【実施例1】
【0007】
図1の外箱1は前板と後板と左側板と右側板と底板を相互に接合することから構成されたものであり、上面が開口する四角箱状をなしている。この外箱1は床面に設置されるものであり、外箱1の上端部にはトップカバー2が固定されている。このトップカバー2は中央部に衣類の出入口を有する枠状をなすものであり、トップカバー2には外蓋3が装着されている。この外蓋3は閉鎖状態および開放状態相互間で操作可能にされたものであり、トップカバー2の出入口は外蓋3の閉鎖状態で閉鎖されると共に外蓋3の開放状態で開放される。
【0008】
外箱1内には、
図1に示すように、複数の吊り棒4が収納されている。これら複数の吊り棒4のそれぞれは上下方向へ指向する円柱状をなすものであり、上端部が自在継手を介して外箱1に連結されている。これら複数の吊り棒4のそれぞれの外周面にはダンパスプリング5が挿入されている。これら複数のダンパスプリング5のそれぞれは圧縮コイルばねからなるものであり、ばね受け6で下方から支えられている。これら複数のばね受け6のそれぞれはダンパスプリング5に比べて直径寸法が大きな円板状をなすものであり、吊り棒4の下端部に固定されている。
【0009】
外箱1内には、
図1に示すように、水受槽7が収納されている。この水受槽7は上面が開口する円筒状をなすものであり、底板を有している。この水受槽7は衣類を洗濯するための水を受けるものであり、軸心線が鉛直方向へ指向するように配置されている。この水受槽7には槽カバー8が固定されている。この槽カバー8は円環状をなすものであり、槽カバー8には内蓋9が閉鎖状態および開放状態相互間で操作可能に装着されている。
【0010】
水受槽7には、
図1に示すように、複数のばね受け10が固定されている。これら複数のばね受け10のそれぞれは水受槽7の表面から突出するものであり、貫通孔11を有している。これら複数の貫通孔11内のそれぞれには吊り棒4が相対的に移動可能に挿入されており、複数のダンパスプリング5のそれぞれは吊り棒4のばね受け6および水受槽7のばね受け10相互間に介在されている。即ち、吊り棒4とダンパスプリング5とばね受け6とばね受け10は水受槽7を鉛直方向および水平方向のそれぞれに揺動可能に吊持する弾性吊持機構を構成するものである。
【0011】
水受槽7の底板には、
図1に示すように、洗濯モータ12が固定されている。この洗濯モータ12は速度制御可能なDCブラシレスモータからなるものであり、鉛直方向へ指向する回転軸を有している。この洗濯モータ12は速度センサ13(
図2参照)を内蔵するものである。この速度センサ13はホールICからなるものであり、洗濯モータ12が単位量だけ回転する毎にパルス信号を出力する。
【0012】
洗濯モータ12の回転軸は、
図1に示すように、撹拌軸14を構成している。この撹拌軸14は鉛直方向へ指向する円柱状をなすものであり、水受槽7内に挿入されている。この撹拌軸14にはパルセータ15が固定されており、パルセータ15は水受槽7内に収納されている。この撹拌軸14の外周面には同心状に円筒状の槽軸16が設けられており、当該槽軸16には回転槽17が固定されている。この回転槽17は水受槽7内に収納されたものであり、前記パルセータ15は回転槽17内の底部に収納されている。この回転槽17は上面が開口する円筒状をなすものであり、底板を有している。この回転槽17は外蓋3および内蓋9のそれぞれの開放状態でトップカバー2の出入口を通して衣類が投入されるものであり、回転槽17の上端部にはバランスリング18が固定されている。この回転槽17は軸心線が鉛直方向へ指向するように配置されたものであり、水受槽7内の水が通過可能な複数の通水孔19を有している。
【0013】
外箱1内にはクラッチ機構が固定されている。このクラッチ機構は洗いモードおよび脱水モード相互間で機械的な状態が切換えられるものであり、槽軸16はクラッチ機構の脱水モードで撹拌軸14に連結されると共にクラッチ機構の洗いモードで撹拌軸14から遮断される。即ち、槽軸16はクラッチ機構の脱水モードで洗濯モータ12が運転された場合に撹拌軸14と共に回転し、クラッチ機構の洗いモードでは洗濯モータ12が運転された場合にも静止するものであり、これによりクラッチ機構の脱水モードではパルセータ15および回転槽17が共に回転し、クラッチ機構の洗いモードではパルセータ15のみが回転槽17の静止状態で回転する。
【0014】
外箱1内には給水弁20(
図2参照)が固定されている。この給水弁20は入口および出口を有するものであり、給水弁20の入口は水道の蛇口に接続され、給水弁20の出口は水受槽7内に接続されている。この給水弁20は閉鎖状態および開放状態相互間で電気的に操作されるものであり、給水弁20の開放状態では水道の蛇口から水受槽7内に水道水が注入される。この水受槽7内には水位センサ21(
図2参照)が接続されている。この水位センサ21は水受槽7内の水から圧力を受ける圧力センサからなるものであり、水受槽7内の水位の高さに応じた水位信号を出力する。
【0015】
水受槽7には、
図1に示すように、排水管22の上端部が接続されており、排水管22には排水弁23が介在されている。この排水弁23は閉鎖状態および開放状態相互間で電気的に操作されるものであり、排水弁23の閉鎖状態では給水弁20から水受槽7内に注入された水道水が水受槽7内に貯留され、排水弁23の開放状態では水受槽7内の水道水が排水管22を通して水受槽7の外部に排出される。この排水弁23はクラッチ機構に連結されたものであり、クラッチ機構は排水弁23の閉鎖状態で洗いモードにされると共に排水弁23の開放状態で脱水モードにされる。
【0016】
水受槽7内には、
図1に示すように、入口ダクト24の入口が接続されており、入口ダクト24の出口にはファンケーシング25の入口が接続されている。このファンケーシング25内にはファン26が収納されており、ファン26はファンモータ27(
図2参照)の回転軸に連結されている。このファンモータ27は外箱1内に固定されたものであり、ファンモータ27の運転状態では水受槽7内の空気が入口ダクト24を通ってファンケーシング25内に進入する。
【0017】
ファンケーシング25の出口には、
図1に示すように、ヒータダクト28の入口が接続されており、ファンケーシング25内に進入した空気はヒータダクト28内に進入する。このヒータダクト28には排気ダクト29の入口が接続されている。この排気ダクト29の出口はトップカバー2を貫通して機外に開口しており、ヒータダクト28内に進入した空気の一部は排気ダクト29を通して機外に排出される。
【0018】
ヒータダクト28内には、
図1に示すように、ヒータ30が固定されている。このヒータ30は排気ダクト29に比べて空気の流れの下流側に配置されたものであり、ヒータ30の運転状態ではヒータダクト28内に進入した空気の残りがヒータ30に接触することで温風化される。このヒータダクト28の出口には出口ダクト31の入口が接続されている。この出口ダクト31の出口は水受槽7内に接続されており、ヒータ30で加熱された温風は出口ダクト31から水受槽7内に回転槽17内の衣類を乾かすための乾燥風として注入される。
【0019】
水受槽7の外周面には、
図1に示すように、加速度センサ32が固定されている。この加速度センサ32は水受槽7が複数の自在継手を中心に複数の吊り棒4と共に水平方向へ揺れた場合に水受槽7の水平方向への加速度の大きさに応じた加速度信号を出力するものであり、振動センサに相当する。入口ダクト24内には入口温度センサ33が固定されており、出口ダクト31内には出口温度センサ34が固定されている。これら入口温度センサ33および出口温度センサ34のそれぞれはサーミスタからなるものであり、入口温度センサ33は入口ダクト24内の空気の温度に応じた入口温度信号を出力し、出口温度センサ34は出口ダクト31内の空気の温度に応じた出口温度信号を出力する。
【0020】
図2の制御回路35はCPUとROMとRAMを有するものである。この制御回路35は給水弁20および排水弁23のそれぞれを閉鎖状態および開放状態相互間で電気的に操作するものであり、ファンモータ27およびヒータ30のそれぞれをオン状態およびオフ状態相互間で電気的に操作する。このファンモータ27はオン状態で一定方向へ一定速度で回転するものであり、ヒータ30はオン状態で一定出力で発熱する。この制御回路35は速度設定手段および時間変更手段のそれぞれに相当する。
【0021】
制御回路35は速度センサ13からのパルス信号に応じて洗濯モータ12の回転速度を検出し、水位センサ21からの水位信号に応じて水受槽7内の水位を検出するものであり、入口温度センサ33からの入口温度信号に応じて入口ダクト24内の空気の温度を検出し、出口温度センサ34からの出口温度信号に応じて出口ダクト31内の空気の温度を検出し、加速度センサ32からの加速度信号に応じて水受槽7の水平方向への加速度を検出する。
【0022】
図2のモータ制御回路36はCPUとROMとRAMを有するものであり、速度センサ13からのパルス信号に応じて洗濯モータ12の回転速度を検出する。このモータ制御回路36は制御回路35から制御コマンドが送信されるものであり、洗濯モータ12を制御コマンドの受信結果に応じて回転操作する。このモータ制御回路36は脱水手段に相当する。
【0023】
トップカバー2には操作パネルが固定されており、操作パネルには運転コーススイッチ37とスタートスイッチ38と表示器39とブザー40(いずれも
図2参照)が固定されている。運転コーススイッチ37およびスタートスイッチ38のそれぞれは使用者が操作可能なものであり、制御回路35は運転コーススイッチ37の操作内容に応じて運転コースを設定し、運転コースの設定状態でスタートスイッチ38が操作された場合に運転コースの設定結果を開始する。表示器39は液晶表示器からなるものである。この表示器39は使用者が視覚的に認識可能なものであり、制御回路35は運転コースの進行状況に応じて表示器39の表示内容を制御する。ブザー40は使用者に報知音を出力するものであり、制御回路35は運転コースの進行状況に応じてブザー40を電気的に操作する。このブザー40は報知器に相当する。
【0024】
図3の標準コース処理は制御回路35が運転コーススイッチ37の操作内容に応じて設定するものであり、制御回路35は標準コース処理の設定状態でスタートスイッチ38が操作されたと判断した場合に標準コース処理を起動し、標準コース処理を起動した場合にはステップS1の重量検出処理とステップS2の洗い処理とステップS3の脱水処理とステップS4のすすぎ処理とステップS5の脱水処理とステップS6の乾燥処理のそれぞれを順に実行した後に標準コース処理を終える。
[1]重量検出処理
制御回路35はステップS1の重量検出処理でモータ制御回路36に測定開始コマンドを送信する。このモータ制御回路36は測定開始コマンドを受信した場合に洗濯モータ12の回転操作を一定の重量測定パターンで開始するものであり、制御回路35は測定開始コマンドを送信したことを基準に一定時間が経過した場合に速度センサ13からのパルス信号に応じて洗濯モータ12の回転速度を検出する。この制御回路35は洗濯モータ12の回転速度を検出した場合にモータ制御回路36に測定停止コマンドを送信するものであり、モータ制御回路36は測定停止コマンドを受信した場合に洗濯モータ12を回転停止状態とする。
【0025】
制御回路35は測定停止コマンドを送信した場合に回転速度の検出結果に応じて回転槽17内の衣類の重量を演算する。この衣類の重量は回転速度の検出結果が遅くなることに応じて重く演算されるものであり、制御回路35は衣類の重量を演算した場合には衣類の重量の演算結果に応じて目標水位と洗い時間と脱水時間とすすぎ時間と乾燥時間のそれぞれを設定する。洗い時間と脱水時間とすすぎ時間と乾燥時間のそれぞれは重量の演算結果が重くなることに応じて長く設定されるものであり、目標水位は重量の演算結果が重くなることに応じて高く設定される。
【0026】
制御回路35は目標水位〜乾燥時間のそれぞれを設定すると、残り運転時間を初期設定する。この残り運転時間はステップS2の洗い処理を開始してからステップS6の乾燥処理を終えるまでの時間であり、(秒)の単位で設定される。この残り運転時間は洗い時間の設定結果と脱水時間の設定結果とすすぎ時間の設定結果と乾燥時間の設定結果に応じて初期設定されるものであり、制御回路35は残り運転時間を初期設定した場合には表示器39に残り運転時間の初期設定結果を表示する。この残り運転時間は時間の単位および分の単位で「残り×時間××分」と表示されるものであり、制御回路35は表示器39に残り運転時間の初期設定結果を表示した場合には一定時間(秒)が経過する毎に残り運転時間を減算し、表示器39の残り運転時間の表示を単位時間(1分)が経過する毎に短く変更する。
[2]洗い処理
制御回路35はステップS2の洗い処理で給水弁20を開放状態とすることで水受槽7内に目標水位の設定結果の水道水を貯留する。この制御回路35は水受槽7内に目標水位の設定結果の水道水を貯留した場合にモータ制御回路36に洗い開始コマンドを送信し、洗い開始コマンドを送信したことを基準に洗い時間の設定結果が経過した場合にモータ制御回路36に洗い停止コマンドを送信する。このモータ制御回路36は洗い開始コマンドを受信した場合に洗濯モータ12の回転操作を洗いパターンで開始し、洗い停止コマンドを受信した場合に洗濯モータ12を回転停止状態とする。この洗いパターンは洗濯モータ12を正方向および逆方向へ回転操作することで回転槽17内の衣類をパルセータ15で撹拌するものであり、洗い処理では回転槽17内の衣類がパルセータ15で撹拌されながら洗剤分を含有する水道水で洗われる。
[3]脱水処理
図4はステップS3の脱水処理であり、制御回路35はステップS11で排水弁23を開放状態とすることで水受槽7内から水道水を排出し、ステップS12でRAMのカウンタNの値に(1)を設定する。そして、ステップS13でRAMのカウンタNmaxの値に(0)を設定し、ステップS14でモータ制御回路36に加速開始コマンドを送信する。このモータ制御回路36は加速開始コマンドを受信した場合には洗濯モータ12を回転停止状態から一定の加速度Aで加速開始する。
【0027】
図5は制御回路35のROMに予め記録されたデータ選択テーブルであり、データ選択テーブルは(1)〜(5)のそれぞれのカウンタNの値にアンバラ判定速度およびアンバラ判定値を割付けることで設定されている。アンバラ判定速度1〜5のそれぞれは水受槽7の共振速度に対して異なる速度に設定されたものであり、アンバラ判定速度1〜4のそれぞれは外箱1の共振速度に対して遅い速度に設定され、アンバラ判定速度5は外箱1の共振速度に対してそれを超えた速い速度に設定されている(
図7参照)。
【0028】
アンバラ判定速度1〜5のそれぞれはアンバランスが発生しているか否かを判定するための洗濯モータ12の回転速度であり、「アンバラ判定速度5>アンバラ判定速度4>アンバラ判定速度3>アンバラ判定速度2>アンバラ判定速度1」の大小関係に設定されている。このアンバランスは回転槽17の内周面に衣類が極端に偏って貼り付いている状態であり、アンバランスの発生状態では回転槽17が仮想的な基準の最高速度で回転操作された場合に水受槽7が水平方向へ大きく揺れることで外箱1に干渉することがある。アンバラ判定値1〜5のそれぞれはアンバランスが発生しているか否かを判定するための水受槽7の加速度の閾値であり、「アンバラ判定値5>アンバラ判定値4>アンバラ判定値3>アンバラ判定値2>アンバラ判定値1」の大小関係に設定されている。
【0029】
制御回路35は
図4のステップS14で加速開始コマンドを送信すると、ステップS15で
図5のデータ選択テーブルからカウンタNの値の設定結果に応じたアンバラ判定速度を選択し、ステップS16で
図5のデータ選択テーブルからカウンタNの値の設定結果に応じたアンバラ判定値を選択する。そして、ステップS17で速度センサ13からのパルス信号に応じて洗濯モータ12の回転速度を検出し、ステップS18で回転速度の検出結果をアンバラ判定速度の選択結果と比較する。ここで回転速度の検出結果がアンバラ判定速度の選択結果に到達したと判断した場合にはステップS19へ移行し、モータ制御回路36に加速中断コマンドを送信する。このモータ制御回路36は加速中断コマンドを受信した場合に洗濯モータ12の加速を中断し、洗濯モータ12を現在速度(アンバラ判定速度の選択結果)で定速運転する。
【0030】
制御回路35はステップS19で加速中断コマンドを送信すると、ステップS20で加速度センサ32からの加速度信号Rを検出する。この加速度信号Rは洗濯モータ12がアンバラ判定速度の選択結果で定速運転されている状態での水受槽7の水平方向への加速度であり、制御回路35はステップS20で加速度信号Rを検出した場合にはステップS21へ移行する。
【0031】
制御回路35はステップS21へ移行すると、加速度信号Rの検出結果をアンバラ判定値の選択結果と比較する。ここで加速度信号Rの検出結果がアンバラ判定値の選択結果以上であると判断した場合にはステップS22へ移行し、モータ制御回路36に運転中断コマンドを送信する。このモータ制御回路36は運転中断コマンドを受信した場合には洗濯モータ12を回転停止状態とする。
【0032】
制御回路35はステップS22で運転中断コマンドを送信すると、ステップS23のほぐし処理へ移行する。このほぐし処理は排水弁23を開放状態から閉鎖状態に切換えることでクラッチ機構を脱水モードから洗いモードに切換え、モータ制御回路36にほぐし運転コマンドを送信するものであり、モータ制御回路36はほぐし運転コマンドを受信した場合には洗濯モータ12を正方向および逆方向へ交互に回転操作する。このほぐし処理は回転槽17の静止状態でパルセータ15を正方向および逆方向へ交互に回転操作することで回転槽17内の衣類の偏りを改善するものであり、制御回路35はステップS23のほぐし処理を終えた場合にはステップS12に復帰する。
【0033】
図6は制御回路35のROMに予め記録された最高速度選択テーブル1〜5であり、最高速度選択テーブル1はカウンタNの値の設定結果が(1)である場合に選択され、最高速度選択テーブル2はカウンタNの値の設定結果が(2)である場合に選択され、最高速度選択テーブル3はカウンタNの値の設定結果が(3)である場合に選択され、最高速度選択テーブル4はカウンタNの値の設定結果が(4)である場合に選択され、最高速度選択テーブル5はカウンタNの値の設定結果が(5)である場合に選択される。
【0034】
最高速度選択テーブル1〜4のそれぞれは最高速度として(Vl)と(Vm)と(Vh)の共通の選択肢を有するものであり、最高速度Vl〜Vhは「Vl<Vm<Vh」の大小関係に設定されている(
図7参照)。なおアンバラ判定速度5の結果は最高速度の変更には使用しないため、最高速度選択テーブル5については加速度信号Rに関係なく「変更しない」に設定されている。これら最高速度選択テーブル1〜4のそれぞれは最高速度VlとVmとVhに対して相互に異なる加速度信号Rの範囲を割付けたものであり、最高速度選択テーブル1〜4のそれぞれからは加速度信号Rが大きい場合に遅い最高速度Vlが選択され、加速度信号Rが小さい場合に速い最高速度Vhが選択され、加速度信号Rが中間の場合に中間の最高速度Vmが選択される。
【0035】
制御回路35は
図4のステップS21で加速度信号Rの演算結果がアンバラ判定値の選択結果に比べて小さいと判断すると、ステップS24でROMからカウンタNの値の設定結果に応じた最高速度選択テーブルを選択し、最高速度選択テーブルの選択結果から加速度信号Rの演算結果に応じた最高速度を選択する。
【0036】
制御回路35はステップS24で最高速度を選択すると、ステップS25で最高速度の選択結果をカウンタNmaxの値の設定結果と比較する。ここで最高速度の選択結果がカウンタNmaxの値の設定結果と同一であると判断した場合にはステップS29へ移行し、最高速度の選択結果がカウンタNmaxの値の設定結果と相違していると判断した場合にはステップS26へ移行する。ここで最高速度の選択結果をカウンタNmaxの値に設定し、ステップS27およびステップS28を経てステップS29へ移行する。即ち、カウンタNmaxの値は今回の最高速度の選択結果が前回の最高速度の選択結果と相違している場合に今回の最高速度の選択結果が設定されるものであり、高いアンバラ判定速度での最高速度の選択結果が優先される。
【0037】
制御回路35はステップS29へ移行すると、モータ制御回路36に加速再開コマンドを送信する。このモータ制御回路36は加速再開コマンドを受信した場合に洗濯モータ12を現在のアンバラ判定速度から加速度Aで再び加速開始するものであり、制御回路35はステップS29で加速再開コマンドを送信した場合にはステップS30でカウンタNの値の設定結果が(5)であるか否かを判断する。ここでカウンタNの値の設定結果が(5)でないと判断した場合にはステップS31でカウンタNの値に(1)を加算してステップS15に復帰し、カウンタNの値の設定結果が(5)であると判断した場合にはステップS32で速度センサ13からのパルス信号に応じて洗濯モータ12の回転速度を検出する。
【0038】
制御回路35はステップS32で洗濯モータ12の回転速度を検出すると、ステップS33で回転速度の検出結果をカウンタNmaxの値の設定結果と比較する。ここで回転速度の検出結果がカウンタNmaxの値の設定結果に到達したと判断した場合にはステップS34でモータ制御回路36に定常運転開始コマンドを送信し、ステップS35へ移行する。このモータ制御回路36は定常運転開始コマンドを受信した場合には洗濯モータ12の加速を終え、洗濯モータ12を現在速度(Nmaxの値の設定結果)で定速運転する。
【0039】
制御回路35はステップS35へ移行すると、ステップS34で定常運転開始コマンドを送信したことを基準に脱水時間の設定結果が経過したか否かを判断する。ここで脱水時間の設定結果が経過したと判断した場合にはステップS36でモータ制御回路36に運転停止コマンドを送信して脱水処理を終える。
【0040】
洗濯モータ12が回転停止状態からカウンタNmaxの値の設定結果で定速運転されるまでの間には、
図7に示すように、洗濯モータ12の回転速度がアンバラ判定速度1〜5のそれぞれに到達する毎に回転槽17内でアンバランスが発生しているか否かが判定される。これらアンバラ判定速度1〜5のうちアンバラ判定速度1〜4のそれぞれでアンバランスが発生していないと判定された場合には加速度信号Rの検出結果に応じて最高速度が選択される。この最高速度が選択された場合には今回の最高速度の選択結果が現在の最高速度の設定結果(Nmax)と比較され、今回の最高速度の選択結果が現在の最高速度の設定結果と相違していると判断された場合には現在の最高速度の設定結果が今回の最高速度の選択結果に変更される。
【0041】
図4のステップS27の残り運転時間変更処理はカウンタNmaxの値の設定結果に応じて現在の残り運転時間の減算結果を(秒)の単位で変更するものである。即ち、カウンタNmaxの値の設定結果が最高速度Vhである場合と最高速度Vmである場合と最高速度Vlである場合とでは洗濯モータ12が現在の回転速度からカウンタNmaxの値の設定結果に到達するまでの残り加速時間が相互に異なる。制御回路35のROMにはアンバラ判定速度1〜4毎に最高速度Vl〜Vhのそれぞれに対して残り加速時間が記録されており、制御回路35はステップS27の残り運転時間変更処理でROMからカウンタNの値の設定結果(アンバラ判定速度)およびカウンタNmaxの値の設定結果(最高速度)の双方に応じた残り加速時間を選択し、現在の残り運転時間の減算結果を残り加速時間の選択結果に応じて変更する。
【0042】
制御回路35はステップS27の残り運転時間変更処理で現在の残り運転時間の減算結果を変更した場合には表示器39の現在の残り運転時間の表示を残り運転時間の変更結果に変更し、ステップS28でブザー40を鳴動することで使用者に残り運転時間が変更されたと報知する。この残り運転時間の変更結果は時間および分の単位で「残り×時間××分」と表示されるものであり、制御回路35は表示器39に残り運転時間の変更結果を表示した場合には一定時間(秒)が経過する毎に残り運転時間を減算し、単位時間(1分)が経過する毎に表示器39の残り運転時間の表示を変更する。
[4]すすぎ処理
制御回路35は
図3のステップS4のすすぎ処理で給水弁20を開放状態とすることで水受槽7内に目標水位の設定結果に応じた量の水道水を貯留する。この制御回路35は水受槽7内に水道水を貯留した場合にはモータ制御回路36にすすぎ開始コマンドを送信し、すすぎ開始コマンドを送信したことを基準にすすぎ時間の設定結果が経過した場合にはモータ制御回路36にすすぎ停止コマンドを送信する。このモータ制御回路36はすすぎ開始コマンドを受信した場合に洗濯モータ12の回転操作をすすぎパターンで開始し、すすぎ停止コマンドを受信した場合には洗濯モータ12を回転停止状態とする。このすすぎパターンは洗濯モータ12を正方向および逆方向へ交互に回転操作することで回転槽17内の衣類をパルセータ15で撹拌するものであり、すすぎ処理では衣類が水道中で撹拌されることで衣類から洗剤分が排出される。
[5]脱水処理
制御回路35はステップS5の脱水処理を
図4のプロセスで実行する。このステップS5の脱水処理では最高速度の選択結果に応じてカウンタNmaxの値が設定され(ステップS26参照)、カウンタNmaxの値が設定された場合に現在の残り運転時間の減算結果がカウンタNmaxの値の設定結果に応じて変更されると共に表示器39の残り運転時間の表示が変更され(ステップS27参照)、ブザー40が鳴動されることで残り運転時間の変更が使用者に報知される(ステップS28参照)。
【0043】
図3のステップS5の脱水処理ではステップS27の残り運転時間変更処理でカウンタNmaxの値の設定結果に応じて乾燥時間の設定結果が変更され、現在の残り運転時間の減算結果が乾燥時間の変更結果に応じて(秒)の単位で変更され、表示器39の現在の残り運転時間の表示が残り運転時間の変更結果に変更される。この残り運転時間の変更結果は時間の単位および分の単位で「残り×時間××分」と表示されるものであり、表示器39に残り運転時間の変更結果が表示された場合には一定時間(秒)が経過する毎に残り運転時間が減算され、単位時間(1分)が経過する毎に表示器39の残り運転時間の表示が変更される。
[6]乾燥処理
制御回路35はステップS6の乾燥処理で排水弁23を閉鎖状態とすることでクラッチ機構を洗いモードとし、ファンモータ27およびヒータ30のそれぞれをオン状態とすることで水受槽17内に乾燥風を送り、モータ制御回路36に乾燥開始コマンドを送信する。このモータ制御回路36は乾燥開始コマンドを受信した場合に洗濯モータ12の回転操作を乾燥パターンで開始する。この乾燥パターンは洗濯モータ12を正方向および逆方向へ回転操作するものであり、乾燥処理では回転槽17内の衣類をパルセータ15で撹拌しながら水受槽17内に乾燥風が注入される。
【0044】
制御回路35は乾燥開始コマンドを送信すると、入口温度センサ33からの入口温度信号および出口温度センサ34からの出口温度信号のそれぞれを一定時間毎に検出する。この制御回路35は入口温度信号および出口温度信号のそれぞれを検出する毎に両者の差分を演算するものであり、差分を演算する毎に差分の時間的な変化率を演算する。この制御回路35は差分の変化率を演算する毎に変化率の演算結果を閾値と比較するものであり、両者の比較結果に応じて回転槽17内の衣類が乾燥したか否かを判断する。
【0045】
制御回路35は回転槽17内の衣類が乾燥したと判断した場合にファンモータ27およびヒータ30のそれぞれをオフ状態とし、モータ制御回路46に乾燥停止コマンドを送信する。このモータ制御回路36は乾燥停止コマンドを受信した場合に洗濯モータ12を回転停止状態とする。即ち、乾燥処理は入口温度センサ33からの入口温度信号および出口温度センサ34からの出口温度信号に応じて回転槽17内の衣類が乾燥したと判断された場合に終了するものであり、乾燥処理の所要時間は直前のステップS5の脱水処理が終了したときの衣類の脱水率が高い程に短くなる。この脱水率はカウンタNmaxの値の設定結果が(Vl)である場合に低値となり、カウンタNmaxの値の設定結果が(Vm)である場合に中値(>低値)となり、カウンタNmaxの値の設定結果が(Vh)である場合に高値(>中値)となる。
【0046】
図8は制御回路35のROMに予め記録された補正時間テーブルである。この補正時間テーブルは最高速度Vl〜Vhのそれぞれに補正時間を割付けたものであり、補正時間Tl〜Thのそれぞれは乾燥時間の設定結果を(秒)の単位で補正するためのものである。これら補正時間Tl〜Thは「Th<Tm<Tl」の大小関係に設定されたものであり、制御回路35はステップS5の脱水処理のステップS27で
図8の補正時間テーブルからカウンタNmaxの値の設定結果に応じた補正時間を選択し、現在の残り運転時間の減算結果を補正時間の選択結果に応じて補正することで現在の残り運転時間の減算結果を変更する。
【0047】
上記実施例1によれば次の効果を奏する。
アンバラ判定速度1〜4のそれぞれでは回転槽17内の衣類の全てが一様に水を含んだ状態にされており、回転槽17内の衣類の分布の偏りが小さいと推測されていた。これに対してアンバラ判定速度5では布質等の違いから回転槽17内の衣類の脱水状態にばらつきが発生し、回転槽17内の衣類の分布の偏りが大きいと推測されていた。この理由から従来ではアンバラ判定速度5だけで加速度信号Rを検出し、加速度信号Rの検出結果に応じてカウンタNmaxの値を設定していた。従って、洗濯モータ12の回転速度がアンバラ判定速度5に到達した後のタイミングで残り運転時間が変更されるので、表示器39に正確な残り運転時間を迅速に表示することができなかった。
【0048】
現実にはアンバラ判定速度1〜4のそれぞれでの回転槽17内の衣類の分布の偏りがアンバラ判定速度5での衣類の分布の偏りに対して大きく異なることはなく、アンバラ判定速度1〜4のそれぞれでの最高速度の選択結果はアンバラ判定速度5での最高速度の選択結果に対して同一となる確率が高い。これは実験的に得られたものであり、アンバラ判定速度1〜4のそれぞれでカウンタNmaxの値が設定される毎にカウンタNmaxの値の設定結果に応じて残り運転時間を変更し、残り運転時間を変更する毎に残り運転時間の変更結果を表示器39に表示した。従って、表示器39に正確な残り運転時間を迅速に表示することができる。しかも、表示器39の残り運転時間の表示を変更する毎にブザー40を鳴動したので、使用者に残り運転時間が変更されたと報知することができる。
【0049】
今回のアンバラ判定速度での最高速度の選択結果が前回のアンバラ判定速度でのカウンタNmaxの値の設定結果と相違している場合には今回のアンバラ判定速度での最高速度の選択結果をカウンタNmaxの値に設定した。このため、より速いアンバラ判定速度での加速度信号Rに応じてカウンタNmaxの値が設定されるので、衣類の脱水が進行することに応じて布質等の違いから回転槽17内の衣類の脱水状態にばらつきが発生した場合であってもカウンタNnaxの値が回転槽17内の衣類の分布の偏りに応じて正確に設定される。
【0050】
上記実施例1においては、加速度センサ32から水受槽7の軸心線に対して交差する方向の加速度に応じた加速度信号が出力されるように加速度センサ32を配置しても良い。
上記実施例1においては、加速度センサ32に換えて変位量センサを用いても良い。要は水受槽7の軸心線に対して交差する方向の振動の振幅(揺れ量)に応じた電気信号を出力するセンサであれば良い。
【実施例2】
【0051】
図9の外箱51は中空な四角箱状をなすものであり、外箱51内には水受槽52が収納されている。この水受槽52は2つのサスペンション53を介して外箱51の底板に支持されたものであり、軸心線CLが前から後に向けて下降する傾斜状態に配置されている。これら2つのサスペンション53のそれぞれは水受槽52が鉛直方向および水平方向へ揺動することを許容するものであり、左右方向に相互に対向配置されている。この水受槽52は給水弁54を通して水道水が注入されるものであり、水位センサ55は水受槽52内の水位の高さに応じた水位信号を出力し、排水弁56は水受槽52内の水道水を水受槽52の外部へ排出する。
【0052】
水受槽52の表面には、
図9に示すように、前加速度センサ57および後加速度センサ58が固定されている。これら前加速度センサ57および後加速度センサ58のそれぞれは水受槽52の軸心線CLの方向に相互に離間して配置されたものであり、水受槽52の上下方向への加速度に応じた大きさの加速度信号を出力する。これら前加速度センサ57および後加速度センサ58のそれぞれは振動センサに相当する。
【0053】
水受槽52の後板には、
図9に示すように、ドラムモータ59が固定されている。このドラムモータ59はホールICからなる速度センサを内蔵するものであり、ドラムモータ59の回転軸には水受槽52内に位置してドラム60が固定されている。このドラム60は衣類が投入されるものであり、水受槽52に対して同心な円筒状をなしている。このドラム60は衣類が投入されるものであり、ドラム60内の衣類はドラム60がドラムモータ59で回転操作されることに応じて洗濯および脱水される。このドラムモータ59はモータに相当し、ドラム60は回転槽に相当する。
【0054】
外箱51内にはダクトが固定されている。このダクトは入口および出口のそれぞれが水受槽52内に接続されたものであり、ダクト内にはヒートポンプのコンデンサおよびエバポレータが収納されている。これらコンデンサおよびエバポレータのそれぞれはコンプレッサの吐出口および吸込口相互間に接続されたものであり、コンプレッサの運転状態ではコンプレッサの吐出口から吐出された冷媒がコンデンサおよびエバポレータのそれぞれを通ってコンプレッサの吸込口に吸込まれる。
【0055】
外箱51内にはファンケーシングが固定されており、ファンケーシング内にはファンが収納されている。このファンはファンモータの回転軸に連結されており、ファンモータの運転状態ではファンが回転することに応じて水受槽52内の空気がダクトの入口からダクト内に進入する。この空気はエバポレータおよびコンデンサのそれぞれに順に接触することで低湿度で高温度な乾燥風となり、ダクトの出口から水受槽52内に戻される。このダクト内にはエバポレータに比べて空気の流れの上流側に位置して入口温度センサが固定され、コンデンサに比べて空気の流れの下流側に位置して出口温度センサが固定されており、入口温度センサはエバポレータで冷却される前の空気の温度に応じた入口温度信号を出力し、出口温度センサはコンデンサで加熱された後の空気の温度に応じた出口温度信号を出力する。
【0056】
外箱51内には制御回路が固定されている。この制御回路は水位センサ55からの水位信号に応じて水受槽52内の水位を検出し、前加速度センサ57からの加速度信号および後加速度センサ58からの加速度信号に応じて水受槽52の加速度を検出し、速度センサからのパルス信号に応じてドラムモータ59の回転速度を検出し、入口温度センサからの入口温度信号に応じてダクト内の入口の温度を検出し、出口温度センサからの出口温度信号に応じてダクト内の出口の温度を検出するものであり、給水弁54と排水弁56とドラムモータ59とファンモータとコンプレッサのそれぞれを電気的に制御することで
図3の標準コース処理を実行する。この制御回路は脱水手段と速度設定手段と時間変更手段のそれぞれに相当する。
【0057】
制御回路は
図3のステップS3およびS5のそれぞれの脱水処理を
図4のプロセスで実行するものであり、ステップS3およびS5のそれぞれの脱水処理ではドラムモータ59の回転速度がアンバラ判定速度1〜5のそれぞれに到達する毎に前加速度センサ57からの加速度信号および後加速度センサ58からの加速度信号に応じて水受槽52の加速度が検出され、複数の最高速度のうちから加速度の検出結果に応じた1つが選択される。この最高速度の選択結果がカウンタNmaxの値の設定結果と異なる場合には最高速度の選択結果がカウンタNmaxの値に設定され、カウンタNmaxの値の設定結果に応じて現在の残り運転時間の減算結果が変更される。この残り運転時間が変更された場合には表示器の残り運転時間の表示が残り運転時間の変更結果に変更される。この表示器は外箱51に固定されたものであり、表示器の残り運転時間の表示が変更された場合にはブザーが鳴動することで残り運転時間が変更されたと使用者に報知される。
【0058】
上記実施例2においては、前加速度センサ57および後加速度センサ58の一方を廃止しても良い。
上記実施例2においては、前加速度センサ57および後加速度センサ58のそれぞれから水受槽52の軸心線CLに対して直角または非直角に交差する方向の加速度に応じた加速度信号が出力されるように前加速度センサ57および後加速度センサ58のそれぞれを配置しても良い。
【0059】
上記実施例2においては、前加速度センサ57および後加速度センサ58のそれぞれに換えて変位量センサを用いても良い。
本発明のいくつかの実施例を説明したが、これらの実施例は例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施例はその他の様々な例で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の省略、置換、変更を行うことができる。これら実施例やその変更は発明の範囲や要旨に含まれると共に特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。