特許第6184548号(P6184548)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6184548
(24)【登録日】2017年8月4日
(45)【発行日】2017年8月23日
(54)【発明の名称】携帯電子製品用のホルダー
(51)【国際特許分類】
   G06F 1/16 20060101AFI20170814BHJP
   F16M 13/00 20060101ALI20170814BHJP
   H04M 1/11 20060101ALI20170814BHJP
【FI】
   G06F1/16 313A
   G06F1/16 312E
   G06F1/16 313Z
   F16M13/00 Z
   H04M1/11 Z
【請求項の数】3
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2016-85894(P2016-85894)
(22)【出願日】2016年4月22日
【審査請求日】2017年5月2日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】512271468
【氏名又は名称】河村 千鶴子
(73)【特許権者】
【識別番号】512207375
【氏名又は名称】勝又 哲
(74)【代理人】
【識別番号】100120916
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 壽見子
(72)【発明者】
【氏名】河村 千鶴子
(72)【発明者】
【氏名】勝又 哲
【審査官】 三橋 竜太郎
(56)【参考文献】
【文献】 実開平04−048750(JP,U)
【文献】 特開2014−067332(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16M 1/00−13/08
G06F 1/00
1/16−1/18
H04M 1/02−1/23
H05K 5/00−5/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
携帯電子製品の裏面に貼り付け可能なベース材と、基端側が前記ベース材の長手方向の一方の端部と連設し且つ前記ベース材の中央付近までを覆うガイド材と、基端側が前記ベース材の他方の端部に回動可能に連設し、且つ倒立状態即ち前記ベース材に平行となる状態及び起立状態即ち前記ベース材から他端側が立ち上がる状態とを採り得るアーム材と、前記アーム材の他端側に連設する本体部と該本体部よりも幅の広い係止部とを有し、該係止部によって規制される範囲内で、前記ガイド材と前記ベース材が形成するスライド材収容空間の内部を長手方向に自在に移動し、その移動に伴い前記アーム材の状態を変化させるスライド材と、を含み、前記スライド材の本体部は、係止部との境界にあたる屈曲部を基点に回動可能であり、前記屈曲部が前記スライド材収容空間の開口部に接触するまで前記スライド材を移動させたときに、前記本体部は前記ガイド材から立ち上がって、前記ベース材と前記アーム材と前記スライド材とが三角形状の空間を形成することを特徴とする携帯電子製品用のホルダー。
【請求項2】
前記ベース材、前記アーム材、前記スライド材及び前記ガイド材は、合成樹脂や金属等の素材をシート状にしたもので一体成形することを特徴とする請求項1に記載の携帯電子製品用のホルダー。
【請求項3】
携帯電子製品の裏面に貼り付け可能なベース材と、基端側が前記ベース材の長手方向の一方の端部と連設し且つ前記ベース材の中央付近までを覆うガイド材と、基端側が前記ベース材の他方の端部に回動可能に連設し、且つ倒立状態即ち前記ベース材に平行となる状態及び起立状態即ち前記ベース材から他端側が立ち上がる状態とを採り得るアーム材と、前記アーム材の他端側に連設するとともに係止部を有し、該係止部によって規制される範囲内で、前記ガイド材と前記ベース材が形成するスライド材収容空間の内部を長手方向に自在に移動し、その移動に伴い前記アーム材の状態を変化させるスライド材と、を含み、前記スライド材は先端部の近傍に線材をコの字型に形成した係止部を設け、前記スライド材収容空間内には前記ベース材に取り付けられたレール材を設け、前記係止部が前記レール材を移動することを特徴とする携帯電子製品用のホルダー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
非使用時は平らな状態であるが、使用時には突き出した状態となって指を入れる空間ができるとともに、机などの平面上に斜めに立てかける際はスタンドの役割を果たす携帯電子製品用のホルダーに関する。
【背景技術】
【0002】
幅が狭く片手で容易に操作できるフィーチャーフォンに代わって、最近ではスマートフォンと呼ばれる携帯電話が急速に普及している。スマートフォンで動画やゲームを楽しみたいといったニーズに応えるために、ディスプレイの大型化が進み、これに伴いスマートフォンの筐体も大型化する傾向にある。そのため、使用中につい落としたりしがちである。ところが、スマートフォンなどは電子部品の集合であり、大型のガラス部品を持つことから、外部からの衝撃を極力少なくするためにも、手から滑り落ちないように注意が必要である。
これは、スマートフォンだけでなく、もっとサイズの大きいタブレットコンピュータや電子書籍リーダーにも言えることである。
【0003】
この問題を解決するために、スマートフォンなどの筐体や、筐体の上から使用する保護カバーの裏面にホルダーを取り付けるアイデアが特許・実用新案登録出願されている。
例えば、特許文献1には、携帯用電子製品を片手で安定的に支持して容易に視聴できるようにするための「携帯用電子製品ホルダー」が開示されている。
特許文献2には、携帯用電子機器の背面に付着され、使用者が安全に把持できるようにする「携帯用電子機器把持器具」が開示されている。
特許文献3には、非使用時は平らな状態にしておくが、使用時には突出した状態にすることで使用中のスマートフォンの落下を防ぐ「多機能携帯電話のカバーおよび多機能携帯電話の滑止部材」が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特表2013−522756号公報
【特許文献2】特表2014−512709号公報
【特許文献3】特開2013−207458号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載されている発明は、片手で支持するためのホルダーとしての機能と、机やテーブルに傾斜するように固定するためのスタンドとしての機能とを備えている。しかし、ホルダーとスタンドの機能は別部材によって実現されているので、構造が複雑であり、コストもかかる。
特許文献2に記載されている発明は、使用中のスマートフォンを持ちやすくすること、及び底面に斜めに据え置くこと、の2通りの機能を備えている。しかし、リング内に1本の指を挿入することでスマートフォンの落下を防ぐのであるから、安定性に欠け、指もすぐ疲れる。
特許文献3に記載されている発明は、非使用時は平らな状態にできるので、ポケットに楽に入るし、バッグなどに入れてもかさばらない。しかし、突出した状態と平らな状態との間で状態変化をさせる際にコイルバネと係合ピンとをストッパーとして使用している。コイルバネと係合ピンの組み合わせは使用回数が増加すると不具合が起きやすい。言うまでもなくスマートフォンは頻繁に使用するものであるから、本ストッパーの不具合も懸念されるのである。やはり、単純で壊れにくい構造でなければならない。
【0006】
本発明は、上記の問題点に鑑み、平らな状態と突き出した状態との間の変化を簡単かつ壊れにくい構造で実現でき、突き出した状態ではスタンドとしても利用できる携帯電子製品のためのホルダーを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するため、請求項1にかかる発明は、
携帯電子製品の裏面に貼り付け可能なベース材と、基端側が前記ベース材の長手方向の一方の端部と連設し且つ前記ベース材の中央付近までを覆うガイド材と、基端側が前記ベース材の他方の端部に回動可能に連設し、且つ倒立状態即ち前記ベース材に平行となる状態及び起立状態即ち前記ベース材から他端側が立ち上がる状態とを採り得るアーム材と、前記アーム材の他端側に連設する本体部と該本体部よりも幅の広い係止部とを有し、該係止部によって規制される範囲内で、前記ガイド材と前記ベース材が形成するスライド材収容空間の内部を長手方向に自在に移動し、その移動に伴い前記アーム材の状態を変化させるスライド材と、を含み、前記スライド材の本体部は、係止部との境界にあたる屈曲部を基点に回動可能であり、前記屈曲部が前記スライド材収容空間の開口部に接触するまで前記スライド材を移動させたときに、前記本体部は前記ガイド材から立ち上がって、前記ベース材と前記アーム材と前記スライド材とが三角形状の空間を形成することを特徴とする携帯電子製品用のホルダーである。 これにより、非使用時にはスライド材が、ガイド材とベース材とで形成される収容空間の内部に収容されているので、アーム材が倒立状態となって、バッグや衣服のポケットなどにしまっておくときにかさばらない。 一方、使用時は、スライド材を収容空間から引っ張り出し、これに伴いアーム材とスライド材が突出するので、このアーム材とスライド材とベース材との間の空間に手指を入れて携帯電子製品を安定した状態で持つことができる。さらに突き出したアーム材は、携帯電子製品を斜めに据え置くスタンドとしての役割を果たすこともできる。
また、スライド材を本体部と先端部とが構成するが、先端部よりも本体部の幅を狭くするだけで、幅広な先端部がスライド材の移動を規制する係止部となる。つまり、スライド材の形状自体が規制手段となるので、特許文献3のようなコイルバネやピンなどの部材を必要としない。
携帯電子製品には、スマートフォンのほかにタブレットコンピュータ、電子書籍リーダーなども含まれる。 携帯電子製品の裏面に貼り付ける場合として2通りが考えられる。すなわち、筐体の裏面に直接貼り付ける場合と、筐体を覆う保護カバーに貼り付ける場合とである。
【0008】
請求項2にかかる発明は、前記ベース材、前記アーム材、前記スライド材及び前記ガイド材は、合成樹脂や金属等の素材をシート状にしたもので一体成形することを特徴とする請求項1に記載の携帯電子製品用のホルダーである。
【0009】
請求項3にかかる発明は、携帯電子製品の裏面に貼り付け可能なベース材と、基端側が前記ベース材の長手方向の一方の端部と連設し且つ前記ベース材の中央付近までを覆うガイド材と、基端側が前記ベース材の他方の端部に回動可能に連設し、且つ倒立状態即ち前記ベース材に平行となる状態及び起立状態即ち前記ベース材から他端側が立ち上がる状態とを採り得るアーム材と、前記アーム材の他端側に連設するとともに係止部を有し、該係止部によって規制される範囲内で、前記ガイド材と前記ベース材が形成するスライド材収容空間の内部を長手方向に自在に移動し、その移動に伴い前記アーム材の状態を変化させるスライド材と、を含み、前記スライド材は先端部の近傍に線材をコの字型に形成した係止部(下記の第2の実施の形態では、「ガイドワイヤ」が相当する)を設け、前記スライド材収容空間内には前記ベース材に取り付けられたレール材を設け、前記係止部が前記レール材を移動することを特徴とする帯電子製品用のホルダーである 本発明のホルダーはスライド材をポケット状の空間内を前後に自在に動かす点に特徴があるが、スライド材の移動のさせ方は、いろいろな態様が考えられる。請求項3にかかる発明は、スライド材に係止部を設け且つレール材を設けるので、部品点数が増える。しかし、特許文献3で用いるコイルバネほど金属劣化のおそれが少ないので、壊れにくい。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、非使用時と使用時の状態を簡単な動作で切り替えることができ、非使用時はバッグやポケットなどに入れても平らでかさばらない。使用時は突出状態になってホルダーとスタンドの役目を兼ね備えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】第1の実施の形態に係るホルダーを保護カバーに取り付けた状態の斜視図である。
図2】第1の実施の形態に係るホルダーの構造を説明するための展開図である。
図3】第1の実施の形態に係るホルダーのスライド材の移動を説明する図である。
図4】第1の実施の形態に係るアーム材の非使用時の状態を示す図であって、(1)は正面図であり、(2)は(1)のA−A線断面図である。
図5】第1の実施の形態に係るアーム材の使用時の状態を示す図であって、(1)は正面図であり、(2)は(1)のB−B線断面図である。
図6】第1の実施の形態に係るホルダーが作る空間に指を入れて使用する状態を示す図である。
図7】第1の実施の形態に係るホルダーを、携帯電子製品を台に置く際のスタンドとして使用する状態を示す図である。
図8】第2の実施の形態に係るホルダーの構造を説明するための展開図である。
図9】第2の実施の形態に係るホルダーの斜視図である。
図10】第2の実施の形態に係るアーム材の非使用時の状態を示す図であって、(1)は正面図であり、(2)は(1)のC−C線断面図である。
図11】第2の実施の形態に係るアーム材の使用時の状態を示す図であって、(1)は正面図であり、(2)は(1)のD−D線断面図である。
図12】第1の実施の形態の変形例の構造を説明するための展開図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
《第1の実施の形態》 本発明に係る携帯電子製品用のホルダーの第1の実施の形態を、以下に図面を参照しつつ説明する。図1では本実施の形態のホルダー1は、符号11,12,13,14が付された部位から構成されている。 図1に示すように、本実施の形態のホルダー1は、スマートフォンなどの携帯電子製品100の筐体の背面から側面を覆う保護カバー200の背面に貼り付けられる。図1では、ホルダー1は使用時の突出した姿勢で表されている。
【0013】
ホルダー1はベース材11、アーム材12、スライド材13及びガイド材14からなり、これらの各部材は、合成樹脂や金属等の素材をシート状にしたもので一体成形する。図2(1)の展開図に示すように、ベース材11は、ガイド材14およびアーム材12と連設し、さらにアーム材12はスライド材13と連設する。これらの連設部は折り曲げ可能であって、図2(1)(2)では、山折りを1点鎖線で、谷折りを破線で表記している。
【0014】
ベース材11は、裏面に粘着層を備え、この粘着層を覆う剥離紙を剥がして、保護カバー200の背面に貼り付ける。 ベース材11は概ね長方形状であるが、中間部分において幅が狭くなり凹部113a、113bが形成されている。この幅が狭くなった箇所で、ベース材11は、第1ベース部111と第2ベース部112に区画され、第1ベース部111は端部がガイド材14と連設し、ガイド材14によって上から覆われる。第2ベース部112は端部がアーム材12と連設し、ホルダー1の非使用時には、第2ベース部112とアーム材12とが平行になってホルダー1は全体形状が平らになる。ホルダー1の使用時は、図1に示すようにベース材11に対してアーム材12は突き出ることになる。 なお、図2では、凹部113a、113bがベース材11の中央付近に形成されているが、中央よりも上或は下のいずれの箇所に形成してもかまわない。
【0015】
アーム材12の基端側は、ベース材11の第2ベース部112と回動可能に連設する。このため、アーム材12は、図4(2)に示すベース材11と平行となる倒立姿勢および、図5(2)に示すベース材11に対して先端側が立ち上がる起立姿勢とを採ることが可能となっている。 アーム材12の他端側には、スライド材13の基端側が回動可能に連設している。
【0016】
スライド材13は、基端側がアーム材12に連設する。スライド材13は、頻繁に移動させたり、移動に伴いアーム材12を動かしたり係止したりするので、ある程度の強度が必要である。そのため、一体成形した合成樹脂等のスライド材13にあたる部分に硬質な素材を重ねて接着したりすることが好ましい。スライド材13は、アーム材12と連設する側の端部を含む本体部131の幅が狭くなっており、他方の端部にはT字型の係止部132が形成される。説明の便宜上図2(1)(2)において、係止部132には斜線を付してある。本体部131と係止部132の境界は屈曲部133であり、この屈曲部133を基点にスライド材13は回動可能となる。係止部132は、スライド材13の移動を規制するだけでなく、屈曲部133においてガイド材14から立ち上がったスライド材13の姿勢を保持しやすくする働きを備える。そのため、係止部132は、硬質な素材などで補強するとよい。ベース材11とアーム材12の連設箇所を谷折りすると、図2(2)に示すように、アーム材12は第2ベース部112に重なり、スライド材13は第1ベース部111に重なる。
【0017】
ベース材11の他方の端部にはガイド材14の基端側が連設している。図2(3)に示すように、ガイド材14は折り曲げてベース材11の上方にかぶせると、ガイド材14とベース材11とによってスライド材収容空間16が形成される。この空間16の内部をスライド材13が移動することになる。このスライド材収容空間16の形成例について図2を参照しながら説明する。 図2(1)に示すように、展開した状態のガイド材14は連設するベース材11よりも幅が広い矩形状である。端部寄りの位置に2箇所の切り込み141a、141bが設けられ、ベース材11とガイド材14の連設箇所を谷折りすると、3層の状態になる。即ち、第1層は第1ベース部111であり、第2層は第1ベース部111の上に重なった状態のスライド材13であり、第3層はガイド材14である。切り込み141a,141bによって形成された切片142a、142bがそれぞれベース材11の凹部113a、113bにおいて山折りされ、ベース材11の裏側に接着剤などで固着される。また、ガイド材14の側端部143a、143bも山折りし、ベース材11の裏側に固着する。これにより、第1ベース部111とガイド材14との間に、スライド材13が移動可能に収容される空間16が形成された(図4(2)、図5(2)参照)。同時に、ガイド材14の端部にスライド材13の本体部131を長手方向に自在に移動させるための開口部144が形成された。開口部144の幅Wはスライド材13の本体部131の幅よりも若干大きくする。
【0018】
次に、図3に従い、スライド材13の移動について説明する。ホルダー1が平らな状態のときは、スライド材13の係止部132と本体部131は収容空間16の内部に収容されている。ただし、ベース材11の凹部113a、113bの裏側にガイド材14の切片142a、142bが回りこんでいることから収容空間16の入り口は、本体部131が通過するに足りるだけの幅Wしかない。そのため、スライド材13の収容空間16内への移動は、係止部132によって規制される。アーム材12を矢印R1の方向に引っ張ると図3(2)の状態を経て、係止部132が収容空間16の入り口で規制される状態の、図3(3)になる。本体部131は屈曲部133において回動可能であるから、この状態においてスライド材13がベース材11に対して突き出されることになるのである。スライド材13と共にアーム材12をも起立させるためには、係止部132は強力でなければならない。そのため、係止部132は、硬質な素材で形成したり、柔軟性のある樹脂を硬質な素材で補強したりすることが好ましいのである。 スライド材13が図3の(1)から(2)を経て(3)の状態に移動するにつれ、本体部131の端部において連設しているアーム材12も移動し、ベース材11とアーム材12との間に空間が生まれる。
【0019】
図4(1)は、保護カバー200に貼り付けられたホルダー1が、スライド材13の全体が収容空間16内に収容されている状態(つまり図3(1)の状態)を示す正面図である。図4(2)は、図4(1)のA−A線断面図である。この断面図に示すように、保護カバー200に粘着層15を介して貼り付けられたベース材11の上にアーム材12とスライド材13とが平行に重なっている。スライド材13は、ベース材11とガイド材14とによって形成された収容空間16の内部に収容されている。なお、図4(2)では、説明の便宜上スライド材13には斜線を付すかわりに黒く塗りつぶしている。
【0020】
図5(1)は、保護カバー200に貼り付けられたホルダー1が、スライド材13の係止部132以外が収容空間16の外部に引き出されている状態(つまり図3(3)の状態)を示す正面図である。図5(2)は、図5(1)のB−B線断面図である。この断面図に示すように、保護カバー200に粘着層15を介して貼り付けられたベース材11の基端部からアーム材12は突出し、スライド材13とアーム材12とベース材11は概ね三角形状の空間を形成する。なお、図5(2)では、説明の便宜上スライド材13には斜線を付すかわりに黒く塗りつぶしている。 スライド材13とアーム材12との連設箇所付近(図5(2)の破線で囲んだ部分)を硬質な素材で補強すると、両者が折れ曲がった状態を保持し、ホルダー1をスタンドとして利用する際に便利である。補強の仕方としては、例えば、本体部131のアーム材12との連設箇所に硬質な素材を貼り付けたり覆ったりするとよい。アーム材12側のスライド材13との連設箇所の近傍にも同様の補強をしてもよい。また、起立時には開口部144において本体部131が角度のついた状態で接しているため、本体部131がストッパーとなり、力を入れないとスライド材13が収容空間16に格納されることはない。そのため、ホルダー1は、後述するようなスタンドとしての利用にも耐えられる。
【0021】
次にホルダー1の作用を説明する。 携帯電子製品100の筐体を保護カバー200が覆い、この保護カバー200の背面にホルダー1のベース材11を貼り付けて、ホルダー1を保護カバー200に固定させる。固定するために、ベース材11の表面の粘着層15を覆っている剥離紙(図示せず)を剥がし、粘着剤15を露出させて保護カバー200の背面に貼り付ける。なお、粘着剤の変わりに両面テープを用いてもよい。
【0022】
アーム材12の先端側に回動可能に連設するスライド材13は、ガイド材14とベース材11とが形成する収容空間16の内部/外部へ自在に移動する。それに伴いアーム材12は、ベース材11に張り付いたりベース材11から突き出たりするのである。
【0023】
アーム材12が突き出るとベース材11との間に空間が形成されるので、図6に示すようにこの空間に指を数本入れて、携帯電子製品100を安定した状態で支持することができる。このように、ホルダー1を使用すると、携帯電子製品100を滑り落とす心配がなく、安心して操作できる。 使用が終わったならば、スライド材13を収容空間16の内側に挿入するように移動させる。アーム材13はベース材11に対して平行になってホルダー1全体が平らで薄い状態になり、ポケットやバッグの中でもかさばらない。
【0024】
ホルダー1のアーム材12を突き出した状態にすると、携帯電子製品100の使用時に指が入れられるだけでなく、携帯電子製品100を台の上に斜めにたてかける際のスタンドとしても用いることができる。図7に示すように、アーム材12を台の上に載せると、縦にしたディスプレイを傾けた状態で眺めることができる。例えば、レシピを紹介する動画を眺めながら調理をする場合、携帯電子製品100を手に持ったり、平置きに置いた携帯電子製品100を覗き込んだりせずに調理ができるので便利である。 なお、図7では、縦にしたディスプレイを据え置いているが、横にして据え置くこともできる。
【0025】
《第2の実施の形態》 本発明に係る携帯電子製品用のホルダーの第2の実施の形態について説明する。ホルダー5は、スライド材を移動させるための構造が異なるだけで、部材の構成や使用の態様などは第1の実施の形態のホルダー1とほとんど同じである。そのため、以下の説明では相違点を中心に説明する。
【0026】
ホルダー5は、図8の展開図に示すようにベース材51、アーム材52、スライド材53およびガイド材54からなり、これらの各部材は、シート状の合成樹脂等で一体成形する。ベース材51は、ガイド材54およびアーム材52と連設し、さらにアーム材52はスライド材53と連設する。これらの連設部は折り曲げ可能である。
【0027】
ベース材51は、裏面に粘着層を備え、この粘着層を覆う剥離紙を剥がして、保護カバーの背面あるいは携帯電子製品の背面に直接貼り付ける。 ベース材51は長方形状であり、ベース材51のガイド材54と連設している側は、ガイド材54によって上から覆われる。アーム材52と連設している側は、ホルダー5の非使用時には、アーム材52と平行になってホルダー5は全体形状が平らになる。ホルダー5の使用時は、ベース材51に対してアーム材52は突き出ることになる。
【0028】
アーム材52の基端側は、ベース材51と回動可能に連設する。このため、アーム材52は、図10に示すベース材51と平行となる倒立姿勢および、図11に示すベース材51に対して先端側が立ち上がる起立姿勢とを採ることが可能となっている。 アーム材52の他端側には、スライド材53の基端側が回動可能に連設している。
【0029】
スライド材53は、基端側がアーム材
52に連設する。スライド材53は、頻繁に移動したり、移動に伴いアーム材52を動かしたり係止したりするので、ある程度の強度が必要である。そのため、図8に示すようにスライド材53の両側端部および先端部の近傍をコの字型に芯ワイヤ531で補強し、スライド材53と芯ワイヤ531とを皮革や布などで覆う。ただし、芯ワイヤ531の先端部寄りは露出させてガイドワイヤ532とする。このガイドワイヤ532は、請求項3の係止部に相当する。
【0030】
ベース材51の他方の端部にはガイド材54の基端側が連設している。このガイド材54はベース材51の上方にかぶさるように折り曲げられ、ガイド材の両側端部541a、541bは山折りしてベース材51の底面に固着する。これによってガイド材54とベース材51とによってスライド材収容空間56が形成される。この空間56の開口部542の幅W2は、スライド材53が自在に移動できるようにスライド材53の幅よりもやや大きくする。ベース材51において、スライド材収容空間56の内側に対応する部分に、レール材55を貼り付ける。図9に従い説明すると、レール材55は矩形状の硬質な素材を中央で折り曲げたものであり、V字型あるいはU字型に折り曲げた一方の面をベース材51に固着する。他方の面には、スライド材53のガイドワイヤ532が引っ掛けられ、ガイドワイヤ532が移動するガイドレールの役割を果たす。
【0031】
次に、図10および図11に従い、スライド材53の移動について説明する。(説明の便宜上、図10(2)および図11(2)ではスライド材53を黒く塗りつぶしている。)図10に示すように、ホルダー5が平らな状態のときは、スライド材53は収容空間56の内部に収容されている。このときスライド材53の先端部近傍にあるガイドワイヤ532が、レール材55の先端部551の近傍に係止されている。ホルダー5の使用時は、図11に示すようにスライド材53を収容空間56の内部から、ガイドワイヤ532がレール材55の終端部552に突き当たるまで引っ張り出す。この実施の形態では、ガイドワイヤ532とレール材55とがストッパーの役割を果たし、スライド材53は前後方向に自在に移動できる。第1の実施の形態のホルダー1よりも部品点数が増えたとはいえ、次の利点がある。すなわち、ガイドワイヤ532を中心とするコの字型の芯ワイヤ531がスライド材の強度を高める役割を果たす。そのため、ホルダー1のように、硬質な素材で別途補強しなくてもよい。また、レール材55には金属板を用い、芯ワイヤ531にはピアノ線などの強靭な線材を用いるので、使用に伴う劣化も少なく、ホルダー5を頻繁に使用しても壊れにくい。 ホルダー5の使用/非使用の状態変化、および指を入れるだけでなくスタンドとしても使用できる点は第1の実施の形態のホルダー1と同様なので説明は省略する。
【0032】
以上、本発明に係る実施の形態を説明したが、本発明は上記の実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲の記載を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
例えば上記の実施の形態では、本発明のホルダーを携帯電子製品あるいはその保護カバーの裏面に貼り付けて使用する場合について説明した。しかし、携帯電子製品の保護カバーにホルダーを予め貼り付けてホルダー付保護カバーとして提供してもよい。
【0033】
例えば上記実施の形態では、ベース材、アーム材、スライド材およびガイド材が一体的に形成され、これらの間を折り曲げてホルダーを形成した。しかし、各部分を分離して端部同士を金属製あるいは合成樹脂製などの支持軸で連設する構造をとってもよい。また、図2の展開図のように樹脂で一体的に形成し、この樹脂を芯として皮革、ゴム、布などで覆ってもよい。これは補強だけでなく装飾性を高めることも目的とする。スマートフォンは腕時計やバッグのような身の回り品であり、職場とか改まった席といったTPOにあわせて、ふさわしい材質やデザインのホルダーに取り替えたい、というニーズに応えることができるからである。
【0034】
さらに、樹脂などで一体的に形成する場合も、図2の展開図は一例にすぎない。たとえば、図12は、第1の実施の形態の変形である。図2では、ベース材11の中間部分に凹部113a、113bを設け、ガイド材14の切片142a,142bを折り曲げて、ベース材11の裏側に貼り付けていた。しかし、図12では、ベース材11の中間部分に切り込み114a、114bを入れ、ガイド材14の端部であって長手方向に平行に設けた切片145a、145bを差し込み、ベース材11の裏側に貼り付ける。これにより、スライド材収容空間16の開口部が形成される。
【0035】
上記の実施の形態では、装飾性などは考慮しなかった。しかし、装飾性や夜間使用の便宜を考慮して、適宜、蓄光塗料を塗布してもよい。例えば、ガイド材やアーム材の外面に星の絵柄を塗布すると、これは装飾そのものであり、且つ暗い場所における視認性が高まる。
【0036】
上記の実施の形態では、スマートフォンへ使用する場合について説明した。
しかし、タブレットコンピュータや電子書籍リーダーなどの携帯用電子製品全般さらには、書籍やノート・バインダーのように、携帯と使用(車内使用など)がそれ程分離されてはいないアイテム類についても応用できる。
【産業上の利用可能性】
【0037】
本発明のホルダーの利用法は簡便であり、しかも機能にも不足はない。複雑な部品を使わないから、低廉であり且つ破損しにくい。したがって、携帯電子製品の使い勝手を向上させるアクセサリーとして、需要が期待できる。
【符号の説明】
【0038】
1:(第1の実施の形態の)ホルダー
11:ベース材
12:アーム材
13:スライド材
131:本体部
132:係止部
14:ガイド材
16:スライド材収容空間
5:(第2の実施の形態の)ホルダー
51:ベース材
52:アーム材
53:スライド材
531:芯ワイヤ
532:ガイドワイヤ
54:ガイド材
55:レール材
56:スライド材収容空間
100:携帯電子製品
200:保護カバー
【要約】      (修正有)
【課題】使用時には突き出した状態となって指を入れられるとともに、台上に立てかける時にはスタンドの役割を果たし、非使用時には平らな状態となる携帯電子製品用のホルダーを提供する。
【解決手段】携帯電子製品100の保護カバー200の裏面に貼り付け可能なホルダー1は、ベース材11とガイド材14とアーム材12とスライド材13を構成に含む。ガイド材14は、基端側がベース材11の長手方向の一方の端部と連設し、ベース材11との間にスライド材13の移動が可能なスライド材収容空間を形成する。アーム材12は、基端側がベース材11の他方の端部に連設し、一方の端部がスライド材13に連設する。スライド材13は、係止部131を有し、これによって規制される範囲内で、スライド材収容空間の内部を前後に自在に移動し、その移動に伴いアーム材12の状態を変化させる。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12