(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6184559
(24)【登録日】2017年8月4日
(45)【発行日】2017年8月23日
(54)【発明の名称】照明ランプおよび照明器具
(51)【国際特許分類】
F21V 19/00 20060101AFI20170814BHJP
F21K 9/00 20160101ALI20170814BHJP
F21K 9/233 20160101ALI20170814BHJP
F21K 9/275 20160101ALI20170814BHJP
F21V 29/503 20150101ALI20170814BHJP
F21V 29/70 20150101ALI20170814BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20170814BHJP
【FI】
F21V19/00 450
F21K9/00 100
F21K9/233 100
F21K9/275
F21V29/503
F21V29/70
F21Y115:10
【請求項の数】6
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2016-119641(P2016-119641)
(22)【出願日】2016年6月16日
(62)【分割の表示】特願2015-522478(P2015-522478)の分割
【原出願日】2014年2月25日
(65)【公開番号】特開2016-181519(P2016-181519A)
(43)【公開日】2016年10月13日
【審査請求日】2016年6月16日
(31)【優先権主張番号】特願2013-128489(P2013-128489)
(32)【優先日】2013年6月19日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】390014546
【氏名又は名称】三菱電機照明株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001461
【氏名又は名称】特許業務法人きさ特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】池谷 博文
(72)【発明者】
【氏名】野口 卓志
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 康弘
【審査官】
安食 泰秀
(56)【参考文献】
【文献】
特開2012−109405(JP,A)
【文献】
特開2011−146241(JP,A)
【文献】
特開2011−204444(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21V 19/00
F21K 9/00
F21K 9/233
F21K 9/275
F21V 29/503
F21V 29/70
F21Y 115/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光素子が実装された円板状の基板と、
前記基板を取り囲むように壁部が形成され、前記壁部の間に、前記基板が載置される載置面を有する放熱部材と、
前記基板と前記放熱部材とを前記載置面において接着する接着剤と、を備え、
前記放熱部材には、
溝部が形成されている
照明ランプ。
【請求項2】
前記溝部は、
前記壁部に沿うように形成されている
請求項1記載の照明ランプ。
【請求項3】
前記溝部は、
前記載置面に形成されている
請求項2記載の照明ランプ。
【請求項4】
前記溝部は、
前記載置面の端に形成されている
請求項3記載の照明ランプ。
【請求項5】
前記溝部は、
前記壁部の壁面下部に形成されている
請求項2記載の照明ランプ。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の照明ランプを備えた照明器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、LED(Light Emitting Diode)等の発光素子を用いた照明ランプと当該照明ランプを備えた照明器具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の照明ランプとして、長尺状の直管と、LEDが実装された基板と、直管内に設けられ、LEDで発熱する熱を放熱するヒートシンクとを備えるものがある。ヒートシンクの表面は平面をなしており、その表面上には基板が載置される。そして、基板とヒートシンクとは載置面において接着剤で接着される。(例えば、特許文献1を参照)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012−069303号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような照明ランプでは、基板とヒートシンクはともに平面をなしているため、基板とヒートシンクとの接着の際に、接着剤が基板の直下部から外部へ向かって押し広がる。このため、壁部が形成されたヒートシンクを用いる場合、押し広がった接着剤が壁部の壁面を伝って基板の表面側まで回り込んでしまうことがある。この結果、基板の表面側に回り込んだ接着剤が、配光特性に悪影響を与えたり、異物として散乱したり、発光素子に付着して不具合に繋がったりするなどの恐れがあった。
【0005】
この発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、基板と放熱部材とが接着剤で接着された照明ランプおよび照明器具において、接着剤の基板表面側への回り込みを防止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明の照明ランプは、発光素子が実装された円板状の基板と、基板を取り囲むように壁部が形成され、壁部の間に、基板が載置される載置面を有する放熱部材と、基板と放熱部材とを載置面において接着する接着剤と、を備え、放熱部材には、溝部が形成されているものである。
【発明の効果】
【0007】
この発明によれば、放熱部材に溝部が形成されているので、基板と放熱部材との接着の際に、接着剤が基板の表面側に回り込んでしまうことを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施の形態1の照明ランプを示す斜視図である。
【
図2】実施の形態1の照明ランプから筒管を除いた部分上面図である。
【
図3】実施の形態1の照明ランプを示す断面図である。
【
図5】実施の形態2の照明ランプを示す側面図である。
【
図6】実施の形態2の照明ランプから透光カバーを除いた上面図である。
【
図7】実施の形態2の照明ランプを示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
実施の形態1.
図1ないし3は、実施の形態1の照明ランプの構成を示すものであって、
図1は斜視図、
図2は照明ランプから筒管を除いた部分上面図、
図3は断面図である。なお、以下の各図において、同一符号は同一または相当の構成を示す。
【0010】
図1に示すように、実施の形態1の照明ランプ1は直管形の照明ランプであって、直管状の筒管2を備えている。筒管2の形状は、直管状であればよく、円筒状であっても角筒のような形状であってもよい。筒管2の材質はガラス又は樹脂とすることができ、樹脂とする場合、その樹脂素材は、例えば、アクリル又はポリカーボネートとすることができる。筒管2はガラス又は樹脂で構成されているため、後述する発光部10から出射される光を透過する。
【0011】
この筒管2の両端部には、一対の口金が設けられている。筒管2の一端部に設けられた口金は、給電用の給電口金20aであり、筒管2の一端部を覆うように嵌合する口金筐体である給電口金筐体21aと、この給電口金筐体21aの筒管2の反対側の面に設けられた断面L字の2個の給電端子22aとから構成されている。2個の給電端子22aは、L字の曲がり部分が、相互に外側を向くように給電口金筐体21aに設けられている。
【0012】
また、筒管2の他端部に設けられた口金は、アース用のアース口金20bであり、筒管2の他端部を覆うように嵌合する口金筐体であるアース口金筐体21bと、このアース口金筐体21bの直管2の反対側の面に設けられたアース端子22bとから構成されている。
【0013】
なお、これらの給電口金20a及びアース口金20bは、螺子を用いて後述するヒートシンク7に固定するように構成できる。
【0014】
図2に示すように、筒管2の内部には光源部10が配設されている。光源部10は、筒管2の管軸方向に延びる基板12を複数備えている。各基板12には、筒管2の管軸方向に平行に、発光素子としてのLED11が複数実装されている。
【0015】
光源部10は、接続部材としてのコネクタ13を備えている。コネクタ13は基板12の表面6に設けられており、隣接する基板12同士はコネクタ13により電気的に接続されている。なお、ここでは接続部材としてコネクタ13を用いているが、接続部材はコネクタ13に限るものではなく、隣接する基板12同士を電気的に接続するものであればよい。
【0016】
図3に示すように、筒管2の内部には、光源部10から発生する熱を放熱するための放熱部材として、筒管2の管軸方向に延びるヒートシンク7が設けられている。ヒートシンク7の筒管2に接する面は、筒管2の内壁に沿うように円弧状になっており、ヒートシンク7と筒管2とは、ここでは図示しない接着剤又は接着テープ等を用いて接着されている。なお、ここではヒートシンク7の筒管2に接する面を円弧状に形成するものを示しているが、面の形状はこれに限るものではない。また、ヒートシンクと筒管とをはめ合わせ構造を用いて固定するようにしてもよい。
【0017】
ヒートシンク7には、筒管2の管軸方向に沿って延びる一対の壁部8が一体形成されている。この一対の壁部8によって、LED11の光の照射により生じるコネクタ13などの影を防止することができる。壁部8の高さは、LED11の光の照射により生じる影をどの角度から防止したいかによって適宜決定される。
【0018】
ヒートシンク7の一対の壁部8の間には、基板12が載置される載置面4が形成されている。載置面4は平面をなしており、基板12とヒートシンク7とは載置面4において接着剤9により接着されている。接着剤9は、基板12からヒートシンク7への熱伝導を補助するためのものであり、例えば熱伝導性の樹脂材料により構成されている。なお、実施の形態1では、基板12とヒートシンク7とを接着剤9のみによって接着するようにしているが、接着剤9で接着するとともに、螺子などの固定部材によって固定するようにしてもよい。
【0019】
ヒートシンク7の載置面4には、基板12とヒートシンク7との接着の際に基板12の直下部から外部へ向かって押し広がった接着剤9を逃がすための溝部3が形成されている。この溝部3は、筒管2の管軸方向に沿って延びるように載置面4の両端に形成されており、その断面形状は略矩形である。溝部3の内部には、基板12とヒートシンク7との接着の際に基板12の直下部から外部へ向かって押し広がった接着剤9が存在する。
【0020】
次に、実施の形態1の照明ランプ1のヒートシンク7に形成された溝部3の作用を、比較例の照明ランプと比較して説明する。
【0021】
図4は、比較例の照明ランプを示す断面図である。実施の形態1の照明ランプ1がヒートシンク7の載置面4に溝部3を有するのに対して、比較例の照明ランプは溝部3を有していない。比較例の照明ランプの構成は、上記以外は実施の形態1の照明ランプ1の構成と同様であるので説明を省略する。
【0022】
図4に示す比較例の照明ランプにおいては、基板12とヒートシンク7とを接着剤9によって接着する際に、接着剤9が基板12の直下部から外部へ向かって押し広がる。このため、押し広がった接着剤9が壁部8の壁面5を伝って基板12の表面6まで回り込んでしまう。この結果、基板12の表面6に回り込んだ接着剤9が、配光特性に悪影響を与えたり、異物として散乱したり、LED11に付着して不具合に繋がったりするなどの恐れがある。
【0023】
これに対し、
図3に示す実施の形態1の照明ランプ1においては、載置面4の両端に筒管2の管軸方向に沿って延びる溝部3が形成されているので、基板12とヒートシンク7とを接着剤9によって接着する際に、基板12の直下部から外部へ向かって押し広がった接着剤9は溝部3に入り込む。このため、押し広がった接着剤9が壁部12の壁面5を伝って基板12の表面6まで回り込んでしまうことを防ぐことができる。
【0024】
以上説明したように、実施の形態1によれば、ヒートシンク7に押し広がった接着剤9を逃がすための溝部3を形成したので、基板12とヒートシンク7を接着する際に、接着剤9が基板12の表面6に回り込んでしまうことを防止できる。
【0025】
この結果、接着剤9が、照明ランプ1の配光特性に悪影響を与えたり、異物として散乱したり、発光素子に付着して不具合に繋がったりすることを防止できる。
【0026】
また、筒管2の管軸方向に沿って載置面4の両端に溝部3を形成するようにしているので、押し広がった接着剤9を確実に溝部3に逃がすことができる。
【0027】
なお、溝部3の断面形状、幅、形成位置、形成する数については、製品仕様に応じて適宜決定することができる。また、溝部3の形成位置は、載置面4に限らず、壁面5の下部としても実施の形態1と同様の効果を得ることができる。
【0028】
また、実施の形態1では、筒管2の内部にヒートシンク7が設けられている例を示したが、これに限るものではない。例えば、光源部を覆うように、透光カバーを放熱部材に取り付けるようにした照明ランプとしても実施の形態1と同様の効果を得ることができる。
【0029】
実施の形態2.
図5ないし7は、実施の形態2の照明ランプを示すものであって、
図5は側面図、
図6は透光カバーを除いた上面図、
図7は断面図である。
【0030】
図5に示すように、実施の形態2の照明ランプ1aは、透光カバー2aと、ヒートシンク7aと、給電用の口金23とを備えている。ここでは、ヒートシンク7aのみが筐体を構成する例を示しているが、別部材として、例えば、絶縁性を有する樹脂部材をヒートシンク7aの内部に配置するようにしてもよい。また、透光カバー2aの材料は、ガラス又は樹脂とすることができ、樹脂とする場合、その樹脂素材は、例えば、アクリル又はポリカーボネートとすることができ、後述する発光部10aから出射される光を透過する。
【0031】
図6に示すように、照明ランプ1aは光源部10aを備えている。光源部10aは、円板状の基板12aと、基板12aの周方向に並べられるようにして実装された発光素子としてのLED11を複数備えている。また、
図7に示すように、照明ランプ1aは点灯回路基板24と、当該点灯回路基板24に実装された電子部品25とを有する点灯回路を備えている。この点灯回路で生成された電力が、上述した光源部10aに供給される。なお、点灯回路は、ここでは図示しない保持部によりヒートシンク7aの内部に保持されている。
【0032】
図6および7に示すように、ヒートシンク7aには、円板状の基板12aを取り囲むように、壁部8aが形成されている。ヒートシンク7aの壁部8aの間には、基板12aが載置される載置面4aが形成されている。載置面4aは平面をなしており、基板12aとヒートシンク7aとは載置面4aにおいて接着剤9により接着されている。なお、接着剤9については、実施の形態1と同様であるので説明を省略する。また、実施の形態2では、基板12aとヒートシンク7aとを接着剤9のみによって接着するようにしているが、接着剤9で接着するとともに、螺子などの固定部材によって固定するようにしてもよい。
【0033】
ヒートシンク7aの載置面4aには、基板12aとヒートシンク7aとの接着の際に基板12aの直下部から外部へ向かって押し広がった接着剤9を逃がすための溝部3aが形成されている。この溝部3aは、壁部8aに沿うように載置面4aの端に形成されており、その断面形状は略矩形である。溝部3aの内部には、基板12aとヒートシンク7aとの接着の際に基板12aの直下部から外部へ向かって押し広がった接着剤9が存在する。
【0034】
実施の形態2の照明ランプ1aにおいては、壁部8aに沿うように載置面4aの端に溝部3aが形成されているので、基板12aとヒートシンク7aとを接着剤9によって接着する際に、基板12aの直下部から外部へ向かって押し広がった接着剤9は溝部3aに入り込む。このため、押し広がった接着剤9が壁部8aの壁面5aを伝って基板12aの表面6aまで回り込んでしまうことを防ぐことができる。
【0035】
以上説明したように、実施の形態2によれば、ヒートシンク7aに押し広がった接着剤9を逃がすための溝部3aを形成したので、基板12aとヒートシンク7aを接着する際に、接着剤9が基板12aの表面6aに回り込んでしまうことを防止できる。
【0036】
この結果、接着剤9が、照明ランプ1aの配光特性に悪影響を与えたり、異物として散乱したり、発光素子に付着して不具合に繋がったりすることを防止できる。
【0037】
また、載置面4aの端に溝部3aを形成するようにしているので、押し広がった接着剤9を確実に溝部3aに逃がすことができる。
【0038】
なお、溝部3aの断面形状、幅、形成位置、形成する数については、製品仕様に応じて適宜決定することができる。また、溝部3aの形成位置は、載置面4aに限らず、壁面5aの下部としても同様の効果を得ることができる。
【0039】
実施の形態3.
次に、実施の形態1の照明ランプ1または実施の形態2の照明ランプ1aを備えた照明器具について説明する。照明ランプ1または照明ランプ1aは、天井に設置して天井用の照明器具として使用したり、壁面に設置して照明器具として使用したりすることができる。なお、照明ランプ1または照明ランプ1aを備えた照明器具は、これらの用途に限定されず、他の照明器具とすることもできる。
【符号の説明】
【0040】
1、1a 照明ランプ
2 筒管
2a 透光カバー
3、3a 溝部
4、4a 載置面
5、5a 壁面
6、6a 表面
7、7a ヒートシンク
8、8a 壁部
9 接着剤
10、10a 光源部
11 LED
12、12a 基板
13 コネクタ
20a 給電口金
20b アース口金
21a 給電口金筐体
21b アース口金筐体
22a 給電端子
22b アース端子
23 口金
24 点灯回路基板
25 電子部品