【課題を解決するための手段】
【0009】
[1]本発明の部材貼り付け装置は、被貼り付け部材に複数の貼り付け部材を貼り付ける部材貼り付け装置であって、基台と、前記基台の中央部に配設され、前記基台の上面に垂直な所定の回転軸を中心に複数の作業領域が所定角度ピッチで周方向に沿って配置され、前記回転軸を中心に間欠的に回転する回転テーブルと、前記回転テーブルの第1停止位置において、前記被貼り付け部材が格納されているパレット及び複数の前記貼り付け部材が格納されているトレイを前記回転テーブルの前記作業領域における所定位置に載置するための搬入ステージと、前記回転テーブルの第2停止位置において、前記複数の貼り付け部材を前記トレイから前記被貼り付け部材の所定位置に順次移送して仮圧着する移送・仮圧着装置と、前記回転テーブルの第3停止位置において、前記被貼り付け部材に仮圧着されている前記複数の前記貼り付け部材を前記被貼り付け部材に対して一括して本圧着する真空圧着装置とを備えることを特徴とする。
【0010】
本発明の部材貼り付け装置によれば、回転軸を中心に間欠的に回転する回転テーブルと、回転テーブルの第1停止位置において、被貼り付け部材が格納されているパレット及び複数の貼り付け部材が格納されているトレイを回転テーブルの作業領域における所定位置に載置するための搬入ステージと、回転テーブルの第2停止位置において、複数の貼り付け部材をトレイから被貼り付け部材の所定位置に順次移送して仮圧着する移送・仮圧着装置と、回転テーブルの第3停止位置において、被貼り付け部材に仮圧着圧着されている複数の貼り付け部材を被貼り付け部材に対して一括して本圧着する真空圧着装置とを備えることから、ある工程の実施位置から次の工程の実施位置への基板の受け渡しを回転テーブルの間欠的な回転により行うことができ、特許文献1に記載の実装装置の場合のように、ある工程の実施位置から次の工程の実施位置への基板の受け渡しを受け渡し手段により行う必要がなくなる。また、回転テーブルの作業領域における所定位置にパレット及びトレイをいったん載置した後は、回転テーブルの作業領域と、パレット及びトレイの位置関係は回転テーブルの回転中常に維持される。このため、本発明の部材貼り付け装置は、基板の搬送や位置決めに要する時間が短く、生産性の高い部材貼り付け装置となる。
【0011】
また、本発明の部材貼り付け装置によれば、比較的長時間を要する本圧着の工程中に、複数の貼り付け部材をトレイから被貼り付け部材の所定位置に順次移送して仮圧着することができるため、各工程で無駄な待ち時間がなく、作業も中断せずに、全体として、効率良く、貼り付け作業を行うことができる。
【0012】
なお、本発明において、被貼り付け部材には、フレキシブル基板、リジッド基板、ガラス基板などの基板、パネルその他の部材が含まれる。本発明において、貼り付け部材には、補強板、放熱板などの金属製の部材、保護フィルム、カバーレーフィルムなどの樹脂製の部材、半導体チップなどの電子部品その他の部材が含まれる。被貼り付け部材に貼り付け部材を貼り付けるための接着剤は、被貼り付け部材の貼り付け面に設けられていてもよいし、貼り付け部材の貼り付け面に設けられていてもよい。
【0013】
また、本発明において、「所定回転ピッチ」とは、回転テーブルがn回間欠的に回転すると回転テーブルが初期回転位置に戻るような条件を満たす回転ピッチであり、例えば、「60°」、「72°」、「90°」又は「120°」である。また、「間欠的に回転」とは、単一の所定回転ピッチ(例えば「120°」)で順方向に間欠的に回転する場合のみならず、2つの回転ピッチ(例えば、「120°」及び「−240°」)で順方向及び逆方向に間欠的に回転する場合(例えば「120°」→「120°」→「−240°」)も含む(後述する
図15及び
図16参照。)。
【0014】
[2]本発明の部材貼り付け装置においては、前記移送・仮圧着装置は、前記基台の前記上面に平行なx軸及びy軸に沿って移動可能、かつ、前記x軸及び前記y軸に垂直
なz軸の回りに回転可能、かつ、前記z軸に沿って昇降可能な吸着ノズルにより前記貼り付け部材の移送及び仮圧着をすることが好ましい。
【0015】
本態様の部材貼り付け装置によれば、被貼り付け部材の所望の位置に貼り付け部材を正しい姿勢で貼り付けることができる。
【0016】
[3]本発明の部材貼り付け装置においては、前記移送・仮圧着装置は、前記基台の前記上面に平行なx軸及びy軸で規定される平面内の所定の位置に移動可能な多関節アームの先端部に吸着ノズルが取り付けられ、当該吸着ノズルが、前記x軸及び前記y軸に垂直
なz軸の回りに回転可能、かつ、前記z軸に沿って昇降可能に構成された多関節アームロボットの前記吸着ノズルにより前記貼り付け部材の移送及び仮圧着をすることが好ましい。
【0017】
本態様の部材貼り付け装置によっても、被貼り付け部材の所望の位置に貼り付け部材を正しい姿勢で貼り付けることができる。
【0018】
[4]本発明の部材貼り付け装置においては、前記吸着ノズルには、吸着した前記貼り付け部材を加熱するヒータが配設されていることが好ましい。
【0019】
本態様の部材貼り付け装置によれば、被貼り付け部材に貼り付け部材を仮圧着する際に貼り付け部材を高い温度にすることができ、仮圧着を確実に行うことができるようになる。
【0020】
[5]本発明の部材貼り付け装置においては、前記移送・仮圧着装置は、各前記貼り付け部材を前記被貼り付け部材に対して所定の第1押圧力で押圧することにより前記複数の貼り付け部材を前記被貼り付け部材に仮圧着し、前記真空圧着装置は、前記被貼り付け部材に仮圧着された前記複数の貼り付け部材を前記第1押圧力よりも高い第2押圧力で一括して押圧することにより、前記複数の貼り付け部材を前記被貼り付け部材に本圧着することが好ましい。
【0021】
ところで、被貼り付け部材に貼り付け部材を本圧着により確実に貼り付けるためにはある程度の時間がかかる場合(例えば3分)がある。本態様の部材貼り付け装置によれば、被貼り付け部材に対して各貼り付け部材を1個ずつ順次貼り付ける間の時間を利用することにより、また、第1押圧力よりも高い第2押圧力を用いることにより、被貼り付け部材に対して複数の貼り付け部材を確実に本圧着することができるようになる。
【0022】
[6]本発明の部材貼り付け装置においては、前記真空圧着装置は、150℃〜250℃の温度雰囲気、かつ、0.01〜30kPaの圧力雰囲気下で、前記複数の貼り付け部材を前記被貼り付け部材に本圧着することが好ましい。
【0023】
本態様の部材貼り付け装置によれば、高温・高圧の雰囲気下で本圧着できるため、複数の貼り付け部材を被貼り付け部材に確実に本圧着できる。
【0024】
[7]本発明の部材貼り付け装置においては、前記真空圧着装置は、前記複数の貼り付け部材の平面形状に対応する平面形状を有する下向き突起部を有する押圧部材で前記複数の貼り付け部材を押圧することにより、前記複数の貼り付け部材を前記被貼り付け部材に本圧着することが好ましい。
【0025】
本態様の部材貼り付け装置によれば、被貼り付け部材に対して複数の貼り付け部材を貼り付ける部位に確実に圧力がかかるため、複数の貼り付け部材を被貼り付け部材に確実に本圧着できる。
【0026】
[8]本発明の部材貼り付け装置においては、前記回転テーブルの前記作業領域及び前記真空圧着装置の前記押圧部材には、前記被貼り付け部材及び前記貼り付け部材を加熱するヒータが埋設されていることが好ましい。
【0027】
本態様の部材貼り付け装置によれば、被貼り付け部材に貼り付け部材を本圧着する際に貼り付け部材及び被貼り付け部材を高い温度にすることができ、本圧着を確実に行うことができるようになる。
【0028】
[9]本発明の部材貼り付け装置においては、前記真空圧着装置は、上部チャンバの底面を、前記パレットを囲む位置において前記回転テーブルの上面に密着可能に構成されていることが好ましい。
【0029】
本態様の部材貼り付け装置によれば、回転テーブルの作業領域が第3停止位置で停止したときに、回転テーブルと上部チャンバとで真空チャンバが構成され、当該真空チャンバ中で本圧着工程を実施できる。
【0030】
[10]本発明の部材貼り付け装置においては、前記真空圧着装置は、上部チャンバの底面を、前記パレットの外周部において前記パレットの上面に密着可能に構成されていることが好ましい。
【0031】
本態様の部材貼り付け装置によれば、回転テーブルの作業領域が第3停止位置で停止したときに、パレットと上部チャンバとで真空チャンバが構成され、当該真空チャンバ中で本圧着工程を実施できる。
【0032】
[11]本発明の部材貼り付け装置においては、前記被貼り付け部材の載置位置及び姿勢を計測するための第1カメラ、及び、
前記吸着ノズルが吸着した各前記貼り付け部材の
前記吸着ノズルに対する吸着位置及び姿勢を計測するための第2カメラが配設されていることが好ましい。
【0033】
本態様の部材貼り付け装置によれば、第1カメラにより被貼り付け部材の載置位置及び姿勢を計測するとともに、第2カメラにより貼り付け部材の吸着位置及び姿勢を計測した後、被貼り付け部材の正しい位置に貼り付け部材を正しい姿勢で仮圧着できる。
【0034】
[12]本発明の部材貼り付け装置においては、前記回転テーブルの各前記作業領域には、前記パレット及び前記トレイを固定するための複数のピン又は孔が配設され、前記パレット及び前記トレイには、前記複数のピン又は孔に嵌合可能な複数の孔又はピンが配設されていることが好ましい。
【0035】
本態様の部材貼り付け装置によれば、回転テーブルの作業領域にパレット及びトレイをそれぞれ正しい位置に、かつ、簡便に載置することができる。この場合、パレットをトレイよりも回転テーブルの外周側に載置することが好ましい。爾後の移送・仮圧着の工程と本圧着の工程を容易に実施できるようになるからである。
【0036】
[13]本発明の部材貼り付け装置においては、前記回転テーブルには、前記パレットを固定するためのパレット固定機構、及び、前記トレイを固定するためのトレイ固定機構が配設され、前記パレット固定機構は、前記トレイ固定機構よりも前記回転テーブルの外周側に配設されていることが好ましい。
【0037】
本態様の部材貼り付け装置によっても、回転テーブルの作業領域にパレット及びトレイをそれぞれ正しい位置に、かつ、簡便に載置することができる。また、パレットをトレイよりも回転テーブルの外周側に載置できるようになり、爾後の移送・仮圧着の工程と本圧着の工程を容易に実施できるようになる。
【0038】
[14]本発明の部材貼り付け装置においては、 前記所定角度ピッチは120°であり、前記搬入ステージは、前記複数の貼り付け部材が本圧着された前記被貼り付け部材が格納された前記パレット、及び、前記複数の貼り付け部材が取り出された前記トレイを搬出する搬出ステージを兼ね、前記回転テーブルは、前記所定の回転軸を中心に、「順方向に120°の回転ピッチで間欠的に回転する」又は「120°で2回順方向に間欠的に回転した後240°で1回逆方向に回転して初期位置に戻るという動作を繰り返す」ことが好ましい。
【0039】
本態様の部材貼り付け装置によれば、パレット及びトレイを搬出及び搬入する動作、貼り付け部材を被貼り付け部材に仮圧着する動作、及び、貼り付け部材を被貼り付け部材に本圧着する動作を3つの作業領域を用いて実施することができるようになる。
【0040】
[15]本発明の部材貼り付け装置においては、前記回転テーブルの第1停止位置における、前記複数の貼り付け部材が本圧着された前記被貼り付け部材が格納された前記パレット、及び、前記複数の貼り付け部材が取り出された前記トレイを前記回転テーブルの前記作業領域から搬出するとともに、前記被貼り付け部材が格納されているパレット及び複数の前記貼り付け部材が格納されているトレイを前記回転テーブルの前記作業領域における前記所定位置に載置する動作と、前記回転テーブルの第2停止位置における、前記複数の貼り付け部材を前記トレイから前記被貼り付け部材の前記所定位置に順次移送及び仮圧着する動作と、前記回転テーブルの第3停止位置における、前記被貼り付け部材に前記複数の前記貼り付け部材を一括して本圧着する動作を、前記回転テーブルの一の停止期間中に実施することが好ましい。
【0041】
本態様の部材貼り付け装置によれば、パレット及びトレイを搬出及び搬入する動作、貼り付け部材を被貼り付け部材に仮圧着する動作、及び、貼り付け部材を被貼り付け部材に本圧着する動作を3つの作業領域を用いて同時に(同一タクトタイム内に)実施することができるようになる。
【0042】
[16]本発明の部材貼り付け装置においては、 前記所定角度ピッチは90°であり、前記回転テーブルの第4停止位置において、前記複数の貼り付け部材が本圧着された前記被貼り付け部材が格納された前記パレット、及び、前記複数の貼り付け部材が取り出された前記トレイを、前記回転テーブルの前記作業領域から搬出する搬出ステージをさらに備え、前記回転テーブルは、前記所定の回転軸を中心に、「順方向に90°の回転ピッチで間欠的に回転する」又は「90°で3回順方向に間欠的に回転した後270°で1回逆方向に回転して初期位置に戻るという動作を繰り返す」ことが好ましい。
【0043】
本態様の部材貼り付け装置によれば、パレット及びトレイを搬入する動作、貼り付け部材を被貼り付け部材に仮圧着する動作、貼り付け部材を被貼り付け部材に本圧着する動作、及び、パレット及びトレイを搬出する動作を4つの作業領域を用いて実施することができるようになる。
【0044】
[17]本発明の部材貼り付け装置においては、前記回転テーブルの第1停止位置における、前記被貼り付け部材が格納されているパレット及び複数の前記貼り付け部材が格納されているトレイを前記回転テーブルの前記作業領域における前記所定位置に載置する動作と、前記回転テーブルの第2停止位置における、前記複数の貼り付け部材を前記トレイから前記被貼り付け部材の前記所定位置に順次移送及び仮圧着する動作と、前記回転テーブルの第3停止位置における、前記被貼り付け部材に前記複数の前記貼り付け部材を一括して本圧着する動作と、前記回転テーブルの第4停止位置における、前記複数の貼り付け部材が本圧着された前記被貼り付け部材が格納された前記パレット、及び、前記複数の貼り付け部材が取り出された前記トレイを、前記回転テーブルの前記作業領域における前記所定位置から搬出する動作を、前記回転テーブルの一の停止期間中に実施することが好ましい。
【0045】
本態様の部材貼り付け装置によれば、パレット及びトレイを搬入する動作、貼り付け部材を被貼り付け部材に仮圧着する動作、貼り付け部材を被貼り付け部材に本圧着する動作、及び、パレット及びトレイを搬出する動作を4つの作業領域を用いて同時に(同一タクトタイム内に)実施することができるようになる。
【0046】
[18]本発明の部材貼り付け装置においては、前記被貼り付け部材が格納されているパレット及び複数の前記貼り付け部材が格納されているトレイを前記回転テーブルの前記作業領域における前記所定位置に載置する搬入装置と、前記複数の貼り付け部材が本圧着された前記被貼り付け部材が格納された前記パレット及び前記複数の貼り付け部材が取り出された前記トレイを前記回転テーブルの前記作業領域から搬出する搬出装置をさらに備えることが好ましい。
【0047】
本態様の部材貼り付け装置によれば、、パレット及びトレイを搬入する動作、貼り付け部材を被貼り付け部材に仮圧着する動作、貼り付け部材を被貼り付け部材に本圧着する動作、及び、パレット及びトレイを搬出する動作を、人手を介さずに、全自動で実施することができるようになる。