特許第6184622号(P6184622)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6184622
(24)【登録日】2017年8月4日
(45)【発行日】2017年8月23日
(54)【発明の名称】ハプティックアクチュエータ
(51)【国際特許分類】
   H02K 33/16 20060101AFI20170814BHJP
【FI】
   H02K33/16 A
【請求項の数】5
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2016-576019(P2016-576019)
(86)(22)【出願日】2015年6月29日
(65)【公表番号】特表2017-523753(P2017-523753A)
(43)【公表日】2017年8月17日
(86)【国際出願番号】KR2015006643
(87)【国際公開番号】WO2016021834
(87)【国際公開日】20160211
【審査請求日】2016年12月28日
(31)【優先権主張番号】10-2014-0101456
(32)【優先日】2014年8月7日
(33)【優先権主張国】KR
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】516388436
【氏名又は名称】ハイソニック.カンパニー,リミテッド
【氏名又は名称原語表記】HYSONIC.CO.,LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】100130111
【弁理士】
【氏名又は名称】新保 斉
(72)【発明者】
【氏名】チョン、セ ジュン
【審査官】 ▲桑▼原 恭雄
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−245409(JP,A)
【文献】 特開平11−178304(JP,A)
【文献】 国際公開第2012/039449(WO,A1)
【文献】 特開2011−205870(JP,A)
【文献】 韓国登録特許第10−1224432(KR,B1)
【文献】 韓国公開特許第10−2011−0009462(KR,A)
【文献】 韓国公開特許第10−2011−0125867(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 33/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に収容部が形成されたケースと、前記ケースに固定取付けられて縦方向に巻き取って形成され、制御部から電源が供給されるように接続されるコイル部材と、前記コイル部材の外側に配置され、前記収容部に横方向に弾性的に移動可能に取付けられる振動体を持つハプティックアクチュエータにおいて、
前記振動体は、前記コイル部材の縦方向の一端に相互離隔して配置される第1の磁石及び第2の磁石と、
前記コイル部材の縦方向の他端に相互離隔して配置される第3の磁石及び第4の磁石と、
前記第1の磁石及び前記第3の磁石の横方向の一端に取付けられる第1の磁性体と、
前記第2の磁石及び前記第4の磁石の横方向の他端に取付けられる第2の磁性体と、
前記第1の磁性体及び前記第2の磁性体にそれぞれ取付けられる第1の重り及び第2の重りと、を含んで成り、
前記第1の磁石及び前記第2の磁石の極性は、相対する方向にN極が形成され、その反対方向にS極が形成され、前記第3の磁石及び前記第4の磁石の極性は相対する方向にN極が形成され、その反対方向にS極が形成され、
前記第1の磁石、第2の磁石、第3の磁石及び第4の磁石のN極から発散される磁力線は前記コイル部材から成り、
前記第1の磁性体は一つの胴体から成り、縦方向の両端がそれぞれ前記第1の磁石及び前記第3の磁石と接し、
前記第2の磁性体は一つの胴体から成り、縦方向の両端がそれぞれ前記第2の磁石及び前記第4の磁石と接し、
前記第1の磁性体及び前記第2の磁性体の上端及び下端には、真ん中の方向に凹の磁力強化溝がそれぞれ形成されることを特徴とするハプティックアクチュエータ。
【請求項2】
前記第1の磁性体は二つに分離形成され、互いに離隔してそれぞれ前記第1の磁石及び前記第3の磁石に配置され、
前記第2の磁性体は二つに分離形成され、互いに離隔してそれぞれ前記第2の磁石及び第4の磁石に配置されることを特徴とする請求項1に記載のハプティックアクチュエータ。
【請求項3】
前記振動体の横方向の両端と前記ケースとの間には前記振動体を横方向に弾性支持する第1の弾性部材及び第2の弾性部材がそれぞれ取付けられ、
前記第1の弾性部材及び前記第2の弾性部材は、波形状に折り曲げられた板バネから成ることを特徴とする請求項1に記載のハプティックアクチュエータ。
【請求項4】
前記振動体は、前記コイル部材が挿入配置される貫通孔が形成され、内部に前記第1の磁石、第2の磁石、第3の磁石、第4の磁石、第1の磁性体、第2の磁性体、第1の重り及び第2の重りが取付けられる安着空間が形成された支持板と、をさらに含み、
前記第1の弾性部材及び前記第2の弾性部材は、前記ケースと前記支持板の横方向の両端との間にそれぞれ取付けられ、前記支持板を横方向に移動可能に弾性支持することを特徴とする請求項3に記載のハプティックアクチュエータ。
【請求項5】
前記コイル部材の横方向の両端には、前記振動体との衝突時の反発力により前記振動体の加速度を増加させる第3の弾性部材及び第4の弾性部材がそれぞれ設けられることを特徴とする請求項1に記載のハプティックアクチュエータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハプティックアクチュエータに関し、特に、携帯端末などのタッチによる振動反応を必要とする電子機器に内蔵され、コイルと磁石の相互作用によって振動を発生させるハプティックアクチュエータに関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に通信機器で着信をするために多く使用されるのが着信音と振動である。振動のためには、小型の振動発生装置を駆動させて駆動力が機器のケースに伝達されるようにして機器全体の振動を可能にすることが一般的である。
【0003】
現在、携帯電話などの通信機器に適用されている着信手段の一つである振動発生装置は、電磁気的な力の発生原理を利用して電気的エネルギーを機械的振動に変換する部品であって、携帯電話に搭載されて無音着信報知用に使用されている。
【0004】
これらの振動発生装置は、携帯電話の着信を知らせるなどの目的で広く使用されており、近年ではゲーム装置にも搭載されてユーザにゲームの進行状況を知らせたり、タッチフォンなどに取付けられてユーザをしてキーがタッチされたことを感じられるようにする目的で、その使用が増えている。
【0005】
携帯電話市場が急速に拡大されており、これと共に様々な機能が携帯電話に付加される傾向につれて携帯電話部品の小型化、高品質化が求められる状況において振動発生装置もまた既存の製品の欠点を改善し、品質を画期的に改善させる新しい構造の製品開発の必要性が重要視されているのが実情である。
【0006】
携帯端末に取付けられている従来の振動発生装置は、基本的に1次振動計を利用したもので重量体をコイル状バネのような弾性体に取り付けさせ、重量体を振動させるためのコイルを備えている。
前記コイルに電流を印加すると、前記重量体と弾性体の弾性係数によって予め定められた周波数応答特性に応じて前記重量体の振動する。
【0007】
最近発売される携帯端末は、上述したようにユーザのタッチ入力に反応して音声又は振動を出力することによって、入力に対応するフィードバックをユーザに提供する機能を備えている。
【0008】
特に、ハプティック技術が適用された携帯端末の場合には、ユーザの様々な入力に反応して、それに相応する様々な触覚フィードバックを提供するために、様々な形態の振動を発生させる振動発生装置の研究が盛んに行なわれている。
【0009】
しかし、従来の振動発生装置は、コイルと固定磁石との間で発生するローレンツ力で重量体の上下駆動力を発生するようにしたところ、ローレンツ力による振動発生装置構造の限界に因り、振動の強度及び振動周波数帯域などで良好な特性を示すのは難しかった。
【0010】
特に、従来のLRA(Linear Resonant Actuator)方式の振動発生装置では、減衰値の増加に限界があって、反応速度が速くないという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】大韓民国特許登録第10−1250288号公報
【特許文献2】大韓民国特許登録第10−1055562号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、上記の問題点を解決するためのものであって、磁力構造を改善してユーザのタッチによる反応速度及び周波数帯域などの性能がさらに向上されたハプティックアクチュエータを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記の目的を達成するために本発明のハプティックアクチュエータは、内部に収容部が形成されたケースと、前記ケースに固定取付けられて縦方向に巻取り形成され、制御部から電源が供給されるように接続されるコイル部材と、前記コイル部材の外側に配置され、前記収容部に横方向に弾性的に移動可能に取付けられる振動体を持つハプティックアクチュエータであって、前記振動体は、前記コイル部材の縦方向の一端に相互離隔して配置される第1の磁石及び第2の磁石と、前記コイル部材の縦方向の他端に相互離隔して配置される第3の磁石及び第4の磁石と、前記第1の磁石及び前記第3の磁石の横方向の一端に取付けられる第1の磁性体と、前記第2の磁石及び前記第4の磁石の横方向の他端に取付けられる第2の磁性体と、前記第1の磁性体及び前記第2の磁性体にそれぞれ取付けられる第1の重り及び第2重りと、を含んで成り、前記第1の磁石及び前記第2の磁石の極性は相対する方向にN極が形成され、その反対方向にS極が形成され、前記第3の磁石及び前記第4の磁石の極性は相対する方向にN極が形成され、その反対方向にS極が形成され、前記第1の磁石、第2の磁石、第3の磁石及び第4の磁石のN極から発散される磁力線は前記コイル部材から成る。
【0014】
前記第1の磁性体は二つに分離形成され、互いに離隔してそれぞれ前記第1の磁石及び前記第3の磁石に配置され、前記第2の磁性体は二つに分離形成され、互いに離隔してそれぞれ前記第2の磁石及び第4の磁石に配置される。
【0015】
前記第1の磁性体は一つの胴体から成り、縦方向の両端がそれぞれ前記第1の磁石及び前記第3の磁石と接し、前記第2の磁性体は一つの胴体から成り、縦方向の両端がそれぞれ前記第2の磁石及び前記第4の磁石と接する。
前記第1の磁性体及び前記第2の磁性体の上端及び下端には、真ん中の方向に凹の磁力強化溝がそれぞれ形成される。
【0016】
前記振動体の横方向の両端と前記ケースとの間には、前記振動体を横方向に弾性支持する第1の弾性部材及び第2の弾性部材がそれぞれ取付けられ、前記第1の弾性部材及び前記第2の弾性部材は、波形状に折り曲げられた板バネから成る。
【0017】
前記振動体は、前記コイル部材が挿入配置される貫通孔が形成され、内部に前記第1の磁石、第2の磁石、第3の磁石、第4の磁石、第1の磁性体、第2の磁性体、第1の重り及び第2の重りが取付けられる定着空間が形成された支持板と、をさらに含み、前記第1の弾性部材及び前記第2の弾性部材は、前記ケースと前記支持板の横方向の両端との間にそれぞれ取付けられ、前記支持板を横方向に移動可能に弾性支持する。
【0018】
前記コイル部材の横方向の両端には、前記振動体との衝突時に反発力により前記振動体の加速度を増加させる第3の弾性部材及び第4の弾性部材がそれぞれ設けられる。
【発明の効果】
【0019】
上述した本発明のハプティックアクチュエータは、以下のような効果がある。
振動体は、磁力線の構造により磁性に応じて負剛性(Negative stifness)の状態になり、振動体にコイル部材の中心に配置されようとする力が発生し、これにより振動体の減衰値が増加し、制御部の信号に応じた振動体の反応速度が速くなる効果が発生する。
【0020】
また、振動体の反応速度が速くなると、ハプティックアクチュエータが適用される携帯端末のタッチによる反応をユーザに迅速に伝達することができるので、品質及び性能を向上させることができる。
【0021】
第1の磁性体及び第2の磁性体にそれぞれ磁力強化溝が形成されることによって、第1の磁性体及び第2の磁性体が磁化された時、磁力の強度を強化させて振動体の駆動力を向上させる効果を奏する。
【0022】
第3の弾性部材及び第4の弾性部材がコイル部材の両側にそれぞれ取付けられることによって振動体の加速度を増加させ、これによりハプティックアクチュエータの反応速度をさらに増加させる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明の実施形態に係るハプティックアクチュエータの斜視図である。
図2】本発明の実施形態に係るハプティックアクチュエータの分解斜視図である。
図3図1のA−A線を切った断面図である。
図4】本発明の実施形態に係るハプティックアクチュエータの平面構造図である。
図5】本発明の実施形態に係る振動体の磁気構造図である。
図6】本発明の実施形態に係るハプティックアクチュエータの動作状態図である。
図7】本発明の実施形態に係る第1の磁性体及び第2の磁性体の平面構造図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図1は本発明の実施形態に係るハプティックアクチュエータの斜視図、図2は本発明の実施形態に係るハプティックアクチュエータの分解斜視図、図3図1のA−A線を切った断面図、図4は本発明の実施形態に係るハプティックアクチュエータの平面構造図、図5は本発明の実施形態に係る振動体の磁気構造図、図6は本発明の実施形態に係るハプティックアクチュエータの動作状態図、図7は本発明の実施形態による第1の磁性体及び第2の磁性体の平面構造図である。
【0025】
図1ないし図7に示すように、本発明の実施形態に係るハプティックアクチュエータは、ケース100、コイル部材200、振動体300、第1の弾性部材410、第2の弾性部材420、第3の弾性部材510及び第4の弾性部材520から成る。
前記ケース100は、略横方向HD、即ち左右方向に長い直方体状に形成され、非磁性体であり、詳細には底板110と蓋120とから成る。
前記底板110は、横方向HDに長い長方形の板状であり、中心部には後述する前記コイル部材200が固定取付けられる固定溝111が形成される。
【0026】
前記蓋120は、図3に示すように内部に前記コイル部材200及び前記振動体300が収容される空間である収容部121が形成されるよう前記底板110を覆うように取付けられる。
【0027】
前記コイル部材200は、横方向HD、即ち左右方向に長いボビン(bobbin)に縦方向VDに巻き取って形成され、前記ケース100のの底板110に固定取付けられる。
前記コイル部材200は、ボビンに導線を縦方向HDに巻き取って作製され、図3に示すように前記ボビンの下端が前記固定溝111に挿入されて固定される。
勿論、コイル部材200は接着剤などを塗布して前記底板110に固定されることもできる。
前記コイル部材200は、携帯端末などの制御部(図示せず)と接続されており、前記制御部から電源が供給される。
一方、前記振動体300は、前記収容部121の前記コイル部材200の外側に配置され、左右移動可能に取付けられる。
【0028】
詳細には、前記振動体300は、支持板310、第1の磁石331、第2の磁石332、第3の磁石333、第4の磁石334、第1の磁性体323、第2の磁性体324、第1の重り341及び第2の重り342から成る。
【0029】
前記支持板310は、図2に示すように上端が開放された六面体状に形成され、内部には前記第1の磁石331、第2の磁石332、第3の磁石333、第4の磁石334、第1の磁性体323、第2の磁性体324、第1の重り341及び第2の重り342が取付けられる定着空間が形成される。
【0030】
前記支持板310の横方向HDの両側には、後述する第1の弾性部材410及び前記第2の弾性部材420が取付けられ、前記第1の弾性部材410及び前記第2の弾性部材420により前記支持板310は前記ケース100の収容部121に左右移動可能に取付けられる。
また、前記支持板310の下端中心部には、前記コイル部材200が挿入配置される長方形の貫通孔311が形成される。
【0031】
前記貫通孔311の大きさは、前記コイル部材200よりも大きく形成され、これにより前記支持板310が左右移動される時に前記コイル部材200と干渉されない。
【0032】
前記第1の磁石331及び前記第2の磁石332は、横が長い六面体形状であり、前記支持板310に固定され、前記コイル部材200の縦方向の一端に相互離隔して配置される。
また、図5に示すように前記第1の磁石331及び前記第2の磁石332の極性は、相対する方向にN極が配置され、その反対方向にS極が配置される。
つまり、前記第1の磁石331及び前記第2の磁石332の極性は相互対称するように配置される。
【0033】
前記第3の磁石333及び前記第4の磁石334は、前記第1の磁石331と同様に形成され、前記支持板310に固定され、前記コイル部材200の縦方向の他端に相互離隔して配置される。
また、図5に示すように前記第3の磁石333及び前記第4の磁石334の極性は、相対する方向にN極が配置され、その反対方向にS極が配置される。
即ち、前記第3の磁石333及び前記第4の磁石334の極性は相互対称するように配置される。
【0034】
若し、前記第1の磁石331及び前記第2の磁石332の極性が、相対する方向にN極、その反対方向にS極が配置されるなら、前記第3の磁石333及び前記第4の磁石334も相対する方向にN極、その反対方向にS極が配置されなければならず、この時、前記第1の磁石331、第2の磁石332、第3の磁石333及び第4の磁石334のN極から発散される磁力線は前記コイル部材200から成る。
【0035】
一方、前記第1の磁性体323は、SPCC材質、つまり強磁性体材質から成り、縦方向VDに長い直方体状に形成され、前記第1の磁石331及び前記第3の磁石333が配置された前記コイル部材200の横方向HDの一端、即ち図4に示すように前記第1の磁石331及び第3の磁石333の左側に配置され、前記支持板310に固定される。
即ち、前記第1の磁性体323は、一つの胴体から成り、縦方向VDの両端がそれぞれ前記第1の磁石331及び前記第3の磁石333と接する。
また、図2及び図7(a)に示すように、前記第1の磁性体323の外側には半円形状の磁力強化溝323aが形成される。
前記磁力強化溝323aは、前記第1の磁性体323の上端及び下端にそれぞれ形成され、前記第1の磁性体323の中心方向に凹状に形成される。
前記磁力強化溝323aは、前記第1の磁性体323が磁化されたとき、磁力の強度を強化させて前記振動体300の駆動力を向上させる効果がある。
【0036】
勿論、場合によっては、図7(b)に示すように前記第1の磁性体323は、前記磁力強化溝323a無しに直方体の一つの胴体から成り、図7(c)に示されたように縦方向VDに二つに分離形成され、それぞれ縦方向VDに離隔された状態で前記第1の磁石331及び前記第3の磁石333に接するように取付けられることができる。
【0037】
しかし、前記第1の磁性体323に前記磁力強化溝323aが形成された場合、磁力強化溝323aが形成されていない第1の磁性体323よりも前記振動体300の変位距離に応じた力が高い。
【0038】
従って、図7(b)に示された形状を持つタイプよりも図7(a)に示された前記磁力強化溝323aが形成されたタイプを使用するのがより好ましい実施形態と言うことができる。
【0039】
勿論、図7(c)に示されたタイプの力が図7(a)示されたタイプよりも高いが、図7(c)に示されたタイプは二つに分割されていることから組立性が劣り、単価が高くなるという問題があるので、図7(a)に示された前記磁力強化溝323aが形成されたタイプを使用するのがより好ましい実施形態と言うことができる。
【0040】
一方、前記第2の磁性体324は、前記第1の磁性体323と同様にSPCC材質から成り、縦方向VDに長い六面体形状であり、前記第2の磁石332及び前記第4の磁石334が配置された前記コイル部材200の横方向HDの他端、即ち図4に示すように前記第2の磁石332及び第4の磁石334の右側に配置され、前記支持板310に固定される。
また、前記第2の磁性体324の上端と下端にも、前記磁力強化溝324aが形成され、その効果及び機能は同一であるので詳細な説明は省略する。
上記の構成から成る前記振動体300は、図5に示された矢印方向のように、磁性によって4本のの閉ループ構造の磁力線を形成させる。
これらの磁力線の構造と後述する第1の弾性部材410及び前記第2の弾性部材420の構造により前記振動体300は、振動時に負剛性状態となる。
【0041】
つまり、前記コイル部材200に電源を印加した時、前記振動体300が左右移動する変位距離mmの一定区間では、前記振動体300に発生する磁力の強度Nと前記第1の弾性部材410及び前記第2の弾性部材420の弾性力の差が±1未満の安定した状態となる。
また、前記振動体300の磁界構造により前記振動体300には前記コイル部材200の中心に配置されようとする力が発生する。
【0042】
このように、前記振動体300が負剛性状態になると、前記振動体300の減衰値が増加し、これにより前記制御部の信号による前記振動体300の反応速度が速くなる効果が発生する。
【0043】
ここでは、従来技術の振動モータと本発明のハプティックアクチュエータの反応速度を測定した結果、従来の振動モータは約27.5msの反応速度を示すが、本発明の実施形態に係るハプティックアクチュエータは約5.5msの反応速度を示した。
また、従来の振動モータよりも本発明の実施形態に係るハプティックアクチュエータの加速度が大きく、反応周波数の範囲も広い。
【0044】
このように、本発明の実施形態に係る前記振動体300の磁界構造により、本発明の実施形態に係るハプティックアクチュエータの周波数帯域などの性能は、従来の振動モータよりも遥かに優れており、特に、反応速度が速くなる。
【0045】
また、ハプティックアクチュエータの反応速度が速くなると、ハプティックアクチュエータが適用される携帯端末で様々な入力信号パターンに応じて、それに対応する出力を迅速に生成及び配信し、これにより品質及び性能を向上させることができる。
【0046】
一方、前記第1の重り341は、図2及び図4に示すように直方体状に形成され、材質はタングステンから成り、前記第1の磁性体323の右側に配置され、前記支持板310に固定取付けられる。
前記第2の重り342は、前記第1の重り341と同一に形成され、前記第2の磁性体324の左側に配置され、前記支持板310に固定取付けられる。
【0047】
前記第1の重り341と前記第2の重り342は、前記振動体300が前記コイル部材200に印加される電源の周波数と同一な共振周波数を持つようにし、加速度に影響を与え、前記コイル部材200に電源が印加される時、前記振動体300に形成される磁力線と前記コイル部材200の周辺に形成される磁力線の相互作用によって左右方向に並進運動され、振動を発生させる。
前記第1の弾性部材410と前記第2の弾性部材420は、前記振動体300の横方向HDの両端と前記ケース100との間に取付けられる。
詳細には、前記第1の弾性部材410は縦方向VDに波形状の板バネで形成され、両端が前記支持板310の左側と前記蓋120とにそれぞれ固定される。
【0048】
前記第2の弾性部材420は、前記第1の弾性部材410と同様に縦方向VDに波形状の板バネであり、両端は前記支持板310の右側と前記蓋120とにそれぞれ固定される。
【0049】
前記第1の弾性部材410及び前記第2の弾性部材420は、前記振動体300を横方向HD、即ち左右方向に支持して前記振動体300の左右並進運動を容易にする。
【0050】
また、前記第1の弾性部材410及び前記第2の弾性部材420は、縦方向VDに波形状を持つ板バネから成ることによって、前記振動体300が重量により前記底板110に垂れることを防止する効果を奏する。
【0051】
一方、前記第3の弾性部材510及び前記第4の弾性部材520は、直方体状に形成され、前記コイル部材200の横方向VDの両側にそれぞれ取付けられ、弾性力を持つゴム材質から成る。
【0052】
前記第3の弾性部材510及び前記第4の弾性部材520は、前記振動体300が横方向VDに並進運動する時、前記振動体300との衝突によって反発力を発生させて前記振動体300の加速度を増加させる。
さらには、前記第3の弾性部材510及び前記第4の弾性部材520は、前記振動体300との衝突時に騒音の発生を低減する吸音材の役割も果たす。
【0053】
このように、前記第3の弾性部材510及び前記第4の弾性部材520が、前記コイル部材200の両側にそれぞれ取付けられることによって、前記振動体300の加速度を増加させ、これによりハプティックアクチュエータの反応速度はさらに増加され、騒音の発生を低減する効果がある。
【0054】
上記の構成から成る本発明の実施形態に係るハプティックアクチュエータは、前記制御部を介して前記コイル部材200に一定の周波数を持つ電源が印加されると、図6に示すように前記振動体300が左側又は右側に並進運動し、前記第1の重り341及び前記第2の重り342は励振され、振動が発生することになる。
【0055】
ここでは、前記振動体300には磁極配置によって形成された4本の閉ループ構造の磁力線が形成され、前記第1の弾性部材410及び前記第2の弾性部材420の相互関係により、前記振動体300は振動時に負剛性の状態になり、これによって前記振動体300の減衰値が増加し、前記制御部の信号に応じたハプティックアクチュエータの反応速度が速くなる効果がある。
【0056】
本発明はこれに限定されず、以下の請求の範囲の思想及び領域を外さない範囲内で当業者により様々な形態に変形実施することができ、このような変形は本発明の領域内にあるものと解釈しなければならない。
【符号の説明】
【0057】
100 ケース
200 コイル部材
300 振動体
310 支持板
323 第1の磁性体
324 第2の磁性体
331 第1の磁石
332 第2の磁石
333 第3の磁石
334 第4の磁石
341 第1の重り
342 第2の重り
410 第1の弾性部材
420 第2の弾性部材
510 第3の弾性部材
520 第4の弾性部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7