(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
携帯電子製品の裏面に貼り付け可能なベース材と、基端側が前記ベース材の長手方向の一方の端部と連設し且つ前記ベース材の中央付近までを覆うガイド材と、基端側が前記ベース材の他方の端部に回動可能に連設し、且つ倒立状態即ち前記ベース材に平行となる状態及び起立状態即ち前記ベース材から他端側が立ち上がる状態とを採り得るアーム材と、前記アーム材の他端側に連設する本体部と該本体部よりも幅の広い係止部とを有し、該係止部によって規制される範囲内で、前記ガイド材と前記ベース材が形成するスライド材収容空間の内部を長手方向に自在に移動し、その移動に伴い前記アーム材の状態を変化させるスライド材と、を含み、前記スライド材の本体部は、係止部との境界にあたる屈曲部を基点に回動可能であり、前記屈曲部が前記スライド材収容空間の開口部に接触するまで前記スライド材を移動させたときに、前記本体部は前記ガイド材から立ち上がって、前記ベース材と前記アーム材と前記スライド材とが三角形状の空間を形成することを特徴とする携帯電子製品用のホルダー。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
《第1の実施の形態》 本発明に係る携帯電子製品用のホルダーの第1の実施の形態を、以下に図面を参照しつつ説明する。
図1では本実施の形態のホルダー1は、符号11,12,13,14が付された部位から構成されている。
図1に示すように、本実施の形態のホルダー1は、スマートフォンなどの携帯電子製品100の筐体の背面から側面を覆う保護カバー200の背面に貼り付けられる。
図1では、ホルダー1は使用時の突出した姿勢で表されている。
【0013】
ホルダー1はベース材11、アーム材12、スライド材13及びガイド材14からなり、これらの各部材は、合成樹脂や金属等の素材をシート状にしたもので一体成形する。
図2(1)の展開図に示すように、ベース材11は、ガイド材14およびアーム材12と連設し、さらにアーム材12はスライド材13と連設する。これらの連設部は折り曲げ可能であって、
図2(1)(2)では、山折りを1点鎖線で、谷折りを破線で表記している。
【0014】
ベース材11は、裏面に粘着層を備え、この粘着層を覆う剥離紙を剥がして、保護カバー200の背面に貼り付ける。 ベース材11は概ね長方形状であるが、中間部分において幅が狭くなり凹部113a、113bが形成されている。この幅が狭くなった箇所で、ベース材11は、第1ベース部111と第2ベース部112に区画され、第1ベース部111は端部がガイド材14と連設し、ガイド材14によって上から覆われる。第2ベース部112は端部がアーム材12と連設し、ホルダー1の非使用時には、第2ベース部112とアーム材12とが平行になってホルダー1は全体形状が平らになる。ホルダー1の使用時は、
図1に示すようにベース材11に対してアーム材12は突き出ることになる。 なお、
図2では、凹部113a、113bがベース材11の中央付近に形成されているが、中央よりも上或は下のいずれの箇所に形成してもかまわない。
【0015】
アーム材12の基端側は、ベース材11の第2ベース部112と回動可能に連設する。このため、アーム材12は、
図4(2)に示すベース材11と平行となる倒立姿勢および、
図5(2)に示すベース材11に対して先端側が立ち上がる起立姿勢とを採ることが可能となっている。 アーム材12の他端側には、スライド材13の基端側が回動可能に連設している。
【0016】
スライド材13は、基端側がアーム材12に連設する。スライド材13は、頻繁に移動させたり、移動に伴いアーム材12を動かしたり係止したりするので、ある程度の強度が必要である。そのため、一体成形した合成樹脂等のスライド材13にあたる部分に硬質な素材を重ねて接着したりすることが好ましい。スライド材13は、アーム材12と連設する側の端部を含む本体部131の幅が狭くなっており、他方の端部にはT字型の係止部132が形成される。説明の便宜上
図2(1)(2)において、係止部132には斜線を付してある。本体部131と係止部132の境界は屈曲部133であり、この屈曲部133を基点にスライド材13は回動可能となる。係止部132は、スライド材13の移動を規制するだけでなく、屈曲部133においてガイド材14から立ち上がったスライド材13の姿勢を保持しやすくする働きを備える。そのため、係止部132は、硬質な素材などで補強するとよい。ベース材11とアーム材12の連設箇所を谷折りすると、
図2(2)に示すように、アーム材12は第2ベース部112に重なり、スライド材13は第1ベース部111に重なる。
【0017】
ベース材11の他方の端部にはガイド材14の基端側が連設している。
図2(3)に示すように、ガイド材14は折り曲げてベース材11の上方にかぶせると、ガイド材14とベース材11とによってスライド材収容空間16が形成される。この空間16の内部をスライド材13が移動することになる。このスライド材収容空間16の形成例について
図2を参照しながら説明する。
図2(1)に示すように、展開した状態のガイド材14は連設するベース材11よりも幅が広い矩形状である。端部寄りの位置に2箇所の切り込み141a、141bが設けられ、ベース材11とガイド材14の連設箇所を谷折りすると、3層の状態になる。即ち、第1層は第1ベース部111であり、第2層は第1ベース部111の上に重なった状態のスライド材13であり、第3層はガイド材14である。切り込み141a,141bによって形成された切片142a、142bがそれぞれベース材11の凹部113a、113bにおいて山折りされ、ベース材11の裏側に接着剤などで固着される。また、ガイド材14の側端部143a、143bも山折りし、ベース材11の裏側に固着する。これにより、第1ベース部111とガイド材14との間に、スライド材13が移動可能に収容される空間16が形成された(
図4(2)、
図5(2)参照)。同時に、ガイド材14の端部にスライド材13の本体部131を長手方向に自在に移動させるための開口部144が形成された。開口部144の幅Wはスライド材13の本体部131の幅よりも若干大きくする。
【0018】
次に、
図3に従い、スライド材13の移動について説明する。ホルダー1が平らな状態のときは、スライド材13の係止部132と本体部131は収容空間16の内部に収容されている。ただし、ベース材11の凹部113a、113bの裏側にガイド材14の切片142a、142bが回りこんでいることから収容空間16の入り口は、本体部131が通過するに足りるだけの幅Wしかない。そのため、スライド材13の収容空間16内への移動は、係止部132によって規制される。アーム材12を矢印R1の方向に引っ張ると
図3(2)の状態を経て、係止部132が収容空間16の入り口で規制される状態の、
図3(3)になる。本体部131は屈曲部133において回動可能であるから、この状態においてスライド材13がベース材11に対して突き出されることになるのである。スライド材13と共にアーム材12をも起立させるためには、係止部132は強力でなければならない。そのため、係止部132は、硬質な素材で形成したり、柔軟性のある樹脂を硬質な素材で補強したりすることが好ましいのである。 スライド材13が
図3の(1)から(2)を経て(3)の状態に移動するにつれ、本体部131の端部において連設しているアーム材12も移動し、ベース材11とアーム材12との間に空間が生まれる。
【0019】
図4(1)は、保護カバー200に貼り付けられたホルダー1が、スライド材13の全体が収容空間16内に収容されている状態(つまり
図3(1)の状態)を示す正面図である。
図4(2)は、
図4(1)のA−A線断面図である。この断面図に示すように、保護カバー200に粘着層15を介して貼り付けられたベース材11の上にアーム材12とスライド材13とが平行に重なっている。スライド材13は、ベース材11とガイド材14とによって形成された収容空間16の内部に収容されている。なお、
図4(2)では、説明の便宜上スライド材13には斜線を付すかわりに黒く塗りつぶしている。
【0020】
図5(1)は、保護カバー200に貼り付けられたホルダー1が、スライド材13の係止部132以外が収容空間16の外部に引き出されている状態(つまり
図3(3)の状態)を示す正面図である。
図5(2)は、
図5(1)のB−B線断面図である。この断面図に示すように、保護カバー200に粘着層15を介して貼り付けられたベース材11の基端部からアーム材12は突出し、スライド材13とアーム材12とベース材11は概ね三角形状の空間を形成する。なお、
図5(2)では、説明の便宜上スライド材13には斜線を付すかわりに黒く塗りつぶしている。 スライド材13とアーム材12との連設箇所付近(
図5(2)の破線で囲んだ部分)を硬質な素材で補強すると、両者が折れ曲がった状態を保持し、ホルダー1をスタンドとして利用する際に便利である。補強の仕方としては、例えば、本体部131のアーム材12との連設箇所に硬質な素材を貼り付けたり覆ったりするとよい。アーム材12側のスライド材13との連設箇所の近傍にも同様の補強をしてもよい。また、起立時には開口部144において本体部131が角度のついた状態で接しているため、本体部131がストッパーとなり、力を入れないとスライド材13が収容空間16に格納されることはない。そのため、ホルダー1は、後述するようなスタンドとしての利用にも耐えられる。
【0021】
次にホルダー1の作用を説明する。 携帯電子製品100の筐体を保護カバー200が覆い、この保護カバー200の背面にホルダー1のベース材11を貼り付けて、ホルダー1を保護カバー200に固定させる。固定するために、ベース材11の表面の粘着層15を覆っている剥離紙(図示せず)を剥がし、粘着剤15を露出させて保護カバー200の背面に貼り付ける。なお、粘着剤の変わりに両面テープを用いてもよい。
【0022】
アーム材12の先端側に回動可能に連設するスライド材13は、ガイド材14とベース材11とが形成する収容空間16の内部/外部へ自在に移動する。それに伴いアーム材12は、ベース材11に張り付いたりベース材11から突き出たりするのである。
【0023】
アーム材12が突き出るとベース材11との間に空間が形成されるので、
図6に示すようにこの空間に指を数本入れて、携帯電子製品100を安定した状態で支持することができる。このように、ホルダー1を使用すると、携帯電子製品100を滑り落とす心配がなく、安心して操作できる。 使用が終わったならば、スライド材13を収容空間16の内側に挿入するように移動させる。アーム材13はベース材11に対して平行になってホルダー1全体が平らで薄い状態になり、ポケットやバッグの中でもかさばらない。
【0024】
ホルダー1のアーム材12を突き出した状態にすると、携帯電子製品100の使用時に指が入れられるだけでなく、携帯電子製品100を台の上に斜めにたてかける際のスタンドとしても用いることができる。
図7に示すように、アーム材12を台の上に載せると、縦にしたディスプレイを傾けた状態で眺めることができる。例えば、レシピを紹介する動画を眺めながら調理をする場合、携帯電子製品100を手に持ったり、平置きに置いた携帯電子製品100を覗き込んだりせずに調理ができるので便利である。 なお、
図7では、縦にしたディスプレイを据え置いているが、横にして据え置くこともできる。
【0025】
《第2の実施の形態》 本発明に係る携帯電子製品用のホルダーの第2の実施の形態について説明する。ホルダー5は、スライド材を移動させるための構造が異なるだけで、部材の構成や使用の態様などは第1の実施の形態のホルダー1とほとんど同じである。そのため、以下の説明では相違点を中心に説明する。
【0026】
ホルダー5は、
図8の展開図に示すようにベース材51、アーム材52、スライド材53およびガイド材54からなり、これらの各部材は、シート状の合成樹脂等で一体成形する。ベース材51は、ガイド材54およびアーム材52と連設し、さらにアーム材52はスライド材53と連設する。これらの連設部は折り曲げ可能である。
【0027】
ベース材51は、裏面に粘着層を備え、この粘着層を覆う剥離紙を剥がして、保護カバーの背面あるいは携帯電子製品の背面に直接貼り付ける。 ベース材51は長方形状であり、ベース材51のガイド材54と連設している側は、ガイド材54によって上から覆われる。アーム材52と連設している側は、ホルダー5の非使用時には、アーム材52と平行になってホルダー5は全体形状が平らになる。ホルダー5の使用時は、ベース材51に対してアーム材52は突き出ることになる。
【0028】
アーム材52の基端側は、ベース材51と回動可能に連設する。このため、アーム材52は、
図10に示すベース材51と平行となる倒立姿勢および、
図11に示すベース材51に対して先端側が立ち上がる起立姿勢とを採ることが可能となっている。 アーム材52の他端側には、スライド材53の基端側が回動可能に連設している。
【0029】
スライド材53は、基端側がアーム材
52に連設する。スライド材53は、頻繁に移動したり、移動に伴いアーム材52を動かしたり係止したりするので、ある程度の強度が必要である。そのため、
図8に示すようにスライド材53の両側端部および先端部の近傍をコの字型に芯ワイヤ531で補強し、スライド材53と芯ワイヤ531とを皮革や布などで覆う。ただし、芯ワイヤ531の先端部寄りは露出させてガイドワイヤ532とする。このガイドワイヤ532は、請求項3の係止部に相当する。
【0030】
ベース材51の他方の端部にはガイド材54の基端側が連設している。このガイド材54はベース材51の上方にかぶさるように折り曲げられ、ガイド材の両側端部541a、541bは山折りしてベース材51の底面に固着する。これによってガイド材54とベース材51とによってスライド材収容空間56が形成される。この空間56の開口部542の幅W2は、スライド材53が自在に移動できるようにスライド材53の幅よりもやや大きくする。ベース材51において、スライド材収容空間56の内側に対応する部分に、レール材55を貼り付ける。
図9に従い説明すると、レール材55は矩形状の硬質な素材を中央で折り曲げたものであり、V字型あるいはU字型に折り曲げた一方の面をベース材51に固着する。他方の面には、スライド材53のガイドワイヤ532が引っ掛けられ、ガイドワイヤ532が移動するガイドレールの役割を果たす。
【0031】
次に、
図10および
図11に従い、スライド材53の移動について説明する。(説明の便宜上、
図10(2)および
図11(2)ではスライド材53を黒く塗りつぶしている。)
図10に示すように、ホルダー5が平らな状態のときは、スライド材53は収容空間56の内部に収容されている。このときスライド材53の先端部近傍にあるガイドワイヤ532が、レール材55の先端部551の近傍に係止されている。ホルダー5の使用時は、
図11に示すようにスライド材53を収容空間56の内部から、ガイドワイヤ532がレール材55の終端部552に突き当たるまで引っ張り出す。この実施の形態では、ガイドワイヤ532とレール材55とがストッパーの役割を果たし、スライド材53は前後方向に自在に移動できる。第1の実施の形態のホルダー1よりも部品点数が増えたとはいえ、次の利点がある。すなわち、ガイドワイヤ532を中心とするコの字型の芯ワイヤ531がスライド材の強度を高める役割を果たす。そのため、ホルダー1のように、硬質な素材で別途補強しなくてもよい。また、レール材55には金属板を用い、芯ワイヤ531にはピアノ線などの強靭な線材を用いるので、使用に伴う劣化も少なく、ホルダー5を頻繁に使用しても壊れにくい。 ホルダー5の使用/非使用の状態変化、および指を入れるだけでなくスタンドとしても使用できる点は第1の実施の形態のホルダー1と同様なので説明は省略する。
【0032】
以上、本発明に係る実施の形態を説明したが、本発明は上記の実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲の記載を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
例えば上記の実施の形態では、本発明のホルダーを携帯電子製品あるいはその保護カバーの裏面に貼り付けて使用する場合について説明した。しかし、携帯電子製品の保護カバーにホルダーを予め貼り付けてホルダー付保護カバーとして提供してもよい。
【0033】
例えば上記実施の形態では、ベース材、アーム材、スライド材およびガイド材が一体的に形成され、これらの間を折り曲げてホルダーを形成した。しかし、各部分を分離して端部同士を金属製あるいは合成樹脂製などの支持軸で連設する構造をとってもよい。また、
図2の展開図のように樹脂で一体的に形成し、この樹脂を芯として皮革、ゴム、布などで覆ってもよい。これは補強だけでなく装飾性を高めることも目的とする。スマートフォンは腕時計やバッグのような身の回り品であり、職場とか改まった席といったTPOにあわせて、ふさわしい材質やデザインのホルダーに取り替えたい、というニーズに応えることができるからである。
【0034】
さらに、樹脂などで一体的に形成する場合も、
図2の展開図は一例にすぎない。たとえば、
図12は、第1の実施の形態の変形である。
図2では、ベース材11の中間部分に凹部113a、113bを設け、ガイド材14の切片142a,142bを折り曲げて、ベース材11の裏側に貼り付けていた。しかし、
図12では、ベース材11の中間部分に切り込み114a、114bを入れ、ガイド材14の端部であって長手方向に平行に設けた切片145a、145bを差し込み、ベース材11の裏側に貼り付ける。これにより、スライド材収容空間16の開口部が形成される。
【0035】
上記の実施の形態では、装飾性などは考慮しなかった。しかし、装飾性や夜間使用の便宜を考慮して、適宜、蓄光塗料を塗布してもよい。例えば、ガイド材やアーム材の外面に星の絵柄を塗布すると、これは装飾そのものであり、且つ暗い場所における視認性が高まる。
【0036】
上記の実施の形態では、スマートフォンへ使用する場合について説明した。
しかし、タブレットコンピュータや電子書籍リーダーなどの携帯用電子製品全般さらには、書籍やノート・バインダーのように、携帯と使用(車内使用など)がそれ程分離されてはいないアイテム類についても応用できる。
【課題】使用時には突き出した状態となって指を入れられるとともに、台上に立てかける時にはスタンドの役割を果たし、非使用時には平らな状態となる携帯電子製品用のホルダーを提供する。
【解決手段】携帯電子製品100の保護カバー200の裏面に貼り付け可能なホルダー1は、ベース材11とガイド材14とアーム材12とスライド材13を構成に含む。ガイド材14は、基端側がベース材11の長手方向の一方の端部と連設し、ベース材11との間にスライド材13の移動が可能なスライド材収容空間を形成する。アーム材12は、基端側がベース材11の他方の端部に連設し、一方の端部がスライド材13に連設する。スライド材13は、係止部131を有し、これによって規制される範囲内で、スライド材収容空間の内部を前後に自在に移動し、その移動に伴いアーム材12の状態を変化させる。