特許第6184758号(P6184758)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6184758-足アーチ崩れ改善剤 図000003
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6184758
(24)【登録日】2017年8月4日
(45)【発行日】2017年8月23日
(54)【発明の名称】足アーチ崩れ改善剤
(51)【国際特許分類】
   A61K 36/42 20060101AFI20170814BHJP
   A61K 36/23 20060101ALI20170814BHJP
   A61K 36/14 20060101ALI20170814BHJP
   A61K 36/18 20060101ALI20170814BHJP
   A61K 33/00 20060101ALI20170814BHJP
   A61K 31/19 20060101ALI20170814BHJP
   A61Q 19/10 20060101ALI20170814BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20170814BHJP
   A61K 9/14 20060101ALI20170814BHJP
   A61K 9/16 20060101ALI20170814BHJP
   A61K 9/20 20060101ALI20170814BHJP
   A61K 8/02 20060101ALI20170814BHJP
   A61K 8/19 20060101ALI20170814BHJP
   A61K 8/36 20060101ALI20170814BHJP
   A61K 8/96 20060101ALI20170814BHJP
   A61K 8/97 20170101ALI20170814BHJP
【FI】
   A61K36/42
   A61K36/23
   A61K36/14
   A61K36/18
   A61K33/00
   A61K31/19
   A61Q19/10
   A61P43/00 121
   A61P43/00 101
   A61K9/14
   A61K9/16
   A61K9/20
   A61K8/02
   A61K8/19
   A61K8/36
   A61K8/96
   A61K8/97
【請求項の数】6
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2013-117519(P2013-117519)
(22)【出願日】2013年6月4日
(65)【公開番号】特開2014-234372(P2014-234372A)
(43)【公開日】2014年12月15日
【審査請求日】2016年3月16日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000918
【氏名又は名称】花王株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000084
【氏名又は名称】特許業務法人アルガ特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100077562
【弁理士】
【氏名又は名称】高野 登志雄
(74)【代理人】
【識別番号】100096736
【弁理士】
【氏名又は名称】中嶋 俊夫
(74)【代理人】
【識別番号】100117156
【弁理士】
【氏名又は名称】村田 正樹
(74)【代理人】
【識別番号】100111028
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 博人
(72)【発明者】
【氏名】▲濱▼嵜 花映
(72)【発明者】
【氏名】石井 智海
(72)【発明者】
【氏名】堀 天明
(72)【発明者】
【氏名】芦田 ありさ
【審査官】 澤田 浩平
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−020951(JP,A)
【文献】 特開2012−116765(JP,A)
【文献】 特開昭62−270518(JP,A)
【文献】 特開2000−319164(JP,A)
【文献】 特開2012−115155(JP,A)
【文献】 特開2010−024184(JP,A)
【文献】 特開2005−314298(JP,A)
【文献】 特開2005−200350(JP,A)
【文献】 特開2002−338468(JP,A)
【文献】 特開2012−116764(JP,A)
【文献】 特開2012−116763(JP,A)
【文献】 理学療法ジャーナル,2003年,37(7),p.559-562
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K8/00−33/44,36/00−36/9068,
A61K45/00−47/69
A61P1/00−A61Q90/00
JSTPlus (JDreamIII),
JMEDPlus(JDreamIII),
JST7580 (JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の成分(A)、(B)及び(C):
(A)炭酸塩 5質量%以上70質量%以下、
(B)有機酸 15質量%以上70質量%以下、及び
(C)ニンジン、アスナロ、キュウリ、バーチ及びこれらの抽出物から選ばれる1種又は2種以上であるCGRP応答促進剤 乾燥重量で2×10-5質量%以上1質量%以下
を含有し、浴水に溶解して足浴に使用する足アーチ崩れ改善剤。
【請求項2】
足アーチ崩れ改善剤の質量に対し、40質量倍以上500質量倍以下の浴水に溶解して使用する請求項1に記載の足アーチ崩れ改善剤。
【請求項3】
浴水中における炭酸ガス濃度が300ppm以上になるように浴水に溶解して使用する請求項1又は2に記載の足アーチ崩れ改善剤。
【請求項4】
成分(C)の含有量が、乾燥重量で2×10-5質量%以上1質量%以下である請求項1〜3のいずれか1項に記載の足アーチ崩れ改善剤。
【請求項5】
足アーチ高率が初期値から0.03%以上低下した人に対して使用するものである請求項1〜のいずれか1項に記載の足アーチ崩れ改善剤。
【請求項6】
足アーチ高率を0.03%以上上昇させるための請求項1〜のいずれか1項に記載の足アーチ崩れ改善剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、足アーチ崩れ改善剤に関する。
【背景技術】
【0002】
浴用剤に炭酸塩と有機酸を配合することによって浴水中で炭酸ガスの泡を発生させる、いわゆる発泡性の浴用剤は、炭酸ガスによって血行促進効果が得られることが知られており、こうした浴用剤を用いた入浴は、一日の疲れを快適に癒すうえでも広く好まれている。また、かかる浴用剤にさらに種々の成分を配合することで、付加的効果や相乗的効果をもたらす研究もなされている。
【0003】
こうした浴用剤に配合可能な成分としては、例えば、ニンジン等の生薬が知られており(特許文献1〜2参照)、かかる成分を配合することで、血行促進効果と湯上がり後の肌のしっとり感効果を相乗的に高めることのできる浴用剤が開発されている(特許文献3参照)。また、ヒノキ科植物から得られた抽出物を配合することにより、疼痛緩和効果を付与した浴用剤も開発されている(特許文献4)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開昭62−234015号公報
【特許文献2】特公平7−546号公報
【特許文献3】特開昭60−215618号公報
【特許文献4】特開平11−158058号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一方、過度な運動の後や、長時間又は長距離での歩行や走行の後、或いは長時間に亘って立位姿勢を継続した後等に足の疲れを強く感じやすい。このような場合の多くは、足アーチが崩れているためであると考えらえるが、崩れた状態を放置したままでは、足による衝撃吸収力が不十分となって敏捷な動きが阻害され、足が重くだるさを感じたり疼痛を引き起こしたりする可能性が高まるだけでなく、足アーチの崩れは扁平足や外反母趾等の足部変形や障害の原因ともなり得る。従来より、こうした足アーチの崩れを改善するため、安静や運動を元にした理学療法や足底板を靴に挿入する装具療法等の手段が取り入れられている。
【0006】
近年、こうした足アーチの崩れは、通常の日常生活を送るなか、例えば朝方と夕方との間でも発生し得ることが認識されつつあるものの、理学療法や装具療法等で改善を図るのでは、使用者にある程度の負担を課さざるをえない。そのため、日常生活を送るなかでも容易に取り入れられる簡易で効果的な手段によって、足アーチの崩れを改善できることが望まれている。
しかしながら、特許文献1〜4に記載の浴用剤については、足アーチの崩れを十分に回復させることができるか否かについての知見はない。
【0007】
したがって、本発明は、足アーチの崩れを簡易かつ効果的に改善することのできる足アーチ崩れ改善剤に関する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
そこで本発明者は、炭酸塩および有機酸を特定量で含有しつつ、CGRP応答促進剤を含有することにより、足アーチ崩れを効果的に改善することができる剤が得られることを見出した。
【0009】
すなわち、本発明は、次の成分(A)、(B)及び(C):
(A)炭酸塩 5質量%以上70質量%以下、
(B)有機酸 15質量%以上70質量%以下、及び
(C)CGRP応答促進剤
を含有する足アーチ崩れ改善剤を提供するものである。
また、本発明は、次の成分(A)、(B)及び(C):
(A)炭酸塩 5質量%以上70質量%以下、
(B)有機酸 15質量%以上70質量%以下、及び
(C)CGRP応答促進剤
を含有する足アーチ崩れ改善剤を浴水に溶解して足浴する足アーチ崩れの改善方法を提供するものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明の足アーチ崩れ改善剤によれば、種々の要因で崩れた足アーチを効果的に回復させることができ、足浴に用いるのに最適な剤である。かかる足アーチ崩れの改善効果は、本発明の足アーチ崩れ改善剤を浴水に溶解して足浴するだけで十分に享受することができ、簡易かつ利便性の高い足アーチ崩れの改善方法を実現することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】足アーチ高率を求めるうえで用いる舟状骨高及び足長を示すための足底周辺の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明について詳細に説明する。
足アーチとは、足底における踵、母趾球及び子趾球の3つの接地点を各々結んだ、内側縦アーチ、外側縦アーチ及び横アーチを意味するものである。これらのアーチは、骨の間に張られた筋肉で支えられており、歩行や走行時の衝撃を緩和したり、足の筋力を蹴りだす力へと効率よく変化させたりする機能を担う。なかでも内側縦アーチは、活動量の増加による筋疲労や血行障害等により、平坦で潰れたようなアーチ崩れが発生しやすい。このように、足の内側縦アーチが崩れて低下した状態を、いわゆる扁平足とよぶ。かかる足アーチ崩れが発生すると、足底の疲労感やこわばり感、疼痛等を引き起こし、外反母趾、疲労骨折、有痛性外脛骨、後脛骨筋腱炎等の原因にもなり得る。本発明の足アーチ崩れ改善剤は、この足アーチ崩れの改善を図ることのできる、すなわち、本来の足アーチの形状へと回復させることのできる剤である。
【0013】
本発明の足アーチ崩れ改善剤は、炭酸塩(A)を5質量%以上70質量%以下含有する。かかる成分(A)は、本発明の足アーチ崩れ改善剤を浴水に投入したときに、後述する有機酸(B)とともに炭酸ガスを発生させて血行促進効果をもたらし、皮膚に良好な温まり感を付与しつつ、後述するCGRP応答促進剤(C)と組み合わせることにより足アーチ崩れを改善することができる。
【0014】
成分(A)としては、炭酸ジアルカリ金属塩である炭酸ナトリウムや炭酸カリウム等:炭酸水素塩である炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム等;二価以上の金属の炭酸塩である炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム等が挙げられる。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。なかでも、炭酸ジアルカリ金属塩としては、炭酸ナトリウムが好ましく、炭酸水素塩としては、炭酸水素ナトリウムが好ましい。
【0015】
なお、保存安定性を高める観点から、成分(A)全量中に炭酸ジアルカリ金属塩を30質量%以上含有することが好ましく、40質量%以上含有することがより好ましく、50質量%以上含有することがさらに好ましく、60質量%以上含有することがまたさらに好ましく、100質量%以下含有することが好ましい。また、成分(A)全量中に炭酸ジアルカリ金属塩を30質量%以上含有することが好ましく、40〜100質量%含有することがより好ましく、50〜100質量%含有することがさらに好ましく、60〜100質量%含有することがまたさらに好ましい。
【0016】
成分(A)の含有量は、本発明の足アーチ崩れ改善剤中に5質量%以上であるが、炭酸ガス発生量を確保しつつ十分な血行促進効果をもたらして、足アーチ崩れ改善効果を高める観点から、好ましくは10質量%以上であり、より好ましくは15質量%以上であり、さらに好ましくは20質量%以上である。成分(A)の含有量は、良好な保存安定性を確保する観点から、本発明の足アーチ崩れ改善剤中に70質量%以下であって、好ましくは65質量%以下であり、より好ましくは60質量%以下であり、さらに好ましくは55質量%以下である。また、成分(A)の含有量は、5質量%以上70質量%以下であって、好ましくは10〜65質量%であり、より好ましくは15〜60質量%であり、さらに好ましくは20〜55質量%である。
【0017】
本発明の足アーチ崩れ改善剤は、有機酸(B)を15質量%以上70質量%以下含有する。かかる成分(B)としては、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、マレイン酸、コハク酸、フタル酸、フマル酸、グルタル酸、アジピン酸、安息香酸、サリチル酸及びシュウ酸等の室温(25℃)で固体の有機酸が好ましい。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。なかでも、成分(C)との組み合わせによる足アーチ崩れ改善効果をより高める観点から、クエン酸、フマル酸、リンゴ酸、酒石酸、コハク酸、及びシュウ酸から選ばれる1種又は2種以上がより好ましく、クエン酸又はフマル酸がより好ましく、フマル酸がさらに好ましい。
【0018】
成分(B)の含有量は、本発明の足アーチ崩れ改善剤中に15質量%以上であるが、炭酸ガス発生量を確保しつつ十分な血行促進効果をもたらして、足アーチ崩れ改善効果を高める観点から、好ましくは20質量%以上であり、より好ましくは25質量%以上であり、さらに好ましくは30質量%以上である。成分(B)の含有量は、良好な保存安定性を確保する観点から、本発明の足アーチ崩れ改善剤中に70質量%以下であって、好ましくは68質量%以下であり、より好ましくは66質量%以下であり、さらに好ましくは64質量%以下である。また、成分(B)の含有量は、15質量%以上70質量%以下であって、好ましくは20〜68質量%であり、より好ましくは25〜66質量%であり、さらに好ましくは30〜64質量%である。
【0019】
本発明の足アーチ崩れ改善剤は、CGRP応答促進剤(C)を含有する。かかる成分(C)は、細胞のCGRP応答性、すなわちCGRP受容体を発現する又はCGRP受容体を有する細胞における一連の活動を促進することのできる剤である。具体的には、例えばCGRPが細胞のCGRP受容体に結合すると、Gタンパク質を介してアデニレートシクラーゼの活性化を経て細胞内cAMPの増加が生じる。それにより、例えば血管平滑筋細胞では、プロテインキナーゼA活性化を介してK+チャネルが開口する。あるいは、血管内皮細胞においては、プロテインキナーゼA活性化を介してeNOSが活性化され、NOの産生が促進される。さらに、産生されたNOは血管平滑筋細胞に作用し、NOを介した細胞内cGMP活性化を経て、K+チャネルが開口する。これにより、血管平滑筋が弛緩され、血管の拡張を促すことが可能となる。
【0020】
従来より、炭酸塩(A)及び有機酸(B)のような炭酸ガス発生物は、優れた血行促進効果をもたらす炭酸ガスを発生する成分として、多くの浴用剤に用いられている。一方、本発明の足アーチ崩れ改善剤は、かかる炭酸ガス発生物とCGRP応答性促進剤(C)とを併用するものであるため、炭酸ガスと相まって血管平滑筋を弛緩させ、血管の拡張を促すことが可能となり、優れた血行促進効果をもたらしながら足部における筋疲労を効果的に改善することができる。そして、足アーチ、特に内側縦アーチを構成する筋肉における疲労回復を促進し、崩れが生じている足アーチを改善することができる。
【0021】
かかる成分(C)としては、例えば、ニンジン、アスナロ、キュウリ、ブッチャーブルーム、キハダ、ヘメロカリスフルバ、ホウセンカ、ヒバマタ、バーチ、米タンパク質、米油、アロエベラ、ボタンピ、ラミナリア、スターフルーツ、ヤグルマギク、レモングラス、キョウニン、レモン、スイートマジョラム、マロニエ、ローヤルゼリー、ローズヒップ及びこれらの抽出物が挙げられる。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。
【0022】
「ニンジン」とは、ウコギ科トチバニンジン属のPanax ginsengを指し、「ニンジン抽出物」とは、ニンジンから得られた抽出物を意味する。ニンジンの抽出物は、ニンジンの任意の部位、例えば、全草、葉、茎、芽、花、蕾、木質部、樹皮、地衣体、根、根茎、仮球茎、球茎、塊茎、種子、果実、菌核若しくは樹脂等、又はそれらの組み合わせからの抽出物であればよいが、このうち根からの抽出物が好ましい。
【0023】
「アスナロ」とは、ヒノキ科アスナロ属のThujopsis dolabrataを指し、「アスナロ抽出物」とは、アスナロから得られた抽出物を意味する。アスナロの抽出物は、アスナロの任意の部位、例えば、全草、葉、茎、芽、花、蕾、木質部、樹皮、地衣体、根、根茎、仮球茎、球茎、塊茎、種子、果実、菌核若しくは樹脂等、又はそれらの組み合わせからの抽出物であればよいが、このうち葉・枝からの抽出物が好ましい。
【0024】
「キュウリ」とは、ウリ科キュウリ属のCucumis sativusを指し、「キュウリ抽出物」とは、キュウリから得られた抽出物を意味する。キュウリの抽出物は、キュウリの任意の部位、例えば、全草、葉、茎、芽、花、蕾、木質部、樹皮、地衣体、根、根茎、仮球茎、球茎、塊茎、種子、果実、菌核若しくは樹脂等、又はそれらの組み合わせからの抽出物であればよいが、このうち果実からの抽出物が好ましい。
【0025】
さらに、「ブッチャーブルーム」とは、ユリ科のRuscus aculeatusを指し、「キハダ」とは、ミカン科のPhellodendron amurenseを指し、「ヘメロカリスフルバ」とは、ユリ科のHemerocallis fulvaを指し、「ホウセンカ」とは、ツリフネソウ科のImpatiens balsaminaを指し、「ヒバマタ」とは、ヒバマタ科のFucus vesiculosusを指し、「バーチ」とは、カバノキ科カバノキ属植物、好ましくはヨーロッパシラカバBetula pendulaを指し、「アロエベラ」とは、アロエ科のAloe veraを指し、「ボタンピ」とは、ボタン科のPaeonia moutanの根皮を指し、「ラミナリア」とは、Laminaria属藻類を指し、「スターフルーツ」とは、カタバミ科のAverrhoa carambola を指し、「ヤグルマギク」とは、キク科のCentaurea cyanusを指し、「レモングラス」とは、イネ科のCymbopogon citratusを指し、「キョウニン」とは、バラ科サクラ属植物の種子を指し、「レモン」とは、ミカン科のCitrus limonを指し、「スイートマジョラム」とは、シソ科のOriganum majorana を指し、「マロニエ」とは、トチノキ科のAesculus hippocastanumを指し、「ローズヒップ」とは、バラ科バラ属植物、好ましくはRosa caninaの果実を指す。また、「米タンパク質」及び「米油」が由来する「米」とは、イネ科イネ属植物の種子を意味し、「ローヤルゼリー」とは、働き蜂の頭部にある分泌腺(大腮腺、下咽頭腺)より分泌される物質を指す。
【0026】
上記ブッチャーブルーム等の抽出物は、これらが植物である場合には、その任意の部位、例えば、全草、葉、茎、芽、花、蕾、木質部、樹皮、地衣体、根、根茎、仮球茎、球茎、塊茎、種子、果実、菌核若しくは樹脂等、又はそれらの組み合わせからの抽出物であればよい。これらの抽出物を得るための好ましい部位は、具体的には、ブッチャーブルームの場合は根茎、キハダの場合は樹皮、ヘメロカリスフルバの場合は花、ホウセンカの場合は花または地上部、ヒバマタの場合は藻体、バーチの場合は樹皮、アロエベラの場合は葉、ボタンピの場合は根皮、ラミナリアの場合は全植物体、スターフルーツの場合は葉、ヤグルマギクの場合は花、レモングラスの場合は葉、キョウニンの場合は種子、レモンの場合は果実、スイートマジョラムの場合は葉、マロニエの場合は果実、及びローズヒップの場合は果実である。
【0027】
上記に挙げた部位は、そのまま抽出工程に付されてもよく、又は粉砕、切断若しくは乾燥された後に抽出工程に付されてもよい。
【0028】
上記抽出物としては、市販されているものを利用してもよく、又は常法により得られる各種溶剤抽出物、又はその希釈液、その濃縮液、その乾燥末、ペースト若しくはその活性炭処理したものであってもよい。かかる抽出物は、抽出しようとする部位を室温若しくは加温下にて抽出するか、又はソックスレー抽出器等の抽出器具を用いて抽出することにより得ることができる。
【0029】
抽出のための溶剤には、極性溶剤、非極性溶剤のいずれをも使用することができる。溶剤の具体例としては、例えば、水;メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等のアルコール;プロピレングリコール、ブチレングリコール等の多価アルコール;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン;酢酸メチル、酢酸エチル等のエステル;テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル等の鎖状及び環状エーテル;ポリエチレングリコール等のポリエーテル;スクワラン、ヘキサン、シクロヘキサン、石油エーテル等の炭化水素;トルエン等の芳香族炭化水素;ジクロロメタン、クロロホルム、ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素;及び超臨界二酸化炭素;ピリジン;油脂、ワックス等その他オイル等の有機溶剤;ならびにこれらの混合物が挙げられる。なお、これらから選択される1種又は2種以上を用いることが好ましい。好適には、水、アルコール及びその水溶液が挙げられ、アルコールとしてはエタノールが好ましい。より好ましい溶剤は、水及びエタノール水溶液である。
【0030】
アルコールと水との配合割合(容量比)としては、0.001〜100:99.999〜0が好ましく、5〜95:95〜5がより好ましく、20〜80:80〜20がさらに好ましく、30〜70:70〜30がさらにより好ましく、40〜60:60〜40がなお好ましい。エタノール水溶液の場合、エタノール濃度が40〜60容量%であることが好ましい。
【0031】
溶剤の使用量としては、抽出しようとする部位(乾燥質量換算)1gに対して1〜100mLが好ましい。抽出条件は、充分な抽出が行える条件であれば特に限定されないが、抽出時間としては、3分間〜30日間が好ましく、60分間〜14日間がより好ましく、抽出温度は、0℃〜溶媒沸点が好ましく、5〜70℃がより好ましい。通常、低温なら長時間、高温なら短時間の抽出を行う。
【0032】
抽出物を得る抽出手段は、具体的には、固液抽出、液液抽出、浸漬、煎出、浸出、還流抽出、超音波抽出、マイクロ波抽出、攪拌等の手段を用いることができる。
抽出条件の例として、15〜25℃で7日間〜14日間、70℃で5時間、等が挙げられる。
また、抽出時間を短縮する場合には、攪拌を伴う固液抽出が望ましい。この固液抽出の好適な条件の一例としては、40〜100℃(好ましくは50〜70℃)下、100〜1000rpmで30〜300分間の攪拌が挙げられる。
抽出物の酸化を防止するため、煮沸脱気や窒素ガス等の不活性ガスを通気して溶存酸素を除去しつつ、いわゆる非酸化的雰囲気下で抽出する手段を併用してもよい。
【0033】
上記抽出物等のなかでも、血行促進効果の観点、並びに成分(A)及び成分(B)との組み合わせによる足アーチ崩れ改善効果の観点から、ニンジン、アスナロ、キュウリ、バーチ及びこれらの抽出物が好ましく、ニンジン、アスナロ及びこれらの抽出物がより好ましい。
【0034】
成分(C)の含有量は、血行促進効果の観点、並びに成分(A)及び成分(B)との組み合わせによる足アーチ崩れ改善効果の観点から、本発明の足アーチ崩れ改善剤中に、乾燥重量で好ましくは2×10-5質量%以上であり、より好ましくは2×10-4質量%以上であり、さらに好ましくは2×10-3質量%以上であり、さらに好ましくは5×10-3質量%以上であり、そして、好ましくは1質量%以下であり、より好ましくは0.6質量%以下であり、さらに好ましくは0.3質量%以下であり、さらに好ましくは0.1質量%以下である。また、成分(C)の含有量は、本発明の足アーチ崩れ改善剤中に、乾燥重量で好ましくは2×10-5〜1質量%であり、より好ましくは2×10-4〜0.6質量%であり、さらに好ましくは2×10-3〜0.3質量%であり、さらに好ましくは5×10-3〜0.1質量%である。
【0035】
なお、成分(C)の分散性をより安定に保持する観点から、本発明の足アーチ崩れ改善剤に水不溶性賦形剤(D)を含有させてもよい。これにより、例えば、予め成分(C)と水不溶性賦形剤(D)とを混合して、組成物中に成分(C)を良好に分散させ、保存安定性を容易に高めることができる。成分(D)としては、成分(C)を組成物中に良好に分散させる観点から、多孔性粉体であるのが好ましく、例えば、成分(D)の吸油量は、好ましくは100〜700mL/100g、より好ましくは200〜600mL/100gである。
【0036】
かかる成分(D)としては、結晶性シリカ、非晶質シリカ、非晶質アルミノ珪酸塩が挙げられ、例えば、市販品であるフローライトR((株)富田製薬製)、サイロピュア(富士シリシア化学(株)製)、トクシールNR(Oriental Silica Corporation製)、トクシールNP(Oriental Silica Corporation製)、TIXOLEX25(韓仏化学社(製))、ニップシールNA(東ソー・シリカ(株)製)等を好ましく用いることができる。なかでも、フローライトR等の結晶性シリカが好ましい。
【0037】
成分(D)の含有量は、成分(C)の分散性をより安定に保持して、足アーチ崩れ改善効果をより高める観点から、本発明の足アーチ崩れ改善剤中に、好ましくは0.01〜10質量%であり、より好ましくは0.05〜5質量%である。
【0038】
通常、浴用剤には、さらに脂肪酸エステルやグリセリド、高級脂肪酸や高級アルコール等の油性成分を含有させることによって、血行促進効果や温まり感の増大を図ることができる。本発明の足アーチ崩れ改善剤においてもかかる油性成分を含有させてもよいが、油性成分を含有せずとも、良好な血行促進効果を保持しつつ、優れた足アーチ崩れ改善効果を発揮することができる。
【0039】
上記油性成分の含有量は、良好な血行促進効果を保持しつつ、優れた足アーチ崩れ改善効果を十分に発揮させる観点から、本発明の足アーチ崩れ改善剤中に、好ましくは10質量%以下であり、より好ましくは5質量%以下であり、さらに好ましくは3.5質量%以下であり、不可避的に混入する場合を除き、油性成分を含有しなくてもよい。
【0040】
本発明の足アーチ崩れ改善剤には、その他上記成分以外の成分として、通常浴用剤に用いられる成分、例えば、非イオン界面活性剤、水溶性高分子、糖類、炭酸塩以外の無機塩類、ビタミン類、蛋白分解酵素、殺菌防腐剤、香料、色素等を適宜含有させてもよい。
【0041】
本発明の足アーチ崩れ改善剤は、押出造粒等の圧縮造粒方法や、プレス打錠機やブリケットマシーンを用いた圧縮成形法等の常法に従って製造することができ、その形態は粉末、顆粒、粒状、ブリケット錠、錠剤等のいずれであってもよく、また成分の一部を予め造粒あるいは成型して、その余の成分と混合した後に成形した形態であってもよい。なお、成分(D)の水不溶性賦形剤を用いる場合には、成分(C)を良好に分散させる観点から、予め成分(C)と成分(D)とを混合するのが好ましい。
【0042】
本発明の足アーチ崩れ改善剤は、浴水に溶解して使用するものであり、浴水中で炭酸ガスの泡を発生させ、かかる浴水に足の少なくとも一部、とくに膝から下の部分や足首から下の部分を浴水に浸漬させる、いわゆる足浴に使用するものである。また、連続して足浴に使用することにより本発明の効果を高めることも可能であるが、単回で足浴に使用することによっても、足アーチ崩れ改善効果を十分に享受することができる。
【0043】
本発明の足アーチ崩れ改善剤は、浴水中で良好に溶解して十分な足崩れ改善効果を発揮する観点から、足アーチ崩れ改善剤の質量に対し、40質量倍以上の浴水に溶解することが好ましく、50質量倍以上の浴水に溶解することがより好ましく、60質量倍以上の浴水に溶解することがさらに好ましい。本発明の足アーチ崩れ改善剤は、成分(A)及び成分(B)により適度な量の炭酸ガスを発生させて成分(C)との組み合わせによる足アーチ崩れ改善効果を十分に発揮させる観点から、足アーチ崩れ改善剤の質量に対して、500質量倍以下の浴水に溶解することが好ましく、400質量倍以下の浴水に溶解することがより好ましく、300質量倍以下の浴水に溶解することがさらに好ましい。また、本発明の足アーチ崩れ改善剤は、足アーチ崩れ改善剤の質量に対して、40〜500質量倍の浴水に溶解することが好ましく、50〜400質量倍の浴水に溶解することがより好ましく、60〜300質量倍の浴水に溶解することがさらに好ましい。
【0044】
本発明の足アーチ崩れ改善剤は、成分(C)との組み合わせによる足アーチ崩れ改善効果を十分に発揮させる観点から、浴水中における炭酸ガス濃度が、好ましくは300ppm以上となるように浴水に溶解して使用し、より好ましくは500ppm以上となるように浴水に溶解して使用し、さらに好ましくは800ppm以上となるように浴水に溶解して使用し、またさらに好ましくは900ppm以上となるように浴水に溶解して使用し、好ましくは1300ppm以下となるように浴水に溶解して使用する。また、本発明の足アーチ崩れ改善剤は、浴水中における炭酸ガス濃度が、好ましくは300〜1300ppmとなるように浴水に溶解して使用し、より好ましくは500〜1300ppmとなるように浴水に溶解して使用し、さらに好ましくは800〜1300ppmとなるように浴水に溶解して使用し、またさらに好ましくは900〜1300ppmとなるように浴水に溶解して使用する。
【0045】
1回の足浴時間は、良好に炭酸ガスを発生させつつ成分(C)との組み合わせによる足アーチ崩れ改善効果を十分に享受する観点から、3分以上30分以下であることが好ましく、5分以上20分以下であることがより好ましく、10分以上15分以下であることがさらに好ましい。また浴水の温度は、足アーチ崩れ改善効果を有効かつ速攻的に得る観点から、30〜45℃であることが好ましく、36〜42℃であることがより好ましい。
【0046】
本発明の足アーチ崩れ改善剤を浴水に溶解した際における、浴水のpHは、足アーチ崩れ改善効果をより向上させる観点から、好ましくは4〜8であり、より好ましくは4.5〜7であり、さらに好ましくは4.5〜6.5である。
【0047】
足アーチ崩れの程度は、足アーチ高率を指標として判断することができる。具体的には、足アーチ高率の値が低下するほど、すなわちマイナス方向に変化するほど、足アーチ崩れが進行していることを意味する。ここで、足アーチ高率(%)とは、具体的には図1に示すように、足底Bから舟状骨Aの粗面までの高さを舟状骨高Hとしたときに、かかる舟状骨高Hと足長Lの値から下記式(X)により算出される値(%)を意味する。
足アーチ高率(%)={舟状骨高H(mm)/足長L(mm)}×100・・式(X)
例えば、舟状骨高Hを測定するには、Wixeyデジタルハイトゲージ(WR200,Wixey社製)を用いることができる。
【0048】
なお、足アーチ高率(%)の値の低下度合いについては、個人の体調や体質並びに足にかかる負荷の度合いにもよるが、一般に、午前中に測定した値を初期値とし、足に高負荷がかかった後に、初期値から約0.03〜2%程度低下する(約−0.03〜2%変化する)。ここで、本発明において足に「高負荷」がかかる状況としては、歩行、走行又は立位姿勢(球技等のスポーツをする場合を含む)を10分以上、好ましくは20分以上、さらに好ましくは30分以上継続することはもちろん、夕方まで通常の日常生活を送った場合(負荷開始時より約6時間経過後)をも含むこととする。
【0049】
したがって、本発明の足アーチ崩れ改善剤は、足に高負荷がかかった後の人に対して使用するのが好ましく、具体的には、足アーチ高率が初期値から0.03%以上低下した人に対して使用することが好ましく、0.06%以上低下した人に対して使用することがより好ましく、0.1%以上低下した人に対して使用することがさらに好ましい。また、本発明の足アーチ崩れ改善剤は、日常生活の活動の中でかかった負荷によって自然に生じた足アーチ高率低下に対して使用されるものである点から、足アーチ高率が初期値から2%以下の範囲内で低下した人に対して使用することが好ましく、1.8%以下の範囲内で低下した人に対して使用することがより好ましく、1.5%以下の範囲内で低下した人に対して使用することがさらに好ましい。
【0050】
また、本発明の足アーチ崩れ改善剤は、足アーチ高率が初期値から0.03〜2%低下した人に対して使用することが好ましく、0.06〜1.8%低下した人に対して使用することがより好ましく、0.1〜1.5%低下した人に対して使用することがさらに好ましい。
なお、ここで「初期値」とは、足に高負荷を未だかけていない状態における値をいう。
【0051】
本発明の足アーチ崩れ改善剤は、足アーチ高率を上昇させることができ、すなわちプラス方向に変化させることができ、足アーチ崩れの改善を図ることができる。具体的には、本発明の足アーチ崩れ改善剤は、足アーチ高率を好ましくは0.03%以上上昇させることができ、より好ましくは0.1%以上上昇させることができ、さらに好ましくは0.2%以上上昇させることができる。すなわち、本発明の足アーチ崩れ改善剤を用いて足浴した場合に、足浴前における足アーチ高率に対し、足浴後における足アーチ高率を好ましくは0.03%以上上昇させることができ、より好ましくは0.1%以上上昇させることができ、さらに好ましくは0.2%以上上昇させることができる。したがって、日常生活のなかで低下してしまった足アーチ高率を、ほぼ元の値まで十分に回復させることが可能であり、本発明の足アーチ崩れ改善剤を浴水に溶解して足浴する方法は、足アーチ崩れの改善方法として非常に有用である。
【0052】
本発明の足アーチ崩れ改善剤は、適宜、袋状包材に包装されて保存される。この場合、本発明に用いる袋状包材の材質の水蒸気透過度は、40℃、90%RHの条件下で0.6g/m2・day以下であり、好ましくは0.3g/m2・day以下であり、さらに実質的に水蒸気を透過しないものが最も好ましい。このような水蒸気透過度を示す袋状包材の材質としては、厚さ5〜10μmのアルミによる積層フィルムなどが挙げられ、ガラス蒸着処理したPET(ポリエチレンテレフタレート)フィルム等の透明性を有したものも、好ましい袋状包材の材質として挙げられる。
【0053】
上述した実施態様に関し、本発明はさらに以下の足アーチ崩れ改善剤及び足アーチ崩れの改善方法を開示する。
[1]次の成分(A)、(B)及び(C):
(A)炭酸塩 5質量%以上70質量%以下、
(B)有機酸 15質量%以上70質量%以下、及び
(C)CGRP応答促進剤
を含有する足アーチ崩れ改善剤。
[2]成分(A)の含有量は、好ましくは10質量%以上であり、より好ましくは15質量%以上であり、さらに好ましくは20質量%以上であり、好ましくは65質量%以下であり、より好ましくは60質量%以下であり、さらに好ましくは55質量%以下である上記[1]の足アーチ崩れ改善剤。
[3]成分(A)全量中に炭酸ジアルカリ金属塩を30質量%以上含有することが好ましく、40質量%以上含有することがより好ましく、50質量%以上含有することがさらに好ましく、60質量%以上含有することがまたさらに好ましく、100質量%以下含有することが好ましい上記[1]又は[2]の足アーチ崩れ改善剤。
【0054】
[4]成分(B)の含有量は、好ましくは20質量%以上であり、より好ましくは25質量%以上であり、さらに好ましくは30質量%以上であり、好ましくは68質量%以下であり、より好ましくは66質量%以下であり、さらに好ましくは64質量%以下である上記[1]〜[3]いずれか1の足アーチ崩れ改善剤。
[5]成分(B)は、好ましくはクエン酸、フマル酸、リンゴ酸、酒石酸、コハク酸、及びシュウ酸から選ばれる1種又は2種以上であり、より好ましくはクエン酸又はフマル酸であり、さらに好ましくはフマル酸である上記[1]〜[4]いずれか1の足アーチ崩れ改善剤。
【0055】
[6]成分(C)は、好ましくはニンジン、アスナロ、キュウリ、ブッチャーブルーム、キハダ、ヘメロカリスフルバ、ホウセンカ、ヒバマタ、バーチ、米タンパク質、米油、アロエベラ、ボタンピ、ラミナリア、スターフルーツ、ヤグルマギク、レモングラス、キョウニン、レモン、スイートマジョラム、マロニエ、ローヤルゼリー、ローズヒップ及びこれらの抽出物から選ばれる1種又は2種以上であり、より好ましくはニンジン、アスナロ、キュウリ、バーチ及びこれらの抽出物から選ばれる1種又は2種以上である上記[1]〜[5]いずれか1の足アーチ崩れ改善剤。
[7]成分(C)の含有量は、乾燥重量で好ましくは2×10-5質量%以上であり、より好ましくは2×10-4質量%以上であり、さらに好ましくは2×10-3質量%以上であり、さらに好ましくは5×10-3質量%以上であり、好ましくは1質量%以下であり、より好ましくは0.6質量%以下であり、さらに好ましくは0.3質量%以下であり、さらに好ましくは0.1質量%以下である上記[1]〜[6]いずれか1の足アーチ崩れ改善剤。
【0056】
[8]油性成分の含有量は、好ましくは10質量%以下であり、より好ましくは5質量%以下であり、さらに好ましくは3.5質量%以下であり、或いは油性成分を含有しない上記[1]〜[7]いずれか1の足アーチ崩れ改善剤。
[9]足アーチ崩れ改善剤の質量に対し、40質量倍以上の浴水に溶解して使用することが好ましく、50質量倍以上の浴水に溶解して使用することがより好ましく、60質量倍以上の浴水に溶解して使用することがさらに好ましく、500質量倍以下の浴水に溶解することが好ましく、400質量倍以下の浴水に溶解することがより好ましく、300質量倍以下の浴水に溶解することがさらに好ましい上記[1]〜[8]いずれか1の足アーチ崩れ改善剤。
【0057】
[10]浴水中における炭酸ガス濃度が、好ましくは300ppm以上となるように浴水に溶解して使用し、より好ましくは500ppm以上となるように浴水に溶解して使用し、さらに好ましくは800ppm以上となるように浴水に溶解して使用し、またさらに好ましくは900ppm以上となるように浴水に溶解して使用し、好ましくは1300ppm以下となるように浴水に溶解して使用する上記[1]〜[9]いずれか1の足アーチ崩れ改善剤。
[11]足に対して、歩行、走行又は立位姿勢を好ましくは10分以上、より好ましくは20分以上、さらに好ましくは30分以上継続して負荷をかけた者、或いは夕方まで通常の日常生活を送って負荷をかけた者に対して使用するものである上記[1]〜[10]のいずれか1の足アーチ崩れ改善剤。
[12]足アーチ高率が初期値から好ましくは0.03%以上、より好ましくは0.06%以上、さらに好ましくは0.1%以上、そして、好ましくは2%以下、より好ましくは1.8%以下、さらに好ましくは1.5%以下低下した人に対して使用するものである上記[1]〜[11]のいずれか1の足アーチ崩れ改善剤。
[13]足アーチ高率を好ましくは0.03%以上上昇させ、より好ましくは0.1%以上上昇させ、さらに好ましくは0.2%以上上昇させる上記[1]〜[12]いずれか1の足アーチ崩れ改善剤。
【0058】
[14]次の成分(A)、(B)及び(C):
(A)炭酸塩 5質量%以上70質量%以下、
(B)有機酸 15質量%以上70質量%以下、及び
(C)CGRP応答促進剤
を含有する足アーチ崩れ改善剤を浴水に溶解して足浴する足アーチ崩れの改善方法。
[15]浴水が、足アーチ崩れ改善剤の質量に対して好ましくは40質量倍以上500質量倍以下であり、より好ましくは50質量倍以上であり、さらに好ましくは60質量倍以上であり、より好ましくは400質量倍以下であり、さらに好ましくは300質量倍以下である上記[14]の足アーチ崩れの改善方法。
[16]足アーチ崩れ改善剤を溶解した際における浴水中の炭酸ガス濃度が、好ましくは300ppm以上であり、より好ましくは500ppm以上であり、さらに好ましくは800ppm以上であり、またさらに好ましくは900ppm以上であり、好ましくは1300ppm以下である上記[14]又は[15]の足アーチ崩れの改善方法。
[17]足浴する時間が、3分以上30分以下であることが好ましく、5分以上20分以下であることがより好ましく、10分以上15分以下であることがさらに好ましい上記[14]〜[16]いずれか1の足アーチ崩れの改善方法。
【0059】
[18]足に対して、歩行、走行又は立位姿勢を好ましくは10分以上、より好ましくは20分以上、さらに好ましくは30分以上継続して負荷をかけた後、或いは夕方まで通常の日常生活を送って負荷をかけた後に足浴する上記[14]〜[17]のいずれか1の足アーチ崩れの改善方法。
[19]足アーチ高率が初期値から好ましくは0.03%以上、より好ましくは0.06%以上、さらに好ましくは0.1%以上、そして、好ましくは2%以下、より好ましくは1.8%以下、さらに好ましくは1.5%以下低下した後に足浴する上記[14]〜[18]のいずれか1の足アーチ崩れの改善方法。
[20]足浴前における足アーチ高率に対し、足浴後における足アーチ高率を好ましくは0.03%以上上昇させ、より好ましくは0.1%以上上昇させ、さらに好ましくは0.2%以上上昇させる上記[14]〜[19]いずれか1の足アーチ崩れの改善方法。
【実施例】
【0060】
以下、本発明について、実施例に基づき具体的に説明する。なお、表中に特に示さない限り、各成分の含有量は質量%を示す。
【0061】
[製造例1:ニンジンエキスの調製]
チョウセンニンジンPanax ginsengの根(中国産)100gに50%エタノール水溶液1000mLを加え、室温(25℃)で7日間浸漬抽出した後、ろ過してニンジンエキス840mLを得た(外原規法(10mL, 105℃, 6時間)にて蒸発残分2.8 w/v%)。
【0062】
[製造例2:アスナロエキスの調製]
アスナロThujopsis dolabrataの葉および小枝(日本産)100gにエタノール1000mLを加え、室温(25℃)で7日間浸漬抽出した後、ろ過してアスナロエキス900mLを得た(外原規法(10mL, 105℃, 6時間)にて蒸発残分0.8 w/v%)。
【0063】
[製造例3:キュウリエキスの調製]
キュウリCucumis sativusの果実(日本産)100gに50%エタノール水溶液1000mLを加え、室温(25℃)で7日間浸漬抽出した後、ろ過してキュウリエキス1000mLを得た(外原規法(10mL, 105℃, 6時間)にて蒸発残分0.2 w/v%)。
【0064】
[製造例4:バーチエキスの調製]
シラカバBetula platyphyllaの樹皮及び木部(日本産)100gに50%エタノール水溶液1000mLを加え、室温(25℃)で7日間浸漬抽出した後、ろ過してバーチエキス1000mLを得た(外原規法(10mL, 105℃, 6時間)にて蒸発残分0.13 w/v%)。
【0065】
[実施例1〜9、比較例1〜4]
表1に示す処方にしたがい、製造例1〜4で得られたニンジンエキス、アスナロエキス、キュウリエキス又はバーチエキスを用いて足浴剤を混合調製した。なお、各エキスは、予め珪酸カルシウム(フローライトR)と混合した後、その他の成分と混合することで足浴剤を調製した。
得られた足浴剤を用い、実施例1〜9及び比較例1〜2では40℃の湯6Lに各足浴剤45g(足浴剤に対して浴水133質量倍)、比較例3では40℃の湯6Lに各足浴剤0.48g(足浴剤に対して浴水12500質量倍)を投入して溶解し、比較例4では足浴剤を用いることなくさら湯の状態とし、被験者によって足首から下の部分を浸漬して15分間足浴してもらい、下記測定及び評価を行った。結果を表1に示す。
【0066】
《アーチ高率の測定》
6名の被験者(健常者であって、夕方まで通常の日常生活を送った者)について、足浴を開始する前及び足浴を終了した直後の双方の場合における足長L(mm)及び舟状骨高H(mm)を各々測定し、上記式(X)にしたがって足アーチ高率(%)を算出した。
次いで、足浴を行う前後での足アーチ高率の差分値(%)を求めて被験者6人の平均値を算出した。また、足浴を開始する前の個々のアーチ高率を100として、足浴を終了した後の個々のアーチ高率の上昇率(%)を算出し、被験者6人の平均値を算出した(表1)。
なお、舟状骨高H(mm)の測定には、Wixeyデジタルハイトゲージ(WR200,Wixey社製)を用いた。
【0067】
《皮膚血流量の測定》
6名の被験者について、足浴を開始する前及び足浴を終了した直後の双方における皮膚血流量(mL/min)を測定し、足浴を開始する前の個々の血流量を100として、足浴を終了した直後の個々の血流量を指数表示し、6人の平均値を算出した。
なお、皮膚血流量は、足背部に電極を装着し、レーザードップラー血流計(ALF21、(株)アドバンス社製)を用いて測定した。
【0068】
《足のだるさ》
6名の被験者において、足浴を開始する前及び足浴を終了した直後の双方における足のだるさについて、下記の基準にしたがって評価をしてもらい、足浴を開始する前と足浴を終了した直後の差分の平均値を求め、下記判定基準にしたがって判定した。
〈評価基準〉
1点:非常にだるい
2点:だるい
3点:ややだるい
4点:あまりだるくない
5点:だるくない
〈判定基準〉
A:差分の平均値が+2.5点以上
B:差分の平均値が+1.5点以上+2.5点未満
C:差分の平均値が+1.5点未満
【0069】
《足の温まり》
6名の被験者において、足浴を終了した直後の足の温まりについて、下記の基準にしたがって評価をしてもらい、その平均値を求め、下記判定基準にしたがって判定した。
〈評価基準〉
1点:温まらなかった
2点:あまり温まらなかった
3点:やや温まった
4点:温まった
5点:非常に温まった
〈判定基準〉
A:平均が4.5点以上
B:平均が3.5点以上4.5点未満
C:平均が3.5点未満
【0070】
【表1】
【0071】
表1の結果より、実施例1〜9の足浴剤は、皮膚血流量を良好に高めながら足アーチ崩れを顕著に改善でき、足の温まり感に優れるだけでなく足のだるさをも有効に改善できることがわかる。
【符号の説明】
【0072】
A:舟状骨
B:足底
H:舟状骨高
L:足長
図1