特許第6184498号(P6184498)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6184498スイッチキャビネットを冷却するための熱交換器に対応する冷却設備
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6184498
(24)【登録日】2017年8月4日
(45)【発行日】2017年8月23日
(54)【発明の名称】スイッチキャビネットを冷却するための熱交換器に対応する冷却設備
(51)【国際特許分類】
   H05K 7/20 20060101AFI20170814BHJP
   H01L 23/427 20060101ALI20170814BHJP
【FI】
   H05K7/20 N
   H05K7/20 G
   H01L23/46 B
【請求項の数】12
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2015-528873(P2015-528873)
(86)(22)【出願日】2013年8月23日
(65)【公表番号】特表2015-529977(P2015-529977A)
(43)【公表日】2015年10月8日
(86)【国際出願番号】DE2013100306
(87)【国際公開番号】WO2014032654
(87)【国際公開日】20140306
【審査請求日】2015年11月11日
(31)【優先権主張番号】102012108109.3
(32)【優先日】2012年8月31日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】512086138
【氏名又は名称】リッタル ゲーエムベーハー ウント コー.カーゲー
【氏名又は名称原語表記】Rittal GmbH & Co.KG
(74)【代理人】
【識別番号】100080089
【弁理士】
【氏名又は名称】牛木 護
(74)【代理人】
【識別番号】100161665
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 知之
(74)【代理人】
【識別番号】100121153
【弁理士】
【氏名又は名称】守屋 嘉高
(74)【代理人】
【識別番号】100178445
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 淳二
(74)【代理人】
【識別番号】100133639
【弁理士】
【氏名又は名称】矢野 卓哉
(74)【代理人】
【識別番号】100188994
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 裕介
(72)【発明者】
【氏名】ファン カルロス カチョ アロンソ
【審査官】 久松 和之
(56)【参考文献】
【文献】 特開平10−261888(JP,A)
【文献】 特開2001−85883(JP,A)
【文献】 特開2007−129095(JP,A)
【文献】 特開2003−289195(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 7/20
F25D 15/00
G06F 1/20
H01L 23/427
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
スイッチキャビネット(7)と、第1および第2熱交換器(1.1,1.2)を有する冷却装置(8)とを備えた冷却設備であって、
前記第1および第2熱交換器(1.1,1.2)は、
第1冷却液のための第1ラインシステム(2)と、前記第1ラインシステム(2)から流体的に隔てられた、第2冷却液のための少なくとも1つの第2ラインシステム(3)とを備え、前記第1および第2ラインシステム(2,3)が互いに熱的に結合され
前記第1および第2熱交換器(1.1,1.2)は、さらに複数の薄板(4)を有し、隣接する前記薄板(4)はそれらの間に前記第1熱交換器(1.1)または前記第2熱交換器(1.2)を通る気流ダクトを形成し、前記第1および第2ラインシステム(2,3)は複数の前記薄板(4)によって互いに熱的に結合され
前記第1熱交換器(1.1)の前記第1ラインシステム(2)は、前記第2熱交換器(1.2)の前記第1ラインシステム(2)と第1冷却液閉回路(13)を形成し、前記第1熱交換器(1.1)の前記第2ラインシステムは、前記第2熱交換器(1.2)の前記第2ラインシステム(3)と第2冷却液閉回路(14)を形成し、
2つの前記冷却液回路(13,14)のうちの1つが受動冷却液回路であり、もう1つが能動冷却液回路であることを特徴とする冷却設備
【請求項2】
前記薄板(4)は互いに平行に方向づけられたことを特徴とする請求項1に記載の冷却設備
【請求項3】
前記第1および第2ラインシステム(2,3)は、前記第1熱交換器(1.1)または前記第2熱交換器(1.2)を通る空気の流れ方向に、直接または間接的に配置されることを特徴とする請求項1または2に記載の冷却設備
【請求項4】
前記第1および第2ラインシステム(2,3)は、それぞれ冷却液順流(5)との接続部、および、冷却液返流(6)との接続部を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の冷却設備
【請求項5】
少なくとも1つの前記ラインシステム(2,3)は、前記第1および第2熱交換器(1.1,1.2)のそれぞれの2つの長手方向端部の間に伸びる平行なパイプ通路からなり、
前記平行なパイプ通路は、長手方向端部で、冷却液が冷却液順流(5)と冷却液返流(6)のそれぞれの間で送られるように互いに接続されることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の冷却設備
【請求項6】
記第1熱交換器(1.1)は、第1空気吸入口(10)および第1空気吹き出し口(11)を備えた第1空気通路(9)内に配置され、前記第1空気吸入口(10)および第1空気吹き出し口(11)は前記スイッチキャビネット(7)の周囲に通じ、前記第2熱交換器(1.2)は、第2空気吸入口(10)および第2空気吹き出し口(11)を備えた第2空気通路(12)内に配置され、前記第2空気吸入口(10)および第2空気吹き出し口(11)は前記スイッチキャビネット(7)の内部(7.1)に通じることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の冷却設備。
【請求項7】
前記第1熱交換器(1.1)は、前記第2熱交換器(1.2)の少なくとも一部の上方に配置されることを特徴とする請求項6に記載の冷却設備。
【請求項8】
記第1熱交換器(1.1)が前記第1空気通路(9)内に配置され、前記第2熱交換器(1.2)が前記第2空気通路(12)内に配置され、前記受動冷却液回路の前記ラインシステムが、空気の流れ方向で、前記能動冷却液回路の前記ラインシステムの上流に配置されるようにすることを特徴とする請求項6または7に記載の冷却設備。
【請求項9】
記第1熱交換器(1.1)は、第1空気吸入口(10)および第1空気吹き出し口(11)を備えた第1空気通路(9)内に配置され、前記第1空気吸入口(10)および第1空気吹き出し口(11)は前記スイッチキャビネット(7)の周囲に通じ、前記第2熱交換器(1.2)は、第2空気吸入口(10)および第2空気吹き出し口(11)を備えた第2空気通路(12)内に配置され、前記第2空気吸入口(10)および第2空気吹き出し口(11)は前記スイッチキャビネット(7)の内部(7.1)に通じ、
1.前記第1熱交換器(1.1)の前記第1および第2ラインシステム(2,3)が直列に接続され、直列に接続された前記ラインシステム(2,3)は、前記第2熱交換器(1.2)の前記第1または第2ラインシステム(2,3)のいずれかと、冷却液閉回路を形成し、冷却液は、前記冷却液閉回路の一体部分ではない前記第2熱交換器(1.2)のそのラインシステム(2,3)を通って流れるか、または、
2.前記第2熱交換器(1.2)の前記第1および第2ラインシステム(2,3)が直列に接続され、直列に接続された前記ラインシステム(2,3)は、前記第1熱交換器(1.1)の前記第1または第2ラインシステム(2,3)のいずれかと、冷却液閉回路を形成し、冷却液は、前記冷却液閉回路の一体部分ではない前記第1熱交換器(1.2)のそのラインシステム(2,3)を通って流れる
ことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の冷却設備
【請求項10】
前記第1熱交換器(1.1)は、前記第2熱交換器(1.2)の少なくとも一部の上方に配置され、前記冷却液閉回路が受動冷却液回路であり、前記冷却液が流れる前記ラインシステムは、能動冷却回路、好ましくは、ポンプ駆動または圧縮機駆動の冷却回路であることを特徴とする請求項9に記載の冷却設備。
【請求項11】
前記冷却液が流れる前記ラインシステム(2,3)を有する熱交換器(1.1,1.2)が、前記能動回路の蒸発器または空気/水熱交換器であり、同時に、前記冷却液が流れる前記ラインシステム(2,3)が前記第1熱交換器(1.1)の一体部分であるときに、前記受動冷却液回路の凝縮器であり、または、前記冷却液が流れる前記ラインシステム(2,3)が前記第2熱交換器(1.2)であるときに、前記受動冷却液回路の蒸発器であることを特徴とする請求項10に記載の冷却設備。
【請求項12】
2つの前記冷却回路(13,14)のうちの1つが受動冷却液回路であり、もう1つが圧縮機駆動の冷却液回路であり、前記能動冷却液回路の圧縮機(15)および膨張手段(16)が、それぞれの場合において、選択的に開放および閉鎖可能なバイパスライン(19)によってブリッジされるか、または、それらを流れる冷却液がわずかな圧力損失か本質的に圧力損失なしで流れることができる状態を担うことができるものであることを特徴とする請求項6または7に記載の冷却設備。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はスイッチキャビネットを冷却するための熱交換器および対応する冷却設備に関する。全体的な熱交換器は、第1冷却液のための第1ラインシステムと、第1ラインシステムと流体的に分離された、第2冷却液のための第2ラインシステムとを有し、第1および第2ラインシステムは、熱交換のために互いに熱的に結合されている。
【背景技術】
【0002】
上記の特長を有する熱交換器を備えた印刷機部品キャビネットは、DE 200 08 411 U1で知られている。同様の熱交換器はまた、DE 10 2007 054 724 A1、DE 2008 059 023 A1、US 6,053, 238 A、および、US 6,039,111 Aに記載されている。
【0003】
スイッチキャビネット冷却で長く続いている問題は、年間を通したスイッチキャビネットの周囲温度に加え、スイッチキャビネット内に収容された部品の電力損およびそれに付随する廃熱もまた、大きな変動にさらされるおそれがあり、同時に、これらの変動とは無関係に、スイッチキャビネット内部に広がる大気温度は、スイッチキャビネット内に収容された部品が故障する状況を避けるために、特定値よりも低く維持されなければならないということである。しかしながら、スイッチキャビネットの冷却に使用される冷却装置は、電源を備えていない(パッシブな)装置であろうと電源を備えた(アクティブな)装置であろうと、エネルギー効率の良い方法で動作できる冷却容量範囲は常に狭い状態である。例えば、圧縮機駆動の冷却装置は、連続運転でエネルギー効率が最も良く稼働する。しかしながら、連続運転で達成されることのできる圧縮機駆動の冷却液回路の最大冷却容量は、極限状況でも十分な冷却が保証されなければならないようにするために、最大周囲温度およびスイッチキャビネット内に収容された部品の最大電力損に適応されなければならない。この結果、圧縮機駆動の冷却液回路は年間を通してオン/オフ操作で常に動作し、同時にエネルギー消費に関した対応する不利益が起こる。
【0004】
冷却装置のエネルギー効率を増加させるために、原則として、圧縮機駆動の冷却液回路が動作する持続時間をできる限り短く維持することが望ましい。
【0005】
この問題に対処するために、複合冷却装置が従来技術で知られており、この複合冷却装置は、圧縮機駆動の冷却液回路や冷水装置などの能動冷却液回路に加えて、例えば、空気/空気熱交換器の形の受動冷却液回路または受動冷却素子を有する。このような冷却装置は、本出願の後方で、「ハイブリッド冷却装置」とも表される。能動冷却液回路は、冷凍機または冷水装置を有し、装置に冷気を導入し、通例、冷却媒体を冷却するのに役立つ。例えば、冷凍機は圧縮機を有してもよい。冷水装置は、最も簡単な場合には、冷水容器を有し、この文脈において、当業者は、冷却応用での「水」は制限的に解釈されるべきではないと理解し、従来技術で知られた一般に「冷却媒体」として表される冷却液または冷媒と同義語として使用されるにすぎないと理解する。したがって、受動冷却液回路は冷凍機または冷水源を有しない。冷却媒体の能動冷却は行われない。
【0006】
これらの冷却装置は、スイッチキャビネット内部に必要な冷却が、できる限り広いスイッチキャビネットの周囲温度範囲にわたり、かつ、スイッチキャビネット内に収容された部品の最も高いと見込まれる電力損に対して、空気/空気熱交換器を用いて、単に受動的な方法で提供されることができるように設計されるが、それは、能動冷却液回路、すなわち、例えば圧縮機駆動の冷却液回路が、空気/空気熱交換器を用いて達成可能な冷却能力が十分でないときにのみ、バックアップとして作動させなければならなくなるようにするためである。
【0007】
空気/空気熱交換器に基づく冷却装置の構造上の配置が、圧縮機駆動の冷却液回路に基づく冷却装置のものと根本的に異なるという事実のため、従来技術で知られる冷却装置では、空気/空気熱交換器に基づく冷却液回路が圧縮機駆動の冷却液回路と同時に稼働されることは、今までできなかったか、または高額な費用でのみ可能であった。さらに、周知の冷却装置では、前述の冷却プロセスの間で切り替えるために、構造変化が冷却装置の内側で実行されることが常に必要である。例えば、空気の経路は、フラップ等の旋回運動を変えることによって所望の冷却プロセスに適応されなければならない。これは、装置の信頼性を低下させ、その複雑性を増大する、付随した作動機構と、サーボモーターの使用とを必要とする。これは、特に、冷却装置の機能停止が、スイッチキャビネット内部に収容された電子部品からなる装置を機能しなくさせ、または破壊さえするおそれがあるという事実を考慮すると、決定的に重要な意味を持つ。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
したがって、本発明の目的は、エネルギー効率と、信頼性のあるスイッチキャビネットの冷却とを保証するスイッチキャビネットの冷却用の熱交換器、および同様のスイッチキャビネットを提供することであり、さらに同時に、これらにより、特に、スイッチキャビネット部品の電力損や、スイッチキャビネットの周囲温度等の個々の状況に対して、冷却装置が柔軟に適応できるようになるはずである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明によれば、この目的は、請求項1の特長を有する熱交換器を用いて、および、請求項5の特長または請求項8の特長を有するスイッチキャビネットを用いて達成される。その他の従属請求項は、いずれの場合も、本発明の有利な実施形態に関連している。
【0010】
本発明によれば、熱交換器は好ましくは互いに平行に向けられた複数の薄板を有し、隣り合った薄板はそれらの間に熱交換器を通り抜ける気流ダクトを形成し、第1および第2ラインシステムは熱交換のために複数の薄板によって互いに熱的に結合される。薄板は、基本的に互いに独立して形成され、特に互いに流体的に分離された熱交換器のラインシステムを互いに熱的に結合するのに役立つものであり、それは、第1ラインシステムおよび第2ラインシステムに蓄えられた冷却液の間に温度差がゼロでないときは必ず、二つのラインシステムの間で熱交換があるようにするためである。
【0011】
したがって、本発明に係る熱交換器は、原則として、熱交換器を通り抜けて流れる空気と、第1ラインシステムの冷却液との間、および/または、第2ラインシステムの冷却液との間の熱交換を行わせる空冷式薄板状熱交換器である。この場合、ラインシステムの一つは、例えば能動冷却プロセスの一体部分であってもよいし、例えば圧縮機駆動冷却液回路の一体部分であってもよく、一方でもう一つのラインシステムは、例えば受動冷却液回路に組み入れられる。本発明に係る熱交換器はまた、スイッチキャビネット冷却用の冷却装置を組立てるために使用されるとき、実行される冷却プロセスに関して高い可変性を提供するという点に特色がある。しかしながら、原則として、本発明に係る熱交換器は、スイッチキャビネット冷却応用に制限されるものではなく、それどころか、最も多様で可能性のある工業的冷却応用、あるいは家庭的な目的のために使用されてもよい。
【0012】
好ましくは、第1および第2ラインシステムは、熱交換器を通り抜ける気流方向に縦に配置される。もし、二つのラインシステムのうちの一つが受動冷却装置の一体部分であり、別のラインシステムが能動冷却装置の一体部分である場合には、受動冷却液回路のラインシステムは、能動冷却液回路のラインシステムに対して気流方向の上流側に配置されるのが適切である。
【0013】
本発明に係る熱交換器は、スイッチキャビネット空調のための最も多様で可能性のある冷却装置の構造と全く同じ実施形態として機能することができるモジュール部品であるべきである。当該熱交換器をスイッチキャビネット冷却装置に柔軟に統合させるために、本発明の一実施形態では、第1および第2ラインシステムが、その都度、冷却液の順流とのつながり、および、冷却液の返流とのつながりをもつようにする準備がある。
【0014】
本発明に係るスイッチキャビネットは、上述したタイプの第1および第2熱交換器を有する冷却装置を備え、第1熱交換器は第1空気吸入口および第1空気吹き出し口を備えた第1空気通路に配置され、第1空気吸入口および第1空気吹き出し口はスイッチキャビネットの周囲に通じており、第2熱交換器は第2空気吸入口および第2空気吹き出し口を備えた第2空気通路に配置され、第2空気吸入口および第2空気吹き出し口はスイッチキャビネットの内部に通じており、第1熱交換器の第1ラインシステムは第2熱交換器の第1ラインシステムとともに第1冷却液閉回路を形成し、第1熱交換器の第1ラインシステムは第2熱交換器の第2ラインシステムとともに第2冷却液閉回路を形成する。
【0015】
本発明の一実施形態では、冷却装置はスイッチキャビネットの垂直壁に固定される壁掛け式冷却装置である。この場合、好ましくは、第1熱交換器は第2熱交換器の少なくとも一部分の上方に配置され、二つの冷却液回路のうち少なくとも一つは受動回路である。もし、熱交換器が上述のように配置され、二つの冷却液回路のうち一つが受動閉回路であるとしたら、スイッチキャビネット温度がスイッチキャビネットの周囲温度よりも高くなっている場合に、受動冷却液回路が少なくとも部分的に冷却液で満たされていると、第2熱交換器の領域内の受動冷却液回路に蓄えられている冷却液は、スイッチキャビネットの空気の熱により液体から凝集した気体状態に変化し、第1熱交換器中に上昇し、より冷たい周囲空気によりそこで冷却されることで液化し、これらの順にしたがい、重力により運ばれて第2熱交換器に再び還流する。
【0016】
冷却液は、第2熱交換器で蒸発することで熱を吸収している一方で、第1熱交換器で凝縮することで同じ熱量の熱を放出する。冷却液は、この第2熱交換器の熱量を、まさに第2熱交換器を通り抜けて流れるスイッチキャビネットの空気から取り出し、第1交換機内での凝縮で、周囲空気中にその熱量を放出する。したがって、第2空気通路から第1空気通路への正味熱流束が発生する。
【0017】
好ましい実施形態では、二つの冷却液回路のうちの一つは受動回路であり、もう一つは好ましくは圧縮機駆動回路またはポンプ駆動回路の能動回路であり、第1熱交換器は第1空気通路内に配置され、第2熱交換器は、受動冷却液回路のラインシステムが能動冷却液回路のラインシステムの気流方向の上流に配置されるようにして、第2空気通路内に配置される。この場合の能動冷却液回路は多くの異なる方法で構成されてもよい。例えば、圧縮機、凝縮器、膨張弁および蒸発器を備えた圧縮機回路であってもよく、凝縮器および蒸発器はまさに第1および第2熱交換器によって提供される。しかしながら、それは、冷却液、好ましくは水の循環を介して熱輸送が起こる冷水回路であってもよい。この場合の第2空気通路内の第2熱交換器を通って流れる冷却液は、外部の冷却水源を用いるか、第1空気通路に配置された第1熱交換器を介して提供される。
【0018】
本発明に係る別のスイッチキャビネットは、第1および第2熱交換器を有し、前と同じように、第1熱交換器は、スイッチキャビネットの周囲に通じる第1空気吸入口および第1空気吹き出し口を備えた第1空気通路内に配置され、第2熱交換器は、スイッチキャビネットの内部に通じる第2空気吸入口および第2空気吹き出し口を備えた第2空気通路内に配置され、これは、
・ 第1熱交換器の第1および第2ラインシステムが直列に接続され、直列接続されたラインシステムが、第2熱交換器の第1ラインシステムまたは第2ラインシステムのいずれかと冷却液閉回路を形成し、冷却液が冷却液閉回路の一体部分ではない第2熱交換器のラインシステムを通って流れる場合、または、
・ 第2熱交換器の第1および第2ラインシステムが直列に接続され、直列接続されたラインシステムが、第1熱交換器の第1ラインシステムまたは第2ラインシステムのいずれかと冷却液閉回路を形成し、冷却液が冷却液閉回路の一体部分ではない第1熱交換器のラインシステムを通って流れる場合、
のいずれかの場合である。
【0019】
この場合、第1熱交換器が第2熱交換器の少なくとも一部分の上方に配置され、冷却液閉回路が受動回路であり、冷却液が流れるラインシステムが、好ましくはポンプ駆動または圧縮機駆動の冷却回路である能動回路の一体部分であるための設備があってもよい。
【0020】
本発明のさらなる実施形態では、冷却液が流れるラインシステムを有する熱交換器が能動冷却回路の蒸発器または空気/水熱交換器であり、同時に、冷却液が流れるラインシステムが第1熱交換器の一体部分であるときに受動冷却回路の凝縮器であり、または、冷却液が流れるラインシステムが第2熱交換器の一体部分であるときに受動冷却回路の蒸発器である。
【0021】
本発明のある実施形態では、冷却液回路の一つは受動回路であり、もう一つは圧縮機駆動の冷却液回路であり、能動冷却液回路の圧縮機および膨張手段は、いずれの場合も、選択的に開放および閉鎖可能なバイパスラインを介してブリッジされるか、または、冷却液仕切りが本質的に圧力損失なしで通過されることのできる状態を担うことができる。本実施形態では、ハイブリッド冷却装置は4つの異なる動作モードを有する。第1動作モードでは、第1冷却液回路は能動的に動作し、第2冷却液回路は動作を停止する。第2動作モードでは、第1冷却液回路は受動的に動作し、第2冷却液回路は動作を停止する。第3動作モードでは、第1冷却液回路は能動的に動作し、第2冷却液回路は受動的に動作する。第4動作モードでは、第1および第2冷却液回路の両方が受動的に動作する。したがって、第1冷却液回路は、第2冷却回路に加えて第1冷却液回路もまた受動的に動作しているときに、第1および第2冷却回路の冷却容量の合計が十分でないときだけ能動的に動作しなければならない。
【0022】
バイパスラインの代わりに、膨張手段または圧縮機が、冷却液を本質的に圧力損失なしで流れさせる状態とすることができる設備があってもよい。このように、例えば、ニードルバルブを備えた膨張弁として設計された膨張手段の場合、バルブは、冷却液が膨張弁を通って基本的に妨げられずに流れることができる開位置にされることができる。同様に、圧縮機は、一体化したバイパスラインを有するか、または、冷却液がそれを通って妨げられずに流れることができる動作位置を担うことができると考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
発明のさらなる詳細は、次の図面を参照して説明される。
図1】より明確にするために薄板が部分的に省略された本発明に係る熱交換器の実施形態を示す図である。
図2】ヒートパイプを圧縮機駆動の冷却回路に結合する壁取り付け用ハイブリッド冷却装置の概略断面図を示す図である。
図3】ヒートパイプのみを有する本発明に係る冷却装置を示す図である。
図4】内部回路に冷水装置を有する本発明に係るハイブリッド冷却装置を示す図である。
図5】冷水装置が外部回路に配置された図4の実施形態の変形例を示す図である。
図6】冷水装置が外部回路に配置された天井取り付け用ハイブリッド冷却装置を示す図である。
図7】冷水装置が外部回路に配置された図6の冷却装置の変形例を示す図である。
図8】能動冷却回路がバイパスにより受動状態に選択的に切り替えられるハイブリッド冷却装置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図1に係る熱交換器1は、第1冷却液が送られる第1ラインシステム2、および、第2冷却液が送られる第2ラインシステム3を有する。ラインシステム2,3は、いずれの場合も、熱交換器1の2つの長手方向端部の間に伸びる平行なパイプ通路からなる。平行なパイプラインは、長手方向端部で、冷却液が冷却液順流5と冷却液返流6のそれぞれの間で送られるように互いに接続される。図1に図示される熱交換器1は、その長手方向両側で図面の垂直方向に流れる例えば空気等の気体を有するように設計されている。熱交換器1は、複数の薄板4を有し、隣接する薄板はいずれの場合もそれらの間に熱交換器を通る気流ダクトを形成する。さらに、薄板4は、平板熱交換器に対応する平板として意図されてもよく、熱交換のために第1および第2ラインシステム2,3を互いに熱的に結合する役目をこなす。上述した熱交換器1を通って流れる空気の流れ方向において、第1および第2ラインシステム2,3はその空気の流れ方向に縦に配置される。第1ラインシステム2が受動冷却回路の一体部分であり、第2ラインシステム3が能動冷却回路の一体部分である場合、さらに、好ましくは熱交換器1を通って流れる空気の冷却が受動冷却プロセスを介して起こると、能動冷却プロセスが、受動冷却回路によって提供される冷却容量が十分でないときにのみ作動される設備があってもよい。2つの冷却回路は互いに独立して実行されるので、受動冷却回路は、能動冷却回路をスイッチを入れて作動させるために、遮断されることも、または、完全に動作を停止されることも必要ない、能動冷却回路が動作を停止され、そのため冷却が受動冷却回路によって 起こるとき、第1熱交換器1内の能動冷却回路のラインシステムのパイプラインは、薄板4を用いて実行される熱結合のおかげで、受動冷却回路の冷却容量を増加させるのに役立つ。このように能動冷却回路が動作を停止するときでも、熱交換器1内のそのラインシステムは無用ではない。それどころか、この場合、受動冷却回路の効率を増加させるのに役立つ。両冷却回路が動作されるとき、第1および第2ラインシステム2,3の間の熱輸送は、規定された温度勾配にしたがって起こり、その結果、熱交換器1内部の熱さまたは冷たさのピークが高くなるのを避け、同様に熱交換器の効率の上昇が達成される。
【0025】
図2は、冷却装置8が壁取り付け用の冷却装置として設計されたスイッチキャビネット7を示す。スイッチキャビネット7はスイッチキャビネット内部7.1からなり、冷却装置8はスイッチキャビネット7の外壁に取り付けられ、スイッチキャビネット7の内部7.1は、空気吸入口10および空気吹き出し口11を介して、冷却装置8の第2空気通路12に流体的に接続される。スイッチキャビネット7.1で受け取られた空気は、ファン17を用いて、空気通路12を通って輸送される。本発明に係る第2熱交換器1.2は、図1に示されるように、第2空気通路12内に配置される。冷却装置8は、第2空気通路12から流体的に隔てられ、空気吸入口10および空気吹き出し口11を介してスイッチキャビネット7の周囲に流体的に接続された第1空気通路9を有する。ファン17は、同様に、吸入口10を介して冷却装置8の第1空気通路9内に外気を輸送するのに役立つ。図1に示すように、第1空気通路9に配置されたものは本発明に係る第1熱交換器1.1であり、第1空気通路9を通って送られる空気が流れる。熱交換器1.1,1.2は、第1熱交換器の1.1の第1ラインシステム2が、第2熱交換器1.2の第1ラインシステム2と第1冷却液閉回路13を形成し、第1熱交換器1.1の第2ラインシステム3が、第2熱交換器1.2の第2ラインシステム3と第2冷却液閉回路を形成するように、互いに流体的に接続される。
【0026】
図2に係る実施形態では、第1冷却液閉回路13は、圧縮機15および膨張弁16を備えた圧縮機駆動の冷却液回路である。その結果、第1熱交換器1.1は第1冷却液閉回路13に関する範囲で凝縮器の機能を有し、第2熱交換器1.2は第1冷却液閉回路13に関する範囲で蒸発器の機能を有する。
【0027】
第2冷却液閉回路14は受動冷却回路を形成する。この目的のために、第1熱交換器1.1は第2熱交換器1.2の上方に配置される。第2冷却液閉回路14は、少なくとも部分的に冷却液で満たされる。冷却液は、重力の結果として、第2冷却液閉回路14の低い領域に沈む。それは、正確には第2熱交換器1.2が配置される場所である。第2空気通路12を通って運ばれた温かいスイッチキャビネットの空気は、第2熱交換器1.2を通って流れる。この場合、第2冷却液閉回路14の冷却液は熱くなり、すぐに少なくとも一部が蒸発する。蒸発した冷却液は第1熱交換器1.1内に上昇する。後者は、ファン17を用いて第1空気通路9を通って運ばれるスイッチキャビネット7の冷たい外気によって冷却され、第1熱交換器1.1内の気体の冷却液はすぐに凝縮する。凝縮した冷却液は、重力によって運ばれ、第1熱交換器1.1から出て低い位置にある第2熱交換器1.2に戻り、そこで再び蒸発し、第2熱交換器内に上昇することができる。
【0028】
図2に係る冷却装置8は、このように、3つの異なる冷却モードで選択的に運転されることができ、正確には、能動的だけ、受動的だけ、または、ハイブリッドであり、ハイブリッド運転では特に、受動冷却回路が恒久的に動作し、一方で、能動冷却回路が、受動冷却プロセスを用いて提供される冷却容量を、合計して少なくとも要求される冷却容量が得られる程度まで補うものである。
【0029】
図3〜7は、本質的に全く同一の冷却装置の配置が、異なる冷却プロセスの多様性を実施するのに役立つことができることを示すものである。この場合、図3〜5に係る実施形態は壁取り付け用冷却装置に関し、図6および7に係る実施形態は天井取り付け用として設計された冷却装置に関する。
【0030】
図3に係る冷却装置8は、本発明に係る2つの熱交換器1.1,1.2を有し、いずれの場合も、熱交換器1.1,1.2それぞれが冷却液順流および冷却液返流とつながるように、第1および第2ラインシステム2,3が直列に接続される。冷却回路は、圧縮機、凝縮器またはポンプといった能動部品を一切有さず、それゆえに、すでに上述したヒートパイプ原理に基づいている。この目的のために、特に、第1熱交換器1.1は第2熱交換器1.2の少なくとも一部の上方に配置される必要がある。
【0031】
図4に示すように、第1熱交換器1.1の第1および第2ラインシステム2,3が直列に接続されるハイブリッド冷却プロセスを実施するために、本質的に全く同一の冷却装置8が使用されることができ、これらは第2熱交換器1.2の2つのラインシステム2,3のうちの1つと受動冷却閉回路13を形成する。第2熱交換器1.2の残りのラインシステム2,3は、冷水源18と第2冷却液閉回路14を形成する。冷水源18は、熱交換器1.2を通って循環する冷水を供給し、冷却装置8の一体部分ではない。したがって、この追加の能動冷却液回路14は、スイッチキャビネット内部7.1内に収容された部品の電力損が大きい場合、または、スイッチキャビネット7の周囲温度が高い場合のいずれかの場合に、合計して十分なスイッチキャビネットの冷却が得られるような程度まで、受動冷却回路13を用いて提供される冷却容量を補う追加の冷却容量を得るために役立ってもよい。
【0032】
特に周囲温度が高い場合、図5に係る配置に対応するように、第2空気通路9に一体化された熱交換器1.1を用いて追加の能動冷却液回路14を実施することが好ましい。
【0033】
図6および7は、天井取り付け用の冷却装置8を示し、当該冷却装置は本発明に係る高い可変性を有し、図3および4と同様の実施をされることができる。天井取り付け用として実施される冷却装置を考えた場合でも、使用者は、能動冷却液回路13に加えて、第1熱交換器1.1を介して外部回路内においても(図6参照)、第2熱交換器1.2を介して内部回路においても(図7参照)、自由に能動冷却液回路14を実行することができる。
【0034】
図8は、本発明に係るハイブリッド冷却装置8の別な実施形態を示し、該冷却装置は、第1冷却液閉回路13と第2冷却液閉回路14とを互いに熱的に結合する本発明に係る第1および第2熱交換器1を備える。第1冷却液閉回路13は、冷却液の流れ方向に縦に、圧縮機15、上部熱交換器1の形での凝縮器、膨張手段16および下部熱交換器1の形での蒸発器を有する能動冷却液回路である。圧縮機15および膨張手段16は、それぞれバルブ20を有するバイパスライン19によりブリッジされる。バルブ20の閉位置では、第1冷却液閉回路13は能動的に動作されることができる。バルブ20が開かれると、熱交換器1は、ヒートパイプを形成し、それにより受動冷却液回路を形成する。2つの冷却液回路13,14は、互いに関して、第1冷却液回路13が能動的に動作するとき、それぞれの冷却剤が互いに反対方向に運ばれるように配置される。第2冷却液は、蒸発器と凝縮器との間の第2冷却液回路14内に送られる。凝縮器および蒸発器は、それぞれ2つの冷却液回路13,14が蒸発器および凝縮器を介して互いに熱的に結合されるように構成される。凝縮器は蒸発器上方の垂直位置に配置される。凝縮器は、冷却装置8の第1サブハウジングによって形成される第1空気通路9内に配置され、蒸発器たる圧縮機15および膨張手段16は、冷却装置の第2サブハウジングによって形成される第2空気通路12内に配置される。スイッチキャビネットの周囲空気は、ファン17を用いて、第1空気通路9、特に凝縮器を通って運ばれる。スイッチキャビネット内部からの熱風は、さらなるファン17を用いて、第2空気通路12、特に蒸発器を通って運ばれる。バイパスライン19内のバルブ20は、好ましくは電気駆動可能な電磁弁である。
【0035】
第2冷却液回路14内の第2冷却剤は、第2空気通路12を通って運ばれる温かいスイッチキャビネット空気によって温められ、第2冷却液はすぐに、少なくとも蒸発器から凝縮器に第2冷却液回路14に沿って輸送される程度に、少なくとも一部が蒸発するか、または、密度を減少する。スイッチキャビネットの冷たい外気は、凝縮器あたりを流れる。それにより冷却剤は、再度そこで温かいスイッチキャビネット空気によって温められるために冷却液回路14に沿って蒸発器内に還流するように、凝縮または圧縮される。第1冷却液回路13が同じように受動動作モードである場合、ここでも、第2冷却液回路14に関して上述した方法で、冷却剤は蒸発器と凝縮器との間を循環することができる。この場合、第1冷却液回路13内の第1冷却液の輸送方向は、描かれた流方向xの反対方向である。第1冷却液回路13内の第1冷却液の描かれた流れ方向xは、第1冷却液回路13の能動運転の間に起こる方向に相当する。この場合、第1および第2冷却液回路13,14内の冷却液は、このように反対方向に動き、その結果、蒸発器および凝縮器の効率はかなり改善される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8