特許第6184487号(P6184487)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6184487可視〜中波赤外線透過光学部品のためのシリカおよびフッ化物ドープ重金属酸化物ガラスおよびその製造
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6184487
(24)【登録日】2017年8月4日
(45)【発行日】2017年8月23日
(54)【発明の名称】可視〜中波赤外線透過光学部品のためのシリカおよびフッ化物ドープ重金属酸化物ガラスおよびその製造
(51)【国際特許分類】
   C03C 3/112 20060101AFI20170814BHJP
   C03C 4/10 20060101ALI20170814BHJP
   G02B 1/00 20060101ALI20170814BHJP
【FI】
   C03C3/112
   C03C4/10
   G02B1/00
【請求項の数】11
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2015-520383(P2015-520383)
(86)(22)【出願日】2013年6月25日
(65)【公表番号】特表2015-523958(P2015-523958A)
(43)【公表日】2015年8月20日
(86)【国際出願番号】US2013047496
(87)【国際公開番号】WO2014004435
(87)【国際公開日】20140103
【審査請求日】2016年4月6日
(31)【優先権主張番号】13/531,947
(32)【優先日】2012年6月25日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】507359579
【氏名又は名称】ショット コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】SCHOTT CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100099483
【弁理士】
【氏名又は名称】久野 琢也
(74)【代理人】
【識別番号】100156812
【弁理士】
【氏名又は名称】篠 良一
(72)【発明者】
【氏名】スィミ ジョージ
(72)【発明者】
【氏名】サリー ピュシロウスキ
【審査官】 飯濱 翔太郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭63−274638(JP,A)
【文献】 R. Stepien et al.,Nonlinear soft oxide glasses for microstructured optical fibers development,Proceedings of SPIE,2010年,Vol. 7746, 774619-1, p.1-8
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C03C 1/00−14/00
INTERGLAD
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
可視〜中波赤外線透過のために適したガラスであって、以下の成分をmol%で含む前記ガラス:
PbO 25−31
Bi23 8−12
Ga23 15−20
SiO2 40−44
PbF2 0−12
ZnF2 0−12
InF2 0−12
PbF2、ZnF2およびInF2の合計 5−12
【請求項2】
SiO2 42.00mol%、PbO 25.21mol%、Bi23 10.02mol%、Ga23 17.77mol%、およびPbF2 5.00mol%
を含む、請求項1に記載のガラス。
【請求項3】
以下の特性:
【表1】
[各々の値について、10%のずれが可能である]
を有する、請求項1に記載のガラス。
【請求項4】
以下の特性:
【表2】
[各々の値について、20%のずれが可能である]
を有する、請求項1に記載のガラス。
【請求項5】
3mm厚である、請求項1に記載のガラス。
【請求項6】
1cm厚である、請求項1に記載のガラス。
【請求項7】
成分を溶融すること、および急冷せずにガラスを形成することを含む、請求項1に記載のガラスの製造方法。
【請求項8】
2000g以上の量のガラスを単独のバッチで製造する、請求項に記載のガラスの製造方法。
【請求項9】
2kg〜2トンの量のガラスを単独のバッチで製造する、請求項に記載のガラスの製造方法。
【請求項10】
可視〜中波赤外線を透過させる方法であって、請求項1に記載のガラスを通じて前記線を透過させることを含む前記方法。
【請求項11】
請求項1に記載のガラスを含む、カメラ、検出器の窓、レンズ、ファイバー光学テーパー、IR透過ファイバーフェースプレート、フレキシブルファイバー光学イメージガイド、またはカスタムファイバーコンジットからなる群から選択される製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の要約
本発明は、可視スペクトルから中波赤外線(IR)スペクトルまで、例えば0.5〜5μmの波長範囲における光を、0.7〜1.0μmの近赤外範囲および3〜5μmの中波赤外範囲(MWIR)において高い透過率で透過するガラス材料に関する。かかる材料は、赤外線窓、ドーム、およびレンズ用途、並びにファイバー光学部品用途のために使用される。
【0002】
例えば、本発明のガラスを、ファイバー光学部品のテーパー技術におけるコアガラスとして使用することができる。かかる用途は、コアガラスおよびクラッドガラス(cladding glass)の使用を必要とする。コアガラスはIR透過性、例えば中波赤外光に対して透過性である。しかしながら、クラッドガラスは中赤外スペクトルにおいて不透明であり、そのことにより、大きなコア直径が必要とされる。
【0003】
コアおよびクラッドガラスの熱特性および物理的特性は、可能な限り類似しているべきである一方で、2つの間の屈折率の差は可能な限り大きく保たれるべきである。1.0に近い望ましい開口数(NA)を達成するためには、屈折率の大きな差が必要である。大きなNAを達成するために、コアガラスの屈折率は一般に2.0より大きくなければならない。しかしながら、クラッドガラスについての選択によっては、コアガラスの屈折率が例えば1.8未満であってもよく、それでもそのガラスは所望のNAをまだ達成できる。
【0004】
クラッドガラスは、好ましくは以下の特性を有する:
1) CTE(10-7/K) − 50、nd − 1.48、SP(0C) − 729、
2) CTE(10-7/K) − 92、nd − 1.56、SP(0C) − 630、または
3) CTE(10-7/K) − 91、nd − 1.57、SP(0C) − 574。
【0005】
本願において開示されるガラスは、ファイバーフェースプレート、コンジット(conduit)、フレキシブルイメージガイド等へと加工できるIR透過溶融型ファイバーバンドルにおいて使用するために適している。さらには、それらのガラスは、標準的な光学部品のための材料として、およびIR検出器またはカメラの窓として役立つことができる。
【0006】
本発明の課題は、特に中波赤外スペクトルにおいて、高い赤外線(IR)透過率を有し且つ好ましくは5.0μmより上の波長ですら良好な透過率を示す、可視〜赤外スペクトル内の光を透過できる「低コスト」の重金属酸化物ガラスを提供することである。達成される波長の透過は、好ましくは、0.5〜5μmの範囲内であり、この領域にわたって比較的平坦な透過率を有する。
【0007】
典型的には、中波赤外スペクトル内で高い赤外線(IR)透過率を有する重金属酸化物ガラスは、残留ヒドロキシル吸収のために3.0μm周辺では透過率の低下を示す。本発明の他の課題は、3.0μm周辺での透過率の低下が減少したガラスを提供することである。この領域における低下をもたらす要因は、製造の間にガラスに取り込まれるヒドロキシル基である。我々は、それらをほぼ完全に除去できることを実証する。
【0008】
ファイバー光学部品に関するさらなる課題は、熱的に安定であり、900℃未満の延伸温度(drawing temperature)を有し且つクラッドガラスのものよりも高い軟化点(SP)を有して「ハードコア・ソフトクラッド」の法則を満たす、重金属酸化物ガラスを提供することである。クラッドガラスは、適切な付着を有するために、コアの周りで崩壊する必要がある。
【0009】
重金属酸化物ガラスは多くの場合、高いIR透過率を必要とする用途のために使用される。しかしながら、そのようなガラスは高密度を有し、そのことは、軽量の光学材料が望まれる場合には典型的には魅力的ではない。従って、さらなる課題は、文献内で典型的に見出されるものよりも低い密度を有するIR透過のための重金属酸化物ガラスを提供することである。
【0010】
それらの課題は、本発明によるガラスによって解決される。本発明によれば、シリカおよびフッ化物を含有する重金属酸化物ガラス組成物が提供される。本発明によるガラスは、密度の減少を達成する一方で、同時に透過水準および屈折率の値をIR透過用途のために望ましい範囲内に保持する。
【0011】
さらに、重金属酸化物ガラス組成物内のSiおよびフッ化物の存在は、有利なことに、ガラス転移温度Tgおよび軟化点を150℃より多く高める。より高いTgは魅力的であり、なぜなら、それは標準的な条件下での被覆および加工のために、ガラスが加工され得ることを意味するからである。より高い軟化点は有利であり、なぜなら、それは延伸工程のために必要な硬さをもたらすからである。溶融型ファイバーバンドルについて、ガラスは延伸、および複数回、再延伸される必要があり、そのことにより、組成物が低い結晶化傾向を有する必要があり、ひいては標準的な加工条件下での安定性が極めて重要である。
【0012】
光学的改善および熱的改善の他のさらなる利点は、安価な原材料の使用、加工の容易さ、大量の製造条件下での安定性を含む。それらの組成物中のフッ化物成分については、ガラス中に安定に組み込まれることが判明しており、透過領域(transparency window)をさらに改善することができる。
【0013】
本発明の態様によれば、以下(mol%に対する)を含むPb、Bi、Si、GaおよびFに基づく重金属酸化物ガラス組成物が提供される:
【表1】
【0014】
最終的なガラス製品からOH含分を効果的に除去するためには、少なくとも1mol%のフッ化物、好ましくはPbF2が必要とされる。より好ましくは、2質量%より多くのフッ化物が使用される。
【0015】
本発明のガラスは、主成分としてPb、Bi、Ga、SiおよびFを含有する。追加的な成分はZnおよびInを含む。追加的な成分は、アルカリ金属、例えばNaを含むことができる。該ガラスはさらに、追加的な金属およびメタロイド、例えばAs、GeおよびSb、並びに様々なランタノイド、例えばLaおよびNbを含むことができる。追加的にTeを含むことができる。AlF3およびSrF2は他の可能な成分である。範囲は組成に依存する。GeおよびTeは典型的には20〜40%の範囲であり、La、Naは5〜10%の範囲であり、AsおよびSbは5mol未満であるべきである。ZnおよびInは、典型的には0〜15、例えば1〜10%、例えば5%で、酸化物またはフッ化物の形態であってよい。AlF3およびSrF2は一般には0〜15、例えば1〜10%、例えば5%存在する。
【0016】
一般には、該成分をその酸化物の形態、例えばSiO2、PbO、Bi23およびGa23の形態でガラス組成物に添加する。しかしながら、フッ素化形態、例えばPbの一部をPbF2の形態で添加することも可能である。フッ素を他のフッ化物成分の形態でInF2およびZnF2として添加することもできる。
【0017】
特段記載されない限り、%の値はmol%に関する。
【0018】
PbOについての好ましい範囲は、20〜40mol%、より好ましくは22〜35%、さらにより好ましくは25〜31%、例えば20、21、22、23、24、25、26、28、30、32、34、36、38、39または40mol%である。より多い量のPbOは、IR透過をより高波長へとシフトさせるが、同時に、ガラスの密度を増加させる。より高い密度のガラスが最終用途にとって受け容れ可能であるならば、PbOの量はより高くても、例えば45または50%、もしくはさらに上であってもよい。
【0019】
Bi23についての好ましい範囲は、5〜20mol%、より好ましくは8〜12%、さらにより好ましくは約10%、例えば5、6、7、8、9、11、12、13、15、17、18、19または20mol%である。より多い量のBi23は加工の間、るつぼへの損傷を引き起こす傾向がある。しかしながら、そうでなければより多くの量、例えば約30%まで、または35%でさえも可能である。
【0020】
Ga23についての好ましい範囲は、10〜30mol%、より好ましくは12〜25%、さらにより好ましくは15〜20%、例えば11、12、13、14、16、18、21、22、23、24、25、26、28または30mol%である。より多い量のGa23が可能であるが、一般に、この成分の量はコストに基づく好ましい範囲に限定される。
【0021】
1つの実施態様において、Gaの一部を、例えば約半分までInで置換することができる。
【0022】
SiO2についての好ましい範囲は、30〜50mol%、より好ましくは35〜45%、さらにより好ましくは40〜44%、例えば30、31、32、33、34、35、36、38、40、42、44、46、48、49または50mol%である。より多い量のSiO2は、IR透過をより低波長へとシフトさせるが、同時に、ガラスの密度を有利に減少させる。従って、SiO2の量は一般に、密度とIR透過における受け容れ可能なシフトとの間の望ましいバランスによって制御される。
【0023】
例えばPbF2、InF2および/またはZnF2の形態で添加されるフッ化物の総量についての好ましい範囲は、1〜20%、より好ましくは5〜15%、さらにより好ましくは8〜12%、例えば2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19または20mol%である。フッ化物は、重金属フッ化物ガラスにおいて、酸化物ベースのガラスにおいて典型的なヒドロキシル(OH)基と関連する吸収帯域を低下させるために有利であることが公知である。しかしながら、より多量のフッ化物の添加は一般に、製造における困難を引き起こし且つ多くの場合、結晶化を回避するため、急冷を含む特殊な加工技術が必要とされる。従って、典型的な重金属フッ化物ガラスは少量のフッ化物を含有し、それは前記の低い濃度で既に、OHに関連する吸収バンドの低下において有利である。典型的には1mol%未満が使用される。
【0024】
しかしながら意外なことに、本発明に関連して、本願のガラスは、結晶化することなく且ついかなる特殊な加工技術も用いずに、例えば製造工程が急冷を必要とせずに、より多量のフッ化物を組み込むことができることが発見された。開示されるガラスにおけるそのようなより多量のフッ化物は意外なことに、有利な物理的特性(例えば密度)を有する安定なガラスをもたらす一方で、高いIR透過率を有するガラスを提供する。例えば、開示される組成物の鉛の半分までが、その酸化物の形態の代わりに、PbFの形態で添加されることができる。加工の間にいくらかのフッ化物がガラス組成物を離れることがある一方で、本願内で開示されるようなより多い量では、著しい量がガラス製品中に残留することが確実になる。
【0025】
1つの実施態様において、ガラスはアルカリ土類元素を含まない。
【0026】
さらなる実施態様において、ガラスはCdまたはBa、特にCdを含まない。Cdは、毒性が高いことが知られており、従って一般には回避されるべきである。微量のCdでさえも、産業設備では深刻な健康上の影響または死亡にすらつながる過剰曝露を引き起こすとみなされることがある。
【0027】
以下に引用されるStepienらのガラス組成物は、40%のSiO2、30%のPbO、10%のBi23、13%のGa23、および7%のCdOとして開示されている。このガラスの試料は、環境上の懸念により、変更された形態で、即ちCdをZnで置き換えることによって製造された。CdおよびZnは物理的特性における類似性を有することが公知である、即ち、それらは両方とも12族元素であり且つ標準条件下で固体の金属である。従って、ZnはCdについての受け容れ可能な置換物である。このガラスの試料は、本発明のガラスと比較して柔らかすぎることが判明した。従って、そのようなガラスは、高いNAが必要ではない場合の標準的なファイバーのためのクラッドガラスとして、およびコアガラスとしても有用であるかもしれない。
【0028】
本発明のさらなる課題は、本発明によるガラスの製造方法であって、製造が容易であり且つガラスの大量生産のために適した方法を提供することである。本願における実施例は、以下に記載されるとおりのそのような方法によって製造された。
【0029】
実施例
市販の供給業者からの試薬等級の粉末をバッチ処理し、混合した。典型的なバッチ量は2000g以上である。混合された組成物を、誘導炉内のフューズドシリカまたはPtのるつぼのいずれか内で溶融し、且つ、その溶融は空気中である。溶融温度は典型的には1150℃〜1200℃の間であり、且つ、最初の溶融時間は典型的には25分〜1時間の間であった。調査用の溶融物を通常のステンレス鋼の鋳型(110mm×110mm×40mm)に傾けて注ぎ、且つアニールした。この発明内で開示される組成物のいずれについても、失透を防ぐための急冷方法は必要ではなかった。
【0030】
特定の組成が上述の工程技術について安定であると見出された場合、より多くの溶融物を10kgまたはより多くのバッチ量で実施する。液化されたバッチ材料を、1〜3時間清澄する。清澄工程は、均一にするための撹拌、ヒドロキシル含分を除去するための乾燥O2またはN2のバブリングを含む。ステンレス鋼の鋳型内に1100℃で傾けて注ぐことによって、成形を実施する。Tgより上の温度でアニールを行い、且つ室温に冷却する。多量のガラスをこの方法で製造できる。
【0031】
当該技術分野においてガラスのより少ないバッチをより大きなバッチにするには、加工上の要請が著しく変化する。小さなバッチは、急冷を用いなくてもそれ自体で、必ずしも結晶化をすることなく、例えば急冷以外の他の技術を使用することによって、例えば少量のガラスを典型的には薄いシート状で注いで冷却する冷たい鋼板を使用することによって、速く冷却することができる。しかしながら、本願内で開示されるようなより大きなバッチ、例えば2,000g以上、例えば3kg、4kg、5kg、8kg、10kg、15kgおよび大量生産量までの全ての過程、例えば100kg、200kg、500kg、さらに1トンまたは数トンについては、そのような他の冷却方法は不充分且つ/または実用的ではない。また、より厚いガラス片、例えば数mm厚、例えば2mm厚より上、4mm厚〜数センチメートル厚、例えば1、2、3、4、5、10cm厚については、冷たい鋼板によってもたらされる冷却は結晶化を回避するためには不充分である。しかしながら意外なことに、本発明のガラスでは、ガラスの大きなバッチでさえも、結晶化を回避しながら急冷を回避することができる。
【0032】
ファイバー加工のために、Pt製の縦樋(downpipe)および鋼製のバーの鋳型を使用する。注入温度を縦樋の直径およびガラスの粘度に従って制御する。
【0033】
該組成物は、脈理および包含物のない安定且つ透明なガラスを形成するために、特別な加工または急冷を必要としない。
【0034】
以下の表は、上記の開示に従って加工されたガラスについての結果を示す。
【0035】
表1 従来技術の文献と比較した新規のIRガラスのガラス組成(mol%)
【表2】
【0036】
表2 従来技術のガラスと比較した新規のガラスについて測定された特性。熱特性および物理的特性は、元の組成物へのシリカおよびフッ化物の添加で著しく改善されたことが示される。
【0037】
【表3】
【図面の簡単な説明】
【0038】
図1図1は、従来技術のガラスIR1−3およびIR1−SiPbFの透過スペクトルの比較を図示する。該曲線は2.00mm厚の試料について示される。透過領域を測定するために、2つの異なる機器が使用される。プロットは、パーセントでの透過率を示す。測定のために使用される機器は、短い方の波長についてはPerkin Elmer Lambda 900 UV/VIS/NIR分光計であり、長い方の波長についてはPerkin Elmer Spectrum GX FT−IRシステムである。プロット中の途切れているところは、機器の変化を示す。
図2図2は、本願内で開示されるとおりの標準的な溶融、清澄および流し込み工程を用いて製造された長いバー(27インチの長さ)での新規組成物の安定性を示す。
【0039】
好ましい態様において、本発明は以下を含む:
22〜35%のPbOを含有するガラス;
8〜12%のBi23を含有するガラス;
12〜25%のGa23を含有するガラス;
35〜45%のSi22を含有するガラス;
合計5〜15%のPbF2、InF2および/またはZnF2を含有するガラス;
以下を含有するガラス
【表4】
ここで、各々の量について10%または20%のずれが可能である;
以下の特性を有するガラス
【表5】
ここで、各々の値について10%または20%のずれが可能である;
3mmまたは1cm厚であるガラス;
成分を溶融すること、および急冷することなくガラスを形成することを含む、本願内で開示されるガラスの製造方法;
成分を溶融すること、および、急冷せずにガラスを形成することを含み、その際、2000g以上、例えば2トンの量のガラスが単独のバッチで製造される、本願内で開示されるガラスの製造方法;
本願内で開示されるガラスを通じて、可視〜中波赤外線を透過させるための方法; および
本願内で開示されるガラスを含有する様々な製品、例えばカメラ、検出器の窓、レンズ、ファイバー光学テーパー、IR透過ファイバーフェースプレート、フレキシブルファイバー光学イメージガイド、またはカスタムファイバーコンジット。
【0040】
さらなる詳述がなくても、当業者は先の記載を使用して、本発明を最大の範囲まで利用することができると考えられる。従って、先の好ましい特定の実施態様は、単に例示的なものであり、且つ、本開示の残りをいかようにも限定するものではないと解釈されるべきである。
【0041】
先の例を、一般に若しくは特定に記載された反応物質、および/または先の例において使用されたものについての本発明の作業条件を置き換えても、同様にうまく繰り返すことができる。
【0042】
先の記載から、当業者は本発明の本質的な特徴を容易に確認することができ、且つ、本発明の主旨および範囲から逸脱することなく、本発明を様々な用途および条件に適合させるための様々な変更および修正を行うことができる。
【0043】
関連する可能性のある重金属酸化物ガラスを教示する多数の文献を列挙する:
【0044】
本願内で引用される全ての出願、特許および刊行物の開示の全ては、参照をもって本願内に含まれるものとする。
図1
図2