特許第6184635号(P6184635)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6184635
(24)【登録日】2017年8月4日
(45)【発行日】2017年8月23日
(54)【発明の名称】歯磨き時用握力トレーニング器具
(51)【国際特許分類】
   A63B 23/16 20060101AFI20170814BHJP
   A63B 21/02 20060101ALI20170814BHJP
   A46B 17/02 20060101ALI20170814BHJP
【FI】
   A63B23/16
   A63B21/02
   A46B17/02
【請求項の数】3
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2017-92685(P2017-92685)
(22)【出願日】2017年5月8日
【審査請求日】2017年5月8日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】509292010
【氏名又は名称】軽部 央
(74)【代理人】
【識別番号】110001885
【氏名又は名称】特許業務法人IPRコンサルタント
(72)【発明者】
【氏名】軽部 央
【審査官】 砂川 充
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭49−140262(JP,U)
【文献】 実開昭57−99435(JP,U)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0012358(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63B 21/02
A63B 23/16
A46B 1/00−17/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一把持部と、
弾性部材と、
前記弾性部材を介して前記第一把持部に対向して一定距離をおいて配置されている第二把持部と、
挿入口を有する筐体と、で構成され、
前記第一把持部と前記第二把持部との距離を、前記弾性部材の弾性力に抗って接近させることにより、前記挿入口を縮径し、前記挿入口内で歯ブラシを保持できること、
を特徴とする歯磨き時用握力トレーニング器具。
【請求項2】
前記第二把持部に接続された押圧部を有し、
前記第一把持部と前記第二把持部との距離を、前記弾性部材の弾性力に抗って近づけることにより、前記挿入口内において前記押圧部と前記挿入口の側面との間で歯ブラシを保持できること、
を特徴とする請求項1に記載の歯磨き時用握力トレーニング器具。
【請求項3】
前記筐体から前記第一把持部と第二把持部とが着脱可能であること、
を特徴とする請求項1又は2に記載の歯磨き時用握力トレーニング器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、歯ブラシを固定しつつ効果的に握力を鍛錬可能な握力トレーニング器具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、握力の鍛錬には、略ハの字状のスプリングの端部に把持部を設け、当該把持部を握ることにより、母指内転筋や深指屈筋に負荷を掛けてトレーニングを行うことができる器具が広く知られている。当該トレーニング器具は、非常に単純な構造から構成されており、器具の製品としての販売単価も低いため、非常に多くの人間に使用されていると言える。
【0003】
また、特許文献1(特開2000−140156号公報)には、略棒状で、両端部を把持しつつ双方を異なる方向に捻ることにより握力を鍛錬するトレーニング器具が開示されている。当該トレーニング器具は、両手の握力を同時に鍛錬することができるものであり、効果的なトレーニングを達成するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−140156号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記のような従来のトレーニング器具では、握力鍛錬のみに特化した器具であり、使用者が握力の鍛錬のみを目的とした時間を確保する必要があった。また、筋力の鍛錬は身体に負荷を掛ける行動であり、使用者は当該鍛錬を行う際に精神的な負荷を克服する必要もあった。
【0006】
ここで、握力トレーニング器具の構造に着目すると、握力に対する反力のみを備えたものであって、使用者の精神的負荷に対する備えが成されていないことは明らかであって、未だ改善の余地があった。
【0007】
そこで、本発明は、上記問題に鑑みて創作されたものであり、歯磨きを行いつつ効率的な握力の鍛錬が可能で、更に、歯磨きという主目的を達成させることを前提として、当該握力鍛錬に対する使用者の精神的負荷を抑制することができる握力トレーニング器具の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決すべく、本発明は、
第一把持部と、
弾性部材と、
前記弾性部材を介して前記第一把持部に対向して一定距離をおいて配置されている第二把持部と、
挿入口を有する筐体と、で構成され、
前記第一把持部と前記第二把持部との距離を、前記弾性部材の弾性力に抗って接近させることにより、前記挿入口内において前記第一把持部と前記第二把持部との間に歯ブラシを保持できること、
を特徴とする歯磨き時用握力トレーニング器具を提供する。
【0009】
このような構成を有する本発明の歯磨き時用握力トレーニング器具は、挿入口に歯ブラシを挿入し、第一把持部と第二把持部に握力を加えて双方の離間距離を縮めることで当該歯ブラシを固定することができる。使用者は、当該状態を維持しつつ固定した歯ブラシを用いて歯を磨くことにより、歯ブラシの固定状態を維持するため、第一把持部と第二把持部とに握力を加えつつ離間距離を一定以内に保つ必要がある。
【0010】
また、歯を磨くことで歯ブラシと歯との間に摩擦力が発生し、当該歯ブラシの固定維持にはより大きな握力を必要とするため、一般的な握力を鍛錬するトレーニング器具と比してより効果的にトレーニングを行うことができる。更に、使用者は、無意識に歯を磨くことに集中するため、握力母指内転筋や深指屈筋に負荷が掛っている状態を感じにくく、トレーニングに対する精神的抵抗を抑制することができる。
【0011】
上記の本発明の歯磨き時用握力トレーニング器具は、
前記第二把持部に接続された押圧部を有し、
前記第一把持部と前記第二把持部と距離を、前記弾性部材の弾性力に抗って近づけることにより、前記挿入口内において前記押圧部と前記第一把持部との間に歯ブラシを保持できることが好ましい。
【0012】
このような構成を有する本発明の歯磨き時用握力トレーニング器具は、より確実に握力を鍛えながら歯ブラシを保持して歯磨きができる。
【0013】
また、上記の本発明の歯磨き時用握力トレーニング器具においては、
前記筐体が着脱可能であることが望ましい。
【0014】
このような構成を有する本発明の歯磨き時用握力トレーニング器具は、使用者の任意で筐体を取外すことが可能で、歯磨きによって汚れた筐体を水等で容易に洗浄することができる。
【0015】
また、上記の本発明の歯磨き時用握力トレーニング器具においては、前記スプリングが、ステンレス鋼線、チタン合金鋼線又はメッキ鋼線形成されることが望ましい。
【0016】
このような構成を有する本発明の歯磨き時用握力トレーニング器具は、スプリングが耐食性を有し、歯磨き時に水や種々の歯磨き剤に接触しても腐食を抑制することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明により、歯磨きを行いつつ効率的な握力の鍛錬が可能で、更に当該握力鍛錬に対する使用者の精神的負荷を抑制することができる歯磨き時用握力トレーニング器具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の一実施形態に係る歯磨き時用握力トレーニング器具の概要を示す模式図である。
図2図1に示す実施形態の握力トレーニング器具1の構造を示す、部分的に断面視した側面図である。
図3】第一把持部3の構造を示す図であって、図3(a)は、第一把持部3の側面図であり、図3(b)は、第一把持部3の断面図であり、図3(c)は、第一把持部3を部分的に断面視した上面図である。
図4】第二把持部5の構造を示す図であって、図4(a)は、第二把持部5の側面図であり、図4(b)は、第二把持部5の断面図であり、図4(c)は、第二把持部5を部分的に断面視した上面図である。
図5】筐体7の構造を示す図であって、図5(a)は、筐体7の側面図であり、図5(b)は、筐体7の断面図であり、図5(c)は、筐体7の一部を断面視した上面図である。
図6】本実施形態における握力トレーニング器具1の組立方法を示す模式図である。
図7】本実施形態における握力トレーニング器具1の使用方法を示す図であって、図7(a)は、本実施形態の握力トレーニング器具1に歯ブラシ51を挿入する状態を示す模式図であり、図7(b)は、第一把持部3及び第二把持部5を把持して歯ブラシ51を固定する状態を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明に係る歯磨き時用握力トレーニング器具の一実施形態を、図1図7を参照しながら詳細に説明する。但し、本発明は図示されるものに限られず、また、各図面は本発明を概念的に説明するためのものであるから、理解容易のために、必要に応じて寸法、比又は数を誇張又は簡略化して表している場合もある。更に、以下の説明では、同一又は相当部分には同一符号を付し、重複する説明は省略することもある。
【0020】
1.歯磨き時用握力トレーニング器具の概要
図1を用いて本実施形態の歯磨き時用握力トレーニング器具(以下、単に「握力トレーニング器具」ともいう。)1の概要について説明する。図1は、本実施形態に係る握力トレーニング器具1の概要を示す模式図である。
【0021】
本実施形態の握力トレーニング器具1は、人体の掌内における握力を鍛錬するためのトレーニング器具であって、図1に示すように、使用者が本握力トレーニング器具1に備わったスプリング等の弾性部材の反力に対抗する力を加えて把持することにより、母指内転筋や深指屈筋に負荷を掛けることができるものである。
【0022】
そして、本握力トレーニング器具1は、使用者の加力状態によって直径(乃至は幅)が変化する凹状で有底の挿入口11を備えており、当該挿入口11に一般的な歯ブラシ51を挿入することで、加力に応じて当該歯ブラシ51を縮径して固定し、握力の鍛錬を行いつつ歯磨きを並行して実行することができるものである。
【0023】
<握力トレーニング器具1の構造>
次に、図2を用いて本実施形態の握力トレーニング器具1の構造について詳細に説明する。図2は、本実施形態の握力トレーニング器具1の構造を示す、部分的に断面視した側面図である。図2に示すとおり、本握力トレーニング器具1は、概ね使用者が把持する第一把持部3と、第二把持部5と、該第一把持部3及び第二把持部5を接続し、歯ブラシ51を挿入するための筐体7と、該筐体7と第二把持部5との間で弾性力(反力)を発生させる複数の弾性部材(スプリング)9と、から構成されている。これらの部品は全て使用者が任意に組立分解可能な構成であることが好ましい。
【0024】
<第一把持部3>
続いて、図3(a)(b)(c)を用いて第一把持部3の構造について詳細に説明する。図3(a)(b)(c)は、第一把持部3の構造を示す図であって、図3(a)は、第一把持部3の側面図であり、図3(b)は、第一把持部3の断面図であり、図3(c)は、第一把持部3を部分的に断面視した上面図である。
【0025】
図3(a)(b)(c)に示すとおり、第一把持部3は、人間の掌内、特に母指球近傍に対して容易にフィット可能な表面形状を備えており、後述する筐体7と嵌合する部品である。この第一把持部3は、種々の樹脂材料、より好ましくは耐薬品性を備えた樹脂で形成された部品であり、母指球近傍に対して当接容易な形状を備えている。本実施形態では、上方に首部を設けることにより、母指を巻き付けやすく、より確実な把持を行えるよう形状に創意工夫が成されている。
【0026】
また、第一把持部3において、筐体7と接続を行う面には、当該筐体7の形状に合致した第一接続穴15を備えており、筐体7の接続部17を当該第一接続穴15に挿入嵌合することにより、双方を接続することができる。本実施形態では、第一接続穴15を略矩形の凹部で形成しているが、必ずしもこれに限定されるものではなく、筐体7の形状に応じて適宜決定することが望ましい。
【0027】
<第二把持部5>
次に、図4(a)(b)(c)を用いて、第二把持部5の構造について詳細に説明する。図4(a)(b)(c)は、第二把持部5の構造を示す図であって、図4(a)は、第二把持部5の側面図であり、図4(b)は、第二把持部5の断面図であり、図4(c)は、第二把持部5を部分的に断面視した上面図である。
【0028】
図4(a)(b)(c)に示すとおり、第二把持部5は、人間の掌内、特に示指、中指、環指、及び小指近傍に対して容易にフィット可能な表面形状を備えており、後述する筐体7が備える可動部21と嵌合する部品である。
【0029】
第二把持部5は、第一把持部3と同様の材料を用いて形成された部品であって、示指、中指、環指、及び小指に対して当接容易な形状を備えている。本実施形態では、単純な曲面により表面形状を形成しているが、例えばより各指にフィットさせるため、凹凸を備えた形状としてもよい。
【0030】
また、第二把持部5において、筐体7と接続を行う面には、当該筐体7が具備する可動部21の形状および数に合致した凹状で有底の第二接続穴19を備えており、筐体7の可動部21を当該第二接続穴19に挿入嵌合することにより、双方を接続することができる。本実施形態では、第二接続穴19を略円筒状の凹部で形成しているが、必ずしもこれに限定されるものではなく、可動部21の形状に応じて適宜決定することが望ましい。
【0031】
<筐体7>
続いて、図5(a)(b)(c)を用いて筐体7の構造について詳細に説明する。図5(a)(b)(c)は、筐体7の構造を示す図であって、図5(a)は、筐体7の側面図であり、図5(b)は、筐体7の断面図であり、図5(c)は、筐体7の一部を断面視した上面図である。
【0032】
図5(a)(b)(c)は、概ね歯ブラシ51を挿入するための凹状で有底の挿入口11を備えた略箱形状の接続部17と、挿入口11に備わった長尺状の押圧部13と、該押圧部13に一方の端部が接続され、他方が外部に放出された複数本の可動部21と、該可動部21を内部に挿通する複数のスプリング9と、の複数の部品を合わせて構成された部品である。
【0033】
押圧部13は、挿入口11の深さ方向に延びる長尺状の部材であり、横断面が、図5(c)に示すように、挿入口11の内側面に沿うように若干湾曲している。このような構造により、押圧部13は、挿入口11に挿入された歯ブラシを確実に保持できる。押圧部13の長さは、この保持を確実なものにするため、挿入口11の深さの30〜100%であるのが好ましく、更には、保持を確実にしかつ押圧部13のコストや寸法の精度を考慮すれば、50〜90%であることが好ましい。
【0034】
接続部17は、第一把持部3及び第二把持部5と同様の材料を用いて形成された略箱状の部品であって、上方に対向した面に歯ブラシ51を挿入するための挿入口11を備えている。当該挿入口11は、略円筒状の凹状で有底の長穴であって、一般的な歯ブラシ51の柄部を挿入可能な直径及び深さ寸法とすることが好ましい。
【0035】
また、第二把持部5が接続される方向に位置する面には、当該第二把持部5を接続する可動部21が備わっており、外部から接続部17の側壁を貫通して挿入口11に到達している。当該可動部21は、略棒状(軸状)の部品であって、一方の端部(挿入口11側)が押圧部13に固定され、他方の端部は外部に開放されており、当該押圧部13と連動したピストン運動を可能に構成されている。
【0036】
更に、可動部21近傍における接続部7の側壁には、当該可動部21を内部に挿通した状態のスプリング9を仮固定可能な凹部25が備わっており、当該凹部25にスプリング9を配設することができる。また、確実に歯ブラシを保持・固定できるように、押圧部13に対して複数の可動部21が等間隔で配置されており、握った際に第二把持部5から押圧部13への力が、押圧部13の長さ方向において均一に伝わる構成を有する。
【0037】
<スプリング9>
スプリング9は、螺旋状に形成された所定の反力を有する鋼線部品であって、ステンレス鋼線、チタン合金鋼線、又はメッキ鋼線等の耐食性を有する金属材料で形成されていることが望ましい。
【0038】
当該スプリング9の弾性力(反力)は、使用者の握力鍛錬レベルに応じて決定することが好ましく、例えば本実施形態の握力トレーニング器具1を、スプリング9の反力が異なる複数種、又は所望の反力を有するスプリング9から使用者が選択して使用可能とすることが好ましい。
【0039】
また、スプリング9は、上述のとおり、内部に可動部21を挿通させた状態で凹部25に仮固定されており、可動部21が第二把持部5と接続されることにより凹部25と第二把持部5との間で固定される。
【0040】
なお、本実施形態では、可動部21、凹部25、スプリング9、及び第二接続穴19をそれぞれ3つで構成しているが、必ずしもこれに限定されるものではなく、例えば反力調整によるスプリング9の数により決定することが望ましい。
【0041】
2.握力トレーニング器具1の組立
次に、図6を用いて本実施形態における握力トレーニング器具1の組立方法を説明する。図6は、本実施形態における握力トレーニング器具1の組立方法を示す模式図である。図6に示すとおり、本実施形態の握力トレーニング器具1は、上述した部品毎に分解可能で、水洗浄等を行うことが可能である。
【0042】
本実施形態の握力トレーニング器具1は、筐体7が中心部品となっており、当該筐体7に概ね第一把持部3及び第二把持部5を接続することにより組立が完了する。より具体的には、筐体7が具備する各可動部21にスプリング9を挿通し、該スプリングを仮固定した状態で第二把持部5と対向させつつ、該第二把持部5が備える各第二接続穴19に可動部21を挿入嵌合させて筐体7に第二把持部5を接続する。
【0043】
続いて、筐体7と第一把持部3とを対向させつつ、該第一把持部3が備える第一接続穴15に接続部17を挿入嵌合させて双方を接続する。これにより、第一把持部3と、第二把持部5と、筐体7と、が一体的に接続され、握力のトレーニングに使用することができる状態となる。
【0044】
なお、本実施形態では、上記のとおり各部品を任意に分解可能な構成とし、歯磨きによる各部の汚れを洗浄容易な構成としているが、これは握力のトレーニングそのものに大きな影響を与えるものではなく、取扱性を向上するためのものである。よって、各部品が必ずしも分解可能な構成である必要はなく、完全に一体とした構成であってもよい。
【0045】
3.握力トレーニング器具1を用いたトレーニング方法
次に、図7(a)及び(b)を用いて本実施形態における握力トレーニング器具1の使用法について詳細に説明する。図7(a)及び(b)は、本実施形態における握力トレーニング器具1の使用方法を示す図であって、図7(a)は、本実施形態の握力トレーニング器具1に歯ブラシ51を挿入する状態を示す模式図であり、図7(b)は、第一把持部3及び第二把持部5を把持して歯ブラシ51を固定する状態を示す模式図である。
【0046】
まず、使用者は挿入口11の開口を略上方に向けつつ、本実施形態の握力トレーニング器具1を把持する。この時、第一把持部3及び第二把持部5に力が加わらないよう、極力筐体7のみを把持して固定することが望ましい。次に、図7(a)に示すとおり、挿入口11に対して歯ブラシ51の柄部を徐々に挿入し、当該歯ブラシ51の端部が挿入口11の最奥部に当接したことを確認した後、歯ブラシ51から手を放す。
【0047】
続いて、使用者は母指球及び母指付根を第一把持部3に当接させつつ、示指、中指、環指、及び小指を第二把持部5に当接させた状態で本実施形態の握力トレーニング器具1を把持し、徐々にスプリング9の弾性力(反力)に抗ってこれを上回る握力を加える。これにより、第一把持部3と第二把持部5との距離が変化して双方が接近し、当該第二把持部5に接続された可動部21が挿入口11側に移動する。可動部21の端部に固定された押圧部13が当該可動部21の移動に伴って位置を変更し、挿入口11の中心に向かって移動する。
【0048】
挿入口11は、押圧部13の移動により内部の空間が縮径され、当該押圧部13に歯ブラシ51が押圧されて挿入口11の側面との間で保持・固定される。使用者は、当該状態を維持しつつ固定した歯ブラシ51を用いて歯を磨くことにより、歯ブラシ51の固定状態を維持するため、第一把持部3と第二把持部5とに握力を加えて距離を一定以内に保つ必要がある。
【0049】
また、歯を磨くことで歯ブラシ51と歯との間に摩擦力が発生し、当該歯ブラシ51の固定維持にはより大きな握力を必要とするため、一般的な握力を鍛錬するトレーニング器具と比してより効果的にトレーニングを行うことができる。更に、使用者は、無意識に歯を磨くことに集中するため、握力母指内転筋や深指屈筋に負荷が掛っている状態を感じにくく、トレーニングに対する精神的抵抗を抑制することができる。
【0050】
以上、本発明の一実施形態について図面を参照しつつ説明してきたが、本発明は、これらの実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲の記載の精神及び教示を逸脱しない範囲でその他の改良例や変形例が存在する。そして、かかる改良例や変形例は全て本発明の技術的範囲に含まれることは、当業者にとっては容易に理解されるところである。
【0051】
例えば、上述した握力トレーニング器具1では、第二把持部5と筐体7との間にスプリング9を配設し、当該第二把持部5の移動に伴って歯ブラシ51を固定する構成であるが、例えば第一把持部3と筐体7との間にスプリング9を配設した構成や、第一把持部3と筐体7との間、及び第二把持部5と筐体7との間、双方にスプリング9を配設した構成であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0052】
本実施形態の歯磨き時用握力トレーニング器具は、歯磨きを行いつつ効率的な握力の鍛錬が可能で、更に当該握力鍛錬に対する使用者の精神的負荷を抑制することができる握力トレーニング器具であるため、朝食後や夕食後の歯磨き時はもとより、学校や職場での昼食後においても好適に用いることができる。
【符号の説明】
【0053】
1 握力トレーニング器具
3 第一把持部
5 第二把持部
7 筐体
9 スプリング
11 挿入口
13 押圧部
15 第一接続穴
17 接続部
19 第二接続穴
21 可動部
25 凹部
51 歯ブラシ
【要約】
【課題】歯磨きを行いつつ効率的な握力の鍛錬が可能で、更に当該握力鍛錬に対する使用者の精神的負荷を抑制することができる握力トレーニング器具を提供する。
【課題を解決するための手段】第一把持部と、弾性部材と、前記弾性部材を介して前記第一把持部に対向して一定距離をおいて配置されている第二把持部と、挿入口を有する筐体と、で構成され、前記第一把持部と前記第二把持部との距離を、前記筐体弾性部材の弾性力に抗って接近させることにより、前記挿入口内において前記第一把持部と前記第二把持部との間に歯ブラシを保持できること、を特徴とする歯磨き時用握力トレーニング器具。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7