特許第6184568号(P6184568)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6184568膝用のクッション体とこのクッション体を備えるサポータ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6184568
(24)【登録日】2017年8月4日
(45)【発行日】2017年8月23日
(54)【発明の名称】膝用のクッション体とこのクッション体を備えるサポータ
(51)【国際特許分類】
   A61F 5/01 20060101AFI20170814BHJP
   A61H 3/00 20060101ALI20170814BHJP
   A61F 13/06 20060101ALI20170814BHJP
   A41D 13/015 20060101ALI20170814BHJP
   A41D 13/06 20060101ALI20170814BHJP
【FI】
   A61F5/01 N
   A61H3/00 B
   A61F13/06 B
   A41D13/015
   A41D13/06 105
【請求項の数】8
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2016-164137(P2016-164137)
(22)【出願日】2016年8月24日
【審査請求日】2016年8月30日
(73)【特許権者】
【識別番号】316012625
【氏名又は名称】宇都宮 哲
(74)【代理人】
【識別番号】100074354
【弁理士】
【氏名又は名称】豊栖 康弘
(74)【代理人】
【識別番号】100104949
【弁理士】
【氏名又は名称】豊栖 康司
(72)【発明者】
【氏名】宇都宮 哲
【審査官】 大谷 謙仁
(56)【参考文献】
【文献】 特開2000−245770(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3077852(JP,U)
【文献】 特表2007−515568(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 5/01
A41D 13/015
A41D 13/06
A61F 13/06
A61H 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
膝の裏側と、膝を挿入する伸縮性のある筒状のサポータ本体との間に入れて使用される膝用のクッション体であって、
足の長手方向に連結してなる、複数の弾性ブロック(3)を備え、
足の長手方向に連結された複数の弾性ブロック(3)は、直線状に配列される状態において、隣接する弾性ブロック(3)の間で、中心部が局部的に接触して、接触部の外側にリング状隙間(8)を設けており、
さらに、足の長手方向に連結された複数の弾性ブロック(3)は、屈曲状に配列される状態において、隣接する弾性ブロック(3)の間の前記リング状隙間(8)の対向面を互いに密着させる形状に弾性変形する弾性を有し、
前記複数の弾性ブロック(3)の屈曲状配列において、弾性変形する前記弾性ブロック(3)の反発力でもって、足の長手方向に連結してなる複数の前記弾性ブロック(3)に、屈曲状配列から直線状配列の方向に付勢する復元力を作用させるようにしてなる膝用のクッション体。
【請求項2】
請求項1に記載される膝用のクッション体であって、
前記弾性ブロック(3)が直径を3cm以上であって8cm以下とする弾性変形するボールで、前記ボールが足の長手方向に連結されてボール間に前記リング状隙間(8)を設けてなる膝用のクッション体。
【請求項3】
請求項2に記載される膝用のクッション体であって、
前記弾性ブロック(3)が球技用のボールであることを特徴とする膝用のクッション体。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれかに記載される膝用のクッション体であって、
足の長手方向に連結してなる前記弾性ブロック(3)が3個である膝用のクッション体。
【請求項5】
人体の膝を挿入するための伸縮性のある筒状のサポータ本体(10)と、
前記サポータ本体(10)の内面に配置してなる膝用のクッション体(1)とを備え、
前記クッション体(1)が、足の長手方向に連結してなる複数の弾性ブロック(3)を備え、
足の長手方向に連結された複数の弾性ブロック(3)は、直列状配列において、隣接する弾性ブロック(3)との間において、中心部が局部的に接触して、接触部の外側にリング状隙間(8)を設けており、
さらに、足の長手方向に連結された複数の弾性ブロック(3)は、屈曲状配列において、隣接する弾性ブロック(3)の間の前記リング状隙間(8)の対向面を互いに密着させる形状に弾性変形する弾性を有し、
前記複数の弾性ブロック(3)の屈曲状配列において、弾性変形する前記弾性ブロック(3)の反発力でもって、足の長手方向に連結してなる複数の前記弾性ブロック(3)に、屈曲状配列から直線状配列の方向に付勢する復元力を作用させるようにしてなる膝用のサポータ。
【請求項6】
請求項5に記載される膝用のサポータであって、
前記弾性ブロック(3)が弾性変形するボールで、前記ボールが足の長手方向に連結されてボール間に前記リング状隙間(8)を設けてなる膝用のサポータ。
【請求項7】
請求項6に記載される膝用のサポータであって、
前記弾性ブロック(3)が球技用のボールであることを特徴とする膝用のサポータ。
【請求項8】
請求項5ないし7のいずれかに記載される膝用のサポータであって、
前記クッション体(1)が3個のボールを連結してなることを特徴とする膝用のサポータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は足の膝部分を挿入して使用する膝用のクッション体とサポータに関し、とくに、歩行運動を楽にできる膝用のクッション体とサポータに関する。
【背景技術】
【0002】
膝の関節を保護するサポータは開発されている。(特許文献1参照)
この公報のサポータは、図4に示すように、膝を挿入しているサポータ本体110に装着されて関節部を自己の弾性で保持する弾性体103とを備えている。弾性体103は、弾性変形する線状体をサポータ本体110に環状に固定している。弾性体103は膝関節の屈伸動作に追随して弾性変形する。
【0003】
このサポータは、これに足を入れ、歩行して膝関節を屈曲運動させると、弾性体103が弾性変形する。膝関節と一緒に弾性変形する弾性体103は、膝関節の屈曲状態で弾性変形し、この状態で発生する弾性的な復元力で膝関節を非屈曲状態に付勢する。非屈曲方向に付勢される膝関節は、膝関節を曲げた状態で直線状に延ばすように付勢されるので、歩行時に足を曲げた状態から直線状に延ばす力を少なくでき、楽に歩行できる特徴がある。
【0004】
ただ、この構造の膝用のサポータは、弾性体103の弾性復元力が直接には膝関節に作用せず、サポータ本体110を介して膝関節に伝達されるので、充分な復元力で曲げた足を直線状に付勢できない欠点がある。また、弾性体103がサポータ本体110を介して膝関節を直線状に延ばすので、線上体の弾性体103を位置ずれしないように確実に固定する必要があって、弾性体103の固定に手間がかかる欠点がある。
【0005】
一方でサポータの内側に球体を入れて、球体で膝関節の内側を直接に押圧するサポータも開発されている。(特許文献2参照)
【0006】
このサポータは、図5に示すように、サポータ本体210の内面に、直径20〜60mmの球体203を入れ、球体203で足膝の裏側を押圧する。このサポータは、膝関節を屈曲運動するごとに、球体203が膝の裏を押圧、刺激することができるが、曲げた膝関節を直線状に延ばす作用が弱く、楽に歩行できる特徴は実現できない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2000−245770号公報
【特許文献2】実用新案登録第3077852号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、従来の膝用のサポータが有する以上の欠点を解決することを目的に開発されたものである。本発明の目的の一は、簡単かつ容易に、しかも安価に多量生産でき、しかも曲げた膝関節を裏から弾性的に押圧して、楽に歩行できる膝用のクッション体とこのクッション体を備える膝用のサポータを提供することにある。
【課題を解決するための手段及び効果】
【0009】
本発明の膝用のクッション体は、前述の目的を達成するために以下の構成を備える。本発明のクッション体は、膝の裏側と、膝を挿入する伸縮性のある筒状のサポータ本体10との間に入れて使用される膝用のクッション体であって、足の長手方向に連結してなる、複数の弾性ブロック3を備え、足の長手方向に連結された複数の弾性ブロック3は、足を曲げない直線状に配列される状態で、隣接する弾性ブロック3との間において、中心部が局部的に接触して、接触部の外側にリング状隙間8を設けており、さらに、足の長手方向に連結された複数の弾性ブロック3は、足を曲げる屈曲状配列において、隣接する弾性ブロック3の間の前記リング状隙間8の対向面を互いに密着させる形状に弾性変形する弾性を有し、前記複数の弾性ブロック3の屈曲状配列において、弾性変形する前記弾性ブロック3の反発力でもって、足の長手方向に連結してなる複数の前記弾性ブロック3に、屈曲状配列から直線状配列の方向に付勢する復元力を作用させるようにしてなる。
【0010】
以上の膝用のクッション体は、簡単かつ容易に、しかも安価に多量生産でき、しかも曲げた膝関節を裏から弾性的に押圧して、楽に歩行できる特徴がある。安価に多量生産できるのは、クッション体1は、複数の弾性ブロック3を足の長手方向に連結するだけで形成できるからである。またクッション体1は、着用した状態で膝を曲げると、足とサポータ本体10とに挟まれて足に沿って変形し、弾性ブロック3が押し潰される方向に弾性変形して、押し潰された弾性ブロック3の弾性的な反発力でもって、屈曲状態から直線状に伸びる方向に足を復元させる力が作用する。この復元力は、クッション体1が着用者の膝を伸ばす方向に膝裏から押圧し、着用者が楽に膝を伸ばせるように補助する。また、クッション体1は屈曲状態では上記の作用を奏しながらも、膝を伸ばした状態では足の長手方向に沿って連結していることで、膝を伸ばした状態では足を直線状に付勢する復元力は作用せず、この状態で足に負担を与えることなく歩行できる。曲げた足の復元力は、曲げる角度に比例して大きくなるので、足を曲げ始める状態では作用せず、曲げた状態で直線状に付勢する復元力が作用する。
【0011】
歩行時には、足を曲げ、また曲げた足を直線状に延ばす動作を繰り返すが、この曲げ伸ばし運動において、足を曲げ始めるとき、すなわち足を曲げる方向に加速するときと、曲げた足を直線状に伸ばす方向に動かし始めるとき、すなわち曲げた足を直線状に伸ばす方向に加速するときに、特に大きなエネルギーを必要とする。それは質量mの物体を、静止状態から加速度αで特定の方向に加速するのに必要な力fが、質量mと加速度αの積に比例して大きくなるからである。さらに、足を曲げる方向と伸ばす方向とは互いに逆方向であるため、足を曲げる方向から伸ばす方向へと切り換える際には、曲げる方向に動く足を減速させる必要がある。減速とは逆方向への加速と同義であり、足を加速させるのと同様にエネルギーを必要とする。足を曲げ伸ばしするために必要なエネルギーは、足の筋肉が伸縮して足に供給される。
【0012】
直線状の足にクッション体1の復元力は作用しない。歩行時に、足を直線状から曲げ方向に運動を開始するとき、足を曲げる方向に加速するために、加速度に比例して大きな曲げ力を必要とするが、このタイミングでクッション体の復元力は作用しない。このため、足の筋肉は、クッション体1を曲げるためにエネルギーを消費せず、筋肉を収縮してスムーズに足を曲げ方向に運動を開始できる。足の曲げ角度が大きくなるにしたがって、クッション体が足に押圧されてクッション体の復元力は大きくなる。クッション体1は、曲げる方向へと動く足を弾性的に減速させて停止させるとともに、足の運動エネルギーを吸収して自身の復元力として蓄えている。すなわち、足を曲げる方向から伸ばす方向へと切り替わる際に、クッション体1により足を減速させるため、筋肉が足を減速させるのに必要な力を小さくすることができる。曲げた足を直線状に伸ばすとき、曲げた足を直線方向に向かって運動を開始するために、筋肉は加速度に比例して大きな力を必要とするが、このときクッション体1に蓄えられた復元力が作用して、足を直線状に延ばすために筋肉が消費するエネルギーを少なくできる。歩行時に、曲げた足を直線状に伸ばす速度は、直線状の足を曲げる運動よりも速い。それは、直線状の足を曲げるのは、後ろに移動した足を持ち上げる速度であってそれほど速くなく、直線状の足を伸ばす運動は、持ち上げた足を前方に移動する速度であって、この速度は歩行速度よりも速い。曲げた足を直線状に伸ばす速度が速く、すなわち加速度も大きいので、筋肉が足をこの方向に移動するために大きなエネルギーを必要とするが、このタイミングでクッション体1の復元力が作用して、足の動きを助ける。このため、曲げた足を直線状に伸ばすとき、すなわち筋肉が大きなエネルギーを必要とするタイミングで、クッション体1が足の動きを助けて、筋肉の消費エネルギーを少なく、すなわち楽に歩行できる特徴を実現する。
【0013】
また以上の膝用のクッション体は、リング状隙間8を設けることで、曲げ角度に比例して弾性ブロック3の反発力を急激に増加して、足の曲げ角度に対して復元力を急激に大きくする。リング状隙間8を設けることにより、クッション体1は直線状において弾性ブロック3が互いに局部的に接触するが、膝裏で押圧して屈曲状配列にすると、弾性ブロック3はリング状隙間8の対向面が密着するように弾性変形して、弾性ブロックの互いの接触面が広くなる。弾性ブロック3の接触面が増加することに加えて、弾性ブロック3が接触面で押しつぶされて接触面の反発力も増加し、クッション体1が直線状に復元する復元力も急激に増加する。
【0014】
また、本発明の膝用のクッション体は、前記弾性ブロック3が直径を3cm以上であって8cm以下とする弾性変形するボールで、前記ボールが足の長手方向に連結されてボール間に前記リング状隙間8を設けることができる。
【0015】
以上の膝用のクッション体は、弾性ブロック3で膝裏を快適に押圧しながら、足の曲げ角度に対する復元力を増加して楽に歩行できる特徴を実現する。それは、弾性ブロック3をボール状にして、ボール間に中心から外側に向かって次第に広くなるリング状隙間8を設けることができるからである。すなわち以上のクッション体1は、弾性ブロック3の対向面の間の全周に次第に広くなるリング状隙間8ができる。この構造は、弾性ブロック3の直線状配列においては、弾性ブロック3は互いに局部的に接触するが、膝裏で押圧して屈曲状配列にすると、弾性ブロック3は互いの接触面が広くなるように弾性変形して直線方向への復元力を増加させる。弾性変形した弾性ブロック3は、接触面積を広くし、さらに押し潰されて発生する反発力も増加して、屈曲状態から直線状へ伸びる方向に足を付勢する復元力を大きくする。
【0016】
さらに、本発明の膝用のクッション体は、前記弾性ブロック3を球技用のボールとすることができる。
【0017】
以上の膝用のクッション体は、既存のボールを利用することができ、クッション体1をより安価に大量生産できる。
【0018】
さらにまた、本発明の膝用のクッション体は、足の長手方向に連結してなる前記弾性ブロック3を3個とすることができる。
【0019】
以上のクッション体は、弾性ブロック3を膝裏の形状に沿って並べて連結し、膝裏を押圧するのに効果的な形状とすることができる。
【0020】
また、本発明の膝用のサポータは、人体の膝を挿入するための伸縮性のある筒状のサポータ本体10と、前記サポータ本体10の内面に配置してなる膝用のクッション体1とを備え、前記クッション体1が、足の長手方向に連結してなる複数の弾性ブロック3を備え、足の長手方向に連結された複数の弾性ブロック3は、直列状配列において、隣接する弾性ブロック3との間において、中心部が局部的に接触して、接触部の外側にリング状隙間8を設けており、さらに、足の長手方向に連結された複数の弾性ブロック3は、屈曲状配列において、隣接する弾性ブロック3の間の前記リング状隙間8の対向面を互いに密着させる形状に弾性変形する弾性を有し、前記複数の弾性ブロック3の屈曲状配列において、弾性変形する前記弾性ブロック3の反発力でもって、足の長手方向に連結してなる複数の前記弾性ブロック3に、屈曲状配列から直線状配列の方向に付勢する復元力を作用させるようにしてなる。
【0021】
以上の膝用のサポータは、簡単かつ容易に、しかも安価に多量生産でき、しかも曲げた膝関節を裏から弾性的に押圧して、楽に歩行できる特徴がある。安価に多量生産できるのは、クッション体1は、複数の弾性ブロック3を足の長手方向に連結するだけで形成できるからである。またクッション体1は、着用した状態で膝を曲げると、足とサポータ本体10とに挟まれて足に沿って変形し、弾性ブロック3が押し潰される方向に弾性変形して、押し潰された弾性ブロック3の弾性的な反発力でもって、屈曲状態から直線状に伸びる方向に足を復元させる力が作用する。この復元力は、クッション体1が着用者の膝を伸ばす方向に膝裏から押圧し、着用者が楽に膝を伸ばせるように補助する。また、クッション体1は屈曲状態では上記の作用を奏しながらも、膝を伸ばした状態では足の長手方向に沿って連結していることで、膝を伸ばした状態では足を直線状に付勢する復元力は作用せず、この状態で足に負担を与えることなく歩行できる。曲げた足の復元力は、曲げる角度に比例して大きくなるので、足を曲げ始める状態では作用せず、曲げた状態で直線状に付勢する復元力が作用する。
【0022】
歩行時には、足を曲げ、また曲げた足を直線状に延ばす動作を繰り返すが、この曲げ伸ばし運動において、足を曲げ始めるとき、すなわち足を曲げる方向に加速するときと、曲げた足を直線状に伸ばす方向に動かし始めるとき、すなわち曲げた足を直線状に伸ばす方向に加速するときに、特に大きなエネルギーを必要とする。それは質量mの物体を、静止状態から加速度αで特定の方向に加速するのに必要な力fが、質量mと加速度αの積に比例して大きくなるからである。さらに、足を曲げる方向と伸ばす方向とは互いに逆方向であるため、足を曲げる方向から伸ばす方向へと切り換える際には、曲げる方向に動く足を減速させる必要がある。減速とは逆方向への加速と同義であり、足を加速させるのと同様にエネルギーを必要とする。足を曲げ伸ばしするために必要なエネルギーは、足の筋肉が伸縮して足に供給される。
【0023】
直線状の足にクッション体1の復元力は作用しない。歩行時に、足を直線状から曲げ方向に運動を開始するとき、足を曲げる方向に加速するために、加速度に比例して大きな曲げ力を必要とするが、このタイミングでクッション体1の復元力は作用しない。このため、足の筋肉は、クッション体1を曲げるためにエネルギーを消費せず、筋肉を収縮してスムーズに足を曲げ方向に運動を開始できる。足の曲げ角度が大きくなるにしたがって、クッション体1が足に押圧されてクッション体1の復元力は大きくなる。クッション体1は、曲げる方向へと動く足を弾性的に減速させて停止させるとともに、足の運動エネルギーを吸収して自身の復元力として蓄えている。すなわち、足を曲げる方向から伸ばす方向へと切り替わる際に、クッション体1により足を減速させるため、筋肉が足を減速させるのに必要な力を小さくすることができる。曲げた足を直線状に伸ばすとき、曲げた足を直線方向に向かって運動を開始するために、筋肉は加速度に比例して大きな力を必要とするが、このときクッション体1に蓄えられた復元力が作用して、足を直線状に延ばすために筋肉が消費するエネルギーを少なくできる。歩行時に、曲げた足を直線状に伸ばす速度は、直線状の足を曲げる運動よりも速い。それは、直線状の足を曲げるのは、後ろに移動した足を持ち上げる速度であってそれほど速くなく、直線状の足を伸ばす運動は、持ち上げた足を前方に移動する速度であって、この速度は歩行速度よりも速い。曲げた足を直線状に伸ばす速度が速く、すなわち加速度も大きいので、筋肉が足をこの方向に移動するために大きなエネルギーを必要とするが、このタイミングでクッション体1の復元力が作用して、足の動きを助ける。このため、曲げた足を直線状に伸ばすとき、すなわち筋肉が大きなエネルギーを必要とするタイミングで、クッション体1が足の動きを助けて、筋肉の消費エネルギーを少なく、すなわち楽に歩行できる特徴を実現する。
【0024】
また以上の膝用のサポータは、リング状隙間8を設けることで、曲げ角度に比例して弾性ブロック3の反発力を急激に増加して、足の曲げ角度に対して復元力を急激に大きくする。リング状隙間8を設けることにより、クッション体1は直線状において弾性ブロック3が互いに局部的に接触するが、膝裏で押圧して弾性体を屈曲状配列にすると、弾性ブロック3はリング状隙間8の対向面が密着するように弾性変形して、弾性ブロック3の互いの接触面が広くなる。弾性ブロック3の接触面が増加することに加えて、弾性ブロック3が接触面で押しつぶされて接触面の反発力も増加し、クッション体1が直線状に復元する復元力も急激に増加する。
【0025】
さらに、本発明の膝用のサポータは、前記弾性ブロック3が弾性変形するボールで、前記ボールが足の長手方向に連結されてボール間に前記リング状隙間8を設けることができる。
【0026】
以上の膝用のサポータは、弾性ブロック3で膝裏を快適に押圧しながら、足の曲げ角度に対する復元力を増加して楽に歩行できる特徴を実現する。それは、弾性ブロック3をボール状にして、ボール間に中心から外側に向かって次第に広くなるリング状隙間8を設けることができるからである。すなわち以上のクッション体1は、弾性ブロック3の対向面の間の全周に次第に広くなるリング状隙間8ができる。この構造は、弾性ブロック3の直線状配列においては、弾性ブロック3は互いに局部的に接触するが、膝裏で押圧して屈曲状配列にすると、弾性ブロック3は互いの接触面が広くなるように弾性変形して直線方向への復元力を増加させる。弾性変形した弾性ブロック3は、接触面積を広くし、さらに押し潰されて発生する反発力も増加して、屈曲状態から直線状へ伸びる方向に足を付勢する復元力を大きくする。
【0027】
さらにまた、本発明の膝用のサポータは、前記弾性ブロック3を球技用のボールとすることができる。
【0028】
以上の膝用のサポータは、既存のボールを利用することができ、より安価に大量生産できる。
【0029】
さらにまた、本発明の膝用のサポータは前記クッション体1が3個のボールを連結することができる。
【0030】
以上の膝用のサポータは、弾性ブロック3を膝裏の形状に沿って並べて連結し、膝裏を押圧するのに効果的な形状とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】本発明の一実施形態に係るクッション体を膝裏に着用した状態を示す断面図である。
図2図1に示すクッション体を屈曲状態にした断面図である。
図3】本発明の別の実施形態に係るサポータを膝裏に着用した状態を示す断面図である。
図4】従来のサポータを示す斜視図である。
図5】従来の別のサポータを示す斜視図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。ただし、以下に示す実施例は、本発明の技術思想を具体化するためのクッション体およびクッション体を備えるサポータを例示するものであって、本発明はクッション体およびクッション体を備えるサポータを以下のものに特定しない。
【0033】
さらに、この明細書は、特許請求の範囲を理解しやすいように、実施例に示される部材に対応する番号を、「特許請求の範囲」および「課題を解決するための手段の欄」に示される部材に付記している。ただ、特許請求の範囲に示される部材を、実施例の部材に特定するものでは決してない。
【実施例1】
【0034】
図1は実施形態1に係るクッション体1を膝裏に着用した状態を断面図であり、図2図1に示すクッション体1の屈曲状態を示す断面図である。クッション体1は図1に示すように、着用者の膝裏に配置されて、膝関節の保護や楽に歩くための部材として利用される。クッション体1は複数の弾性ブロック3を連結して形成されている。図に示す弾性ブロック3は、第一ブロック4、第二ブロック5および第三ブロック6を備えている。クッション体1は、着用者が膝を伸ばした状態では図1に示すように弾性ブロック3が直線状配列である。クッション体1は、着用者が歩行するために膝を曲げると、弾性ブロック3は、足により押圧されて図2に示すような屈曲状配列となり、弾性ブロック3の反発力により直線状配列に付勢するようにしている。
【0035】
クッション体1は図1に示すように、膝関節の裏側に配置された状態で、伸縮性のある筒状のサポータ本体10の内面に配置される。クッション体1は第二ブロック5が膝関節の裏側に、第一ブロック4が大腿部の下部に、第三ブロック6がふくらはぎの上部にそれぞれ当接される。クッション体1は、着用者が膝を伸ばした姿勢では、着用者の足から負荷が加えられない。クッション体1からも着用者の足を直線状に付勢する復元力は作用は働かず、着用者は足へ負担を与えられずに膝を伸ばした姿勢を維持できる。クッション体1は、着用者が歩行するために膝を曲げると、第一ブロック4の上側および第三ブロック6の下側から、着用者の足とサポータに挟まれて第二ブロック5に向けて押圧されて屈曲状態となる。クッション体1は屈曲状態において、着用者の足により押圧されて弾性ブロック3が、対向面を互いに密着させる形状に弾性変形する。この状態で、弾性ブロック3は元の形状に戻ろうとし、その弾性的な反発力でもって、弾性ブロック3は屈曲状態から足が非直線状に伸びる方向に足を伸ばす力が作用する。クッション体1は弾性ブロック3が屈曲状配列から直線状配列へ付勢することで、クッション体1の着用者の足を膝を伸ばす方向へと膝裏から押圧して、着用者が膝を伸ばす補助をすることができる。
【0036】
クッション体1は、弾性ブロック3の屈曲状配列において、図2に示す矢印の方向に弾性的な反発力を作用させる。弾性ブロック3は押圧されると互いの対向面で押しつぶされるように弾性変形し、元の形状に復元しようとする力を生じさせる。弾性ブロック3は足とサポータに挟まれて押圧されることで、足との当接面に対して垂直な復元力Fが生じる。さらに、弾性ブロックは足により押し潰されて復元力Fが生じる。この復元力Fは、弾性ブロック3の対向面で生じる力に等しい。着用者の膝裏には、復元力Fと復元力Fが合成された力であるFが加えられる。クッション体1はこの合成力Fにより屈曲状態から膝を伸ばす方向に作用し、着用者が楽に歩行できるようにする。
【0037】
着用者の歩行時には、足を曲げ、また曲げた足を直線状に延ばす動作を繰り返すが、この曲げ伸ばし運動において、足を曲げ始めるとき、すなわち足を曲げる方向に加速するときと、曲げた足を直線状に伸ばす方向に動かし始めるとき、すなわち曲げた足を直線状に伸ばす方向に加速するときに、特に大きなエネルギーを必要とする。それは質量mの物体を、静止状態から加速度αで特定の方向に加速するのに必要な力fが、質量mと加速度αの積に比例して大きくなるからである。さらに、足を曲げる方向と伸ばす方向とは互いに逆方向であるため、足を曲げる方向から伸ばす方向へと切り換える際には、曲げる方向に動く足を減速させる必要がある。減速とは逆方向への加速と同義であり、足を加速させるのと同様にエネルギーを必要とする。足を曲げ伸ばしするために必要なエネルギーは、足の筋肉が伸縮して足に供給される。
【0038】
直線状の足にクッション体の復元力は作用しない。歩行時に、足を直線状から曲げ方向に運動を開始するとき、足を曲げる方向に加速するために、加速度に比例して大きな曲げ力を必要とするが、このタイミングでクッション体の復元力は作用しない。このため、足の筋肉は、クッション体を曲げるためにエネルギーを消費せず、筋肉を収縮してスムーズに足を曲げ方向に運動を開始できる。足の曲げ角度が大きくなるにしたがって、クッション体が足に押圧されてクッション体の復元力は大きくなる。クッション体は、曲げる方向へと動く足を弾性的に減速させて停止させるとともに、足の運動エネルギーを吸収して自身の復元力として蓄えている。すなわち、足を曲げる方向から伸ばす方向へと切り替わる際に、クッション体により足を減速させるため、筋肉が足を減速させるのに必要な力を小さくすることができる。曲げた足を直線状に伸ばすとき、曲げた足を直線方向に向かって運動を開始するために、筋肉は加速度に比例して大きな力を必要とするが、このときクッション体に蓄えられた復元力が作用して、足を直線状に延ばすために筋肉が消費するエネルギーを少なくできる。歩行時に、曲げた足を直線状に伸ばす速度は、直線状の足を曲げる運動よりも速い。それは、直線状の足を曲げるのは、後ろに移動した足を持ち上げる速度であってそれほど速くなく、直線状の足を伸ばす運動は、持ち上げた足を前方に移動する速度であって、この速度は歩行速度よりも速い。曲げた足を直線状に伸ばす速度が速く、すなわち加速度も大きいので、筋肉が足をこの方向に移動するために大きなエネルギーを必要とするが、このタイミングでクッション体の復元力が作用して、足の動きを助ける。このため、曲げた足を直線状に伸ばすとき、すなわち筋肉が大きなエネルギーを必要とするタイミングで、クッション体が足の動きを助けて、筋肉の消費エネルギーを少なく、すなわち楽に歩行できる特徴を実現する。
【0039】
また、クッション体1は着用者の膝裏に当接している特徴がある。この構造は、弾性ブロック3が直線状配列へと付勢しようとする弾性力を、直接的に着用者の足へと直接作用する。すなわち、従来のような膝の周囲に巻き付けたサポータ本体を介して間接的に弾性体の弾性力を足へと作用させる構造と比較して、弾性体による弾性力を効率的に伝達できるようにしている。以上のクッション体1は、着用者の膝に作用する力が大きく、着用者はより楽に、膝を屈曲した状態から膝を伸ばすことができる。
(弾性ブロック3)
【0040】
図1の弾性ブロック3は、第一ブロック4と第二ブロック5と第三ブロック6を設けている。図の弾性ブロック3は球体に形成された弾性体である。弾性ブロック3はそれぞれのブロックが着用者の足の長手方向に向かって連結されている。第二ブロック5は、その上側に第一ブロック4が連結され、その下側に第三ブロック6が連結されている。図の弾性ブロック3は、着用者が膝を伸ばした際に、クッション体1が着用者の膝裏に沿うように、その中心部である接触部7で互いに連結されている。弾性ブロック3は、図2に示すように、着用者が膝を曲げた状態で足により押圧されるようにしている。したがって、弾性ブロック3を形成するボールの外径は3cm以上であって8cm以下とすることができる。ボールの外径は好適には6cmである。ボールの外径を6cmとすることで、弾性ブロック3が動きにくいように膝裏に嵌めることができ、かつ着用者が膝を曲げた際に十分な弾性力を生じさせることができる。
【0041】
弾性ブロック3は軟質で弾性力を有する材質で形成されている。例えば、弾性ブロック3は全体を軟質のプラスチックフォームで形成することができる。プラスチックフォームは、連続気泡のウレタンの発泡体や、あるいは独立気泡のウレタンの発泡体を利用できる。弾性ブロック3を連続気泡のプラスチックフォームとすることで、柔軟で弾性変形しやすくすることができる。あるいは、弾性ブロック3を独立気泡のプラスチックフォームとすることで、密閉された気泡内の空気が弾性力を発生させ、弾性ブロック3の耐久性を向上できる。図1に示す弾性ブロック3は以上のような弾性体を球形に形成している。この弾性ブロック3は専用のボールを利用してもよいし、市販の球技用や遊戯用のボールを利用してもよい。弾性ブロック3は、好適には子供向けの軟質なボールであって、連続気泡のウレタンフォームを球形に形成したボールが適している。弾性ブロック3に子供向けのウレタンボールを利用することで、既存のボールを利用することができ、安価に大量生産できる特徴がある。ただ、その他にも軟式テニスボールのようなゴムボール等の弾性体で形成されたボールを利用してもよい。クッション体1が所望の力で膝裏を押圧するように、弾性ブロック3を構成する弾性体を決定することができる。
【0042】
弾性ブロック3は、全体が同じ弾性係数とすることもできるし、端部の第一ブロック4および第三ブロック6を、中央部の第二ブロック5よりも柔らかくすることもできる。弾性ブロック3の全体を同じ弾性係数とすることで、各弾性ブロック3の材質を同一にすることができ、安価に削減することができる。また、各弾性ブロック3がそれぞれ弾性変形するため、各弾性ブロック3が弾性変形する大きさをそれぞれの弾性ブロック3で分散し、弾性ブロック3の耐久性を向上することができる。
【0043】
あるいは、端部の第一ブロック4および第三ブロック6を、中央部の第二ブロック5よりも柔らかくすることで、弾性ブロック3の屈曲状配列において、第一ブロック4と第三ブロック6が、第二ブロック5よりも大きく弾性変形するようにできる。第一ブロック4と第三ブロック6の弾性変形を大きくすることで、第一ブロック4や第三ブロック6がそれぞれ膝裏を押圧する力が強くなり、クッション体1が膝を伸ばす作用効果を向上することができる。第一ブロック4および第三ブロック6を第二ブロック5よりも柔らかくする場合、第二ブロック5には例えば硬式テニスボールを利用することができる。第二ブロック5を硬式テニスボールとすることで、第一ブロック4と第三ブロック6よりも第二ブロック5を堅くしながらも、第二ブロック5にも反発力を持たせることができ、弾性ブロック3が屈曲状配列から直線状配列へと付勢する作用を向上することもできる。
【0044】
弾性ブロック3は直線状配列において、配列が一定になるように互いに連結している。弾性ブロック3の連結は、ボール表面の接触面で接着したり、あるいは弾性ブロック3の内部に可撓性の線材を挿通するなどして互いに連結することができる。弾性ブロック3の接触面を接着する構造は、弾性ブロック3をその表面で互いに強固に接着できる。また、接触面を接着する構造は、独立気泡を有する弾性ブロック3にも好適に利用できる。内部に部材を貫通させる必要がなく、弾性ブロック3の独立気泡を損なう虞がないためである。さらに、この構造は弾性ブロック3の表面に接着剤を塗布するだけで弾性ブロック3を互いに連結でき、容易かつ安価にクッション体1を形成することができる。さらにまた、弾性ブロック3を接着する接着剤を弾性力を有するゴム状体とすることで、接着剤にも弾性力を持たせ、弾性ブロック3が屈曲状配列から直線状配列に付勢する力を強くすることができる。
【0045】
あるいは、弾性ブロック3の内部に可撓性の線材を挿通する構造としてもよい。例えば線材にはナイロンやゴム等の材質を紐状に形成したものや、針金等の線状の金属材を利用できる。特に、線材にゴム紐や針金のような弾性体を利用することで、クッション体1を膝関節の裏側に配置した際に、弾性ブロック3の弾性力に加えて、線材の有する弾性力により、弾性ブロック3が屈曲状配列から直線状配列へと付勢する力を大きくし、より強い力で膝裏を押圧することができる。なお、言うまでもなく以上の接着による連結方法や線材による連結方法は、いずれか一方のみを利用して、弾性ブロック3を簡単に連結することもできるし、両方を利用して弾性ブロック3の連結をより強固にすることもできる。
【0046】
ただ、以上のクッション体1は複数のそれぞれ独立した弾性ブロック3を連結する構造としたが、第一ブロック4、第二ブロック5および第三ブロック6を弾性体により一体成形しても、クッション体を実現することができる。弾性ブロック3を一体成形することで、弾性ブロック3の形成後に各弾性ブロック3を連結する手間を省略することができる。
【0047】
なお、弾性ブロック3の形状は必ずしも正確な球形には特定しない。それは球形でない弾性ブロックで同じ作用効果を実現できるからである。したがって、弾性ブロックは、断面形状が僅かに楕円形状に扁平した形状とすることもできる。あるいは、十二面体や二十四面体のような多面体を用いても、同様の作用効果が実現できる。
【0048】
また、弾性ブロック3の数も必ずしも3個に特定しない。弾性ブロック3の数を2個以上の複数個とすることで、弾性ブロック3の屈曲状配列において、弾性ブロック3が互いの接触面で弾性変形して、直線状配列へと付勢する作用を得ることができる。弾性ブロック3の数は、好適には3個である。弾性ブロック3を3個とすることで、クッション体1を膝裏に沿うように並べて連結し、膝裏を押圧するのに効果的な形状を形成することができる。また、弾性ブロック3の数を少なくすることで、コストを安価にすることができ、さらに、弾性ブロック3の屈曲状配列において、弾性ブロック3の1個当たりの弾性変形を大きくすることで、並べられた各弾性ブロック3の互いの接触面積を大きくし、弾性ブロック3の弾性力を高めることができる。
【0049】
(リング状隙間8)
リング状隙間8は、弾性ブロック3の直線状配列において、弾性ブロック3の互いの対向面が接触して弾性変形する間隔である。図1に示すリング状隙間8は、ボール状に形成された弾性ブロック3の連結面から、外側に向かって間隔が広くなるように設けられている。クッション体1は、リング状隙間8を設けることで、弾性ブロック3の直線状配列において弾性ブロックが互いに局部的に接触するが、膝裏で押圧して屈強状配列にすると弾性ブロックはリング状隙間の対向面が密着するように弾性変形して、弾性ブロックの互いの接触面が広くなる。弾性ブロックの接触面が増加することに加えて、弾性ブロックが接触面で押しつぶされて接触面の反発力も増加し、クッション体が直線状に復元する復元力も急激に増加する。
【0050】
クッション体1は、弾性ブロック3を球形とすることでの接触面の全周をリング状隙間8としている。すなわち、クッション体1は弾性ブロック3の間の全周に次第に広くなるリング状隙間8ができる。この構造は、弾性ブロック3が弾性変形した際の接触面をさらに広くして、弾性ブロック3がさらに押しつぶされて、接触面で生じる反発力が増加し、屈曲状態から直線状へ伸びる方向に足を付勢する復元力を大きくする。
(変形例1)
【0051】
以上の実施形態1のクッション体1の説明をしたが、弾性ブロック3は必ずしも球形であることに特定しない。例えば円筒型の弾性ブロックを長手方向が平行になるように上下に並べて連結し、クッション体を形成することもできる。弾性ブロックを円筒形にすることで、膝裏に配置した際に、クッション体と膝裏との接触面を広くすることができ、クッション体の位置をずれにくくし、安定的に装着できる特徴がある。
(実施形態2)
【0052】
以上、実施形態1のクッション体1の説明をした。ただ、以上の実施形態ではクッション体1と、クッション体1を膝裏に固定するサポータ本体10をそれぞれ独立した構造としたが、クッション体とサポータ本体は一体にすることもできる。以下に、クッション体とサポータ本体を一体にした、膝用のサポータを、実施形態2として説明をする。
【0053】
図3は実施形態2に係るサポータの断面図である。図に示すサポータ30は、サポータ本体20と、サポータ本体20のインナーサポータ22とアウターサポータ21の間であって、膝裏に配置されるクッション体11とを備えている。クッション体11は弾性ブロック13を備えている。図の弾性ブロック13は、第一ブロック14、第二ブロック15、第三ブロック16で構成されている。各弾性ブロック13は、その中心部である接触部17で互いに連結されている。この弾性ブロック13は実施形態1と同様の形状や材質のものを利用できる。また、弾性ブロック13の間には、実施形態1と同様にリング状隙間18が設けられている。サポータ本体20は複数が積層されてなり、その内部にクッション体11を充填する領域である袋部24を設けている。
【0054】
図3に示すサポータ本体20は、インナーサポータ22の外周にアウターサポータ21を積層している。インナーサポータ22とアウターサポータ21は、伸縮性を有する筒状の部材である。サポータ本体20は、インナーサポータ22とアウターサポータ21の間であって、膝裏側に、クッション体11を充填するための袋部24を設けている。図のサポータは、袋部24に複数の弾性ブロック13からなるクッション体11を充填している。
【0055】
以上のサポータ30は、実施形態1のクッション体1と同様の作用が得られるようにしつつ、さらに、クッション体11とサポータ本体20を一体な構造とすることで、サポータ本体20に足を通して膝部に配置するだけで、簡単に膝裏にクッション体11を固定することができる。また、この構造はクッション体11が膝裏の所定の位置からずれにくいようにしている。それは、袋部24にクッション体11を充填することで、サポータ本体20とクッション体11の相対的な位置が固定されているためである。すなわち、サポータ本体20の内部でクッション体11の位置がずれるということがなく、サポータ本体20が膝からずれなければ、クッション体11の位置も同様に膝裏の所定の位置からずれない構造となっている。
【0056】
なお、実施形態1のクッション体は、複数の弾性ブロック3をその接触面で接着したり、内部に可撓性の線材を挿通して連結する構造としたが、実施形態2のサポータ本体20の内部に配置するクッション体11は、必ずしも弾性ブロック13を連結する構造とする必要はない。それは、弾性ブロック13を袋部24に充填することで、弾性ブロック13の互いの相対的な位置を一定に保つことができるからである。袋部24に充填された弾性ブロック13は、足の長手方向に向けて並べられた状態で維持される。この構造によれば、弾性ブロック13の連結が不要であるため、クッション体11の形成を容易にすることができる。ただ、実施形態1と同様に弾性ブロック13を互いに連結してもよい。弾性ブロック13をゴム状体で接着したり、線材に弾性体を利用することで、実施形態1と同様に、クッション体11の弾性力を向上し、より効果的に膝裏を押圧することができる。
【0057】
以上、実施形態2に係るサポータを説明した。なお、実施形態1で説明したクッション体の変形例は、実施形態2のサポータに配置するクッション体にも利用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0058】
本発明のクッション体およびクッション体を備えるサポータによれば、クッション体を弾性ブロックを連結して形成することで、安価に製造できる。また、膝裏にクッション体を配置することで、着用者が膝を曲げると、クッション体は足に押圧されて屈曲状態となり、クッション体を構成する弾性ブロックの弾性力により屈曲状態から膝を伸ばす方向へと付勢するクッション体に足が押圧され、着用者が歩行するための補助として作用する。
【符号の説明】
【0059】
1…クッション体
3…弾性ブロック
4…第一ブロック
5…第二ブロック
6…第三ブロック
7…接触部
8…リング状隙間
10…サポータ本体
11…クッション体
13…弾性ブロック
14…第一ブロック
15…第二ブロック
16…第三ブロック
17…接触部
18…リング状隙間
20…サポータ本体
21…アウターサポータ
22…インナーサポータ
24…袋部
30…サポータ
103…弾性体
110…サポータ本体
203…球体
210…サポータ本体
【要約】
【課題】簡単かつ容易に、しかも安価に多量生産でき、しかも曲げた膝関節を裏から弾性的に押圧して、楽に歩行できる膝用のクッション体とこのクッション体を備える膝用のサポータを提供する。
【解決手段】 膝の裏側と、膝を挿入する伸縮性のある筒状のサポータ本体10との間に入れて使用されるクッション体1は、長手方向に連結している複数の弾性ブロック3を備え、複数の弾性ブロック3は直線状配列において、隣接する弾性ブロックとの間に、中心部を局部的に接触して、接触部7の外側にリング状隙間8を設けており、さらに屈曲状配列においてはリング状隙間8の対向面を互いに密着させる形状に弾性変形する弾性を有し、屈曲状配列において弾性ブロック3の反発力でもって屈曲状配列から直線状配列の方向に付勢する復元力を作用させる。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5