特許第6184572号(P6184572)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6184572
(24)【登録日】2017年8月4日
(45)【発行日】2017年8月23日
(54)【発明の名称】乗客コンベア及びその取り付け方法
(51)【国際特許分類】
   B66B 23/00 20060101AFI20170814BHJP
【FI】
   B66B23/00 B
【請求項の数】10
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2016-183698(P2016-183698)
(22)【出願日】2016年9月21日
【審査請求日】2016年9月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】390025265
【氏名又は名称】東芝エレベータ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100076314
【弁理士】
【氏名又は名称】蔦田 正人
(74)【代理人】
【識別番号】100112612
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 哲士
(74)【代理人】
【識別番号】100112623
【弁理士】
【氏名又は名称】富田 克幸
(74)【代理人】
【識別番号】100163393
【弁理士】
【氏名又は名称】有近 康臣
(74)【代理人】
【識別番号】100189393
【弁理士】
【氏名又は名称】前澤 龍
(74)【代理人】
【識別番号】100059225
【弁理士】
【氏名又は名称】蔦田 璋子
(72)【発明者】
【氏名】中谷 竜
【審査官】 三宅 達
(56)【参考文献】
【文献】 特開2015−078021(JP,A)
【文献】 特開2014−037293(JP,A)
【文献】 国際公開第2015/082195(WO,A1)
【文献】 実公昭57−042941(JP,Y2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66B 21/00−31/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
トラスと、
建屋に設けられた躯体、又は、受け梁の載置面に載置された板状のアンカープレートと、
前記トラスの端部に設けられ、前記アンカープレートの上に載置された支持アングルと、
前記支持アングルの所定の位置に設けられたブッシュ取り付け孔と、
前記アンカープレートの上面に設けられた板状の外ベースと、
前記外ベースの内側に形成された収納凹部と、
前記収納凹部に収納された板状の内ベースと、
前記内ベースの所定の位置に設けられたピン孔と、
前記支持アングルの前記ブッシュ取り付け孔を貫通し、前記内ベースの上面に配された円筒型のブッシュと、
前記ブッシュの軸方向に設けられた軸孔と、
前記ブッシュの前記軸孔に収納され、前記内ベースのピン孔に挿入されたピンと、
を有する乗客コンベア。
【請求項2】
前記支持アングルの上面と前記ブッシュの上面に固定された押さえプレートを有する、
請求項1に記載の乗客コンベア。
【請求項3】
前記内ベースが、長方形の板である、
請求項1に記載の乗客コンベア。
【請求項4】
前記内ベースが、前記収納凹部内の前記アンカープレートにネジで固定されている、
請求項1に記載の乗客コンベア。
【請求項5】
前記アンカープレートの上面には左右一対の止め金具が設けられ、
前記支持アングルが、左右一対の前記止め金具の間に載置されている、
請求項1に記載の乗客コンベア。
【請求項6】
前記乗客コンベアは、エスカレータである、
請求項1に記載の乗客コンベア。
【請求項7】
建屋に設けられた躯体、又は、受け梁の載置面に板状のアンカープレートを載置する工程と、
前記アンカープレートの上面に設けられた板状の外ベースの収納凹部に板状の内ベースを収納する工程と、
前記アンカープレート上にトラスの支持アングルを載置する工程と、
円筒型のブッシュの軸孔に円柱型のケガキ治具を収納する工程と、
前記支持アングルを貫通したブッシュ取り付け孔に、前記ケガキ治具が収納された前記ブッシュを挿入する工程と、
前記ケガキ治具を下方に押し出し、前記内ベースの上面に圧痕をつける工程と、
前記支持アングルを取り外す工程と、
前記ブッシュ取り付け孔から、前記ケガキ治具が収納された前記ブッシュを取り外す工程と、
前記内ベースの前記圧痕の位置にピン孔を開口する工程と、
前記ブッシュの前記軸孔にピンを収納する工程と、
前記アンカープレート上に前記支持アングルを再び載置する工程と、
前記支持アングルの前記ブッシュ取り付け孔に、前記ピンが収納された前記ブッシュを挿入して、前記ピンが前記ピン孔に挿入する工程と、
を有する乗客コンベアの取り付け方法。
【請求項8】
前記支持アングルの上面と前記ブッシュの上面に押さえプレートを固定する工程をさらに有する、
請求項7に記載の乗客コンベアの取り付け方法。
【請求項9】
前記内ベースの前記圧痕の位置に前記ピン孔を開口する工程において、
前記内ベースを前記外ベースから取り外した後に前記ピン孔を開口する、
請求項7に記載の乗客コンベアの取り付け方法。
【請求項10】
前記ケガキ治具は、円柱型であって、下部が円錐型である、
請求項7に記載の乗客コンベアの取り付け方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、乗客コンベア及びその取り付け方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
エスカレータや動く歩道等の乗客コンベアを建屋に取り付ける場合には、建屋に躯体又は受け梁を設け、この躯体又は受け梁の載置面に、乗客コンベアのトラスの支持アングルを架け渡す。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第5784229号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような乗客コンベアにおいて、下階側の支持アングルは、躯体に取り付けられたアンカープレートをピンによって固定する構造である。そのため、このピンが挿入される板状のベースは、乗客コンベアが取り付けられる建屋において異なるため、現地においてベースをアンカープレートに溶接している。しかし、現地におけるベースの溶接作業は、作業者にとって手間であり、また火気の使用が制限されている現場においては作業ができないという問題点があった。
【0005】
そこで本発明の実施形態は上記問題点に鑑み、現地で溶接を行わずに、ベースにピンを取り付けることができる乗客コンベア及びその取り付け方法を説明する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の実施形態は、トラスと、建屋に設けられた躯体、又は、受け梁の載置面に載置された板状のアンカープレートと、前記トラスの端部に設けられ、前記アンカープレートの上に載置された支持アングルと、前記支持アングルの所定の位置に設けられたブッシュ取り付け孔と、前記アンカープレートの上面に設けられた板状の外ベースと、前記外ベースの内側に形成された収納凹部と、前記収納凹部に収納された板状の内ベースと、前記内ベースの所定の位置に設けられたピン孔と、前記支持アングルの前記ブッシュ取り付け孔を貫通し、前記内ベースの上面に配された円筒型のブッシュと、前記ブッシュの軸方向に設けられた軸孔と、前記ブッシュの前記軸孔に収納され、前記内ベースのピン孔に挿入されたピンと、を有するものである。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本実施形態のエスカレータの側面から見た説明図。
図2】アンカープレートの斜視図。
図3】内ベースの斜視図。
図4】躯体に支持アングルを載置した状態の斜視図。
図5】ブッシュとケガキ治具の斜視図。
図6】ブッシュにケガキ治具を収納した状態の斜視図。
図7】ケガキ治具を収納したブッシュをブッシュ取り付け孔に挿入しようとしている状態の斜視図。
図8】ケガキ治具を収納したブッシュをブッシュ取り付け孔に挿入した状態の斜視図。
図9】ブッシュに押さえプレートを取り付けた状態の斜視図。
図10】押さえプレートのピン開口部に六角ボルトを螺合している状態の斜視図。
図11図10における前後方向の縦断面図。
図12図10において六角ボルトをさらに螺合した状態の前後方向の縦断面図。
図13】ケガキ治具を収納したブッシュをブッシュ取り付け孔から取り出している状態の斜視図。
図14】支持アングルをジャッキアップし、収納凹部から内ベースを取り外した状態の斜視図。
図15】収納凹部から内ベースを取り外そうとしている状態の斜視図。
図16】内ベースにピン孔を開口した状態の斜視図。
図17】内ベースにピン孔を開口した状態の縦断面図。
図18】ピンを収納したブッシュを支持アングルのブッシュ取り付け孔98に挿入した状態の斜視図。
図19】ブッシュの上に押さえプレートを固定した状態の斜視図。
図20図19における前後方向の縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の一実施形態のエスカレータ10を図1〜図20に基づいて説明する。
【0009】
(1)エスカレータ10
エスカレータ10の構造について、図1に基づいて説明する。図1はエスカレータ10を側面から見た説明図である。
【0010】
エスカレータ10の枠組みであるトラス12が、建屋1の上階の躯体2と下階の躯体2に跨がって支持アングル70,72によって前後方向に支持されている。この支持構造については、後から詳しく説明する。
【0011】
トラス12の上端部にある上階側の機械室14内部には、踏段30を走行させる駆動装置18、左右一対の主駆動スプロケット24,24、左右一対の手摺り駆動スプロケット27,27が設けられている。この駆動装置18は、モータ20と、減速機と、この減速機の出力軸に取り付けられた出力スプロケットと、この出力スプロケットにより駆動する駆動チェーン22と、モータ20の回転を停止させ、かつ、停止状態を保持するディスクブレーキとを有している。この駆動チェーン22により左右一対の主駆動スプロケット24,24が回転する。左右一対の主駆動スプロケット24,24と左右一対の手摺り駆動スプロケット27,27とは、不図示の連結ベルトにより連結されて同期して回転する。また、上階側の機械室14内部には、モータ20やディスクブレーキ等を制御する制御部50が設けられている。
【0012】
トラス12の下端部にある下階側の機械室16内には、左右一対の従動スプロケット26,26が設けられている。上階側の左右一対の主駆動スプロケット24,24と下階側の左右一対の従動スプロケット26,26との間には、左右一対の無端の踏段チェーン28,28が掛け渡されている。左右一対の踏段チェーン28,28には、複数の踏段30が等間隔で取り付けられている。モータ20が回転すると踏段30の前輪301は、トラス12に固定された不図示の案内レールを走行し、後輪302はトラス12に固定された案内レール25を走行する。
【0013】
トラス12の左右両側には、左右一対の欄干36,36が立設されている。この欄干36の上部に手摺りレール39が設けられ、この手摺りレール39に沿って無端状の手摺りベルト38が移動する。欄干36の上階側の正面下部には上階側の正面スカートガード40が設けられ、下階側の正面下部には下階側の正面スカートガード42が設けられ、正面スカートガード40,42から手摺りベルト38の出入口であるインレット部46,48がそれぞれ突出している。
【0014】
欄干36の側面下部には、スカートガード44が設けられ、左右一対のスカートガード44,44の間を踏段30が走行する。上下階のスカートガード44の内側面には、操作盤52,56、スピーカ54,58がそれぞれ設けられている。
【0015】
手摺りベルト38は、上階側のインレット部46から正面スカートガード40内に侵入し、案内ローラ群64を介して手摺り駆動スプロケット27に掛け渡され、その後、案内ローラ群66を介してスカートガード44内を移動し、下階側のインレット部48から正面スカートガード42外に表れる。そして、手摺りベルト38は、手摺り駆動スプロケット27が主駆動スプロケット24と共に回転することにより踏段30と同期して移動する。また、回転する手摺り駆動スプロケット27に走行する手摺りベルト38を押圧するための押圧部材68を有する。
【0016】
上階側の左右一対のスカートガード44,44の乗降口であって、機械室14の天井面には、上階側の乗降板32が水平に設けられている。下階側の左右一対のスカートガード44,44の乗降口であって、機械室16の天井面には、下階側の乗降板34が水平に設けられている。上階側の乗降板32の先端には櫛歯状のコム60が設けられ、このコム60に踏段30が侵入する。また、下階側の乗降板34の先端にも櫛歯状のコム62が設けられている。
【0017】
(2)躯体2,2の構造
次に、躯体2の構造について説明する。図4に示すように、建屋1の上階と下階には、エスカレータ10を支持するために上記した躯体2,2が設けられている。躯体2は、鉄筋、又は、コンクリートより形成され、ほぼ水平な状態に形成された載置面3、前壁4、左壁5、右壁6から構成され、上面と後面は開口している。
【0018】
(3)支持アングル70,72
次に、下階側の支持アングル72について説明する。トラス12の前端部、すなわち、下階側の端部には、支持アングル72が設けられている。図4に示すように、支持アングル72は、垂直板74、この垂直板74の上端部から前方に水平に突出した水平板76とから構成され、垂直板74がトラス12の前端部の上部に固定されている。支持アングル72の水平面76の左右方向の寸法は、躯体2の載置面3の左右方向の寸法よりも若干小さい寸法に形成されている。
【0019】
図1に示すように、トラス12の前端部、すなわち、上階側の端部には、支持アングル70が設けられている。この支持アングル70も同様に垂直板と水平板とから構成され、垂直板がトラス12の前端部の上部、すなわち上階側の端部の上部に固定されている。
【0020】
図4に示すように、支持アングル72の中心には、ブッシュ取り付け孔98が開口している。ブッシュ取り付け孔98の外周部には4個のネジ孔100が開口している。支持アングル72の両側には、ジャッキアップ用のボルト102,102が螺合するボルト孔104が開口している。
【0021】
(4)アンカープレート78
次に、下階側のアンカープレート78について図2図3を参照して説明する。アンカープレート78は、載置面3とほぼ同じ形状を有した長方形である。アンカープレート78の左右両側部には、図2に示すように、止め金具80が前後方向に予め溶接されている。止め金具80は、板状の脚部80aの外端部から板状の位置決定部80bが立設されている。工場において、左右一対の止め金具80の脚部80aをアンカープレート78の上面左右両側部に予め溶接しておく。左右一対の止め金具80の間隔は、支持アングル72の左右方向の寸法より3〜5mmの大きい寸法に設定しておく。これにより、図4に示すように、左右一対の止め金具80,80の間に載置された支持アングル72は、左右方向に移動しない。
【0022】
アンカープレート78の後部には、図2に示すように、モルタルカバーを支えるためのモルタルカバー支え部材84が左右方向に予め溶接されている。なお、モルタルカバーとは、この支承部分にモルタルが流れるのを防止するためのカバーである。
【0023】
アンカープレート78の中心には、図2に示すように、額縁状の外ベース86が溶接されている。この外ベース86は、板状であって、その内側に長方形状の収納凹部88が形成されている。
【0024】
収納凹部88には、図3に示すように、板状の長方形の内ベース90が収納されている。内ベース90の各角部にはネジ孔92が貫通し、図7に示すように、ネジ94によって収納凹部88に固定されている。内ベース90の左右両側の中央部には、取り外し用ネジ孔96が貫通している。
【0025】
(5)トラス12の取り付け工程
次に、作業者が、下階側の躯体2にトラス12の支持アングル72を取り付ける工程について図2図20を参照して順番に説明する。
【0026】
(第1工程)
第1工程において、下階側の躯体2の載置面3に、ボルト孔が開口した長方形の板状の下シム77を1枚、又は、複数枚載置する(図12参照)。下シム77を載置する目的は2つある。第1の目的は、支持アングル72の高さを調整するためであり、第2の目的は、載置面3を水平に載置するためである。
【0027】
(第2工程)
第2工程において、複数枚の下シム77の上に板状のアンカープレート78を載置する図12参照)。そして、作業者は、図4に示すように、複数枚の下シム77を挟んだ状態で躯体2の載置面3にアンカープレート78を固定する。
【0028】
(第3工程)
第3工程において、図4に示すように、左右一対の止め金具80,80の間であって、かつ、アンカープレート78の上面に左右一対の高さ調整部材82をそれぞれ載置する。
【0029】
(第4工程)
第4工程において、図4に示すように、トラス12の支持アングル72の水平面76を、左右一対の止め金具80の上方に配し、左右一対の高さ調整板82の上に載置する。この状態で、作業者が支持アングル72の左右方向が水平になっているか否か、及び、必要な高さに調整されているかを点検し、水平になっていない場合、又は、高さが足りない場合には、高さ調整板82と水平面76との間に上シムを挟む作業を行う。
【0030】
(第5工程)
第5工程において、図5図6に示すように金属製の円筒型のブッシュ106の軸孔108に、位置決め用の治具であるケガキ治具110を収納する。このケガキ治具110は円筒型であって、下部ケガキが可能なように円錐型の突起となっている。
【0031】
(第6工程)
第6工程において、図7図8に示すようにケガキ治具110を有するブッシュ106を、支持アングル72のブッシュ取り付け孔98に挿入する。
【0032】
(第7工程)
第7工程において、図8に示すように、支持アングル72よりブッシュ106の上面が突出しているため、図9に示すように、ドーナツ型の押さえシム112を所定枚数積み重ね、ブッシュ106の上面と均一にする。その後、図9に示すように、円板型の押さえプレート114を載せ、ネジ101で支持アングル72にネジ止めする。この円板型の押さえプレート114の中心にはピン開口部116が開口している。
【0033】
(第8工程)
第8工程において、図10に示すように、押さえプレート114のピン開口部116から六角ボルト118を挿入し、図11に示すように、六角ボルト118がピン開口部116、ブッシュ106の上面を貫通し、ケガキ治具110の上面に当接される。そして、図12に示すように、作業者は六角ボルト118をさらに締めて、ケガキ治具110の下部が内ベース90の上面に当てて圧痕120を付ける。
【0034】
(第9工程)
第9工程において、図13に示すように、押さえプレート114、押さえシム112を取り外し、ケガキ治具110を収納したブッシュ106を支持アングル72のブッシュ取り付け孔98から取り外す。
【0035】
(第10工程)
第10工程において、支持アングル72をジャッキアップする。
【0036】
(第11工程)
第11工程において、図15に示すように、内ベース90の両側に設けられている取り外し用ネジ孔96にボルト122,122を螺合させて締め、内ベース90を収納凹部88から浮かび上がらせる。その後、図14に示すように、収納凹部88から内ベース90を取り外す。
【0037】
(第12工程)
第12工程において、内ベース90に設けられた圧痕120の位置に、図16図17に示すようにピン孔124を開口する。
【0038】
(第13工程)
第13工程において、図18に示すように、ピン孔124が開口した内ベース90を収納凹部88に再び収納し、ネジ94で収納凹部88に固定する。ブッシュ106の軸孔108にピン126を収納する図20参照)。ジャッキアップされた支持アングル72を再び内ベース90の上に載置する。
【0039】
(第14工程)
第14工程において、図18に示すように、支持アングル72に開口しているブッシュ取り付け孔98に、ピン126図20参照)が収納されたブッシュ106を挿入する。このときにピン126が、内ベース90のピン孔124に挿入される図20参照)
【0040】
(第15工程)
第15工程おいて、図18に示すように、支持アングル72から突出しているブッシュ106の周りに再び図19に示すように、押さえシム112を載置する。図19に示すように、ブッシュ106の上面に押さえプレート114を載置し、図20に示すように、押さえプレート114をネジ101で固定すると、ピン126が、支持アングル72、内ベース90のピン孔124に挿入された状態で固定される。
【0041】
これにより、ベース90にピン孔124を開口するだけで、その現場に応じたピン孔124が形成され、下階側の支持アングル72をピン126によってアンカープレート78に固定できる。
【0042】
なお、上階側の支持アングル70は、アンカープレート78に載置し、ピン126によって固定はしない。
【0043】
(6)効果
本実施形態によれば、エスカレータ10を取り付ける現場で溶接をすることなく建屋1の躯体2にトラス12の下階側の支持アングル72を取り付けることができる。アンカープレート78と止め金具80は、工場において予め溶接されているため、作業者は、現場で溶接を行う必要がなく、作業が行い易く、かつ、環境面でも優れている。
【0044】
(7)その他の変更例
上記実施形態では、建屋1に躯体2を設けた構成で説明したが、鉄筋より構成された受け梁でも、本実施形態を適用できる。
【0045】
また、上記実施形態では、エスカレータ10に適用して説明したが、これに代えて動く歩道に適用してもよい。
【0046】
上記では本発明の一実施形態を説明したが、この実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の主旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0047】
1・・・建屋、2・・・躯体、3・・・載置面、10・・・エスカレータ、12・・・トラス、70・・・支持アングル、72・・・支持アングル、76水平板、78・・・アンカープレート、80・・・止め金具、86・・・外ベース、88・・・収納凹部、90・・・内ベース、98・・・ブッシュ取り付け孔、106・・・ブッシュ、108・・・軸孔、110・・・ケガキ治具、112・・・押さえシム、114・・・押さえプレート、116・・・ピン開口部、118・・・六角ボルト、120・・・圧痕、122・・・ボルト、124・・・ピン孔、126・・・ピン
【要約】
【課題】現地で溶接を行わずに、ベースにピンを取り付けることができる乗客コンベアを説明する。
【解決手段】アンカープレート78に載置された支持アングル72と、支持アングル72の所定の位置に設けられたブッシュ取り付け孔98と、アンカープレート78の上面に設けられた外ベース86と、外ベース86の内側に形成された収納凹部88と、収納凹部88に収納された内ベース90と、内ベース90の所定の位置に設けられたピン孔124と、支持アングル72のブッシュ取り付け孔98を貫通し、内ベース90の上面に配された円筒型のブッシュ106と、ブッシュ106の軸方向に設けられた軸孔108と、軸孔108に収納され、内ベース90のピン孔124に挿入されたピン126とを有する。
【選択図】 図20
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20