特許第6184626号(P6184626)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6184626-トレーニングシューズ 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6184626
(24)【登録日】2017年8月4日
(45)【発行日】2017年8月23日
(54)【発明の名称】トレーニングシューズ
(51)【国際特許分類】
   A43B 13/14 20060101AFI20170814BHJP
   A63B 22/16 20060101ALI20170814BHJP
【FI】
   A43B13/14 A
   A63B22/16
【請求項の数】1
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2017-26809(P2017-26809)
(22)【出願日】2017年2月16日
【審査請求日】2017年2月16日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】509292010
【氏名又は名称】軽部 央
(74)【代理人】
【識別番号】110001885
【氏名又は名称】特許業務法人IPRコンサルタント
(72)【発明者】
【氏名】軽部 央
【審査官】 大瀬 円
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭60−172503(JP,U)
【文献】 実開昭52−118059(JP,U)
【文献】 国際公開第2011/068782(WO,A1)
【文献】 独国特許出願公開第102013217575(DE,A1)
【文献】 国際公開第2006/107283(WO,A1)
【文献】 米国特許第7500324(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A43B 13/14
A63B 22/16、23/04
A61H 1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
着用者の足の甲を覆うアッパーと、
前記アッパーに接続され、前記着用者の足裏を支持するソールと、を備え、
前記ソールは、接地面側に、球体を脱着可能かつ揺動可能に受ける窪みを有し、
前記窪みの曲率半径は、前記球体の半径より大きく、
前記窪みは、前記ソールのつま先部と踵部とを結ぶ線分に沿って複数配置されていること、
を特徴とするトレーニングシューズ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、身体のバランスを強化するためのトレーニングシューズに関する。
【背景技術】
【0002】
ソールに全長の中心よりも後方部位から後端までの後方下部を切除した踵切除部を形成し、踵切除部より前方かつ全長中心より若干前方に靴重心を設定させるようにしたトレーニングシューズが知られている(例えば特許文献1)。かかるトレーニングシューズによれば、歩行や走行、或いは通常のスポーツ競技をするだけで、下腿三頭筋の筋力トレーニングやバランストレーニングなどのトレーニングを行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平7−136001号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述したトレーニングシューズでは、着用者の前後方向のバランスを強化することはできても、左右方向のバランスを鍛えることには適さない。また、トレーニング以外の場面における通常の歩行には適さない。
【0005】
そこで、本発明は、着用者の左右方向のバランスを強化することができるとともに、トレーニング以外の時に通常歩行に適したトレーニングシューズを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決すべく、本発明は、着用者の足の甲を覆うアッパーと、前記アッパーに接続され、前記着用者の足裏を支持するソールと、を備え、前記ソールは、接地面側に、球体を受ける窪みを有すること、を特徴とするトレーニングシューズを提供する。
【0007】
上記のような構成を有する本発明のトレーニングシューズでは、前記窪みが、半球状を呈していること、が好ましい。
【0008】
また、上記のような構成を有する本発明のトレーニングシューズでは、前記窪みの曲率半径が、前記球体の半径と略同一か又は大きいこと、が好ましい。
【0009】
また、上記のような構成を有する本発明のトレーニングシューズでは、前記窪みが、前記ソールのつま先部と踵部とを結ぶ線分に沿って複数配置されていること、が好ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、着用者の左右方向のバランスを強化することができるとともに、トレーニング以外の時に通常歩行に適したトレーニングシューズを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本実施形態に係るトレーニングシューズを概略的に示す断面図である。
図2図1のトレーニングシューズの底面図である。
図3図1のトレーニングシューズからボールを外した状態を示す断面図である。
図4図3のトレーニングシューズの底面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の代表的な実施形態に係るトレーニングシューズを、図面を参照しつつ詳細に説明する。ただし、本発明はこれら図面に限定されるものではない。
図面は、本発明を概念的に説明するためのものであるから、理解容易のために、必要に応じて寸法、比又は数を誇張又は簡略化して表している場合もある。また、ここでは、説明の便宜上、図に片足だけを描いている。
【0013】
トレーニングシューズ1は、着用者の身体のバランス感覚や体幹を鍛えるためのトレーニングに使用される履物であり、アッパー2及びソール3を含む。トレーニングシューズ1は、図示しないインソール(中敷き)を有してもよい。
【0014】
アッパー2は、着用者の足6の甲を覆う部材であり、例えば繊維(生地)、皮革のような素材で作製される。
アッパー2は、足6がトレーニングシューズ1から脱げないように、足6の甲及び踵に密着する。アッパー2は、足6への密着性を高めるべく、ゴムなどの伸縮性の素材を含んでもよいし、例えば靴紐のような締結具を有してもよい。
【0015】
ソール3は、足6の裏を支持する部材であり、アッパー2の下縁に接続されている。
ソール3は、例えば樹脂で成形される。ソール3は、1種類の樹脂で作製されてもよいし、複数種類の樹脂を積層することで作製されてもよい。
【0016】
ソール3は、接地面側に、例えばボール5のような球体を受けるための窪み4を有する。ただし、この窪み4は、ボール5をソール3に脱着可能な態様で嵌まり込むように保持(固定)する。また、ボール5をソール3に脱着可能でかつ搖動可能な態様で受けるものであってもよい。ここで、ボール5としては、例えばゴルフボール、テニスボール、野球ボールのように、着用者が上から乗ったときに壊れないものがよい。
【0017】
窪み4は、ボール5を受けることのできる形状であればどのような形状であってもよく、例えば半球状又は円筒状を呈している。ただし、窪み4は、ボール5が直接足6に接触することを防止するため、ソール3を貫通しないように形成されている。一方で、窪み4は、トレーニング中にボール5が不意に外れない程度の深さであることが望ましい。トレーニング中にボール5が容易に窪み4から外れると、着用者が捻挫などの怪我をすることがあるためである。
【0018】
本実施形態では、窪み4は、ソール3のつま先部と踵部とを結ぶ線Lに沿って配置された複数の凹部41〜43である。ここでは、凹部41〜43は、足6の指の付け根、土踏まず、踵に対応する位置に形成されており、足の裏の前部分、中心部分及び後部分のうちの少なくともいずれかにおいてボール5を保持させ、バランス感覚や体幹を鍛えることができる。もちろん、凹部の個数及び位置はこれに限られない。窪み4でボール5をソール3に脱着可能でかつ搖動可能な態様で受ける場合は、凹部41〜43の入口縁部に環状部材を設けてもよい。
【0019】
凹部41〜43のそれぞれは、例えばボール51〜53の半径r(図1参照)より略同一か又は若干大きい曲率半径R(図3参照)を有する。これにより、ボール5は、着用者の動作に応じて窪み4において適度に保持されるか又は揺動することができ、いずれの態様でも着用者はボール5に乗るようにしてバランス感覚が鍛えられる。
【0020】
このような構成を有するトレーニングシューズ1の使用方法を説明する。
着用者は、トレーニングを開始する際、図1及び図2に示すように、地面7に置いたボール5(51〜53)をソール3の窪み4(凹部41〜43)で受けた状態で、着用したトレーニングシューズ1をボール5の上に乗せる。この状態では、着用者は、ボール5を介して地面7と接触するところ、ボール5が窪み4において保持されるか又は揺動することから、特に足6の内側及び外側(着用者の左右)に対するバランスを取り辛くなる。このとき、着用者がバランスを保持するように努めることで、着用者のバランス感覚や体幹が鍛えられる。
【0021】
具体的には、3個のボール51〜53をソール3の凹部41〜43で受けた状態では、着用者は足裏の全体で足6の内外側のバランスを取ろうとするので、足裏全体でのバランス感覚が鍛えられる。
【0022】
また、2個のボール51,52をソール3の凹部41,42で受けた状態では、着用者は足裏の前側(つまり踵を浮かせた状態)で足6の内外側のバランスを取ろうとするので、足6の前側でのバランス感覚が鍛えられる。
【0023】
1個のボール52をソール3の凹部42で受けた状態では、着用者は足裏の中央付近(土踏まず)で足6の内外側のバランスを取ろうとする。この場合は、併せて着用者の前後方向のバランスを取る必要がある。したがって、着用者の前後及び左右でのバランス感覚が総合的に鍛えられる。
【0024】
このように、使用するボール5の個数及びボール5をあてがう窪み4の位置に応じて、別個のトレーニングを行うことができる。
【0025】
地面7を歩行するためには、着用者は、図3及び図4に示すように、ボール5をトレーニングシューズ1から外した状態で、地面7に立てばよい。上述したように、ボール5はソール3の窪み4に取り付けられているわけではないから、ボール5をトレーニングシューズ1から外すことは容易である。よって、トレーニングシューズ1を履きかえることなく、通常の歩行の場面とトレーニングの場面とを直ちに切り替えることができる。
【0026】
このように、本実施形態に係るトレーニングシューズ1は、着用者の左右方向のバランスを強化することができるとともに、トレーニング以外の場面における通常の歩行にも適している。
【0027】
また、トレーニングシューズ1をボール5の上に乗せるだけで簡単にトレーニングを開始することができる。トレーニングの終了後には、トレーニングシューズ1からボール5を外すことで、そのまま履物として使用することができる。
【0028】
以上、本発明の代表的な実施形態について説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、種々の設計変更が可能であり、それらも本発明に含まれる。
【符号の説明】
【0029】
1・・・トレーニングシューズ、
2・・・アッパー、
3・・・ソール、
4・・・窪み、
5・・・ボール、
6・・・足。
【要約】
【課題】着用者の左右方向のバランスを強化することができるとともに、トレーニング以外の時に通常歩行に適したトレーニングシューズの提供。
【解決手段】着用者の足の甲を覆うアッパーと、前記アッパーに接続され、前記着用者の足裏を支持するソールと、を備え、前記ソールは、接地面側に、球体を受ける窪みを有すること、を特徴とするトレーニングシューズ。前記窪みは、半球状を呈していてもよい。また、前記窪みの曲率半径は、前記球体の半径と略同一でも大きくてもよい。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4