特許第6184704号(P6184704)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6184704
(24)【登録日】2017年8月4日
(45)【発行日】2017年8月23日
(54)【発明の名称】改良型電気機械アクチュエータ
(51)【国際特許分類】
   F16H 19/04 20060101AFI20170814BHJP
   H02K 7/06 20060101ALI20170814BHJP
   H02K 7/116 20060101ALI20170814BHJP
   B64C 13/50 20060101ALI20170814BHJP
   F16H 1/18 20060101ALI20170814BHJP
【FI】
   F16H19/04 D
   H02K7/06 A
   H02K7/116
   B64C13/50
   F16H1/18
   F16H19/04 L
【請求項の数】11
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-22817(P2013-22817)
(22)【出願日】2013年2月8日
(65)【公開番号】特開2013-164158(P2013-164158A)
(43)【公開日】2013年8月22日
【審査請求日】2016年2月5日
(31)【優先権主張番号】12382047.4
(32)【優先日】2012年2月10日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】513018718
【氏名又は名称】イーエーディーエス コンストルクシオネス アエロナウティカス ソシエダッド アノニマ
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】特許業務法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】サンティアゴ フローレス ジラルド
(72)【発明者】
【氏名】フランシスコ ハビエル フェルナンデス ガルシア
【審査官】 塚原 一久
(56)【参考文献】
【文献】 特開平11−063145(JP,A)
【文献】 特開2002−239669(JP,A)
【文献】 特開2007−159323(JP,A)
【文献】 実開昭55−123803(JP,U)
【文献】 特開平09−007271(JP,A)
【文献】 特開平06−198343(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16H 1/00− 1/26
F16H 19/00−37/16、49/00
H02K 7/00− 7/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気モータによって駆動される回転入力シャフト(13)と、
その内部端部において、その外側表面に螺旋ねじ山付きゾーン(18)を有する出力シャフト(29)と、
前記入力シャフト(13)が回転したとき、その軸線に対して回転するように構成された第1のローラ歯車と、
前記第1のローラ歯車と係合するように構成され、また、その螺旋ねじ山付きゾーン(18)内において前記出力シャフト(29)と係合するように構成されており、前記第1のローラ歯車の回転が、最初に、第2のローラ歯車(23、23’、23’’)に伝達され、前記第2のローラ歯車(23、23’、23’’)が、その軸(24、24’、24’’)に対して回転し、次に、前記第1のローラ歯車の回転が、前記出力シャフト(29)の直線移動に変換されるようになっている、複数の第2のローラ歯車(23、23’、23’’)と
を備えるリニア・アクチュエータ(10)であって、
前記入力シャフトが、その内部端部において、その外側表面に螺旋ねじ山付きゾーン(15)を有し、
リニア・アクチュエータ(10)が、複数の第1のローラ歯車(21、21’、21’’)をさらに備え、前記複数の第1のローラ歯車(21、21’、21’’)は、前記回転入力シャフト(13)とその螺旋ねじ山付きゾーン(15)内で係合するように構成されており、
前記第2のローラ歯車(23、23’、23’’)が、前記第1のはすばローラ歯車(21、21’、21’’)と係合するように構成されたはすば歯車である、ことを特徴とするリニア・アクチュエータ(10)。
【請求項2】
前記入力シャフト(13)が、中空シャフトであり、前記出力シャフト(19)が、前記入力シャフト(13)の内側を構成する内部導管内に配置される、請求項1に記載のリニア・アクチュエータ(10)。
【請求項3】
前記第1のはすばローラ歯車(21、21’、21’’)が、前記入力シャフト(13)に対して接線方向に配置され、前記第2のはすばローラ歯車(23、23’、23’’)が、前記出力シャフト(29)に対して接線方向に配置され、前記第1のはすばローラ歯車(21、21’、21’’)の軸(22、22’、22’’)に平行なその軸(24、24’、24’’)を有する、請求項1又は2に記載のリニア・アクチュエータ(10)。
【請求項4】
前記第2のはすばローラ歯車(23、23’、23’’)が、2つの異なるレベルで2つのねじ山付きゾーンを有し、第1のねじ山付きゾーン(25、25’、25’’)が、前記第1のはすばローラ歯車(21、21’、21’’)と係合するためのものであり、第2のねじ山付きゾーン(27、27’、27’’)が、前記出力シャフト(29)の前記螺旋ねじ山付きゾーン(18)と係合するためのものである、請求項3に記載のリニア・アクチュエータ(10)。
【請求項5】
第1のはすばローラ歯車と第2のはすばローラ歯車の協働する対(21、23;21’、23’;21’’、23’’)が、前記第1のはすばローラ歯車(21、21’、21’’)の軸(22、22’、22’’)に対して枢動するように歯車キャリア(31、31’、31’’)内に取り付けられ、前記第2のはすばローラ歯車(23、23’、23’’)を前記出力シャフト(29)に対して係合位置又は離脱位置で保持することができるようになっている、請求項4に記載のリニア・アクチュエータ(10)。
【請求項6】
前記出力シャフト(29)上に回転可能に取り付けられたディスク(41)をさらに備え、前記歯車キャリア(31、31’、31’’)及び前記ディスク(41)が、前記第2のはすばローラ歯車(23、23’、23’’)を前記出力シャフト(29)に対して係合位置又は離脱位置で保つための協働手段を構成する、請求項5に記載のリニア・アクチュエータ(10)。
【請求項7】
前記協働手段が、前記歯車キャリア(31、31’、31’’)内の突出タブ(33、33’、33’’)、並びに前記ディスク(41)内の複数の突起(43、43’、43’’)及び凹部(45、45’、45’’)であり、前記歯車キャリア(31、31’、31’’)が、その突出タブ(33、33’、33’’)が前記ディスク(41)の前記突起(43、43’、43’’)と接触しているときに係合位置で保たれ、そうでない場合に離脱位置で保たれるようになっている、請求項6に記載のリニア・アクチュエータ(10)。
【請求項8】
3つの第1のはすばローラ歯車及び第2のはすばローラ歯車(21、23;21’、23’;21’’、23’’)を備える、請求項1から7までのいずれか一項に記載のリニア・アクチュエータ(10)。
【請求項9】
前記ディスク(41)が、リング歯車(47)をさらに備え、前記リング歯車(47)は、その外側縁部において、前記ディスク(41)を回転させるために駆動装置(51)によって駆動されるウォーム・ドライブ(49)に結合される、請求項8に記載のリニア・アクチュエータ(10)。
【請求項10】
ジャミング又は1つの構成部品の劣化を検出するための監視手段と、ジャミング又は1つの構成部品の劣化が検出されたときに前記駆動装置(51)を作動させる制御手段とをさらに備える、請求項9に記載のリニア・アクチュエータ(10)。
【請求項11】
請求項1から10までのいずれか一項に記載のリニア・アクチュエータ(10)を備える航空機構成部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気機械アクチュエータに関し、より詳細には、その内部機械構成部品のジャミングに耐えることができる電気機械アクチュエータに関する。
【背景技術】
【0002】
リニア・アクチュエータは、多数の産業製品に使用されている。特に航空産業では、航空機操縦舵面及び他の航空機構成部品のアクチュエータとして使用されている。
【0003】
一般に、各航空機操縦舵面は、複数の並列のリニア・アクチュエータによって作動され、その結果、それらの1つが動力を失った場合、その舵面を残りのアクチュエータで制御することができる。この構成には、アクチュエータのうちの1つのジャミングにより舵面のブロッキングが生じるおそれがあるという欠点があるため、航空規制は、前記アクチュエータに対して(10−9程度の)きわめて低いジャミング確率を要求している。油圧アクチュエータは、この要件を満たすことができる。
【0004】
航空機をより電化することに向かう傾向(高度電化航空機、MEA)は、システムの重量及び維持コストの削減を目指しており、プライマリ・フライト・コマンド・システムを含む、フライト・コマンド・システムにおける新技術の導入に至った。
【0005】
電動油圧アクチュエータ(EHA)が、新しいプラットフォーム(A380、A400、A350、F35、...)に組み込まれている。このタイプのアクチュエータは、一体型の油圧システムを有し、その結果、航空機の電力システムとの相互接続は純粋に電気式であるが、航空機操縦舵面へのその動力伝達は、一体型の油圧アクチュエータを介したものである。これらは、舵面に伝達される動力が油圧アクチュエータによるものであり、同時に、航空機油圧システムを省くことを可能にするので、ジャミング確率の目標を満たす。この技術は、航空機作動システムの漸進的な電化における中間段階と考えられる。
【0006】
電気機械アクチュエータ(EMA)は、複雑さ、効率、重量、及び保守性に関するそれらの潜在的な利点にもかかわらず、(実験的な応用を除いて)プライマリ・フライト・コマンド・システムにまだ実装されていない。EMAがプライマリ・フライト・コマンド・システム制御に導入されていない主な理由は、以下の通りである。すなわち、
− 現在使用可能なアクチュエータのジャミングの確率が、要求されているものほど低くない。
− 電力を失った場合のこれらのアクチュエータの可逆性が、特に電気モータと出力の間のメカニカル・アドバンテージが高い場合、油圧出力段を有するアクチュエータの場合ほど良好でない。
【0007】
EMAアクチュエータの出力段において一般に応用されている技術(プライマリ・ボールねじ及び機械的減速ギヤボックス)は、以下の理由で上記の要件を完全に保証しない。すなわち、
− 通常電気モータとねじの間に接続される機械的ギヤボックスが、この応用分野に要求されるものより高いジャミングの確率を有する。ボールねじは、機械的再循環要素を組み込むことにより同じ問題を有しており、これらの要素は、ブロックされたとき、非実用的なレベルまでねじの移動を妨げ、又は損なう。
− ジャミングの場合のボールねじの可逆性は低い。何故なら、電気モータのサイズを抑えるために、通常小さいピッチが使用されるからである。
【0008】
遊星ローラねじは、とりわけ強度、寿命、及び耐荷重の点で、同様の効率でボールねじに優る利点を有する。それらの設計は単純であり、循環要素を含まない。しかし、外部汚染、破損などがあることにより、その可動部(ローラ、同期クラウン、歯車など)のジャミングがないということはなく、したがってアクチュエータの出力シャフトが動かなくなる。
【0009】
米国特許第7,410,132号及び米国特許第7,610,828号は、ジャミングが発生した場合、出力シャフトを解放するための手段を組み込むボールねじリニア・アクチュエータを開示している。
【0010】
これらの提案の1つの欠点は、ボールねじが、再循環チャネル内にジャミングを起こしやすい再循環要素を有することである。したがって、これらは、比較的高いジャミングの確率となる。
【0011】
別の欠点は、どちらの提案においても、出力リニア要素のロック解除がねじのナットのレベルで実施されることである。次いで、出力リニア要素を解放した後で、並列アクチュエータ(上述の、1組の並列アクチュエータによって作動される飛行操縦舵面の場合)が、ねじとナットを共に引き出す必要がある。これは、並列アクチュエータの行程全体に沿ってねじ及びナットによって掃引される容積を空けてアクチュエータが設計されることを意味する。さらに、並列アクチュエータによって引き出されるための慣性は、ねじ及びナットの慣性である。
【0012】
文献米国特許出願第2007/295125号もまた知られており、この文献は、
− 電気モータによって駆動される回転入力シャフトと、
− その内部端部において、その外側表面に螺旋ねじ山付きゾーンを有する出力シャフトと、
− 入力シャフトが回転したときその軸に対して回転するように構成された第1のローラ歯車と、
− 第1のローラ歯車と係合するように、また出力シャフトとその螺旋ねじ山付きゾーン内で係合するように構成され、その結果、第1のローラ歯車の回転が、最初に、その軸に対して回転する第2のローラ歯車に伝達され、次に出力シャフトの直線移動に変換される、複数の第2のローラ歯車とを備えるリニア・アクチュエータを開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】米国特許第7,410,132号
【特許文献2】米国特許第7,610,828号
【特許文献3】米国特許出願第2007/295125号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明の1つの目的は、再循環要素を有するこれらの既知のリニア・アクチュエータより低いジャミングの確率で電気モータによって駆動されるリニア・アクチュエータを提供することである。
【0015】
本発明の他の目的は、出力シャフトを伝動チェーンの他の機械的構成要素から切り離すことができるリニア・アクチュエータを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
これら及び他の目的は、2段リニア・アクチュエータによって満たされ、第1段は、その内部端部において、その外側表面に螺旋ねじ山付きゾーンを有する、電気モータによって駆動される回転入力シャフトと、共に回転するために、回転入力シャフトとその螺旋ねじ山付きゾーン内で係合するように構成された複数の第1のはすばローラ歯車とを備える。第2段は、複数の第2のはすばローラ歯車を備え、複数の第2のはすばローラ歯車は、第2のはすばローラ歯車の回転を出力シャフトの直線移動に変換するために、その内部端部において、その外側表面に螺旋ねじ山付きゾーンを有する出力シャフトと係合するように構成され、また、第2のはすばローラ歯車は、共に回転するために、第1のはすばローラ歯車と係合するように構成される。
【0017】
入力シャフトは、中空シャフトであり、出力シャフトは、入力シャフトの内側を構成する内部導管内に配置されることが有利である。
【0018】
第2のはすばローラ歯車は、2つの異なるレベルで2つのねじ山付きゾーンを有し、第1のねじ山付きゾーンは、第1のはすばローラ歯車と係合するためのものであり、第2のねじ山付きゾーンは、出力シャフトの螺旋ねじ山付きゾーンと係合するためのものであることが有利である。
【0019】
本発明の一実施例では、第1のはすばローラ歯車と第2のはすばローラ歯車の協働する対が、第1のはすばローラ歯車の軸に対して枢動するように歯車キャリア内に取り付けられ、その結果、第2のはすばローラ歯車を出力シャフトに対して係合位置又は離脱位置で保持することができる。したがって、このリニア・アクチュエータは、ジャミング・イベント時に、又は機械的構成部品の危険な劣化が検出された場合に、出力シャフトを解放するための手段を備える。
【0020】
この解放システムは、歯車キャリアと、第2のはすばローラ歯車が出力シャフトに対して係合又は離脱した状態で歯車キャリアを保つために出力シャフト上に回転可能に取り付けられたディスクとの相互作用によって実施される。
【0021】
本発明のリニア・アクチュエータの特定の応用分野は、航空機構成部品、及び特に航空機操縦舵面の作動である。
【0022】
本発明によるリニア・アクチュエータの他の望ましい特徴及び利点は、添付の図面に関連して、後続の本発明の詳細な説明及び添付の特許請求の範囲から明らかになろう。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明の一実施例によるリニア・アクチュエータの斜視図である。
図2】本発明の一実施例によるリニア・アクチュエータの部分断面図である。
図3】本発明の一実施例によるリニア・アクチュエータの主要構成部品の斜視図である。
図4a】係合位置にある出力シャフトの解放手段を組み込む、本発明の一実施例によるリニア・アクチュエータの主要構成部品の斜視図である。
図4b】離脱位置にある出力シャフトの解放手段を組み込む、本発明の一実施例によるリニア・アクチュエータの主要構成部品の斜視図である。
図5】出力シャフトの解放手段を組み込み、解放手段を駆動するための手段を示す、本発明の一実施例によるリニア・アクチュエータの主要構成部品の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図1は、次に述べる本発明の実施例による、作動用部材30を直線移動させるためのリニア・アクチュエータ10の概要を示す。
【0025】
1組のリニア・アクチュエータ10は、たとえば航空機の操縦舵面を作動させるために使用することができる。
【0026】
リニア・アクチュエータ10は、ギヤボックス9を介して電気モータ7によって駆動される、ケーシング11内に位置する入力シャフトの回転運動を、作動用部材30が連結される出力シャフト29の制御された直線移動に変換する。また、リニア・アクチュエータ10を、電気モータによって直接駆動することもできる。
【0027】
図2及び図3は、リニア・アクチュエータ10の主要構成部品、すなわち入力シャフト13、出力シャフト29、3つの第1のはすばローラ歯車21、21’、21’’、及び3つの第2のはすばローラ歯車23、23’、23’’を示す(図3には、第1のローラ歯車21、21’及び第2のローラ歯車23、23’だけが明瞭に示されているが、第1のローラ歯車21’’及び第2のローラ歯車23’’に対応する符号も図3に含まれており、本明細書でも使用されることになる)。
【0028】
入力シャフト13は、必要とされる剛性を達成するために軸線方向に予圧された1対の接触軸受16により、ケーシング11に回転可能に取り付けられる。入力シャフト13は、その内部端部において、その外側表面に螺旋ねじ山付きゾーン15を有する中空円筒として構成される。また、その外部端部において、ギヤボックス9に連結される。
【0029】
出力シャフト29は、ケーシング11内において、入力シャフト13及び管状ハウジング12によって境界を画された長手方向の導管内に配置され、その結果、前記導管に沿って長手方向に変位することができる。出力シャフト29は、その外面に螺旋ねじ山付きゾーン18を有する。螺旋ねじ山付きゾーン18の長さは、出力シャフト29の変位について予測される最大長さである。出力シャフト29は、その外部端部において、リニア・アクチュエータ10によって実施される機能にとって適切な形状の作動用部材30に連結される。
【0030】
第1のはすばローラ歯車21、21’、21’’は、螺旋ねじ山付きゾーン15内において入力シャフト13と係合するように配置される。第1のはすばローラ歯車は、入力シャフト13に対して接線方向に配置されており、入力シャフト13の回転によって、3つのローラ歯車21、21’、21’’が、その軸22、22’、22’’の周りで回転するようになっている。
【0031】
第2のはすばローラ歯車23、23’、23’’は、一方の側で第1のはすばローラ歯車21、21’、21’’と係合し、また他方の側で出力シャフト29とその螺旋ねじ山付きゾーン18内で係合するように、その軸24、24’、24’’が第1のはすばローラ歯車21、21’、21’’の軸22、22’、22’’に平行な状態で配置される。第1のはすばローラ歯車21、21’、21’’の回転は、第2のはすばローラ歯車23、23’、23’’に伝達され、第2のはすばローラ歯車23、23’、23’’の回転は、出力シャフト29の直線移動に変換される。第2のはすばローラ歯車23、23’、23’’と第1のはすばローラ歯車21、21’、21’’との係合は、第1の螺旋ねじ山付きゾーン25、25’、25’’内で行われ、第2のはすばローラ歯車23、23’、23’’と出力シャフト29の螺旋ねじ山付きゾーン18との係合は、第2の螺旋ねじ山付きゾーン27、27’、27’’内で行われる。
【0032】
前記第1の螺旋ねじ山付きゾーン25、25’、25’’及び第2の螺旋ねじ山付きゾーン27、27’、27’’は、第2のはすばローラ歯車23、23’、23’’が第1のはすばローラ歯車21、21’、21’’及び出力シャフト29に同時に係合するのを可能にするために、異なるレベルで配置される。
【0033】
図4a、図4b、及び図5は、リニア・アクチュエータ10の任意の構成部品が故障したときに出力シャフト29の完全な解放を可能にする、第1のはすばローラ歯車21、21’、21’’及び第2のはすばローラ歯車23、23’、23’’の構成の主要構成部品を示す。
【0034】
第1のはすばローラ歯車21、21’、21’’及び第2のはすばローラ歯車23、23’、23’’は、21、23の対、21’、23’の対、21’’、23’’ の対によって、歯車キャリア31、31’、31’’内に取り付けられており、これは、出力シャフト29に回転可能に取り付けられたディスク41と協働して、第2のはすばローラ歯車23、23’、23’’を出力シャフト29に対して係合位置又は離脱位置に位置決めすることを可能にする。
【0035】
歯車キャリア31、31’、31’’は、ばね39(図2参照)により(ケーシング11に回転可能に取り付けられた)第1のはすばローラ歯車21、21’、21’’の軸22、22’、22’’の周りで枢動するように取り付けられており、ディスク41の前面のその縁部に突出タブ33、33’、33’’を備える。
【0036】
ディスク41は、軸線方向の延長部を備えており、延長部は、交互に並ぶ一連の突起43、43’、43’’及び凹部45、45’、45’’によって、歯車キャリア31、31’、31’’の前面の縁部を構成させている。
【0037】
歯車キャリア31、31’、31’’が、その突出タブ33、33’、33’’がディスク41の突起43、43’、43’’と接触した状態で取り付けられているとき(図4a参照)、歯車キャリア31、31’、31’’は、出力シャフト29に対する第2のはすばローラ歯車23、23’、23’’の事前に定義された予圧及び調整条件に従って、係合位置に配置され、出力シャフト29の軸線方向移動を最小限に抑える、又は防止する。
【0038】
ディスク41が回転し、歯車キャリア31、31’、31’’の突出タブ33、33’、33’’がディスク41の凹部45、45’、45’’の前面で位置決めされたとき、歯車キャリア31、31’、31’’は、ばね39により離脱位置に枢動される。
【0039】
ディスク41は、回転手段として、適切な駆動装置51、たとえば電気モータ又はソレノイドによって駆動されるウォーム・ドライブ49に結合されたリング歯車47を備える。はすば歯車(動作されないときブレーキで定位置に保持される)のような、リング歯車47に代わる他のタイプの駆動要素を考えることもできる。
【0040】
リニア・アクチュエータ10は、ブロック、又は任意の構成部品の劣化を検出するための監視手段によって出力シャフト29を解放する必要が検出されたときに駆動装置51を作動させるために、この監視手段に接続された制御手段をさらに備える。
【0041】
前記監視手段は、検出手段として、リニア・アクチュエータに一体化された専用センサ(加速度、力)若しくはリニア・アクチュエータの制御変数(電流、電圧、速度、位置)を使用する手段、又は両者の組合せと、(時間領域の、又は周波数領域の)選択されたパラメータの進展をリアルタイムで評価し、それらを、リニア・アクチュエータに欠陥がない場合に予想される進展と比較することができるデジタル診断システムとを備える。
【0042】
本発明の1つの利点は、リニア・アクチュエータに、高いジャミングの確率に関係する再循環要素がないことである。
【0043】
本発明の他の利点は、解放機構が出力シャフトの上で働くことである。したがって、出力シャフトを解放した後で、並列アクチュエータ(上述の、1組の並列アクチュエータによって作動される飛行操縦舵面の場合)は、出力シャフトだけを引き出す必要があり、リニア・アクチュエータのよりコンパクトな設計を可能にし、並列アクチュエータの動作を容易にする。
【符号の説明】
【0044】
9 ギヤボックス
10 リニア・アクチュエータ
11 ケーシング
12 ハウジング
13 入力シャフト
15 螺旋ねじ山付きゾーン
16 接触軸受
18 螺旋ねじ山付きゾーン
21 第1のはすばローラ歯車
21’ 第1のはすばローラ歯車
21’’ 第1のはすばローラ歯車
22 軸
22’ 軸
22’’ 軸
23 第2のはすばローラ歯車
23’ 第2のはすばローラ歯車
23’’ 第2のはすばローラ歯車
24 軸
24’ 軸
24’’ 軸
25 第1の螺旋ねじ山付きゾーン
25’ 第1の螺旋ねじ山付きゾーン
25’’ 第1の螺旋ねじ山付きゾーン
27 第2の螺旋ねじ山付きゾーン
27’ 第2の螺旋ねじ山付きゾーン
27’’ 第2の螺旋ねじ山付きゾーン
29 出力シャフト
30 作動用部材
31 歯車キャリア
31’ 歯車キャリア
31’’ 歯車キャリア
33 突出タブ
33’ 突出タブ
33’’ 突出タブ
39 ばね
41 ディスク
43 突起
43’ 突起
43’’ 突起
45 凹部
45’ 凹部
45’’ 凹部
47 リング歯車
49 ウォーム・ドライブ
51 駆動装置
図1
図2
図3
図4a
図4b
図5