(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6184616
(24)【登録日】2017年8月4日
(45)【発行日】2017年8月23日
(54)【発明の名称】傾斜可能なアイロン台を有する衣類スチーマー
(51)【国際特許分類】
D06F 81/00 20060101AFI20170814BHJP
D06F 81/04 20060101ALI20170814BHJP
D06F 81/08 20060101ALI20170814BHJP
D06F 75/14 20060101ALI20170814BHJP
D06F 87/00 20060101ALI20170814BHJP
【FI】
D06F81/00
D06F81/04
D06F81/08
D06F75/14 Z
D06F87/00
【請求項の数】8
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2016-570811(P2016-570811)
(86)(22)【出願日】2016年1月8日
(65)【公表番号】特表2017-520296(P2017-520296A)
(43)【公表日】2017年7月27日
(86)【国際出願番号】EP2016050243
(87)【国際公開番号】WO2016116298
(87)【国際公開日】20160728
【審査請求日】2016年12月1日
(31)【優先権主張番号】15152230.7
(32)【優先日】2015年1月23日
(33)【優先権主張国】EP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】590000248
【氏名又は名称】コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
【氏名又は名称原語表記】KONINKLIJKE PHILIPS N.V.
(74)【代理人】
【識別番号】100122769
【弁理士】
【氏名又は名称】笛田 秀仙
(74)【代理人】
【識別番号】100171701
【弁理士】
【氏名又は名称】浅村 敬一
(72)【発明者】
【氏名】チュア ヒー ケーン
(72)【発明者】
【氏名】ジアーン ヨーン
(72)【発明者】
【氏名】シーン ジェン ミーン ジミー
【審査官】
柿沼 善一
(56)【参考文献】
【文献】
特表2009−500062(JP,A)
【文献】
特公昭47−043213(JP,B1)
【文献】
実公昭31−009907(JP,Y1)
【文献】
実公昭27−006460(JP,Y1)
【文献】
実公昭39−020260(JP,Y1)
【文献】
米国特許出願公開第2010/0095565(US,A1)
【文献】
実公昭34−017651(JP,Y1)
【文献】
特開平10−117856(JP,A)
【文献】
実開昭64−010214(JP,U)
【文献】
実開平04−004825(JP,U)
【文献】
特開2013−000514(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2003/0062073(US,A1)
【文献】
特公昭32−004476(JP,B1)
【文献】
特開平03−297500(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D06F 81/00
D06F 75/14
D06F 81/04
D06F 81/08
D06F 87/00
F16C 11/04
A47B 17/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベースと、前記ベースから上方に延在する、上部及び下部を有する支持構造と、前記上部に取り付けられたアイロン台と、前記上部が前記下部に対して傾斜可能となるとともに、水平と垂直との間の或る角度で前記上部が前記下部から傾斜する位置で固定可能であるように前記上部と前記下部とを接続する傾斜リンク機構を有する傾斜構造と、を有する、傾斜可能なアイロン台を有する衣類スチーマーであって、前記傾斜リンク機構は、前記支持構造の前記上部と前記下部との間に並んで延在している第1及び第2のリンクアームを有し、前記第1及び第2のリンクアームの各々は、前記上部に旋回可能に接続された上端と前記下部に旋回可能に接続された下端とを持ち、前記第1のリンクアームは、前記第1及び第2のリンクアームの各々の前記上端及び前記下端が前記支持構造の前記上部及び前記下部周りにそれぞれ旋回された場合に、前記上部が前記下部に対して傾斜した位置をとるように、前記第2のリンクアームよりも長く、
前記支持構造にマウントされるとともに、前記上部が前記下部に対して傾斜しない第1の位置において前記第1及び第2のリンクアームを保持するために、前記第1及び第2のリンクアームを囲む前記第1の位置と、前記第1及び第2のリンクアームの前記上端及び前記下端の各々が前記支持構造の前記上部及び前記下部周りにそれぞれ自由に旋回する第2の位置との間でスライド可能なスリーブを有する、傾斜可能なアイロン台を有する衣類スチーマー。
【請求項2】
前記傾斜角度が、垂直方向に対して15度と45度との間にある、請求項1記載の傾斜可能なアイロン台を有する衣類スチーマー。
【請求項3】
前記ベースの両側から上方に延在する支持構造を有する、請求項1記載の傾斜可能なアイロン台を有する衣類スチーマー。
【請求項4】
前記傾斜構造が、前記支持構造の一部である、請求項1記載の傾斜可能なアイロン台を有する衣類スチーマー。
【請求項5】
前記傾斜リンク機構が、
前記支持構造の前記上部に剛結合された上部リンクと、
前記支持構造の前記下部に剛結合された底部リンクと、
を有し、
前記第1及び第2のリンクアームの前記上端の各々が、前記上部リンクに旋回可能に接続され、前記第1及び第2のリンクアームの前記下端の各々が、前記底部リンクに旋回可能に接続されている、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の傾斜可能なアイロン台を有する衣類スチーマー。
【請求項6】
前記傾斜角度が、前記第1及び第2のリンクアームの長さにおける差によって決定される、請求項5記載の傾斜可能なアイロン台を有する衣類スチーマー。
【請求項7】
前記上部リンクが、前記支持構造の前記上部の一部である、請求項5記載の傾斜可能なアイロン台を有する衣類スチーマー。
【請求項8】
前記底部リンクが、前記支持構造の前記下部の一部である、請求項5記載の傾斜可能なアイロン台を有する衣類スチーマー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、衣類スチーマーに関し、特に、傾斜可能なアイロン台を有する衣類スチーマーに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の衣類スチーマーは、しわを除去する便利な方法を提供する。しかしながら、従来のアイロン方法と比較した場合、吊られた衣類を支持するものがないため、しわ除去性能のレベルは極めて低い。頑固なしわは、衣類を支持するための水平板を用いる従来のアイロン方法のプロセスと同様には伸ばすことができない。
【0003】
図1によれば、上記問題を解決しようとする衣類スチーマー200が提案されている。スタンド型衣類スチーマー200は、蒸気処理のための固定された垂直なアイロン台210を有する。しかしながら、かかる垂直なアイロン台210は、人間工学的ではなく、使用が困難であり、ユーザは、垂直方向で動作させる必要があり、快適ではない。さらに、かかる垂直なアイロン台210は、アイロン台210に力を付与した場合に倒れがちであり、極めて不安定である。従って、このタイプの衣類スチーマーは、しわを除去するための任意の大きな押圧を本当に支持することはできない。
【0004】
マルチ機能用途のためのアイロン台が、米国特許出願公開第2010/0095565号から知られている。この文書は、ベースと、柱によってベースに接続された作業面を具備する本体と、を持つアイロン台を開示している。当該柱は、柱に対して垂直に延在する傾斜軸回りに本体を傾斜させるための傾斜手段を持つ。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、支持構造に対して傾斜され得る傾斜可能なアイロン台を有する安定且つ小型の衣類スチーマーを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、独立請求項によって規定されている。従属請求項は、好適な実施形態を規定している。
【0007】
本発明によれば、ベースと、前記ベースから上方に延在する、上部及び下部を有する支持構造と、前記上部に取り付けられたアイロン台と、前記上部が前記下部に対して傾斜可能となるとともに、水平と垂直との間の或る角度で前記上部が前記下部から傾斜する位置で固定可能であるように前記上部と前記下部とを接続する傾斜リンク機構を有する傾斜構造と、を有する、傾斜可能なアイロン台を有する衣類スチーマーであって、前記傾斜リンク機構は、前記支持構造の前記上部と前記下部との間に並んで延在している第1及び第2のリンクアームを有し、前記第1及び第2のリンクアームの各々は、前記上部に旋回可能に接続された上端と前記下部に旋回可能に接続された下端とを持ち、前記第1のリンクアームは、前記第1及び第2のリンクアームの各々の前記上端及び前記下端が前記支持構造の前記上部及び前記下部周りにそれぞれ旋回された場合に、前記上部が前記下部に対して傾斜した位置をとるように、前記第2のリンクアームよりも長い、傾斜可能なアイロン台を有する衣類スチーマーが提供される。
【0008】
好適には、傾斜角度は、垂直方向に対して15度乃至45度の間にあり、支持構造は、ベースの両側から上方に延在している。傾斜構造は、支持構造の一部であってもよい。
【0009】
本発明の第1の実施形態によれば、傾斜リンク機構が、前記支持構造の前記上部に剛結合された上部リンクと、前記支持構造の前記下部に剛結合された底部リンクと、を有し、前記第1及び第2のリンクアームの前記上端の各々が、前記上部リンクに旋回可能に接続され、前記第1及び第2のリンクアームの前記下端の各々が、前記底部リンクに旋回可能に接続されている。
【0010】
好ましい実施形態では、衣類スチーマーは、支持構造にマウントされるとともに、上部が下部に対して傾斜しない第1の位置において第1及び第2のリンクアームを保持するために、第1及び第2のリンクアームを囲む第1の位置と、第1及び第2のリンクアームの上端及び下端の各々が支持構造の上部及び下部周りにそれぞれ自由に旋回する第2の位置との間でスライド可能なスリーブを有する。傾斜角度は、第1及び第2のリンクアームの長さにおける差によって決定されてもよい。好ましくは、上部リンクは、支持構造の上部の一部であり、底部リンクは、支持構造の下部の一部である。
【0011】
本発明の第2の実施形態によれば、傾斜可能なアイロン台を有する衣類スチーマーであって、ベースと、前記ベースから上方に延在する、上部及び下部を有する支持構造と、前記上部に取り付けられたアイロン台と、前記上部が前記下部に対して傾斜可能となるとともに、水平と垂直との間の或る角度で前記上部が前記下部から傾斜する位置で固定可能であるように前記上部と前記下部とを接続する傾斜リンク機構を有する傾斜構造と、を有し、前記傾斜リンク機構が、丸みを帯びた端部と前記丸みを帯びた端部において放射状に規定される複数の凹部とを有する下位リンクに旋回可能に接続される上位リンクと、前記上位リンクの内側に配置されるとともに、プランジャが前記複数の凹部の1つに位置決めされた場合に、前記上位リンクを前記下位リンクに対して傾斜した位置でロックするために前記プランジャが前記凹部に位置するように、前記下位リンクの前記丸みを帯びた端部に対して付勢されるばね荷重プランジャと、を有する、衣類スチーマーが提供される。
【0012】
上部リンクは、支持構造の上部と一体化される、又は、剛結合されてもよい。また、下位リンクは、支持構造の下部と一体化される、又は、剛結合されてもよい。
【0013】
傾斜角度は、凹部と垂直方向との間の角度によって決定されてもよい。或る実施形態では、ばね筐体が、上位リンクの内側に固定され、プランジャが、ばね筐体を通じて延在し、ばねが、ばね筐体に収容されるとともに、プランジャにばね力を付与するために、ばね筐体の内面とプランジャ上のショルダとの間に配置される。
【0014】
本発明の傾斜構造によって、衣類スチーマーのアイロン台が、ユーザがスチーマーを快適に操作できるように、支持構造の下部に対して傾斜されることができる。傾斜角度は、第1の傾斜リンク機構を採用することによって固定されてもよく、あるいは、傾斜角度は、第2の傾斜リンク機構を採用することによって調整可能であってもよい。傾斜可能なアイロン台を有する衣類スチーマーの支持構造は、ベースの両側から上方に延在する一組の支持柱として実装されてもよく、これにより、スチーマーは、力がアイロン台に付与される場合に安定的に立つことができる。また、選択された大きさの台は、スチーマーの安定度を強化することができる。支持構造は、好ましくは、使用されない場合に格納可能な構造として実装されてもよく、格納場所を節約するために、傾斜構造は、支持構造とともに格納されてもよい。
【0015】
本発明の詳細な説明及び他の態様が、以下に与えられる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
本発明の特別な態様が、同一の部分又はサブステップが同じ態様で示されている添付の図面と関連して、ここで説明及び議論される実施形態を参照して、説明される。
【
図1】
図1は、従来技術から知られている固定の垂直なアイロン台を具備する衣類スチーマーを示している。
【
図2】
図2は、本発明に係る傾斜構造により傾斜され得るアイロン台を有する傾斜可能なアイロン台を具備する衣類スチーマーを示している。
【
図3】
図3は、本発明の傾斜構造の第1の実施形態を示している。
【
図4A】
図4Aは、
図3に示される第1の傾斜リンク機構の傾斜プロセスを示している。
【
図4B】
図4Bは、
図3に示される第1の傾斜リンク機構の傾斜プロセスを示している。
【
図4C】
図4Cは、
図3に示される第1の傾斜リンク機構の傾斜プロセスを示している。
【
図5A】
図5Aは、本発明の傾斜構造の第2の実施形態を示している。
【
図5B】
図5Bは、本発明の傾斜構造の第2の実施形態を示している。
【
図5C】
図5Cは、本発明の傾斜構造の第2の実施形態を示している。
【発明を実施するための形態】
【0017】
衣類スチーマーを動作する際に、ユーザに快適さを感じさせるため、そのアイロン台は、人間工学的であることを要する。つまり、アイロン台が、特定の角度で傾斜され得ることを要する。
【0018】
図2によれば、本発明は、上記要件を満たすために、傾斜可能なアイロン台を有する衣類スチーマーを提案する。傾斜可能なアイロン台を有する衣類スチーマー100は、ベース10を有する。スチーム生成器20が、ベース10に取り付けられる、又は、ベース10から離れて配置される。スチーマーヘッド30が、スチームホース40によってスチーム生成器20に接続されている。支持構造50が、ベース10から上方に延在している。この支持構造50は、柱であってもよい。好ましい実施形態では、2つの柱がベース10の両側から上方に延在しており、この柱は、好ましくは、衣類スチーマーを小型化するために、使用中出ない場合は、格納され得るように、格納可能である。柱の数及び位置は、そのサイズ、安定度の要件、及び、他の検討事項に応じて変えられることができることが理解可能である。
【0019】
支持構造50は、上部51と、下部52と、を持つ。上部51及び下部52は、傾斜構造70により接続されている。本発明の好ましい実施形態では、傾斜構造70は、支持構造50の一部である。本発明の代替的な実施形態では、傾斜構造70は、支持構造50の上部51及び下部52に取り付けられる別個のコンポーネントである。
【0020】
本発明の好ましい実施形態では、アイロン台60が、支持構造50の上部52に取り付けられる。従って、アイロン台60は、上部52とともに移動する。傾斜構造70は、支持構造50の上部51が、支持構造50の下部52に対して傾斜されるとともに、上部51が下部52から水平と垂直との間の或る角度で傾斜される位置において固定され得るように、支持構造50に接続されている。支持構造50の上部51への取り付けとともに、上部51と一緒に移動することの結果として、アイロン台60は、支持構造50の下部52から水平と垂直との間の或る角度で傾斜される。アイロン台60は、完全な台であってもよいし、小型化を考慮して、半分の台、又は、ベース10の設置面積内のサイズを有する台であってもよい。
【0021】
図3は、第1の傾斜リンク機構80としてここでは説明される、傾斜構造70の第1の実施形態を示している。
【0022】
第1の傾斜リンク機構80は、上部リンク81と、底部リンク82と、前部リンク83と、後部リンク84と、スリーブ85と、を有する。支持構造50の上部51は、上部リンク81に剛結合されている。また、支持構造50の下部52は、底部リンク82に剛結合されている。好ましい実施形態では、上部リンク81は、支持構造50の上部51の一部であり、底部リンク82は、支持構造50の下部52の一部である。代替的な実施形態では、上部リンク81及び底部リンク82は、上部51及び下部52にそれぞれ剛結合される別個のコンポーネントである。
【0023】
前部リンク83及び後部リンク84は、それぞれ、上部リンク81の下端及び底部リンク82の上端に旋回可能に接続されている。前部リンク83の端部と後部リンク84の端部との間には高低差があり、ここで、上部リンク81又は底部リンク82を接続している。従って、旋回時には、前部リンク83及び後部リンク84は、前部リンク83及び後部リンク84にそれぞれ接続する上部リンク81と底部リンク82との間の傾斜角度を規定する段差を形成する。支持構造50の上部51が上部リンク81に剛結合されるとともに、支持構造50の下部52が底部リンク82に剛結合されるため、支持構造50の上部51は、支持構造50の下部52から上記の高低差によって規定される所定の傾斜角度で傾斜される。さらに、支持構造50の上部51に取り付けられたアイロン台60が、上部51と一緒に移動し、従って、支持構造50の下部52から上記高低差によって規定される所定の傾斜角度で傾斜される。高低差を変化させることによって、傾斜角度は、水平と垂直との間へ変化し得る。ユーザのスチーム動作のために快適な傾斜角度は、一般的に、15度乃至45度であり、好ましくは、30度である。
【0024】
スリーブ85は、垂直位置において、上部リンク81、底部リンク82、前部リンク83、及び、後部リンク84を囲んで、スライド可能に配置されている。上部リンク81、底部リンク82、前部リンク83、及び、後部リンク84の全体的な外形寸法は、垂直位置において、スリーブ85の内部開口よりも小さい。これは、スリーブ85が、上部リンク81、底部リンク82、前部リンク83、及び、後部リンク84に沿って、上又は下にスライドすることを可能にする。スリーブ85が、前部リンク83及び後部リンク84を囲む第1の位置にスライドする場合、前部リンク83及び後部リンク84は、旋回せずに、垂直位置において実質的に保持され、スリーブ85が、前部リンク83及び後部リンク84を囲まない第2の位置にスライドする場合、つまり、前部リンク83及び後部リンク84が、スリーブ85から露出している場合、前部リンク83及び後部リンク84は、上部リンク81と底部リンク82との間、ひいては、支持構造50の上部51と下部52との間、さらには、アイロン台60と支持構造50の下部52との間の傾斜角度につながる段差が形成されるように、上部リンク81及び底部リンク82に対して旋回する。
【0025】
好ましくは、スリーブ85の全体的な外形寸法及びプロファイルは、支持構造50のそれらと同じであり、従って、支持構造50が格納可能な柱として実装される場合、第1の傾斜リンク機構80全体が、コンパクトな格納のために、格納可能な柱とともに格納可能であることを可能にする。
【0026】
図4A乃至
図4Cは、第1の傾斜リンク機構80の傾斜プロセスを示している。
図4Aによれば、スリーブ85は、最初は、前部リンク83及び後部リンク84を囲む第1の位置にあり、この場合、前部リンク83及び後部リンク84は、スリーブ85内部に保持され、旋回できず、従って、第1の傾斜リンク機構80は、垂直位置においてロックされる。第1の傾斜リンク機構80をリリースするために、スリーブ85は、前部リンク83及び後部リンク84の両方を解放する第2の位置へ上方にスライドする。
図4Bによれば、第2の位置において、スリーブ85は、第1の傾斜リンク機構80の直線部を崩すために、前部リンク83の方向へ僅かに引かれる。その後、重力のために、上部リンク81、スリーブ85、支持構造50の上部51、及び、アイロン台60の重さが、前部リンク83及び後部リンク84を上部リンク81及び底部リンク82に対して旋回させるように働く。
図4Cによれば、旋回が停止する場合、段差が、前部リンク83と後部リンク84との間に形成され、従って、上部リンク81は、底部リンク82に対して或る角度で傾斜される。
【0027】
第1の傾斜リンク機構80をリセットするために、上部リンク81は、垂直位置へ押し上げられる。上部リンク81、前部リンク83、及び、後部リンク84の間の接続のため、前部リンク83及び後部リンク84は、垂直位置に引き上げられる。重力のため、スリーブ85は、上部リンク81及び底部リンク82を傾斜なしに垂直位置においてロックするように、前部リンク83及び後部リンク84を囲み、保持する位置に降下する。
【0028】
図5A乃至
図5Cは、第2の傾斜リンク機構90として、ここでは説明される、傾斜構造70の第2の実施形態を示している。第1及び第2の傾斜リンク機構80,90は、一緒に用いられてもよいし、又は、個別に用いられてもよい。
【0029】
第2の傾斜リンク機構90は、上部リンク91及び下部リンク92を有し、上部リンク91は、ピボット93を介して、下部リンク92に旋回可能に接続されている。支持構造50の上部51は、上部リンク91に剛結合されており、下部52は、下部リンク92に剛結合されている。好ましい実施形態では、上部リンク91は、支持構造50の上部51の一部であり、下部リンク92は、支持構造50の下部52の一部である。代替的な実施形態では、上部リンク91及び下部リンク92は、支持構造50の上部51及び下部52にそれぞれ剛結合される別個のコンポーネントである。
【0030】
下部リンク92は、下部リンク92が上部リンク91に接続された場合に上部リンク91に対向する丸みを帯びた端部921を有する。複数の凹部922が、丸みを帯びた端部921において放射状に規定されている。上部リンク91の内側には、ばね筐体94が、上部リンク91の底部において固定されている。プランジャ96が、ばね筐体94を通じて延在し、プランジャ96の一端が、上部リンク91の表面上に配置されたリリースボタン97に固定されており、プランジャ96の他端が、下部リンク92の丸みを帯びた端部921に沿って乗っている。プランジャ96は、ショルダ961を有する。ばね95が、ばね筐体94に収容され、一端が、ばね筐体94の内面に対して隣接しており、他端が、プランジャ96のショルダ961に対して隣接している。
【0031】
上部リンク91が、下部リンク92に対して旋回する場合、プランジャ96は、下部リンク92の丸みを帯びた端部921に沿って乗り、プランジャ96が、凹部922の1つに位置決めされる場合、プランジャ96は、凹部922の中に差し込むために、ばね95によって押される。この場合、上部リンク91は、傾斜角度で下部リンク92に対して傾斜される位置においてロックされる。支持構造50の上部51が、上部リンク91に剛結合されており、支持構造50の下部52が、下部リンク92に剛結合されているため、支持構造50の上部51は、支持構造50の下部52から、凹部922と垂直方向との間の角度で規定される傾斜角度で傾斜される。さらに、支持構造50の上部51に取り付けられるアイロン台60は、上部51とともに移動するため、アイロン台60は、凹部922と垂直方向との間の角度によって規定される角度で支持構造50の下部52から傾斜される。傾斜角度は、異なる凹部922に対してプランジャ96を位置決めすることによって調整され得る。垂直位置に対して上部リンク91及び下部リンク92をリセットするため、リリースボタン97が、上方に押され、ばね95が、圧縮されて、プランジャ96が、凹部922からリリースされる。好ましくは、凹部922は、上部リンク91及び下部リンク92が、垂直位置にリセットされる場合に、それらが当該凹部922に差し込むプランジャ96によってロックされるように垂直方向において規定される。
【0032】
本発明のアイロン台60の幅は、好ましくは、傾斜可能なアイロン台を有する衣類スチーマー100のハンガーの幅と等しい。アイロン台60の長さは、好ましくは、シャツなどの典型的な上着の長さ以下である。
【0033】
上述の実施形態は、例示目的でしかなく、本発明の技術アプローチを限定する意図はない。本発明が、好適な実施形態を参照して詳述されているが、当該技術分野における当業者は、本発明の特許請求の範囲の保護範囲内である本発明の技術アプローチが、本発明の技術アプローチの概念及び範囲を逸脱することなく、修正され、又は、等しく置き換えられ得ることを理解する。請求項において、「有する」なる用語は、他の要素又はステップを除外せず、単数形は、複数あることを除外しない。請求項中の任意の参照符号は、本発明の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。