の処理により取得された画像データを用いて、各算出点Pt−1について、オプティカルフローVを算出する。
【0081】
次のステップ108Bにおいて、移動量算出部24Bは、前述したように、移動量δyとして、上記ステップ106Bの処理により算出された各算出点Pt−1のオプティカルフローVのy成分の平均値を算出する。
【0082】
その後、ステップ112Bにおいて、補正量算出部28Bは、前述したように、過去の所定期間内における移動量算出部24Bにより算出された移動量δyの積算値Sの時系列データに基づいて、補正量cを算出する。
【0083】
以上説明したように、本実施の形態によれば、上記第1の実施の形態と同様の効果を奏することができる。
【0084】
なお、上記第1の実施の形態において、上記第2の実施の形態のように、領域Rt−1として、上記消失点を含む領域を適用してもよい。また、上記第1の実施の形態において、上記第2の実施の形態のように、オプティカルフローVを用いて移動量δyを算出してもよい。また、上記第1の実施の形態において、上記第2の実施の形態のように、過去の所定期間内の積算値Sの時系列データを近似して、外挿により補正量cを算出してもよい。また、上記第2の実施の形態においても、移動量δyが長期間ほぼ0(零)である状態が継続した場合は、積算値Sを0(零)にリセットして、再度ステップ100の処理から推定処理プログラムを再度実行してもよい。
【0085】
また、上記各実施の形態では、撮像部14により車両12の前方の画像を撮像する場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、撮像部14により車両12の後方の画像を撮像する形態としてもよい。この場合、例えば、上記各実施の形態と同様に車両12のピッチ角を算出し、該ピッチ角の正負の符号を反転させた角度を車両12のピッチ角と推定する形態が例示される。
【0086】
また、上記各実施の形態と撮像部14により車両12の後方の画像を撮像する上記形態例とを組み合わせても良い。この場合、上記誤差を補正するための補正量cの絶対値が小さいほど、該誤差が小さいと考えられる。そこで、この場合、例えば、車両12の前方と後方とを各々撮像して得られた画像の各々を用いて算出された補正量cのうち、絶対値が小さい方の補正量cを用いて車両12のピッチ角を算出する形態が例示される。また、例えば、車両12のピッチ角として、車両12の前方と後方とを各々撮像して得られた画像の各々を用いて算出されたピッチ角の平均値を算出する形態も例示される。
【0087】
また、上記各実施の形態では、領域Rの形状として、矩形を適用した場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、撮像部14による撮像により得られた画像から、移動量δyを算出可能な形状であれば、円形、三角形等の他の形状でもよいことは言うまでもない。
【符号の説明】
【0088】
10A、10B 推定装置
12 車両
14 撮像部
20A、20B コンピュータ
22 撮像制御部
24A、24B 移動量算出部
26 移動量積算部
28A、28B 補正量算出部
30 補正部
32 推定部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13