(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第一の取り付け片または前記第二の取り付け片のどちらか一つ、もしくは両方は、締結用ネジのネジ頭高さよりも低く段曲げ加工がされていることを特徴とする請求項1に記載のヒンジ。
前記第一の取り付け片は、二つのネジ止め用の穴が形成され、ネジ止め穴同士が互いに対角となる位置に形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載のヒンジ。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本願が開示する技術にかかるヒンジの実施形態を図面に基づいて説明する。なお、以下の実施形態は、本願が開示する技術を限定するものではなく、また、各実施形態は、矛盾しない範囲内で適宜組み合わせることができる。
【0011】
[実施形態]
(ヒンジが適用される情報処理装置の構成)
まず、
図1、
図2を用いて、第1の実施形態に係る情報処理装置1の構成について説明する。
図1は、実施形態に係る情報処理装置の斜視図において、通常使用時に画面が表示された状態を示す図である。
図2は、実施形態に係る情報処理装置の斜視図において、画面表示部を180度開いた際の表示状態を示す図である。
【0012】
図1に示すように、情報処理装置1は、全体の制御機能を実行し情報処理を行う本体部200と、本体部200に付設され、該本体部200に対して回動自在に構成され、本体部200からの情報に基づいて画面に対する画像の表示を行うパネル部300と、本体部200に対してパネル部300の開閉角度を変えるためのヒンジ100によって構成されている。
【0013】
このような構成により、パネル部300が、ヒンジ100の回動によって、本体部200に対して所定の角度を回転できるようになっている。例えば、パネル部300の面が本体部200の面に対して略180度の角度まで回動する。
【0014】
例えば、
図2に例示するように、パネル部300の開閉角度を大きくして、開閉角度を180度にすることができる。パネル部300は、
図2に例示するように、180度開いた状態でも、本体部200の背面に接続される、ケーブル類とは、干渉しないようになっている。また、情報処理装置1では、例えば、パネル部300の開閉角度が一定角度以上開かれた場合には、画面は反転して表示するようにしてもよい。
【0015】
つまり、パネル部300の開閉角度が一定角度以上開かれた場合には、パネル部300に表示された文字列を逆向きに表示する。このような表示状態によって、パソコン操作側とは反対方向にいる被説明者から自然の状態で表示画面を見ることができる。
【0016】
(ヒンジの構造)
図3は、実施形態に係るヒンジの全体斜視図である。
図3に示すように、ヒンジ100は、回転軸110と、該回転軸110の端部に配置されたトルク発生機構部120とが同一軸上に配置されている。トルク発生機構部120は、パネル部300の開閉動作において、その利便性を高めるために、所定の開位置や閉位置に至る前後などにおいて回動動作に所定のトルクを生じさせ、所望の角度でパネル部300を静止させるようにするためのものである。
【0017】
また、ヒンジ100の材質については、パネル部が開閉動作を繰り返し行った場合であっても破損しないようにするため、ダイカスト品や削り出し品ではなく、ステンレスが材質として用いられている。これにより、ヒンジ100の強度が向上するとともに、コスト面の負担も少なくすることが可能である。
【0018】
また、
図3に示すように、ヒンジ100は、回転軸110とトルク発生機構部120との略中央部において、回転軸110と直交する方向に係留めされる略L型の板金である第一の取り付け部130を有する。
【0019】
第一の取り付け部130は、L型の板金のうちの一片であって、回転軸110と直交する鉛直下方向に延伸する第一片131と、L型の板金のうちの一片であって、トルク発生機構部120と反対側である回転軸110の端部方向に延伸し、三つのネジ止め用の穴132A〜132Cが形成された第二片132とを有する。なお、ネジ止め用の穴の数は、三つに限定されるものではなく、一つ以上あればよい。
【0020】
ここで
図6を例に説明すると、三つのネジ止め用の穴132A〜132Cのうち、132Bは、第一の取り付け部130を本体部200へネジ止めする時の位置決め用の穴として、本体部200に設けられた位置決め用の突起部に嵌合させて位置決めを行い、132Aと133Cの2箇所にてネジ止めされる。
【0021】
また、ヒンジ100は、回転軸110に直交する方向に係留めされた板金であって、トルク発生機構部120の反対側の回転軸110の端部に設けられた本体部200とパネル部300とを連結する第二の取り付け部140を有する。
【0022】
図4は、実施形態に係るヒンジの分解斜視図である。
図4に示すように、第二の取り付け部140は、トルク発生機構部120に近いほうから順に、回転軸110と直交する鉛直上方向に延伸する第一アーム140A、回転軸110と直交する鉛直上方向に延伸する第二アーム140B、回転軸110と直交する鉛直上方向に第二アーム140Bよりも長く延伸する第三アーム140Cが固着されて構成されている。なお、第一アーム140A、第二アーム140Bおよび第三アーム140Cは、溶接されて一体化してもよいし、リベット締結などにより接合してもよい。
【0023】
図4に示すように、第二の取り付け部140は、板金3枚重ね構造として、強度を上げている。また、第一アーム140Aが回転軸110と直交する鉛直上方向に対して最も短く構成され、第三アーム140Cが回転軸110と直交する鉛直上方向に対して最も長く構成されている。このため、補強が最も必要な部分である根元のみを3枚重ねとして、途中から2枚重ねとする。
【0024】
例えば、
図4に例示するように、第一アーム140Aの長さは、第二アーム140Bの長さに対して略半分の長さであるものとする。また、例えば、第二アーム140Bの長さは、第三アーム140Cの長さと比較して、第二アーム140Bの先端に設けられた第二の取り付け片142の長さ分だけ短いものとする。また、例えば、第三アーム140Cは、パネル部300の縦の長さに対して略半分の長さであるものとする。
【0025】
ここで、各アームの長さについて具体例を挙げて説明する。なお、各アームの長さは、以下に記載する数値に限定されるものではない。例えば、第一アーム140Aの長さは、略30ミリであるものとする。また、第二アーム140Bの長さは、略75ミリであるものとする。第三アーム140Cの長さは、略90ミリであるものとする。また、パネル部300の縦の長さは、略195ミリであるものとする。
【0026】
また、一番外側の第三アーム140Cおよび第二アーム140Bは、固定用のタブである第一の取り付け片141、第二の取り付け片142をそれぞれ有しており、一番外側の第三アーム140Cおよび中間の第二アーム140Bで、パネル部300を回動した時のパネル部300への応力集中を低減させる。さらに、ヒンジ100への負担が軽減され、破損し難くすることが可能である。
【0027】
第二アーム140Bは、回転軸110と平行に、トルク発生機構部120側に向かって延伸するパネル部300の下部に取り付けられ、二つのネジ止め用の穴141A、141Bが形成された第一の取り付け片141を備える。なお、第二アーム140Bに形成されるネジ止め用の穴の数は、二つに限定されるものではなく、複数であればよい。また、第一の取り付け片141は、締結用ネジのネジ頭高さよりも低く段曲げ加工がされている(
図3のα参照)。例えば、第一の取り付け片141は、略0.6ミリ以上低く段曲げ加工されている。
【0028】
第一の取り付け片141の根元部分が低く段曲げ加工されている。例えば、第一の取り付け片141は、トルク発生機構部120側に向かって略15ミリ延伸しているものとする。そして、第一の取り付け片141の根元から略4ミリの部分から低く段曲げ加工がなされている。
【0029】
第三アーム140Cは、第一の取り付け片141の上端から第二アーム140Bの上端部まで、第二アーム140Bと第一アーム140Aを覆うようにL型にて形成され、L型形成の先端に、少なくとも一つのネジ止め用の穴が形成された第二の取り付け片142を有する。(
図4では二つのネジ止め用の穴142A、142Bが形成されている例を示している)また、第二の取り付け片142は、第一の取り付け片141と同様に、締結用ネジのネジ頭高さよりも低く段曲げ加工がされている(
図3のβ参照)。
【0030】
第三のアーム140Cは、例えば、第一アーム140Aの略3倍の長さであり、第二の取り付け片142に形成されたネジ止め用の穴142A、142Bが回転軸110から離れているため、パネル部300上端部を持って、パネル部300を回動した際に、パネルのタワミが低減される。
【0031】
図5は、実施形態に係るヒンジのZ方向から見た上方平面図である。
図5に示すように、第一の取り付け片141は、二つのネジ止め用の穴141A、141Bが形成され、ネジ止め穴141A、141B同士が互いに対角となる位置に形成されている。これにより、第一の取り付け片141の平面上において、ネジ止め穴141Aとネジ止め穴141Bとの距離を長くすることができる。
【0032】
また、
図5に示すように、第二の取り付け部140は、薄いステンレス板である第一アーム140A〜第三アーム140Cを3枚重ねているので、従来のヒンジと比べて、横幅Wを短くすることができる。例えば、第二の取り付け部140の横幅Wが略4ミリで構成されているものとする。このように、ヒンジ100は、薄いステンレス板が3枚重ねられていることで、強度を保ちつつ、薄型のパネル部300の内部に収納されることが可能となる。
【0033】
図6は、実施形態に係るヒンジを情報処理装置に適用した際の要部を示す斜視図である。また、第一の取り付け片141に形成されたネジ止め用の穴141Aと、ネジ止め用の穴141Bと、第二の取り付け片142に形成されたネジ止め用の穴142Aとを直線で結んだ場合に、
図6に示すように、三角形の面を構成する。
【0034】
このようにネジ止め部を複数箇所設けて面を構成し、第二の取り付け部140とパネル部300を一体化させることにより、ヒンジとパネル部を直線上にネジ止めする場合と比較して、ヒンジ100は開閉時のねじれ、タワミの影響を受けにくくなるため、ヒンジ100の回転軸110と、トルク発生機構部120への負荷が低減され、パネル部300の開閉動作をスムーズに行なうことが可能である。
【0035】
また、上記したように、ネジ止め穴141A、141B同士を互いに対角となる位置に形成することにより、第一の取り付け片141の平面上において、ネジ止め穴141Aとネジ止め穴141Bとの距離を長くして、第一の取り付け片141の下側にケーブル500を通す等、部品実装のスペースが制約される中での、スペースの有効利用が可能である。
【0036】
図7は、実施形態に係るヒンジのA−A線の断面構造を示す図である。
図7に示すように、第一の取り付け片141は、締結用ネジのネジ頭高さよりも低く段曲げ加工がされている(
図7のα部分を参照)。つまり、ヒンジ100は、パネル部300の薄型化を図るために、ネジ頭の影響がないようにするため、ネジ頭逃げのためにしぼりを一段落としている。
【0037】
さらに、このような「しぼり」をいれることで、第一の取り付け片141における根元の強度を上げることができる。また、ヒンジ100の材質は、薄くて強度のあるステンレスが使用されているため、ネジ止めの有効深さdを適切に確保しつつ、パネル部300の厚みtを薄くすることが可能である。
【0038】
以上の実施形態によれば、ヒンジ100では、上記したように、板金3枚重ね構造としており、剛性が高く、ねじれに強い。また、第一アーム140Aが回転軸110と直交する鉛直上方向に対して最も短く構成され、第三アーム140Cが回転軸110と直交する鉛直上方向に対して最も長く構成されている。このため、補強が最も必要な部分である根元のみを3枚重ねとして、根元の強度を高くし、また、途中から2枚重ねとすることで、パネル部300に収納し易くすることが可能である。また、強度の必要な根元のみを3枚重ねることとしたので、強度へ寄与しない部分の材料を低減することが出来るのでコスト面の負担も少なくすることが可能である。
【0039】
また、ヒンジ100では、第三のアーム140Cが第一アームの略3倍の長さであり、第二の取り付け片142に形成されたネジ止め用の穴142A、142Bが回転軸110から離れている。このため、
図8に示すように、パネル部300上端部を持って、パネル部300を押した場合であっても、パネル部300のタワミを小さくすることが可能である。
【0040】
例えば、パネル部300の角度調整動作を行った直後において、パネル部300の振動を少なくすることができる。これにより、パネル部300は、振動による影響が少なくなるので、パネル部300の内部に配置したLCDの破損や、基板部のハンダ付けが取れたりするリスクが減り、故障が発生する可能性が低減する。
【0041】
また、上記したように、ヒンジ100とパネル部300のネジ止め部を複数箇所設けて面を構成することで、第二の取り付け部140とパネル部300を一体化させることにより、ヒンジとパネル部を直線上にネジ止めする場合と比較して、ヒンジ100は開閉時のねじれ、タワミの影響を受けにくくなるため、ヒンジ100の回転軸110と、トルク発生機構部120への負荷が低減され、パネル部300の開閉動作をスムーズに行なうことが可能である。
【0042】
また、上記したように、ネジ止め穴141A、141B同士を互いに対角となる位置に形成することにより、第一の取り付け片141の平面上において、ネジ止め穴141Aとネジ止め穴141Bとの距離を長くして、第一の取り付け片141の下側にケーブル500を通す等、部品実装のスペースが制約される中での、スペースの有効利用が可能である。
【0043】
ヒンジ100の材質は、パネル部300が開閉動作を繰り返し行った場合であっても破損しないようにするため、ダイカスト品や削り出し品ではなく、ステンレスが使用されている。これにより、ヒンジ100の強度が向上するとともに、コスト面の負担も少なくすることが可能である。
【0044】
なお、上述してきた実施形態に係るヒンジは、携帯型パソコンや携帯電話などの、本体部とパネル部を有する各種情報処理装置に適用することができる。また、ヒンジの大きさや長さについては、上記の実施形態の説明により限定されるものではない。