(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6184736
(24)【登録日】2017年8月4日
(45)【発行日】2017年8月23日
(54)【発明の名称】渦発生装置
(51)【国際特許分類】
B64C 23/06 20060101AFI20170814BHJP
B64C 3/50 20060101ALI20170814BHJP
【FI】
B64C23/06
B64C3/50
【請求項の数】13
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2013-97579(P2013-97579)
(22)【出願日】2013年5月7日
(65)【公開番号】特開2013-233926(P2013-233926A)
(43)【公開日】2013年11月21日
【審査請求日】2016年3月18日
(31)【優先権主張番号】13/466,202
(32)【優先日】2012年5月8日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】596134851
【氏名又は名称】ロッキード・マーチン・コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】110000408
【氏名又は名称】特許業務法人高橋・林アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】ケニース エム. ドルセット
【審査官】
前原 義明
(56)【参考文献】
【文献】
国際公開第00/017046(WO,A1)
【文献】
特開2008−094177(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B64C 3/48
B64C 3/50
B64C 9/16
B64C 9/22
B64C 21/10
B64C 23/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
航空機翼上に担持されるように構成された渦発生器であって、翼の前縁高揚力装置の設置に対応して、前記渦発生器の後続の主翼体の上面領域の少なくとも一部にわたって前記渦発生器が渦を生成することになる位置に設置されるように更に構成された、渦発生器を備え、
前記前縁高揚力装置は、フラップシール部分を有する前縁フラップを含み、
前記前縁フラップは、前記前縁フラップが収容される場合には前記主翼体の上部翼面外郭に沿って平らに存在し、前記前縁フラップが設置される場合には前記主翼体の前記上部翼面外郭から離れるように突き出し、
前記渦発生器は、前記前縁フラップの前記フラップシール部分のフラップシール後縁に組み込まれ、
前記フラップシール後縁の少なくとも一部に、および当該少なくとも一部に沿って設けられた鋸歯部を含むパターンを含む、渦発生装置。
【請求項2】
前記渦発生器は、前縁フラップ設置の範囲の少なくとも一部にわたって前記上部翼面外郭から上方に突き出し、前記渦発生器は、少なくとも前記前縁フラップが収容される場合には前記上部翼面外郭に沿って平らに存在する、請求項1に記載の渦発生装置。
【請求項3】
前記前縁フラップが収容される場合、および前記フラップシール後縁が前記上部翼面外郭から離れるように曲げられないように限定された範囲のみに前記前縁フラップが配置される場合には、前記渦発生器が前記上部翼面外郭に沿って平らに存在し、
翼を越える気流に拡張するために、前記フラップシール後縁を前記上部翼面外郭から離れるように十分に曲げるように、前記前縁フラップが設置される場合には、前記渦発生器が前記上部翼面外郭から離れるように曲げられるように、
前記前縁フラップは構成される、請求項2に記載の渦発生装置。
【請求項4】
前記パターンは、前記前縁フラップのスパン方向の外側の約3分の1に、および当該前縁フラップのスパン方向の外側の約3分の1に沿って形成される、請求項1に記載の渦発生装置。
【請求項5】
渦が渦発生器の後続の主翼体の上面領域にわたって発生する位置に、前記渦発生器を設置することを含み、
渦発生器を設置することは、前記渦発生器を設置するように構成された翼の前縁高揚力装置を設置することによって開始され、
前記渦発生器および前縁フラップのフラップシール部分のフラップシール後縁が、前記前縁フラップが収容される場合には前記主翼体の上部翼面外郭に沿って平らに存在し、前記前縁フラップが設置される場合には前記主翼体の前記上部翼面外郭から離れて突き出すように、前記渦発生器を設置するステップの前において前記渦発生器を前記フラップシール後縁に形成することを含み、
前記渦発生器を形成するステップは、前記フラップシール後縁の少なくとも一部に、および当該少なくとも一部に沿って、鋸歯部を形成することを含む、渦発生方法。
【請求項6】
前記鋸歯部を形成するステップは、先端衝撃を軽減するために、前記鋸歯部のスパン方向の間隔および位置のうちの少なくとも1つを最適化することを含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記鋸歯部の前記位置を前記最適化するステップは、不安定な剥離流れの既知の領域のスパン方向の位置と一致させるために、前記鋸歯部の前記スパン方向の位置を最適化することを含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記鋸歯部を形成するステップは、抗力を減らすために、前記鋸歯部のスパン方向の間隔および位置のうちの少なくとも1つを最適化することを含む、請求項5に記載の方法。
【請求項9】
前記鋸歯部を形成するステップは、低被観測性の特徴を向上するために、前記鋸歯部のスパン方向の間隔および位置のうちの少なくとも1つを最適化することを含む、請求項5に記載の方法。
【請求項10】
前記鋸歯部を形成するステップは、抗力、不安定な先端衝撃の軽減と、低被観測性の特徴との間の所望の妥協案を達成するために、前記鋸歯部のスパン方向の間隔および位置のうちの少なくとも1つを最適化することを含む、請求項5に記載の方法。
【請求項11】
前記鋸歯部を形成するステップは、前記前縁フラップのスパン方向の外側の約3分の1に、および当該前縁フラップのスパン方向の外側の約3分の1に沿って、前記鋸歯部を形成することを含む、請求項5に記載の方法。
【請求項12】
前記鋸歯部を形成するステップは、所与の用途のために、不安定な流れの軽減および低被観測性の特徴の所望の水準を提供するように、前記鋸歯部のそれぞれの角度に関する形態を最適化することを含む、請求項5に記載の方法。
【請求項13】
前記鋸歯部を形成するステップは、所与の用途のために、不安定な流れの軽減および低被観測性の特徴の所望の水準を提供するように、フラップシール後縁鋸歯部サイズを最適化することを含む、請求項5に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この出願は、航空機翼面に渦を発生させる装置に関連するものである。
【背景技術】
【0002】
後退翼の付いた航空機の多くは、高迎角(AOA)もしくは高「アルファ(α)」での空気力学的なバフェットまたは非対称的な翼失速を被る。アルファは、翼の翼弦線となる場合が多い揚力体基準線と、揚力体と揚力体が移動して通る流体との間の相対運動を表わすベクトルとの間の角度の単位で測定される。上記で与えられた例において、8度の迎角は、翼の翼弦線と気流の相対速度のベクトルとの間の8度の角度を表わすことになる。
【0003】
高アルファ条件の下で、後退翼の上面は、エネルギーが低下した気流に遭遇する場合があり、そのエネルギーが低下した気流は、不安定な流れ剥離(失速)および/または不安定な衝撃波の形成を結果的にもたらすことがある。このことは、バフェットおよび/または非対称的な失速の問題の原因であるとして知られ、高アルファにおける航空機の操縦の質の悪さを結果的にもたらす。
【0004】
バフェットおよび/または非対称的な翼失速は、遷音速マッハ数と高アルファとの組み合わせでの不安定な遷音速先端衝撃波によって誘発されることがある。中程度に高いアルファ、低エネルギー、剥離流の条件が翼の上面上に通常発生する翼先端衝撃波を不安定にする場合に、不安定な遷音速先端衝撃が生じ得る。この現象は、航空機翼のスパン方向の外側の約半分ほどに影響を及ぼすことがある。戦闘機の操縦士が兵器を使用するために別の航空機を追跡しようと試みている場合、戦闘機は比較的高いアルファで操縦される傾向があるので、遷音速先端衝撃によって誘発されるバフェットは、兵器の命中精度の質を非常に落とし得る。このことは、航空機のための最適な持続的旋回条件を含むアルファ範囲にわたって、例えば航空機が対気速度を落とすことなく最大旋回率を維持できるアルファ値で、バフェットに遭遇する航空機について特に言えることである。
【0005】
不安定な衝撃/境界層干渉の問題に関連するそのような現象は、コンピュータモデリングおよび風洞試験などの既知の分析ツールを用いて予測することが難しい場合がある。結果として、新しい航空機が高アルファでバフェットおよび非対称的な失速の問題に遭遇する傾向は、開発が飛行試験の段階に達するまで検出されないことが多い。新しい航空機の開発において、バフェットおよび失速の問題を減らすために必要な広範囲にわたる機体形態の変更は、この時点では極めて困難であり、製造するための費用が高くなる場合がある。しかしながら、航空機の既存構造に最小限の修正だけを行って、その問題を軽減するいくつかの比較的簡単なおよび安価なアプローチがある。そのようなアプローチの1つは、渦発生器(ボルテックス・ジェネレーター)を追加することである。異なる対気速度や迎角について前縁および後縁フラップを注意深く調節(スケジューリング)することはまた、バフェットの問題を軽減するかもしれないが、それ自体の完全なまたは満足な解決策を与えないことが多い。様々な種類の渦発生器、突起物、および/またはストレークは、高迎角で翼を越える気流にエネルギーを与えるために翼の前縁に取り付けられ、または組み込まれてもよいが、そのような構造は重大な抗力の不利益を伴う。
【0006】
低対気速度および/または高迎角での航空機の性能を向上するために航空機翼構造に組み込まれるいくつかの前縁高揚力装置(leading edge lift augmentation)が広く知られている。スラットは、例えば、航空機翼の主翼体によって担持され、主翼体の前縁の前方または上流に設置される翼部である。したがって、スラットは、高迎角で翼を越える気流にエネルギーを与えるために空気がスラットと主翼体前縁との間のスロットを通って流れることを可能にするように位置付けられる。前縁フラップなどの他の前縁高揚力装置は、翼の前縁を前方および/または下方に効果的に延ばすようにして設置可能であってもよい。更に他の前縁高揚力装置は、翼のより低い表面の一部を下方および前方に回転するようにして設置可能であってもよい。これらの前縁の構成のそれぞれは、高められた迎角で気流が翼にぶつかる際に気流の回転を促進することによって揚力を増大し、それによって、流れ剥離を減らしたり、遅らせたりする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
前縁高揚力装置は低速度および/または高迎角での翼の性能を著しく向上させ、さらに、渦発生器がそのような条件下でバフェットを軽減するために使用されることができる一方で、残念ながら、前縁高揚力装置および渦発生器のいずれもが抗力を増大する傾向がある。スラットおよびフラップは、抗力を減らすために翼のモールド線と同じ平面に引っ込められ得るが、渦発生器は、概ね、所定の位置に固定されているため、高性能航空機上での最適なサイズまたは形状ではほとんど存在しない。低被観測(ステルス)性航空機において渦発生器を使用することはまた、低被観測適合性の特徴が欠如してしまうことからも制限される。
【課題を解決するための手段】
【0008】
渦発生装置は、航空機翼上に担持されるように構成された渦発生器であって、翼の前縁高揚力装置の設置に対応して、渦発生器の後続の主翼体上面領域の少なくとも一部にわたって当該渦発生器が渦を生成することになる位置に設置されるように構成された、渦発生器を備えて提供される。
【0009】
また、渦が渦発生器の後続の主翼体上面領域にわたって発生する位置に渦発生器を設置することを含む、渦発生方法も提供される。この方法によれば、渦発生器を設置することは、渦発生器が上記位置に設置されるように構成された翼の前縁高揚力装置を設置することによって開始される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】前縁高揚力装置と、前縁高揚力装置の設置に対応して設置される渦発生器とを備える、航空機の右側の翼を示す、航空機の断片的な概略上面図である。
【
図2】
図1における円2によって囲まれた渦発生器および前縁高揚力装置の一部の分解図である。
【
図3】
図1の3‐3線に沿った
図1の翼の断片的な概略断面図であり、それぞれの収容位置における前縁高揚力装置および渦発生器を示す。
【
図4】
図1の翼の断片的な概略断面図であり、それぞれの配置位置における前縁高揚力装置および渦発生器を示す。
【
図5】高アルファ航空機のバフェットを軽減する方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
これらのおよび他の特徴や利点は、以下の発明を実施するための形態および発明の1つ以上の実施形態の図面と関連して当業者に明らかになるであろう。
【0012】
渦発生装置は、概ね、
図1〜4における10で示される。渦発生装置10は、主翼体18を含む航空機翼14によって担持される渦発生器12と、主翼体18によって担持される前縁高揚力装置16とを備えてもよい。渦発生装置10は、渦発生器12が翼の前縁高揚力装置16の設置に対応してまたは翼の前縁高揚力装置16の設置と共に渦発生器12が設置されるように構成されてもよい。渦発生器12が設置される場合には、渦発生器12に後続するあるいはその渦発生器の風下側にある主翼体上面領域にわたってその渦発生器により渦20が発生する位置に、その渦発生器12が収容位置から移動されてもよい。渦発生器12は、渦発生器12に後続するあるいはその渦発生器の風下側にある領域内の流れにエネルギーを与えることによって、不安定な遷音速先端衝撃などの航空機のバフェットを生成する影響を軽減するために配置されてもよい。
【0013】
前縁高揚力装置16は、増加した航空機迎角、例えば約8度の航空機迎角などで、設置されるように構成された前縁フラップを含んでもよい。前縁フラップ16は、主前縁フラップ体21によって担持され、主前縁フラップ体21からおよび主前縁フラップ体21に沿って尾部を延ばす前縁フラップシール22を含んでもよい。フラップシール22は、前縁フラップ16の外側モールド線と主翼体18の外側モールド線との間の滑らかな移行を提供するように形成されて配置され、主前縁フラップ体21と主翼体18との間の隙間を覆ってもよい。前縁フラップ16は、主翼体18上に支持されてもよく、前縁フラップ16が
図3に示されるように収容される場合、フラップシール22が主翼体18の上面または上部翼面外郭19に沿って平らに存在するように形成されてもよい。前縁フラップ16はまた、フラップシール22が、低アルファ値に対応する前縁フラップ設置の範囲の少なくとも一部にわたって主翼体18上に平らに存在し続けるように形成され支持されてもよい。
【0014】
渦発生器12がフラップシール後縁23と共に上部翼面外郭19に沿って平らに存在するように前縁フラップ16が収容される場合、および/または、フラップシール後縁23が、まだ角度を付けられていないか、あるいは上部翼面外郭19から離れるようにして曲げられないように、限られた範囲内だけに設置される場合、渦発生器12は、前縁フラップシール22の後縁23の少なくとも一部に、およびその少なくとも一部に沿って組み込まれてもよい。
図4に示されるように、フラップシール22の後縁23が、主翼体18の上部翼面外郭19から離れるようにして、渦発生器12と共に、曲がる程度まで前縁フラップ16を更に動作させて設置することによって、渦発生器12が配置されてもよい。換言すると、前縁フラップ16が高アルファ値、例えば、8〜10度より大きいアルファ値と関連した範囲に設置される場合、前縁フラップ16の設置動作は、翼を越える気流に拡張するために翼のモールド線または上面外郭19から離れるようにして、フラップシール後縁23、したがって、渦発生器12を回転させるか、あるいは回転ではなくてように、前縁フラップ16が構成されてもよい。
【0015】
フラップシール後縁23が主翼体18の上部翼面外郭19から離れるようにして曲がる範囲に機器16が設置される場合に渦発生をもたらすために、
図2に最も良く示されるように、渦発生器12は、前縁高揚力装置16の後縁23、例えばフラップシール後縁23に、およびその後縁に沿って設けられた(例えば、形成され、切断され、または任意の他の適切な手段によって設けられた)パターンを含んでもよい。前縁高揚力装置16の後縁23に設けられたパターンは、例えば、鋸歯にほぼ近い形状および構成を有する鋸歯部24を含んでもよい。しかしながら、他の実施形態では、フラップシール後縁23に設けられたパターンは、渦発生をもたらす任意の他の適切な形態を備えてもよい。鋸歯部24は、不安定な遷音速先端衝撃の影響に重大な軽減効果を有し得る領域に渦発生を限定するために、前縁高揚力装置16のスパン方向の外側の約3分の1に、およびその約3分の1に沿って形成されてもよい。
【0016】
実際には、
図5に示されるように、航空機の翼の構成が高アルファのバフェットに影響されやすいと認められる場合、実行ステップ26に示されるように、バフェットを誘発する衝撃波が高アルファ下で形成されている領域または航空機の上部翼面に沿う領域をまず判断することによって、その条件は軽減されてもよい。次いで、航空機は、航空機の前縁高揚力装置16を設置したときに、バフェットを誘発する衝撃波を安定化することになるそれぞれの位置に渦発生器が設置されるように構成された渦発生器12を備えてもよい。前縁高揚力装置16が前縁フラップである場合、実行ステップ28に示されるように、バフェットを誘発する衝撃波形成の既知の領域の風上に配置される前縁フラップ16のフラップシールの後縁の少なくとも一部に、およびその少なくとも一部に沿って鋸歯部24を形成することによって、渦発生器12が設けられてもよい。例えば、バフェットが遷音速先端衝撃によって引き起こされると認められる場合、鋸歯部24は、翼のそれぞれの外側の約3分の1に沿って配置されるフラップシール22の部分に沿って形成されてもよい。
【0017】
他の実施形態では、鋸歯部24は、バフェットを生成する衝撃波発生の既知の領域の風上の最適なスパン方向位置で組み込まれることに限定される必要はない。例えば、抗力を最小限にし、低被観測適合性を最大限にし、流れ剥離を遅らすために、および/または流れ不安定性の低下、抗力、流れ剥離遅れと低被観測性の特徴との間の所望の妥協案を達成するために望まれ得るように、フラップシール22のより大きな部分に沿って、更には全長に沿って、鋸歯部24が組み込まれてもよい。鋸歯部24のそれぞれのサイズおよび角度に関する形態はまた、所与の用途のために不安定な先端衝撃の軽減、流れ剥離の遅れ、および低被観測性の特徴の所望の水準を与えるように最適化されてもよい。
【0018】
実行ステップ30に示されるように、前縁フラップ16が設置され、渦発生器の設置が無い場合にバフェットに遭遇すると予測される高アルファ条件まで飛行中の航空機を操縦することによって、渦発生器12が配置されてもよい。前縁フラップ16の設置は、例えば、渦発生器の鋸歯部24の後続の上部翼面のそれぞれの領域にわたって渦20を発生するために、フラップシール22の鋸歯状の後縁をそれぞれの位置に移動することによって、渦発生器の設置を開始するか駆動することになる。渦発生器12は、迎角での不安定な遷音速先端衝撃などのバフェットを誘発する現象が予測される機器の設置範囲の一部だけの間、この方式で設置されてもよい。
【0019】
固定された渦発生器とは異なり、上記したような前縁フラップに組み込まれ、その前縁フラップを用いて配置可能である渦発生器は、収容される場合、例えば巡航飛行の間には、抗力を増大せず、低被観測性機体の統合要件と適合するように構成されてもよい。このようにして渦発生器を統合することはまた、わずかな重量を追加するか重量を追加しないという結果になるべきであり、前縁および後縁フラップスケジューリングだけなどの解決策よりも優れた翼バフェットおよび非対称的な翼失速の減衰をもたらすべきである。
【0020】
この記載は、発明の限定を記載しているのではなく、特許請求の範囲に記載された発明の実施形態を例示するだけである。したがって、この記載の言い回しは、専ら記述的なものであり、限定するものではない。明らかに、この発明は、記載が教示するものから修正することが可能である。特許請求の範囲内で、上記したもの以外で発明を実施してもよい。