(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ボスが、後方へオフセットされていることに加えて、少なくとも8mmだけ前記中心孔から上方へオフセットされている、請求項1に記載のリバースショルダープロテーゼ。
前記ボスは、後方へオフセットされていることに加えて、少なくとも8mmだけ前記中心孔から上方へオフセットされている、請求項10に記載のリバースショルダープロテーゼ。
前記ボスが、上方へオフセットされていることに加えて、少なくとも10mmだけ前記中心孔から後方へオフセットされている、請求項19に記載のリバースショルダープロテーゼ。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
リバースショルダー(反転型人工肩関節)は、回旋筋腱板断裂関節症(CTA)を患っている患者を治療するために、1970年代初頭に初めて考えられた。リバースショルダーは、解剖学的な陥凹部を逆にし、それによって浅窩を有する関節の構成要素を凸形に、上腕骨の関節の構成要素を凹形にし、上腕骨が上方へ移動するのを防止する固定された支点を生み出す。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本明細書に示す態様によれば、上腕骨の切除面付近に位置するように構成された上腕アダプタトレーと、上腕ライナと、を備えたリバースショルダープロテーゼであって、前記上腕アダプタトレーは、空胴と、中心孔と、ボスを含む遠位面とを備え、前記ボスは、(i)前記遠位面の延長として構成され、(ii)少なくとも10mmだけ前記中心孔から後方へオフセットされ、(iii)上腕軸に係合するように構成され、前記上腕ライナは、前記上腕アダプタトレーの前記空胴内に位置するように構成された遠位縁と、関節窩球の凸関節面に嵌り合うように構成された凹関節面と、を備えるリバースショルダープロテーゼが開示されている。一実施形態では、前記ボスは、後方へオフセットされていることに加えて、少なくとも8mmだけ前記中心孔から上方へオフセットされる。
【0005】
本明細書に示す態様によれば、関節窩プレートと、関節窩球と、上腕軸と、上腕骨の切除面付近に位置するように構成された上腕アダプタトレーと、上腕ライナと、を備えるリバースショルダープロテーゼであって、空胴と、中心孔と、ボスを含む遠位面とを備え、前記ボスは、(i)前記遠位面の延長として構成され、(ii)少なくとも10mmだけ前記中心孔から後方へオフセットされ、(iii)上腕軸に係合するように構成され、前記上腕ライナは、前記上腕アダプタトレーの前記空胴内に位置するように構成された遠位縁と、関節窩球の凸関節面に嵌り合うように構成された凹関節面とを備えるリバースショルダープロテーゼが開示されている。一実施形態では、ボスは、後方へオフセットされていることに加えて、少なくとも8mmだけ中心孔から上方へオフセットされる。
【0006】
本明細書に示す態様によれば、上腕骨の切除面付近に位置するように構成された上腕アダプタトレーと、上腕ライナと、を備えるリバースショルダープロテーゼであって、前記上腕アダプタトレーは、空胴と、中心孔と、ボスを含む遠位面とを備え、前記ボスは、(i)前記遠位面の延長として構成され、(ii)少なくとも8mmだけ前記中心孔から上方へオフセットされ、(iii)上腕軸に係合するように構成され、前記上腕ライナは、前記上腕アダプタトレーの前記空胴内に位置するように構成された遠位縁と、関節窩球の凸関節面に嵌り合うように構成された凹関節面とを備えるリバースショルダープロテーゼが開示されている。
【0007】
一実施形態では、本発明の上腕アダプタトレーは、少なくとも10mmから25mmの範囲の距離だけ上腕アダプタトレーの中心から後方オフセットされたボスを含む。一実施形態では、前記ボスは、少なくとも12mmから24mmの範囲の距離だけ上腕アダプタトレーの中心から後方へオフセットされている。一実施形態では、前記ボスは、少なくとも14mmから22mmの範囲の距離だけ上腕アダプタトレーの中心から後方へオフセットされている。一実施形態では、前記ボスは、少なくとも16mmから20mmの範囲の距離だけ上腕アダプタトレーの中心から後方へオフセットされている。一実施形態では、前記ボスは、18mmだけ上腕アダプタトレーの中心から後方へオフセットされている。一実施形態では、前記ボスは、22mmだけ上腕アダプタトレーの中心から後方へオフセットされている。一実施形態では、前記ボスは、25mmだけ上腕アダプタトレーの中心から後方へオフセットされている。
【0008】
一実施形態では、本発明の上腕アダプタトレーは、少なくとも8mmから25mmの範囲の距離だけ上腕アダプタトレーの中心から上方オフセットされたボスを含む。一実施形態では、前記ボスは、少なくとも9mmから24mmの範囲の距離だけ上腕アダプタトレーの中心から上方へオフセットされている。一実施形態では、前記ボスは、少なくとも10mmから23mmの範囲の距離だけ上腕アダプタトレーの中心から上方へオフセットされている。一実施形態では、前記ボスは、少なくとも11mmから20mmの範囲の距離だけ上腕アダプタトレーの中心から上方へオフセットされている。一実施形態では、前記ボスは、8mmだけ上腕アダプタトレーの中心から上方へオフセットされている。一実施形態では、前記ボスは、10mmだけ上腕アダプタトレーの中心から上方へオフセットされている。一実施形態では、前記ボスは、12mmだけ上腕アダプタトレーの中心から上方へオフセットされている。
【0009】
本発明の上腕アダプタトレーの前記ボスは、前記ボスを通るように配置されたトルク規定ねじ、ねじ、又は他の締結デバイスを使用して、上腕軸内へ挿入して該軸に取り付けることができる。本発明の上腕アダプタトレーは、それだけに限定されるものではないがエキノックス(Equinoxe)(商標)リバースショルダーアセンブリの構成要素を含めて、1次押し嵌め、1次セメント接合、及びセメント接合された修正版/長軸の上腕軸及びリバースショルダーの構成要素と嵌り合うことができる。
【0010】
一実施形態では、本発明の後方/上方オフセット型上腕トレーは、回旋中心を後方へシフトさせ、残りの回旋筋腱板筋の回旋筋モーメントアームをさらに伸張させて増大させ、内旋及び外旋を容易にする。
【0011】
一実施形態では、本発明の埋め込まれた上腕アダプタトレーは、リバースショルダーによって外旋筋の機能を改善するために、後方回旋筋腱板の外旋筋モーメントアームを増大させる。
【0012】
本開示の実施形態について、添付の図面を参照しながらさらに説明する。図示の図面は、必ずしも原寸に比例するわけではなく、概して、本開示の実施形態の原理を示すことに重点を置いている。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図3】「ノンオフセット型(non-offset)」上腕アダプタトレーを有するフロリダ州ゲインズビルのイグザクテック社製のエキノックス(商標)リバースショルダーアセンブリの構成要素を示す図である。
【
図4】
図4A、
図4B、
図4C、及び
図4Dは、本発明の後方へずれた上腕アダプタトレーの一実施形態の四つの図である。後方オフセット型上腕アダプタトレーは、
図3に示すエキノックス(商標)リバースショルダーアセンブリのノンオフセット型上腕アダプタトレーの代わりに使用することができる。
【
図6】
図6A、
図6B、及び
図6Cは、腕を肩甲骨面内で約15°外転させたときの上腕骨内に移植された
図4A〜Dの後方オフセット型上腕アダプタトレーのコンピュータ筋肉モデルアセンブリを示す図である。図示のように、上腕アダプタトレーは、上腕骨の切除面付近に位置するように構成される。
【
図7】
図4の後方オフセット型上腕アダプタトレーが上腕骨内に埋め込まれたときの後方回旋筋腱板の回旋筋モーメントアームの長さを増大させたコンピュータ筋肉モデルアセンブリを示す図である。図示のように、上腕アダプタトレーは、上腕骨の切除面付近(その上方)に位置するように構成される。
【
図8】
図8A、
図8B、及び
図8Cは、腕を肩甲骨面内で約15°外転させたときの上腕骨内に埋め込まれたノンオフセット型リバースショルダーの上腕アダプタトレーのコンピュータ筋肉モデルアセンブリを示す図である。図示のように、上腕アダプタトレーは、上腕骨の切除面付近(その上方)に位置するように構成される。
【
図9】
図9A、
図9B、及び
図9Cは、腕を肩甲骨面内で約15°外転させたときの通常の肩のコンピュータ筋肉モデルアセンブリを示す。
【
図10】
図10A及び
図10Bは、本発明の後方/上方オフセット型上腕アダプタトレーの一実施形態の二つの図である。後方/上方オフセット型上腕アダプタトレーは、
図3に示すエキノックス(商標)リバースショルダーアセンブリのノンオフセット型上腕アダプタトレーの代わりに使用することができる。
【
図11】
図11A及び
図11Bは、本発明のリバースショルダーアセンブリを示す図である。
図10A及び
図10Bの後方/上方オフセット型の上腕アダプタトレーが、
図3に示すエキノックス(商標)リバースショルダーアセンブリの様々な他の構成要素とともに使用されている(ノンオフセット型上腕トレーの代わりに後方/上方オフセット型上腕アダプタトレーが使用される)。
【
図12】コンピュータ筋肉モデルにおける
図11のリバースショルダーアセンブリの上方-下方図である。ただし、上腕結節の位置がより後方へ移動していることに留意されたい。図示のように、上腕アダプタトレーは、上腕骨の切除面付近(その上方)に位置するように構成される。
【
図13】
図13A及び
図13Bは、起始点から着点までの三つの線としてシミュレートされた八つの筋肉のコンピュータモデルを示す図であり、肩甲骨面内で25°外転させた通常の肩の前方の図(左)及び後方の図(右)である。
【
図14】
図14A及び
図14Bは、固定の肩甲骨に対して、
図11A及び
図11Bのリバースショルダーアセンブリを肩甲骨面内で0°から80°まで外転させた状態(0°の傾斜、20°の上腕後傾)をシミュレートするコンピュータモデルを示す図である。図示のように、上腕アダプタトレーは、上腕骨の切除面付近(その上方)に位置するように構成される。
【
図15】
図15A及び
図15Bは、固定の肩甲骨に対して、
図11A及び
図11Bのリバースショルダーアセンブリを40°内旋(左)及び外旋(右)させた状態をシミュレートするコンピュータモデルを示す図である。図示のように、上腕アダプタトレーは、上腕骨の切除面付近(その上方)に位置するように構成される。
【
図16】
図16A、
図16B、及び
図16Cは、後方回旋腱板筋(たとえば、棘下筋及び小円筋)の外旋モーメントアームが、解剖学的な肩と、標準のエキノックス(商標)リバースショルダーアセンブリ(ノンオフセット型上腕アダプタトレーを有する)と、
図11A及び
図11Bの逆肩アセンブリ(後方/上方フセット型上腕アダプタトレーを有する)との間でどのように変化するかを示す画像である。図示のように、上腕アダプタトレーは、上腕骨の切除面付近(その上方)に位置するように構成される。
【
図17】
図17A、
図17B、及び
図17Cは、肩甲骨面内の0°から140°までの外転(x軸)に対して、標準のリバースショルダーのモーメントアームと、後方/上方オフセット型リバースショルダーのモーメントアーム、すなわち前方(
図17A)、中央(
図17B)、及び後方(
図17C)の三角筋の外転筋モーメントアーム(y軸)との比較を示す図である。
【
図18】
図18A、
図18B、及び
図18Cは、肩甲骨面内の0°から140°までの外転(x軸)に対して、標準のリバースショルダーと後方/上方オフセット型リバースショルダーのモーメントアーム、すなわち肩甲下筋(
図18A)、大円筋(
図18A)、及び大胸筋(
図18C)の外転筋モーメントアーム(y軸)との比較を示す図である。
【
図19】
図19A及び
図19Bは、肩甲骨面内の0°から140°までの外転(x軸)に対して、標準のリバースショルダーのモーメントアームと、後方/上方オフセット型リバースショルダーのモーメントアーム、すなわち棘下筋(
図19A)及び小円筋(
図19B)の外転筋モーメントアーム(y軸)との比較を示す図である。
【
図20】
図20A、
図20B、及び
図20Cは、腕が30°外転した状態の-30°(IR)から60°(ER)まで(x軸)に対して、標準のリバースショルダーのモーメントアームと、後方/上方オフセット型リバースショルダーのモーメントアーム、すなわち前方(
図20A)、中央(
図20)、及び後方(
図20C)の三角筋の回旋筋モーメントアーム(y軸)との比較を示す図である。
【
図21】
図21A、
図21B、及び
図21Cは、腕が30°外転した状態の-30°(IR)から60°(ER)まで(x軸)に対して、標準のリバースショルダーのモーメントアームと、後方/上方オフセット型リバースショルダーのモーメントアーム、すなわち肩甲下筋(
図21A)、大円筋(
図21B)、及び大胸筋(
図21C)の回旋筋モーメントアーム(y軸)との比較を示す図である。
【
図22】
図22A及び
図22Bは、腕が30°外転した状態の-30°(IR)から60°(ER)まで(x軸)に対して、標準のリバースショルダーのモーメントアームと、後方/上方オフセット型リバースショルダーのモーメントアーム、すなわち棘下筋(
図22A)及び小円筋(
図22B)の回旋筋モーメントアーム(y軸)との比較を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
上記で特定した図面は本開示の実施形態について記載しているが、詳解に記載のように、他の実施形態も企図される。本開示は、限定ではなく説明を目的として、例示的な実施形態を提示する。本開示の実施形態の原理及び趣旨の範囲に入る多数の他の変形例及び実施形態を、当業者であれば考案することができる。
【0015】
本発明の詳細な実施形態について本明細書に開示するが、開示の実施形態は、様々な形式で実施できる本発明の単なる例示であることを理解されたい。また、本発明の様々な実施形態に関連して与えられる例はそれぞれ、限定ではなく例示を目的とするものである。さらに、図は必ずしも一定の縮尺ではなく、特定の構成要素の詳細を示すために、いくつかの特徴が誇張されていることがある。したがって、本明細書に開示する特有の構造上及び機能上の詳細は、限定的と解釈されるべきではなく、本発明を様々な形で用いることができるように当業者に教示するための例示にすぎない。
【0016】
本明細書において、「三角筋のラッピング」という用語は、上腕骨の大結節の周りを三角筋が覆う量の評価基準を指し、その角度は、三角筋が大結節を覆わなくなるまでに必要とされる上腕面内の外転の量を定義する。
【0017】
本明細書において、各筋肉の「筋肉の伸張」は、所与のタイプの運動に対する各関節構造における筋肉の長さと、同じタイプの運動に対する通常の肩における筋肉の長さとの比較として測定される。
【0018】
筋肉は直線の力を生成し、これらの力は、関節の回旋中心と筋肉の作用線との間の垂直距離に比例してトルクに変換される。本明細書において、この垂直距離を、「筋肉のモーメントアーム」と呼ぶ。
【0019】
外旋の損失(及び過度の内旋)により、腕を持ち上げながら腕を中立の回旋で維持する患者の能力が損なわれ(たとえば、ホーンブロワのサイン(hornblower’s sign)の診断が陽性である)、握手、飲食、及び洗髪を含む日常生活の多くの動作が妨げられる。
図1Dに示すように、広背筋の起始点は胸郭であり、その着点は外科頚の下の前方上腕骨に位置する。
図1Bに示すように、大円筋の起始点は後方肩甲骨であり、その着点は外科頚の下の前方上腕骨に位置する。
図1Cに示すように、大胸筋の起始点は胸郭及び内側鎖骨に位置し、その着点は外科頚の下の前方上腕骨に位置する。
図1Aに示すように、肩甲下筋の起始点は前方肩甲骨に位置し、その着点は小結節に位置する。
【0020】
後方三角筋だけでは横方向にしたリバースショルダーの設計を用いても有効な外旋を回復するのに不十分であるため、外旋に欠陥を有するリバースショルダーの患者には、筋移行術が勧められることが多い。概して、内旋筋(たとえば、上腕骨の前方側に付着する筋肉)が、関節回旋中心を回って上腕骨の後方側へ移行され、内旋筋の収縮が外旋を引き起こす。広背筋は、リバースショルダー関節形成術で移行される最も一般的な筋肉であり、上腕骨の前方骨幹から取り外されて、大結節に再び取り付けられる。別の一般的な筋移行術は、L'Episcopo変法であり、広背筋と大円筋の両方が大結節へ移行される。筋移行術は、有効な外旋の回復に成功することが実証されてきたが、小円筋が機能している場合は実行されるべきではない。加えて、そのような手順は、有効な内旋を制限し、さらに通常の生理学的な機能に対する各肩筋肉の関係を変えることを理解されたい。
【0021】
図2A〜2Cは、胸部の二つの外旋筋、すなわち小円筋(
図2A)及び棘下筋(
図2B)、並びに三角筋(
図2C)の図を示す。
図2Aに示すように、小円筋の起始点は肩甲骨の外側縁に位置し、その着点は大結節の下方部分に位置する。
図2Bに示すように、棘下筋の起始点は後方肩甲骨に位置し、その着点は大結節の上方部分に位置する。
【0022】
図3は、フロリダ州ゲインズビルのイグザクテック社製のエキノックス (商標)標準リバースショルダーアセンブリ100の構成要素を示す。エキノックス(商標)標準リバースショルダーアセンブリ100は、(a)誘導性/伝導性の骨移植片を使用して関節窩の固定を改善し、骨の「貫通成長」を可能にすることができるボーンケージと、(b)関節窩の中心で固定を行いながら、下方への関節窩球のオーバーハングも確実に生じさせ、それによって肩甲骨のノッチングを解消/最小化することを可能にすることができる下方へ移動させた関節窩プレートと、(c)関節窩球の挿入を支援することができ、あらゆる残りの無傷の軟組織を保護する関節窩球(一実施形態では、面取りした関節窩球)と、(d)可動域を改善し、関節窩球の下方へのオーバーハングを最大化して、肩甲骨のノッチングの可能性を最小化することができる拡張された関節窩球関節面と、(e)術中の適応性を提供する複数の上腕ライナ(標準及び拘束型)、上腕アダプタトレー(ボスが中心に位置するノンオフセット型)、及び関節窩球のオプションと、(f)インプラントの連結及び安定性を改善する上腕ライナ上の回旋防止機構と、(g)初期のエキノックス(商標)上腕軸を逆にする修正を容易にするプラットホーム上腕軸とを含む。ロッキングキャップが圧縮ねじを関節窩プレートに可変の角度でロックし(図示せず)、(h)湾曲した関節窩球/関節窩プレートは、骨を保護しながら、剪断力を圧縮力に変換することができ、(i)可変角の圧縮ねじは、骨に対して関節窩プレートを圧縮しながら、30度の角度変化を提供することができ、(j)解剖学的形状の関節窩プレートが、ねじの挿入に対する複数の選択肢を提供することができ、これは、ペグ及び/又はキールのある関節窩を逆に修正するときに特に重要である。トルク規定ねじは、上腕アダプタトレーを11N*mでロックする(図示せず)。
【0023】
図4A〜4Dは、本発明の後方オフセット型の上腕アダプタトレー200の一実施形態を示す。上腕アダプタトレー200は、上腕ライナを受け入れて回旋の安定性をもたらすように構成された非円形状の空胴202を含む。上腕アダプタトレー200は、ボス210を有する遠位面206を含み、ボスは、遠位面の延長として構成されている。ボス210は、ノブ、鋲、又は他の隆起若しくは延長部である。ボス210は、少なくとも10mmだけ上腕アダプタトレー200の中心から後方へオフセットされている。一実施形態では、ボス210は、少なくとも10mmだけ上腕アダプタトレー200の中心から後方へオフセットされている。一実施形態では、ボス210は、11mmから25mmまでの範囲の距離だけ上腕アダプタトレー200の中心から後方へオフセットされている。一実施形態では、ボス210は、12mmから24mmまでの範囲の距離だけ上腕アダプタトレー200の中心から後方へオフセットしている。一実施形態では、ボス210は、14mmから22mmまでの範囲の距離だけ上腕アダプタトレー200の中心から後方へオフセットしている。一実施形態では、ボス210は、16mmから20mmまでの範囲の距離だけ上腕アダプタトレー200の中心から後方へオフセットしている。一実施形態では、ボス210は、18mmだけ上腕アダプタトレー200の中心から後方へオフセットしている。一実施形態では、ボス210は、22mmだけ上腕アダプタトレー200の中心から後方へオフセットしている。一実施形態では、ボス210は、25mmだけ上腕アダプタトレー200の中心から後方へオフセットしている。一実施形態では、前記の後方オフセット型の上腕アダプタトレー200は、チタンから構築される。一実施形態では、上腕アダプタトレー200は、鍛造されたTi-6Al-4Vから機械加工される。一実施形態では、上腕アダプタトレー200は、メスのロッキングマッシュルーム224と横方向のオスの鳩尾型機構226とを備えるデュアルロッキング機構を特徴とする。一実施形態では、上腕アダプタトレー200は、回旋防止機構228を有する。回旋防止機構228は、上腕アダプタトレー200上に位置する非対称形のメスの傾斜面であり、その目的は、上腕ライナ250と上腕トレー200との間の回旋運動を防止することである。一実施形態では、上腕アダプタトレー200は、デュアルロッキング機構と回旋防止機構の両方を有する。
【0024】
図5A、
図5B、及び
図5Cは、本発明の上腕ライナ250の一実施形態の三つの図を示す。上腕ライナ250は、凸形の関節窩球と嵌り合う凹形の構成要素である。上腕ライナ250は、上腕アダプタトレー200の空胴202内に位置決めされて回旋の安定性をもたらすように構成された遠位縁252を含む。一実施形態では、遠位縁252は、上腕アダプタトレー200の空胴202の非円形の形状に嵌り合うように構成された非円形の形状を有する。一実施形態では、上腕ライナ250は、オスのロッキングマッシュルーム254と横方向のメスの鳩尾型機構256とを備えるデュアルロッキング機構を特徴とする。一実施形態では、上腕ライナ250は、回旋防止ベース258を特徴とする。回旋防止機構258は、上腕ライナ250上に位置する非対称形のオスの傾斜面であり、その目的は、上腕ライナ250と上腕トレー200との間の回旋運動を防止することである。一実施形態では、上腕ライナ250は、デュアルロッキング機構と回旋防止ベースの両方を特徴とする。一実施形態では、上腕ライナ250は、圧縮成型された超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)から機械加工される。
【0025】
後方オフセット型上腕アダプタトレー200は、上腕アダプタトレー200を上腕軸に締め付けるトルク規定ねじを使用して、上腕軸、たとえばエキノックス(商標)の上腕軸に取り付けることができる。トルク規定ねじは、ボス210を通って上腕アダプタトレー200の空胴202側に位置する。上腕ライナ250、たとえばエキノックス (商標)上腕ライナが、中心孔220を介して後方オフセット型上腕アダプタトレーに取り付けられる。上腕アダプタトレー200内の穴230が、カウンタートルクを提供するための機器に取り付けられる。後方オフセット型上腕アダプタトレー200は、ボス210を後方へシフトさせて、後方回旋筋腱板の外旋モーメントアームを増大させる。後方回旋筋腱板の外旋モーメントアームを増大させることで、回旋筋腱板断裂関節症を患う患者によく見られるような、機能はしているが弱い外旋筋を有する患者(たとえば、機能しない棘下筋を有するが機能している小円筋を有する患者)の機能が改善される可能性がある。
【0026】
後方オフセット型の上腕アダプタトレーを肩甲骨面内で外転させたときに、(エキノックス(商標)の標準リバースショルダーアセンブリのノンオフセット型リバースショルダーの上腕アダプタトレーに対し、)本発明の(エキノックス(商標)リバースショルダーアセンブリの一部である)後方オフセット型の上腕アダプタトレー200が筋肉の伸展/短縮、三角筋の伸長、並びに前方及び後方回旋筋腱板のモーメントアームに与える影響を評価するために、コンピュータ筋肉モデルが実行される。この分析では五つの筋肉、すなわち中央三角筋、後方三角筋、肩甲下筋、棘下筋、及び小円筋がシミュレートされる。各筋肉をシミュレートするために、上腕骨及び肩甲骨上の各筋肉の付着の中心が各骨モデル上でデジタル化され、各点を連結するための線が描かれた。組み立て後に、各部品を肩甲骨面内で外転させ、各筋肉の外転筋モーメントアーム、各筋肉の長さ、及び各筋肉の作用線を定量化することによって、通常の肩に対して評価した。筋肉の長さは、ユニグラフィックス(Unigraphics)で直接測定した。外転筋モーメントアームは、マトラボ(Matlab)のマトラボ(Matlab)(マスワークス社)を使用して計算し、肩甲骨面内の1.8°の上腕運動につき、肩甲骨面内で肩甲骨を1°回旋させた。
【0027】
表1に示すように、コンピュータモデルは、10mmだけ後方へオフセットしたボスを有する本発明の後方オフセット型上腕アダプタトレー(
図6A〜6C及び
図7)が、38mmエキノックス(商標)リバースショルダーと組み合わされたときに、ノンオフセット型上腕アダプタトレー(
図8A〜8C)に対して、棘下筋(通常の筋肉の長さの-2.2%から1.2%)及び小円筋(通常の筋肉の長さの-5.9%から0.9%)の解剖学的な張力をよりよく回復させることを実証した。
図6A〜6C及び
図7は、肩甲骨面内で約15°外転させたオフセット型上腕アダプタトレーを示し、
図8A〜8Cは、肩甲骨面内で約15°外転させたノンオフセット型上腕アダプタトレーを示すことに留意されたい。比較の目的で、
図9A〜9Cは、肩甲骨面内で約15°外転させた通常の肩を示す。表2に示すように、10mmだけ後方へオフセットしたボスを有する本発明の後方オフセット型上腕アダプタトレーは、通常の肩に対するノンオフセット型上腕アダプタトレーに関連する増大に対して、後方三角筋の外旋筋モーメントアームを2%、棘下筋の外旋筋モーメントアームを45%、小円筋の外旋筋モーメントアームを18%増大させた。
【0028】
表1は、上腕骨を肩甲骨面内で(固定の肩甲骨に対して)0度〜60度持ち上げたときの通常の肩に対する前方及び後方回旋筋腱板筋の平均の伸長である。
【0030】
表2は、上腕骨を肩甲骨面内で(固定の肩甲骨に対して)0度〜60度持ち上げたときの可変のリバースショルダーの通常の肩に対する回旋筋モーメントアームの平均長さである。
【0032】
一実施形態では、本開示のリバースショルダー上腕トレーは、リバースショルダープロテーゼ内で使用される。該リバースショルダープロテーゼは、以下の構成要素の少なくともいくつかを含むことができる。すなわち、上腕軸(押し嵌め及び/又はセメント接合の適用分野で使用することができ、チタンから構築することができる)、上腕ライナ(凸形の関節窩球と嵌り合う凹形の構成要素であり、UHMWPEから製作することができる)、関節窩球(コバルトクロムから製作することができる)、調整プレート(チタンから製作することができる)、ロッキングプレート(チタンから製作することができる)及び関節窩プレート(チタンから製作することができる)、並びに個々の構成要素を互いに組み立て、また構造体を本来の骨に組み合わせるための複数のねじ及び固定デバイス(すべてチタンから製作することができる)等の構成要素である。
【0033】
図10A及び
図10Bは、本発明の後方/上方オフセット型上腕アダプタトレー300の一実施形態を示す。上腕アダプタトレー300は、上腕ライナを受け入れて回旋の安定性をもたらすように構成された非円形状の空胴302を含む。上腕アダプタトレー300は遠位面306を含み、遠位面306は、遠位面の延長として構成されたボス310を有する。ボス310は、ノブ、鋲、又は他の隆起若しくは延長部である。一実施形態では、ボス310は、少なくとも10mmだけ上腕アダプタトレー300の中心から後方へオフセットしている。一実施形態では、ボス310は、約11mmから約25mmだけ上腕アダプタトレー300の中心から後方へオフセットしている。一実施形態では、ボス310は、約12mmから約24mmだけ上腕アダプタトレー300の中心から後方へオフセットしている。一実施形態では、ボス310は、約14mmから約22mmだけ上腕アダプタトレー300の中心から後方へオフセットしている。一実施形態では、ボス310は、約16mmから約20mmだけ上腕アダプタトレー300の中心から後方へオフセットしている。一実施形態では、ボス310は、約18mmだけ上腕アダプタトレー300の中心から後方へオフセットしている。一実施形態では、ボス310は、約22mmだけ上腕アダプタトレー300の中心から後方へオフセットしている。一実施形態では、ボス310は、約25mmだけ上腕アダプタトレー300の中心から後方へオフセットしている。一実施形態では、ボス310は、少なくとも8mmだけ上腕アダプタトレー300の中心から上方へオフセットしている。一実施形態では、ボスは、少なくとも8mmから25mmの範囲の距離だけ上腕アダプタトレー300の中心から上方へオフセットしている。一実施形態では、ボスは、少なくとも9mmから24mmの範囲の距離だけ上腕アダプタトレー300の中心から上方へオフセットしている。一実施形態では、ボスは、少なくとも10mmから23mmの範囲の距離だけ上腕アダプタトレー300の中心から上方へオフセットしている。一実施形態では、ボスは、少なくとも11mmから20mmの範囲の距離だけ上腕アダプタトレー300の中心から上方へオフセットしている。一実施形態では、ボスは、8mmだけ上腕アダプタトレー300の中心から上方へオフセットしている。一実施形態では、ボスは、10mmだけ上腕アダプタトレー300の中心から上方へオフセットしている。一実施形態では、ボスは、12mmだけ上腕アダプタトレー300の中心から上方へオフセットしている。
【0034】
図11A及び
図11Bに示すように、後方/上方オフセット型上腕アダプタトレー300は、ボス310を通して配置されたトルク規定ねじを使用して、エキノックス (商標)リバースショルダーアセンブリの上腕軸400に取り付けることができる。エキノックス (商標)リバースショルダーアセンブリの関節窩球500も示されている。上腕ライナ250、たとえばエキノックス(商標)の上腕ライナは、中心孔を介して後方オフセット型上腕アダプタトレーに取り付けられる。上腕アダプタトレー300内の穴が、カウンタートルクを提供するための機器に取り付けられる。後方オフセット型の上腕アダプタトレー300は、ボス310を後方へシフトさせることで、後方回旋筋腱板の外旋モーメントアームを増大させる。後方回旋筋腱板の外旋モーメントアームを増大させることで、回旋筋腱板断裂関節症を患う患者によく見られるような、機能はしているが弱い外旋筋を有する患者(たとえば、機能しない棘下筋を有するが機能している小円筋を有する患者)の機能が改善される可能性がある。
【0035】
一実施形態では、上腕アダプタトレー300は、チタンから製作される。一実施形態では、上腕アダプタトレー300は、鍛造されたTi-6Al-4Vから機械加工される。一実施形態では、上腕アダプタトレー300は、メスのロッキングマッシュルーム324と横方向のオスの鳩尾型機構326とを備えるデュアルロッキング機構を特徴とする。一実施形態では、上腕アダプタトレー300は、回旋防止機構328を有する。回旋防止機構328は、上腕アダプタトレー300上に位置する非対称形のメスの傾斜面であり、その目的は、上腕ライナ250と上腕トレー300との間の回旋運動を防止することである。一実施形態では、上腕アダプタトレー300は、デュアルロッキング機構と回旋防止機構の両方を有する。
【0036】
後方/上方オフセット型上腕アダプタトレー300は、上腕頭及び結節を後方へ平行移動させて(
図12)、後方回旋筋腱板筋をさらに伸張させ、(トルク能力を改善する)その外側モーメントアームを増大させ、上腕頭及び結節を上方へ平行移動させて、(リバースショルダー関節形成術で生じる)三角筋の過剰伸張を低減させる。
【0037】
38mmエキノックス (商標)の(ノンオフセット型上腕アダプタトレーを有する)標準リバースショルダーアセンブリ及び38mmエキノックス (商標)の(11mmだけ後方へオフセットされ、9mmだけ上方オフセットされたボスを有する)オフセット型リバースショルダーアセンブリが、幾何学的にモデル化され、3Dでデジタル化された肩甲骨及び上腕骨内に移植された。これには、3Dデジタルの鎖骨及び胸郭も含まれる(ワシントン州バション島のパシフィックリサーチラボラトリーズ社(Pacific Research Laboratories, Inc))。そして、デジタルの上腕骨と肩甲骨を組み立てて、この分析おける対照として機能する通常の肩をシミュレートした。上腕頭は、関節窩上で中心に位置合わせし、関節窩の中心から4mmだけオフセットさせて、軟骨及び関節唇の厚さを補償した。八つの筋肉、すなわち前方三角筋、中央三角筋、後方三角筋、肩甲下筋、棘下筋、大円筋、小円筋、及び大胸筋の鎖骨部分を、肩甲骨又は鎖骨上の起始点から上腕骨上の着点までの三つの線としてシミュレートした(
図13A及び
図13B)。
【0038】
38mmエキノックス(商標)のオフセット型リバースショルダーアセンブリ(11mmだけ後方へオフセットされ、9mmだけ上方へオフセットされたボスを有する)が各筋肉に与える生体力学的な影響の特性を示すために、各デバイスを関節窩上に全く同じように移植し、それにより上腕の構成要素を連続して20°後傾した向きにしたときに、関節窩の底板が関節窩の下縁に位置合わせされるようにした。組み合せ後、二つの運動、すなわち、1)外転(
図14A及び
図14B)、並びに、2)内旋/外旋(
図15A及び
図15B)をシミュレートした。外転をシミュレートするために、上腕の構成要素を肩甲骨面内で固定の肩甲骨に対して0°から80°まで外転させた。内旋/外旋をシミュレートするために、腕の外転を0°とした状態で、上腕の構成要素を内側へ40°及び外側へ40°回旋させた。
【0039】
シミュレートした各運動に対して、各運動度における筋肉を表す三つの線の平均長さとして、筋肉の長さを測定した。各運動度における各平均筋肉の長さを、通常の肩の対応する筋肉の長さの百分率として比較した。分かりやすくするために、正の百分率は通常の肩に比べた筋肉の伸長を示し、負の百分率は通常の肩に比べた筋肉の短縮を示す。また、通常の肩並びに標準及びオフセットのあるエキノックス (商標)リバースショルダーに対する安定性の尺度として、中央三角筋が大結節を覆わなくなる外転の角度を定量化した(たとえば、三角筋ラッピングがより小さいことは、関節窩内への上腕頭の圧縮が低減されたことを示唆する)。マトラボ(Matlab)(マスワークス社)のカスタムコードを使用して、モーメントアームを計算した。各筋肉に対して0°から140°の外転で、外転筋モーメントアームを計算した(マトラボ(Matlab)では、肩甲骨面内の1.8°の上腕運動につき肩甲骨を肩甲骨面内で1°回旋させたが、ユニグラフィックス(Unigraphics)では、肩甲骨は固定されたままであることに留意されたい)。腕が30°外転した状態で、-30°(IR)から60°(ER)の各筋肉に対して、回旋モーメントアームを計算した。
【0040】
表3に示すように、どちらのエキノックス(商標)リバースショルダーも、上腕トレーのオフセット又は位置にかかわらず、通常の肩に対して回旋中心(CoR)を内方及び下方へ移動させた。標準(ノンオフセット型上腕トレー)の場合、CoRのこの移動により、上腕骨が内方及び下方へ移動し、通常の肩に対して中央三角筋ラッピング角度が減少した。表4を参照されたい。オフセット型上腕トレーの場合、上腕骨はノンオフセット型上腕トレーに対して上方及び後方へ移動した。表3及び表4を参照されたい。
【0041】
表3は通常の肩に比べた各リバースショルダーの回旋中心の変化である
【0043】
表4は、上腕骨の内方/横方向の位置及び三角筋ラッピングに与える影響である。
【0045】
表5〜7に示すように、シミュレートした各運動に対して、エキノックス (商標)リバースショルダーはどちらも、通常の肩に対して三角筋の各頂部を伸長させ、内旋筋(肩甲下筋及び大円筋、ただし伸長された大胸筋を除く)を短縮させ、外旋筋(棘下筋及び小円筋)を短縮させた。表5に示すように、外転の際、エキノックス(商標)の後方/上方オフセット型の上腕トレーのリバースショルダー設計では、エキノックス (商標)の標準(ノンオフセット型)上腕トレーのリバースショルダー設計より、三角筋の三つの頂部の過剰伸張を小さくし、胸筋の伸張を大きくして、肩甲下筋、棘下筋、大円筋、及び小円筋の解剖学的な張力をさらに回復させた。内旋及び外旋中にも、同様の傾向が観察された。表6及び表7を参照されたい。
【0046】
表5は、各リバースショルダーを肩甲骨面内で0°から65°まで外転させたときの通常の肩に比べた筋肉の平均長さを示す。オフセット型上腕トレーは65°で上方へ当たり、それにより分析範囲が0°〜80°から低減されたことに留意されたい。
【0048】
表6は、腕の外転を0°とした状態で各リバースショルダーを0°から40°まで内旋させたときの通常の肩に比べた筋肉の平均長さを示す。
【0050】
表7は、腕の外転を0°とした状態で各リバースショルダーを0°から40°まで外旋させたときの通常の肩に比べた筋肉の平均長さを示す。
【0052】
図16A、
図16B、及び
図16Cは、後方回旋筋腱板筋(たとえば、棘下筋及び小円筋)の外旋モーメントアームが、解剖学的な肩と、標準のリバースショルダーと、本発明の後方/上方オフセット型のリバースショルダーとの間でどのように変化するかを示す画像である。
【0053】
肩甲骨面内で0°から140°への外転(1.8°の上腕運動につき肩甲骨の運動を1°とする)中の三角筋の三つの頂部、すなわち前方(
図17A)、中央(
図17B)、及び後方(
図17C)三角筋と、内旋筋、すなわち肩甲下筋(
図18A)、大円筋(
図18A)、及び大胸筋(
図18C)と、外旋筋、すなわち棘下筋(
図19A)及び小円筋(
図19B)の外転筋モーメントアームを、以下に提示する。
図17A、
図17B、及び
図17Cに示すように、標準の上腕トレー及び後方/上方オフセット型の上腕トレーは、肩甲骨面内の外転中、三角筋の三つの頂部のそれぞれの類似の外転筋モーメントアームに関連する。
図18A、
図18B、及び
図18Cに示すように、後方/上方オフセット型の上腕トレーは、肩甲骨面内の外転中、標準の(ノンオフセット型)上腕トレーに対して、内旋筋に対してわずかに大きい外転筋モーメントアームに関連し、肩甲下筋と大円筋の両方に対して約5mm大きく、大胸筋に対して約2.5mm大きい。
図19A及び
図19Bに示すように、後方/上方オフセット型の上腕トレーは、肩甲骨面内の外転中、標準の(ノンオフセット型)上腕トレーに対して、外旋筋に対してわずかに大きい外転筋モーメントアームに関連し、棘下筋と小円筋の両方に対して約5mm大きい。
図18A〜18C及び
図19A〜19Bに示すように、後方/上方オフセット型の上腕トレーは、ノンオフセット型トレーに対して上腕骨を上方へシフトさせる。そのため、
図18A〜18C及び
図19A〜19Bの各前方/後方の肩の筋肉は、(たとえば、0mmを横断する)外転の早い段階で内転筋から外転筋へ変換され、肩甲下筋は62°で変換され、棘下筋は43°で変換され、小円筋は110°で変換される。後方/上方オフセット型の上腕トレーが早い段階で各筋肉を内転筋から外転筋へ変換させ、三角筋に対する各筋肉の拮抗する挙動を制限し、それによって腕を持ち上げるのに必要とされる三角筋の力を低減させることによる潜在的な結果として、外転能力が改善される。
【0054】
腕が30°外転した状態で30°から0°への内旋及び0°から60°への外旋中の三角筋の三つの頂部、すなわち前方(
図20A)、中央(
図20)、及び後方(
図20C)と、内旋筋、すなわち肩甲下筋(
図18A)、大円筋(
図18A)、及び大胸筋(
図18C)と、外旋筋、すなわち棘下筋(
図19A)及び小円筋(
図19B)の内旋/外旋筋モーメントアームを、以下に提示する。
図20A〜20Cに示すように、標準の(ノンオフセット型)上腕トレーは、内旋中及び外旋の早い段階で、わずかに大きい(約4mm)前方三角筋の回旋モーメントアームに関連する。同様に、標準の(ノンオフセット型)上腕トレーも、内旋中、IR/ER回旋中のオフセット型上腕トレーに対して、わずかに大きい(約2mm)中央三角筋の回旋モーメントアームに関連する。逆に、後方/上方オフセット型上腕トレーは、内旋中及び外旋の早い段階で、IR/ER回旋中の標準の(ノンオフセット型)上腕トレーに対して、わずかに大きい(約3mm)後方三角筋の回旋モーメントアームに関連する。
図21A〜21Cに示すように、後方/上方オフセット型の上腕トレーは、内旋及び外旋中、わずかに大きい(約5mm)肩甲下筋及び大円筋の回旋筋モーメントアームに関連する。同様に、後方/上方オフセット型の上腕トレーは、外旋中、IR/ER回旋中の標準の(ノンオフセット型)上腕トレーに対して、わずかに大きい(約4mm)大胸筋の回旋筋モーメントアームに関連する。逆に内旋中は、標準の(ノンオフセット型)上腕トレーは、内旋中のIR/ER回旋中のオフセット型上腕トレーに対して、わずかに大きい(約4mm)大胸筋の回旋筋モーメントアームに関連する。
図22A及び
図22Bに示すように、後方/上方オフセット型の上腕トレー300は、内旋及び外旋中の標準の(ノンオフセット型)上腕トレーに対して、外旋筋に対してより大きい外転筋のモーメントアームに関連し、内旋中は棘下筋と小円筋の両方に対して約5mm大きく、外旋中は棘下筋と小円筋の両方に対して約10mm大きい。
図22A及び
図22Bは、両方の外旋筋のモーメントアームが運動範囲全体にわたって実質上増大したことを示す。表8及び表9を参照されたい。表8及び表9に示すように、腕を30度の内旋(IR)から60度の外旋(ER)へ回旋させたとき、後方/上方オフセット型のトレーは、標準のオフセットのある上腕トレーに対して、棘下筋に対して44%大きい外旋モーメントアームを生じさせる(28.3mm対19.6mm)。同様に、後方/上方オフセット型のトレーは、腕を30度の内旋から60度の外旋へ回旋させたとき、標準のオフセットのある上腕トレーに対して、小円筋に対して35%大きい外旋モーメントアームを生じさせる(30.1mm対22.3mm)。後方/上方オフセット型のトレーは、上腕骨を後方へ移動させるため、肩甲下筋及び大円筋の内旋能力は、それぞれ7.1mm及び9.5mmだけ低減され、棘下筋及び小円筋の外旋能力は、それぞれ8.6mm及び7.8mmだけ増大する。回旋の際、オフセット型上腕トレーにより、後方の肩の筋肉はより有効な外旋筋になった。外旋は日常生活の動作の多くに必要とされるため、外旋能力の改善は、外旋の欠陥を有する患者にとって重要であり、二つの外旋筋の回旋筋モーメントアームの長さを増大させるだけで、機能を回復するのに有利である。
【0055】
表8は、上腕骨を30°外転させ、30°IRから60°ERまで回旋させたときのノンオフセット型リバースショルダーの回旋モーメントアームを示す。
【0057】
表9は、上腕骨を30°外転させ、30°IRから60°ERまで回旋させたときのオフセット型リバースショルダーの回旋モーメントアーム(mm)を示す。
【0059】
リバースショルダー関節形成術によって解剖学的な陥凹部を逆にすることで、通常の肩に対してCoRの位置を根本的に変化させ、三角筋ラッピング、筋肉伸張、及び筋肉モーメントアームに関係する上腕骨の位置のシフトを生じさせる。リバースショルダーの上腕アダプタトレーをオフセットすることで、上腕骨が後方/上方方向にシフトし、その結果、外転と内旋/外旋の両方において、より良好な三角筋ラッピング、より大きい解剖学的な筋肉の伸張、及びより大きい筋肉モーメントアームが生じた。具体的には、後方/上方オフセット型の上腕アダプタトレーによって、エキノックス(商標)の標準の(ノンオフセット型)上腕アダプタトレーに対して、中央三角筋のラッピング角度が増大し、三角筋の三つの頭部の過剰伸張をより小さくすることが可能になり、胸筋の伸張をより大きくし、肩甲下筋、棘下筋、大円筋、及び小円筋の張力を解剖学的な張力付近まで回復した。さらに、後方/上方オフセット型の上腕アダプタトレーによって、内旋及び外旋筋の外転筋モーメントアームが外転中に増大し、後方三角筋、肩甲下筋、大円筋、小円筋、及び棘下筋の回旋筋モーメントアームが内旋及び外旋中に増大した。
【0060】
本発明の複数の実施形態について説明したが、これらの実施形態は限定ではなく例示のみを目的とし、多くの修正形態が当業者には明らかになることが理解される。たとえば、本明細書に記載した任意の要素を、任意の所望の寸法で提供することができ(たとえば、本明細書に記載した任意の要素を、任意の所望の特別設計の寸法で提供することができ、又は本明細書に記載した任意の要素を、小、中、大などの寸法「群」から選択される任意の所望の寸法で提供することができる)。さらに、構成要素の一つ以上は、以下のいずれかの材料から製作することができる。すなわち、(a)任意の生体適合材料(外科医の所望に応じて、この生体適合材料を処理して表面の骨の内方成長を可能にし、又は表面の骨の内方成長を防止することができる)、(b)プラスチック、(c)繊維、(d)高分子、(e)金属(チタンなどの純金属及び/又はTi-Al-Nb、Ti-6Al-4V、ステンレス鋼などの合金)、(f)これらの任意の組合せである。さらに、金属の構成は、機械加工された金属構成とすることができる。さらに、プロテーゼは、一つ以上のモジュラ要素を利用することができる。
【0061】
本明細書に引用したすべての特許、特許出願、及び公開されている参考文献は、全体として参照により本明細書に組み込まれている。所望される場合、上記で開示されたもの及び他の特徴及び機能、又はそれらの代替物のいくつかを組み合わせて、多くの他の異なるシステム又は応用例とすることができることが理解されよう。現在予期又は予測されていない様々な代替例、修正例、変形例、又は改善例を、当業者であれば後に実施することができ、これらもまた、以下の特許請求の範囲によって包含されるものとする。