特許第6184744号(P6184744)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6184744
(24)【登録日】2017年8月4日
(45)【発行日】2017年8月23日
(54)【発明の名称】屋外構造物の屋根
(51)【国際特許分類】
   E04B 7/02 20060101AFI20170814BHJP
   E04B 1/00 20060101ALI20170814BHJP
【FI】
   E04B7/02 501J
   E04B1/00 503
【請求項の数】5
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2013-105065(P2013-105065)
(22)【出願日】2013年5月17日
(65)【公開番号】特開2014-224429(P2014-224429A)
(43)【公開日】2014年12月4日
【審査請求日】2016年3月11日
(73)【特許権者】
【識別番号】390005267
【氏名又は名称】YKK AP株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000176
【氏名又は名称】一色国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】堀江 慎吾
(72)【発明者】
【氏名】工藤 雅之
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 史隆
【審査官】 星野 聡志
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭58−095413(JP,U)
【文献】 米国特許第04509302(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04B 7/02
E04B 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
屋外構造物の屋根であって、
第1方向の長さが当該第1方向と直交する第2方向の長さより長い四辺形状をなす複数の屋根材が当該屋根材の前記第2方向に並べて配置され、
前記第1方向に沿うとともに前記第2方向に互いに間隔を隔てて設けられた複数の第1方向部材のうちの2本の前記第1方向部材間に、前記第1方向部材間における中央側が前記第1方向部材間における端部側より高くなるように湾曲した状態で、前記屋根材が架け渡されており、
前記屋根材は、弾性変形されて湾曲していることを特徴とする屋外構造物の屋根。
【請求項2】
請求項1に記載の屋外構造物の屋根であって、
前記第1方向部材は、前記屋根材の端部を上下方向から挟む挟持部を有し、
前記屋根材の、前記挟持部に挟まれた部位より縁部側を下方に押圧する押圧部を有していることを特徴とする屋外構造物の屋根。
【請求項3】
請求項に記載の屋外構造物の屋根であって、
前記屋根材が架け渡される前記第1方向部材間には、第2方向部材が架け渡されており、
前記第2方向部材上には、前記第1方向部材間における中央側に、前記屋根材の前記端部側より高い位置にて前記屋根材を支持する支持部材が備えられていることを特徴とする屋外構造物の屋根。
【請求項4】
請求項に記載の屋外構造物の屋根であって、
前記支持部材は、緩衝材であることを特徴とする屋外構造物の屋根。
【請求項5】
請求項に記載の屋外構造物の屋根であって、
前記屋根材が架け渡される前記第1方向部材間には、前記第1方向部材間における中央側が前記第1方向部材側の端部より高い位置にて前記屋根材を支持すべく湾曲された第2方向部材が架け渡されていることを特徴とする屋外構造物の屋根。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、屋外構造物の屋根に関する。
【背景技術】
【0002】
屋外構造物の屋根としては、カーポートやテラス等の簡易建物の屋根が知られている。例えば、間隔をおいて設けた垂木間に中骨を架け渡して骨組みが形成されており、骨組みの隣接する垂木同士の間の上面に屋根パネルが取り付けられたカーポートが知られている。このカーポートの屋根は、屋根パネルと中骨との間に緩衝材が設けられており、風による屋根パネルの振動などで音が発生することを防止している。また、この屋根には、屋根は後から前に向かって下り勾配の傾斜をなすとともに右から左にかけても下り勾配の傾斜をなしている(たとえば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特願2010−242437号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような屋外構造物の屋根は、屋根パネルと中骨との間に緩衝材が介在されつつも下り勾配の傾斜をなしているので、屋根パネルは平面をなすように垂木間に掛け渡されている。このような屋根パネルは、端部が把持されて生じる撓み変形が、風などにより上下方向に繰り返されて振動したときに、緩衝材により屋根パネルが直接中骨に接触することを防止して音の発生を抑えることは可能であるが、屋根パネルの振動そのものを抑制する効果は小さい。また、屋外構造物の屋根において風による音の発生は、屋根パネルと中骨との接触によるものばかりではなく、屋根パネル自身が振動により音を発する場合もあり、単に緩衝材を介在させるだけでは、音の発生を抑えることができないという課題がある。
【0005】
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、風等による音の発生を防止することが可能な屋外構造物の屋根を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
かかる目的を達成するために本発明の屋外構造物の屋根は、屋外構造物の屋根であって、第1方向の長さが当該第1方向と直交する第2方向の長さより長い四辺形状をなす複数の屋根材が当該屋根材の前記第2方向に並べて配置され、前記第1方向に沿うとともに前記第2方向に互いに間隔を隔てて設けられた複数の第1方向部材のうちの2本の前記第1方向部材間に、前記第1方向部材間における中央側が前記第1方向部材間における端部側より高くなるように湾曲した状態で、前記屋根材が架け渡されており、前記屋根材は、弾性変形されて湾曲していることを特徴とする屋外構造物の屋根である。
【0007】
このような屋外構造物の屋根によれば、第1方向部材間に掛け渡された屋根材は第1方向部材間において、湾曲しているので、屋根材が平面をなすように単に第1方向部材間に掛け渡されている場合に生じる、第1方向部材に両端が支持された屋根材の中央が、風などにより上下に撓むような振動が抑制される。このとき、屋根材は、短辺側となる第2方向の中央側が高くなるように湾曲しているので、長辺側となる第1方向の中央側が高くなるように湾曲される場合より大きな力にて湾曲されているため形状が保たれ易い。このため、たとえ風に煽られたとしても音の発生を防止することが可能である。また、屋根材は中央側が端部側より高い状態で湾曲しているので、雨水等が屋根材上に溜まることを防止することが可能であり、屋根材下の空間をより広く確保することが可能である。
【0008】
また、屋根材は、弾性変形されて湾曲しているので、屋根材自身の弾性により復元する方向に力が第1方向部材に作用しつつ湾曲された状態が維持されている。このため、屋根材の湾曲した方向と反対側への撓みが規制されているので、屋根材の撓みによる振動はより発生しにくい。このため、たとえ風に煽られたとしても音の発生をより確実に防止することが可能である。
【0009】
かかる屋外構造物の屋根であって、前記第1方向部材は、前記屋根材の端部を上下方向から挟む挟持部を有し、前記屋根材の、前記挟持部に挟まれた部位より縁部側を下方に押圧する押圧部を有していることが望ましい。
このような屋外構造物の屋根によれば、屋根材は、第1方向部材の挟持部が上下方向から挟む部位より縁部側が押圧部により下方に押圧されるので、屋根材をその中央側が上方に突出するように湾曲させることが可能である。このため、屋根材を第1方向部材間に架け渡すだけで、湾曲させることが可能である。
【0010】
かかる屋外構造物の屋根であって、前記屋根材が架け渡される前記第1方向部材間には、第2方向部材が架け渡されており、前記第2方向部材上には、前記第1方向部材間における中央側に、前記屋根材の前記端部側より高い位置にて前記屋根材を支持する支持部材が備えられていることが望ましい。
このような屋外構造物の屋根によれば、第1方向部材間に架け渡された第2方向部材上に備えられた支持部材により、屋根材は第1方向部材間における中央側が端部より高い位置に支持されるので、屋根材を確実に湾曲させることが可能である。
【0011】
かかる屋外構造物の屋根であって、前記支持部材は、緩衝材であることが望ましい。
このような屋外構造物の屋根によれば、屋根材の第1方向部材間における中央側を支持する支持部材が緩衝材なので、屋根材と支持部材との間においても音の発生を防止することが可能である。
【0012】
かかる屋外構造物の屋根であって、前記屋根材が架け渡される前記第1方向部材間には、前記第1方向部材間における中央側が前記第1方向部材側の端部より高い位置にて前記屋根材を支持すべく湾曲された第2方向部材が架け渡されていることとしてもよい。
このような屋外構造物の屋根によれば、屋根材が架け渡される第1方向部材間に架け渡される第2方向部材が、第1方向部材間における中央側が第1方向部材間の端部より高い位置に屋根材を支持すべく湾曲されているので、第2方向部材に沿わせて配置した屋根材を第1方向部材に保持させるだけで、屋根材を確実に湾曲させることが可能である。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、風等による音の発生を防止することが可能な屋外構造物の屋根を提供することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本実施形態に係る一実施形態のテラス屋根を示す斜視図である。
図2】テラス屋根における屋根材の取り付け構造を示す縦断面図である。
図3】屋根材の取り付け構造の変形例を示す縦断面図である。
図4】屋根材を湾曲させる押圧片の変形例を示す図である。
図5】屋根材の下側からの施工を可能とするテラス屋根の構成を示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の一実施形態に係る屋外構造物の屋根としてテラスに設けられるテラス屋根について図面を参照して説明する。
【0016】
本実施形態のテラス屋根10は、図1に示すように、掃き出し窓2を備えた建物1と隣接して設けられたテラス3上に設けられ、建物1の外壁1aから張り出すように設けられている。
【0017】
以下の説明においては、テラス屋根10が設けられた状態で上下となる方向を上下方向、テラス屋根10が取り付けられている建物1の外壁1a及び窓2を基準として建物1の外壁1aに沿う方向を見付け方向、建物1の内外方向を見込み方向として説明する。また、テラス屋根10が備える各部材は、単体として説明する場合であっても、テラス屋根10が設けられた状態で上下方向、見付け方向、見込み方向等となる方向にて方向を特定して説明する。ここで、見込み方向が第1方向に相当し、見付け方向が第2方向に相当する。
【0018】
本実施形態のテラス屋根10は、建物1の外壁1aに固定される垂木掛11と、垂木掛11と互いに間隔を隔てて平行に配置され軒樋と一体に形成された前枠12と、垂木掛11と前枠12との見付け方向における端部同士を繋ぐ2本の側枠13と、2本の側枠13間に見付け方向に互いに間隔を隔てて等間隔に配置され垂木掛11と前枠12との間に見込み方向に沿って架け渡される2本の垂木14と、側枠13と垂木14との間及び垂木14同士の間に見込み方向に間隔を隔てて見付け方向に沿って各々2本ずつ架け渡される野縁15と、側枠13と垂木14及び垂木14同士の間に架け渡された3枚の屋根材16と、前枠12における見付け方向の端部を支持する2本の支柱17と、を有している。ここで、見込み方向に沿って設けられる側枠13及び垂木14が第1方向部材に相当し、見付け方向に沿って設けられる野縁15が第2方向部材に相当する。
【0019】
3枚の屋根材16は、各々例えば、長方形状をなし、ポリカーボネートなどの合成樹脂製の板状の部材であり、垂木掛11、前枠12、側枠13及び垂木14、または、垂木14同士に囲まれた領域にそれぞれ配置されて、垂木掛11、前枠12、側枠13及び垂木14に設けられた収容部13a、14aに周端部16a(図2)が収容されている。図2では、垂木掛11、前枠12に設けられている収容部は示されていない。
【0020】
見付け方向における両端部に配置された2本の側枠13は、各々対向する側の上端部に見込み方向に沿って屋根材16の収容部13aが設けられている。
【0021】
各々の側枠13は、見込み方向に連通する中空部131aを有する押出成形部材でなる側枠本体131と、側枠本体131の上部にビス止めされる側枠上板132とを有している。
【0022】
図2に示すように、2本の側枠本体131の上部には、互いに対向する内側に見付け方向におけるほぼ半分を窪ませた凹部131bを有している。凹部131bには、2本の側枠本体131が対向する側の縁に設けられるシール材18が嵌合される下シール嵌合部131cが設けられている。また、側枠本体131の上部には、見付け方向において凹部131bより外側に上方に開放された溝部131dが設けられている。
【0023】
側枠上板132は、側枠本体131の上にて、溝部131dから下シール嵌合部131c上までを覆う部材であり、溝部131dに挿入される突片132aと、下シール嵌合部131cと上下に対向する位置に設けられてシール材18が嵌合される上シール嵌合部132bと、突片132aと上シール嵌合部132bとの間にて下方に突出して屋根材16を押圧する押圧部132cを有している。
【0024】
側枠13は、シール材18が嵌合された側枠本体131の溝部131dに、シール材18が嵌合された側枠上板132の突片132aが挿入されるとともに押圧部132cが凹部131b内に挿入されて、側枠本体131と側枠上板132とが、突片132aと押圧部132cとの間でビス止めされている。このとき、凹部131b上を側枠上板132が覆って形成される空間が、屋根材16の周端部が収容される収容部13aをなしている。
【0025】
収容部13aは、2本の側枠本体131の互いに対向する内側の上部に、内側に向かって開放されて形成されており、開放された端部の上下に、側枠13の長手方向に沿ってシール材18が嵌合されている。そして、シール材18は上下方向において対向するように設けられており、上下に位置するシール材18の対向する面は、開放された側から奥に向かって僅かに低くなるように傾斜しており、対向するシール材18間に、収容部13aに収容される屋根材16の周端部が挟持される。すなわち、側枠本体131及び側枠上板132に設けられたシール材18が挟持部をなしている。収容部13aの対向するシール材18の奥には空隙が形成されており、空隙内に上方から突出された押圧部132cが挿入されている。
【0026】
押圧部132cは、凹部131bを形成する奥側の壁部131eに沿うように垂設された垂設片132dの下端に僅かに上方に傾斜させた押圧片132eが開放されている側に延出されている。そして、側枠本体131の凹部131bに設けられたシール材18上に屋根材16の周端部16aが載置されて、側枠上板132が側枠本体131に取り付けられると、対向して傾斜するシール材18間に屋根材16が挟持されるとともに押圧部132cにより屋根材16の縁部16bが下方に押圧される。
【0027】
2本の垂木14は、見込み方向に連通する中空部141aを有する押出成形部材でなる垂木本体141と、垂木本体141の上部にビス止めされる垂木上板142とを有している。垂木14は、見付け方向における両側に、屋根材16が配置されるため、側枠13に設けられていた屋根材16の周端部16aを収容する収容部13aと同様の収容部14aが、見付け方向の両側にそれぞれ設けられている。
【0028】
具体的には、2本の垂木本体141の上部には、見付け方向の中央部にて上方に突出する中央突部141bを除き、その両側を窪ませた凹部141cが設けられており、凹部141cの外側の縁にそれぞれ設けられるシール材18が嵌合される下シール嵌合部141dが設けられている。
【0029】
垂木上板142は、垂木本体141の上にて、見付け方向における両端に設けられた2つの下シール嵌合部141dに渡るように凹部141c上を覆う部材である。垂木上板142の見付け方向における中央部分には、垂木本体141の上に配置されたときに、垂木本体141上に突出する中央突部141bが挿入される挿入凹部142aが設けられている。垂木上板142には、挿入凹部142aに垂木本体141の中央突部141bが挿入された状態で、下シール嵌合部141dと上下に対向する位置に設けられてシール材18が嵌合される上シール嵌合部142bと、上シール嵌合部142bより内側にて下方に突出して挿入凹部142aを形成するとともに屋根材16を押圧する押圧部142cを有している。
【0030】
垂木14は、シール材18が嵌合された垂木本体141の中央突部141bが、シール材18が嵌合された垂木上板142に挿入凹部142aに挿入されるとともに押圧部142cが凹部141c内に挿入されて、垂木上板142が中央突部141b上でビス止めされている。このとき、凹部141c上を垂木上板142が覆って形成される空間が、屋根材16の周端部16aが収容される収容部14aをなしている。
【0031】
収容部14aは、各垂木本体141の見付け方向における両側の上部に、外側に向かって開放されて形成されており、開放された端部の上下に、垂木14の長手方向に沿ってシール材18が嵌合されている。そして、シール材18は上下方向において対向するように設けられており、上下に位置するシール材18の対向する面は、開放された側から奥に向かって僅かに低くなるように傾斜しており、対向するシール材18間に、収容部14aに収容される屋根材16の周端部16aが挟持される。すなわち、垂木本体141及び垂木上板142に設けられたシール材18が挟持部をなしている。収容部14aの対向するシール材18の奥には空隙が形成されており、空隙内に上方から突出された押圧部142cが挿入されている。
【0032】
押圧部142cは、凹部141cを形成する奥側の壁部141eに沿うように垂設された垂設片142dの下端にほぼ僅かに上方に傾斜させた押圧片142eが開放されている側に延出されている。そして、垂木本体141の凹部141cに設けられたシール材18上に屋根材16の周端部16aが載置されて、垂木上板142が垂木本体141に取り付けられると、対向して傾斜するシール材18間に屋根材16が挟持されるとともに押圧部142cにより屋根材16の縁部16bが下方に押圧される。
【0033】
このため、側枠13と垂木14との間に架け渡された屋根材16及び、垂木14同士の間に架け渡された屋根材16は、側枠13と垂木14との間及び垂木14同士の間にて見付け方向における中央側が、端部側より高くなるように弾性変形されて湾曲した状態にて保持される。
【0034】
見込み方向に沿って互いに平行に設けられている側枠13と垂木14には、屋根材16より下側に、互いに対向する側壁部13b、14bに取付部材19を介して野縁15が架け渡されている。野縁15は、側枠13と垂木14との間、或いは、垂木14同士の間に水平に設けられており、上方に位置する屋根材16との間隔は、野縁15の見付け方向における端部で狭く、中央側で広くなっている。
【0035】
そして、野縁15の見付け方向における中央部分には、野縁15と屋根材16との間に、例えばウレタンやシリコンゴムなどの支持部材としての緩衝材20が設けられ、屋根材16が下方から支持されている。
【0036】
本実施形態のテラス屋根10によれば、側枠13と垂木14との間または垂木14同士の間に掛け渡された屋根材16は、側枠13と垂木14との間、または、垂木14同士の間において湾曲している。このため、平板状の屋根材が単に側枠13と垂木14との間または垂木14同士の間に掛け渡されている場合のように、側枠13または垂木14に両端が支持された屋根材16の中央が、風などにより上下に撓むような振動が抑制される。また、屋根材16は、短辺側となる見付け方向の中央側が高くなるように湾曲しているので、長辺側となる見込み方向の中央側が高くなるように湾曲される場合より大きな力にて湾曲されているため形状が保たれ易い。このため、たとえ風に煽られたとしても音の発生を防止することが可能である。また、屋根材16の、側枠13と垂木14との間または垂木14同士の間における中央側が端部側より高い状態で湾曲しているので、雨水等が屋根材16上に溜まることを防止することが可能であり、屋根材16下の空間をより広く確保することが可能である。
【0037】
また、屋根材16は、弾性変形されて湾曲しているので、屋根材16自身の弾性により復元する方向に力が側枠13または垂木14に作用しつつ湾曲された状態が維持されている。このため、屋根材16の湾曲した方向と反対側への撓みが規制されているので、屋根材16の撓みによる振動はより発生しにくい。このため、たとえ風に煽られたとしても音の発生をより確実に防止することが可能である。
【0038】
また、屋根材16は、側枠13または垂木14に嵌合されたシール材18が上下方向から挟む部位より縁部16b側が押圧部132c、142cにより下方に押圧されるので、屋根材16をその中央側が上方に突出するように湾曲させることが可能である。このため、屋根材16を側枠13と垂木14との間または垂木14同士の間に架け渡すだけで、湾曲させることが可能である。
【0039】
また、側枠13と垂木14との間または垂木14同士の間に架け渡された野縁15上に備えられた緩衝材20により、屋根材16は側枠13と垂木14との間または垂木14同士の間における中央側が端部より高い位置に支持されるので、屋根材16を確実に湾曲させることが可能である。このとき、屋根材16を支持しているのが緩衝材20なので、屋根材16と緩衝材20との間においても音の発生を防止することが可能である。
【0040】
上記実施形態においては、野縁15の見付け方向における中央部分の、野縁15と屋根材16との間に緩衝材20を設けた例について説明したが、屋根材16が湾曲するように高さの異なる緩衝材を複数、野縁15と屋根材16との間に介在させてもよい。
【0041】
また、上記実施形態においては、側枠13と垂木14との間、或いは、垂木14同士の間に野縁15を水平に設け、野縁15と屋根材16との間に緩衝材20を備えた例について説明したが、これに限るものではない。例えば、図3に示すように、側枠13と垂木14との間、或いは、垂木14同士の間に架け渡す野縁21を湾曲させておいてもよい。このとき、野縁21は上部に、突出させた上方突部21aが設けられており、上方突部21aには、屋根材16との間に介在される緩衝材20が設けられている。この場合には、屋根材16が架け渡される側枠13と垂木14との間、或いは、垂木14同士の間に架け渡される野縁21が、側枠13と垂木14との間、或いは、垂木14同士の間における中央側が側枠13と垂木14との間、或いは、垂木14同士の間の端部より高い位置に屋根材16を支持すべく湾曲されているので、野縁21に沿わせて配置した屋根材16を側枠13または垂木14に保持させるだけで、屋根材16を確実に湾曲させることが可能である。
【0042】
上記実施形態においては、側枠13は押圧部132cに設けられた押圧片132eにより、垂木14は押圧部142cに設けられた押圧片142eにより、それぞれシール材18間に挟持された屋根材16の縁部16bが下方に押圧される例について説明したが、これに限るものではない。
【0043】
たとえば、図4に示すように、垂木上板142が有する上シール嵌合部142bにおいて収容部14aの奥側に位置する部位から、さらに奥側に延出させた押圧片142fを設け、押圧片142fにより屋根材16の、シール材18で挟まれた部位より縁部16b側を下方に押圧しても構わない。このとき、側枠13側では、側枠上板132が有する上シール嵌合部132bにおいて収容部13aの奥側に位置する部位から、さらに奥側に延出された押圧片132fを設け、押圧片132fにより、屋根材16の、シール材18で挟まれた部位より縁部16b側を下方に押圧する。
【0044】
また、上記実施形態においては、側枠本体131と垂木本体141との間、或いは、垂木本体141同士の間に屋根材16を架け渡して、側枠上板132及び垂木上板142を上方からビス止めすることにより、屋根材16を湾曲させる例について説明したが、これに限るものではない。
【0045】
たとえば、図5に示すように、側枠13と垂木14の互いに対向する部位、及び、垂木14同士の互いに対向する部位に、対向する方向に開放されて収容部をなす溝部13c、14bをそれぞれ備えるとともに溝部13c、14b内の上面にシール材18を予め備えておき、屋根材16を側枠13または垂木14に沿う方向に挿入した後に、屋根材16の下側から、溝部13c、14b内の下面と屋根材16との間にシール材22を挿入して屋根材16を取り付けてもよい。
【0046】
このとき、屋根材16の下側に挿入するシール材22は、挿入しやすいように、シール材22の挿入方向における先端22a側が薄く、後端22b側が厚くなるように形成しておく。これにより、装着されたシール材22と上側のシール材18とは、シール材22の後端22b側となる溝部13c、14bのより開放されている側にてシール材18、22による挟持力が大きくなり、シール材22の先端22a側は、先端22aに向かって屋根材16との間隔が広がっている。このため、屋根材16は、より上方に突出するように湾曲し易くなる。
【0047】
そして、溝部13c、14b内の上面に設けられた上シール嵌合部132b、142bの、溝部13c、14b、14aの奥側に位置する部位から、さらに奥側に延出された押圧片132f、142fを設けておく。このように構成することにより、屋根材16の、シール材18で挟まれた部位より縁部16b側を下方に押圧して、屋根材16を上方に突出するように湾曲させても構わない。この場合には、屋根材16の下方からの作業によりテラス屋根を施工することが可能である。このため、例えば、2階以上の階床に設けられているバルコニー等に屋根を設ける場合であっても、容易に施工することが可能である。また、側枠上板及び垂木上板を必要としないので、使用する部材の数を削減することができるため、施工が簡単であるとともに、部材の管理も容易であり、コストも低減することが可能である。
【0048】
上記実施形態においては、屋外構造物の屋根としてテラス屋根を例に挙げて説明したが、これに限るものではない。例えば、カーポートの屋根等であっても構わない。
【0049】
上記実施形態においては、屋根材16を長方形状としたが、必ずしも長方形に限るものではない。
【0050】
なお、上記実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることはいうまでもない。
【符号の説明】
【0051】
1 建物、10 テラス屋根、13 側枠、14 垂木、15 野縁、
16 屋根材、16a 周端部、16b 縁部、18 シール材、20 緩衝材、
21 野縁、22 シール材、131 側枠本体、32 側枠上板、32c 押圧部、
132d 垂設片、132e 押圧片、132f 押圧片、141 垂木本体、
142 垂木上板、142c 押圧部、142d 垂設片、142e 押圧片、
14f 押圧片
図1
図2
図3
図4
図5