特許第6184508号(P6184508)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6184508
(24)【登録日】2017年8月4日
(45)【発行日】2017年8月23日
(54)【発明の名称】微粒子特性を調整するための乾燥方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 9/16 20060101AFI20170814BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20170814BHJP
   A61K 47/34 20170101ALI20170814BHJP
【FI】
   A61K9/16
   A61K45/00
   A61K47/34
【請求項の数】12
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2015-541752(P2015-541752)
(86)(22)【出願日】2012年11月9日
(65)【公表番号】特表2015-536980(P2015-536980A)
(43)【公表日】2015年12月24日
(86)【国際出願番号】US2012064482
(87)【国際公開番号】WO2014074114
(87)【国際公開日】20140515
【審査請求日】2015年11月9日
(73)【特許権者】
【識別番号】513083004
【氏名又は名称】エボニック コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】Evonik Corporation
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100099483
【弁理士】
【氏名又は名称】久野 琢也
(72)【発明者】
【氏名】ジェフリー エル. アトキンソン
(72)【発明者】
【氏名】ブライアン キース チェンバーズ
(72)【発明者】
【氏名】マイケル イー. ハドソン
【審査官】 横山 敏志
(56)【参考文献】
【文献】 特表2002−534372(JP,A)
【文献】 国際公開第95/011010(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2005/0220887(US,A1)
【文献】 特表2010−522196(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K9/00−9/72
A61K47/00−47/69
A61K45/00
A61K38/00
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
その中に含有される生物活性剤の放出のために選択された放出プロファイルを有する微粒子の製造方法であって、
a)その中に放出可能な生物活性剤を有する微粒子を含むスラリーを提供する工程;
b)生物活性剤のための放出プロファイルを選択する工程;及び
c)選択された放出プロファイルが実質的に達成されるような乾燥速度を達成するために、一連の乾燥パラメータを選択する工程、
d)選択された一連の乾燥パラメータの下で微粒子を乾燥する工程
を含み、ここで、低速乾燥は、高速乾燥条件下で乾燥された微粒子に対して低速の生物活性剤の放出をもたらし、またここで、微粒子を、撹拌式セルフィルタドライヤを使用して乾燥させ、且つ微粒子を、窒素下にて毎分0.2〜2リットルの範囲の窒素流量で乾燥させる、前記方法。
【請求項2】
スラリーが水を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
スラリーが少なくとも1種の有機物を含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
スラリーが酢酸エチルを含む、請求項1からまでのいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
微粒子がポリ(ラクチド)、ポリ(グリコリド)、ポリ(カプロラクトン)、又はそれらの組み合わせを含む、請求項1からまでのいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
微粒子がポリ(ラクチド−コ−グリコリド)を含む、請求項1からまでのいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
微粒子の乾燥方法であって、
a)その中に放出可能な生物活性剤を有する微粒子を含むスラリーを提供する工程;及び
b)乾燥速度を達成するために選択された一連の乾燥パラメータ下で、撹拌式フィルタドライヤを使用して微粒子を乾燥させる工程
を含み、ここで、低速乾燥は、高速乾燥条件下で乾燥された微粒子に対して低速の生物活性剤の放出をもたらし、またここで、微粒子を、撹拌式セルフィルタドライヤを使用して乾燥させ、且つ微粒子を、ガス下にて毎分0.2〜2リットルの範囲のガス流量で乾燥させる、前記方法。
【請求項8】
スラリーが水を含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
スラリーが少なくとも1種の有機物を含む、請求項7または8に記載の方法。
【請求項10】
スラリーが酢酸エチルを含む、請求項からまでのいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
微粒子がポリ(ラクチド)、ポリ(グリコリド)、ポリ(カプロラクトン)、又はそれらの組み合わせを含む、請求項から10までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
微粒子がポリ(ラクチド−コ−グリコリド)を含む、請求項から11までのいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
背景
生物活性剤を効果的に機能させるために、生物活性剤は、安全で且つ効果的な方法で被験体に送達されなければならない。生物活性剤の理想的な薬物動態プロファイルは、生物活性剤の治療濃度が、最大許容量を超えずに、被験体に到達することを可能にするものである。特定の薬理学的な用途の場合、生物活性剤の濃度は、所望の治療結果が達成されるまで、長期間にわたって治療濃度のままであるべきである。
【0002】
残念なことに、生物活性剤を投与するための従来の経路は、多くの場合、特に高い毒性及び/又は狭い治療ウィンドウを示す生物活性剤のために、理想的な薬物動態プロファイルを提供していない。当該技術分野では、生物活性剤の薬物動態学的なプロファイルに影響を及ぼす方法の1つが生物活性剤を微粒子に封入することであることが知られている。微粒子は時間とともに分解し、それによって、微粒子の影響を受ける放出プロファイルに従って生物活性剤を放出することができる。しかしながら、微粒子が、依然として所望の放出プロファイルを提供しないことも多く、ある場合には、望ましくない放出プロファイルさえもたらし得る。
【0003】
従って、微粒子に含有される又はその上にある生物活性剤にとって適した放出プロファイルを実質的に提供し得る、微粒子及びその製造方法が求められている。これらの必要性及び他の必要性は本発明によって満たされる。
【0004】
概要
その中に含有された生物活性剤の放出のために選択された放出プロファイルを有する微粒子の製造方法が本願明細書に記載されている。開示された方法は、一態様では、乾燥パラメータなどの方法パラメータに応じて、1つ以上の微粒子特性の調整を可能にし得る。一態様では、生物活性剤の所望の放出プロファイルが、本発明に開示された微粒子の製造方法パラメータを調節又は調整することによって実施又は提供され得る。
【0005】
一態様では、その中に含有される生物活性剤の放出のために選択された放出プロファイルを有する微粒子の製造方法は、a)その中に放出可能な生物活性剤を有する微粒子を含むスラリーを提供する工程;b)生物活性剤のために放出プロファイルを選択する工程;及びc)選択された放出プロファイルが実質的に達成されるように一連の乾燥パラメータの下で微粒子を乾燥する工程を含む。
【0006】
更なる態様では、微粒子の乾燥方法は、a)その中に放出可能な生物活性剤を有する微粒子を含むスラリーを提供する工程;及びb)一連の選択された乾燥パラメータの下で撹拌式フィルタドライヤ又は撹拌式セルフィルタドライヤを用いて微粒子を乾燥する工程を含む。
【0007】
また、開示された方法によって作られた微粒子も開示されている。
【0008】
本発明の利点は、以下の詳細な説明に部分的に記載されており、詳細な説明から部分的に明らかであり、又は以下に記載された態様の実施によって獲得され得る。以下に記載される利点は、添付の特許請求の範囲において特に指摘された要素及び組み合わせによって実現され且つ達成される。上記の概要及び以下の詳細な説明の両方が例示的で且つ説明的であり、限定的ではないことが理解されるべきである。
【0009】
図面の簡単な説明
図1は、2LPM窒素流量(急速乾燥条件)で乾燥されたBSA充填微粒子の粒径分布のプロットである(lot00387−080)。
図2は、0.2LPM窒素流量(低速乾燥条件)で乾燥されたBSA充填微粒子の粒径分布のプロットである(lot00387−075)。
図3は、乾燥装置内での経時的な残留水分の変化を示すBSA充填微粒子の乾燥プロファイルのプロットである。
図4は、異なる乾燥速度を用いて製造されたBSA充填微粒子の累積インビトロ放出プロファイルのプロットである。
【0010】
発明の詳細な説明
本発明の化合物、組成物、複合材、物品、デバイス、方法又は使用が開示され且つ記載される前に、以下に記載された態様が、特定の化合物、組成物、複合材、物品、デバイス、方法又は使用に限定されず、従って、当然ながら変化し得ることが理解されるべきである。本願明細書で使用される意味は、特定の態様のみを記載することを目的としており、限定されることを意図するものではないことが理解されるべきである。
【0011】
本願明細書及びその後の特許請求の範囲では、以下の意味を有することが定義された多くの用語が参照される:
【0012】
本願明細書を通じて、その内容が別段規定されない限り、「含む(comprise)」との用語又は「含む(comprises)」又は「含んでいる(comprising)」などの変形は、記載された整数又はその段階又は整数の群又はその段階の包含を示唆するが、他の整数又はその段階又は整数の群又はその段階の除外を示唆することが理解されている。
【0013】
明細書及び添付の特許請求の範囲内で使用される通り、単数形「a」、「an」及び「the」は、その内容が明確に別のものを規定しない限り、複数の対象を含むことが留意されなければならない。従って、例えば、「生物活性剤」との記載は、2つ以上のかかる薬剤等の混合物を含む。
【0014】
「任意の」又は「任意に」は、続いて記載される事象又は状況が発生する又は発生し得ないことを意味し、その説明が、事象又は状況が起こる場合とそれが起こらない場合を含むことを意味する。
【0015】
範囲は、本願明細書では、「約(about)」ある特定の値から、及び/又は「約(about)」別の特定の値までとして表され得る。かかる範囲が表される場合、別の態様は、1つの特定の値から及び/又は別の特定の値までを含む。同様に、値が先行詞「約」を用いて近似値として表される場合、特定の値が別の態様を形成することが理解されている。更に、それぞれの範囲の終点は、他の終点に関連して、及び他の終点とは関係なく、重要であることが理解されている。
【0016】
成分の質量パーセントは、特に反対に述べられない限り、成分が含まれる配合物又は組成物の全質量を基準としている。
【0017】
「生体適合性」との用語は、被験体に対して実質的に非毒性である物質を意味する。
【0018】
「生分解性」は、一般に、本願明細書では、可溶性種に腐食する材料又は生理的条件の下でより小さい単位又は化学種に分解する材料を意味し、これらはそれ自体が被験体に対して非毒性(生体適合性)であり且つ被験体によって代謝、除去、又は排出されることが可能である。
【0019】
「微粒子」との用語は、本願明細書では、一般的に、約10nm〜2000ミクロン(2ミリメートル)のサイズを有する様々な構造を意味するのに使用されており、且つマイクロカプセル、微小球、ナノ粒子、ナノカプセル、ナノスフィア並びに、一般に、約2000ミクロン(2ミリメートル)未満である粒子を含む。別の態様では、生物活性剤は、微粒子に封入されている。
【0020】
「生物活性剤」とは、生物学的活性を有する薬剤を意味する。生物活性剤は、処置、診断、治療、緩和、予防(即ち、予防的に)、改善、調節、又は疾患、障害、感染症等に他の方法で好ましい効果を与えるために使用され得る。「放出可能な生物活性剤」は、開示された微粒子から放出され得るものである。生物活性剤は、また、被験体の構造又は機能に影響を与えるそれらの物質、又は所定の生理学的環境に置かれた後に生物活性になる又はより生物活性になるプロドラッグも含む。
【0021】
開示されたものは、開示された方法及び組成物に使用できる、組み合わせて使用できる、それらの製造に使用できる化合物、組成物、及び成分であるか、又はその生成物である。これらの材料及び他の材料が本願明細書に開示されており、これらの材料の組み合わせ、サブセット、相互作用、群等が開示されている一方で、これらの化合物のそれぞれの多様な固体及び集合的な組み合わせ及びそれらの順序の具体的な記載が明確に開示されていない場合、それぞれが具体的に考慮され且つ本願明細書に記載されていることが理解されている。例えば、多くの様々なポリマー及び薬剤が開示され且つ記載されている場合、ポリマー及び試薬のそれぞれ及び全ての組み合わせ及びその順序は、特に逆のことを指示していない限り、具体的に考慮されている。従って、分子A、B及びCのクラス並びに分子D、E及びFのクラス及び組み合わせ分子A−Dの例が開示されている場合で、それぞれが個別に記載されていない場合でも、それぞれは個々に及び集合的に考慮されている。従って、この例では、組み合わせA−E、A−F、B−D、B−E、B−F、C−D、C−E、及びC−Fのそれぞれが具体的に考慮されており、且つA、B及びC;D、E及びF;及び例の組み合わせA〜Dの開示から開示されたものと見なされるべきである。同様に、これらの任意のサブセット又は組み合わせも具体的に考慮され且つ開示されている。従って、例えば、A〜E、B〜F、及びC〜Eのサブ群が具体的に考慮されており、且つA、B及びC;D、E及びF;及び例の組み合わせA〜Dの開示から開示されたものと見なされるべきである。この概念は、この開示の全ての態様、例えば、限定されずに、開示された組成物の製造方法における工程及び開示された組成物の使用に適用される。従って、実施され得る様々な追加の工程が存在する場合、これらの追加の工程のそれぞれが、開示された方法の特別な実施態様又は実施態様の組み合わせによって実施され得、それぞれのかかる組み合わせが具体的に考慮され且つ開示されたものと見なされるべきであることが理解されている。
【0022】
上記のように、従来の配合物が使用にとって望ましくない場合、生物活性剤の送達に対する制御の提供が望ましいことがある。例えば、幾つかの治療法は、多くの他の送達形態の中で、生物活性剤の徐放、生物活性剤の速放、被験体の特定の組織又は体液への生物活性剤の送達、又は2つ以上の薬剤の送達を要求し得る。
【0023】
一態様では、本願明細書に記載されるように、生物活性剤の放出プロファイルに影響を及ぼすために、その中に生物活性剤を含有する微粒子の処理方法が提供される。一般に、放出プロファイルは、生物活性剤が使用される治療に応じて、任意の所望の放出プロファイルであってよい。更なる態様では、放出プロファイルは、制御放出、延長放出、調節放出、持続放出、パルス放出、遅延放出、又はプログラム放出、例えば、周期的な放出のうち1つ以上である。
【0024】
一態様では、生物活性剤の放出プロファイルが選択される。放出プロファイルの選択はいつでも起こり得る。様々な態様では、放出プロファイルは、生物活性剤を含む微粒子の製造前、製造中、又は製造後に選択され得る。一態様では、放出プロファイルは、微粒子の製造前に選択され得、微粒子の成分は、選択された放出プロファイルに影響を与えるように選択され得る。更なる態様では、放出プロファイルは、微粒子の製造後に選択され得、最終的な微粒子処理パラメータは、選択された放出プロファイルを提供するように選択及び/又は調整され得る。
【0025】
更に別の態様では、放出プロファイルが選択され、微粒子の製造パラメータは、選択された放出プロファイルに近づく又は達成するように繰り返し調整され得る。放出プロファイルは達成され得るか又は実質的に達成され得る。そのために、選択された放出プロファイルに近い放出プロファイルを提供するが、選択されたプロファイルを必ずしも達成しない微小粒子が作られ得る。更なる態様では、選択された放出プロファイルが達成され得る。
【0026】
微粒子は、当該技術分野で公知の任意の乳化法によって作られ得る。第1に、ポリマー、放出可能な薬剤、例えば、生物活性剤、及びポリマーの有機溶媒が混合される。この混合物のエマルションは、水の添加によって形成され、これは典型的には連続プロセスの媒体として使用される。エマルションは、通常、その中に、ポリマー、有機溶媒、及び放出可能な薬剤を有する有機液滴を含む。有機溶媒は、その後、様々な手段、例えば、液体抽出、溶媒蒸発等によって除去され、これはその中に放出可能な薬剤を有する微粒子を含むスラリーを残す。スラリーは、残留水及び/又は残留有機溶媒を含み得る。
【0027】
一態様では、開示された方法は、微粒子に含有される又はその上の生物活性剤の放出プロファイルに影響を与えるような微粒子を含むスラリーの処理に関する。一般に、スラリーは、選択された処理条件に応じて、微粒子及び生物活性剤の他に他の好適な材料を含み得る。一態様では、スラリーは液体又は溶媒を含む。更なる態様では、スラリーは水を含む。更に別の態様では、スラリーは少なくとも1つの有機溶媒を含む。一態様では、スラリーは、水性溶媒及び有機溶媒の両方を含み得る。微粒子は典型的にはスラリーに分散又は懸濁されている。
【0028】
更なる態様では、微粒子を含むスラリーは、選択された放出プロファイルが実質的に達成されるような一連の乾燥パラメータの下で乾燥され得る。従って、一態様では、微粒子が乾燥される方法は、微粒子に含有される生物活性剤の放出プロファイルに影響を与え得る。いかなる理論にも拘束されることを望むものではないが、微粒子が乾燥される方法は、微粒子の形態に影響を与えることがあり、それによってその中に含有される生物活性剤の放出プロファイルに影響を及ぼすと考えられる。
【0029】
一態様では、選択された放出プロファイルが達成され得る乾燥パラメータは、選択された放出プロファイルを達成するための微粒子の乾燥前に知られている又は知られていない。従って、一態様では、選択された放出プロファイルを実質的に達成するために、複数の微粒子乾燥運転が有用であり得る。例えば、微粒子は、一連の乾燥パラメータの下で配合され且つ乾燥され得、微粒子に含有される生物活性剤の放出プロファイルが記録され得る。放出プロファイルが選択された又は望ましい放出プロファイルに実質的に近くない場合、乾燥パラメータは、選択された又は望ましい放出プロファイルが実質的に達成されるまで、繰り返し調整され得る。対照的に、一連の乾燥パラメータが選択された放出プロファイルを提供するのを予測することが可能である。
【0030】
一般に、乾燥パラメータは、任意の乾燥パラメータであってよい。非機械的手段を使用する空気乾燥の場合、例えば、乾燥パラメータは、温度、圧力、湿度、又は乾燥時間のうち1つ以上であってよい。更なる態様では、機械的乾燥の場合、乾燥パラメータは、温度、圧力、湿度、乾燥時間、撹拌速度、かき混ぜ速度、又はスラリー上、スラリー中、又はスラリーを通るガス流のうち1つの以上であってよい。ガス流量は、例えば、0.2〜約2.0L/分の範囲であってよい。乾燥ガスは、任意の不活性ガス、例えば、空気、窒素、アルゴン等であってよい。
【0031】
微粒子は、任意の好適な方法を用いる一連の乾燥の下で乾燥され得る。乾燥機が本願明細書で開示された方法で使用される場合、乾燥機は、本願明細書で意図される結果を実質的に達成する任意の乾燥機であってよい。一態様では、微粒子は、撹拌式フィルタドライヤを使用して乾燥され得る。更なる態様では、開示された方法は、撹拌式フィルタドライヤにおけるその中に生物活性剤を有する微粒子の乾燥を含む。撹拌式フィルタドライヤは、当該技術分野で公知の乾燥機器である。典型的には、撹拌式フィルタドライヤは、容器の底にフィルタプレート有する容器を含む。スラリーは、容器中に充填され、任意に減圧(例えば、真空)下で及び/又はガス流、例えば、空気又は不活性ガス、例えば、窒素又はアルゴンの下で、撹拌軸によって駆動される、掻き取りブレードによるスラリーの機械的撹拌と共に乾燥される。容器全体をジャケット付き容器、及び/又は熱伝達媒体を通過させることができる他のジャケット付きコンポーネントを有することにより、所望の温度に保つことができる。撹拌式フィルタドライヤの乾燥パラメータとしては、限定されずに、温度、圧力、湿度、乾燥時間、撹拌速度、洗浄媒体の量、特に、例えば、洗浄回数、掻き取りブレードの速度、換気量、排出機構、流れ中の不活性ガスが挙げられ得る。一般に、任意のタイプの撹拌式フィルタドライヤが使用され得る。更なる態様では、ヌッチェ(Nutsche)フィルタが使用され得る。ヌッチェフィルタは撹拌式フィルタドライヤの1種である。更に別の態様では、市販の撹拌式セルドライヤ、例えば、ミリポア(MILLIPORE)撹拌式セルドライヤなどの、撹拌式セルドライヤが使用され得る。
【0032】
一態様では、撹拌式フィルタドライヤの使用が、微粒子分野における従来のバルク材料の乾燥方法、例えば、スエコ(Sweco)ドライヤの使用において遭遇する課題を克服するために有益であり得ることが理解されるべきである。スエコドライヤは、典型的には、バルク材料を撹拌するために振盪する容器から構成されている。多くの場合、スエコドライヤの使用の際に、最終粉末から分離されなければならない大きなアグロメレートが形成し得る。これは部分的に、従来のスエコドライヤが、機械的撹拌又は掻き取り手段を備えず、乾燥しながらバルク材料の容器を単に振盪しているにすぎない事実のためである。一態様では、撹拌式フィルタドライヤの使用は、より少ないアグロメレートを有する良好な粒子分布を提供し、また、上記のような乾燥パラメータの制御を可能にすることが理解されるべきである。しかしながら、更なる態様では、微粒子はスエコドライヤを用いて乾燥され得る。
【0033】
一態様では、開示された方法によって製造される微粒子が開示されている。一般に、本願明細書に開示された微粒子は任意の好適な微粒子であってよい。一態様では、生物活性剤は、微粒子内に封入される。別の態様では、生物活性剤は、微粒子と関係している。一態様では、微粒子は、好適な生体適合性及び生分解性又は非生分解性ポリマーを含む。ポリマーは、ホモポリマー又はコポリマー、例えば、限定されずに、ブロック又はブロック状コポリマー又はターポリマー、ランダムコポリマー又はターポリマー、星型ポリマー、又はデンドリマーであってよい。微粒子の望ましい特性に応じて、任意の望ましい分子量のポリマーが使用され得る。特定の態様では、高い強度の微粒子が所望される場合、高分子量ポリマーが、例えば、強度要件を満たすために使用され得る。他の態様では、低又は中低度の分子量のポリマーが、例えば、材料強度ではなく、ポリマーの再吸収時間が所望される場合に使用され得る。
【0034】
生分解性ポリマーが使用される場合、微粒子は、被験体中に存在した時点で、所望の時間間隔内で分解するように配合され得る。幾つかの態様では、時間間隔は、約1日未満から約1ヶ月までであってよい。より長い時間間隔は、例えば、約0ヶ月以上約6ヶ月まで、又は約1ヶ月から約6ヶ月までに分解するポリマーマトリックスを含めて、6ヶ月まで延長することができる。他の態様では、ポリマーは、2年まで又はそれ以上の長い時間間隔で、例えば、約0以上約2年まで、又は約1ヶ月から約2年までに分解し得る。
【0035】
一態様では、所望の放出プロファイルは、ポリマーの選択に影響を与え得る。生体適合性ポリマーは、例えば、微粒子が被験体に投与された後の所望の経過時間で、そこから生物活性剤を放出するか又はその放出を可能にするように選択され得る。例えば、ポリマーは、生物活性剤の活性が減少し始める前に、生物活性剤がその活性を減少し始める時に、生物活性剤が部分的にその活性を減少させる時に、例えば、少なくとも25%、少なくとも50%、又は少なくとも75%減少した時に、生物活性剤が実質的にその活性を減少させる時に、又は生物活性剤の活性が完全になくなる又はもはや活性を有していない時に、生物活性剤を放出させる又はその放出を可能にするように選択され得る。
【0036】
一態様では、ポリマーは、ポリエステル、ポリヒドロキシアルカノエート、ポリヒドロキシブチレート、ポリジオキサノン、ポリヒドロキシバレレート、ポリ無水物、ポリオルトエステル、ポリホスファゼン、ポリリン酸塩、ポリホスホエステル、ポリジオキサノン、ポリホスホエステル、ポリリン酸塩、ポリホスホン酸塩、ポリリン酸塩、ポリヒドロキシアルカノエート、ポリカーボネート、ポリアルキルカーボネート、ポリオルトカーボネート、ポリエステルアミド、ポリアミド、ポリアミン、ポリペプチド、ポリウレタン、ポリアルキレンアルキレート、ポリアルキレンオキサレート、ポリアルキレンコハク酸、ポリヒドロキシ脂肪酸、ポリアセタール、ポリシアノアクリレート、ポリケタール、ポリエーテルエステル、ポリエーテル、ポリアルキレングリコール、ポリアルキレンオキシド、ポリエチレングリコール、ポリエチレンオキシド、ポリペプチド、多糖、又はポリビニルピロリドンのうち1つ以上であってよい。他の非生分解性であるが耐久性のポリマーとしては、限定されずに、エチレン−酢酸ビニルコポリマー、ポリテトラフルオロエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン等が挙げられる。同様に、他の好適な非生分解性ポリマーとしては、限定されずに、シリコーン及びポリウレタンが挙げられる。
【0037】
更なる態様では、ポリマーは、ポリ(ラクチド)、ポリ(グリコリド)、ポリ(ラクチド−コ−グリコリド)、ポリ(カプロラクトン)、ポリ(オルトエステル)、ポリ(ホスファゼン)、ポリ(ヒドロキシブチレート)又はポリ(ヒドロキシブチレート)、ポリ(ラクチド−コ−カプロラクトン)、ポリカーボネート、ポリエステルアミド、ポリ無水物、ポリ(ジオキサノン)、ポリ(アルキレンアルキレート)を含むコポリマー、ポリエチレングリコールとポリオルトエステルとのコポリマー、生分解性ポリウレタン、ポリ(アミノ酸)、ポリアミド、ポリエステルアミド、ポリエーテルエステル、ポリアセタール、ポリシアノアクリレート、ポリ(オキシエチレン)/ポリ(オキシプロピレン)コポリマー、ポリアセタール、ポリケタール、ポリホスホエステル、ポリヒドロキシバレレート又はポリヒドロキシバレレート、ポリアルキレンオキサレート、ポリアルキレンスクシネート、ポリ(マレイン酸)を含むコポリマー、及びそれらのコポリマー、ターポリマー、組み合わせ、又はブレンドであってよい。
【0038】
更に別の態様では、有用な生体適合性ポリマーは、乳酸、グリコール酸、ラクチド、グリコリド、カプロラクトン、ヒドロキシブチレート、ヒドロキシバレレート、ジオキサノン、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリエチレンオキシド、又はそれらの組み合わせのうち1つ以上の残基を含むものである。更に別の態様では、有用な生体適合性ポリマーは、ラクチド、グリコリド、カプロラクトン、又はそれらの組み合わせのうち1つ以上の残基を含むものである。
【0039】
一態様では、有用な生分解性ポリマーは、親水性又は水溶性ポリマーのうち1つ以上のブロックを含むもの、例えば、限定されずに、1つ以上のブロックと組み合わせた、ポリエチレングリコール(PEG)、又はポリビニルピロリドン(PVP);ラクチド、グリコリド、カプロラクトン、又はそれらの組み合わせを含む別の生体適合性又は生分解性ポリマーである。
【0040】
特定の態様では、生分解性ポリマーは、1つ以上のラクチド残基を含み得る。そのために、ポリマーは、全てのラセミ体及び立体特異的形態のラクチドを含む任意のラクチド残基、例えば、限定されずに、L−ラクチド、D−ラクチド、及びD,L−ラクチド、又はそれらの混合物を含み得る。ラクチドを含む有用なポリマーとしては、限定されずに、ポリ(L−ラクチド)、ポリ(D−ラクチド)、及びポリ(DL−ラクチド);及びポリ(ラクチド−コ−グリコリド)、例えば、ポリ(L−ラクチド−コ−グリコリド)、ポリ(D−ラクチド−コ−グリコリド)、及びポリ(DL−ラクチド−コ−グリコリド);又はそれらのコポリマー、ターポリマー、組み合わせ、又はブレンドが挙げられる。ラクチド/グリコリドポリマーは、ラクチド及びグリコリドモノマーの開環を介して溶融重合により好都合に製造され得る。更に、ラセミ体のDL−ラクチド、L−ラクチド、及びD−ラクチドポリマーが市販されている。L−ポリマーはより結晶性であり、DL−ポリマーよりも遅く再吸収する。グリコリド及びDL−ラクチド又はL−ラクチドを含むコポリマーに加えて、L−ラクチドとDL−ラクチドとのコポリマーが市販されている。ラクチド又はグリコリドのホモポリマーも市販されている。
【0041】
生分解性ポリマーがポリ(ラクチド−コ−グリコリド)、ポリ(ラクチド)、又はポリ(グリコリド)である時、ポリマー中のラクチドとグリコリドの量は変化し得る。更なる態様では、生分解性ポリマーは、0〜100モル%、40〜100モル%、50〜100モル%、60〜100モル%、70〜100モル%、又は80〜100モル%のラクチドを含有し、0〜100モル%、0〜60モル%、10〜40モル%、20〜40モル%、又は30〜40モル%のグリコリドを含有し、その際、ラクチドとグリコリドの量は100モル%である。更なる態様では、生分解性ポリマーは、95:5のポリ(ラクチド−コ−グリコリド)、85:15のポリ(ラクチド−コ−グリコリド)、75:25のポリ(ラクチド−コ−グリコリド)、65:35のポリ(ラクチド−コ−グリコリド)、又は50:50のポリ(ラクチド−コ−グリコリド)であってよく、その際、比はモル比である。
【0042】
更なる態様では、ポリマーはポリ(カプロラクトン)又はポリ(ラクチド−コ−カプロラクトン)であってよい。一態様では、ポリマーはポリ(ラクチド−カプロラクトン)であってよく、これは、様々な態様では、95:5のポリ(ラクチド−コ−カプロラクトン)、85:15のポリ(ラクチド−コ−カプロラクトン)、75:25のポリ(ラクチド−コ−カプロラクトン)、65:35のポリ(ラクチド−コ−カプロラクトン)、又は50:50のポリ(ラクチド−コ−カプロラクトン)であってよく、その際、比はモル比である。
【0043】
前述の生分解性ポリマーの任意の組み合わせ、例えば、限定されずに、それらのコポリマー、それらの混合物、又はそれらのブレンドが使用され得ることが理解されている。同様に、生分解性ポリマーの残基が開示される場合、開示された残基を含む、任意の好適なポリマー、コポリマー、混合物又はブレンドも開示されたものと見なされることが理解されている。そのために、複数の残基が個別に開示される場合(即ち、別のものとの組み合わせではない)、個々の残基の任意の組み合わせが使用され得ることが理解されている。
【0044】
一般に、微粒子は、好適な出発材料から作られた任意の微粒子であってよい。一態様では、上記のように、微粒子は、好適なポリマーから作られ得る。微粒子は、その中に含有された生物活性剤を含有し且つその放出に影響を与え得る。微粒子は、上記のそれらのポリマーのいずれか又は微粒子分野で使用される任意のポリマーから構成され得る。一般に、上記のポリマーは、当該技術分野で知られるように、一定水準まで架橋することができ、それによってポリマーの微粒子を形成し得る。
【0045】
一態様では、開示された微粒子は、約20ミクロン〜約125ミクロンの平均粒径を有し得る。一実施態様では、平均粒径の範囲は、約40ミクロン〜約90ミクロンである。別の態様では、平均粒径の範囲は、約50ミクロン〜約80ミクロンである。粒径分布は、当業者に知られているレーザー回折法により測定される。
【0046】
更なる態様では、生物活性剤は、カプセル化、マイクロカプセル化され得るか、又は微粒子内に含有され得る。微粒子は、生物活性剤の放出を調整し得る。微粒子は、任意の所望量の生物活性剤を含み得る。例えば、微粒子は、微粒子の質量に対して、開示されたパーセンテージの間の任意の範囲を含む、1質量%、5質量%、10質量%、20質量%、30質量%、40質量%、50質量%、60質量%、70質量%、80質量%、90質量%、95質量%の生物活性剤を含み得る。
【0047】
微粒子は、当該技術分野で公知の方法、例えば、2007年8月16日に公開された、Zeigersonによる米国特許公開第2007/0190154号、及びTiceらによる米国特許第5,407,609号に開示された方法(その両方は、微粒子の製造法の教示のために参照によりその全体が本願明細書に援用されている)を用いて製造され得る。明らかなように、処理条件に応じて、混合工程において出発原料として使用されるポリマーは、最終的に移植可能な複合材中に存在する同じポリマーであってもなくてもよい。例えば、処理の間のポリマーは、重合又は解重合反応を受け、これは最終的に処理前に使用される様々なポリマーを生成し得る。従って、本願明細書で使用される「ポリマー」との用語は、出発材料として使用されるポリマー並びに本願明細書に記載される方法によって製造されるデバイス中に存在する最終的なポリマーをカバーする。微粒子の製造方法は、上記の乾燥法と乾燥パラメータとを組み合わせて使用され得る。
【0048】
上記のように、微粒子は生物活性剤を含む。生物活性剤は、放出可能な生物活性剤、即ち、微粒子から被験体の隣接する組織又は体液中に放出され得る生物活性剤であってよい。特定の態様では、生物活性剤は微粒子内に又はその上にあり得る。
【0049】
微粒子から隣接する組織又は体液中に放出され得る、様々な形態の生物活性剤が使用され得る。そのために、液体又は固体の生物活性剤が、本願明細書に記載された移植可能な複合材中に導入され得る。生物活性剤は、少なくとも非常に僅かに水溶性であり、好ましくは適度に水溶性である。生物活性剤は、活性成分の塩を含み得る。従って、生物活性剤は、酸性、塩基性、又は両性の塩であってよい。それらは、水素結合可能な非イオン性分子、極性分子、又は分子複合体であってよい。生物活性剤は、効果的な生物学的な又は生理学的な活性を提供するために、例えば、非荷電分子、分子複合体、塩、エーテル、エステル、アミド、ポリマー薬物複合体、又は他の形態で組成物中に含まれ得る。
【0050】
本願明細書の系に導入される生物活性剤の例としては、限定されずに、ペプチド、タンパク質、例えば、ホルモン、酵素、抗体等、核酸、例えば、アプタマー、iRNA、DNA、RNA、アンチセンス核酸又は類似物、アンチセンス核酸アナログ又は類似物、低分子化合物、又は高分子量化合物が挙げられる。開示された移植可能な複合材での使用が意図される生物活性剤としては、同化剤、制酸剤、抗喘息剤、抗コレステロール血症及び抗脂質剤、抗凝固剤、抗痙攣薬、抗下痢、制吐剤、抗感染剤、例えば、抗菌物質及び抗菌剤、抗炎症剤、抗躁病薬、代謝拮抗剤、抗催吐薬、抗新生物剤、抗肥満剤、解熱剤及び鎮痛剤、抗けいれん薬、抗血栓薬、鎮咳薬、抗尿酸血症薬、抗狭心症薬、抗ヒスタミン薬、食欲抑制剤、生物学的製剤、脳拡張薬、冠動脈拡張薬、気管支拡張薬(bronchiodilators)、細胞毒性薬、うっ血除去薬、利尿薬、診断薬、エリスロポエチン製剤、去痰、胃腸鎮静剤、高血糖薬、催眠薬、血糖降下薬、免疫調節剤、イオン交換樹脂、下剤、ミネラルサプリメント、粘液溶解薬、神経筋薬、末梢血管拡張薬、向精神薬、鎮静薬、刺激薬、甲状腺及び抗甲状腺薬、組織成長薬、子宮弛緩薬、ビタミン、又は抗原性物質が挙げられる。
【0051】
他の生物活性剤としては、アンドロゲン阻害剤、多糖類、成長因子、ホルモン、抗血管新生因子、デキストロメトルファン、臭化水素酸デキストロメトルファン、ノスカピン、カルベタペンタンクエン酸、クロフェディアノール塩酸、マレイン酸クロルフェニラミン、フェニンダミン酒石酸、ピリラミンマレイン酸、コハク酸ドキシラミン、クエン酸フェニルトロキサミン、塩酸フェニレフリン、塩酸フェニルプロパノールアミン、塩酸プソイドエフェドリン、エフェドリン、リン酸コデイン、硫酸コデインモルヒネ、ミネラルサプリメント、コレスチラミン、N−アセチルプロカインアミド、アセトアミノフェン、アスピリン、イブプロフェン、フェニルプロパノールアミン塩酸塩、カフェイン、グアイフェネシン、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、ペプチド、ポリペプチド、タンパク質、アミノ酸、ホルモン、インターフェロン、サイトカイン、及びワクチンが挙げられる。
【0052】
微粒子中に生物活性剤として使用され得る代表的な薬剤としては、限定されずに、ペプチド薬物、タンパク質薬物、脱感作物質、抗原、抗感染症剤、例えば、抗生物質、抗菌剤、抗ウイルス剤、抗菌剤、抗寄生虫、抗真菌物質及びそれらの組み合わせ、抗アレルギー、アンドロゲンステロイド、うっ血除去薬、催眠薬、ステロイド性抗炎症薬、抗コリン作用、交感神経、鎮静薬、縮瞳薬、精神賦活、精神安定剤、ワクチン、エストロゲン、プロゲステロン剤、液性剤、プロスタグランジン、鎮痛剤、鎮痙剤、抗マラリア薬、抗ヒスタミン薬、心臓作用薬、非ステロイド性抗炎症薬、抗パーキンソン病薬、降圧薬、βアドレナリン遮断薬、栄養剤、及びベンゾフェナントリジンアルカロイドが挙げられる。薬剤は、更に興奮剤、鎮静剤、催眠剤、鎮痛剤、抗痙攣、及び類似物として作用し得る物質であってよい。
【0053】
微粒子は、単独で又は組み合わせて多くの生物活性剤を含み得る。他の生物活性剤としては、限定されずに、鎮痛薬、例えば、アセトアミノフェン、アセチルサリチル酸、及び類似物;麻酔薬、例えば、リドカイン、キシロカイン、及び類似物;食欲抑制剤、例えば、デキサドリン、酒石酸フェンジメトラジン、及び類似物;抗関節炎薬、例えば、メチルプレドニゾロン、イブプロフェン、及び類似物;抗喘息薬、例えば、硫酸テルブタリン、テオフィリン、エフェドリン、及び類似物;抗生物質、例えば、スルフィソキサゾール、ペニシリンG、アンピシリン、セファロスポリン、アミカシン、ゲンタマイシン、テトラサイクリン、クロラムフェニコール、エリスロマイシン、クリンダマイシン、イソニアジド、リファンピン、及び類似物;抗真菌薬、例えば、アンホテリシンB、ナイスタチン、ケトコナゾール、及び類似物;抗ウイルス剤、例えば、アシクロビル、アマンタジン、及び類似物;抗癌剤、例えば、シクロホスファミド、メトトレキサート、エトレチナート、及び類似物;抗凝固薬、例えば、ヘパリン、ワルファリン、及び類似物;抗けいれん薬、例えば、フェニトインナトリウム、ジアゼパム、及び類似物;抗うつ薬、例えば、イソカルボキサジド、アモキサピン、及び類似物;抗ヒスタミン剤、例えば、ジフェンヒドラミンHCl、マレイン酸クロルフェニラミン、及び類似物;ホルモン、例えば、インスリン、プロゲスチン、エストロゲン、コルチコイド、グルココルチコイド、アンドロゲン、及び類似物;精神安定剤、例えば、ソラジン、ジアゼパム、クロルプロマジンHCl、レセルピン、クロルジアゼポキシドHCl、及び類似物;鎮痙剤、例えば、ベラドンナアルカロイド、ジサイクロミン塩酸塩、及び類似物;ビタミン及びミネラル、例えば、必須アミノ酸、カルシウム、鉄、カリウム、亜鉛、ビタミンB12、及び類似物;心血管剤、例えば、プラゾシンHCl、ニトログリセリン、プロプラノロールHCl、ヒドララジンHCl、パンクレリパーゼ、コハク酸脱水素酵素、及び類似物;ペプチド及びタンパク質、例えば、LHRH、ソマトスタチン、カルシトニン、成長ホルモン、グルカゴン様ペプチド、成長放出因子、アンジオテンシン、FSH、EGF、骨形成タンパク質(BMP)、エリスロポエチン(erythopoeitin)(EPO)、インターフェロン、インターロイキン、コラーゲン、フィブリノーゲン、インスリン、第VIII因子、第IX因子、Enbrel(登録商標)、Rituxam(登録商標)、Herceptin(登録商標)、アルファーグルコシダーゼ、Cerazyme/Ceredose(登録商標)、バソプレシン、ACTH、ヒト血清アルブミン、ガンマグロブリン、構造タンパク質、血液製品タンパク質、複合タンパク質、酵素、抗体、モノクローナル抗体、及び類似物;プロスタグランジン;核酸;炭水化物;脂肪;麻酔剤、例えば、モルヒネ、コデイン、及び類似物、精神治療薬;抗マラリア薬、L−ドーパ、利尿剤、例えば、フロセミド、スピロノラクトン、及び類似物;抗潰瘍薬、例えば、ラニチジン(rantidine)HCl、シメチジンHCl、及び類似物が挙げられる。
【0054】
生物活性剤はまた、免疫調節薬、例えば、サイトカイン、インターロイキン、インターフェロン、コロニー刺激因子、腫瘍壊死因子、及び類似物;アレルゲン、例えば、猫のふけ、カバノキ花粉、ハウスダストダニ、花粉、及び類似物;細菌生物の抗原、例えば、肺炎球菌、インフルエンザ菌、黄色ブドウ球菌、化膿連鎖球菌(Streptococcus pyrogenes)、ジフテリア菌(Corynebacterium diphteriae)、リステリア菌、炭疽菌、破傷風菌、ボツリヌス菌、ウェルシュ菌、髄膜炎菌、淋菌、ミュータンス菌、緑膿菌、チフス菌、ヘモフィルスパラインフルエンザ、百日咳菌、野兎病菌、ペスト菌、コレラ菌、レジオネラニューモフィラ、結核菌、らい菌、梅毒トレポネーマ、レプトスピラインテロガンス(Leptspirosis interrogans)、ライム病菌(Borrelia burgddorferi)、カンピロバクタジェジュニ、及び類似物;天然痘、インフルエンザA及びB、RS(respiratory synctial)ウイルス、パラインフルエンザ、はしか、HIV、SARS、水痘帯状疱疹、単純ヘルペス1及び2、サイトメガロウイルス、エプスタイン−バーウイルス、ロタウイルス、ライノウイルス、アデノウイルス、パピローマウイルス、ポリオウイルス、おたふく風邪、狂犬病、風疹、コクサッキーウイルス、ウマ脳炎、日本脳炎、黄熱病、リフトバレー熱、リンパ球性脈絡髄膜炎、B型肝炎、及び類物のようなウイルスの抗原;かかる真菌、原生動物、及び寄生生物、例えば、クリプトコッカスネオフォルマンス(Cryptococcuc neoformans)、ヒストプラスマカプスラーツム、カンジダアルビカンス、カンジダトロピカリス、ノカルジアアステロイデス(Nocardia asteroids)、リケッチアリケッチイ(Rickettsia ricketsii)、リケッチアチフス菌、肺炎マイコプラズマ、オウム病クラミジア(Chlamyda psittaci)、クラミジアトラコマチス、熱帯熱マラリア原虫、アフリカトリパノソーマ(Trypanosoma brucei)、赤痢アメーバ(Entamoeba histolytica)、トキソプラズマ、膣トリコモナス、マンソン住血吸虫、及び類似物であってもよい。これらの抗原は、全体死滅生物体、ペプチド、タンパク質、糖タンパク質、炭水化物、又はそれらの組み合わせの形態であってもよい。
【0055】
更に特別な態様では、生物活性剤は抗生物質を含む。抗生物質は、例えば、アミカシン、ゲンタマイシン、カナマイシン、ネオマイシン、ネチルマイシン、ストレプトマイシン、トブラマイシン、パロモマイシン、アンサマイシン、ゲルダナマイシン、ハービマイシン、カルバセフェム、ロラカルベフ、カルバペネム系、エルタペネム、ドリペネム、イミペネム/シラスタチン、メロペネム、セファロスポリン系(第一世代)、セファドロキシル、セファゾリン、セファロチン、セファレキシン、セファロスポリン系(第二世代)、セファクロル、セファマンドール、セフォキシチン、セフプロジル、セフロキシム、セファロスポリン系(第3世代)、セフィキシム、セフジニル、セフジトレン、セフォペラゾン、セフォタキシム、セフポドキシム、セフタジジム、セフチブテン、セフチゾキシム、セフトリアキソン、セファロスポリン系(第4世代)、セフェピム、セファロスポリン系(第5世代)、セフトビプロール、糖ペプチド、テイコプラニン、バンコマイシン、マクロライド、アジスロマイシン、クラリスロマイシン、ジリスロマイシン、エリスロマイシン、ロキシスロマイシン、トロレアンドマイシン、テリスロマイシン、スペクチノマイシン、モノバクタム、アズトレオナム、ペニシリン、アモキシシリン、アンピシリン、アズロシリン、カルベニシリン、クロキサシリン、ジクロキサシリン、フルクロキサシリン、メズロシリン、メチシリン、ナフシリン、オキサシリン、ペニシリン、ピペラシリン、チカルシリン、ポリペプチド、バシトラシン、コリスチン、ポリミキシンB、キノロン、シプロフロキサシン、エノキサシン、ガチフロキサシン、レボフロキサシン、ロメフロキサシン、モキシフロキサシン、ノルフロキサシン、オフロキサシン、トロバフロキサシン、スルホンアミド、マフェニド、プロントジル(原型)、スルファセタミド、スルファメチゾール、スルファニルイミド(原型)、スルファサラジン、スルフィソクサゾール、トリメトプリム、トリメトプリム‐スルファメトキサゾール(コ−トリモキサゾール)(TMP−SMX)、テトラサイクリン、例えば、デメクロサイクロン、ドキシサイクリン、ミノサイクリン、オキシテトラサイクリン、テトラサイクリン及び類似物;アルスフェナミン、クロラムフェニコール、クリンダマイシン、リンコマイシン、エタンブトール、ホスホマイシン、フシジン酸、フラゾリドン、イソニアジド、リネゾリド、メトロニダゾール、ムピロシン、ニトロフラントイン、プラテンシマイシン(Platensimycin)、ピラジナミド、キヌプリスチン/ダルフォプリスチン、リファンピシン(米国におけるリファピン)、チニダゾール、又はそれらの組み合わせのうち1つ以上であってよい。一態様では、生物活性剤は、リファンピシン(米国におけるリファンピン)及びミノサイクリンの組み合わせであってよい。
【0056】
特定の態様では、生物活性剤は、医薬組成物中の成分として存在し得る。医薬組成物は、好都合には、所望の剤形で、例えば、単位投与剤形又は制御放出剤形で製造され、且つ薬学の分野で周知の任意の方法によって製造され得る。一般に、医薬組成物は、生物活性剤を、液体担体又は微粉固体担体、又はその両方と均一且つ密接に会合させることによって製造される。利用される医薬担体は、例えば、固体、液体又は気体であってよい。固体担体の例としては、ラクトース、白土、スクロース、タルク、ゼラチン、寒天、ペクチン、アカシア、ステアリン酸マグネシウム、及びステアリン酸が挙げられる。液体担体の例は、糖シロップ、落花生油、オリーブ油、及び水である。気体担体の例としては、二酸化炭素及び窒素が挙げられる。生物活性剤と混合され得る他の薬学的に許容可能な担体又は成分としては、例えば、脂肪酸、糖、塩、水溶性ポリマー、例えば、ポリエチレングリコール、タンパク質、多糖類、又はカルボキシメチルセルロース、界面活性剤、可塑剤、高分子量又は低分子量のポロシゲン、例えば、ポリマー又は塩又は糖、又は疎水性低分子量化合物、例えば、コレステロール又はワックスが挙げられる。
【0057】
微粒子は、所望の被験体に投与され得る。被験体は、脊椎動物、例えば、哺乳類、魚類、鳥類、爬虫類、又は両生類であってよい。本願明細書に開示された方法の被験体は、例えば、ヒト、非ヒト霊長類、ウマ、ブタ、ウサギ、イヌ、ヒツジ、ヤギ、ウシ、ネコ、モルモット又はげっ歯類であってよい。この用語は、特定の年齢や性別を意味しない。従って、成体及び新生児の被験体、並びに胎児は、雄又は雌であっても、カバーされることが意図されている。
【0058】
本願明細書では、一態様において、その中に含有される生物活性剤の放出のために選択された放出プロファイルを有する微粒子の製造方法であって、a)その中に放出可能な生物活性剤を有する微粒子を含むスラリーを提供する工程;b)生物活性剤の放出プロファイルを選択する工程;及びc)選択された放出プロファイルが実質的に達成されるように一連の乾燥パラメータの下で微粒子を乾燥する工程を含む、前記製造方法が開示されている。また、本願明細書では、一態様において、a)その中に放出可能な生物活性剤を有する微粒子を含むスラリーを提供する工程;及びb)一連の選択された乾燥パラメータの下で、撹拌式フィルタドライヤを使用して微粒子を乾燥する工程を含む微粒子の乾燥方法も開示されている。
【0059】
また、微粒子が撹拌式フィルタドライヤ又はヌッチェフィルタドライヤを用いて乾燥される、本願明細書に開示された任意の態様の方法も開示されている。
【0060】
また、スラリーが水を含む、任意の上記の態様の方法も開示されている。
【0061】
また、スラリーが少なくとも1種の有機物を含む、任意の上記の態様の方法も開示されている。
【0062】
また、スラリーが酢酸エチルを含む、任意の上記の態様の方法も開示されている。
【0063】
また、微粒子がポリ(ラクチド)、ポリ(グリコリド)、ポリ(カプロラクトン)、又はそれらの組み合わせを含む、任意の上記の態様の方法も開示されている。
【0064】
また、微粒子がポリ(ラクチド−コ−グリコリド)を含む、任意の上記の態様の方法も開示されている。
【0065】
微粒子が撹拌式セルフィルタドライヤを用いて乾燥される、任意の上記の態様の方法も開示されている。
【0066】
微粒子が毎分0.2〜2リットルの範囲の窒素流量で窒素の下で乾燥される、任意の上記の態様の方法も開示されている。
【0067】
微粒子は、任意の上記の態様の方法によって製造される。
【図面の簡単な説明】
【0068】
図1図1は、2LPM窒素流量(急速乾燥条件)で乾燥されたBSA充填微粒子の粒径分布を示す。
図2図2は、0.2LPM窒素流量(低速乾燥条件)で乾燥されたBSA充填微粒子の粒径分布を示す。
図3図3は、乾燥装置内での経時的な残留水分の変化を示すBSA充填微粒子の乾燥プロファイルを示す。
図4図4は、異なる乾燥速度を用いて製造されたBSA充填微粒子の累積インビトロ放出プロファイルを示す。
【0069】
実施例
以下の実施例は、本願明細書で特許請求された化合物、組成物、物品、デバイス及び/又は方法がどのように作られ且つ評価されるかの完全な開示及び説明を当業者に提供するように記載されており、本発明の単なる例示であることを意図し且つ本発明者らが彼らの発明と見なすものの範囲を限定することを意図するものではない。数(量、温度等)に関して正確さを保証するための努力がなされたが、いくらかの誤差及び偏差が考慮されるべきである。特に指示がない限り、部は質量部であり、温度は℃であるか又は周囲温度であり、圧力は大気圧であるか又はそれに近い。
【0070】
実施例1 微小球の製造/乾燥
ウシ血清アルブミン、BSA(フラクションV、シグマケミカル社、セントルイス、ミズーリ州)を、ポリマー及びBSAの合わせた質量を基準として10%の濃度で、20%の5050PLG4.5Eポリマー(SurModics Pharmaceuticals社(バーミンガム、アラバマ州)からのLakeshore Biomaterialsブランドポリマー)の酢酸エチル溶液に添加した。BSAを、IKA Ultraturraxを用いて13500rpmで30秒間ポリマー溶液中に懸濁させた。薬物/ポリマー懸濁液(15mL)を、次に15ml/分の速度で2質量%のポリ(ビニルアルコール)(PVA)を含有する水溶液中に乳化させ、これを860rpmでSilverson L4RT−Aホモジナイザーを使用して150ml/分の速度で供給した。得られたo/wエマルションを、次に、脱イオン水中に抽出し、これを1450ml/分の速度で供給し、更に60分撹拌して、有機溶媒を抽出してポリマー微粒子を形成する。得られた微小球懸濁液を、25〜250ミクロンの間のサイズの微粒子フラクションを単離するために、150ミクロン及び25ミクロンの試験篩い(Retsch GmbH社)に通した。25ミクロンの篩上で回収された生成物を、脱イオン水(1リットル)で洗浄し、その後、乾燥装置に移した。
【0071】
乾燥装置は、改質MILLIPORE撹拌式セル(MILLIPORE撹拌式セル8200、Fisher Scientific)であり、25μmの篩いメッシュ材料(Retsch GmbH)が底面濾過膜として使用された。この乾燥装置を、次に窒素源に接続した。窒素流れを開始して、過剰の水をシステムから除去して、セルの底で固体の微小球ケーキを形成する。窒素流を、次に、レギュレータを使用してセルを介して制御し、乾燥条件は、乾燥装置を介して窒素流の速度に基づいて高速又は低速の乾燥条件のいずれかを可能にするように選択した。高速の乾燥条件は、2LPMの窒素流量を使用したが、低速の乾燥条件は0.2LPMの流量を使用した。微小球のアリコートを乾燥の過程を通して採取し、微小球ケーキを各時点で撹拌して、試料全体にわたる更なる乾燥を促進させた。生成物を乾燥させるとすぐに、これを回収し、更なる分析のために保存した。
【0072】
粒径の分析
粒径分析を、Beckman Coulter社LSI3,320粒径分析器を用いて、レーザー回折により行った。フラウンホーファーモデルを使用して、容積平均統計値に基づいてサイズ分布を計算した。粒径は、試験篩いで回収する直前に取られたバルク微粒子製品の一部で実施した。報告された粒径の結果は、ミクロンであり、平均サイズ(平均)、及び10%及び90%の粒径分布での粒径(それぞれ、D10及びD90)を含む。
【0073】
残留水分及び残留溶媒の分析
乾燥過程を通して引っ張られた試料を、Computrac Vapor Pro moisture analyzer(Arizona Instruments)によって残留水分含有量について分析した。酢酸エチルに対する残留溶媒の分析をガスクロマトグラフィ(GC)によって実施した。
【0074】
BSA含有量
最終的な生成物を、10mgの微小球を試験管に正確に計量し、3mlの酢酸エチルを添加することによってBSA含有量について分析した。この混合物を30秒間ボルテックスし、次いで3500rpmで15分間遠心分離した。上清を除去し、3mlの酢酸エチルを添加し、混合物を30秒間ボルテックスし、3500rpmで15分間遠心分離した。この手順を、合計3回の酢酸エチルの洗浄の最後にもう一度繰り返した。最後の洗浄及び上澄みの除去後に、残りのBSAペレットを窒素流の下で乾燥させて、過剰の酢酸エチルを除去した。次に、3mlのリン酸緩衝生理食塩水(PBS、IX)(Fisher Scientific社)を、乾燥したBSA材料に添加し、混合物を30秒間ボルテックスしてBSAを完全に溶解させた。この混合物を次いで3500rpmで15分間遠心分離して、残留ポリマーの沈殿を除去した。水溶性BSAを含有する上澄みを次いで回収し、BSA含有量についてHPLCによって分析した。
【0075】
インビトロ放出
インビトロ試験を、30mgのBSA充填微小球を試験管中に正確に計量し、3mlのIX PBSを添加し、そして試料を37℃の静的インキュベーター内に配置することによって実施した。各時点で、血清分離器を使用して放出緩衝液から微小球をろ過し、放出緩衝液を分析のために回収した。各時点で、合計体積の放出緩衝液を除去して、新たな1X PBSで完全に置き換えた。各ロットの微小球を、放出の調査のために三重反復で評価した。試料をHPLCによって分析した。
【0076】
HPLC法
HPLC分析を、以下のパラメータを用いて、パーキンエルマー装置で実施した:Shodex Protein KW−803カラム、214nmの検出波長、1mL/分の移動相流量、10μlの試料注入量、及び試料当たり20分の実行時間。試料トレイ及びカラムを周囲温度で維持した。移動相は、pH7で予め混合された1:1の100mMのリン酸ナトリウム:100mMの硫酸ナトリウムであった。
【0077】
結果
以下の試料の特性を評価した:
【表1】
【0078】
表1からの試料の粒径を以下の表2に記載する。これらの試料の粒径分布を図1及び2に示す。
【表2】
【0079】
上記の2つの試料の乾燥プロファイルを図3に示す。図3から分かるように、高速乾燥(即ち、高い窒素流量で)は低速乾燥よりも速く水分を低減させる。表3は、それぞれの試料の残留溶媒を記載している。乾燥後の薬剤充填を表4に示す。
【表3】
【表4】
【0080】
図4に関して、これは2つの試料の累積放出プロファイルを示し、乾燥特性を調整することによって異なる放出プロファイルを達成できることを実証している。具体的には、この場合、低速乾燥は、高速条件の下で乾燥された微小球に対して低速の放出をもたらす。
【0081】
様々な修正及び変形が、本願明細書に記載された化合物、複合材、キット、物品、デバイス、組成物及び方法がなされ得る。本願明細書に記載された化合物、複合材、キット、物品、デバイス、組成物、及び方法の他の態様は、本願明細書に開示された化合物、複合材、キット、物品、デバイス、組成物、及び方法の説明及び実施の考察から明らかである。明細書及び実施例は例示として見なされることが意図されている。
図1
図2
図3
図4