特許第6184724号(P6184724)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6184724
(24)【登録日】2017年8月4日
(45)【発行日】2017年8月23日
(54)【発明の名称】充填機の制御方法
(51)【国際特許分類】
   B67C 3/24 20060101AFI20170814BHJP
【FI】
   B67C3/24
【請求項の数】6
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2013-77968(P2013-77968)
(22)【出願日】2013年4月3日
(65)【公開番号】特開2013-216383(P2013-216383A)
(43)【公開日】2013年10月24日
【審査請求日】2016年1月19日
(31)【優先権主張番号】10 2012 102 965.2
(32)【優先日】2012年4月4日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】508120916
【氏名又は名称】クロネス アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】110001416
【氏名又は名称】特許業務法人 信栄特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】アンゲラー フローリアン
【審査官】 新田 亮二
(56)【参考文献】
【文献】 特開2000−128283(JP,A)
【文献】 特開平06−144489(JP,A)
【文献】 特開2006−036252(JP,A)
【文献】 特開2004−189341(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B67C 3/24
B65B 57/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
各々が少なくとも1つの充填センサを有する複数の制御可能な充填エレメントを具備しており、容器を液材で充填する充填機を制御する方法であって、
前記少なくとも1つの充填センサを用いて前記複数の充填エレメントの各々による充填動作の終了を制御し、
前記複数の充填エレメントの各々について前記少なくとも1つの充填センサの欠陥を検知し、
前記複数の充填エレメントに含まれる第1充填エレメントの少なくとも1つの充填センサに欠陥が検知された場合、前記複数の充填エレメントに含まれて当該第1充填エレメントに隣接する第2充填エレメントの少なくとも1つの充填センサが当該第1充填エレメントを起動するように、当該第1充填エレメントと当該第2充填エレメントの同期制御が一充填工程の間に行なわれる、
方法。
【請求項2】
前記第2充填エレメントは、前記第1充填エレメントの充填動作の開始時と終了時の双方を同期制御する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1充填エレメントは、中央制御装置からの制御コマンドによっても制御される、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記充填センサの欠陥は、中央制御装置によって検出される、請求項1からのいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記中央制御装置が、前記第1充填エレメントと前記第2充填エレメントの同期制御を自動的に行なう、請求項に記載の方法。
【請求項6】
前記第1充填エレメントと前記第2充填エレメントの同期制御への切り替えが手動で行なわれる、請求項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器を液材で充填する充填機を制御する方法、好ましくは、飲料容器を飲料で充填するロータリ充填機を制御する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
容器に液材を充填する充填機、特にロータリ充填機が従来からよく知られている。周知の充填機は、一般に、充填すべき対象の各容器に液材が到達するときに通過する充填エレメントを備えている。各充填動作は、通常は各充填エレメントが装置の所定位置(すなわちロータリの回転角度位置)にあるときに開始され、所定の終了条件に到達したときに終了する。充填動作における終了条件とは、例えば、各容器における目標充填量への到達、目標充填重量への到達、または目標充填高さへの到達が挙げられる。終了条件への到達は、適当な充填センサを用いて監視される。充填終了に係るロータリ回転角度位置に達するまでに終了条件が満足されない場合、充填動作は強制的に終了される。
【0003】
実際の充填動作の間、充填エレメントは所定のスキームに基づいて制御され、様々な流量で充填を行ないうる。例えば、充填動作の開始時においては、過剰な泡立ちを回避するために少なめの流量とされる。中間の段階では、迅速な容器充填のために流量が最大とされる。そして充填動作の終了に向かい、流量は減少されて終了条件に正確かつ問題なく到達できるようにする。
【0004】
終了条件の存在を検知する充填センサは、例えば、充填エレメントを通過する液材の流量を特定するフローセンサ、容器に充填される液体の重量を特定する重量センサまたはロードセル、容器内に充填された液体の所定の液面高さを特定するプローブにおける短絡センサまたはピトー管の背圧センサ、容器に導入された液体の体積を特定するセンサとされる。所定の体積、重量や液面高さへの到達をもって充填エレメントは閉塞され、当該容器についての充填動作は終了される。
【0005】
充填機において上記のように対象物の充填完了を判定する充填センサが故障すると、充填完了を正確に特定することができない。その結果、充填終了に係るロータリ回転角度位置に到達する前に容器の過充填が生ずる。実際の容器充填状態によらず、当該ロータリ回転角度位置に到達するまで充填エレメントの閉塞が行なわれないためである。このように過充填された容器は、充填不良品として取り除かれねばならない。ロータリ充填機の場合は、原理上回転サイクル毎にそのような過充填容器が生じるため、生産量の顕著な低下が発生する。また各過充填容器からの液体の溢れ出しによる汚染が増大する。
【0006】
従来の充填方式では、充填センサに不具合が生じた場合、係る充填エレメントを完全に停止することにより、過充填容器の生産を回避している。しかしながら、当該充填エレメントの停止により稼働率の低下が生ずる。また当該充填エレメントが停止されることにより、回転サイクル毎に少なくとも1つの空容器が生ずる。結局のところ、後続の品質管理工程において当該空容器を取り除く必要がある。
【0007】
無欠陥の充填センサが充填完了の検出に要する時間を測定し、当該時間に基づいて欠陥のある充填センサを備える充填エレメントを制御する手法が知られている(例えば、特許文献1を参照)。この手法によれば、欠陥のある充填センサを備える充填エレメントでも引き続き動作させることができる。欠陥のある充填エレメントを所定のロータリ回転角度位置で開閉させるためには、例えば、欠陥のある充填センサ用の開閉信号を遅延させればよい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】独国特許出願公開第10 2006 029 490 B4号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
この方式における短所は、無欠陥の充填エレメントによる充填時間を測定するために、充填機を少なくとも1回転させねばならない点である。このとき充填センサに欠陥があると、少なくとも2個の不良充填容器が生ずる。すなわち1個目の不良充填容器は、欠陥のある充填エレメントにより過充填されたものであり、2個目の不良充填容器は、1個目の不良充填容器に係る充填エレメントを停止させたときに、無欠陥の充填エレメントによる充填が、同様に過充填となっているか、充填不足となるものである。
【0010】
よって本発明は、容器を液材で充填する充填機を制御する代替手法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の目的を達成するために、本発明がとりうる一態様は、容器を液材で充填する充填機を制御する方法であって、前記充填機は、各々が充填センサを有する少なくとも2つの制御可能な充填エレメントを具備し、当該充填センサを用いて各充填エレメントによる充填動作の終了を制御するものであり、前記容器の搬送方向について先行する第1の充填エレメントが有する前記充填センサに欠陥がある場合に、当該第1の充填エレメントを、当該搬送方向について後続する第2の充填エレメントと同期するように制御する。
【0012】
第1の充填エレメントの充填センサに欠陥がある場合、この充填エレメントの制御を後続の第2の充填エレメントが担うことにより、両充填エレメントは同期して動作する。よって不良充填センサを有する第1の充填エレメントは、第2の充填エレメントが開くときに正確に開く。閉じるときも両充填エレメントは同期して閉じる。また第2の充填エレメントによる充填動作においては、流量が異なる複数の動作段階を設定することが可能であるが、この場合においても、不良充填センサを有する第1の充填エレメントは同期して動作する。
【0013】
先行し不良充填センサを有する充填エレメントの制御を担う後続の充填エレメントは、無欠陥の充填センサを有する充填エレメントであってもよいし、同様に不良充填センサを有する充填エレメントであってもよい。後者の場合、無欠陥の充填センサを有するさらに後続の充填エレメントと同期するように制御される。すなわち、不良充填センサを有する各充填エレメントは、無欠陥の充填センサを有する後続の充填エレメントとカスケード的に同期して制御される。
【0014】
このような構成によれば、無欠陥の充填センサを有する充填エレメントが、容器の搬送方向について先行し不良充填センサを有する少なくとも1つの充填エレメントを制御することができる。同期して動作される充填エレメントにおいては、充填条件は実質的に同一となる。すなわち、同期制御される各充填エレメントの上方に配置された液材を貯蔵するタンクにおける液面高さは略同一であるため、各充填エレメントに作用する圧力も同じとなる。したがって、不良充填センサを有する充填エレメントについて、無欠陥の充填センサを有する充填エレメントと同一の充填出力が得られると仮定することが可能である。
【0015】
よって不良充填センサを有する充填エレメントを、当該欠陥が検知された直後に充填動作に再投入することができる。好ましくは、誤充填された容器、すなわち充填センサの欠陥により過充填された容器が1つだけ生産されるに留まり、当該容器が当該欠陥の検出をもたらす。その直後より、不良充填センサを有する充填エレメントが、無欠陥の充填センサを有する後続の充填エレメントと同期するように制御される。
【0016】
不良充填センサを有する充填エレメントを、後続の充填エレメントと同期するように制御することにより、制御内容は顕著に単純化され、充填センサの欠陥が検知された直後より実行可能である。遅延を計算に入れることも遅延時間を記録することも、また換算係数を適用することも一切必要ない。後続の充填エレメントと同期するように、不良充填センサを有する充填エレメントを制御するのみである。
【0017】
不良充填センサを有する充填エレメントを、後続の充填エレメントと同期するように制御することにより、手間のかかる計算プロセスも省略できる。後続の充填エレメントの制御信号を、不良充填センサを有する充填エレメントの制御に直接使用するだけでよい。このような構成によれば、緊急時動作において極めて単純な制御が可能であり、これを低コストかつ単純な手法で実現することができる。
【0018】
前記第1の充填エレメントが同期する前記第2の充填エレメントは、前記搬送方向について当該第1の充填エレメントの直後に配置されているものであってもよい。この場合、特に厳密な制御が達成できる。不良充填センサを有する第1の充填エレメントの同期制御のために直後に続く第2の充填エレメントを使用することにより、当該第1の充填エレメントにとって使用できない充填動作領域は、充填エレメント同士の間隔分のみとすることができる。よって充填動作領域の開始位置で第1の充填エレメントによる充填が始まらない場合でも、充分な容器の充填を行なうことができる。第1の充填エレメントと第2の充填エレメントが大きく離れている場合、この確実性を得ることはできない。この場合においては、第2の充填エレメントによる充填動作が完了する前に、第1の充填エレメントが充填動作領域から出てしまう可能性があるためである。
【0019】
また隣接する2つの充填エレメントについては、充填条件が実質的に同一であるため、容器への所望の注入を正確に行いうる。
【0020】
前記搬送方向について隣接する少なくとも2つの充填エレメントが有する前記充填センサに欠陥がある場合、当該少なくとも2つの充填エレメントは、それらの直後に配置されている無欠陥の前記充填センサを有する充填エレメントと同期するように制御されてもよい。この場合、少なくとも3つの充填エレメントが同期制御される。このように、不良充填センサを有する少なくとも2つの充填エレメントを、無欠陥の充填センサを有する後続の充填エレメントとカスケード的に同期させることにより、複数の充填センサが故障した場合でも、充填機の全出力状態を維持することができる。この場合においても、充填センサの欠陥が検知された直後に相応の緊急時動作を有効にできるため、充填センサの欠陥を検出するために生じる出力ロスがわずかで済む。
【0021】
前記充填センサに欠陥のある充填エレメントの充填動作の開始時と終了時の双方において、前記充填センサに欠陥がなく前記搬送方向について後続する充填エレメントと同期するように制御されることが、特に好ましい。この場合、不良充填センサを有する充填エレメントの充填動作を別個に制御する手間が省かれるので、制御は極めて単純化される。
【0022】
前記充填センサに欠陥のある充填エレメントは、前記充填センサに欠陥がなく前記搬送方向について後続する充填エレメントとの同期制御に加え、中央制御装置からの制御コマンドによっても制御されてもよい。この場合、不良充填センサのデータに依存しない他の制御コマンドを当該充填エレメントで引き続き実行することができる。すなわち、開閉コマンドのみが後続の充填エレメントから転送され、その他の全充填エレメントに適用される他の制御コマンドは、中央制御装置に担われる。
【0023】
前記充填センサの欠陥は、中央制御装置によって検出されてもよい。例えば、中央制御装置が容器検査器と通信することにより、誤充填された容器が検出される。中央制御装置は、自動的に不良充填センサを有する充填エレメントを後続の充填エレメントと同期するように制御することが好ましい。この場合、不良充填センサを有する充填エレメントの緊急時動作への切り替えを自動的に実行でき、外部からの介入が不要になる。
【0024】
あるいは、充填センサの欠陥を装置オペレータが検出したとき、当該充填センサに欠陥のある充填エレメントを、充填センサに欠陥がなく後続する充填エレメントに同期させる制御が、手動で選択されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】実施形態に係るロータリ充填機の動作状態を模式的に示す平面図である。
図2図1のロータリ充填機の別の動作状態を模式的に示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
添付の図を参照しつつ、本発明に係る実施形態の例について以下説明する。同等あるいは同様の役割をもつ要素には同一の参照番号を付与し、繰返しとなる説明は省略する。
【0027】
図1に充填機の一例としてのロータリ充填機Aを示す。ロータリ充填機Aは、その外周に沿って複数のポケットBを備えている。各ポケットBは、充填対象である容器Cを受容するように構成されている。
【0028】
円状に等間隔に並んだ円は、搬送される充填対象としての容器Cを表している。例えば符号Iで示された回転角度範囲内に配置された供給部(図示せず)から、容器Cが供給される。各充填エレメントは、各容器Cの上方に配置される。図1図2における符号1、2、30、31は、充填エレメントを示している。
【0029】
注入される液材に応じて、自由ビーム充填弁やその他の充填弁が用いられる。前者の場合、一般に自由ビーム充填弁は、充填完了を判定するために用いられる計量セルの下方に配置される。この計量セルは、回転角度範囲I内で揺動可能とされている一方、充填動作を確実に監視できるように免震等が施されている。計量セルの代わりに、例えば所定の充填液面高さを特定するプローブを用いてもよい。またフローメータ、体積センサを用いて目標体積への到達を充填動作の終了条件としてもよい。
【0030】
各容器Cについて必要な適合が可能な充填エレメントの場合、当該適合処理は、回転角度範囲I内で行なわれうる。
【0031】
回転角度範囲IIは、充填動作が行なわれる回転角度範囲の最大値に対応する。当該回転角度範囲内において、適当な充填エレメントにより各容器Cに液材が注入される。回転位置a)において開始される充填工程においては、充填エレメントが開かれることにより充填が開始される。充填完了を判定する適当な充填センサ(例えば、計量セル、フローセンサ、体積計、ピトー管、短絡プローブ)が、所定の終了条件(例えば、所定の充填体積、充填重量、充填量、または充填液面高さ)に達したことを検出すると、当該充填エレメントは再び閉じられる。
【0032】
回転角度範囲IIにわたる充填工程には、様々な動作状態が含まれうる。一般に充填動作の開始時には、充填エレメントの開放量は少なめとされる。注入される液材に応じて、容器C内の過剰な泡立ちを防ぐためである。その後、迅速に充填を進めるために、充填エレメントが全開とされる。充填動作の終了段階では、充填速度が再度低くされる。終了条件への到達を正確にするためである。
【0033】
充填に係る回転角度範囲の最後においては、回転位置b)において充填エレメントが必ず閉じられる。次いで充填済み容器の取り出しを可能とするためである。
【0034】
ある充填エレメント(例えば符号1が付された充填エレメント)が備える充填センサに欠陥が検出された場合、当該充填エレメントは、緊急時動作に切り替えられる。これに伴い、不良充填センサを備える充填エレメント1は、後続の充填エレメント2に同期するように起動される。換言すると、充填エレメント1と2は、同期して動作する。
【0035】
したがって、欠陥のある充填エレメント1は、充填に係る回転角度範囲の始まり、すなわち回転位置a)において開かれるのではなく、無欠陥の充填センサを備える後続の充填エレメント2が回転位置a)に到達したときに同期して開かれる。不良充填センサを備える充填エレメント1は、充填が可能な回転角度範囲IIの一部を失うが、その量は容器C同士の間隔1つ分でしかない。
【0036】
充填動作中の全ての段階について、すなわち流量を減少させる段階および流量を増大させる段階について、不良充填センサを備える充填エレメント1は、後続の充填エレメント2と同期して同様に動作する。
【0037】
上記の正常時動作から緊急時動作への切り替えは、充填エレメント1の欠陥が確認されると直ちに行なわれうる。切り替えは、例えば中央制御装置によって自動的に行なわれてもよいし、手動で行なわれてもよい。
【0038】
充填エレメントの同期制御により、測定や計算にかかる余分な時間を完全に省くことができる。後続の充填エレメント2の制御信号と同一の制御信号を、同期して不良充填センサを備える充填エレメント1に印加するだけでよい。
【0039】
後続の充填エレメント2が、すぐ先を行く不良充填センサを備える充填エレメント1の制御に用いられることにより、充填エレメント1が回転角度範囲IIの終わりに到達するときには、確実に充填動作を実質的に終了させることができる。これに伴い、充填エレメント1の下に配置された容器Cに対し、確実に後続の充填エレメント2が行なった充填動作の全段階を成し遂げることができる。但し、後続の充填エレメント2の充填動作が、回転角度範囲IIの末端である回転位置b)で終了する場合、不良充填センサを備える充填エレメント1に対応する容器Cでは、充填が可能な回転角度範囲IIの一部を失った分だけの、ごくわずかな充填不足が生ずる。しかしながら、充填動作は回転位置b)の手前で終了していることが一般的である。よって先行する充填エレメント1においても、回転位置b)においては容器Cの充填を完全に終えることができる。
【0040】
中央制御装置から発行された別の制御コマンドは、充填エレメント1でも実行されうる。充填動作に係る制御のみが充填エレメント2により実行される。
【0041】
図2は、充填機Aの別の動作状態を示している。ここでは回転角度範囲IIの範囲内で、さらに別の隣接する充填センサが故障している。具体的には、充填エレメント31、30、1の充填センサが故障している。
【0042】
この場合においても、不良充填センサを備える充填エレメント31、30、1の同期制御が、それぞれ後続の充填エレメントにより行なわれることが好ましい。
【0043】
欠陥のある各充填エレメント31、30、1は、カスケード式に制御される。具体的には、不良充填センサを備える充填エレメント1が、無欠陥の充填センサを備える後続の充填エレメント2に同期して制御される。不良充填センサを備える充填エレメント30は、充填エレメント2と同期して動作する(不良充填センサを備えた)充填エレメント1により同期制御される。同様にして、不良充填センサを備える充填エレメント31は、(不良充填センサを備えた)充填エレメント30により同期制御される。すなわち、充填エレメント2、1、30、31は同期して開閉される。
【0044】
したがって、緊急時動作においては、欠陥を有する充填エレメントが必ず後続の充填エレメントに基づく動作をするという単純化された制御がなされる。すなわち後続の充填エレメントによる同期制御が提供される。後続の充填エレメントが不良充填センサを備える場合、欠陥を有する充填エレメント同士は同期動作をする。しかしながら、後続の充填エレメントが無欠陥であれば、当該充填エレメントが、先行し欠陥を有する充填エレメントの全てをカスケード式に同期制御する。
【0045】
最も先行する欠陥を有する充填エレメントが回転角度範囲IIを脱する際に、容器の充填不足が問題となるほどにカスケードが長くなった場合は、充填機を完全に停止させる必要がある。すなわちカスケーディングの長さは、無欠陥の充填エレメントにおける最大流量と、充填に係る回転角度範囲IIの最大値とに基づいて制限される。
【0046】
実施形態の例に係る上記の説明は、本発明の理解を容易にするためのものであって、本発明を限定するものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく変更・改良されうると共に、本発明にはその等価物が含まれうることは明らかである。
【符号の説明】
【0047】
A:充填機、B:ポケット、C:容器、I:容器が供給される回転角度範囲、II:充填に係る回転角度範囲、a):充填動作の開始位置、b):充填動作の終了位置
図1
図2