特許第6184593号(P6184593)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6184593樹脂ビーズ、樹脂ビーズの製造方法並びに該樹脂ビーズを含む製品
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6184593
(24)【登録日】2017年8月4日
(45)【発行日】2017年8月23日
(54)【発明の名称】樹脂ビーズ、樹脂ビーズの製造方法並びに該樹脂ビーズを含む製品
(51)【国際特許分類】
   C08F 2/44 20060101AFI20170814BHJP
   C08F 20/10 20060101ALI20170814BHJP
【FI】
   C08F2/44 C
   C08F20/10
【請求項の数】6
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2016-519216(P2016-519216)
(86)(22)【出願日】2015年5月1日
(86)【国際出願番号】JP2015063139
(87)【国際公開番号】WO2015174305
(87)【国際公開日】20151119
【審査請求日】2016年7月11日
(31)【優先権主張番号】特願2014-98425(P2014-98425)
(32)【優先日】2014年5月12日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000002820
【氏名又は名称】大日精化工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098707
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 利英子
(74)【代理人】
【識別番号】100135987
【弁理士】
【氏名又は名称】菅野 重慶
(74)【代理人】
【識別番号】100161377
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 薫
(74)【代理人】
【識別番号】100168033
【弁理士】
【氏名又は名称】竹山 圭太
(72)【発明者】
【氏名】安部 隆士
【審査官】 繁田 えい子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−053237(JP,A)
【文献】 特開平09−255705(JP,A)
【文献】 特開平09−227609(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08F
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
共重合可能な官能基を有する単量体を複数含む単量体混合物を、少なくとも、非重合性のシリコーンが存在している状態で懸濁重合してなる、該シリコーンが固定化して含有されてなる撥水性及び撥油性を有する樹脂粒子であって、
前記非重合性のシリコーンが、シリコーンアクリル共重合体、ポリエーテル変性シリコーン、ポリエーテルアルキル変性シリコーン、トリメチルシロキケイ酸又はシリコーンエラストマーのいずれかであり、
前記単量体混合物中に、共重合可能な官能基を複数有する単量体を含み、且つ、その含有量が20質量%以上であることを特徴とする樹脂ビーズ。
【請求項2】
前記共重合可能な官能基を有する単量体が、(メタ)アクリレート系である請求項1に記載の樹脂ビーズ。
【請求項3】
前記非重合性のシリコーンが、前記樹脂粒子100質量部中に0.1〜50質量部の割合で含有されている請求項1又は2に記載の樹脂ビーズ。
【請求項4】
前記樹脂粒子の体積平均粒子径が20μm以下である請求項1〜のいずれか1項に記載の樹脂ビーズ。
【請求項5】
請求項1〜のいずれか1項に記載の樹脂ビーズを製造する樹脂ビーズの製造方法であって、
共重合可能な官能基を複数有する単量体を含み、且つ、その含有量が20質量%以上である共重合可能な官能基を有する単量体を複数含む単量体混合物、シリコーンアクリル共重合体、ポリエーテル変性シリコーン、ポリエーテルアルキル変性シリコーン、トリメチルシロキケイ酸又はシリコーンエラストマーのいずれかの非重合性のシリコーン、及び重合開始剤を含む重合性溶液を、分散安定化剤を溶解した水相で懸濁重合させて、該シリコーンが固定化して含有されてなる撥水性及び撥油性を有する樹脂粒子を製造することを特徴とする樹脂ビーズの製造方法。
【請求項6】
樹脂ビーズを含有してなる、化粧料、外皮用薬、塗料、成形体、フィルム、コーティング剤、分散体、印刷インキ、インクジェットインキ及び樹脂組成物からなる群から選ばれるいずれかの製品であって、前記樹脂ビーズが、請求項1〜のいずれか1項に記載の樹脂ビーズであることを特徴とする撥水性及び撥油性を有する製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非重合性のシリコーンを含有してなる樹脂粒子である樹脂ビーズ、その製造方法、及びその用途に関する。更に詳しくは、本発明は、撥水性及び撥油性を付与できる機能性材料である非重合性のシリコーンを固定化して含有してなる樹脂ビーズ、該樹脂ビーズの製造方法、このような機能性を求める分野の製品である、例えば、化粧料、塗り薬や貼り薬といった外皮用薬、塗料、成形体、フィルム、コーティング剤、分散体、印刷インキ、インクジェットインキ、或いは、樹脂組成物等の製品に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、樹脂ビーズは、その球状特性から、艶消し剤、滑り剤、ブロッキング防止剤等、様々な分野に用いられている。更に、化粧料においても、メーキャップ用途として、伸展性向上のために種々の樹脂粉体(樹脂粒子)が用いられている。しかし、これら樹脂粉体は、水や汗により流れ出し易く、その場合に、化粧崩れを生ずるという問題があり、化粧料に利用する場合には、樹脂粉体の肌への付着性を上げて、撥水性を向上させるなどの目的で、粉体の表面を疎水化処理することが行われている。
【0003】
粉体の疎水化処理の方法としては、粉体の表面に油剤を加熱処理する方法や、粉体にメチルハイドロジェンポリシロキサンを焼き付ける方法などが知られている。更に、より高い機能性を達成し、肌への付着性及び使用感に優れ、疎水性に富み、しかも化粧持ちの良好な化粧料を得る目的で、例えば、シリコーン−アクリル系グラフト共重合体で表面被覆した粉体についての提案がある(特許文献1参照)。
【0004】
また、特許文献2では、化粧料に多用されているシリコーン重合体に対して、撥水性を与えると同時に、皮膚などへの密着性の向上や、共存する油剤への相溶性が望まれているものの、相溶性向上のためシリコーン重合体に長鎖アルキル基(疎水性基)を導入すれば親水性が失われ、密着性を向上させるために親水性基を導入すれば疎水性が失われ、相溶性と密着性を同時に解決することは困難であることが指摘されている。そして、これに対して、特定の構造のシリコーンマクロモノマーを特定量含む、異なる4種のモノマー単位を共重合してなる共重合体についての提案がされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平05−339125号公報
【特許文献2】特開2012−072081号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記したメチルハイドロジェンポリシロキサンを焼き付ける方法では、使用する樹脂ビーズや反応条件によっては不均一な表面処理となる場合や、焼き付け温度によっては樹脂が熱劣化するといった問題があった。また、発明者らの検討によれば、特許文献1で提案されている、シリコーン−アクリル系グラフト共重合体を粉体表面に被覆する方法では、粉体によっては吸着が十分ではなく、併用する油剤等の分散媒の種類によっては、粉体表面から被覆樹脂が剥離したりする場合があり、樹脂粉体の改質効果が十分なものとは言い難かった。
【0007】
また、特許文献2では、特定の構造の重合性を有するシリコーンマクロモノマーを含むモノマー単位を共重合した共重合体を利用することで、べたつきが少なく、なめらかに伸び、さっぱりとした使用感を与え、撥水性に富むシリコーン重合体の性質を化粧料に付与できるとしている。しかし、本発明者らの検討によれば、下記の課題があった。この重合性を有するシリコーンマクロモノマーを含むモノマー単位を共重合した共重合体を、樹脂粉体表面に被覆する方法では、上記と同様に粉体によっては吸着が十分ではなく、併用する油剤等の分散媒の種類によっては、粉体表面から被覆樹脂が剥離したりする場合があり、樹脂粉体の改質効果が十分なものとは言い難かった。また、特定の構造の重合性を有するシリコーンマクロモノマーを含むモノマー単位を共重合した共重合体を化粧料に添加する方法では、化粧料に含まれる比表面積が高い他の粉体にも同時に作用するため、滑りやすい球体の樹脂ビーズ表面に十分な量で吸着できず、樹脂粉体の改質効果が十分なものとは言い難かった。
【0008】
上記した実情から、本発明者は、使用することで、製品に撥水性と撥油性とを高いレベルで付与でき、更には長時間に亘って持続的に付与することができる、例えば、化粧料に使用した場合に、水や汗に加えて、併用する油剤等によっても化粧崩れが生じにくい製品の実現を可能にできる樹脂ビーズを開発することが有用であると認識するに至った。
【0009】
従って、本発明の目的は、このような状況に鑑みてなされたものであって、これを添加することで、例えば、化粧料などに用いた場合に、その製品に、高いレベルで安定した撥水性及び撥油性の付与(以下、「均一な撥水撥油効果」という場合がある)を実現でき、より好適には、この効果を長時間に亘って持続的にすることができ、優れた化粧もちを可能にできる樹脂ビーズ、及びこの樹脂ビーズの製造方法、及び、これを用いた優れた特性の各種製品を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の目的は、下記の本発明によって達成される。すなわち、本発明は、共重合可能な官能基を有する単量体を複数含む単量体混合物を、少なくとも、非重合性のシリコーンが存在している状態で懸濁重合してなる、該シリコーンが固定化して含有されてなる樹脂粒子(共重合体)であることを特徴とする樹脂ビーズを提供する。
【0011】
上記の樹脂ビーズの好ましい形態としては、下記のものが挙げられる。すなわち、前記非重合性のシリコーンが、シリコーンアクリル共重合体、ポリエーテル変性シリコーン、ポリエーテルアルキル変性シリコーン、トリメチルシロキケイ酸又はシリコーンエラストマーのいずれかであること;前記共重合可能な官能基を有する単量体が、(メタ)アクリレート系であること;前記単量体混合物中に、共重合可能な官能基を複数有する単量体を含み、且つ、その含有量が20質量%以上であること;前記非重合性のシリコーンが、前記樹脂粒子100質量部中に0.1〜50質量部の割合で含有されていること;前記樹脂粒子の体積平均粒子径が20μm以下であることが挙げられる。
【0012】
本発明は、別の実施形態として、前記樹脂ビーズを製造するための樹脂ビーズの製造方法であって、共重合可能な官能基を有する単量体を複数含む単量体混合物、非重合性のシリコーン、及び重合開始剤を含む重合性溶液を、分散安定化剤を溶解した水相で懸濁重合させて、該シリコーンが固定化して含有されてなる撥水性及び撥油性を有する樹脂粒子を製造することを特徴とする樹脂ビーズの製造方法を提供する。その好ましい形態としては、前記単量体混合物中に、共重合可能な官能基を複数有する単量体を含み、且つ、その含有量が20質量%以上であることが挙げられる。
【0013】
本発明は、別の実施形態として、樹脂ビーズを含有してなる、化粧料、外皮用薬、塗料、成形体、フィルム、コーティング剤、分散体、印刷インキ、インクジェットインキ及び樹脂組成物からなる群から選ばれるいずれかの製品であって、樹脂ビーズが、前記いずれかの樹脂ビーズであることを特徴とする撥水性及び撥油性を有する製品を提供する。
【発明の効果】
【0014】
上記本発明によれば、樹脂ビーズの内部に非重合性のシリコーンが固定化されていることから、該樹脂ビーズを添加した製品は、十分な撥水性及び撥油性が付与され、より好適な態様によれば、長時間に亘って持続的に十分な撥水性及び撥油性が付与された優れた特性のものとなる。本発明の好適な態様の樹脂ビーズを、例えば、化粧料などに用いた場合には、均一な撥水撥油効果を持続的に付与することが実現でき、優れた化粧もちを可能にできるため、特に効果的である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に、本発明の好ましい実施形態を挙げて、本発明について詳述する。本発明者は、均一な撥水撥油効果がある樹脂ビーズを実現させるために種々検討したところ、樹脂粒子に非重合性のシリコーンが固定化されて含有された状態の、非重合性のシリコーンを含有してなる樹脂ビーズは、より均一で良好な撥水撥油効果を実現でき、しかも好適な態様によれば、長時間に亘り持続的に付与することを実現することもでき、先に挙げた従来技術の課題をみごとに解決できることを見出して本発明に到達した。上記効果を有するため、例えば、この樹脂ビーズを化粧料のような用途に適用した場合には、優れた伸展性を示し、肌への伸び及びおさまりに優れ、しかも、撥水撥油効果を持続させることができるので、汗などに含まれる水や体脂等により生じる化粧崩れを低減することができる。
【0016】
本発明の樹脂ビーズは、共重合可能な官能基を有する単量体を複数含む単量体混合物を、少なくとも、非重合性のシリコーンが存在している状態で懸濁重合してなる樹脂粒子であることを特徴としており、非重合性のシリコーンが、樹脂粒子中に固定化されて、安定に含有されたものとなる。本発明の樹脂ビーズを構成する非重合性のシリコーンは、非重合性のものであれば特に限定されず、適応する公知の非重合性のシリコーンならばいずれのものも使用できる。例えば、その使用目的を勘案して、化粧料、塗り薬や貼り薬といった外皮用薬、塗料、成形体、フィルム、コーティング剤、分散体、印刷インキ、インクジェットインキ、樹脂組成物に適したものを適宜に用いればよい。特に、化粧料の原料として用いられているシリコーンであって非重合性のものが好適である。
【0017】
本発明で使用する非重合性のシリコーンの具体的なものとしては、以下のものが挙げられる。例えば、ポリエーテル変性シリコーン、ポリエステル変性シリコーン、アクリル変性シリコーン、ポリエーテルエステル変性シリコーン、ポリエーテルアルキル変性シリコーン、ポリエーテルアクリル変性シリコーン、ポリエステルアクリル変性シリコーン、ポリグリセリン変性シリコーン、ポリグリセリンアルキル変性シリコーン、フェニル変性シリコーン、アミノ変性シリコーン、カルビノール変性シリコーン、ポリアルコキシ変性シリコーン、アミノポリエーテル変性シリコーン、アミドアルキル変性シリコーン、アミノグリコール変性シリコーン、アミノフェニル変性シリコーン、ポリエーテルシリコーンアルキル共変性シリコーン、ポリグリセリンシリコーンアルキル共変性シリコーン、アルキルシリコーン共変性シリコーンなどの、各種の有機基による変性シリコーンや、シリコーンアクリル共重合体、シリコーンエラストマー、トリメチルシロキシケイ酸系シリコーン(架橋構造を有するシリコーン油)、熱変性シリコーン、高分子系シリコーン等の重合体が挙げられる。また、これらの構造は直鎖でも分岐でも環状構造でもよく、また、高重合や架橋構造やグラフト重合されていてもよく、これらの非重合性のシリコーンは単独でまたは2種類以上使用してもよい。また、本発明者らの検討によれば、その用途にもよるが、シリコーンの中でも、化粧料適性に優れるシリコーンアクリル共重合体、ポリエーテル変性シリコーン、ポリエーテルアルキル変性シリコーン、トリメチルシロキケイ酸系シリコーン、シリコーンエラストマーなどの公知の非重合性のシリコーンがより好適に使用できる。
【0018】
本発明の樹脂ビーズは、少なくとも上記したような非重合性のシリコーンが存在している状態で、共重合可能な官能基を有する単量体を複数含む単量体混合物を懸濁重合してなる樹脂粒子(共重合体)であることを特徴とする。本発明の樹脂ビーズを構成する樹脂成分は、特に限定されず、適応する公知の樹脂ならばいずれのものも使用できる。例えば、その使用目的を勘案して、化粧料、外皮用薬、塗料、成形体、フィルム、コーティング剤、分散体、印刷インキ、インクジェットインキ、樹脂組成物に適したものを適宜に用いればよい。具体的には、例えば、(メタ)アクリレート系樹脂、スチレン系樹脂、オレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリ(チオ)エーテル系樹脂、ポリスルホン系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアミド系樹脂、エポキシ系樹脂、フェノール系樹脂、メラミン系樹脂や、紫外線硬化樹脂、天然物由来高分子、熱変性シリコーン高分子、熱可塑性エラストマー等が挙げられる。
【0019】
したがって、本発明の樹脂ビーズの樹脂成分は、上記に挙げた樹脂を形成するための、共重合可能な官能基を有する単量体を複数選択し、これらを組み合わせて重合させたものであればいずれでもよい。本発明で使用する共重合可能な官能基を有する単量体(モノマー)のより好適なものとしては、共重合可能な官能基を複数有する、多官能性モノマーや架橋作用性モノマーが挙げられる。これらのモノマーの詳細については後述する。また、本発明者らの検討によれば、その用途にもよるが、共重合可能な官能基を有する単量体の中でも、透明性等の化粧料適性に優れる(メタ)アクリレートなどのアクリル系樹脂を形成する単量体がより好ましい。具体的には、公知のアクリル系またはメタクリル系のモノマーが、中でも、メタクリル系のモノマーがより好適に使用できる。なお、本明細書中において、(メタ)アクリレートとは、メタクリレートまたはアクリレートを意味する。
【0020】
本発明者の検討によれば、本発明の樹脂ビーズを構成する樹脂成分としては、共重合可能な官能基を複数有する単量体を、使用される全単量体中に、20質量%以上、更には25質量%以上を含むように構成することが好ましい。勿論、全量(100質量%)としてもよい。すなわち、このように構成することで、懸濁重合によって形成した樹脂ビーズは、例えば、化粧料に使用した場合、非重合性のシリコーンを固定化した状態で含有し、その移動を妨げる適性がより向上したものとなるので、より均一で良好な撥水撥油効果が得られ、且つ、該効果をより安定に、長時間に亘って持続的に維持できるものとなる。
【0021】
本発明で好適に使用される共重合可能な官能基を複数有する単量体としては、共重合可能な、下記に挙げるような、多官能性モノマーや架橋作用性モノマーが挙げられる。共重合可能な多官能性モノマーまたは架橋作用性モノマーは、共重合の能力がある二重結合を含む一般的な共重合性モノマーが用いられる。本発明に好適な、このような架橋に適したモノマーとしては、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレートなどの2官能(メタ)アクリレートが挙げられる。
【0022】
また、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンエトキシトリ(メタ)アクリレート、グリセリンプロポキシトリ(メタ)アクリレートなどの3官能(メタ)アクリレート、
【0023】
ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールエトキシテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレートなどの4官能(メタ)アクリレート、
ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートなどの6官能(メタ)アクリレート、及びこれらの誘導体等の(メタ)アクリレート類、
キシリレンビスオキセタン、3−エチル−3[[(3−エチルオキセタン−3イル)メトキシ]メチル]オキセタン等のオキセタン類、この他、ウレタンジ(メタ)アクリレート、ウレタントリ(メタ)アクリレート、ポリエステルジ(メタ)アクリレート、ポリエステルトリ(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリレート変性類などが例示できる。
【0024】
また、本発明者の検討によれば、上記したような本発明の樹脂ビーズを構成する樹脂粒子は、前記したような非重合性のシリコーンを下記の範囲で含有してなるものであることが好ましい。すなわち、本発明の樹脂ビーズは、非重合性のシリコーンが、前記樹脂粒子100質量部中に0.1〜50質量部の割合で含有されているものであることが好ましい。上記割合が0.1質量部未満であると撥水撥油効果の発現が少なくなる場合があり、50質量部を超えると、使用量の増加に見合った顕著な効果が期待できず、経済性に劣る場合があるので好ましくない。上記効果との兼ね合いで、非重合性のシリコーンが、樹脂粒子100質量部中に3〜20質量部の割合で含有されているものがより好ましい。
【0025】
また、本発明者の検討によれば、上記した構成成分を含む本発明の樹脂ビーズは、これらの成分以外に、顔料等を含有してもよい。その一例として、二酸化チタン、酸化亜鉛、弁柄、黄色酸化物、鉄黒等の金属酸化物や赤色201号、赤色202号などの法定色素、カーボンブラックなどが挙げられる。また、マイカ、タルク、カオリン、炭酸カルシウムなどの体質顔料や、顔料を分散させる界面活性剤や分散剤を含有してもよい。更に紫外線吸収成分を含有してもよく、その一例として、微粒子二酸化チタン、微粒子酸化亜鉛、ケイ皮酸系紫外線吸収剤、ジベンゾイルメタン系紫外線吸収剤などが挙げられる。
【0026】
また、これらの構成成分を含んでなる本発明の樹脂ビーズは、体積平均粒子径が20μm以下の範囲内の大きさの微粒子であることが好ましく、体積平均粒子径が15μm以下の範囲内の微粒子であることがより好ましい。前記の範囲内である場合、本発明の樹脂ビーズは、例えば、化粧料樹脂ビーズとして要求される特性の、滑り性やソフトフォーカス性を効果的に発現させることができる。
【0027】
本発明の樹脂ビーズの製造方法は、共重合可能な官能基を有する単量体を複数含む単量体混合物、非重合性のシリコーン、及び重合開始剤を含む重合性溶液を、分散安定化剤を溶解した水相で懸濁重合させて、該シリコーンを固定化して含有してなる樹脂粒子を製造することを特徴とする。このように構成することで、撥水性及び撥油性を有する樹脂粒子を安定して製造することができ、均一な撥水撥油効果を発揮できる樹脂ビーズが得られる。なお、本発明において規定する「単量体混合物」とは、反応時に2以上の単量体が併存していることを意味しており、後述するように、必ずしも複数の単量体を予め混合した状態にすることを意味したものではない。本発明では、水相で懸濁重合させるための油相の重合性溶液を、例えば、下記のようにして調製し、これを用いて樹脂ビーズを得ることが好ましい。まず、予め、単量体混合物と、非重合性のシリコーンと、重合開始剤と、必要に応じて有機溶剤を添加して混合して、油相となる重合性溶液を調製する。そして、このようにして調製した重合性溶液を、分散安定化剤を溶解した水相で懸濁重合させることで、本発明の非重合性のシリコーンを固定化して含有してなる樹脂ビーズを安定して容易に得ることができる。
【0028】
上記において使用する重合開始剤としては、本発明の目的を達成し得るものであれば、公知のいずれのものを使用してよい。具体的には、下記に挙げるようなものを使用することができる。例えば、過酸化物系では、ラウリルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシ(2−エチルヘキサエイト)などが挙げられ、アゾ化合物では、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビスイソラク酸アルキルエステルなどが挙げられる。これらは単独で使用しても、又は2種類以上組み合わせて使用してもよい。
【0029】
本発明の製造方法に有機溶剤を用いる場合、公知のいずれのものも好ましく使用できる。本発明において、好適に使用できる有機溶剤としては、例えば、下記のものが挙げられる。例えば、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶剤や、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶剤や、n−ブタノール等のアルコール類や、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、エチレングリコールジエチルエーテル等のエーテル系溶剤や、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル等のグリコールエーテル系溶剤や、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のグリコールエステル系溶剤等を用いることができるが、特に限定されない。これらは単独で使用しても、又は2種類以上組み合わせて使用してもよい。
【0030】
本発明の樹脂ビーズの製造方法で行う懸濁重合は、脱イオン水に、分散安定化剤(保護コロイド)を溶解した水媒体(水相)を調製し、このように調製した水媒体中に、上記した構成の重合性溶液を撹拌しながら混合して行う。この際、必要ならばホモジナイザーなどの乳化装置を用いて重合性溶液の懸濁液滴径を調整するとよい。ホモジナイザーなどは、その回転数を変えてせん断力を調整することにより、容易に重合性溶液を懸濁液滴径に調整でき、その結果、懸濁重合して得られる樹脂粒子の粒子径を適宜に調整することが可能になる。
【0031】
ホモジナイザーなどの乳化装置により作成された懸濁液滴は、液滴調整中や重合装置への移送中や重合過程中に液滴の破壊や合一など不具合が発生しないように、分散安定化剤の種類、濃度を設定することが好ましい。本発明において好適に使用される分散安定化剤としては、メチルセルロース、ポリビニルアルコール、アクリル酸ソーダなどの水溶性高分子、ハイドロキシアパタイト、第3リン酸カルシウム、炭酸カルシウムなどの無機塩類が挙げられる。これらは単独で使用しても、又は2種類以上組み合わせて使用してもよい。
【0032】
上記のようにして得られた懸濁液は、温度60〜80℃にて3〜10時間加熱し懸濁重合を行うことにより、本発明の樹脂ビーズが得られる。更に、洗浄工程にて分散安定化剤などを除去した後、脱イオン水等に解膠して分散し、再度洗浄工程にて溶解物を除去し、必要があれば洗浄を繰り返した後、乾燥する。凝集した状態で得られた粒子は、解砕して粉状の樹脂ビーズが得られる。
【実施例】
【0033】
以下、本発明を、実施例及び比較例を挙げて更に詳細に説明するが、本発明は、これらの実施例により限定されるものではない。なお、文中「部」または「%」とあるのは質量基準である。
【0034】
実施例及び比較例では、特に記載がない限り、懸濁重合の水相を構成する分散安定化剤には、部分ケン化ポリビニルアルコールを用い、重合開始剤には、アゾ化合物を用いた。具体的には、分散安定化剤には、部分ケン化ポリビニルアルコール(以下、これを「PVA」と略記)である、クラレ(株)製のポバール205(商品名)を用い、重合開始剤には、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)である、和光純薬工業(株)製のV−65(以下、V−65と略記)を使用した。
【0035】
<実施例1>(重合性モノマー液中に非重合性のシリコーンアクリル共重合体を含有させて製造した例)
まず、予め調製した、ポリエチレングリコールジメタクリレート(新中村化学工業(株)製、商品名:NK1G)200部にV−65を4部溶解した溶液に、ラウリルメタアクリレート(花王(株)製、商品名:LMA)200部と、非重合性のシリコーンアクリル共重合体(信越化学工業(株)製、商品名:KP−578、有効成分100%)20部を加え、これらを均一に撹拌混合し、重合性モノマー液を調製した。上記で使用したKP−578は、アクリルポリマーと、ジメチルポリシロキサンからなるグラフト重合体である。
【0036】
次に、別の容器に、イオン交換水1600部に、分散安定化剤としてPVAを80部溶解した水相中に、上記で調製した重合性モノマー液を加えて混合し、ディゾルバーにて2500rpmで5分間撹拌した後、更に、ホモジナイザーを用いて8000rpmで5分間撹拌して、均一な懸濁液を得た。
【0037】
次に、撹拌機、窒素ガス導入管を備え付けた重合装置の反応缶に、上記で得た懸濁液を仕込み、70℃、6時間続けて重合反応を行った。冷却後、この懸濁液から生成した樹脂微粒子を濾過洗浄した。このようにして得られた樹脂ビーズを、イオン交換水に再解膠した後、懸濁液から微粒子を濾過洗浄した。更に、乾燥、解砕処理を行って、非重合性のシリコーンを固定化して含有してなる樹脂ビーズを得た。
【0038】
<実施例2>(重合性モノマー液中に非重合性のポリエーテルアルキル共変性シリコーンを含有させて製造した例)
まず、ヘキサンジオールジアクリレート(ダイセルオルネクス(株)製、商品名:HDDA)200部に、変性ビスフェノールジアクリレート(ダイセルオルネクス(株)製、商品名:EBECRYL150)200部と、非重合性のポリエーテルアルキル共変性シリコーン(信越化学工業(株)製、商品名:KSG−310、有効成分25〜35%)80部と、予め調製した、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート20部にV−65を4部溶解した溶液を加えた。そして、これらを均一に撹拌混合し、重合性モノマー液を調製した。次に、別の容器に、イオン交換水1600部に、分散安定化剤としてPVAを88部溶解した水相を用いて行った以外は、実施例1と同様に、その後の洗浄などの操作を行い、非重合性のシリコーンを固定化して含有してなる樹脂ビーズを得た。上記で使用したKSG−310は、ポリエーテルアルキル共変性シリコーン25〜35%と、ミネラルオイルの混合物で、化粧品に使用されている材料である。
【0039】
<実施例3>(重合性モノマー液中に非重合性のトリメチルシロキケイ酸を含有させて製造した例)
予め調製した、ポリエチレングリコールジメタクリレート(新中村化学工業(株)製、商品名:NK1G)120部にV−65を4部溶解した溶液に、ラウリルメタアクリレート(花王(株)製、商品名:LMA)280部と、非重合性のトリメチルシロキケイ酸(信越化学工業(株)製、商品名:X−21−5250、有効成分50%)40部を加え、これらを均一に撹拌混合し、重合性モノマー液を調製した以外は実施例1と同様に操作し、非重合性のシリコーンを固定化して含有してなる樹脂ビーズを得た。なお、上記で使用したX−21−5250は、トリメチルシロキケイ酸50%と、環状シリコーンオイルであるシクロペンタシロキサン50%の混合物である。
【0040】
<実施例4>(重合性モノマー液中に非重合性のシリコーンエラストマーを含有させて製造した例)
予め調製した、ポリエチレングリコールジメタクリレート(新中村化学工業(株)製、商品名:NK1G)200部にV−65を4部溶解した溶液に、ラウリルメタアクリレート(花王(株)製、商品名:LMA)200部と、非重合性のシリコーンエラストマー(東レ・ダウコーニング(株)製、商品名:9040S.E.B、有効成分12%)150部を加え、これらを均一に撹拌混合し、重合性モノマー液を調製した以外は実施例1と同様に操作し、非重合性のシリコーンを固定化して含有してなる樹脂ビーズを得た。上記で使用したシリコーンエラストマー(商品名:9040S.E.B)は、ジメチコンクロスポリマー12%とシクロペンタシロキサン88%の混合物である。
【0041】
<実施例5>(重合性モノマー液中に非重合性のポリエーテル共変性シリコーンを含有させて製造した例)
予め調製した、ポリエチレングリコールジメタクリレート(新中村化学工業(株)製、商品名:NK1G)200部にV−65を4部溶解した溶液に、ラウリルメタアクリレート(花王(株)製、商品名:LMA)200部と、非重合性のポリエーテル共変性シリコーン(信越化学工業(株)製、商品名:KF−6015、有効成分100%)28部を加え、これらを均一に撹拌混合し、重合性モノマー液を調製した以外は実施例1と同様に操作し、非重合性のシリコーンを固定化して含有してなる樹脂ビーズを得た。
【0042】
<実施例6>(重合性モノマー液中の共重合可能な官能基を複数有する単量体の含有量が18質量%で、非重合性のシリコーンエラストマーを含有させて製造した例)
予め調製した、ポリエチレングリコールジメタクリレート(新中村化学工業(株)製、商品名:NK1G)72部にV−65を4部溶解した溶液に、ラウリルメタアクリレート(花王(株)製、商品名:LMA)328部と、非重合性のシリコーンエラストマー(東レ・ダウコーニング(株)製、商品名:9040S.E.B、有効成分12%)150部を加え、これらを均一に撹拌混合し、重合性モノマー液を調製した以外は実施例1と同様に操作し、非重合性のシリコーン化合物を固定化して含有してなる樹脂ビーズを得た。
【0043】
<比較例1>(重合性モノマー液にシリコーンを含有させていない場合の例)
実施例1で用いたと同様に、予め調製したポリエチレングリコールジメタクリレート(新中村化学工業(株)製、商品名:NK1G)200部にV−65を4部溶解した溶液に、ラウリルメタアクリレート(花王(株)製、商品名:LMA)200部を加え、これらを均一に撹拌混合し、重合性モノマー液を調製した以外は実施例1と同様に操作し、シリコーンを含有しない樹脂ビーズを得た。
【0044】
<比較例2>(比較例1のビーズにシリコーンを被覆処理した場合の例)
比較例1で得た樹脂ビーズ100部をヘンシルミキサーに投入し、これに予めイソプロピルアルコール5部に、実施例1で使用したシリコーンアクリル共重合体(信越化学工業(株)製、商品名:KP−578、有効成分100%)5部を溶解した溶液を注入して、均一に撹拌混合した後、乾燥、解砕処理を行って、シリコーンを樹脂ビーズ表面に被覆した樹脂ビーズを得た。
【0045】
<評価>
実施例及び比較例の各樹脂ビーズについて、その体積平均粒子径を測定し、更に、以下のようにして、撥水性と撥油性を評価した。
【0046】
(体積平均粒子径の測定)
実施例1〜6及び比較例1、2でそれぞれ調製した各樹脂ビーズの体積平均粒子径を、コールターカウンター(ベックマン・コールター社製)で測定した。そして、得られた結果を表1にまとめて示した。
【0047】
(撥水性の評価)
実施例1〜6及び比較例1、2でそれぞれ調製した各樹脂ビーズにおける撥水性を下記のようにして観察し、以下の基準で評価した。具体的には、50mlの試験管に20mlのイオン交換水を入れ、その中に樹脂ビーズ0.5gを投入した後、スパチュラーで軽く撹拌した。そして、1時間後に樹脂ビーズが表面に浮いているか否かを観察して、その沈降状態で撥水性を評価した。評価基準は、樹脂ビーズが完全に浮いている状態を○、一部沈降している場合を△、ほぼ沈降している場合を×として、評価した。更に、撥水性の付与効果の経時安定性を確認するため、1日後の状態も観察して、効果の持続性を評価した。その結果を表1にまとめて示した。
【0048】
(撥油性の評価)
実施例1〜6及び比較例1、2でそれぞれ調製した各樹脂ビーズにおける撥油性を下記のようにして観察し、以下の基準で評価した。具体的には、50mlの試験管に20mlのオリーブスクワランを入れ、その中に樹脂ビーズ0.5gを投入した後、スパチュラーで軽く撹拌した。そして、1時間後に樹脂ビーズが表面に浮いているか否かを観察して、その沈降状態で撥油性を評価した。評価基準は、樹脂ビーズが完全に浮いている状態を○、一部沈降している場合を△、ほぼ沈降している場合を×として、評価した。更に、撥油性の付与効果の経時安定性を確認するため、1日後の状態も観察して、効果の持続性を評価した。その結果を表1にまとめて示した。
【0049】
【0050】
(化粧料への使用)
表2に示す各成分と、実施例及び比較例で得た各樹脂ビーズを用い、表2に記載した配合量で配合することにより、実施例7〜12及び比較例3、4の化粧料を製造し、その使用性について評価した。具体的に、化粧料は、以下のようにして製造した。表2に記載のシリコーン処理された各粉体(マイカ、タルク、微粒子酸化チタン、硫酸バリウム)及び実施例及び比較例の各樹脂ビーズを、表2に記載の量で配合し、均一になるまで混合して粉体混合物とした。そして、粉体混合物と、予めワセリン、スクワラン、トリオクタン酸グリセリルを混合したものを加えて、均一なるまで混合した。そして、これを容器に充填し、必要に応じてプレス成型して化粧料を得た。これを用いて、表3に示す項目の使用性について、表3に示す評価基準で評価し、結果を表3に示した。
【0051】
【0052】
【0053】
(評価結果)
実施例1〜6の樹脂ビーズと、比較例1、2の樹脂ビーズとを比較すると、表1に示したように、特に、実施例1〜5の樹脂ビーズはいずれも、良好な撥水性、撥油性を持ち、且つ、長時間に亘って経時安定性にも優れていることが確認できた。また、特に、実施例1〜5の樹脂ビーズを使用して製造した実施例7〜11の化粧料は、比較例1、2の樹脂ビーズを使用して製造した比較例3、4の化粧料と比較すると、べたつきがなく、伸び広がりも軽く、おさまりも良く、化粧もちの良い化粧料となった。また、共重合可能な官能基を複数有する単量体の含有量を20質量%未満とした実施例6の樹脂ビーズは、撥水性及び撥油性の付与効果を持つものの、上記した実施例1〜5の樹脂ビーズと比較すると、特にこれらの効果の長時間に亘っての経時安定性において劣るものとなることがわかった。この結果、化粧料に適用した場合は、実施例1〜6の樹脂ビーズを用いることで、良好な撥水性、撥油性を示す化粧料を得ることができ、特に実施例1〜5の樹脂ビーズを用いることで、化粧もちのよい化粧料が得られることが確認された。また、塗り薬や貼り薬といった外皮用薬、塗料、成形体、フィルム、コーティング剤、分散体、印刷インキ、インクジェットインキ、樹脂組成物においても、同様に、本発明の樹脂ビーズを用いることで、その製品に、高いレベルで安定した撥水性及び撥油性の付与ができ、本発明の樹脂ビーズは、機能性材料として有用であることがわかった。
【産業上の利用可能性】
【0054】
本発明の樹脂ビーズを、例えば、化粧料に用いることで、撥水性、撥油性が有り、良好な化粧もちを実現した製品を得ることができる。したがって、本発明の樹脂ビーズは、このような特性や機能を求める分野、例えば、化粧料、外皮用剤、塗料、成形体、フィルム、コーティング剤、分散体、印刷インキ、インクジェットインキ、樹脂組成物への使用に最適であり、多様な用途での使用が期待される。